JP2736489B2 - 帯電防止性樹脂組成物 - Google Patents

帯電防止性樹脂組成物

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JP2736489B2
JP2736489B2 JP4263040A JP26304092A JP2736489B2 JP 2736489 B2 JP2736489 B2 JP 2736489B2 JP 4263040 A JP4263040 A JP 4263040A JP 26304092 A JP26304092 A JP 26304092A JP 2736489 B2 JP2736489 B2 JP 2736489B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、帯電防止性樹脂組成物
に関する。さらに詳しくは、優れた永久帯電防止性を有
する樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリオレフィン系樹脂に帯電防止
性を付与する方法としては、(1)帯電防止性を有する
界面活性剤(多価アルコール脂肪酸エステル、低分子の
カルボベタイン型化合物等)をポリオレフィン系樹脂に
練り込む方法、(2)二重結合を有するラジカル反応性
の帯電防止性モノマーをポリエチレンまたはポリプロピ
レンにグラフトさせる方法(例えば特公昭46-30293号公
報、特公昭49-26955号公報等)あるいは(3)ポリオキ
シアルキレン鎖を有するゴム幹重合体をそのまま、また
はビニル系単量体等をグラフト重合して、熱可塑性樹脂
に配合、分散させる方法(例えば特開昭55-36237号公
報、特開昭56-118446号公報等)が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記
(1)記載の方法によるものは界面活性剤がポリオレフ
ィン系樹脂と化学的に結合していないため、水洗あるい
は摩擦することによって容易に帯電防止性が消失する欠
点があり、また帯電防止性を持続させるために界面活性
剤を多量に添加練り込むと樹脂の機械的性質を損なうだ
けでなく、樹脂表面に界面活性剤がブリードアウトしや
すくなってべとつきを生じ、かえってほこり等がつきや
すくなり、外観が損なわれる欠点があった。(2)記載
の方法によるものは、グラフト化率が極めて小さく、実
質的に永久帯電防止性を付与することは困難である。ま
た、(3)記載の方法によるものは、確かに永久帯電防
止性の効果は認められるが、帯電防止性を有する重合物
を乳化重合、懸濁重合等で製造した上で、ポリオレフィ
ン等の樹脂に添加し帯電防止性樹脂を得る方法であるた
め、非常に煩雑な工程が必要であった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
を解決すべく鋭意検討した結果、ポリエチレンまたはポ
リプロピレンにゴム質重合体を配合することによって、
帯電防止性樹脂をポリエチレンまたはポリプロピレンの
複合樹脂中に煩雑な工程を必要とせず容易に導入できる
方法を見いだし本発明に到達した。
【0005】すなわち本発明は、下記(A)、(B)、
(C)および(D)からなり、重量基準で(A)/
(B)が(10〜50)/(90〜50)であり、
(C)/[(A)+(B)]が(1〜30)/100、
かつ(D)/[(A)+(B)]が(0.5〜15)/
100である配合成分を溶融混練し、ラジカル反応させ
て得られる帯電防止性樹脂組成物である。 (A):ポリエチレンまたはポリプロピレン。 (B):0℃以下のガラス転移温度を有するゴム質重合
体。 (C):ポリオキシアルキレン化合物の(メタ)アクリ
ル酸エステル。 (D):(C)と共重合可能なスルホン酸塩含有モノマ
ー。
【0006】本発明においてポリエチレンまたはポリプ
ロピレン(A)としては、低・中密度ポリエチレン、高
密度ポリエチレンおよびエチレンと他のα−オレフィン
一種以上との共重合体、プロピレン単独重合体およびプ
ロピレンと他のα−オレフィン一種以上との共重合体が
あげられる。他のα−オレフィンとしては、例えばエチ
レン(ポリエチレンの場合は除く)、プロピレン(ポリ
プロピレンの場合は除く)、1−ブテン、4−メチル−
1−ペンテン、1−ペンテン、1−オクテン、1−デセ
ン、1−ドデセンがあげられる。(A)のメルトフロー
レート(MFR)は通常0.5〜250、好ましくは1〜200で
ある。メルトフローレートは、例えばポリプロピレンの
場合、JIS K6758(温度230℃、荷重2.16kgf)、ポ
リエチレンの場合、JIS K6760(温度190℃、荷重2.
16kgf)に準じて測定することができる。
【0007】本発明において、0℃以下のガラス転移温
度を有するゴム質重合体(B)としては、ブタジエン系
ゴム質重合体(例えば、ブタジエン単独重合ゴム、スチ
レン/ブタジエン共重合ゴム、ブタジエン/(メタ)ア
クリル酸エステル共重合ゴム、アクリロニトリル/ブタ
ジエン共重合ゴム)、クロロプレン系ゴム質重合体、イ
ソプレン系ゴム質重合体、天然ゴム、エチレン/プロピ
レン共重合ゴム質重合体、エチレン/プロピレン/ジエ
ンモノマー共重合ゴム質重合体、シクロオレフィン系ゴ
ム質重合体などがあげらる。これらは二種以上併用して
もよい。これらのうち好ましいものは、ブタジエン系ゴ
ム質重合体、エチレン/プロピレン共重合ゴム質重合体
およびエチレン/プロピレン/ジエンモノマー共重合
ゴム質重合体である。ゴム質重合体(B)の分子量には
特に制限はないが、通常数平均分子量 1,000〜100,000
である。
【0008】本発明における(A)と(B)との重量比
(A)/(B)は、通常10〜50/90〜50、好ましくは20
〜40/80〜60である。(A)が10未満では樹脂の成形性
が悪くなり、50を超えると本発明の主目的であるマスタ
ーバッチとしての性能が低下する。
【0009】(C)は、ポリオキシアルキレン化合物と
(メタ)アクリル酸とのエステル化反応、あるいは(メ
タ)アクリル酸とアルキレンオキサイドとの重付加反応
によって得ることができる。
【0010】ポリオキシアルキレン化合物としては、エ
チレンオキサイド、プロピレンオキサイドおよびブテン
オキサイドの単独重合体、混合割合を任意に選ぶことが
できるブロック共重合体およびランダム共重合体などの
両末端に水酸基を有する化合物、または、アルコール類
(メタノール、エタノール、ブタノール、オクタノー
ル、ラウリルアルコール、2−エチルヘキシルアルコー
ル等)、フェノール類(フェノール、アルキルフェノー
ル、ナフトール、フェニルフェノール、ベンジルフェノ
ール等)等、1価の活性水素を有する化合物にアルキレ
ンオキサイドが付加し、基本的に片末端に水酸基を有す
るポリオキシアルキレン化合物があげられる。これらの
うち特に好ましいものは、アルコール類またはフェノー
ル類にエチレンオキサイドが付加した化合物である。
【0011】(C)の分子量は、通常500〜6,000、好ま
しくは800〜5,000である。500未満では、帯電防止性の
効果は小さく、6,000を超えるとグラフト化率が低下す
るため、実質的な永久帯電防止性が低下する。
【0012】(C)の使用量は、前記(A)および
(B)の合計重量に対して通常1〜30重量%、好ましく
は3〜20重量%である。(C)が1重量%未満では帯電防
止効果が乏しく、30重量%を超えると樹脂物性が低下す
る。
【0013】(A)、(B)および(C)からなる配合
成分を溶融混練し、ラジカル反応させる際、(C)と共
重合可能なスルホン酸塩含有モノマー(D)が併用され
る。
【0014】(D)としては、芳香族炭化水素ビニルス
ルホン酸塩、スルホン酸塩含有(メタ)アクリルアミ
ド、スルホン酸塩含有(メタ)アクリレート、脂肪族炭
化水素ビニルスルホン酸塩があげられる。
【0015】(D)の具体例としては、p−およびo−
スチレンスルホン酸塩、スチレンジスルホン酸塩、α−
メチルスチレンスルホン酸塩、ビニルフェニルメタンス
ルホン酸塩などの芳香族炭化水素ビニルスルホン酸塩;
2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスル
ホン酸塩、3−(メタ)アクリルアミドプロパン−1−
スルホン酸塩、2−(メタ)アクリルアミドエチル−1
−スルホン酸塩、3−(メタ)アクリルアミド−2−ヒ
ドロキシプロパンスルホン酸塩、p−(メタ)アクリル
アミドメチルベンゼンスルホン酸塩などのスルホン酸塩
含有(メタ)アクリルアミド;3−(メタ)アクリロイ
ロキシプロパン−1−スルホン酸塩、4−(メタ)アク
リロイロキシブタン−1−スルホン酸塩、4−(メタ)
アクリロイロキシブタン−2−スルホン酸塩、2−(メ
タ)アクリロイロキシエチル−1−スルホン酸塩、3−
(メタ)アクリロイロキシ−2−ヒドロキシプロパンス
ルホン酸塩などのスルホン酸塩含有(メタ)アクリレー
ト;ビニルスルホン酸塩、(メタ)アリルスリホン酸塩
などの脂肪族炭化水素ビニルスルホン酸塩があげられ
る。これらのうち好ましいものは、芳香族炭化水素ビニ
ルスルホン酸塩、スルホン酸塩含有(メタ)アクリルア
ミドおよび脂肪族炭化水素ビニルスルホン酸塩であり、
特に好ましいものは、p−およびo−スチレンスルホン
酸塩、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパ
ンスルホン酸塩および(メタ)アリルスリホン酸塩であ
る。
【0016】また(D)のスルホン酸塩を構成する陽イ
オン成分としては、ナトリウム、カリウム、リチウムな
どのアルカリ金属、カルシウム、マグネシウムなどのア
ルカリ土類金属、アンモニア、エタノールアミン、ジエ
チルエタノールアミン、モノメチルアミン、トリメチル
アミンなどのアミン類があげられる。これらのうち好ま
しいものはナトリウム、カリウムおよびアンモニアであ
る。上記に例示したスルホン酸塩含有モノマー(D)お
よび陽イオン成分は2種以上混合して用いてもよい。
【0017】(D)の使用量は、前記(A)および
(B)の合計重量に対して通常0.5〜15重量%好ま
しくは1〜10重量%である。0.5重量%未満では帯
電防止効果が乏しく、15重量%を超えると、(A)お
よび(B)の量が相対的に減少するため、ポリエチレン
またはポリプロピレンの優れた諸物性(加工性、耐薬品
性等)およびゴム成分を含有させることによる機械的特
性(耐衝撃性等)を付与する効果が低下する。
【0018】また該配合成分を、溶融混練し、ラジカル
反応させる際には、ラジカル開始剤(E)を用いるのが
好ましい。該(E)としては、ベンゾイルパーオキサイ
ド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオ
キサイドなどの有機パーオキサイド類、2,2′−アゾビ
ス(イソブチロニトリル)、2,2′−アゾビス(2,4−ジ
メチルバレロニトリル)及び4,4′−アゾビス(4−シア
ノバレリン酸)などのアゾニトリル類などがあげられ
る。これらは二種以上併用してもよい。使用量は、
(C)と(D)の合計重量に対して、通常1〜30重量
%、好ましくは1〜15重量%である。
【0019】また該ラジカル反応には、必要に応じ分子
量調整剤として公知の連鎖移動剤を用いることができ
る。連鎖移動剤としては、n−ブチルメルカプタン、ter
t−ブチルメルカプタン、オクチルメルカプタン、n−ド
デシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン等の
脂肪族メルカプタン、フェニルエーテル、フェニルエチ
ルエーテル、イソプロピルフェニルエーテル、ジベンジ
ルエーテルなどのエーテル類および、クメン、アルコー
ル、フェノール類、ハロゲン化炭化水素等などがあげら
れ、使用量は、(C)と(D)の合計重量に対して、通
常15重量%以下である。
【0020】該ラジカル反応温度は通常150〜300℃、好
ましくは160〜280℃、反応時間は通常2〜30分、好まし
くは3〜15分である。反応後、通常、温度を保持した状
態で未反応の揮発分などを脱気処理して除去し、本発明
の帯電防止性樹脂組成物を得る。脱気処理の減圧度は通
常0.1〜20mmHgである。
【0021】反応機には特に制限はないが、通常、公知
の各種混合機を用いて実施できる。混合機としては例え
ば押し出し機、ブラベンダー、ニーダーおよびバンバリ
ーミキサーなどがあげられる。
【0022】本発明において、該配合成分中に更に変性
ポリオレフィン系分散剤(F)を含有させてもよい。
(F)のうち特に好ましいものとして、下記(F1)〜
(F3)をあげることができる。 (F1);数平均分子量800〜25,000であり、酸価5〜150
の酸変性低分子量ポリオレフィン (F2);数平均分子量800〜25,000であり、水酸基価5
〜150の水酸基変性低分子量ポリオレフィン。 (F3);(F1)の(無水)カルボン酸単位の一部また
は全部がポリオキシアルキレン化合物でエステル化され
ている数平均分子量1,000〜28,000のポリオキシアルキ
レン変性低分子量ポリオレフィン。
【0023】該(F1)は、重合法または高分子量ポリ
オレフィンの熱減成法によって得られる数平均分子量70
0〜20,000の低分子量ポリオレフィンにα,β−不飽和
カルボン酸および/またはその無水物を必要により有機
パーオキサイドの存在下、溶液法または溶融法のいずれ
かの方法で反応させて変性することによって得ることが
できる。変性のしやすさから、熱減成法によって得られ
る低分子量ポリオレフィンが好ましい。熱減成法による
低分子量ポリオレフィンは、例えば特開平3-62804号公
報記載の方法に準じて得ることができる。
【0024】また、変性に使用するα,β−不飽和カル
ボン酸および/またはその無水物としては、(メタ)ア
クリル酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、(無水)イ
タコン酸および無水シトラコン酸があげられる。これら
のうち好ましいものは(無水)マレイン酸である。変性
度は、低分子量ポリオレフィンの重量に基づき通常1〜2
5重量%、好ましくは3〜20重量%である。上記の方法に
よって得られる(F1)の数平均分子量は、800〜25,00
0、好ましくは1,000〜20,000である。800未満または25,
000を超えると分散剤としての効果が低下する。また
(F1)の酸価は、5〜150、好ましくは10〜100である。
5未満では分散剤としての効果が乏しく、150を超えると
色相が悪化するため、樹脂組成物の着色の原因となる。
【0025】また該(F2)は、上記(F1)を、アルカ
ノールアミンで2次変性することによって得ることがで
きる。アルカノールアミンとしては、例えばモノエタノ
ールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジエタノー
ルアミンおよびジイソプロパノールアミンがあげられ
る。これらのうち特に好ましいものは、モノエタノール
アミンである。(F2)の水酸基価は、5〜150、好まし
くは10〜100である。5未満では水酸基を導入した効果が
小さく、150を超えると色相が悪化するため、樹脂組成
物の着色の原因となる。
【0026】さらに該(F3)は、前記(F1)の(無
水)カルボン酸単位の一部または全部をポリオキシアル
キレン化合物でエステル化することによって得ることが
できる。エステル化に用いるポリオキシアルキレン化合
物としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレン
グリコールのような両末端に水酸基を有する化合物、上
記水酸基をアミノ基またはエポキシ基に置き換えた化合
物があげられる。更に、アルコール類(メタノール、エ
タノール、ブタノール、オクタノール、ラウリルアルコ
ール、2−エチルヘキシルアルコール等)、フェノール
類(フェノール、アルキルフェノール、ナフトール、フ
ェニルフェノール、ベンジルフェノール等)等の活性水
素を有する化合物にアルキレンオキサイドが付加し、基
本的に片末端に水酸基を有するポリアルキレン化合物が
あげられる。エステル化率についてはとくに限定はない
が、(F1)の(無水)カルボン酸単位の10〜100モル%
がエステル化されていることが好ましい。(F3)の数
平均分子量は、1,000〜28,000、好ましくは1,200〜25,0
00である。1,000未満または28,000を超えると分散剤と
しての効果が低下する。
【0027】上記で例示した以外の変性ポリオレフィン
としては、オレフィンとα,β−不飽和モノマーとの共
重合体、例えばエチレン/(メタ)アクリル酸共重合
体、エチレン/フマル酸共重合体、エチレン/アクリル
酸エチル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エ
チレン/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/
酢酸ビニル/メタクリル酸グリシジル共重合体などがあ
げられる。これらは二種以上併用してもよい。
【0028】上記(F)の使用量は、(A)、(B)、
(C)および(D)の合計重量に対して0.5〜15重
量%であり、かつ、(A)、(B)および(C)の合計
重量に対して、通常0.5〜30重量%、好ましくは1
〜20重量%である。0.5重量%未満では分散剤とし
ての効果が小さく、30重量%を超えると組成物の樹脂
物性が低下する。
【0029】また、該配合成分中に、帯電防止効果を更
に向上させる目的で、アルカリ金属および/またはアル
カリ土類金属のハロゲン化物からなる金属塩(G)を含
有させてもよい。(G)としては、塩化リチウム、塩化
ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カ
ルシウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化マグネ
シウムなどをあげることができる。これらのうち特に好
ましいものは、塩化ナトリウムおよび塩化カリウムであ
る。(G)の使用量は、(A)、(B)、(C)および
(D)の合計重量に対して通常0.01〜5重量%、好まし
くは0.05〜3重量%である。0.01重量%未満では効果が
発現せず、5重量%を超えると樹脂表面に析出し樹脂の
外観を損ねる。
【0030】本発明の帯電防止性樹脂組成物は、そのま
ま成形加工用材料として使用することが出来るが、他の
樹脂と混合された状態(マスターバッチまたはマスター
ペレット)で使用する材料として特に適している。他の
樹脂としてはポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオ
レフィン系樹脂があげられる。
【0031】また本発明の帯電防止性樹脂組成物には種
々の用途に応じ、該組成物の特性を阻害しない範囲で他
の樹脂用添加剤を任意に添加することができる。該添加
剤としては、顔料、染料、充填剤、核剤、ガラス繊維、
滑剤、可塑剤、離型剤、酸化防止剤、難燃剤、紫外線吸
収剤等があげられる。
【0032】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに説明する
が、本発明はこれに限定されるものではない。実施例中
の部は重量部を示す。なお実施例中の表面固有抵抗の測
定は、加圧プレスで成形した厚さ2mmの角試験片を用
い、超絶縁計(アト゛ハ゛ンテスト製)により20℃、湿度65%RH
雰囲気下で測定した。
【0033】[ポリオキシアルキレン化合物の(メタ)
アクリル酸エステルの製造] 製造例1 窒素導入管、温度計、温度コントローラー、コンデンサ
ー、および攪拌棒をそなえた3Lの4ツ口コルベンに、ラ
ウリルアルコールのエチレンオキサイド40モル付加物96
5g、トルエン600g、アクリル酸54g、硫酸10gおよび重合
禁止剤としてピロガロール8gを窒素雰囲気下で仕込ん
だ。以降反応終了時までコルベン内に窒素は通気し続け
た。マントルヒーターにて加熱、昇温し攪拌しながら11
5℃まで昇温後、この温度を維持した状態で、8時間エス
テル化反応を行った。エステル化反応で副生する水はト
ルエンと共沸させながら留去した。次に温度を40℃まで
冷却した後、20%水酸化ナトリウム水溶液100gを投入
し、高速にて5分間攪拌した。その後攪拌を停止し、静
置して3層に分離後下層および中間層を取り除いた。コ
ルベン内に残った上層部の反応溶液にトルエン300gを加
え十分混合を行った後、該溶液を濾過助剤を使用して吸
引濾過し、副生塩を取り除いた。引き続き濾過溶液を上
記と同様のコルベン内に移し、トルエンを減圧下、温度
110〜115℃で留去した。得られた化合物は常温で白色固
状であり、酸価および水酸基価はそれぞれ0.5以下であ
った。NMRによる分析から、この化合物は目的とした
CH2=CH−COO(CH2CH2O)40−C1225
あることを確認した。この化合物を以下(C−1)と略
記する。
【0034】製造例2 ラウリルアルコールにエチレンオキサイド15モル付加さ
せた化合物415gを使用する以外は製造例1と同仕込みで
同様の操作を行った。得られた化合物は常温で白色固状
であり、酸価および水酸基価はそれぞれ0.5以下であっ
た。NMRによる分析から、この化合物は目的としたC
2=CH−COO(CH2CH2O)15−C1225であ
ることを確認した。この化合物を以下(C−2)と略記
する。
【0035】[変性ポリオレフィン系分散剤の製造] 製造例3 熱減成して得られた数平均分子量12,000、密度0.89の低
分子量ポリプロピレン95部と無水マレイン酸5部を窒素
下180℃で溶融し、ついでこれにジクミルパーオキサイ
ド1.5部を溶かしたキシレン50%溶液を15分かけて滴下
し、その後1時間反応を行った後、溶剤を留去して酸変
性低分子量ポリプロピレンを得た。このものの酸価は2
5.7、数平均分子量は15,000であった。この変性物を以
下(F−1)と略記する。
【0036】製造例4 製造例3で得られた酸変性低分子量ポリプロピレン95部
をキシレン100部に窒素下120℃で溶解し、ついでこれに
モノエタノールアミン5部を15分かけて滴下し、その後
1時間反応を行った後、溶剤および未反応のモノエタノ
ールアミンを留去して水酸基を有する変性低分子量ポリ
プロピレンを得た。このものの水酸基価は25.2であり、
数平均分子量は16,000であった。この変性物を以下(F
−2)と略記する。
【0037】製造例5 製造例3で得られた酸変性低分子量ポリプロピレン95部
とラウリルアルコールのエチレンオキサイド24モル付加
物50部を窒素下180℃で溶融し、ついで10mmHgの減圧下5
時間エステル化反応を行って、目的としたポリオキシア
ルキレン変性低分子量ポリプロピレンを得た。このもの
の水酸基価は0.5であり、数平均分子量は18,000であっ
た。またNMRによる分析から、エステル化反応が定量
的に行えていることを確認した。この変性物を以下(F
−3)と略記する。
【0038】製造例6 熱減成して得られた数平均分子量5,000、密度0.92の低
分子量ポリエチレン95部と無水マレイン酸5部をキシレ
ン100部に窒素下140℃で溶解し、ついでこれにジクミル
パーオキサイド1.5部を溶かしたキシレン50%溶液を15
分かけて滴下し、その後1時間反応を行った後、溶剤を
留去して酸変性低分子量ポリエチレンを得た。このもの
の酸価は27.4、数平均分子量は7,000であった。この変
性物を以下(F−4)と略記する。
【0039】 実施例1〜5、参考例1〜2、比較例1〜3 表1に示すポリプロピレンまたはポリエチレン(A)、
0℃以下のガラス転移温度を有するゴム質重合体
(B)、ポリオキシアルキレン含有化合物(C)、スル
ホン酸塩含有モノマー(D)、ラジカル開始剤(E)、
分散剤(F)および金属塩(G)を表1に示す割合で所
定量配合して、ヘンシェルミキサーにて3分間ブレンド
した後、得られた配合成分をベント付き2軸押出機に
て、200℃、30rpm、滞留時間5分の条件で溶融
混練し、帯電防止性樹脂組成物を作成した。次いで、上
記の樹脂組成物の帯電防止性の評価は、 (1)そのまま成形物にして評価。 (2)他樹脂(表3に記載)に上記樹脂組成物を30重
量%添加し混練したもの(2軸押出機を用い、樹脂温度
200℃にて溶融混練したもの)を成形物にして評価。
の二通りで行った。なお成形物の作成は、加圧成形機を
用い、温度170℃、100Kg/cmの加圧下にて
熱プレスを1分間行い、その後温度40℃、100Kg
/cmの冷却プレスで冷却して厚さ2mmの角試験片
を作成することによって行い、帯電防止性の評価は、角
試験片を下記に示す処理およびコンデイショニングを行
い表面固有抵抗を測定することによって行った。(測定
結果を表3に示す)。 (a)成形後、角試験片をそのまま20℃、湿度65%
RH雰囲気下に24時間放置。 (b)成形後、角試験片を洗剤(ママレモン;ライオン
(株)製)水溶液で洗浄処理し、次いでイオン交換水で
充分洗ったのち、表面の水分を乾燥除去してから20
℃、湿度65%RH雰囲気下に24時間放置。
【0040】
【表1】
【0041】*1:ジクミルパーオキサイドを使用。 *2:ポリプロピレン(商品名「ウベポリプロ J60
9」、プロピレン/エチレン(94/6)ブロック共重
合体、MFR=9(230℃,2.16kgf)、宇部
興産(株)製)。 *3:エチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン
共重合体(商品名「JSR EP43」、プロピレン含
量43%、ヨウ素価=6.3、ムーニー粘度=48(1
00℃,ML1+4)、日本合成ゴム(株)製)。 *4:製造例1で得た(C−1)。 *5:製造例2で得た(C−2)。 *6:スチレンスルホン酸ナトリウムモノマーを使用。 *7:下記構造を有するアリル型のスルホン酸塩含有モ
ノマーを使用。 *8:製造例3で得た(F−1)。 *9:製造例4で得た(F−2)。 *10:製造例5で得た(F−3)。 *11:アルカリ金属塩として塩化カリウムを使用。 *12:市販の練り込み型ポリオレフィン用帯電防止剤
である、N,N−ジヒドロキシエチル−カルボキシメチ
ル−ラウリルベタインを使用。
【0042】 実施例6〜10、参考例3〜4、比較例4〜6 表2に示すポリプロピレンまたはポリエチレン(A)、
0℃以下のガラス転移温度を有するゴム質重合体
(B)、ポリオキシアルキレン含有化合物(C)、スル
ホン酸塩含有モノマー(D)、ラジカル開始剤(E)、
分散剤(F)および金属塩(G)を表2に示す割合で所
定量配合して、ヘンシェルミキサーにて3分間ブレンド
した後、得られた配合成分をベント付き2軸押出機に
て、200℃、30rpm、滞留時間5分の条件で溶融
混練し、帯電防止性樹脂組成物を作成した。次いで、上
記の樹脂組成物の帯電防止性の評価を、実施例1〜5、
比較例1〜3と同一の方法によって行った。結果を表3
に示す。
【0043】
【表2】
【0044】 *1:ジクミルパーオキサイドを使用。 *2:ポリプロピレン[商品名「ウベポリプロ J38
5」、プロピレン/エチレン(98/2)共重合体、M
FR=9(230℃,2.16kgf)、宇部興産
(株)製]。 *3:低密度ポリエチレン[商品名「ウベポリエチレン
J1019」、密度=0.919、MFR=10(1
90℃,2.16kgf)、宇部興産(株)製]。 *4:エチレン/プロピレン共重合体[商品名「JSR
EP11」、プロピレン含量49%、ムーニー粘度=
40(100℃,ML1+4)、日本合成ゴム(株)
製]。 *5:製造例1で得た(C−1)。 *6:製造例2で得た(C−2)。 *7:前記表1の*7と同じスルホン酸塩含有モノマ
ー。 *8:下記構造を有するアクリルアミド型のスルホン酸
塩含有モノマーを使用。 CH=CH−CONH−C(CH−CH−SONa *9:製造例5で得た(F−3)。 *10:製造例3で得た(F−1)。 *11:製造例6で得た(F−4)。 *12:アルカリ金属塩として塩化ナトリウムを使用。 *13:前記表1の*12と同じ、N,N−ジヒドロキ
シエチル−カルボキシメチル−ラウリルベタインを使
用。
【0045】
【表3】
【0046】*1:ポリプロピレン(商品名 ウベポリ
プロJ109、宇部興産(株)製)。 *2:低密度ポリエチレン(商品名 ウベポリエチレン
J1019、宇部興産(株)製)。
【0047】
【発明の効果】本発明の方法によって、優れた永久帯電
防止性を有し、かつ帯電防止基が化学的に樹脂骨格に結
合されているため、従来の練り込み型帯電防止剤のよう
に樹脂表面にべとつきを生じたり、樹脂物性を低下させ
ることの少ない帯電防止性樹脂組成物を容易に得ること
が可能である。更に、ゴム成分を含有させることによっ
て、ポリエチレンまたはポリプロピレンの優れた諸物性
(加工性、耐薬品性等)に加え、機械的特性(耐衝撃性
等)を付与することが可能である。上記効果を有するこ
とから、本発明の方法によって得られる帯電防止性樹脂
組成物は、家電・OA機器用のハウジング製品、各種プ
ラスチック容器および自動車部品等の各種帯電防止性を
必要とする成形材料として好適に使用することができ
る。

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記(A)、(B)、(C)および
    (D)からなり、重量基準で(A)/(B)が(10〜
    50)/(90〜50)であり、(C)/[(A)+
    (B)]が(1〜30)/100、かつ(D)/
    [(A)+(B)]が(0.5〜15)/100である
    配合成分を溶融混練し、ラジカル反応させて得られる帯
    電防止性樹脂組成物。 (A):ポリエチレンまたはポリプロピレン。 (B):0℃以下のガラス転移温度を有するゴム質重合
    体。 (C):ポリオキシアルキレン化合物の(メタ)アクリ
    ル酸エステル。 (D):(C)と共重合可能なスルホン酸塩含有モノマ
    ー。
  2. 【請求項2】 (C)が、アルコールのエチレンオキサ
    イド付加物のモノエステル(C)である請求項1記載
    の樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 (C)の数平均分子量が、500〜
    6,000である請求項1または2記載の樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 (D)が、芳香族炭化水素ビニルスルホ
    ン酸塩、スルホン酸塩含有(メタ)アクリルアミドおよ
    び脂肪族炭化水素ビニルスルホン酸塩から選ばれる少な
    くとも1種である請求項1〜3のいずれか記載の樹脂組
    成物。
  5. 【請求項5】 (B)が、ブタジエン系ゴム質重合体、
    エチレン/プロピレン共重合ゴム質重合体およびエチレ
    ン/プロピレン/ジエンモノマー共重合ゴム質重合体か
    ら選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4のいずれ
    か記載の樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 該配合成分をラジカル反応させるに際
    し、ラジカル反応開始剤(E)を、(C)および(D)
    の合計重量に対して0.5〜30重量%使用する請求項
    1〜5のいずれか記載の樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 該配合成分中に、更に変性ポリオレフィ
    ン系分散剤(F)を(A)、(B)、(C)および
    (D)の合計重量に対して0.5〜15重量%含有する
    請求項1〜6のいずれか記載の樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 該分散剤(F)が、下記(F)〜(F
    )の中から選ばれる少なくとも一種である請求項1〜
    7のいずれか記載の樹脂組成物。 (F);数平均分子量800〜25,000であり、
    酸価5〜150の酸変性低分子量ポリオレフイン。 (F);数平均分子量800〜25,000であり、
    水酸基価5〜150の水酸基変性低分子量ポリオレフィ
    ン。 (F);(F)の(無水)カルボン酸単位の一部ま
    たは全部がポリオキシアルキレン化合物でエステル化さ
    れている数平均分子量1,000〜28,000のポリ
    オキシアルキレン変性低分子量ポリオレフィン。
  9. 【請求項9】 アルカリ金属および/またはアルカリ土
    類金属のハロゲン化物からなる金属塩(G)を、
    (A)、(B)、(C)および(D)の合計重量に対し
    て0.01〜5重量%含有する請求項1〜8のいずれか
    記載の樹脂組成物。
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