JP2005060658A - 帯電防止性を有するアクリル系樹脂組成物 - Google Patents

帯電防止性を有するアクリル系樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】 高い透明性と優れた帯電防止性能を有し、家電製品の外装部分、例えば掃除機の外装部品、洗濯機の蓋等に好適なアクリル系樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 アクリル系樹脂100質量部に対して、アクリル系樹脂との屈折率差が0.01以下であるポリオレフィンと親水性ポリマーとのブロックポリマー3〜25質量部と、下記式(I)で表されるトリフルオロメタンスルホン酸リチウム0.05〜3質量部とを含有するアクリル系樹脂組成物;さらに、耐衝撃性改質剤を含有することが好ましい。
CFSOLi (I)
【選択図】 無し

Description

本発明は、帯電防止性と透明性とを有するアクリル系樹脂組成物に関する。
近年、樹脂に帯電防止性を付与する要望が増え、特に透明性に優れた帯電防止材料の要望が数多くある。帯電防止性を有する樹脂は、透明ABS材料として市販されており、市場での実績もあるが、透明性については必ずしも優れていない。最近では、家電用品の外装部分、例えば家庭用掃除機の外装部分、家庭用洗濯機の蓋部分等に使用されることが多く、意匠性の追求とともに透明外装部分の面積が増えて、その使用量も増える傾向にある。同時に、より透明性に優れた帯電防止材料の要求が高まっている。
もともとの光学特性が優れるアクリル樹脂に帯電防止性を付与する手段として、界面活性剤等を樹脂成形品の表面に塗布する方法(例えば、特許文献1参照)、界面活性剤を樹脂中に練り込む方法(例えば、特許文献2参照)、帯電防止性能を有する高分子材料を練りこむ方法(例えば、特許文献3参照)、これら界面活性剤と高分子材料を併用する方法(例えば、特許文献4参照)等が開示されている。また、近年になり、リチウム化合物を樹脂に添加した組成物も提案されている(例えば、特許文献5、特許文献6参照)。
特開昭61−266440号公報 特開平8−269290号公報 特開平8−120147号公報 特開平10−17705号公報 特開平6−200171号公報 特開2002−309097号公報
しかしながら、特許文献1で開示される方法は、帯電防止性能に湿度依存性があったり、長期間経過すると塗布層が剥離する等の欠点があったり、実用性には供し難い部分があった。
一方、特許文献2には、長鎖アルキルスルホン酸ナトリウム塩、長鎖アルキルスルホン酸リチウム塩等を練り込んだ樹脂組成物等が開示されているが、成形後の樹脂表面中に長鎖アルキルスルホン酸塩を配向させることが難しく、帯電防止性能の良し悪しが、成形条件にかなり左右される。また成形品表面を拭き取ると、表面の長鎖アルキルスルホン酸塩が除去されて帯電防止性能が消失してしまう欠点がある。
特許文献3には、帯電防止性能を有する高分子材料として、ポリエーテルエステルアミド化合物を練りこむ方法が開示されているが、帯電防止性能が劣るものであった。
特許文献4には、上記特許文献2及び3の欠点を補うべく開発された方法が開示されているが、上記問題の根本的解決には至ってなかった。
特許文献5においては、アクリル樹脂としての透明性に言及されていない。
特許文献6においては透明性について言及されているが、アクリル樹脂としての高度な透明性は達成されていない。
本発明は、上記の従来の問題点を考慮してなされたものであって、高い透明性と優れた帯電防止性を有するアクリル系樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために種々検討を重ねた結果、アクリル系樹脂にアクリル系樹脂との屈折率差が0.01以下であるポリオレフィンと親水性ポリマーとのブロックポリマーと特定構造のリチウム化合物を含有させたアクリル系樹脂組成物が、高い透明性と優れた帯電防止性能とを有することを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明の要旨は、アクリル系樹脂100質量部に対して、アクリル系樹脂との屈折率差が0.01以下であるポリオレフィンと親水性ポリマーとのブロックポリマー3〜25質量部と、下式(I)で表されるトリフルオロメタンスルホン酸リチウム0.05〜3質量部とを含有するアクリル系樹脂組成物にある。
CFSOLi (I)
また、本発明の要旨は、さらに、耐衝撃性改質剤を含有する前述のアクリル系樹脂組成物にある。
本発明によれば、優れた帯電防止性と透明性とを有するアクリル系樹脂組成物が得られる。
以下、本発明を詳細に説明する。
(アクリル系樹脂)
本発明の樹脂組成物を構成するアクリル系樹脂とは、メタクリル酸メチル(以後、「MMA」と称する)を50質量%以上含む単量体を重合して得られた重合体である。具体的には、MMAの単独重合体であるポリメタクリル酸メチルや、MMA50質量%以上とMMAと共重合可能な他の不飽和単量体50質量%以下との混合物を重合して得られる共重合体が挙げられる。
ここで、MMAと共重合可能な他の不飽和単量体として、例えば、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェニル等のMMA以外のメタクリル酸エステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸、アクリル酸のような不飽和カルボン酸;スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、無水マレイン酸、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。必要に応じてこれらは2種以上を用いることもできる。また、上記共重合体は、無水グルタル酸単位やグルタルイミド単位を有していてもよい。
上記MMAと共重合可能な他の不飽和単量体としては、アクリル酸メチルのようなアクリル酸アルキルエステルが好ましい。アクリル酸アルキルエステルをMMAと適量共重合することで、成形時の流動性および耐熱分解性等が向上して成形加工性が良好となる。一方、共重合量が増え過ぎると耐熱性の低下、光線透過率の悪化等を招く。不飽和単量体としてアクリル酸アルキルエステルを含む場合、上記共重合体における単量体組成として、MMA単位とアクリル酸アルキルエステル単位との合計に対し、アクリル酸アルキルエステル単位が30質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが更に好ましい。
また、低吸水性の観点から、MMAと共重合可能な他の不飽和単量体としてスチレンを用いることが好ましい。一方、スチレンの共重合量が多くなり過ぎると光線透過率の悪化、耐光性の悪化等を招く。不飽和単量体としてスチレンを用いる場合、MMA単位とスチレン単位との合計に対して、スチレン単位が50質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、15質量%以下であることが更に好ましい。
また、MMAと共重合可能な他の不飽和単量体として、アリルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート等の多官能メタクリレートや多官能アクリレート等を含んでもよい。しかしながら、樹脂組成物を成形する際には、前述の多官能メタクリレートや多官能アクリレートの共重合量が多すぎると成形時の溶融樹脂の流動性が悪くなる。従って、その共重合量はMMA単位と多官能単量体単位との合計に対して、5質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましい。ただし、アクリル系樹脂を、キャスト重合等によって板状で得る際は、この限りではない。
本発明の樹脂組成物を構成するアクリル系樹脂の製造方法に特に制限はなく、公知の重合方法である溶液重合、懸濁重合、乳化重合、塊状重合、キャスト重合等の各重合方法が採用できる。その際の、重合開始剤としては公知のアゾ系化合物、過酸化物が、分子量調節剤等としては各種メルカプタン化合物、テルペノイド系化合物等を適宜使用できる。
(ポリオレフィンと親水性ポリマーとのブロックポリマー)
本発明の樹脂組成物を構成するポリオレフィンと親水性ポリマーとのブロックポリマー(以下、適宜「ブロックポリマー」という)は、アクリル系樹脂に帯電防止性を付与するための主成分として使用される。
本発明で用いるブロックポリマーとは、官能基を有するポリオレフィンと、その官能基と反応可能な官能基を有する親水性ポリマーとの反応物であって、ポリオレフィンからなるブロックと親水性ポリマーからなるブロックとが、エステル結合、アミド結合、エーテル結合、ウレタン結合、イミド結合等を介して繰り返し交互に結合した構造を有する。
ブロックポリマーを構成するポリオレフィンとしては、ポリマーの両末端にカルボキシル基、水酸基、アミノ基等の官能基を有するポリオレフィンが挙げられる。変性のしやすさからカルボキシル基を有するポリオレフィンが好ましい。ポリオレフィンとしては、ポリプロピレン、ポリエチレンが好ましい。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による数平均分子量(Mn)は800〜20,000の範囲内であることが好ましい。官能基を有するポリオレフィンとしては、マレイン酸変性ポリプロピレンが好ましい。
一方、親水性ポリマーとしては、官能基として水酸基を有するポリオキシアルキレン等のポリエーテルジオール、両末端カルボキシル基のポリアミドとポリエーテルジオールとから構成されるポリエーテルエステルアミド、ポリアミドイミドとポリエーテルジオールとから構成されるポリエーテルアミドイミド、ポリエステルとポリエーテルジオールとから構成されるポリエーテルエステル、ポリアミドとポリエーテルジアミンとから構成されるポリエーテルアミド等が使用できる。これらの中で、水酸基を有するポリオキシアルキレンが好ましく、例として両末端水酸基のポリオキシエチレン(ポリエチレングリコール)、ポリオキシプロピレン(ポリプロピレングリコール)が挙げられる。親水性ポリマーのMnは150〜20,000の範囲内であることが好ましい。これら親水性ポリマーは、帯電防止性能の点から体積固有抵抗値が10〜1011Ω・cmの範囲内にあることが好ましい。
ブロックポリマーを構成する親水性ポリマーの量は、ポリオレフィンと親水性ポリマーとの合計質量に対して20〜90質量%の範囲内であることが好ましい。また、ブロックポリマーのMnは2,000〜60,000の範囲内であることが好ましい。さらに、ブロックポリマーの構造は、ポリオレフィンからなるブロック(a)と、親水性ポリマーからなるブロック(b)とが、(a)−(b)型、又は(a)−(b)−(a)型に結合されており、その平均繰り返し数が2〜50であることが好ましい。
ブロックポリマーとしては、両末端カルボキシル基のマレイン酸変性ポリプロピレンと、両末端水酸基のポリオキシエチレン(ポリエチレングリコール)との反応物が好ましい。これはポリプロピレンからなるブロックと、ポリオキシエチレンからなるブロックとが、エステル結合を介して繰り返し交互に結合した構造を有するものである。
樹脂組成物の成形後の透明性をよくするために、アクリル系樹脂とブロックポリマーの屈折率差は0.01以下である必要があり、さらに0.005以下であることが好ましい。
本発明におけるブロックポリマーの添加量は、アクリル系樹脂100質量部(後記する耐衝撃性改質剤を含むときは耐衝撃性改質剤との合計を意味する)に対して3〜25質量部である。添加量の上限は、25質量部以下、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下である。25質量部を超えると帯電防止性能は優れるが、成形後の着色、吸水性の悪化、分散不良等による透明性の低下、耐衝撃強度の低下が強くなり、外観および成形性が悪化する。
本発明では、後述するリチウム化合物を併用することで、ブロックポリマーを減じても安定した帯電防止性能を得ることができる。帯電防止性能を得る点から添加量の下限は、アクリル系樹脂100質量部(後記する耐衝撃性改質剤を含むときは耐衝撃性改質剤との合計を意味する)に対して3質量部以上、好ましくは5質量部以上、さらに好ましくは10質量部以上である。3質量部未満では、十分な帯電防止性能が得られない。
アクリル系樹脂がMMAとアクリル酸メチルのようなアクリル酸アルキルエステルとの共重合体の場合、組成比にもよるがその屈折率はだいたい1.49前後となる。これに適したブロックポリマーとして、“ペレスタット300”(屈折率1.49、三洋化成工業社製、商品名)、“ペレスタット303”(屈折率1.49、三洋化成工業社製)が挙げられる。
(リチウム化合物)
本発明では、樹脂組成物に帯電防止成分としてブロックポリマーと共に、リチウム化合物である下記式(I)で表されるトリフルオロメタンスルホン酸リチウムを含有させる。
CFSOLi (I)
式(I)で表されるトリフルオロメタンスルホン酸リチウムを含有させることで、ブロックポリマーの添加量を減じながら帯電防止効果を維持することができる。リチウム化合物の添加量は多い方がブロックポリマーの添加量を減じながら帯電防止性能と透明性を両立しやすいが、費用対効果の点からリチウム化合物の添加量上限は、アクリル系樹脂100質量部(後記する耐衝撃性改質剤を含むときは耐衝撃性改質剤との合計を意味する)に対して3質量部以下、好ましくは2質量部以下、より好ましくは1質量部以下である。帯電防止効果を維持してブロックポリマーの減量を行う点から添加量の下限は、0.05質量部以上、好ましくは0.08質量部以上である。
このリチウム化合物は、セントラル硝子社(商品名“PFM−LI”)、森田化学等から市販されている。
トリフルオロメタンスルホン酸リチウムは各種エステル化合物、ポリオール等と一緒にアクリル系樹脂中に添加した際にイオン解離性が改善され、帯電防止効果が向上する。ブロックポリマーでも同様の効果が得られ、このリチウム化合物と併用することで帯電防止性能が向上し、ブロックポリマーの添加量を下げることができるため、ブロックポリマーのみの使用では十分な改善効果が得られなかった各種物性・透明性等が大きく改善される。なお、トリフルオロメタンスルホン酸リチウムを前述の各種エステル化合物、ポリオール等に予め分散させておいて添加しても同じ効果が得られる。トリフルオロメタンスルホン酸リチウムを前述の各種エステル化合物、ポリオール等に分散させた材料が、“サンコノール”(三光化学工業株式会社製、商品名)として市販されている。
(耐衝撃性改質剤)
ブロックポリマーをアクリル系樹脂に添加すると、樹脂組成物の成形時にブロックポリマーが層状に配向して、層状剥離が発生しやすくなる。したがって、射出成形時にゲート付近で剥離が生じることがあり、成形性が悪化し、耐衝撃性能も低下する。耐衝撃性改質剤を添加することで、これらの不具合が改善されるので、耐衝撃性改質剤を併用することが好ましい。
ここで使用しうる耐衝撃性改質剤とは、乳化重合等の公知の重合方法により得られた弾性重合体粒子のことであり、ブタジエン等を主成分とするジエン系グラフト共重合体や、アクリル酸エステル・メタクリル酸エステル類を主成分とするコアシェル型グラフト構造を有するゴム状重合体、肥大化粒子にグラフトしたゴム状重合体などが挙げられる。
例として、アクリル酸エステルを主成分とするゴム状の内層とメタクリル酸エステルを主成分とする硬質状の外層とを有する多層構造重合体で、ゴム層・外層の2層、ゴム層・ゴム層・外層の3層、硬質ゴム層・ゴム層・外層の3層のようなゴム層と外層からなる多層構造のゴム状重合体が挙げられる。また、ブタジエンやアクリル酸エステルを主成分とするゴムを凝集肥大化させて、この肥大化粒子にメタクリル酸エステルを主成分とする硬質状の外層をグラフトさせたゴム状重合体も挙げられる。
耐衝撃性改質剤の添加量の下限は、アクリル系樹脂と耐衝撃性改質剤との合計に対し、3質量%以上、好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上である。添加量が少なすぎると耐衝撃性能の改善効果が乏しい。添加量の上限は特にないが、射出成形を行う際は80質量%以下、好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下である。添加量が多すぎると材料が柔らかくなり過ぎて射出成形に支障が出てくる。ただし、カレンダー加工あるいはTダイ等を使用して薄膜シート・フィルム等に加工する際はこの限りではない。
また、耐衝撃性改質剤を添加することによって、ブロックポリマーのアクリル系樹脂中への分散性が向上するため、帯電防止性能の向上効果も得られる。
本発明で使用する耐衝撃性改質剤として、前述の共重合体を使用する際に、耐衝撃性改質剤の物性を維持する範囲内で共重合するモノマー種の選択・組成比を調整して屈折率をアクリル系樹脂と同一の屈折率にすることで、本発明のアクリル系樹脂組成物の透明性がさらに向上する。
本発明のアクリル系樹脂組成物には、必要に応じて、種々の公知の添加剤を含有させることができる。添加剤としては、有機系架橋微粒子(例えば、シロキサン系架橋樹脂粒子、スチレン系架橋樹脂粒子、アクリル系架橋樹脂粒子等)や無機系微粒子(例えば、ガラス粒子、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等)のような光拡散剤や艶消剤;ヒンダードアミン、ヒンダードフェノール類のような酸化防止剤;ベンゾトリアゾール類、ベンゾフェノン類、トリアジン類、マロン酸エステル、シアノアクリレートのような紫外線吸収剤;燐酸エステルのような難燃剤;パルミチン酸、ステアリルアルコールのような滑剤;有機系および無機系の抗菌剤等が挙げられる。なお、これらは必要に応じて2種以上を併用することもできる。
本発明のアクリル系樹脂組成物を製造する方法としては、公知の方法が適用できる。例えば、予め重合して得たビーズ状、ペレット形状あるいは粉砕されたアクリル系樹脂にブロックポリマー、リチウム化合物、耐衝撃性改質剤、その他必要に応じた添加剤等をヘンシェルミキサー等でブレンドして、一軸または二軸の押出機や各種ニーダー等を用いて溶融混練してペレット化する方法が挙げられる。その際に、使用する押出し機等は水分・空気等を脱揮するためにベントを有している方が好ましい。さらに、ホッパー側から窒素ガスを適当量フローすることによって、使用する材料が押出し時の高温で熱劣化することが抑えられ、帯電防止性能の向上、成形品の着色低減といった効果が得られる。
本発明のアクリル系樹脂組成物は、押出成形、射出成形、プレス成形、カレンダー成形等の公知の成形方法により、板状、薄膜状、楔形状等、必要に応じて任意の形状に成形して使用することができる。本発明のアクリル系樹脂組成物の成形品は透明性と帯電防止性とに優れ、家電製品の外装部分、例えば掃除機の外装部品、洗濯機の蓋等に好適に使用できる。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
まず、本実施例で使用するアクリル系樹脂や耐衝撃性改質剤の製造について説明する。なお、使用するモノマー等の化合物については下記の略号を用いる。
MMA メタクリル酸メチル
KMA メタクリル酸カリウム
SEMS メタクリル酸2−スルホエチルナトリウム
AMA メタクリル酸アリル
BDMA 1,3−ブタンジオールジメタクリレート
MA アクリル酸メチル
BA アクリル酸ブチル
ST スチレン
BD 1,3−ブタジエン
TBH t−ブチルパーオキサイド
CHP クメンハイドロパーオキサイド
DIPB ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド
AIBN 2,2’−アゾビスイソブチロニトリル
NOM n−オクチルメルカプタン
NDM n−ドデシルメルカプタン
SFS ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート
EDTA エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム
RS ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルナトリウム塩の水溶液(フォスファノールRS−610NA(東邦化学工業社製、商品名)
TK 硬化牛脂肪酸カリウム(商品名“ノンサールTK−1”、日本油脂株式会社製)
LN n−ラウロイルサルコシネートナトリウム(商品名“ザルコシネートLN”、日光ケミカルス株式会社製)
DOSN ジオクチルスルホコハク酸ソーダ
STOH ステアリルアルコール
BPH 2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)
DW イオン交換水
(参考例1)
(分散安定剤(1)の製造)
攪拌機を備えた重合装置中で、SEMS 58質量部、KMA水溶液(KMA分30質量%)31質量部及びMMA 11質量部を、DW 900質量部に攪拌溶解させた。その後、窒素雰囲気下で攪拌しながら徐々に昇温して、50℃に到達したところで重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.1質量部を添加し、さらに60℃まで昇温した。ここで追加のMMA 11質量部を75分間かけて連続的に滴下した後、攪拌しつつ60℃で6時間保持して、アニオン系高分子化合物水溶液を得た。得られたアニオン系高分子化合物水溶液を分散安定剤(1)とする。
(参考例2)
(分散安定剤(2)の製造)
攪拌機を備えた重合装置に、KMA水溶液(KMA分35質量%)200質量部とMMA 30質量部からなる単量体混合物を加えて攪拌し、窒素雰囲気下で混合物を攪拌しながら徐々に昇温して70℃に到達したところで重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.1質量部を添加し、さらに80℃まで昇温して、攪拌しつつ80℃で6時間保持させてアニオン系高分子化合物水溶液を得た。このアニオン系高分子化合物水溶液を、分散安定剤(2)とする。
(参考例3)
(アクリル系樹脂(A1)の製造)
攪拌機を備えた反応容器に、MMA 98質量部、MA 2質量部、重合開始剤としてAIBN 0.1質量部、連鎖移動剤としてNOM 0.22質量部、離型剤としてSTOH 0.2質量部を加え攪拌溶解して単量体混合物を準備した。また、別の容器にDW 200質量部を入れ、分散安定剤(1)水溶液0.5質量部及び分散安定剤(2)水溶液0.1質量部、分散安定助剤として硫酸ナトリウム0.5質量部を加え攪拌溶解した。次いで、前述の単量体混合物と、分散安定剤等を溶解させた脱イオン水混合物を攪拌機が備わった反応容器に投入し、窒素置換しながら350rpmで15分間攪拌した。その後、75℃に加温して重合を開始させ、重合ピーク発現後、95℃、30分間の熱処理を行い、重合を完結させた。ついで、濾過、水洗し、75℃で24時間乾燥した後、ビーズ状のアクリル系樹脂を得た。このビーズ状アクリル系樹脂を、押出機PCM30(池貝(株)製、30mm、2軸)を用いて、シリンダー温度240℃で押出し、ペレット状のアクリル系樹脂(A1)を得た。このアクリル系樹脂(A1)の屈折率は1.49であった。
(参考例4)
(耐衝撃性改質剤(B1)の製造)
攪拌機、還流冷却器、窒素吹き込み口、単量体追加口、温度計を備えた5口フラスコに以下の混合物を仕込んで、攪拌および窒素置換しながら80℃に昇温した。
DW 300質量部
SFS 0.48質量部
硫酸第1鉄 0.4×10−6質量部
EDTA 1.2×10−6質量部
次に、以下の混合物を2時間かけて投入し、80℃で1時間保持して重合を完結させた。
MMA 22質量部
BA 16質量部
ST 2質量部
BDMA 1.2質量部
AMA 0.15質量部
TBH 0.07質量部
RS 0.54質量部
引き続き、SFS 0.2質量部とDW 5質量部からなる混合物を入れ、15分間保持した後、以下の混合物を3時間かけて滴下し、3時間保持して重合を完結させた。
BA 50質量部
ST 10質量部
BDMA 0.15質量部
AMA 1.1質量部
CHP 0.17質量部
RS 1.13質量部
この中に、SFS 0.2質量部とDW 5質量部からなる混合物を入れ、15分間保持した後、さらに以下の混合物を2時間かけて滴下し、1時間保持して重合を完結させ、室温まで冷却した。得られた最終ラテックスの重合率は99質量%以上であった。
MMA 57質量部
MA 3質量部
TBH 0.1質量部
NOM 0.2質量部
ステンレス製の容器に凝固剤として1.6質量%酢酸カルシウム水溶液300質量部を仕込み、混合攪拌下90℃に昇温して、これに最終ラテックス300質量部を10分間にわたって連続的に添加し、その後5分間保持した。そして、室温まで冷却し、DWで洗浄しながら遠心脱水(1300G、3分間)して、湿潤状の重合体を得た。この湿潤状の重合体を75℃で48時間乾燥させて白色粉体状の重合体を得た。この重合体を耐衝撃性改質剤(B1)とする。この耐衝撃性改質剤(B1)の屈折率は1.49であった。
(参考例5)
(耐衝撃性改質剤(B2)の製造)
(ラテックス[1]の製造)
下記の全ての物質をオートクレーブに仕込み、50℃で9時間乳化重合した。なお、下記の物質の中でBD(1,3−ブタジエン)を除く物質については、重合開始前に、その中に含まれる酸素を窒素で置換し、実質上重合反応を阻害しない状態とした。その結果、転化率97質量%で、平均粒子径0.9μmのゴム状重合体のラテックスが得られた。これをラテックス[1]とする。
BA 55質量部
BD 45質量部
DIPB 0.2質量部
TK 1質量部
LN 0.5質量部
ピロリン酸ナトリウム 0.5質量部
硫酸第一鉄 0.005質量部
デキストローズ 0.03質量部
DW 200質量部
(ラテックス[2]:酸基含有共重合体の調製)
下記の組成の混合物を5Lのガラス製丸底フラスコに入れ、70℃で1.5時間重合させた(1段目の重合)。
BA 2.5質量部
オレイン酸カリウム 0.2質量部
DOSN 0.1質量部
CHP 0.1質量部
SFS 0.03質量部
DW 20質量部
引き続き70℃で、下記の組成の混合物を1時間かけて滴下し、その後1時間攪拌を続けて重合を行い(2段目の重合)、ラテックス[2]を得た。転化率は98質量%であった。
BA 6質量部
メタクリル酸 1.5質量部
CHP 0.03質量部
(ラテックス[3]の調製)
オートクレーブ中にて、ラテックス[1](ポリマー固形分100質量部を含む)を内温30℃で攪拌しながら、上記で得られたラテックス[2]を3質量部加え、その後30分間保持して肥大化されたゴム状重合体のラテックスを得た。その後、内温50℃で攪拌しながら、10質量%硫酸ナトリウム水溶液3.4質量部を加え、その後15分間保持して、肥大化ゴム状重合体のラテックスを得た。
上記のラテックスへ、下記の物質を順番に一括添加して60分間保持し、その後に内温を80℃に昇温して、1時間保持した。
DW 5質量部
EDTA 1.2×10−4質量部
硫酸第一鉄 4×10−5質量部
SFS 0.15質量部
DW 24質量部
続いて、下記の混合物を一括添加した後、15分間保持した。
LN 0.5質量部
DW 10質量部
次に、下記の組成の単量体含有混合物を60分間かけて添加し、その後さらに60分間重合を継続して行い、ジエン系グラフト共重合体のラテックスを得た。その際、MMAの転化率は99質量%であった。
MMA 38質量部
MA 1.6質量部
NOM 0.2質量部
TBH 0.06質量部
次に、50℃の温度条件下、上記で得られたジエン系共重合体のラテックスに攪拌しながら下記の混合物を加えた。
BPH 0.3質量部
TK 0.2質量部
DW 4質量部
その後、内温を40℃以下にした状態でオートクレーブからジエン系グラフト共重合体のラテックス(固形分35.6質量%)を取り出した。これをラテックス[3]とする。
(耐衝撃性改質剤(B2)の単離)
オーバーフローの攪拌槽(以後、凝析槽と称する)の下流にオーバーフローの攪拌槽2基(以後、凝析層に近い方から順に、固化1槽、固化2槽と称する)を直列に連結した3槽で行った。凝析槽にラテックス[3]供給用の浸漬ノズルを、液面に垂直に浸漬されるように、さらに吐出口の深さが液面から50mmの深さになるように設置した。凝析剤には0.48質量%硫酸水溶液を使用し、各槽の温度を凝析槽/固化1槽/固化2槽=60℃/70℃/95℃に設定して、凝析槽、固化1槽、2槽の各攪拌回転数をそれぞれ365rpm、365rpm、324rpmに設定した。そして、ラテックス[3]を上記浸漬ノズルから6.6kg/hrで、0.48質量%硫酸水溶液を7.26kg/hr[ラテックス/硫酸=1/1.1(凝析槽内重合体固形分濃度22.2質量%)]となるように添加速度を設定し、連続凝固を行った。
得られた凝固液スラリーを遠心脱水機(田辺上部排出型 O−20型)で脱水処理(1800rpm:3分間)した後、熱風温度80℃に設定したバッチ式流動乾燥機を用いて乾燥し、肥大化ジエン系グラフト共重合体粒子を得た。これを耐衝撃性改質剤(B2)とする。耐衝撃性改質剤(B2)の屈折率は1.49であった。
[ポリオレフィンと親水性ポリマーとのブロックポリマー]
三洋化成工業(株)の商品名“ペレスタット300”(屈折率1.49)を使用した。
[リチウム化合物]
トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(以後、「リチウム化合物(L1)」と称する)として、セントラル硝子株式会社製の商品名“PFM−Li”を使用した。必要に応じて、固体・溶液として使用した。
[射出成形サンプルの作製]
前述のアクリル系樹脂、耐衝撃性改質剤、ブロックポリマー、リチウム化合物(L1)、その他添加剤等の所定量を、ヘンシェルミキサーで混合して、池貝(株)製PCM30(2軸、30mm、ベント付き)押出機を用いて、シリンダー温度220℃で押出してペレット化した。その際、ホッパー口から乾燥窒素ガスをペレット化に支障がない範囲でフローした。得られたペレットを80℃で8時間以上乾燥した後、日精樹脂(株)製PS60E射出成形機を用いて、シリンダー温度:220℃、金型温度:60℃で射出成形を行い、100mm角×3mm厚の成形サンプルを作製した。
[光学特性の評価]
JIS K 7105−1981に準拠して3mm(厚み)の射出成形サンプルの全光線透過率、ヘイズ、YI値を測定した。
[帯電防止性能の評価]
前述の100mm角×3mm(厚み)の射出成形サンプルの表面抵抗値を以下の方法で測定して、その値が5×1012Ω/□以下であれば、帯電防止性能を有すると判定した。
[表面抵抗値の測定方法]
超絶縁抵抗計(TOA社製、ULTRA MEGOHMMETER MODEL SM−10E)を用い、下記の条件で100mm角×3mm(厚み)の射出成形サンプルの印加1分後の表面抵抗値(Ω/□)を測定し、「初期値」として示した。
測定温度:20℃
測定湿度:65%RH(相対湿度)
印加電圧:500V
試料調湿:予め、20℃、65%RH(相対湿度)で1日間静置調湿
[耐湿性の評価]
100mm角×3mm(厚み)の射出成形サンプルを60℃、相対湿度90%の条件で5日間放置した耐湿試験後に前述の方法で光学測定を実施して、放置前の性能と比較評価した。
[永久帯電防止性能]
100mm角×3mm(厚み)の射出成形サンプルの表面を、流水中でガーゼを用いて表面を擦った後にエアガンで表面の水滴を吹き飛ばして、表面抵抗値を測定し、「水洗後」として示すことによって、水洗前の測定値(初期値)と比較評価した。
[屈折率]
本発明で使用するアクリル系樹脂、耐衝撃性改質剤の屈折率は、JIS K 7142に準拠して測定した。屈折率測定サンプルは、作製したペレットあるいは粉体を加熱プレスして厚さ0.2mmの薄膜を作製し、それから20mm×8mmの大きさのサンプルを5枚切り出して測定した。測定条件等を以下に示す。
アッベ式屈折率計:NAR−2(株式会社アタゴ製)
測定条件:JIS K 7142に準拠
薄膜作製:2枚の鏡面SUS板中にはさんで、所定温度で圧力10MPaでプレス成形を行った。
プレス温度設定:アクリル系樹脂 200℃
耐衝撃性改質剤 180℃
測定サンプル:薄膜から、長さ20mm、幅8mm、厚さ0.2mmのサンプルを5枚切り出した。
測定条件:温度23±1℃、相対湿度50±5%
(実施例1)
参考例3で製造したアクリル系樹脂(A1)(屈折率1.49)100質量部に対して、ブロックポリマー(ペレスタット300、屈折率1.49)12質量部及びリチウム化合物(L1)0.4質量部、リン系安定剤(商品名“アデカスタブ2112”、旭電化工業社製)0.15質量部、酸化防止剤(商品名“Irganox1076”、チバスペシャルティケミカルズ社製)0.3質量部、紫外線吸収剤(商品名“チヌビンP”、チバスペシャルティケミカルズ社製)0.03質量部をヘンシェルミキサーで混合した後、押出し機でペレット化して、次いで射出成形してサンプルを作製した。ゲート部分でわずかに剥離欠陥が発生した。成形品の組成、評価結果をそれぞれ表1、表2に示す。
(実施例2)
アクリル系樹脂(A1)76質量部と参考例4で製造した耐衝撃性改質剤(B1)(屈折率1.49)24質量部の合計100質量部に対して、ブロックポリマー(ペレスタット300)10質量部及びリチウム化合物(L1)0.4質量部を用い、以下、実施例1と同様にサンプルを作製した。ゲート部分で剥離欠陥は発生しなかった。成形品の組成、評価結果をそれぞれ表1、表2に示す。
(実施例3)
アクリル系樹脂(A1)、耐衝撃性改質剤(B1)及びブロックポリマー(ペレスタット300)をそれぞれ44質量部、56質量部及び10質量部とし、リチウム化合物(L1)を50質量%リチウム化合物(L1)水溶液として0.4質量部(純分0.2質量部)添加し、以下、実施例1と同様にサンプルを作製した。ゲート部分で剥離欠陥は発生しなかった。成形品の組成、評価結果をそれぞれ表1、表2に示す。
(実施例4)
実施例3において、50質量%リチウム化合物(L1)水溶液の添加料を0.8質量部と増やし、以下、実施例3と同様にサンプルを作製した。ゲート部分で剥離欠陥は発生しなかった。成形品の組成、評価結果をそれぞれ表1、表2に示す。
(実施例5)
実施例4において、アクリル系樹脂(A1)、耐衝撃性改質剤(B1)をそれぞれ28質量部、72質量部とし、以下、実施例4と同様にサンプルを作製した。ゲート部分で剥離欠陥は発生しなかった。成形品の組成、評価結果をそれぞれ表1、表2に示す。
(実施例6)
アクリル系樹脂(A1)65質量部と参考例5で製造した耐衝撃性改質剤(B2)35質量部の合計100質量部に対して、ブロックポリマー(ペレスタット300)14質量部および50質量%リチウム化合物(L1)水溶液0.8質量部、リン系安定剤(商品名“アデカスタブ2112”、旭電化工業社製)0.25質量部、酸化防止剤(商品名“Irganox1076”、チバスペシャルティケミカルズ社製)0.2質量部、紫外線吸収剤(商品名“チヌビンP” 、チバスペシャルティケミカルズ社製)0.03質量部、さらにヒンダードアミン系安定剤(商品名“サノールLS770”、三共社製)0.05質量部を加えてヘンシェルミキサーで混合した後、押出し機でペレット化し、次いで射出成形してサンプルを作製した。成形品の組成、評価結果をそれぞれ表1、表2に示す。
(実施例7)
実施例6において、50質量%リチウム化合物(L1)水溶液を1.2質量部とし、以下、実施例6と同様にサンプルを作製した。成形品の組成、評価結果をそれぞれ表1、表2に示す。
(実施例8)
実施例6において、50質量%リチウム化合物(L1)水溶液を1.6質量部とし、以下、実施例6と同様にサンプルを作製した。成形品の組成、評価結果をそれぞれ表1、表2に示す。
(比較例1)
アクリル系樹脂(A1)100質量部だけの射出成形サンプルを作製した。成形品の組成、評価結果をそれぞれ表1、表2に示す。帯電防止性は得られていない。
(比較例2)
リチウム化合物(L1)0.01質量部に減らし、以下、実施例2と同様にサンプルを作製した。成形品の組成、評価結果をそれぞれ表1、表2に示す。実施例2よりも帯電防止性能が劣る。
(比較例3)
ブロックポリマー(ペレスタット300)の使用量を2質量部に減らし、以下、実施例6と同様にサンプルを作製した。成形品の組成、評価結果をそれぞれ表1、表2に示す。実施例6よりも帯電防止性能が劣る。
(比較例4)
ブロックポリマー(ペレスタット300)の使用量を28質量部に増やし、以下、実施例6と同様にサンプルを作製した。成形品の組成、評価結果をそれぞれ表1、表2に示す。初期の帯電防止性能には優れているが、耐湿試験後の光学特性が著しく劣る。
(比較例5)
帯電防止剤としてポリエーテルエステルアミド(ペレスタットNC6321、屈折率1.51、三洋化成工業社製、商品名)を用い、以下、実施例6と同様にサンプルを作製した。成形品の組成、評価結果をそれぞれ表1、表2に示す。帯電防止性能は良好だが、初期光学特性が著しく劣る。
(比較例6)
市販の帯電防止性能を有する透明ABS成形材料(東レ(株)製、商品名“トヨラックパレルTP−90”)を使用して射出成形サンプルを作製した。成形品の組成、評価結果をそれぞれ表1、表2に示す。帯電防止性能には優れているが、本発明の実施例よりも光学特性が初期、耐湿試験後ともに劣っている。
Figure 2005060658
表中の記載の説明
*1:帯電防止剤は三洋化成工業社製のペレスタット(商品名)を用いており、種類はその商品種別である。
*2:アクリル系樹脂の屈折率と帯電防止剤の屈折率の差である。
*3:リチウム化合物(L1)、セントラル硝子社製PFM−LI(商品名)。質量部は純分としての値である。
*4:その他成分:リン系安定剤0.15質量部、酸化防止剤0.3質量部、及び紫外線吸収剤0.03質量部
*5:その他成分:リン系安定剤0.25質量部、酸化防止剤0.2質量部、紫外線吸収剤0.03質量部、及びヒンダードアミン系安定剤0.05質量部
Figure 2005060658
本発明のアクリル系樹脂組成物の成形品は透明性と帯電防止性能に優れ、家電製品の外装部分、例えば掃除機の外装部品、洗濯機の蓋等に好適に使用できる。

Claims (2)

  1. アクリル系樹脂100質量部に対して、アクリル系樹脂との屈折率差が0.01以下であるポリオレフィンと親水性ポリマーとのブロックポリマー3〜25質量部と、下記式(I)で表されるトリフルオロメタンスルホン酸リチウム0.05〜3質量部とを含有するアクリル系樹脂組成物。
    CFSOLi (I)
  2. さらに、耐衝撃性改質剤を含有する請求項1に記載のアクリル系樹脂組成物。
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