JP2017031362A - 熱可塑性樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
[1] アクリル酸エステル系共重合体(r1)97〜99.5重量%と多官能性単量体(r2)0.5〜3重量%を共重合して得られる、体積平均粒子径が0.10〜0.30μmであるアクリル系ゴム質重合体(R)の存在下に、芳香族ビニル系単量体(a1)およびシアン化ビニル系単量体(a2)を含む単量体混合物(a)をグラフト重合して得られるグラフト共重合体(A)と、少なくとも芳香族ビニル系単量体(b1)およびシアン化ビニル系単量体(b2)を含有するビニル系単量体混合物(b)を共重合して得られるビニル系共重合体(B)を配合してなる熱可塑性樹脂組成物であって、グラフト共重合体(A)とビニル系共重合体(B)の合計100重量部に対して、グラフト共重合体(A)30〜70重量部およびビニル系共重合体(B)30〜70重量部を配合してなり、該熱可塑性樹脂組成物中において、グラフト共重合体(A)の粒子が凝集した構造を有し、さらに下記の(1)および(2)の条件を満たす熱可塑性樹脂組成物。
(1)前記グラフト共重合体(A)が、アクリル系ゴム質重合体(R)のトルエン中におけるゲル膨潤度(α)の、グラフト共重合体(A)のグラフト率(β)に対する比((α)/(β))が下記式(I)を満たすものである
0.4≦(α)/(β)≦2.0 (I)
(2)前記熱可塑性樹脂組成物中のメチルエチルケトン可溶分(C)の重量平均分子量が130,000〜250,000、分散度が2.8以上、シアン化ビニル系単量体由来単位の含有量が29〜36重量%であり、
前記メチルエチルケトン可溶分(C)100重量%中、シアン化ビニル系単量体由来単位の含有量が35重量%以上の成分(C−1)を10〜30重量%、シアン化ビニル系単量体由来単位の含有量が35重量%未満の成分(C−2)を70〜90重量%含有し、
前記成分(C−1)100重量%中、分子量が30,000〜200,000にある成分の割合が70重量%以上、分子量200,000を超える成分の割合が10〜20重量%、分子量30,000未満の成分の割合が20重量%以下であり、
前記成分(C−2)100重量%中、分子量30,000〜200,000にある成分の割合が35〜65重量%、分子量200,000を超える成分の割合が10重量%以上、分子量30,000未満の成分の割合が30重量%以下である
[2] 前記アクリル系ゴム質重合体(R)のトルエン中におけるゲル膨潤度が10倍以上である[1]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[3] 前記グラフト共重合体(A)のグラフト率が5〜40%である[1]または[2]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[4] アクリル酸エステル系共重合体(r1)97〜99.5重量%と多官能性単量体(r2)0.5〜3重量%を共重合して、体積平均粒子径が0.10〜0.30μmであるアクリル系ゴム質重合体(R)を得て、該アクリル系ゴム質重合体(R)の存在下に、芳香族ビニル系単量体(a1)およびシアン化ビニル系単量体(a2)を含む単量体混合物(a)をグラフト重合してグラフト共重合体(A)を得る工程と、少なくとも芳香族ビニル系単量体(b1)およびシアン化ビニル系単量体(b2)を含有するビニル系単量体混合物(b)を共重合してビニル系共重合体(B)を得る工程と、グラフト共重合体(A)とビニル系共重合体(B)の合計100重量部に対して、グラフト共重合体(A)30〜70重量部およびビニル系共重合体(B)30〜70重量部を配合する工程を有する、グラフト共重合体(A)の粒子が凝集した構造を有し、さらに下記の(1)および(2)の条件を満たす熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
(1)前記グラフト共重合体(A)が、アクリル系ゴム質重合体(R)のトルエン中におけるゲル膨潤度(α)の、グラフト共重合体(A)のグラフト率(β)に対する比((α)/(β))が下記式(I)を満たすものである
0.4≦(α)/(β)≦2.0 (I)
(2)前記熱可塑性樹脂組成物中のメチルエチルケトン可溶分(C)の重量平均分子量が130,000〜250,000、分散度が2.8以上、シアン化ビニル系単量体由来単位の含有量が29〜36重量%であり、
前記メチルエチルケトン可溶分(C)100重量%中、シアン化ビニル系単量体由来単位の含有量が35重量%以上の成分(C−1)を10〜30重量%、シアン化ビニル系単量体由来単位の含有量が35重量%未満の成分(C−2)を70〜90重量%含有し、
前記成分(C−1)100重量%中、分子量が30,000〜200,000にある成分の割合が70重量%以上、分子量200,000を超える成分の割合が10〜20重量%、分子量30,000未満の成分の割合が20重量%以下であり、
前記成分(C−2)100重量%中、分子量30,000〜200,000にある成分の割合が35〜65重量%、分子量200,000を超える成分の割合が10重量%以上、分子量30,000未満の成分の割合が30重量%以下である
[5] 前記グラフト共重合体(A)と前記ビニル系共重合体(B)を配合する[1]〜[3]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法であって、
前記ビニル系共重合体(B)として、少なくとも芳香族ビニル系(b1)65〜55重量%およびシアン化ビニル系単量体(b2)35〜45重量%を含有するビニル系単量体混合物(b)を共重合してなり、重量平均分子量が100,000〜150,000である高ニトリル含有ビニル系共重合体(B−1)と、少なくとも芳香族ビニル系単量体(b1)65〜75重量%およびシアン化ビニル系単量体(b2)25〜35重量%を含有するビニル系単量体混合物(b)を共重合してなり、重量平均分子量が250,000〜350,000である高分子量ビニル系共重合体(B−2)とを配合する熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
[6] 前記ビニル系共重合体(B)を構成する、前記高ニトリル含有ビニル系共重合体(B−1)と高分子量ビニル系共重合体(B−2)との配合比(重量比)を、(B−1)/(B−2)=33/67〜67/33とする[5]に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
[7] [1]〜[3]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物からなる成形品。
[8] [4]〜[6]のいずれかに記載の製造方法により熱可塑性樹脂組成物を得て、該熱可塑性樹脂組成物を成形する成形品の製造方法。
ゲル膨潤度(倍)=(y)/(z)。
ゲル含有率(%)=([z]/[x])×100。
グラフト率(%)={[(n)−((m)×L/100)]/[(m)×L/100]}×100。
測定装置:Waters2695
カラム温度:40℃
検出器:RI2414(示差屈折率計)
キャリア溶離液流量:0.3ml/分(溶媒:テトラヒドロフラン)
カラム:TSKgel SuperHZM−M(6.0mmI.D.×15cm)、TSKgel SuperHZM−N(6.0mmI.D.×15cm)直列(いずれも東ソー)。
芳香族ビニル系単量体由来単位:ベンゼン核の振動に帰属される1605cm−1のピーク
シアン化ビニル系単量体由来単位:−C≡N伸縮に帰属される2240cm−1のピーク。
各参考例において得られたゴム質重合体ラテックスを水媒体で希釈、分散させ、レーザ散乱回折法粒度分布測定装置“LS 13 320”(ベックマン・コールター株式会社)により体積平均粒子径を測定した。
メタノール中に各参考例において得られたゴム質重合体ラテックス、続いて硫酸を添加し、脱水・洗浄によりゴム質重合体の固形物を得た。得られたゴム質重合体固形物を80℃の熱風乾燥機中で3時間真空乾燥を行った後、所定量(x[g])をトルエンに24時間含浸させ、膨潤サンプルの重量(y[g])を測定した。また、膨潤サンプルを80℃で3時間真空乾燥を行った後、乾燥サンプル重量(z[g])を測定した。ゲル含有率、ゲル膨潤度を下記式より算出した。
ゲル膨潤度(倍)=(y)/(z)
ゲル含有率(%)=([z]/[x])×100。
各参考例において得られたグラフト共重合体(A)を80℃の熱風乾燥機中で3時間真空乾燥し、所定量(m;約1.5g)を採取した。ここにアセトニトリル100mlを加え、70℃の湯浴中で3時間還流し、この溶液を9000rpmで40分間遠心分離した後、不溶分を濾過した。この不溶分を80℃で5時間真空乾燥し、重量(n[g])を測定した。グラフト率は下記式より算出した。ここでLはグラフト共重合体のゴム含有率(重量%)(すなわち、グラフト共重合体中のアクリル系ゴム質重合体(R)の含有率(重量%))である。
グラフト率(%)={[(n)−((m)×L/100)]/[(m)×L/100]}×100。
各参考例において得られたグラフト共重合体(A)を80℃で3時間真空乾燥し、約1.5gを採取した。ここにメチルエチルケトン100mlを加え、室温で3時間撹拌した。この溶液を9000rpmで40分間遠心分離した後、不溶分を濾過し、グラフト共重合体(A)のメチルエチルケトン可溶分を得た。
機器:Waters2695
カラム温度:40℃
検出器:RI2414(示差屈折率計)
キャリア溶離液流量:0.3ml/min(溶媒:テトラヒドロフラン)
カラム:TSKgel SuperHZM−M(6.0mmI.D.×15cm)、TSKgel SuperHZM−N(6.0mmI.D.×15cm)直列(いずれも東ソー)。
前記(4)の操作により得られた熱可塑性樹脂組成物のメチルエチルケトン可溶分(C)を230℃に設定した加熱プレスにより加熱加圧し、厚み30±5μmのフィルムを作製した。得られたフィルムについて、FT−IR分析を行い、FT−IRチャートに現れた下記ピークの強度比からシアン化ビニル系単量体由来単位(アクリロニトリル単量体由来単位)の含有量を求めた。
芳香族ビニル系単量体由来単位:ベンゼン核の振動に帰属される1605cm−1のピーク
シアン化ビニル系単量体由来単位:−C≡N伸縮に帰属される2240cm−1のピーク。
各実施例および比較例により得られた熱可塑性樹脂組成物ペレットからメチルエチルケトン不溶分を濾過した濾液をロータリーエバポレーターで濃縮することにより採取したメチルエチルケトン可溶分(C)5gをアセトン80mlに溶解した溶液に、シクロヘキサンを徐々に添加し、白濁したところで添加をやめた。この白濁溶液を9000rpmで40分間遠心分離した後、上澄みを分離し、不溶分を得た。不溶分を80℃で5時間減圧乾燥し、その重量を測定した。その後、230℃に設定した加熱プレスにより厚み30±5μmのフィルムを作製し、得られたフィルムについて、FT−IR分析を行い、FT−IRチャートに現れる下記ピークの強度比からシアン化ビニル系単量体由来単位(アクリロニトリル単量体由来単位)の含有量とその重量を定量した。
各実施例および比較例により得られたペレットを80℃の熱風乾燥機中で3時間真空乾燥し、シリンダー温度230℃、金型温度60℃の条件に設定した射出成形機(住友重機械工業(株)製SE−50DU)内に充填し、ISO3167:2002で規定された多目的試験片A形(全長150mm、試験部の幅10mm、厚さ4mm)を射出成形した。得られた試験片を用いて、ISO179−1:2010に従って、シャルピー衝撃強度を測定した。8個の試験片についてシャルピー衝撃強度を測定し、その数平均値を算出した。
各実施例および比較例により得られたペレットを80℃熱風乾燥機中で3時間乾燥した後、ISO1133−1:2011(220℃、98N)に準拠した方法でメルトフローレートを測定した。
各実施例および比較例により得られた厚さ3mmの角板試験片に対して、サンシャインウェザーメーター(スガ試験機(株)製WEL−SUN−HCH型)を用いて、ブラックパネル温度63℃、サイクル60分(降雨12分)、放射照度80W/m2の条件下で、波長300〜400nmの紫外線を照射する耐候性試験を1000時間実施し、耐候性試験前後の色差(ΔE)を測定した。
各実施例および比較例により得られたペレットを80℃の熱風乾燥機中で3時間乾燥した後、シリンダー温度230℃、金型温度60℃に設定した射出成形機(日精社製、PS60)内に充填し、127mm×12.7mm×1.5mmの試験片を射出成形した。得られた試験片を23℃の環境下で図1に示す1/4楕円治具に沿わせて固定した。なお、1/4楕円治具の長軸aの長さは127mm、短軸bの長さは38mmとした。
ε=bt/2a2{1−X2(a2−b2)/a4}−3/2×100
ε:臨界歪み(%)
a:治具の長軸(=127mm)
b:治具の短軸(=38mm)
t:試験片の厚み(=1.5mm)
X:クラック発生位置からの距離(mm)
臨界歪み値(ε)が1%以上の場合:○
臨界歪み値(ε)が1%未満の場合:×。
各実施例および比較例により得られたペレットを80℃の熱風乾燥機中で3時間真空乾燥し、シリンダー温度230℃、金型温度60℃の条件に設定した射出成形機(住友重機械工業(株)製SE−50DU)内に充填し、ISO3167:2002で規定された多目的試験片A形(全長150mm、試験部の幅10mm、厚さ4mm)を射出成形した。得られた試験片の狭い部分を約60nmの厚さに薄切りし、四酸化ルテニウムで染色した試料を透過型電子顕微鏡(倍率:20,000倍、観察範囲:5μm×5μm)にて観察を行い、グラフト共重合体の凝集状態を以下のように判別した。
y:グラフト共重合体粒子同士が凝集している
n:グラフト共重合体粒子同士が凝集していない。
[アクリル系ゴム質重合体を得るための工程]
純水130重量部、乳化剤である不均化ロジン酸カリウム水溶液1重量部(固形分換算)を反応容器に仕込み、75℃まで昇温し、撹拌下、アクリル酸n−ブチル19.8重量部とメタクリル酸アリル0.2重量部の混合物(混合物1)を1時間かけて連続添加した(第1添加工程)。次いで2重量%過硫酸カリウム水溶液10重量部と、不均化ロジン酸カリウム水溶液1.5重量部(固形分換算)をそれぞれ6時間かけて連続添加した(第2添加工程)。また、過硫酸カリウム水溶液および不均化ロジン酸カリウム水溶液の添加開始から2時間後にアクリル酸n−ブチル79.2重量部とメタクリル酸アリル0.8重量部の混合物(混合物3)を4時間かけて添加した(第3添加工程)。添加終了後さらに1時間保持することでアクリル系ゴム質重合体(R−1)ラテックスを重合率95%で得た。
引き続いて、純水13.2重量部、無水ブドウ糖0.48重量部、ピロリン酸ナトリウム0.26重量部および硫酸第一鉄0.01重量部の混合物、オレイン酸カリウム0.4重量部および純水12.5重量部の混合物、アクリル系ゴム質重合体(R−1)50重量部(固形分換算)および純水94.3重量部を反応容器に仕込み、58℃まで昇温し、撹拌下、スチレン36.5重量部、アクリロニトリル13.5重量部およびt−ドデシルメルカプタン0.2重量部の混合物(i)を4時間かけて連続添加した。連続添加開始0.5時間後に、容器内温度を62℃に昇温し、クメンハイドロパーオキサイド0.3重量部、オレイン酸カリウム2.0重量部および純水12.5重量部の混合物を並行して5時間かけて連続添加した。続いて、(i)の添加終了時にさらに65℃まで昇温し、グラフト共重合体ラテックスを重合率98%で得た。得られたラテックス100重量部(固形分換算)を、硫酸マグネシウム3重量部を加えた85℃の水900重量部中に、撹拌しながら注いで凝固し、次いで脱水、乾燥を行いパウダー状のグラフト共重合体(A−1)を得た。
参考例1の[アクリル系ゴム質重合体を得るための工程]において、以下の事項を変更した以外は、参考例1と同様にしてアクリル系ゴム質重合体(R−2)ラテックスを得た。すなわち、第1添加工程において、混合物1にかえて、アクリル酸n−ブチル19.8重量部、メタクリル酸アリル0.2重量部の混合物を用いた。また、第3添加工程において、混合物3にかえて、アクリル酸n−ブチル79.0重量部、メタクリル酸アリル1.0重量部の混合物を用いた。
参考例1の[アクリル系ゴム質重合体を得るための工程]において、以下の事項を変更した以外は、参考例1と同様にしてアクリル系ゴム質重合体(R−3)ラテックスを得た。すなわち、第1添加工程において、混合物1にかえて、アクリル酸n−ブチル19.76重量部、メタクリル酸アリル0.2重量部およびジエチレングリコールジメタクリレート0.04重量部の混合物を用いた。また、第3添加工程において、混合物3にかえて、アクリル酸n−ブチル79.04重量部、メタクリル酸アリル0.8重量部およびジエチレングリコールジメタクリレート0.16重量部の混合物を用いた。
参考例1の[アクリル系ゴム質重合体を得るための工程]において、以下の事項を変更した以外は、参考例1と同様にしてアクリル系ゴム質重合体(R−4)ラテックスを得た。すなわち、第1添加工程において、混合物1にかえて、アクリル酸n−ブチル19.7重量部、メタクリル酸アリル0.3重量部の混合物を用いた。また、第3添加工程において、混合物3にかえて、アクリル酸n−ブチル78.8重量部、メタクリル酸アリル1.2重量部の混合物を用いた。
参考例1の[アクリル系ゴム質重合体を得るための工程]において、以下の事項を変更した以外は、参考例1と同様にしてアクリル系ゴム質重合体(R−5)ラテックスを得た。すなわち、第1添加工程において、混合物1にかえて、アクリル酸n−ブチル19.5重量部とメタクリル酸アリル0.5重量部の混合物を用いた。また、第3添加工程において、混合物3にかえて、アクリル酸n−ブチル78.0重量部、メタクリル酸アリル2.0重量部の混合物を用いた。
参考例1の[アクリル系ゴム質重合体を得るための工程]において、以下の事項を変更した以外は、参考例1と同様にしてアクリル系ゴム質重合体(R−6)ラテックスを得た。すなわち、第2添加工程における、2重量%過硫酸カリウム水溶液の添加部数を8重量部とした。
参考例1の[アクリル系ゴム質重合体を得るための工程]において、以下の事項を変更した以外は、参考例1と同様にしてアクリル系ゴム質重合体(R−7)ラテックスを得た。すなわち、第1添加工程において、混合物1にかえて、アクリル酸n−ブチル19.92重量部とメタクリル酸アリル0.08重量部の混合物を用いた。また、第3添加工程において、混合物3にかえて、アクリル酸n−ブチル79.68重量部、メタクリル酸アリル0.32重量部の混合物を用いた。
参考例1の[アクリル系ゴム質重合体を得るための工程]において、以下の事項を変更した以外は、参考例1と同様にしてアクリル系ゴム質重合体(R−8)ラテックスを得た。すなわち、第1添加工程において、混合物1にかえて、アクリル酸n−ブチル19.2重量部とメタクリル酸アリル0.8重量部の混合物を用いた。また、第3添加工程において、混合物3にかえて、アクリル酸n−ブチル76.8重量部、メタクリル酸アリル3.2重量部の混合物を用いた。
参考例1の[アクリル系ゴム質重合体を得るための工程]において、以下の事項を変更した以外は、参考例1と同様にしてアクリル系ゴム質重合体(R−9)ラテックスを得た。すなわち、第1添加工程において、混合物1にかえて、アクリル酸n−ブチル19.4重量部、メタクリル酸アリル0.3重量部およびジエチレングリコールジメタクリレート0.3重量部の混合物を用いた。また、第3添加工程において、混合物3にかえて、アクリル酸n−ブチル77.6重量部、メタクリル酸アリル1.2重量部およびジエチレングリコールジメタクリレート1.2重量部の混合物を用いた。
参考例1の[アクリル系ゴム質重合体を得るための工程]において、以下の事項を変更した以外は、参考例1と同様にしてアクリル系ゴム質重合体(R−10)ラテックスを得た。すなわち、第1添加工程における、不均化ロジン酸カリウム水溶液の添加部数を3重量部(固形分換算)とした。また、第2添加工程における、不均化ロジン酸カリウム水溶液の添加部数を3重量部(固形分換算)とした。
参考例1の[アクリル系ゴム質重合体を得るための工程]において、以下の事項を変更した以外は、参考例1と同様にしてアクリル系ゴム質重合体(R−11)ラテックスを得た。すなわち、第1添加工程における、不均化ロジン酸カリウム水溶液の添加部数を0.8重量部(固形分換算)とした。また、第2添加工程における、不均化ロジン酸カリウム水溶液の添加部数を0.45重量部(固形分換算)とした。
参考例1の[アクリル系ゴム質重合体を得るための工程]において、以下の事項を変更した以外は、参考例1と同様にしてラテックスを得た。すなわち、参考例1の[アクリル系ゴム質重合体を得るための工程]の第1添加工程における混合物1にかえて、アクリル酸n−ブチル19.4重量部とメタクリル酸アリル0.6重量部の混合物を、第3添加工程における混合物3にかえて、アクリル酸n−ブチル77.6重量部とメタクリル酸アリル2.4重量部の混合物を用いて、ラテックスを得た。
参考例1の[アクリル系ゴム質重合体を得るための工程]において、以下の事項を変更した以外は、参考例1と同様にしてアクリル系ゴム質重合体(R−13)ラテックスを得た。すなわち、第1添加工程において、混合物1にかえて、アクリル酸n−ブチル19.91重量部、メタクリル酸アリル0.09重量部およびアクリロニトリル1重量部の混合物を用いた。また、第2添加工程における、2重量%過硫酸カリウム水溶液の添加部数を8重量部とした。また、第3添加工程において、混合物3にかえて、アクリル酸n−ブチル79.64重量部、メタクリル酸アリル0.36重量部およびアクリロニトリル4重量部の混合物を用いた。
参考例1の[グラフト共重合体を得るための工程]において、混合物(i)のt−ドデシルメルカプタンの添加部数を0.005重量部に変更したこと以外は参考例1と同様にしてグラフト共重合体(A−14)を製造した。
アクリル系ゴム質重合体(R−1)にかえて、ポリブタジエンラテックス30重量部(固形分換算)の存在下にアクリル酸n−ブチル69.5重量部とメタクリル酸アリル0.5重量部を共重合したゴム質重合体を用いたこと以外は参考例1と同様にしてグラフト共重合体(A−15)を製造した。
まず、懸濁重合用の媒体として、メタクリル酸メチル−アクリルアミド共重合体を以下の方法により製造した。
20Lのオートクレーブに、前記参考例16により得られたメタクリル酸メチル−アクリルアミド二元共重合体水溶液6重量部、純水150重量部を仕込み、400rpmで撹拌し、系内を窒素ガスで置換した。70℃まで昇温後、アクリロニトリル28.9重量部、スチレン11.1重量部、アゾビスイソブチロニトリル0.32重量部、t−ドデシルメルカプタン0.063重量部およびn−オクチルメルカプタン0.094重量部の単量体混合物を、撹拌しながら30分間かけて添加し、重合反応を開始した。単量体混合物を添加後、1時間経過したところで、スチレン15重量部を供給ポンプを使用して添加した。その後、30分間隔で、スチレンを1回あたり15重量部ずつ、計3回オートクレーブに添加した。全ての単量体の添加後、60分間かけて100℃に昇温した。80℃に達した時点で、窒素ガスでオートクレーブ内を0.3MPaに加圧した。100℃に到達後、30分間100℃に維持した後、冷却、ポリマーの分離、洗浄、乾燥を行って、ビーズ状のビニル系共重合体(B−2)を得た。得られたビニル系共重合体(B−2)の重量平均分子量は320,000、分散度は2.8、シアン化ビニル系単量体由来単位の含有量は27重量%であった。
単量体混合物中のt−ドデシルメルカプタンを0.75重量部とした以外は、参考例16と同様の方法でビニル系共重合体(B−3)を得た。得られたビニル系共重合体(B−3)の重量平均分子量は54,000、分散度は2.1、シアン化ビニル系単量体由来単位の含有量は36重量%であった。
初期に添加する単量体混合物をアクリロニトリル44重量部、スチレン3.8重量部、アゾビスイソブチロニトリル0.034重量部、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.293重量部およびt−ドデシルメルカプタン0.75重量部としたこと、さらに、単量体混合物を添加後95分経過したところで添加するスチレンの量を36.2重量部としたこと以外は参考例16と同様の方法でビニル系共重合体(B−4)を得た。得られたビニル系共重合体(B−4)の重量平均分子量は55,000、分散度は2.1、シアン化ビニル系単量体由来単位の含有量は40重量%であった。
初期に添加する単量体混合物のt−ドデシルメルカプタンを0.32重量部とし、n−オクチルメルカプタンを添加しないこと以外は参考例17と同様の方法でビニル系共重合体(B−5)を得た。得られたビニル系共重合体(B−5)の重量平均分子量は130,000、分散度は2.1、シアン化ビニル系単量体由来単位の含有量は27重量%であった。
初期に添加する単量体混合物のt−ドデシルメルカプタンおよびn−オクチルメルカプタンを添加しないこと、参考例17と同様の方法でビニル系共重合体(B−6)を得た。得られたビニル系共重合体(B−6)の重量平均分子量は400,000、分散度は2.9、シアン化ビニル系単量体由来単位の含有量は27重量%であった。
上記参考例1〜15で調製したグラフト共重合体(A−1〜15)と参考例16〜21で調製したビニル系重合体(B−1〜6)をそれぞれ表3〜5で示した配合比で配合し、さらにエチレンビスステアリン酸アマイド0.8重量部、光安定剤((株)ADEKA製、「“アデカスタブ”(登録商標)LA−77Y」)0.3重量部、紫外線吸収剤((株)ADEKA製、「“アデカスタブ”LA−32」)0.3重量部を加え、ヘンシェルミキサーで23℃で混合した。得られた混合物を、40mmφ押出機により押出温度230℃で溶融混練し、ガット状に押出してペレット化した。得られたペレットを用いて、前述の方法により評価した結果を表3〜5に示す。また、実施例1および比較例2で得られた熱可塑性樹脂組成物の透過型電子顕微鏡写真をそれぞれ図2〜3に示す。
2 試験片
3 グラフト共重合体一次粒子
4 グラフト共重合体凝集粒子
5 ビニル系共重合体
a 治具の長軸
b 治具の短軸
X クラック発生位置からの距離
Claims (8)
- アクリル酸エステル系共重合体(r1)97〜99.5重量%と多官能性単量体(r2)0.5〜3重量%を共重合して得られる、体積平均粒子径が0.10〜0.30μmであるアクリル系ゴム質重合体(R)の存在下に、芳香族ビニル系単量体(a1)およびシアン化ビニル系単量体(a2)を含む単量体混合物(a)をグラフト重合して得られるグラフト共重合体(A)と、少なくとも芳香族ビニル系単量体(b1)およびシアン化ビニル系単量体(b2)を含有するビニル系単量体混合物(b)を共重合して得られるビニル系共重合体(B)を配合してなる熱可塑性樹脂組成物であって、グラフト共重合体(A)とビニル系共重合体(B)の合計100重量部に対して、グラフト共重合体(A)30〜70重量部およびビニル系共重合体(B)30〜70重量部を配合してなり、該熱可塑性樹脂組成物中において、グラフト共重合体(A)の粒子が凝集した構造を有し、さらに下記の(1)および(2)の条件を満たす熱可塑性樹脂組成物。
(1)前記グラフト共重合体(A)が、アクリル系ゴム質重合体(R)のトルエン中におけるゲル膨潤度(α)の、グラフト共重合体(A)のグラフト率(β)に対する比((α)/(β))が下記式(I)を満たすものである
0.4≦(α)/(β)≦2.0 (I)
(2)前記熱可塑性樹脂組成物中のメチルエチルケトン可溶分(C)の重量平均分子量が130,000〜250,000、分散度が2.8以上、シアン化ビニル系単量体由来単位の含有量が29〜36重量%であり、
前記メチルエチルケトン可溶分(C)100重量%中、シアン化ビニル系単量体由来単位の含有量が35重量%以上の成分(C−1)を10〜30重量%、シアン化ビニル系単量体由来単位の含有量が35重量%未満の成分(C−2)を70〜90重量%含有し、
前記成分(C−1)100重量%中、分子量が30,000〜200,000にある成分の割合が70重量%以上、分子量200,000を超える成分の割合が10〜20重量%、分子量30,000未満の成分の割合が20重量%以下であり、
前記成分(C−2)100重量%中、分子量30,000〜200,000にある成分の割合が35〜65重量%、分子量200,000を超える成分の割合が10重量%以上、分子量30,000未満の成分の割合が30重量%以下である - 前記アクリル系ゴム質重合体(R)のトルエン中におけるゲル膨潤度が10倍以上である請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記グラフト共重合体(A)のグラフト率が5〜40%である請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- アクリル酸エステル系共重合体(r1)97〜99.5重量%と多官能性単量体(r2)0.5〜3重量%を共重合して、体積平均粒子径が0.10〜0.30μmであるアクリル系ゴム質重合体(R)を得て、該アクリル系ゴム質重合体(R)の存在下に、芳香族ビニル系単量体(a1)およびシアン化ビニル系単量体(a2)を含む単量体混合物(a)をグラフト重合してグラフト共重合体(A)を得る工程と、少なくとも芳香族ビニル系単量体(b1)およびシアン化ビニル系単量体(b2)を含有するビニル系単量体混合物(b)を共重合してビニル系共重合体(B)を得る工程と、グラフト共重合体(A)とビニル系共重合体(B)の合計100重量部に対して、グラフト共重合体(A)30〜70重量部およびビニル系共重合体(B)30〜70重量部を配合する工程を有する、グラフト共重合体(A)の粒子が凝集した構造を有し、さらに下記の(1)および(2)の条件を満たす熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
(1)前記グラフト共重合体(A)が、アクリル系ゴム質重合体(R)のトルエン中におけるゲル膨潤度(α)の、グラフト共重合体(A)のグラフト率(β)に対する比((α)/(β))が下記式(I)を満たすものである
0.4≦(α)/(β)≦2.0 (I)
(2)前記熱可塑性樹脂組成物中のメチルエチルケトン可溶分(C)の重量平均分子量が130,000〜250,000、分散度が2.8以上、シアン化ビニル系単量体由来単位の含有量が29〜36重量%であり、
前記メチルエチルケトン可溶分(C)100重量%中、シアン化ビニル系単量体由来単位の含有量が35重量%以上の成分(C−1)を10〜30重量%、シアン化ビニル系単量体由来単位の含有量が35重量%未満の成分(C−2)を70〜90重量%含有し、
前記成分(C−1)100重量%中、分子量が30,000〜200,000にある成分の割合が70重量%以上、分子量200,000を超える成分の割合が10〜20重量%、分子量30,000未満の成分の割合が20重量%以下であり、
前記成分(C−2)100重量%中、分子量30,000〜200,000にある成分の割合が35〜65重量%、分子量200,000を超える成分の割合が10重量%以上、分子量30,000未満の成分の割合が30重量%以下である - 前記グラフト共重合体(A)と前記ビニル系共重合体(B)を配合する請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法であって、
前記ビニル系共重合体(B)として、少なくとも芳香族ビニル系(b1)65〜55重量%およびシアン化ビニル系単量体(b2)35〜45重量%を含有するビニル系単量体混合物(b)を共重合してなり、重量平均分子量が100,000〜150,000である高ニトリル含有ビニル系共重合体(B−1)と、少なくとも芳香族ビニル系単量体(b1)65〜75重量%およびシアン化ビニル系単量体(b2)25〜35重量%を含有するビニル系単量体混合物(b)を共重合してなり、重量平均分子量が250,000〜350,000である高分子量ビニル系共重合体(B−2)とを配合する熱可塑性樹脂組成物の製造方法。 - 前記ビニル系共重合体(B)を構成する、前記高ニトリル含有ビニル系共重合体(B−1)と高分子量ビニル系共重合体(B−2)との配合比(重量比)を、(B−1)/(B−2)=33/67〜67/33とする請求項5に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物からなる成形品。
- 請求項4〜6のいずれかに記載の製造方法により熱可塑性樹脂組成物を得て、該熱可塑性樹脂組成物を成形する成形品の製造方法。
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