JP2734909B2 - 波形データ読み出し装置 - Google Patents

波形データ読み出し装置

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JP2734909B2 JP4298192A JP29819292A JP2734909B2 JP 2734909 B2 JP2734909 B2 JP 2734909B2 JP 4298192 A JP4298192 A JP 4298192A JP 29819292 A JP29819292 A JP 29819292A JP 2734909 B2 JP2734909 B2 JP 2734909B2
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    • G10H7/00Instruments in which the tones are synthesised from a data store, e.g. computer organs
    • G10H7/02Instruments in which the tones are synthesised from a data store, e.g. computer organs in which amplitudes at successive sample points of a tone waveform are stored in one or more memories
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    • G10H2210/155Musical effects
    • G10H2210/195Modulation effects, i.e. smooth non-discontinuous variations over a time interval, e.g. within a note, melody or musical transition, of any sound parameter, e.g. amplitude, pitch, spectral response or playback speed
    • G10H2210/241Scratch effects, i.e. emulating playback velocity or pitch manipulation effects normally obtained by a disc-jockey manually rotating a LP record forward and backward

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は電子楽器やその他楽音
発生装置あるいは音信号処理装置などにおいて利用され
る波形データ読み出し装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子楽器における楽音波形を作成
するための一つの方法として、自然楽器等によって実際
に音響的に発音した音をサンプリングし、それを波形デ
ータとして予めメモリなどの記憶媒体に記憶しておき、
それを位相角データに応じて読み出す波形メモリ読出方
式が知られている。この波形メモリ読出方式は、自然楽
器の音と同等の高品質な楽音を作成することができると
いう利点を有する。この波形メモリ読出方式の中には、
波形データの1周期分を記憶するものや複数周期分を記
憶するものがある。一方、音色等の時間的変化を高品質
で表現するために、発音開始から終了(アタックからデ
ィケィ)までの全波形を記憶し、それを押鍵に伴って一
通り読み出すものもある。また、記憶容量の大型化を抑
え、データを容易に作成できるものとして、立上り部
(アタック部)の波形として複数周期分、その後の持続
部の波形として1周期分を記憶し、立上り部ではその複
数周期分の波形を一通り読み出し、続いて持続部ではそ
の1周期分の波形を繰り返して読み出すものがある。こ
れは、録音された原音をその音質を劣化させることなく
圧縮して記憶することができ、リアリティが高くかつ表
現力ある音質の楽音を忠実に再現できるという優れた特
徴を有する(特開昭59−109090号公報)。
【0003】このように従来の電子楽器は、メモリ等に
記憶されている波形データを発生すべき楽音の音高に応
じた読み出し速度(位相角)で読み出して再生発音する
ものであった。従って、従来の電子楽器においては、ピ
ッチベンドをかけることにより波形データの読み出し速
度をリアルタイムにコントロールしたり、そのピッチベ
ンドをピッチベンドエンベロープ発生器で変化させて波
形データの読み出し速度を時間的に変化させたりして、
特殊な効果を付与して発音していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来の電子
楽器は、読み出し速度を可変制御することによって、楽
音の音高を時間的に変化させるという特殊な効果を付与
することはできたが、例えば、アナログレコードの再生
装置(プレーヤー)のようにレコードを逆回転させるこ
とによって生じる音(このような再生音をスクラッチ効
果音と呼ぶ)をシミュレートして発音することはできな
かった。すなわち、従来の電子楽器は、メモリ等に記憶
されている波形データをそのサンプリングの順番でしか
読み出せなかったため、読み出し速度を変化させ、その
音高を時間的に変化させることしかできなかった。
【0005】本発明は上述の点に鑑みてなされたもので
あり、所定のサンプリングで順番に記憶された波形デー
タを任意のレートで逆方向に読み出すことのできる波形
データ読み出し装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】 この発明に係る波形デ
ータ読み出し装置は、音に関する波形データを所定の順
序で記憶している波形記憶手段と、前記記波形記憶手段
から前記波形データを所望のピッチに対応して読み出す
ための読出レートを指定するレート指定手段と、読出し
レート及び読出し方向を制御するための時間的に可変の
スクラッチ制御データを発生するスクラッチ制御手段
と、前記レート指定手段によって指定された読出しレー
トを前記スクラッチ制御データに従って変更するもので
あって、変更された読出しレートは読出し方向の制御の
ために正又は負の値を持つレート変更手段と、前記レー
ト変更手段から与えられる前記変更された読出しレート
に基づき、該読出しレートに対応する速さでかつその正
負に応じて順又は逆方向に変化する波形データ読出用ア
ドレス信号を順次生成し、該アドレス信号に従って前記
波形記憶手段から前記波形データを読み出し、これによ
り、前記変更された読出しレートとその正負に依存して
前記波形記憶手段からの前記波形データの読み出し速度
とその読出方向が制御されるようにした読出制御手段と
を備えたものである。
【0007】
【作用】 スクラッチ制御手段は、スクラッチアクショ
ンをシミュレートするためのものであり、発生されるス
クラッチ制御データは、読出しレート及び読出し方向を
制御するための、時間的に可変のデータである。このス
クラッチ制御データに従って、レート指定手段によって
指定された読出しレートが、変更される。スクラッチ制
御データに含まれる読出し方向を制御する情報に応じ
て、変更された読出しレートは、正又は負の値を持つ。
読出制御手段においては、上記変更された読出しレート
に基づき、該読出しレートに対応する速さでかつその正
負に応じて順又は逆方向に変化する波形データ読出用ア
ドレス信号を順次生成し、該アドレス信号に従って前記
波形記憶手段からの前記波形データの読み出しを行う。
変更された読出しレートが正の値の場合は、その値に対
応する読出し速度で波形記憶手段から波形データが順方
向に読み出され、他方、負の値の場合は、その値に対応
する読出し速度で波形記憶手段から波形データが逆方向
に読み出される。また、変更された読出しレートが0で
あれば、読出しの進行が一時中断される。こうして、変
更された読出しレートとその正負に依存して前記波形記
憶手段からの前記波形データの読み出し速度とその読出
方向が制御される。 従って、時変動可能なスクラッチ制
御データの状態に応じて、音の波形の読出しの中断、順
方向への読出しの加速、順方向への読出しの減速、又は
逆方向への読出しの変更及びその加速の又は減速、な
ど、様々なバリエーションの波形読出し制御が行なえ
る。従って、レコード回転を止めたり、加速したり、減
速したり、逆回転させたりすることによって生じるスク
ラッチ効果と同じような特殊な効果を、電子的に発生さ
れる音波形信号に対して付与することができる。特に、
所望のピッチに対応する読出しレートを変更する構成で
あるため、スクラッチアクションに応じて発生するスク
ラッチ制御データの値は、所望のピッチ変更量に応じた
相対的な値であってよく、従って、スクラッチアクショ
ンに過度の大きな動きやスピードが要求されることがな
く、極めて簡便で済む。また、スクラッチ制御データが
発生されなくなった場合若しくは変更を指示しない所定
値に設定された場合は、読出しレートが変更されず、所
望のピッチでの通常のサウンド波形再生が行われるの
で、スクラッチアクションをやめたとき、通常のサウ
ド再生を保証することができる。
【0008】
【実施例】以下、この発明の実施例を添付図面に従って
詳細に説明する。図1は、この発明に係る波形データ読
み出し装置を内蔵した電子楽器の全体構成を示すハード
ブロック図である。図1の実施例において、鍵盤11は
発音すべき楽音の音高を選択するための複数の鍵を備え
たものであり、各鍵に対応してキースイッチを有してい
る。押鍵検出手段12は鍵盤11の状態(押鍵された鍵
があるかどうか)、すなわち鍵盤11内の各キースイッ
チのオン・オフを検出するものであり、例えば各キース
イッチを順番に走査する走査回路と、その走査結果をエ
ンコードする回路とを含んで構成されている。押鍵検出
手段12は、押鍵された鍵を示すノートコード信号NC
Dをレート発生手段13に、押鍵されたことを示すノー
トオンパルス信号NONPをレートオフセットエンベロ
ープ発生手段19及びアドレスカウンタ20に、押鍵状
態持続中を示すノートオン信号NONをアドレスカウン
タ20及び音量エンベロープ発生手段23にそれぞれ出
力する。従って、押鍵検出手段12からノートオン信号
NONが出力されなくなった時点でその鍵は離鍵された
ことを示す。また、押鍵検出手段12は、キースイッチ
からの出力に基づいて押し下げ時の押鍵操作速度を判別
してイニシャルタッチデータや、鍵盤11の各鍵に関連
して、鍵押圧持続時における押圧力検出装置の出力から
押圧力を検出してアフタタッチデータ等を出力する。
【0009】スクラッチ円盤14は円盤状の回転テーブ
ルからなる操作子と、この操作子の回転方向及び回転量
に応じたパルス信号を発生するロータリーエンコーダー
とから構成される。角度変化検出手段15はスクラッチ
円盤14から出力されるパルス信号を入力し、それに基
づいてスクラッチ円盤14の回転角度の変化量を検出し
てスケーリング手段16に出力する。すなわち、角度変
化検出手段15はスクラッチ円盤14が回転した場合に
その回転量に応じたデータを出力し、スクラッチ円盤1
4が回転していない、停止した状態の時には何のデータ
も出力しない。
【0010】レンジ設定手段17はスクラッチ円盤14
の1回転がメモリ波形読み出し速度のレンジデータ(例
えば、1/2秒、1秒、2秒、4秒、8秒のいずれか)
を選択設定するための操作子であり、設定された読み出
し速度のレンジデータはスケーリング手段16に出力さ
れる。スケーリング手段16は、角度変化検出手段15
からの角度変化量に対してレンジ設定手段17からのレ
ンジデータを乗算し、その乗算結果をスクラッチデータ
SCDとしてレート発生手段13に出力する。例えば、
レンジデータが1秒で、角度変化量が1/4の場合に、
スケーリング手段16からは0.25秒に相当するスク
ラッチデータSCDが出力されることとなる。
【0011】パラメータ設定手段18は、レートオフセ
ットエンベロープ発生手段19及び音量エンベロープ発
生手段23がそれぞれ発生すべきエンベロープ波形の種
類を指定するためのパラメータを出力する。レートオフ
セットエンベロープ発生手段19は、パラメータ設定手
段18によって予め設定されたパラメータに応じたレー
トオフセットエンベロープデータROEを押鍵検出手段
12からのノートオン信号NONの入力に同期してレー
ト発生手段13に出力する。図2は、このレートオフセ
ットエンベロープ発生手段19の発生するレートオフセ
ットエンベロープデータROEの一例を示す図であり、
横軸に時間、縦軸にレベルを示す。図2のレートオフセ
ットエンベロープデータROEは時刻t1までは『0』
であり、時刻t1から徐々に『ROE1』まで減少す
る。そして、時刻t2から再び減少して最小値『ROE
min』に達し、時刻t3から徐々に増加して『0』に
戻る。
【0012】スクラッチデータSCDが『0』で、図2
のようなレートオフセットエンベロープデータROEだ
けがレート発生手段13に入力したと仮定すると、レー
ト発生手段13は図3のようなレートデータRDをアド
レスカウンタ20に出力するようになる。従って、波形
メモリ21の再生スピードも図3のように変化すること
となる。すなわち、レートオフセットエンベロープデー
タROEが『0』の期間(t0〜t1)はレートデータ
RDは通常の再生スピードの値であるが、レートオフセ
ットエンベロープデータROEが時刻t1から徐々に減
少して『ROE1』になると、レートデータRDは
『0』となり、再生は停止する。そして、さらに時刻t
2からレートオフセットエンベロープデータROEが減
少して最小値『ROEmin』に達すると、レートデー
タRDは負の値となり、逆方向への再生を開始する。そ
して、時刻t3以降はレートオフセットエンベロープデ
ータROEが徐々に増加していきレートデータRDは正
の値となり、通常の再生スピードに達する。
【0013】音量エンベロープ発生手段23は、パラメ
ータ設定手段18によって予め設定されたパラメータに
応じた音量エンベロープ信号を押鍵検出手段12からの
ノートオンパルスNONPの入力に同期して乗算器24
に出力する。なお、音量エンベロープ発生手段23は、
イニシャルタッチデータやアフタタッチデータに基づい
てエンベロープ信号を可変制御して出力してもよい。
【0014】レート発生手段13は、押鍵検出手段12
からのノートコードNCD、スケーリング手段16から
のスクラッチデータSCD及びレートオフセットエンベ
ロープ発生手段19からのレートオフセットエンベロー
プデータROEを入力し、これらの信号に基づいたレー
トデータRDをアドレスカウンタ20に出力する。この
レートデータRDは、整数部と小数部とからなるデータ
である。なお、レート発生手段13の詳細構成について
は後述する。
【0015】アドレスカウンタ20は、押鍵検出手段1
2からのノートオンパルスNONPによって初期アドレ
スにリセットされ、レートデータRDの大きさに応じて
順次変化する波形メモリ21の読み出しアドレスを出力
する。なお、アドレスカウンタ20から出力される読み
出しアドレスのうち、波形メモリ21に出力されるの
は、整数部のデータであり、小数部のデータは補間手段
22に出力される。アドレスカウンタ20はレートデー
タRDの値が小さい時はアドレスの増加量は小さくな
り、楽音波形信号の音高も低くなり、レートデータRD
が大きい時はアドレスの増加量も大きくなり、楽音波形
信号の音高も高くなる。また、逆にアドレスカウンタ2
0はレートデータRDの値が負の場合には、アドレスを
順次減少させ、波形メモリ21から波形データを逆方向
に読み出すようになる。なお、アドレスカウンタ20の
詳細構成については後述する。波形メモリ21は、図4
のように立上り部(アタック部)の波形データとして複
数周期分、その後の持続部(ループ部)の波形データと
して1周期分を記憶しているものである。
【0016】補間手段22は、アドレスカウンタ20か
らアドレスの小数部を入力し、それに応じて波形メモリ
21の波形データを補間処理する。乗算器24は、補間
手段22で補間処理された楽音波形信号に音量エンベロ
ープ発生手段23からの音量エンベロープ信号を乗算
し、その乗算結果を楽音信号としてデジタル−アナログ
変換器(DAC)25に出力する。デジタル−アナログ
変換器25は乗算器24からの楽音波形データをアナロ
グの楽音信号に変換してサウンドシステム26に出力す
る。サウンドシステム26はスピーカ及び増幅器等で構
成され、DAC25からのアナログの楽音信号に応じた
楽音を発生する。
【0017】図5は、図1のレート発生手段13の詳細
構成を示す図である。fナンバ変換手段131は、押鍵
検出手段12からのノートコードデータNCDに応じた
周波数データfをレートオフセット発生手段132及び
加算器133に出力する。レートオフセット発生手段1
32は、加算器135からのオフセットデータX1及び
周波数データfを入力し、これに応じたレートオフセッ
トデータROを加算器133及び減算器138に出力す
る。図6はレートオフセット発生手段132のレートオ
フセットデータROの発生特性を示す図であり、横軸に
加算器135から出力されるオフセットデータX1を、
縦軸にレートオフセットデータROを割り当ててある。
図から明らかなように、レートオフセット発生手段13
2は、レートオフセットデータROとして最大値(1
6.000−f)から最小値(−16.000−f)ま
での値を出力する。
【0018】加算器133は周波数データfとレートオ
フセットデータROとを加算して、その加算値をレート
データRDXとして上位ビット拡張手段139に出力す
る。従って、加算器133からは最大値『16』から最
小値『−16』までのレートデータRDXが出力される
ようになる。レートデータRDXの最大値及び最小値の
絶対値を『16』としたのは、アドレスカウンタ20の
飛ばし読みの限界が4オクターブ(16サンプリング周
期)に相当するからである。
【0019】加算器134はスケーリング手段16から
のスクラッチデータSCDとレートオフセットエンベロ
ープ発生手段19からのレートオフセットエンベロープ
データROEとを加算し、その加算値『SCD+RO
E』を加算器135に出力する。加算器135は加算器
134からの加算値『SCD+ROE』と減算器138
からの減算値『X0−RO』とを加算し、その加算値X
1(=SCD+ROE+X0−RO)をディレイ回路1
36及びレートオフセット発生手段132に出力する。
ディレイ回路136は加算値X1を1サンプリング周期
だけ遅延させて、その遅延信号X0を減算器138に出
力する。減算器138は遅延信号X0からレートオフセ
ットデータROを減算し、その減算値『X0−RO』を
加算器135に出力する。すなわち、加算器135、デ
ィレイ回路136及び減算器138から構成されるルー
プは、加算器134から出力される加算値『SCD+R
OE』をインクリメント処理し、レートオフセットデー
タROをデクリメント処理する。従って、加算値『SC
D+ROE』によって加算値X1の値は徐々に大きくな
るが、加算値『SCD+ROE』がゼロになると、加算
値X1の値は今度は徐々に減少し、ゼロになる。
【0020】上位ビット拡張手段139は加算器133
からのレートデータRDXのビット数をアドレスカウン
タ20のビット数に適合するようにビット拡張を行い、
ビット拡張されたレートデータRDをアドレスカウンタ
20に出力する。このようにして、レート発生手段13
は、スケーリング手段16からのスクラッチデータSC
Dとレートオフセットエンベロープ発生手段19からの
レートオフセットエンベロープデータROEとの加算値
に応じて『+16』から『−16』までの範囲にあるレ
ートデータRDをアドレスカウンタ20に出力するよう
になる。なお、この電子楽器に従来技術で説明したピッ
チエンベロープ発生回路が発生するピッチエンベロープ
信号を付加する場合には、fナンバ発生回路131の前
段において、セント単位で与えられるノートコードデー
タに対してセント単位で与えられるピッチエンベロープ
信号を加算することにより実現される。
【0021】レート発生手段13の構成は上述の通りで
あり、レート発生手段13から発生されるレートデータ
の値を正の値から負の値まで任意に変化可能である。従
って、波形メモリ21が波形データの1周期分を記憶し
ているものや発音開始から終了(アタックからディケ
ィ)までの全波形データを記憶しているものであれば、
アドレスカウンタ20は単純にレートデータRDの値を
累算すればよい。ところが、この実施例では、波形メモ
リ21は図4のように立上り部(アタック部)の波形デ
ータとして複数周期分、その後の持続部(ループ部)の
波形データとして1周期分を記憶しているので、アドレ
スカウンタ20はレートデータRDを単純に累算処理し
ただけでは波形メモリ21から波形データを読み出すこ
とができない。そこで、この実施例ではアドレスカウン
タ20はこのような波形メモリ21から波形データを読
み出すために次のような構成になっている。
【0022】図7は図1のアドレスカウンタ20の詳細
構成を示す図である。なお、この実施例では、アタック
部の波形データを読み出している途中でレート発生手段
13からマイナスのレートデータRDが出力された場合
には、アドレスカウンタ20は波形メモリ21のアタッ
ク部の波形データを逆方向に読み出し、アタック部の波
形データを全て読み出した時点で読み出しを終了する。
また、ループ部の波形データを読み出している途中でマ
イナスのレートデータRDが出力された場合には、その
ループ部の波形データを逆方向に繰り返して読み出し、
アタック部の波形データの読み出しは行わない。
【0023】加算器41はレート発生手段13からのレ
ートデータRDを入力し、それにディレイ回路42、セ
レクタ回路43及びゲート回路44を経由して出力され
る1サンプリング周期前のレートデータを加算して減算
器45のプラス端子及びディレイ回路42に出力する。
ディレイ回路42は加算器41の加算結果(累算値)を
1サンプリング周期だけ遅延させて、セレクタ回路43
に出力する。セレクタ回路43はディレイ回路42及び
47の出力をセレクタ回路57の出力レベルに応じて選
択的にゲート回路44に出力する。
【0024】ゲート回路44は、ノア回路54からハイ
レベル“1”の論理和否定値を入力することによってゲ
ートを開き、ローレベル“0”を入力することによって
ゲートを閉じる。すなわち、ゲート回路44はノア回路
54を経由してノートオンパルスNONPを入力し、そ
れがハイレベル“1”になった時点でローレベル“0”
の論理和否定値をゲート回路44に出力し、そのゲート
を一旦閉じる。そして、ノートオンパルスNONPがロ
ーレベル“0”になった時点でハイレベル“1”の論理
和否定値をゲート回路44に出力し、そのゲートを開
く。従って、ゲート回路はノートオンパルスNONPを
入力する毎に累算値をリセットするという働きをする。
また、ゲート回路44は、ゲートを開いている間はセレ
クタ回路43からの累算値を加算器41、オールゼロ検
出器52及び加算器58に出力し続けるが、ノア回路5
4を経由してストップ信号発生器53からハイレベル
“1”のストップ信号SPを入力すると、その時点でゲ
ートを閉じることとなる。
【0025】アンド回路48はレートデータRDの最上
位ビット(MSB)及びループ部検出器51からのルー
プ信号LPを入力し、両方の論理積をとり、その結果を
セレクト信号SJとしてセレクタ回路49、50及び5
7に出力する。レートデータRDが正の値だと、その最
上位ビットはローレベル“0”であり、負の値だとハイ
レベル“1”である。ループ信号LPは加算器41から
出力される累算値が図4の波形データの波形スタートア
ドレスWSAからループエンドアドレスLEAまでの間
に位置する場合にはローレベル“0”であり、累算値が
一旦ループエンドアドレスLEA以上となりループスタ
ートアドレスLSAからループエンドアドレスLEAま
での間に位置する場合にはハイレベル“1”である。従
って、アンド回路48はレートデータRDが負の値であ
り、かつ、加算器41から出力される累算値がループス
タートアドレスLSAからループエンドアドレスLEA
までの間に位置する場合に限り、ハイレベル“1”のセ
レクト信号SJを出力し、これ以外の場合にはローレベ
ル“0”のセレクト信号SJを出力する。
【0026】セレクタ回路49は図4の波形データにお
けるループスタートアドレスLSA及びループエンドア
ドレスLEAを入力し、アンド回路48のセレクト信号
SJがローレベル“0”の時にループスタートアドレス
LSAを、ハイレベル“1”の時にループエンドアドレ
スLEAを加算器46に出力する。セレクタ回路50は
図4の波形データにおけるループスタートアドレスLS
A及びループエンドアドレスLEAを入力し、アンド回
路48のセレクト信号SJがローレベル“0”の時にル
ープエンドアドレスLEAを、ハイレベル“1”の時に
ループスタートアドレスLSAを減算器45のマイナス
端子に出力する。
【0027】減算器45は加算器41から出力される累
算値からセレクタ50で選択されたループスタートアド
レスLSA又はループエンドアドレスLEAを減算し、
その減算値を加算器46に出力する。累算値がループス
タートアドレスLSA又はループエンドアドレスLEA
よりも小さい場合には、減算器45の減算結果は負の値
となり、減算器45はハイレベル“1”のキャリーアウ
ト信号COをループ検出部51及びディレイ回路55に
出力し、逆に累算値がループスタートアドレスLSA又
はループエンドアドレスLEAよりも大きい場合には、
減算結果は正の値となるので、減算器45はローレベル
“0”のキャリーアウト信号COをループ検出部51及
びディレイ回路55に出力する。加算器46は減算器4
5の減算結果の値にセレクタ49で選択されたループス
タートアドレスLSA又はループエンドアドレスLEA
のいずれか一方を加算し、その加算値をディレイ回路4
7に出力する。ディレイ回路47は加算器46の加算値
を1サンプリング周期だけ遅延させて、セレクタ回路4
3に出力する。
【0028】ループ部検出器51は通常はローレベル
“0”のループ信号LPをアンド回路48及びストップ
信号発生器53に出力し続けるが、ノートオンパルスN
ONPを入力した後ノートオン信号NONがハイレベル
“1”の状態で、減算器45からローレベル“0”のキ
ャリーアウト信号COが発生した場合には、加算器41
の累算値が図4の波形データのループエンドアドレスL
EAに達したことを意味するので、ハイレベル“1”の
ループ信号LPを出力する。
【0029】オールゼロ検出回路52はゲート回路44
から出力される累算値を入力し、その値が『0』以下に
なった時点でオールゼロ信号AZをストップ信号発生器
53に出力する。ストップ信号発生器53はループ信号
LP、ノートオンパルスNONP及びオールゼロ信号A
Zを入力し、ノートオンパルスNONPを入力した後ル
ープ信号LPがローレベル“0”の状態でオールゼロ信
号AZを入力したら、その時点でハイレベル“1”のス
トップ信号SPをノア回路54に出力する。そして、ス
トップ信号発生器53はノートオンパルスNONPを入
力することによってリセットされ、ローレベル“0”の
ストップ信号SPを出力するようになる。
【0030】すなわち、この実施例においてゲート回路
44から出力される累算値が『0』以下になるというこ
とは、レートデータRDが負の値となり、アタック部の
波形データが逆方向に読み出されたことを意味する。従
って、ストップ信号発生器53はオールゼロ検出回路5
2からオールゼロ信号AZが出力された時点で波形メモ
リ21の読み出しを終了するために、ハイレベル“1”
のストップ信号SPをノア回路54に出力する。ノア回
路54はストップ信号SP及びノートオンパルスNON
Pを入力し、両者の論理和の否定値をゲート回路44に
出力する。すなわち、ノア回路54はストップ信号SP
及びノートオンパルスNONPが共にローレベル“0”
の場合にハイレベル“1”の論理和の否定値を出力し、
これ以外の場合にはローレベル“0”を出力する。従っ
て、ノア回路54はストップ信号発生器53からハイレ
ベル“1”のストップ信号SPを入力した時点で、ロー
レベル“0”の論理和否定値をゲート回路44に出力す
る。
【0031】ディレイ回路55は減算器45からのキャ
リーアウト信号COを入力し、それを1サンプリング周
期だけ遅延させてインバータ回路56及びセレクタ回路
57に出力する。インバータ回路56はディレイ回路5
5の出力の否定値をセレクタ回路57に出力する。セレ
クタ回路57はアンド回路48から出力されるセレクト
信号SJを入力し、そのレベルに応じていずれか一方の
入力信号をセレクタ43の選択端子に出力する。加算器
58は波形スタートアドレスWSAとゲート回路44か
ら出力される累算値とを加算し、それを波形メモリ21
の読み出しアドレスとして出力する。
【0032】次に、図7のアドレスカウンタ20の動作
例を説明する。まず、レートデータRDが正の値(一定
値)である場合におけるアドレスカウンタ20の動作を
説明する。鍵盤11が操作されると、押鍵検出手段12
はノートオンパルスNONPを出力する。このノートオ
ンパルスNONPを入力したループ部検出器51はルー
プ信号LPをローレベル“0”にリセットする。また、
ノア回路54はノートオンパルスNONPのハイレベル
“1”を入力することにゲート回路44にローレベル
“0”の論理和否定値出力する。ローレベル“0”の論
理和否定値を入力したゲート回路44はゲートを閉じる
ので、加算器41、ディレイ回路42、セレクタ回路4
3及びゲート回路44からなる累算ループの累算値は
『0』にリセットされる。従って、加算器58は波形ス
タートアドレスWSAを波形メモリ21に出力する。
【0033】そして、ノートオンパルスNONPがロー
レベル“0”に変化した時点で、ストップ信号発生器5
3はリセットされ、ローレベル“0”のストップ信号S
Pを出力する。ノア回路54はハイレベル“1”の論理
和否定値をゲート回路44に出力する。ゲート回路44
はハイレベル“1”の入力によってゲートを開くように
なる。このとき、レートデータRDは正の値なので、そ
の最上位ビットMSBとしてローレベル“0”がアンド
回路48には入力しているので、アンド回路48はロー
レベル“0”のセレクト信号SJをセレクタ回路49、
50及び57に出力する。セレクタ回路49はループス
タートアドレスLSAを加算器46に出力し、セレクタ
回路50はループエンドアドレスLEAを減算器45に
出力する。
【0034】また、セレクタ回路57はインバータ回路
56の否定値をセレクタ回路43に出力する。なお、ノ
ートオンパルスNONPが出力された時点においては、
加算器41から出力される累算値はループエンドアドレ
スLEAよりも小さいので、減算器45からはハイレベ
ル“1”のキャリーアウト信号COが出力され、セレク
タ回路57からはローレベル“0”のセレクト信号がセ
レクタ回路43に出力される。従って、セレクタ回路4
3はディレイ回路42の出力を選択してゲート回路44
を介して加算器58に出力する。加算器58は加算器4
1及びディレイ回路42を経由してきたレートデータR
Dと波形スタートアドレスWSAとの加算値『WSA+
RD』を波形メモリ21に出力する。以後、加算器4
1、ディレイ回路42、セレクタ回路43及びゲート回
路44からなる累算ループの累算値は『2×RD』、
『3×RD』、『4×RD』・・・のようにレートアド
レスRDに応じた値だけ増加していき、加算器58から
も『WSA+2×RD』、『WSA+3×RD』、『W
SA+4×RD』、・・・のような読み出しアドレスが
順番に出力されるようになる。
【0035】加算器41から出力される累算値『n×R
D』がループエンドアドレスLEAよりも小さい値、す
なわち、波形メモリ21からアタック部及びループ部の
波形データを一通り読み出していない時点で、レートデ
ータRDが負の値(ここでは『−rd』とする)に変化
した場合について説明する。この場合に、レートデータ
『−rd』は負の値なので、その最上位ビットMSBは
ハイレベル“1”となるが、アンド回路48には依然と
してローレベル“0”のループ信号LPが入力している
ので、そのセレクト信号SJはローレベル“0”のまま
であり、セレクタ43、49、50及び57の選択状態
は何ら変わらない。以後、加算器41、ディレイ回路4
2、セレクタ回路43及びゲート回路44からなる累算
ループの累算値は『n×RD−rd』、『n×RD−2
×rd』、『n×RD−3×rd』・・・のように負の
レートアドレス『−rd』に応じた値だけ減少してい
き、加算器58からも『WSA+n×RD−rd』、
『WSA+n×RD−2×rd』、『WSA+n×RD
−3×rd』、・・・のような読み出しアドレスが逆方
向に順番に出力されるようになる。
【0036】そして、このような累算処理をm回繰り返
し、『m×rd』が『n×RD』よりも大きく(m×r
d≧n×RD)なると、加算器58から出力される読み
出しアドレスが図4の波形データの波形スタートアドレ
スWSAに達したことを意味するので、オールゼロ検出
器52はオールゼロ信号AZをストップ信号発生器53
に出力する。ストップ信号発生器53はオールゼロ信号
AZを入力した時点で、ノア回路54にハイレベル
“1”のストップ信号SPを出力するので、ゲート回路
44が閉じて、もはやアドレスカウント処理は行われな
くなる。
【0037】今度は、加算器41から出力される累算値
がループエンドアドレスLEAよりも大きい値となり、
ループ部の波形データを繰り返し読み出している途中
で、レートデータRDが負の値『−rd』に変化する場
合について説明する。加算器41から出力される累算値
がループエンドアドレスLEAよりもΔaだけ大きくな
ると、減算器45から出力される減算値は正の値Δaと
なる。従って、減算器45はローレベル“0”のキャリ
ーアウト信号COを出力する。減算器45からローレベ
ル“0”のキャリーアウト信号COが出力するというこ
とは、アタック部及びループ部の波形データが一通り読
み出されたことを意味する。従って、ローレベル“0”
のキャリーアウト信号COを入力したループ部検出器5
1は、ノートオンパルスNONPによってリセットされ
るまでの間、ハイレベル“1”のループ信号LPをアン
ド回路48及びストップ信号発生器53に出力し続け
る。ストップ信号発生器53はハイレベル“1”のルー
プ信号LPの入力によって、これ以後、オールゼロ検出
器52からのオールゼロ信号AZの入力を無視する。
【0038】このように、ループ信号LPがハイレベル
“1”になったとしても、レートデータRDはまだ正の
値なので、アンド回路48は依然としてローレベル
“0”のセレクト信号SJを出力し続ける。従って、セ
レクタ回路49、50及び57の選択状態は変化しな
い。ところが、ディレイ回路55は1サンプリング周期
遅れた時点でローレベル“0”のキャリーアウト信号C
Oをインバータ回路56に出力するようになるので、セ
レクタ回路57はハイレベル“1”の信号をセレクタ回
路43の選択端子に出力する。セレクタ回路43はディ
レイ回路47の出力値をゲート回路44を経由して出力
する。ディレイ回路47の出力値は減算器45の減算値
ΔaとループスタートアドレスLSAとを加算した値
『LSA+Δa』である。従って、加算器58からは
『WSA+LSA+Δa』の読み出しアドレスが出力さ
れるようになる。
【0039】そして、次のサンプリング周期では、加算
器41はゲート回路44の出力値『LSA+Δa』とレ
ートデータRDとの加算値『LSA+Δa+RD』を新
しい累算値として出力する。この新しい累算値『LSA
+Δa+RD』はループエンドアドレスLEAよりも小
さいので、今度は減算器45はハイレベル“1”のキャ
リーアウトCOを出力する。ディレイ回路55は1サン
プリング周期遅れた時点でハイレベル“1”のキャリー
アウト信号COをインバータ回路56に出力するので、
セレクタ回路57はローレベル“0”のセレクト信号を
セレクタ回路43に対して出力する。従って、セレクタ
回路43はディレイ回路42の出力を選択してゲート回
路44を介して加算器58に出力する。加算器58は加
算器41及びディレイ回路42を経由してきた累算値
『LSA+Δa+RD』と波形スタートアドレスWSA
との加算値『WSA+LSA+Δa+RD』を波形メモ
リ21に出力する。
【0040】以後、加算器41、ディレイ回路42、セ
レクタ回路43及びゲート回路44からなる累算ループ
の累算値は『LSA+Δa+2×RD』、『LSA+Δ
a+3×RD』、『LSA+Δa+4×RD』・・・の
ようにレートアドレスRDに応じた値だけ増加してい
き、加算器58は『WSA+LSA+Δa+2×R
D』、『WSA+LSA+Δa+3×RD』、『WSA
+LSA+Δa+4×RD』、・・・のような読み出し
アドレスを順番に出力する。そして、加算器41から出
力される累算値が再びループエンドアドレスLEAより
も大きくなった時点で、今度はその減算値Δbとループ
スタートアドレスLSAとの加算値『LSA+Δb』に
対してレートデータRDを次々と加算していき、ループ
部の波形データを読み出していく。
【0041】このように波形メモリ21からループ部の
波形データが繰り返し読み出されている時点でレートデ
ータRDが負の値『−rd』に変化すると、レートデー
タの最上位ビットMSBはハイレベル“1”となる。こ
のとき、ループ信号LPは既にハイレベル“1”なの
で、アンド回路48はハイレベル“1”のセレクト信号
SJをセレクタ回路49、50及び57に出力し、それ
らの選択状態を変更させる。すなわち、セレクタ回路4
9はループエンドアドレスLEAを加算器46に出力
し、セレクタ回路50はループスタートアドレスLSA
を減算器45に出力する。セレクタ回路57はディレイ
回路55の出力をそのままセレクタ回路43の選択端子
に出力する。
【0042】なお、アンド回路48からハイレベル
“1”のセレクト信号SJが出力した時点におけるゲー
ト回路44の出力値がループスタートアドレスLSAよ
りも『LSE』だけ大きい値『LSA+LSE』だとす
ると、加算器41からは負のレートデータ『−rd』の
加算された値『LSA+LSE−rd』が出力する。減
算器45からの減算値『LSE−rd』が正の値であれ
ば、減算器45はローレベル“0”のキャリーアウト信
号COを出力する。セレクタ回路57はローレベル
“0”のセレクト信号をセレクタ回路43の選択端子に
対して出力する。セレクタ回路43はディレイ回路42
の出力を選択してゲート回路44を介して加算器58に
出力する。加算器58は加算器41及びディレイ回路4
2を経由して出力される加算値『LSA+LSE−r
d』と波形スタートアドレスWSAとの加算値『WSA
+LSA+LSE−rd』を波形メモリ21に出力す
る。
【0043】以後、加算器41、ディレイ回路42、セ
レクタ回路43及びゲート回路44からなる累算ループ
の累算値は『LSA+LSE−2×rd』、『LSA+
LSE−3×rd』、『LSA+LSE−4×rd』・
・・のように負のレートデータ『−rd』に応じた値だ
け徐々に減少していき、加算器58からも『WSA+L
SA+LSE−2×rd』、『WSA+LSA+LSE
−3×rd』、『WSA+LSA+LSE−4×r
d』、・・・のような読み出しアドレスが逆方向に順番
に出力され、波形メモリ21からはループ部の波形デー
タが逆方向に読み出されるようになる。そして、このよ
うな累算処理をm回繰り返し、『m×rd』が『LS
E』より大きくなると、加算器41から出力される累算
値『LSA+LSE−m×rd』はループスタートアド
レスLSAよりも小さくなる。加算器41から出力され
る累算値がループスタートアドレスLSAよりもΔcだ
け小さくなると、減算器45から出力される減算値は負
の値Δc(=LSE−m×rd)となる。従って、減算
器45はハイレベル“1”のキャリーアウト信号COを
出力する。従って、ハイレベル“1”のキャリーアウト
信号COを入力したディレイ回路55は1サンプリング
周期遅れた時点でハイレベル“1”のキャリーアウト信
号COをセレクタ回路57に出力する。セレクタ回路5
7はディレイ回路55の出力値、すなわちハイレベル
“1”の信号をそのままセレクタ回路43の選択端子に
出力する。セレクタ回路43はディレイ回路47の出力
値をゲート回路44を経由して出力する。ディレイ回路
47の出力値は減算器45の減算値『−Δc』とループ
エンドアドレスLEAとを加算した値『LEA−Δc』
である。従って、加算器58からは『WSA+LEA−
Δc』の読み出しアドレスが出力されるようになる。
【0044】そして、次のサンプリング周期では、加算
器41はゲート回路44の出力値『LEA+Δc』と負
のレートデータ『−rd』との加算値『LEA−Δc−
rd』を新しい累算値として出力する。この新しい累算
値『LEA−Δc−rd』はループエンドアドレスLE
Aよりも小さいので、今度は減算器45はローレベル
“0”のキャリーアウトCOを出力する。ディレイ回路
55は1サンプリング周期遅れた時点でローレベル
“0”のキャリーアウト信号COをセレクタ回路57を
介してセレクタ回路43に出力するので、セレクタ回路
43はディレイ回路42の出力を選択してゲート回路4
4を介して加算器58に出力する。加算器58は加算器
41及びディレイ回路42を経由してきた累算値『LE
A−Δc−rd』と波形スタートアドレスWSAとの加
算値『WSA+LEA−Δc−rd』を波形メモリ21
に出力する。
【0045】以後、加算器41、ディレイ回路42、セ
レクタ回路43及びゲート回路44からなる累算ループ
の累算値は『LEA−Δc−2×rd』、『LEA−Δ
c−3×rd』、『LEA−Δc−4×rd』・・・の
ように負のレートデータ『−rd』に応じた値だけ徐々
に減少していき、加算器58からも『WSA+LEA−
Δc−2×rd』、『WSA+LEA−Δc−3×r
d』、『WSA+LEA−Δc−4×rd』、・・・の
ような読み出しアドレスが逆方向に順番に出力され、波
形メモリ21からはループ部の波形データが逆方向に読
み出されるようになる。そして、加算器41から出力さ
れる累算値が再びループスタートアドレスLSAよりも
小さくなった時点で、今度はその減算値『−Δd』とル
ープエンドアドレスLEAとの加算値『LEA−Δd』
に対して負のレートデータ『−rd』を次々と加算して
いき、ループ部の波形データを逆方向に読み出す。
【0046】なお、上述の実施例では、波形データを記
憶している波形メモリの読み出しについて説明したが、
これに限らず、ダイレクトトゥディスクのようにハード
ディスク上に記憶された音声ファイルを読み出す場合に
適用してもよいことはいうまでもない。また、実施例で
は、スクラッチ円盤14は、円盤状の回転テーブルから
なる操作子と、この操作子の回転方向及び回転量に応じ
たパルス信号を発生するロータリーエンコーダーとから
構成され、角度変化検出手段15はスクラッチ円盤14
から出力されるパルス信号を入力し、それに基づいてス
クラッチ円盤14の回転角度の変化量(相対位置)を検
出する場合について説明したが、これに限らず、スクラ
ッチ円盤及び角度変化検出手段をピッチベンドホイール
のような中点復帰型のホイールで構成してもよい。すな
わち、中点復帰型ホイールは中点位置を基準値ゼロとし
てその回転方向及び回転位置に応じて正負の相対速度デ
ータを出力しても、その回転方向及び回転位置に応じた
正負の加速度データを出力してもよい。
【0047】また、上述の実施例では、レート発生手段
13は、スクラッチデータSCDとレートオフセットエ
ンベロープ発生手段19からのレートオフセットエンベ
ロープデータROEとの加算値に応じて『+16』から
『−16』までの範囲にあるレートデータRDをアドレ
スカウンタ20に出力する場合について説明したが、こ
れに限らず、スクラッチデータSCDとレートオフセッ
トエンベロープデータROEとの乗算値を所定範囲のレ
ートデータRDとして出力しても、スクラッチデータS
CDとレートオフセットエンベロープデータROEのい
ずれか一方のみに応じてレートデータRDを出力しても
よい。
【発明の効果】この発明によれば、所定のサンプリング
順番で記憶された波形データを逆方向に読み出し、レコ
ードを逆回転させることによって生じるスクラッチ効果
と同じような特殊な効果を楽音に付与することができる
という効果を有する。特に、所望のピッチに対応する読
出しレートをスクラッチ制御データによって変更する構
成であるため、スクラッチアクションに応じて発生する
スクラッチ制御データの値は、所望のピッチ変更量に応
じた相対的な値であってよく、従って、スクラッチアク
ションに過度の大きな動きやスピードが要求されること
がなく、極めて簡便で済む。また、スクラッチ制御デー
タが発生されなくなった場合若しくは変更を指示しない
所定値に設定された場合は、読出しレートが変更され
ず、所望のピッチでの通常のサウンド波形再生が行われ
るので、スクラッチアクションをやめたとき、通常のサ
ウンド再生を保証することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係る波形データ読み出し装置を内
蔵した電子楽器の全体構成を示すハードブロック図であ
る。
【図2】 図1のレートオフセットエンベロープ発生手
段の発生するレートオフセットエンベロープデータRO
Eの一例を示す図である。
【図3】 図2のレートオフセットエンベロープデータ
ROEを入力したレート発生手段が発生するレートデー
タの一例を示す図である。
【図4】 図1の波形メモリに記憶されている波形デー
タの内容を示す図である。
【図5】 図1のレート発生手段の詳細構成を示す図で
ある。
【図6】 図4のレートオフセット発生手段のレートオ
フセットデータROの発生特性を示す図である。
【図7】 図1のアドレスカウンタの詳細構成を示す図
である。
【符号の説明】
11…鍵盤、12…押鍵検出手段、13…レート発生手
段、14…スクラッチ円盤、15…角度変化検出手段、
16…スケーリング手段、17…レンジ設定手段、18
…パラメータ設定手段、19…レートオフセットエベロ
ープ発生手段、20…アドレスカウンタ、21…波形メ
モリ、22…補間手段、23…音量エンブロープ発生手
段、24…乗算器、25…デジタル−アナログ変換器、
26…サウンドシステム、131…fナンバ変換手段、
132…レートオフセット発生手段、133,134,
135…加算器、136…ディレイ回路、138…減算
器、139…上位ビット拡張手段、41,46,58…
加算器、42,47,55…ディレイ回路、43,4
9,50,57…セレクタ回路、44…ゲート回路、4
5…減算器、48…アンド回路、51…ループ部検出
器、52…オールゼロ検出器、53…ストップ信号発生
器、54…ノア回路、56…インバータ回路

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 音に関する波形データを所定の順序で記
    憶している波形記憶手段と、 前記波形記憶手段から前記波形データを所望のピッチに
    対応して読み出すための読出レートを指定するレート指
    定手段と、読出しレート及び読出し方向を制御するための時間的に
    可変のスクラッチ制御データを発生するスクラッチ制御
    手段と、 前記レート指定手段によって指定された読出しレートを
    前記スクラッチ制御データに従って変更するものであっ
    て、変更された読出しレートは読出し方向の制御のため
    に正又は負の値を持つ レート変更手段と、 前記レート変更手段から与えられる前記変更された読出
    しレートに基づき、該読出しレートに対応する速さでか
    つその正負に応じて順又は逆方向に変化する波形データ
    読出用アドレス信号を順次生成し、該アドレス信号に従
    って前記波形記憶手段から前記波形データを読み出し、
    これにより、前記変更された読出しレートとその正負に
    依存して前記波形記憶手段からの前記波形データの読み
    出し速度とその読出方向が制御されるようにした読出
    手段とを備えた波形データ読み出し装置。
  2. 【請求項2】 前記レート変更手段は、前記変更された
    読出しレートが所定範囲内に収まるようにリミット処理
    を施す手段を含んでいる請求項1に記載の波形データ読
    み出し装置。
  3. 【請求項3】 前記レート変更手段は、前記スクラッチ
    制御データが所定値を示しているとき前記読出しレート
    を変更せず、前記スクラッチ制御データが前記所定値以
    外の値を示しているとき前記読出しレートを変更する請
    求項1に記載の波形データ読み出し装置。
  4. 【請求項4】 前記レート変更手段は、前記レート指定
    手段で指定された読出しレートを示すレートデータを前
    記スクラッチ制御データによって変更するための演算を
    行う演算手段を含み、前記スクラッチ制御データが所定
    値を示しているとき前記レートデータを変更せずに前記
    演算手段から出力し、前記スクラッチ制御データが前記
    所定値以外の値を示しているとき前記レートデータを変
    更した演算結果を前記演算手段から出力するものであ
    り、 前記読出制御手段は、前記変更されたレートデータが正
    の値を示すとき該レートデータに対応する速度で前記波
    形記憶手段から前記波形データを順方向に読み出し、負
    の値を示すときは逆方向に読み出し、変更されたレート
    データが0のときは波形データ読出しの進行を中断する
    ものである請求項1に記載の波形データ読み出し装置。
  5. 【請求項5】 前記波形記憶手段は、アタック部の波形
    データとループ部の波形データとを記憶しており、 前記読出制御手段は、波形データの順方向の再生読出
    は、アタック部の波形データを読出した後、ループ部の
    波形データを繰返す読み出すことにより行い、前記ルー
    プ部の波形データを読出している最中に前記スクラッチ
    制御手段によって逆方向読出しが指示されたならば、ル
    ープ部の波形データのみを逆方向に読出し、逆方向読出
    し指示が終わるまでループ部の逆方向読出しを繰返すよ
    うにした請求項1に記載の波形データ読み出し装置。
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