JP2733548B2 - 低収縮率、高強力ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)糸及びその製造方法 - Google Patents

低収縮率、高強力ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)糸及びその製造方法

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JP2733548B2 JP2283253A JP28325390A JP2733548B2 JP 2733548 B2 JP2733548 B2 JP 2733548B2 JP 2283253 A JP2283253 A JP 2283253A JP 28325390 A JP28325390 A JP 28325390A JP 2733548 B2 JP2733548 B2 JP 2733548B2
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、工業用ポリアミド糸、特に、低収縮率を有
する高強力ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)糸及びこ
のような糸の製造方法に関する。
本発明を要約すれば、50より大きい相対粘度と、少な
くとも約9.5g/dの強力と、少なくとも約30g/dのモジュ
ラスと、160℃で約2%未満の収縮率と、約83より大き
い結晶完全指数(crystal perfection index)と、約10
5Åより大きい長周期面間距離(long period spacing)
を有しそして少なくとも約85重量%ポリ(ヘキサメチレ
ンアジパミド)であるポリアミド糸が開示される。この
糸を製造する方法は、少なくとも最終延伸段階で少なく
とも約190℃に加熱しながら供給糸を延伸し、次いで少
なくとも約190℃に加熱しながら張力を減少させて、約1
3/5%乃至約30%の長さ減少を生じさせ、糸を冷却しそ
してパッケージングすることを含む。
非常に多様な高強力ポリアミド糸が知られており、様
々な目的で商業的に使用されている。このようなポリア
ミド糸の多くは、高強力、即ち、一般に最大10.5g/d、
によりタイヤのコードに有用である。このような糸は、
タイヤコードに転換するための許容できるレベル、典型
的には160℃で5−10%、の乾燥熱収縮率も有する。
ロープ、工業用布、エアバツグ及び強化ゴム製品、例
えばホース及びコンベヤベルトなどの或る種の用途に
は、タイヤ糸の収縮率よりも小さい収縮率を有する糸が
望ましい。いくつの低収縮率糸が知られているが、この
ような糸の強力は、一般に収縮率の減少と共に減少す
る。かくして、低い強力は、より大きいデニールの使用
又は最終用途において糸の数を増加させることを必要と
するが、これは通常望ましくない。延伸後に比較的長期
間スチーム処理するなどの処理行程を用いる方法によ
り、高強力レベルの他の低収縮率糸が製造されたが、こ
のような方法は、通常は商業的生産にはあまり適してい
ない。更に、このような方法により製造された糸は、典
型的には大幅に減少したモジュラスレベルと、望ましく
ない持続応力下の伸び(growth)特性を有する。
非常に低い収縮率と同時に高強力を有する熱安定ポリ
アミド、特に、低収縮張力(low shrinkage tension)
と高モジュラスを含む特性のバランスを持つポリアミド
糸が、このような用途には高度に望ましいであろう。こ
のような糸は、それが商業的に実施可能な方法により容
易に製造されるならば尚一層望ましい。
本発明に従えば、50より大きい相対粘度と、少なくと
も約9.5g/dの強力と、少なくとも約30g/dのモジュラス
と、160℃で約2%未満の乾燥熱収縮率と、約83より大
きい結晶完全指数(crystal perfection index)と、約
105Åより大きい長周期面間距離(long period spacin
g)を有する、少なくとも約85%ポリ(ヘキサメチレン
アジパミド)であるポリアミド糸が提供される。
本発明の好ましい形態に従えば、糸は、約35g/dより
大きいモジュラスと少なくとも約1.15g/cc密度を有す
る。本発明に従う好ましい糸は、約10g/dより大きい強
力と約0.37g/dより小さい最大収縮張力(maximum shrin
kage tensions)を有する。本発明に従う糸は、好まし
くは、約18%より大きい破断点伸びと200g/d・%より大
きい靱性値を有する。
本発明に従う新規な高強力糸は、高モジュラスを含む
最終用途特性の優れた組み合わせを保持しなが、2%未
満の乾燥熱収縮率を有する。更に、好ましい糸の乾燥熱
収縮張力は、約0.37g/dを越えない。かくして、糸が拘
束されている織布などの用途においては、実際の収縮率
は160℃での糸の収縮率よりは相当少ないことがある。
本発明に従えば、少なくとも約9.0g/dの強力と、約2
%未満の乾燥熱収縮率と、少なくとも約30g/dのモジュ
ラスを有する少なくとも約85%ポリ(ヘキサメチレンア
ジパミド)糸を、延伸又は部分延伸又は未延伸供給糸か
ら製造する方法が提供される。この方法は、供給糸を加
熱しながら、少なくとも最終延伸段階で糸を延伸するこ
とを含む。延伸及び加熱は、糸が少なくとも約190℃の
糸延伸温度に加熱されるとき、延伸張力が少なくとも約
3.8g/dに達するまで続けられる。糸の張力は、約13.5乃
至約30%、好ましくは約15%乃至約25%の最大長さ減少
率まで糸の長さを減少させるのに十分に、延伸後に減少
させる。緩和中は、糸は、最大長さ減少率に達すると
き、少なくとも約190℃の糸緩和温度に加熱される。
好ましい方法では、緩和中の加熱は、糸が約83より大
きい結晶完全指数を有するようになるのに十分な期間続
けられる。好ましくは、張力の減少は、少なくとも初期
緩和中に部分的に糸の張力を減少させて初期長さ減少を
生じさせ、次いで更に、最終緩和期間に糸の長さをその
最大長さ減少率まで減少させることにより行なわれる。
好ましい方法では、糸緩和温度は、最大長さ減少率に到
達するにつれて、約220℃乃至約320℃のオーブン中で約
0.5秒乃至約1.0秒間加熱することにより得られる。
本発明の方法は、多数本の供給糸のたて糸を高強力と
低収縮率を持つ糸に転換することができる、商業的に実
施可能な方法を提供する。未延伸乃至“完全延伸”の範
囲の供給糸を本方法で都合良く使用することができる。
完全延伸糸が本方法において供給糸として使用される場
合には、これらの糸の収縮率は、高強力、高い伸び及び
高モジュラスなどの他の機能的性質を維持しながら、2
%以下のレベルに減少させることができる。未延伸又は
部分延伸供給糸を使用する場合には、それらは、高強
力、低収縮率及び高モジュラス糸に転換されうる。
本発明に従う糸に有用な繊維形成性ポリアミドは、ギ
酸基準で約50以上の相対粘度を有しそして典型的には紡
糸可能であって、延伸により高強力繊維を生じる、少な
くとも約85%ポリ(ヘキサメチレンンアジパミド)であ
る。好ましいポリアミドは、約60以上の相対粘度を有す
る。好ましくは、ポリアミドは、しばしば66ナイロンと
呼ばれるホモポリマーポリ(ヘキサメチレンンアジパミ
ド)である。
本発明に従う糸の強力は、高強力を必要とする用途に
有用ならしめることができる少なくとも約9.5g/dであ
る。好ましくは、糸強力は、少なくとも約10.0g/dであ
る。本発明の糸では、糸強力が、約12.0g/d又はそれ以
上の高いものであることができる。好ましい糸のモジュ
ラスは、少なくとも約30g/d、好ましくは、少なくとも
約35g/dである。約60g/d又はそれ以上までのモジュラス
値が可能である。好ましい破断点伸びは少なくとも約18
%であり、そして約200g/d・%より大きい、最も好まし
くが約225g/d・%以上の好ましい靱性値(強力×破断点
伸び)をもたらす約30%という高い値であることができ
る。靱性は約300g/d・%という高いものであることがで
きる。
糸のデニールは、目的の最終用途及び糸を製造するの
に使用した装置の容量に依存して広く変わる。典型的な
デニールは、例えば、100−4000デニールのオーダーで
ある。デニール/フィラメント(dpf)も広く変わるこ
とができるが、一般に大抵の工業的用途には約1デニー
ル乃至約30デニール、好ましくは約3乃至約7dpfであ
る。
本発明の糸の乾燥熱収縮率160℃で2.0%未満であり、
これは、低収縮率が望ましい用途に特に糸を良く適した
ものとする。一般に、収縮率を約0.3%以下に減少させ
且つ依然として高強力と高モジュラスを保持することは
非常に困難であり、かくして好ましい収縮率範囲は約0.
3%乃至約2.0%である。本発明の糸では、収縮張力は、
ポリマーの融点に近付くまで、即ち約250℃以上まで最
大収縮張力が起こらないので、典型的な使用温度では過
度に低い。最大収縮長力は好ましくは約0.37g/d未満、
最も好ましくは約0.30g/d未満である。本発明の糸の収
縮張力レベルは約0.15g/d又はそれ以下という低いもの
であることができる。好ましい糸の持続応力下の伸び
(growth)は約9%未満でありそして5%又はそれ以下
という低いものであることができる。
本発明に従う糸の高強力、低収縮率及び高モジュラス
の組み合わせ及び他の有用な性質は、繊維の新規な微細
構造による。新規な微細構造は、従来ポリアミド繊維で
は観察されなかった約83より大きい結晶完全指数(CP
I)を含む性質の組み合わせにより特徴付けられる。約1
05Åより大きい長周期面間距離も又本発明の繊維の特性
である。約2.7より大きい規格化された長周期強度(nor
malized long period intensity)(LPI)が本発明に従
う好ましい繊維で観察される。見掛けの微結晶サイズ
(ACS)は非常に大きく、好ましくは100面で約62Åより
大きい。本発明の好ましい糸は、約1.15g/ccより大きい
高い密度と、約0.056より大きい複屈折の値を有する。
好ましい糸は、約80g/dより大きいソニックモジュラス
(sonic modulus)を有する。
繊維微細構造は下記の如く働いて、高強力、低収縮
率、高モジュラス及び他の優れた性質の組み合わせを与
えると考えられる。ポリアミド繊維には、機能的に直列
に接続されておりそして繊維の性質を決定する少なくと
も2つの相がある。これらの相の1つは結晶性であり、
そして事実上、高度に1次元の分子網目の節である結晶
から構成される。結晶を接続するのは非結晶性ポリマー
鎖セグメントである。これらのコネクター分子の濃度
(即ち単位断面積当たりの数)及び均一度は最終繊維強
度を決定する。
本発明に従う繊維では、格段に高い密度、高い結晶完
全指数及び高い見掛けの結晶サイズにより示されるよう
に、結晶化度は非常に高く、これは、コネクター分子の
熱収縮力(thermal retraction)による収縮に感受性の
繊維のフラクションを減少させる。本繊維は、高度に延
びた構造を有するが、高い複屈折及び低収縮率及び低収
縮張力により示されるように低い内部応力を有する。更
に、本発明の繊維においては、コネクター分子は、繊維
軸に垂直な面を横切るそれらの濃度が非常に高レベルで
あるように組織化されていると考えられる。それにより
コネクター分子は、依然として強度を増加させると共に
モジュラスを維持しながら、収縮を減少させるように相
互に干渉するのに十分に横方向に互いに近接していると
考えられる。
本発明に従う糸は、注意深く制御された延伸及び緩和
行程を含む本発明に従う方法により公知のポリアミド糸
から製造することができる。この方法は、本発明の糸の
製造に関する経済性を改良するために、多数本の供給糸
のたて糸を使用して実施するのが有利である。
以下にもっと明らかとなるように、本発明の糸を製造
するための供給糸は良好な品質のものでなければなら
ず、そして“完全に”延伸された糸、又は部分延伸され
た糸又は未延伸糸であることができる。良好に品質の供
給糸、即ち、破断フィラメントが少なく、糸に沿っての
デニール変動性が低く、つや消し又は大きい球晶なの必
須でない物質を殆ど又は全然含まないポリマーから成る
糸が、許容できるプロセス連続性に必須である。“完全
に”延伸された、とは、現在使用されている商業的に実
施されている製造方法において目的の最終用途のための
高い強力レベルまで延伸されている糸に相当する性質を
持った糸を指すことを意図する。供給糸として使用する
のに適した典型的な商業的に入手可能な“完全に”延伸
された糸は、約8−10.5g/dの強力と約0.050−0.060の
複屈折を有する。部分延伸供給及び未延伸供給糸は典型
的には広く商業的に入手可能ではないが、当業界では周
知されている。部分延伸糸は、或る程度まで延伸されて
いるが、一般に更に延伸しなければ有用ではない。この
ような部分延伸糸は典型的には約0.015−0.030の複屈折
を有する。未延伸とは、紡糸されそして急冷されている
が、急冷までに紡糸の後延伸されていない糸を指すこと
を意図する。典型的には、未延伸糸の複屈折は約0.008
のオーダーである。
添付図面を参照すると、“完全”延伸供給糸、部分延
伸供給糸又は未延伸供給糸から本発明に従う糸を製造す
るのに本発明の方法で使用することができる装置10を例
示する。単一本数プロセス(single end process)が示
されそして説明されているが、この方法は、経済性を改
良するのに多数本の供給糸のたて糸を使用する多数本プ
ロセスにそのまま適用できる。図面を参照すると、供給
糸Yは供給パッケージ12から導かれ、適当な糸張力制御
要素14を通過し、一般に番号16で示された延伸ゾーンに
入る。延伸ゾーン16では、供給糸は延伸されると共に、
以下に更に明らかになるように、少なくとも最終延伸段
階で同時に加熱される。延伸及び加熱は、少なくとも約
190℃の糸延伸温度に糸が加熱されるとき、少なくとも
約3.8g/dの延伸張力が糸に加えられるまで、行なわれ
る。これを達成するために、異なる供給糸には、異なる
延伸段階、異なる総延伸比及び異なる加熱パターンが使
用される。例えば、未延伸糸では、初期未加熱延伸段階
を伴う5.5倍又はそれ以上の総延伸が必要であるが、
“完全”延伸糸で1.1−1.3倍の延伸が適当である。部分
延伸糸は或る中間比まで延伸することができる。すべて
のタイプの供給糸の延伸において、最終延伸段階での強
力は、測定されるとすれば、典型的な“完全”延伸糸の
初期強力よりは約10%乃至30%大きい強力まで、即ち約
10.5−12.5g/dまで増加するであろう。
最終延伸段階では、延伸は、糸が加熱されるにつれ
て、増加させて行うのが好ましい。延伸は、一連の引き
続く延伸段階を伴って加熱式ロールで開始することがで
きる。延伸張力が少なくとも約3.8g/dであるときに到達
するべき高い温度により、糸の非接触加熱が行なわれる
このような加熱は、強制空気オーブン中で、赤外ヒータ
又はマイクロ波ヒータ等を使用して達成することができ
るが、オーブン中での加熱が好ましい。
再び図面を参照すると、例示された方法の延伸ゾーン
16での糸Yの延伸は、集約的に18として示されそして個
々に18a−18gとして示された7個の延伸ロールからなる
第1ロールセツトを糸が曲がりくねって進むにつれて開
始される。これらのロールは、加熱された油の循環によ
り内部加熱されるなどにより加熱されることができるゴ
デットロールにより与えられるのが好適である。更に、
ロールの回転速度は、前記ロールセットの各引き続くロ
ール間で糸に典型的には、5%乃至1%の延伸を与え
て、糸を僅かに延伸しそしてロール糸との緊密な接触を
保つように制御される。糸Yは、ニップロール20により
第1ロール(ゴデツトロール)18aに押し付けられて滑
りを防止する。
糸Yは、次いで第2ロールセット22の7個の延伸ロー
ル22a−22gに進む。これらのロールは内部加熱されてお
り、そしてその回転速度は第1ロールセット18と同様に
制御される。典型的には、ロールの回転速度は、第1ロ
ールセットの場合と同じく、ロールセットの各引き続く
ロール間で糸に典型的には、5%乃至1%の延伸を与え
るように制御される。第1ロールセット18と第2ロール
セット22との(ロール18aとロール22aとの)速度差は、
糸がロールセット間で進行するにつれて糸を延伸するよ
うに変えることができる。未延伸供給糸では、延伸の大
部分、即ち、2.5−4倍は、通常第1ロールセットと第
2ロールセットとの間の“空間”(“space")延伸区域
で行なわれ、第1ロールセット18の加熱は適度であるか
(moderate)又は全然行なわれない。“完全”延伸供給
糸では、第1ロールセット18と第2ロールセット22との
間では典型的には実質的に延伸は与えられず、そして第
1ロールセット18は、所望により省略されることができ
る。しかし糸をロール18aとロール20のニップを通して
進めて、糸の積極的係合を確立しそして後の延伸中に滑
りを回避することは有用である。部分延伸糸は、空間延
伸後に糸に生じる全体の延伸が“完全”延伸供給糸と同
様であるか又はそれより幾分少なくなるように、一般に
前記空間延伸ゾーンで必要に応じて延伸されるべきであ
る。通常は、すべてのタイプの供給糸について、例えば
典型的には約150−215℃のロール温度である高められた
温度での最終延伸に備えて導くことによって、糸を加熱
するのに第2ロールセット22を使用する。
第2ロールセット22を通りすぎた後、糸Yは、2個の
オーブン24及び26により与えられた加熱延伸区域に入
る。これらのオーブンは、少なくとも約300℃のオーブ
ン温度を与える能力のある強制空気型であることができ
る。本方法の最大延伸を達成する最終延伸段階は、加熱
延伸区域で行なわれる。オーブンでの滞留時間及びオー
ブンの温度は、糸Yが少なくとも約190℃に加熱される
が、糸の温度はポリアミドの融点を越えたり又はポリア
ミドの融点に余りにも近付くことはできないような滞留
時間及び温度である。加熱を有効に達成するために、オ
ーブンの温度は、典型的なプロセス速度で糸の温度を13
0℃又はそれ以上も越えることがある。本発明のポリ
(ヘキサメチレンンアジパミド)糸では、好ましい糸で
温度は約190℃乃至240℃であり、オーブン温度は、約0.
5秒乃至約1.0秒の対流時間で、好ましくは約220℃乃至
約320℃である。加熱延伸区域での延伸は、第2ロール
セット22の第1ロール22aの速度と、オーブン24及び26
を去った後糸が曲がりくねって通過するところの第3ロ
ールセット28(7個のロール28a−28g)の第1ロール28
aの速度とにより決定される。本方法の全延伸は、第1
ロールセットの第1ロール18aの速度と、第3ロールセ
ットの第1ロール28aの速度とにより決定される。第3
ロールセットの第1ロール28aが延伸ゾーン16の端部を
指示する。その理由は、第1及び第2ロールセットと違
って、第3ロールセット28の引き続くロールの速度は、
糸が進むにつれて0.5−1.0%減少するからである。かく
して、一般に番号30により示された本方法の緩和ゾーン
はロール28aで始まる。
緩和ゾーン30では、糸は、制御された方式で(張力を
減少させそして糸の長さを減少させる)約13.5%乃至30
%、好ましくは約15%乃至約25%緩和される。約190℃
以上の糸緩和温度に達するように、糸は緩和中加熱され
る。緩和中プロセス連続性を保持しそして生成物の高モ
ジュラス及び持続応力下の低い伸び(low growth)を保
つのを助長するために、小さな張力、典型的には約0.1g
/d以上の張力が糸に維持されるべきである。
緩和は、糸が加熱されるにつれて増加して行なわれる
のが好ましい。初期緩和は、加熱されたロールで行うこ
とができ、そして初期緩和増分(initial relaxation i
ncrement)以内の一連の引き続く緩和段階であるのが有
利である。最終緩和増分中に必要な高温により、好まし
くはオーブン中での糸の非接触加熱が好ましい。好まし
い方法では、緩和中の加熱は、糸が約83より大きい結晶
完全指数を有するようになるのに十分な期間続けられ
る。
図面に示されるように、例示された好ましい方法での
緩和は、最初に、ロールが約150−215℃に加熱されてい
る第3ロールセット28での増分緩和(incremental rela
xation)により行なわれる。次いで、糸はオーブン(緩
和オーブン)32及び34を通過する。これらのオーブン
は、少なくとも約300℃の最大オーブン温度を与えるこ
とができ、その間に最大緩和が起こる。必要な糸緩和温
度を達成するのは、オーブン温度及びオーブン中の糸の
対流時間に依存する。好ましくは、オーブンは、合理的
なプロセス速度で有効な加熱のために糸の温度を約130
℃も越える温度の空気を含む。本発明のポリ(ヘキサメ
レンンアジパミド)糸では、好ましい糸温度は、約190
℃乃至約240℃であり、オーブン温度は、約0.5秒乃至約
1.0秒の対流時間で、好ましくは約220℃乃至約320℃で
ある。
糸がオーブン32及び34を通過した後、次いで糸Yは、
3個のロール(36a−36c)からなる第4ロールセツト36
を曲がりくねって通過し、糸Yはニップロール38により
最後のロール36cに押し付けられて、滑りを防止する。
第4ロールセット36の表面は、急冷された水で内部冷却
して、糸の温度を巻き取りに適したレベルまで減少させ
るのを助けることができる。安定な糸の走行を生じさせ
そしてロール36bでの巻き付けを回避するために、糸は
ロール36cで僅かに再張力をかけられる。かくして全緩
和は、第3ロールセット28の第1ロール28aと第4ロー
ルセット36の第1ロール36aとの速度差により決定され
る。
本方法の緩和ゾーン30を去った後、糸Yは、糸のフィ
ラメントを共にもつれ合わせるためのインターレースジ
ェット(示されていない)、糸に糸仕上げ剤又は他の処
理を施すための仕上げアプリケータ42を含むことができ
る糸表面処理ゾーン40を通して送られる。巻き取りステ
ーシヨン(示されていない)で、多数本糸Yは、出荷及
び他の使用のために適当なパツケージに巻き取られる。
多数本のたて糸用に例示された装置を使用する本発明
に従う方法において、好ましい巻きとり速度は、150mpm
乃至750mpmである。以下の実施例により本発明を説明を
するが、これに限定されるものではない。糸の物性は以
下の試験方法に従って測定する。パーセントは特に指示
がない限り重量基準である。
試験方法 状態調節:糸の束は試験前最小2時間の間、55%±2%
の相対温度、74゜F±2゜F(23℃±1℃)の雰囲気中で状
態調節され、別に指示ない限り同様の条件下で測定され
た。
相対粘度:相対粘度は細管粘度計、25℃で測定された溶
媒の粘度と溶液の粘度の比で表される。
該溶媒は10重量%の水を含むぎ酸である。該溶液は溶
媒に溶解された8.4重量%ポリアミドポリマーである。
デニール:デニールまたは線状密度は9000メーターの糸
のグラム重量である。デニールは既知の長さ、通常45メ
ーターの糸を多フィラメントの糸束からデニール・リー
ルに送り、0.001gの精度で天秤で測定する。デニールは
次いで45メーターの長さの測定重量から計算される。
引っ張り物性:引っ張り物性(破断時の強度および伸び
とモジュラス)はLiによる米国特許第4,521,484の第2
欄第61行目から第3欄第6行目までの記載のように測定
したので、その開示を参照されたい。
初期モジュラスは、応力歪曲線の“初期”直線部分へ
の接線方向に引いた直線の傾きから決定される。該“初
期”直線部分は、全荷重の0.5%に始まる直線部分とし
て定義される。例えば、600−1400デニール糸の全荷重
は50ポンドである;従って、応力歪曲線の“初期”直線
部分は0.251bsから始まる。1800−2000デニール糸の全
荷重は100ポンドであり、曲線の“初期”直線部分は0.5
1bsから始まる。
強靱性:強靱性は測定された強度g/dと測定された破断
時の伸び(%)との積として計算される。
乾燥熱収縮:乾燥熱収縮はテストライト社(Testrite L
TD.Halifax、England.)製テストライト(Testrite)収
縮機(Shrinkage instrument)により測定される。2
4"(61cm)長の多フィラメント糸はテストライトに挿入
され、160℃、荷重0.05g/dで2分後の収縮が記録され
る。初期および最終長さが荷重0.05g/d下で決定され
る。最終長さは糸が160℃の間に測定される。
収縮張力:最大収縮張力と最大収縮張力における温度が
米国特許第4,343,860第11欄15から33行目の記載のよう
にして測定され、その開示を参照されたい。当該方法で
は、10cmの糸の輪は毎分30℃でオーブン中で加熱され、
張力が測定され、温度に対してプロットされ、張力/温
度スペクトルが得られる。糸の試料は糸の融点(260−2
65℃)まで加熱された。最大収縮張力での温度と最大収
縮張力または力は張力/温度スペクトルから直接読まれ
る。
伸び:糸の伸びは50から60cmの糸を支持台からたらし、
荷重0.01g/dでのその初期長さと、次いで荷重1.0g/d下3
0分後のその長さを測定することにより測定される。伸
びは下式により%として計算される: ここにL(f)は30分後の最終長さであり、L(i)
は初期長さである。
複屈折:本発明の糸の光学係数は、以下の例外および追
加と共に、フランクフォート(Frankfort)とクノック
ス(Knox)の米国特許4,134,882の第9欄第59行目から
第10欄第65行目に記載の方法で測定され、その開示を参
照されたい。
第1に、ポラロイド(Polaroid) T−410フィルム
と1000Xの像拡大のかわりに、オッシロスコープ像の記
録のために高速度35mmフィルムと、干渉パターンの記録
のために300Xの倍率が使用された。また同じ結果を与え
る適当な電子画像分析方も使用された。第2に、第10欄
第26行目の“よりも”なる語は、印刷の誤りを正すため
に“そして”なる語に置き換えられる。
X線パラメーター 結晶完全指数と見かけの微結晶サイズ:結晶完全指数と
見かけの微結晶サイズはX線回折の走査から得られる。
これらの組成の糸の回折像は、約20°−21°と23°2
θの散乱角に現れるピークと共に2つの主要な赤道X線
反射で特徴付けられる。
これらの繊維のX線回折像は反射モードのX線回折メ
ーター(Philips Elecdtronic Instrulments.Mahwah,N.
J.,cat.no.PW1075/00)により、回折ビーム・モノクロ
メーターとシンチレーション検出器を用いて得られる。
強度データは比強度計で測定され、コンピューター処理
のデータ収集/換算システムで記録される。回折像は以
下の機械の設定により求められる。
走査速度 毎分1°2θ; 段階像力 0.025°2θ; 走査範囲 6°から38°まで、2θ;そして パルス高さ分析器、“微分” 結晶完全指数と見かけの微結晶サイズの両者の測定
に、回折データはデータはをなだらかにするコンピュー
ター・プログラムで処理され、ベースラインが決定さ
れ、ピーク位置と高さが測定される。66ナイロン、6ナ
イロン、そして66と6ナイロンの共重合体の結晶化度の
X線回折測定は、結晶完全指数(CPI)(P.F.Dismore a
nd W.O.S tatton,J.Polylm.Sci.Part C.No.13,pp.133−
148,1996)である。
21°と23°2θのピークの位置は、移動して観察さ
れ、結晶化度が上がるほど、ピークの移動はさらに離
れ、ブンーガーナー(Bunn−Garner)の66ナイロン構造
基準の“理想”位置に対応する位置に近ずく。
このピーク位置の移動は66ナイロンにおける結晶完全
指数の測定の基礎となる: ここでd(外部)とd(内部)は、それぞれ、23°と
21°のピークのブラッグ(Bragg)′d′面間隔であ
り、分母0.189は、ブンとガーナー(Bunn and Garner)
により報告された(Proc.Royal Slc.(London),A189,3
9,1947),良く結晶化した66ナイロンのd(100)/d(0
10)の値である。2θ値基準の、等価でより便利な式
は: CPI=[2θ(外部)/2θ(内部)−1]×546.7 見かけの微結晶サイズ:見かけの微結晶サイズは赤道回
折ピークの半値幅の測定から計算される。2つの赤道ピ
ークは重なるため、半値幅の測定は半値での半分の幅を
基準とする。20°−21°のピークは、最高ピーク高さの
半分を計算し、この強度の2θ値が、低角度側で測定さ
れる。この2θ値と極大ピーク高さでの2θ値との差
は、2倍され、半値(または“線”)幅を与える。23°
ピークは、極大ピーク高さの半分の位置が計算され、こ
の強度の2θ値が高角度側で測定される;この2θ値と
極大ピーク高さでの2θ値との差は、2倍され、半値幅
を与える。この測定で、機械的広がりについてのみ補正
される;他の全ての広がりの効果は微結晶サイズの結果
とみなされる。もし‘B'が試料の測定線幅なら、補正線
幅‘ベータ’は こに‘b'は機械的広がりの定数である。‘b'は、シリ
コーン結晶粉試料の回折像における、約28°2θにある
ピークの線幅の測定により決定される。
見かけの微結晶サイズ(ACS)は、下式により与えら
れる。
ACS=(κλ)/(βcosθ) ここに κは1(単位)が採用される; λはX線波長(ここでは1.5418Å); βはラジアンでの補正線幅;そして θは半ブラッグ角(回折線から得られる、選んだピーク
の2θ値の半分)。
X線配向角:約0.5mmの直径のフィラメントの束は、フ
ィラメントが基本的に平行になるように試料ホールダー
に巻かれる。試料ホールダーに入れられたフィラメント
はフィリップス電子機械(Philips Electronic Instrum
ents)、フィリップスX線発生器(12045B型)によるX
線ビームに曝される。
試料フィラメントの回折像は、ワラス(Warhus)ピン
ホールカメラ中の、コダックDEF診断用直接撮影X線フ
ィルム(カタログ番号154−2463)に記録される。
カメラ中のコリメーターは直径0.64mmである。露光
は、約15から30分(または、一般に測定される回折像が
光学密度1.0で記録されるのに十分な長さ)続けられ
る。
回折像のデイジタル化された像は、ビデオカメラで記
録される。
透過強度は黒と白の対照を用いて測定され、そして灰
色度(0−255)は光学密度に換算される。66ナイロ
ン、6ナイロン、そして66と6ナイロンの共重合体のX
線回折像は、約20°−21°と23°の2θで2つの主要な
赤道反射を持つ;外側(〜23°)の反射は配向角の測定
に用いられる。2つの選択された赤道ピークにわたる方
位角トレースと同等なデータ配列(すなわち、像の各側
の外部反射)は、デジタルイメージデータファイルから
の補間により求められる;配列は1つのデータ点が弧の
1度の3分の1に等しくなるように構成される。
配向角(OA)は、赤道ピークの半一極大光学密度の角
度(極大密度の50%の点が対する角)の弧長となるよう
に取られ、バックグランドを修正する。これは、ピーク
の両側の半−高点間のデータ点の数から計算される(使
用される補間により、これは整数ではない)両ピークは
測定され、配向角は2つの測定の平均として与えられ
る。
長周期面間隔と規格化長周期強度:長周期面間隔(LP
S)と規格化長周期強度(LPI)は、アントン パール社
(Anton Paar K.G.,Graz,Arstria)が製造したクラツキ
ー(Kratky)小角回折計で測定される。回折計は、45kv
と40maで作動する長微細焦点X線管を備えたフィリップ
スXRG3100 X線発生器の線焦点部に組み込まれる。
X線焦点部は、6度の出発角で検査され、ビーム幅は
120マイクロメーターの入り口スリットで決定される。
X線管からの銅 K−アルファ放射は0.7mi1ニッケルフ
ィルターでろ過され、CuKアルファ放射を90%通すよう
にセットされたパルス高分析器に対称に設置されたNaI
(TI)シンチレーションカウンターに検出される。
ナイロン試料は2cm徑の穴のあるホールダーの周りに
互いに平行に繊維を巻き付けて作成される。繊維に覆わ
れる範囲は約2cmから2.5cmで、標準的試料は約1グラム
のナイロンを有する。実際の試料の量は、強CuK−アル
ファX線の信号の試料による弱まりの測定と、X線ビー
ムの透過が約1/eまたは.3678になるまで試料の厚さを調
節して決定される。透過を測定するために、強散乱器が
回折部に置かれ、ナイロン試料はその前、ビーム決定ス
リットのすぐ越えたところに、挿入される。
もし弱まり無しの測定強化をIoそして弱まった強度を
Iとすると、透過率はI/Ioである。1/eの透過率の試料
は、最適値より大または小の厚さの試料からの回折強度
は最適厚さの試料からのそれより小さいため、最適厚さ
を有する。
ナイロン試料は繊維軸ビーム長に垂直に(または検出
器の行程方向と平行に)置かれる。
水平線焦点を見るクラツキー(Kratky)回折計では、
繊維軸は机上に対して垂直である。180点の走査は、0.1
と4.0度2θ間で下記のように集められる:0.1と1.1の間
は0.0125度の間隔で81点;1.1と3.1の間は0.025の間隔で
80点;3.1と4.0度の間は0.05度の間隔で19点。
各走査の時間は1時間で各点の計数時間は20秒であ
る。結果は可動放物線ウィンドー(window)で平坦化さ
れ、機器バックグランドは除かれる。機器バックグラン
ド、すなわち試料なしで得られる走査、は透過度、T,に
かけられ、試料から得られた走査から点ごとに減じられ
る。走査のデータ点は、次いで補正係数、CF=−1.0/eT
1n(T))をかけて、試料厚さに修正される。
ここにeは自然対数の底であり、1n(T)はTの自然
対数である。
Tは1以下であるから、1n(T)は常に負で、CFは正
である。また、もしT=1/eならば、最適厚さの試料はC
F=1である。従って、CFは常に1より大で、強度は、
最適厚さ以外の試料から、厚さが最適ならば観測される
であろう強度に修正される。最適に近い試料厚さでは、
CFは一般に1.01以下に保たれ、試料厚さによる補正はパ
ーセント以下に保たれ、それは係数統計で見込まれる誤
差内である。
測定強度は、回折ベクトルが繊維軸に平行である反射
から生じる。大部分のナイロン繊維では、反射は1度2
θの近辺に観察される。この反射の正確な位置と強度を
決めるのに、バックグランドの線は、まずピークの下に
引かれ、ピークそれ自身より高い及び低いところの、両
方の角で回折曲線に接線を引く。接線バックグランド線
に平行な線は、ついで、見かけの極大だが、一般にわず
かに高い2θ値の近くのピークに接線が引かれる。
接触状態のこの点での2θ値は、もし試料のバックグ
ランドが減じられたなら極大の位置であるからその位置
とされる。
長周期面間隔、LPS,はこのように誘導されたピーク位置
を用いてブラッグ則から計算される。小角では、これは
下式となる: LPS=λ/sin(2θ) ピーク強度、LPI,は、その下のバックグランドの線と
曲線の接点の間の垂直距離、秒当たり計数、で定められ
る。
クラツキー回折計は、単ビーム数で、測定強度は標準
化されるまで任意である。測定強度は、機器により、ま
たX線管の老化、調節や特性変化、シンチレーション結
晶の低下に起因する与えられた機器の状態により変化す
る。試料間の定量的比較では、測定強度は、安定な標準
対照試料との比較により標準化された。この対照試料は
66ナイロン試料が選ばれ(デユポン社(E.I.Du Pont C
o.,Wilminton,De.)製T−717糸)、それはこの特許の
最初の実施例の原料糸に使用された(原料糸1)。
音響モジュラス:音響モジュラスは、パコフスキー(Pa
cofsky)の米国特許第3,748,844の第5欄、17から38行
目の記載のように測定され、その開示は、糸が試験前に
70゜F(21℃)、65%相対湿度で24時間状態調節され、ナ
イロン繊維が参照特許のポリエステル繊維について報告
された0.5−0.7よりも、デニール当たり0.1グラムの応
力で行った以外は、その開示を参照されたい。
密度:ポリアミド繊維の密度は、25℃で四塩化炭素とペ
プタン溶液を用いるASTM D150556−68に記載の密度勾配
管法により測定された。
張力:行程が行われる間、張りと緩和ゾーンで張力測定
が行われ(図中、炉26の後、張りゾーンで、そして炉34
の後、炉の出口から約12インチ(30cm)の緩和ゾーン
で)、エレクトロマチック エクイップメント社(Elec
tromatic Equipment Company,Inc.,Cedarhurst,N.Y.115
16)製、チェックライン(Checkline) DXX−40,DXX−5
00,DXX−1KとDXX−2K 手持ち張力計を用いた。
糸温度:糸温度は、糸が張り炉26と緩和炉34を出た後、
炉出口から約4インチ(10cm)の所で測定された。測定
は、7.9ミクロンのフィルター(約0.5ミクロンの波長通
過)の赤外光走査システムと糸を感知する広域感知器
と、300℃まで正確に加温できる、糸の後に置かれる温
度対照黒体、から成る非接触赤外温度測定システムで行
われた。
対照に埋め込まれたJ型熱電対は、対照の温度を測定
するために国立標準局(National Bureau Standard)起
源の、フルーケ(Fluke)型2170Aデジタル表示機と共に
使用された。
7.9ミクロンのフィルターは、放出能がほぼ一致する
ことが知られる吸収域に対応することから、ポリアミド
糸の温度の高精度測定がなされる。実際上、対照の温度
は、オッシロスコープで見て、糸の走査像が消えるよう
に調節され、このゼロ点で、糸は対照と同じ温度とな
る。
実施例1 ぎ酸相対粘度約67の十分延伸された848デニール、140
フィラメント糸(原料糸1)は、ホモポリマーのポリ
(ヘキサメチレンアジパミド)の連続重合と押し出しで
製造され、グッド(Good)の米国特許第3,311,691の行
程で同時に延伸された。この9.6gpdの強靱性、8.8%の
収縮率、163g/dの強度と表2に掲げたその他の物性を有
する“十分延伸された”糸は、図示した行程の原料糸と
して使用された。
図に示した装置を用いて、表1に掲げた行程条件で操
作し、4本の糸が供給パツケージ12から取られ、張力の
調節のために糸張力制御要素14に向かい、次いで第1ロ
ールセツト18のニツプロール20と第1ロール(ゴデツト
ロール)18aで挟まれた。第1ロールセツト18のゴデツ
トロール18bから18gまでは省略され、糸は第2ロールセ
ツト22のゴデツトロール22a−22gに直接向かい、次いで
オーブン24と26を通って、第3ロールセツト28に向かっ
た。
張力は、糸温度240℃で4.02g/dであった。糸は、次い
で巻き上げの前に、第3ロールセツト28の全7つのロー
ル、オーブン32と34、そして第4ロールセツト36のロー
ルを通った。
オーブン34から出た糸の糸温度は、240℃で、緩和度
は13.5%であった。
0.5%の増加張力は、第2ロールセツト22の両対のロ
ール間で用いられ、0.5%の増加緩和は、第3ロールセ
ツト28の両対のロール間で用いられた。
ロール速度と、オーブンとロールの温度を含む行程パ
ラメーターの詳細は、表1に掲げた。
巻き上げで得られた796デニールの糸は、原料糸と同
じぎ酸相対粘度だが、それぞれ10.4g/dと1.9%の強靱性
と収縮バランスを有していた。強度は45.0g/dで、、タ
フネスは210g/d・%であった。結晶完全指数は、86.1
で、長周期面間隔は114Å、そして密度は1.1526であっ
た。物性の詳細は表3に示す。
実施例2 実施例2の原料糸は、実施例1に述べたもの(原料糸
1)と同じであり、行程は1本の糸を使用し且つ表1記
載の行程条件であることを除き、実施例1と同様であ
る。オーブン26の後の糸温度232℃での張力は4.35g/dで
あった。
オーブン34から出た糸の糸温度は、240℃で、緩和度
は18.2%であった。
巻き上げで得られた804デニールの糸は、原料糸と同
じぎ酸相対粘度、67だが、それぞれ10.1g/dと1.4%の強
靱性と収縮バランスを有していた。強度は42.8g/d
で、、タフネスは227g/d・%であった。結晶完全指数
は、88.1で、長周期面間隔は120Å、そして密度は1.154
0であった。物性の詳細は表3に示す。
実施例3 ぎ酸相対粘度約89の十分延伸された1260デニール、21
0フィラメント糸は、ポリ(ヘキサメチレンアジパミ
ド)の連続重合と押し出しで製造され、グッド(Good)
の米国特許第3,311,691の行程で同時に延伸された。こ
の10.0gpdの強靱性、7.6%の収縮率、278g/d・%の強度
を有する“十分張られた”糸(原料糸2)は、表1記載
の行程条件以外は、実施例1と同様に処理された。
オーブン26後の強力は、糸温度212℃で4.78g/dであっ
た。
オーブン34から出た糸の糸温度は、218℃で、緩和度2
1.4%であった。
巻き上げで得られた1340デニールの糸は、原料糸と同
じぎ酸相対粘度,89,だが、それぞれ10.2g/dと0.9%の強
靱性と収縮バランスを有していた。強度は31.9g/d
で、、タフネスは294g/d・%であった。結晶完全指数
は、85.9で、長周期面間隔は113Å、そして密度は1.152
7であった。物性の詳細は表3に示す。
実施例4 実施例3の原料糸は、実施例3に述べたもの(原料糸
2)と同じであり、行程は、表1記載の行程条件である
ことを除き、実施例3と同様である。糸温度212℃での
張力は4.79g/dであった。
オーブン34から出た糸の糸温度は、218℃で、緩和度
は21.2%であった。
巻き上げで得られた1336デニールの糸は、同じぎ酸相
対粘度、89だが、それぞれ10.5g/dと1.5%の強靱性と収
縮バランスを有していた。強度は37.2g/dで、、タフネ
スは271g/d・%であった。結晶完全指数は、85.0、長周
期面間隔は112Å、そして密度は1.1572であった。物性
の詳細は表3に示す。
実施例5 ぎ酸相対粘度60の紡がれた非延伸の3714デニール、14
0フィラメント糸(原料糸3)は、ポリ(ヘキサメチレ
ンアジパミド)の連続重合と押し出しで製造された。
押し出し後、糸は急冷され、オイリング剤で処理さ
れ、直径440ypmで巻き上げられた。
紡ぎ糸の複屈折は約.008で、破断時の伸びは、575%
であった。糸はその後48時間65%RHで保管され、約4.5
%のほぼ平衡含水率達成した。
図に示した装置を用いて、表1に掲げた行程条件で操
作し、1本の原料糸が供給パツケージ12から取られ70g
に張力を調節するために糸張力制御要素14に向かい、次
いで第1ロールセツト18のニツプロール20と第1ロール
(ゴデツトロール)18aで挟まれた。第1ロールセツト1
8の全ゴデツトロール18bから18gまでが使用され、糸は
第2ロールセツト22のゴデツトロール22a−22gと第1ロ
ールセツト18の間で低温で延伸され、表1の延伸率にな
る。前記の実施例のように、糸は、オーブン24と26を通
った。
オーブン26の後の糸温度226℃での延伸張力は4.04g/d
であった。
糸は、次いで巻き上げの前に、第3ロールセツト28の
全7つのロール、オーブン32と34、そして第4ロールセ
ツト36のロールを通った。
オーブン34から出た糸の糸温度は、226℃で、緩和度は1
4.4%であった。
0.5%の増加張りは、第2ロールセツト22の両対のロ
ール間で用いられ、0.5%の増加緩和は、第3ロールセ
ツト28の両対のロール間で用いられた。
巻き上げで得られた792デニールの糸は、同じぎ酸相
対粘度、60、だが、それぞれ9.9g/dと1.7%の強靱性と
収縮バランスを有していた。強度は46.4g/dで、、タフ
ネスは204g/d・%であった。結晶完全指数は、84.8で、
長周期面間隔は108Å、そして密度は1.1500であった。
物性の詳細は表3に示す。
実施例6−11 図に示した装置を用いて、表4に掲げた行程条件で操
作し、1本の原料糸が、本発明の糸の製造に使用され
た。
原料糸4,5と6の物性の1部を表2に示す;これらの原
料糸は、連続重合ポリマーから紡糸され、米国特許第3,
311,691の方法で延伸されたポリ(ヘキサメチレンアジ
パミド)である。実施例6−11の糸のデニール、引っ張
り物性と収縮率は、表5に示す。
本発明の主なる特徴及び態様は以下のとおりである。
1. 約50より大きい相対粘度と、少なくとも約9.5g/dの
強力と、少なくとも約30g/dのモジュラスと、160℃で約
2%未満の収縮率と、約83より大きい結晶完全指数と、
約105Åより大きい長周期面間距離を有する、少なくと
も約85%ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)を含んで成
るオリアミド糸。
2. 少なくとも約35g/dのモジュラスを有する上記1に
記載の糸。
3. 少なくとも約1.15g/ccの密度を有する上記1に記載
の糸。
4. 約0.056より大きい複屈折を有する上記1に記載の
糸。
5. 約2.7より大きい長周期強度を有する上記1に記載
の糸。
6. 前記強力が少なくとも約10g/dである、上記1に記
載の糸。
7. 少なくとも約18%の破断点伸びを有する上記1に記
載の糸。
8. 約200g/d・%より大きい靱性を有する上記1に記載
の糸。
9. 約225g/d・%より大きい靱性を有する上記1に記載
の糸。
10. 前記相対粘度が約60より大きい、上記1に記載の
の糸。
11. 約80g/dより大きいソニックモジュラスを有する上
記1に記載の糸。
12. 約0.37g/dより小さい最大収縮張力を有する上記1
に記載の糸。
13. 約0.30g/dより小さい最大収縮張力を有する上記1
に記載の糸。
14. 前記ポリアミドがホモポリマーポリ(ヘキサメチ
レンアジパミド)を含んで成る、上記1に記載の糸。
15. 100面で測定して約62Åより大きい見掛けの微結晶
サイズを有する上記1に記載の糸。
16. 前記糸が約9%未満の持続応力下の伸びを有す
る、上記1に記載の糸。
17. 少なくとも約9.0g/dの強力と、約2.0%未満の収縮
率と、少なくとも約30g/dのモジュラスを有しそして少
なくとも約85重量%ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)
を含んで成るポリアミド糸を、延伸糸、部分延伸糸及び
未延伸糸から成るクラスから選ばれる供給糸から製造す
る方法であって、 前記供給糸を少なくとも最終延伸段階で延伸し、 少なくとも前記最終延伸段階中に前記供給糸を加熱
し、 前記供給糸が少なくとも約190℃の糸延伸温度に加熱
されるとき延伸張力が少なくとも3.8g/dに達するまで、
前記供給糸の前記延伸と加熱を続け、 前記延伸後の前記糸の張力を、約13.5%乃至約30%の
最大長さ減少率となるように前記糸の長さを減少させる
のに十分に減少させ、 前記張力の減少中に前記糸を、前記最大長さ減少率に
到達するとき少なくとも約190℃の糸緩和温度に加熱
し、 前記張力の減少の後前記糸を冷却しそしてパッケージ
ングする、 ことを特徴とする方法。
18. 前記糸の最大長さ減少率が約15%乃至約25%とな
るのに十分に、前記張力を減少させる、上記17に記載の
方法。
19. 前記張力の減少中の加熱を、前記糸が約83より大
きい結晶完全指数を持つようにするのに十分な時間続け
る、上記17に記載の方法。
20. 少なくとも初期緩和増分において部分的に張力を
減少させて、長さの初期減少を生じさせ、次いで更に張
力を減少させて、最終緩和増分において最大長さ減少率
となるように前記糸の長さを更に減少させることによ
り、前記張力の減少を行う、上記17に記載の方法。
21. 150mpm乃至750mpmのパッケージングプロセス速度
で、同時に多数本の糸に対して行なわれる上記17に記載
の方法。
22. 前記供給糸が部分延伸供給糸又は未延伸供給糸で
あり、前記延伸が、前記最終延伸段階の前に少なくとも
1つの初期延伸段階を更に含む、上記17に記載の方法。
23. 前記糸延伸温度が約190℃乃至約240℃でり、前記
糸緩和温度が約190℃乃至約240℃である、上記17に記載
の方法。
24. 前記延伸中の加熱を約220℃乃至約320℃の温度を
有するオーブン内で行い、該オーブン内の滞留時間が約
0.5秒乃至1.0秒である、上記23に記載の方法。
25. 前記張力の減少中の加熱を、約220℃乃至約320℃
の温度を有するオーブン内で行い、該オーブン内の糸の
滞留時間が約0.5秒乃至約1.0秒である、上記23に記載の
方法。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明に従う好ましい糸を製造するのに有用
な方法の構成図である。 第1図において、10……本発明に従う方法で使用するこ
とができる装置、12……供給パッケージ、14……糸張力
制御要素、16……延伸ゾーン、18……第1ロールセツ
ト、22……第2ロールセツト、24、26……オーブン、28
……第3ローールセット、30……緩和ゾーン、32、34…
…オーブン、36……第4ロールセット、40……糸表面処
理ゾーン、である。
フロントページの続き (72)発明者 アラン・リチヤード・モケル アメリカ合衆国テネシー州37377シグナ ルマウンテン・ミドルクリークロード 56

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】約50より大きい相対粘度と、少なくとも約
    9.5g/dの強力と、少なくとも約30g/dのモジュラスと、1
    60℃で約2%未満の収縮率と、約83より大きい結晶完全
    指数と、約105Åより大きい長周期面間距離を有する、
    少なくとも約85%ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)を
    含んで成るポリアミド糸。
  2. 【請求項2】少なくとも約9.0g/dの強力と、約2%未満
    の収縮率と、少なくとも約30g/dのモジュラスを有しそ
    して少なくとも約85重量%ポリ(ヘキサメチレンアジパ
    ミド)を含んで成るポリアミド糸を、延伸糸、部分延伸
    糸及び未延伸糸から成るクラスから選ばれる供給糸から
    製造する方法であって、 前記供給糸を少なくとも最終延伸段階で延伸し、 少なくとも前記最終延伸段階中に前記供給糸を加熱し、 前記供給糸が少なくとも約190℃の糸延伸温度に加熱さ
    れるとき延伸張力が少なくとも約3.8g/dに達するまで、
    前記供給糸の前記延伸と加熱を続け、 前記延伸後の前記糸の張力を、約13.5%乃至約30%の最
    大長さ減少率となるように前記糸の長さを減少させるの
    に十分に減少させ、 前記張力の減少中に前記糸を、前記最大長さ減少率に到
    達するとき少なくとも約190℃の糸緩和温度に加熱し、 前記張力の減少の後前記糸を冷却しそしてパッケージン
    グする、 ことを特徴とする方法。
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