JP3836881B2 - 高強度、高収縮率のナイロン66フィラメント糸の製造方法 - Google Patents
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Description
高収縮率の熱可塑性フィラメントは、通常、更なる処理に適した保護撚り(twist)を有するコップ上に巻き取られる。コップ上で巻き取る欠点は、最大巻き取り速度が、1分当たりほぼ数百メートルの程度に過ぎないことである。コップ上で巻き取る更なる欠点は、延伸されたコップの糸容量が一般に約4kgの糸に制限されることである。経済的な糸の製造は、かかる処理の後にはもはや保証されない。高収縮率の糸は、筒状ボビン上に直接巻き取るのが好ましい。しかし、今まで、高い熱空気収縮率を有する熱可塑性重合体糸を巻き取ることはできなかった。かかる糸は、熱空気収縮率における望ましくない低下を防止するために、比較的高い張力の下に巻き取られなければならない。このことは、このパッケージ構築にとって重大な欠点を有する。高い糸の張力は、綾に巻かれたパッケージ内に高い半径方向の力を生じ、一方で、そのパッケージの中心を変形させ、十分なパッケージを巻き取り機のマンドレルから取り出すことができなくなる。他方では、他の欠点は、容認できない巻き取り変形が観察されることであり、この変形により十分なパッケージを構築することができなくなる。
独国特許出願(GB-A)第34 37 943号明細書は、ナイロン66フィラメント糸の製造方法を開示しており、その方法では、蟻酸中で60〜100の相対粘度を有するポリヘキサメチレンアジプアミドの未延伸糸が1又は2工程において延伸される。この目的に適切な装置は多数の加熱された延伸ロールユニットからなる。この糸の延伸能力を改良するために、接触加熱機の形態の追加の熱源を延伸ロールの間に設ける。溶融紡糸法においては、4500m/分以上の巻き取り速度では、ペーパー中心を巻き取り機からもはや除去することができないほど、巻き取り張力が高くなることが知られている。この問題は、本発明の方法において、約10%だけ緩めることにより解消される。延伸された糸の巻き取りに関しては言うべきことはない。既知の糸は、20m/分未満の速度で巻き取られる。この既知の方法の目的はタイヤコード生地のための寸法的に安定なフィラメント糸の製造であり、このタイヤコード生地は高い強度、高い伸び率及び低い、理論的に5%未満の収縮率を有する。延伸条件及び特にチーズでの巻き取り条件は、これらの糸に対して至適化される。
しかし、最近、特にエアバッグ生地が高い熱空気収縮率を有する糸を用いて益々製造されている。かかる種類の糸は製造するのは容易であるが、チーズ上に巻き取るのが難しいのが事実である。
本発明の目的は、高強度の合成糸を熱延伸法に従って直接チーズ上に直接巻き取るための方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、高い収縮率を有する高強度のナイロン66フィラメント糸を製造すること及びそのフィラメント糸をチーズ上で利用できるようにすることにある。
本発明の他の目的は、製造速度だけでなく、糸パッケージの単位重量をも改善して、延伸法及び巻き取り法を改善することにある。筒状パッケージのための装置は、1分当たり数千メートルの生産速度を可能にする。
この目的は、本発明に従って達成される。この時、4〜10%の緩和比で、巻き取り前の最後の延伸ロールユニットの温度を70℃と160℃の間、特に80℃と150℃の間、好ましくは90℃〜140℃に設定し、巻き取り張力を0.2cN/tex以下、特に0.15cN/tex以下、好ましくは0.13cN/tex以下に設定する。
巻き取りにおける糸張力は、基本的に緩和比、即ち最後の延伸ゴデットの速度と巻き取り機の速度の比によって決定される。緩和比は4%と10%の間に設定するのが有利である。
最後の延伸ゴデットに対し70℃未満の温度では、満足のいくパッケージ構築が実際上不可能である。160℃を超える温度では、巻き取り張力が高くなり、同様に満足のいくチーズの製造が不可能になる。あるいは、高収縮率の糸をもはや得ることができない程、糸の張力が減少してしまう程度まで、熱空気収縮率が低下する。
筒状パッケージの容認できる構築のために、糸張力を狭い範囲内においてのみ変更することができる。容認できるパッケージ構築は、0.2cN/texより高い巻き取り張力ではもはや不可能である。高いうねがこのパッケージの側縁に発達して、駆動ドラムによって平坦にプレスされる。結果として、パッケージのフランクが、外側に押しやられ、結局、糸の支持体のフランクを超えて突出する。かかるパッケージは適切に包装されて、輸送されることができず、これらのパッケージはまた、しばしば糸の切断を伴うその後の糸の巻き出し中に重大な問題を示す。もし、逆に、巻き取り張力の設定が低すぎる場合、例えば、0.05cN/dtex未満では、その糸パッケージは著しく柔らかくなる。そのパッケージは、団結性を欠き、効率的な輸送及び巻き出しを妨げる。
通常のコップ巻き取り機と異なり、筒状パッケージのための巻き取り機は、1分当たり数千メートルの速度を許容するため、紡糸−延伸法における延伸工程を集積することは有利で経済的である。
ナイロン66フィラメント糸は、ASTM 0789−81に従って90%濃度の蟻酸中で測定して40以上の相対粘度(RV)、少なくとも60cN/texの強靱性、10〜25%の伸び率及び160℃で7〜11%の熱空気収縮率を有し、少なくとも6kgの糸量を支えているチーズとして巻き取られる。驚くべきことに、かかる高収縮率のポリアミド糸は、ちょうど4kgの最大能力を有する不経済なコップの代わりに、6kgのパッケージとして巻き取られる。
本発明のナイロン66フィラメント糸は、工業用生地、特にエアバッグ生地として適切である。これらの生地は高い強靱性と特に高い熱空気収縮率を兼ね備えている。
次に、本発明の方法を、以下の作業工程図を参照して更に特に説明する
図1は、本発明の方法の概略図であり、更に
図2は、本発明の方法の変形例の概略図である。
図1では、符号1は未延伸ナイロン66LOYフィラメント糸を示す。このフィラメント糸は搬送ロール(図示していない)によって最初の加熱された延伸ロールユニット2に移る。搬送ロールと第1の延伸ロールユニット2の間では、このフィラメント糸が最小の張力を取得し得るように、未延伸フィラメント糸1が約3%だけわずかに伸ばされる。この糸の張力は、必要な抵抗力が第1の延伸工程において発生する延伸力に対して与えられるように、このフィラメント糸1と延伸ロールユニット2の表面の間の十分な摩擦を保証するように選ばれなければならない。最初の延伸操作は、第2の約180℃に加熱された延伸ロールユニット3と第1の延伸ロールユニット2の間で行われる。この加熱された延伸ロールユニット3に次いで、70〜150℃の表面温度を有する第3の延伸ロールユニット4により、他の、第2の延伸操作を提供する。
延伸後、この延伸されたフィラメント糸5をチーズ6上に巻き取る。この糸の張力を低下させるために、このフィラメント糸を、ユニット4の速度よりも約6%低く設定した速度で巻き取る。これにより、巻き取り張力を、例えば0.13cN/dtexに適合させる。すべての延伸ロールユニットを順番にフィラメント糸1によって多層に巻き、一方で、延伸のために必要な摩擦を保証し、及び他方で、この加熱されたロール表面とフィラメント糸1の間の適切な熱伝達を保証する。
図2は、付加的な延伸ロールユニット7を特色とすることにおいて図1と異なる。この変形例の方法では、延伸ロールユニット7を、例えば180℃に加熱する。この場合、第2の延伸操作を延伸ロールユニット3と7の間で実行するが、延伸ロールユニット4の温度は図1中の配置と比べて変化させない。また、延伸ロールユニット4の速度は少なくとも延伸ロールユニット7のものと同じ高さである。
図1の装置は例示であり、本発明の方法の実行に唯一適切なものではない。本発明にとって適切な装置はまた、分離されているローラーを有する延伸ロールユニットの代わりにゴデットデュオスからなってよい。更に、糸を熱処理するための他の要素、例えば、蓄熱加熱機又は輻射加熱機、熱空気ノズル又は蒸気ノズルをこれらのユニットの間に配置することができる。巻き取られる糸を、結果として更なる処理適性が改善され得るように、エアジェット等による混ぜ合わせ操作にかけることが更に有利である。
この装置は1種のフィラメント糸に適切なだけでなく;比較的繊細な糸、例えば470dtex以下の線密度の場合、2以上のフィラメント糸を同時に延伸すること及び適切に組み合わされた巻き取り機上で巻き取ることができる。
この装置の操作速度は300m/分と3000m/分の間の範囲内である。したがって、この装置は、コップ上にこの糸を巻き取る通常の延伸−撚り機よりも著しく生産的である。更に、10kgを超える糸の量を有するチーズが製造される。これにより、4kg以下のコップ中への加工よりも著しく少ない操作しか必要とされない。この高い操作速度は、既に巻き取られたLOYフィラメント糸の延伸だけに有用性を限定しない。本質的に、この装置はまた、組み込まれた紡糸−延伸法における使用にも適している。
低い熱空気収縮率の高強度糸は巻き取られる前に習慣的に緩和される。緩和は一般に付加的なゴデットユニットを用いて行われる。このゴデットユニットの速度は、最後の延伸ロールユニットのものより所定の量だけ低い。しかし、最後の延伸ゴデットの速度より低い速度で巻き取ることによって、巻き取り操作の間にその糸を直接短くすることもできる。
高収縮率の糸を製造するために、糸の緩和は、通常の技術と対照区別して最小に保たなければならない。したがって、問題は高度に緩められていな糸を巻き取るための方法を提供することである。理論上、このことは巻き取り機の速度を最後のゴデットユニットの速度と等しくするか又は少し低く設定することによって行うことができる。しかし、このことは極めて高い糸の張力を必要とし、この張力の下ではチーズを構築することが一般的に不可能である。
次の例は本発明の方法を例示する。
例1(比較)
蟻酸中で45の相対粘度(RV)と1270dtexの延伸された線密度とを有するナイロン66LOYフィラメント糸を、2つの末端において図1の装置に通して供給した。このフィラメント糸を、2つの段階において、235dtexの線密度に達するように、表1に示す条件下に、5.3:1の比まで延伸し、及び巻き取り領域、即ち延伸ロールユニット4とチーズ6の間で、6.8%だけ緩和した。最後の延伸ユニットの温度は230℃であった。得られたフィラメント糸は、74.5cN/dtexの強靱性、22%の破断点伸び率及び3.6%の160℃熱空気収縮率を有していた。しかし、この糸は、低い熱空気収縮率のために、特定の用途、例えばエアバッグ生地の用途には適していなかった。
例2(比較)
蟻酸中で45の相対粘度(RV)とエアバッグ生地に適した高い熱空気収縮率とを有するナイロン66LOYフィラメント糸を、本質的に例1と同一の延伸条件下、最後の延伸ゴデットの温度を160℃まで低めることによって製造した。緩和比は例1と比べて5.7%にまでわずかに低下させた。得られた糸は72cN/texの強靱性、16.6%の破断点伸び率及び9.2%の160℃熱空気収縮率を有していた。
しかし、この方法の不適当な欠点は、最後の延伸ゴデットの温度を低下させる結果として、巻き取り張力が、容認し得るパッケージが構築され得ないほど高い0.38cN/dtexになったことである。1.5kgほどの少ない糸が巻き取られる場合でさえ、このパッケージは、両側面上の糸のチューブ支持体を超えてはみ出すほど、著しく変形し、及びフランクで膨れた。かかるパッケージは、輸送に適していないばかりか、例えば織る際の巻き出しにも適していない。
例3(発明)
蟻酸中で45の相対粘度(RV)とエアバッグ生地に適した高い熱空気収縮率とを有するナイロン66LOYフィラメント糸を、本質的に例1と同一の延伸条件下、最後の延伸ゴデットの温度を105℃まで低めることによって製造した。緩和比は例1と比べて6.5%にまでわずかに低下させた。得られた糸は、74.2cN/texの強靱性と、17.4%の破断点伸び率及び9.0%の160℃熱空気収縮率を有していた。この設定によって、巻き取り張力は、驚くべきことに、例1におけるように0.13cN/dtexに過ぎなかった。この方法において、7.5kgの糸を支えるチーズを製造することに何ら問題ないことが示された。これらのパッケージの外観は良好で:フランクは直線状であり、周縁に肩はできなかった。
例4(発明)
2540dtexの出発線密度を有する2つのPA66フィラメント糸を、2段階において例3の手法によって5.4の延伸比まで結合して延伸した。延伸ロールユニット4の温度は90℃まで低めた。0.074cN/dtexの巻き取り張力は、7.5%の緩和比と一緒にして測定した。これらのパッケージは、10.3kgの量の糸を保持し、直線状のフランクを有し周縁に肩がないことで満足いくものであった。延伸された糸は表1に示す特性を有していた。
以下の表1は、3つの加熱された延伸ロールユニット、分離されているロールを備えたゴデットを有し、2段階において800m/分の最後の速度で最初の長さの5.4倍にまで延伸を実行する延伸機上においての、本発明の方法のパラメータを示す。この糸の特性をその同一の表中に示す。
本発明にかかる装置は、現存する装置に対して2つの著しい利点を有する。第1に、2以上の末端を同時に延伸し巻き取ることができ更に、第2に、より一層生産性のあるチーズ上での巻き取りによって、製造速度を、通常の延伸−撚り法と比べて高めることができる。本発明の糸はエアバッグ生地を製造するのに特に有用である。
Claims (4)
- 少なくとも40の相対粘度RVを有するナイロン−6,6LOYフィラメント(1)を少なくとも3種の加熱可能な延伸ロール集合体(2、3、4、7)によって多段階で延伸し、延び延伸した糸(5)を筒状糸支持体(6)上に直接巻き取ることによって、工業用生地、特にエアバッグ生地のための高強度、高収縮率のナイロン−6,6フィラメント糸を製造する方法であって、4〜10%の緩和比で、巻き取りに先立つ最後の前記延伸ロール集合体(4)の温度を70℃と160℃の間に設定し、及び前記巻き取り張力を0.2cN/tex以下に設定することを特徴とする高強度、高収縮率のナイロン−6,6フィラメント糸の製造方法。
- 延伸工程が、紡糸−延伸法に一体に組み込まれている一部であることを特徴とする請求項1記載の高強度、高収縮率のナイロン−6,6フィラメント糸の製造方法。
- 生産された巻き取りチーズが、少なくとも6kgの糸を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の高強度、高収縮率のナイロン−6,6フィラメント糸の製造方法。
- 工業用生地のためのナイロン−6,6フィラメント糸のチーズであって、前記ナイロン−6,6フィラメント糸が、請求の範囲第1項記載の方法によって製造されており、少なくとも60cN/texの強靱性、10〜25%の伸び率及び7〜11%(160℃)の熱収縮率を有しており、少なくとも6kgの糸を含んでチーズの形態に巻き取られていることを特徴とするチーズ。
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