JPH0135085B2 - - Google Patents

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JPH0135085B2
JPH0135085B2 JP4640781A JP4640781A JPH0135085B2 JP H0135085 B2 JPH0135085 B2 JP H0135085B2 JP 4640781 A JP4640781 A JP 4640781A JP 4640781 A JP4640781 A JP 4640781A JP H0135085 B2 JPH0135085 B2 JP H0135085B2
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JP
Japan
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fibers
temperature
heat treatment
polyethylene terephthalate
spinning speed
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JP4640781A
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Inventor
Tomio Kuriki
Seiichi Manabe
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Priority to AT82102675T priority patent/ATE16613T1/de
Priority to US06/363,628 priority patent/US4426516A/en
Priority to EP82102675A priority patent/EP0061770B1/en
Priority to KR8201400A priority patent/KR860000180B1/ko
Publication of JPS57161120A publication Critical patent/JPS57161120A/ja
Priority to US06/519,393 priority patent/US4508674A/en
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Description

【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕 本発明はポリエステル繊維の新規な製造方法に
関する。詳しくは、実用上充分な力学的特性を有
し、かつ染色性が良好であり、特に常圧染色が可
能で、染色堅牢度の優れたポリエステル繊維の製
造法に関する。 〔従来の技術〕 一般にポリエステル繊維、特にポリエチレンテ
レフタレート繊維は強度、寸法安定性等多くの優
れた特性を備え種々の用途に利用されている。反
面、ポリエチレンテレフタレート繊維は染色性が
劣り、染色に際しては130℃付近の高温高圧で染
色する必要があるため特別な装置を必要とした
り、またウール、アクリル等高圧染色により特性
低下を生じる繊維との混用に制限がある等の欠点
を有している。 ポリエチレンテレフタレート繊維の染色性改
良、常圧可染化に関しては、いくつかの試みがな
されており、例えば染色時にキヤリヤーを用いる
方法が知られているが、特別なキヤリヤーを要す
ること、染色液の後処理が困難なこと等の欠点が
ある。また染色性の改良されたポリエチレンテレ
フタレートとして金属スルホネート基含有化合物
やポリエーテルを共重合したものが知られている
が、これらの変性ポリエステルは染色性は向上す
るものの、重合、紡糸が困難であつたり、或いは
ポリエチレンテレフタレート本来のすぐれた性質
を低下せしめたり、更には染色堅牢度が劣る等の
欠点があつた。結局上述のようなポリマーの化学
的改質による易染化は、染着座席となりうる第三
成分をポリマー中に混合させるが故にポリエチレ
ンテレフタレート本来の性質をも変化させてしま
うことは避けられないといえる。 〔発明が解決しようとする問題点〕 本発明者らは、かかる従来法の欠点を克服し、
染色性が良好であり、特に常圧染色が可能でかつ
染色堅牢度が優れる一方、本来の好ましい性質を
も兼ね備えたポリエステル繊維を得ようとして、
微細構造面からの研究を進めた結果、従来は知ら
れなかつた特定の製造方法を採用することにより
上記目的が達成されることを知つて本発明を完成
した。 〔問題点を解決するための手段〕 本発明のポリエチレンテレフタレート繊維の製
造法は、紡速4000m/分以上で紡糸し一旦巻き取
つたポリエチレンテレフタレート繊維を、225℃
と、示差走査熱量計で測定した融解終了温度Tn3
より10℃高い温度との範囲で、−20%以上+5%
未満の伸長下で、0.5ないし10秒間熱処理するこ
とを特徴とする。 本発明の方法で得られる繊維は、30℃に於ける
初期モジユラスが55g/d以上の実質的にポリエ
チレンテレフタレートからなる繊維であつて、測
定周波数110Hzに於ける力学的損失正接(tanδ)
のピーク温度(Tnax)が105℃以下であり、かつ
ピーク値〔(tanδ)nax〕が0.14以上(通常0.30以
下)であることを特徴とする常圧染色可能なポリ
エステル繊維である。 本発明において使用するポリエステルは実質的
にポリエチレンテレフタレートからなり、公知の
重合法で得ることができる。本発明の目的を損な
わない範囲内で少量の他の成分との共重合も勿論
可能である。このポリエステルは、通常ポリエス
テルに使用される添加剤、例えば艶消剤、安定
剤、制電剤等を含んでもよい。また重合度につい
ては、通常の繊維形成用の範囲内であれば特に制
限はない。 本発明の方法の第一の特徴は、紡速4000m/分
以上で紡糸する点にある。ここで紡速とは第1図
に示すような紡糸装置に於いて、引取りロール7
の引取り線速度を意味する。紡速4000m/分未満
では、結晶領域の発達が不十分であり、そのため
繊維の微細構造が熱的に不安定で、加熱時の寸法
安定性が劣る。加熱時の寸法安定性および繊維の
高温時の機械的特性は220℃に於ける動的弾性率
E′220によつて定量的に評価できる。紡速3000
m/分ではE′220は1g/d以下となり、紡速が
3000m/分未満でE′220は更に減少し、紡糸後の
熱処理時に糸間で融着を起し、本発明の目的は達
成されない。 紡速4000m/分以上では結晶化度、結晶完全
度、結晶の大きさのいずれも紡速と共に急速に増
大し、E′220も第2図に示すように紡速と共に急
激に大きくなる。第2図は、巻取り後の繊維を1
%の伸長下に240℃で2秒間熱処理した繊維(点
線で表わす)と熱処理前の繊維(実線で表わす)
についてのE′220の値である。240℃熱処理後の
E′220は紡速約6000m/分までは紡速と共に急激
に増大するが、約6000m/分を超えるとE′220
増加率は減少する。紡速約9000m/分以上では、
熱処理後のE′220は熱処理前の値より大きくなる。
高温時の機械的特性の点では、紡速約6000m/分
以上が好ましく、更に好ましくは約8000m/分で
ある。第3図には第2図と同一条件で得られた繊
維の結晶化度の紡速依存性を、第4図には(010)
面の反射から評価される微結晶の大きさの紡速依
存性を、第5図には(010)面からの結晶配向度
の紡速依存性をそれぞれ示す。(第5図の実線の
左下端の点線は評価不能なことを意味する。) 240℃で熱処理を施すことにより結晶化度、微
結晶の大きさ及び結晶配向度のいずれも増大す
る。熱処理に伴う紡速4000m/分及び5000m/分
で得られた繊維の結晶配向度の増大が特に顕著で
ある。 本発明の方法の第二の特徴は、225℃でかつ示
差走査熱量計(DSC)の融解曲線における融解
終了温度(Tn3)より10℃高い温度(すなわち
(Tn3+10℃))以下の温度で−20%以上+5%未
満の伸長下で熱処理する点にある。 上記条件で熱処理することによりポリエチレン
テレフタレート繊維の無定形領域中の分子鎖はよ
り弛緩し、粗な凝集構造に変化するものと考えら
れる。しかし、180℃以下の熱処理ではむしろ淡
染化する。それ以上の温度で熱処理すると易染化
傾向を示すが、225℃未満の熱処理では易染化が
不十分である。また、Tn3+10℃以上の温度での
熱処理では繊維間の融着が起り、E′220の値が著
るしく低下し、高温時の機械的特性が劣化する。 また、Tn3+10℃以下に熱処理装置の温度を設
定しても、温度分布斑があれば、融着または不均
染などを招くため、本発明に用いる熱処理装置の
温度制御は±0.5℃以下で装置内の温度勾配も常
に一定であることが望ましい。 また該装置内の繊維の通過速度も一定であるこ
とが好ましく、極端な場合、繊維が停止すれば融
着が発生する。 また、熱処理時間は0.5秒〜10秒を必要とする。
0.5秒未満では225℃以上、Tn3+10℃の範囲の温
度で熱処理しても、あたかも低温で熱処理したよ
うに一旦淡染化する。次に時間の経過と共に易染
化傾向を示すが、0.5秒未満では易染化は不十分
である。 従来通常の紡糸―延伸工程を経て製造された繊
維を225℃〜Tn3+10℃の温度範囲で伸長率−20
%以上+5%未満の範囲で熱処理しても易染化せ
ず、また自由端で熱処理(25%程度の収縮が起
る)するとE′220の値が極端に低下し機械的特性
も低下する。しかし紡速4000m/分以上の紡糸条
件で得られた未延伸繊維を、上記温度範囲で、
0.5〜10秒間−20%以上、+5%未満の伸長下で熱
処理すると易染化するのみでなく、強度は低下せ
ず伸度は減少する傾向にある。したがつて衣料用
繊維として好適な伸度(すなわち、10〜50%)有
する繊維に変化する。また最適の熱処理温度及び
伸長率で熱処理すると常圧染色も可能となり、更
に沸水中での収縮率は5%以下にもなる。一方、
自由端で熱処理すると、E′220の低下が著るしく、
また熱処理に伴う初期モジユラスの増大は起らな
い。紡速4000m/分以下の紡糸条件で得られた繊
維を自由端熱処理した繊維の初期モジユラスは55
g/d以下となり、ポリエステル繊維の特徴の一
つである機械的性質が著るしく劣化されているこ
とがわかる。 繊維の均染化を高めるためには、熱処理の温度
制御を高める必要がある。設定温度に対して±
0.5℃以内の制御が望ましい。紡速が増加するに
したがつてTn3はいずれも増大し、熱処理温度は
高温側へ移動する。紡速が6000m/分以上の繊維
について225℃以上でかつ(Tn3+10)℃以下の
温度で−20%以上+5%未満の伸長下で、0.5〜
10秒間熱処理すると易染化が著るしく、特に、紡
速8000m/分以上の繊維を225℃以上でかつ
(Tn3+10)℃以下の温度で−5〜0%の伸長下
で、0.5〜10秒間熱処理すると易染化はより一層
顕著である。尚、ここで伸長率が−(マイナス)
とは弛緩収縮せしめることを意味し、+(プラス)
とは引張伸長せしめることを意味する。 一般に、熱処理時の伸長率は高いほど染色性は
悪くなり、また伸長率が低過ぎると力学的性質が
低下する。−20%以上、5%未満が染色性と力学
的性質を勘定した場合最も適切な伸長率の範囲で
ある。 紡速が4000m/分以上で紡糸したポリエチレン
テレフタレート繊維の熱処理による染色性は、
225℃と、Tn3より10℃高い温度の範囲内で、温
度が高くなるほど、また処理時間が長いほど向上
する。しかし、熱処理時間は、熱処理用ヒーター
表面と繊維が接触しない場合は10秒以内で充分効
果があり、熱処理ヒーター表面と繊維が接触する
場合は5秒以内で充分効果がある。処理時間を1
秒以内に短縮するには235℃以上にするのが好ま
しい。ヒーターに接触する場合は、繊維が融着す
る場合があるので、接触させない方が工程管理上
無難な場合が多い。 本発明の方法に用いる熱処理用加熱方式は、紡
速4000m/分以上で紡糸されたポリエチレンテレ
フタレート繊維を225℃と、該繊維のTn3より10
℃以上高い温度の範囲内に加熱し得るものであれ
ば、その形体、熱媒体に制限はない。例えば、上
記温度範囲に調整した熱風乾燥機中に該繊維を通
過せしめる方法、表面を上記温度範囲に調整した
熱板に該繊維を接触させ走行せしめる方法、表面
を上記温度範囲に調整した円筒状の回転可能な熱
ローラーに該繊維を巻き付けて熱処理する方法な
どが採られる。 第1図は、本発明方法の実施に用いる装置の配
列を示す概略図である。第1図において、熔融し
たポリエチレンテレフタレートは加熱された紡糸
ヘツド2の中の紡糸口金(図示せず)から紡出さ
れ、大気中で冷却された糸条1となる。この際紡
糸口金下には紡出された糸条を取囲む管状の加熱
域3が設けられており、さらにその下方には糸条
を冷却吸引するための流体吸引装置4が設けられ
ている。管状の加熱域3及び流体吸引装置4を通
過した糸条1は、油剤付与装置5、集束装置6を
通つた後、引取りローラー7によつて引取られ
る。引取りローラー7に引取られた糸条1は、そ
のまま引取りローラー7に一旦巻取つて、再び引
取りローラー7より糸条1を引き出し、糸送りロ
ーラー8及び10により糸条1を−20%以上+5
%未満の間の適当な伸長率に伸長し、熱処理用ヒ
ーター9の温度を上記温度範囲中の所望の適切な
温度に調整して糸条1を熱処理して、巻取りロー
ラー11にて糸条1を巻きとる。 更に、紡速4000m/分以上で紡糸されたポリエ
チレンテレフタレート繊維を1本以上集束したト
ウ状物を熱処理する方法も採られる。 〔発明の効果〕 本発明の方法で得られる繊維の特徴は、初期モ
ジユラスが55g/d以上の実質的にポリエチレン
テレフタレートからなる繊維であつて、測定周波
数110Hzにおける力学的損失正接(tanδ)のピー
ク温度(Tnax)が105℃以下であり、かつピーク
値〔(tanδ)nax〕が0.14以上である点にある。す
なわち、無定形領域の分子鎖は弛緩し、分散染料
の染着を容易ならしめる構造のものである。しか
も、結晶化度(Xc)が30%以上、(010)面の結
晶の大きさ(ACS)が35Å以上で、かつ(010)
面の結晶配向度(Co)が80%以上である。また、
30℃に於ける初期モジユラスは55g/d〜130g/d
で、220℃におけるE′220は25g/d〜30g/dであ
る。いずれも従来の製法の繊維にくらべて易染化
し、常圧染色も可能であり、染色堅牢度も高い。 以下に本発明の繊維の構造特性の測定法を述べ
る。 <力学的損失正接(tanδ)及び動的弾性率(E′)
> 東洋ボールドウイン社製、レオバイブロン
(Rheovibron)DDV―e型動的粘弾性測定装
置を用い、試料約0.1mg、測定周波数110Hz、昇温
速度10℃/分で乾燥空気中にて各温度に於ける
tanδ、及びE′を測定する。tanδ―温度曲線から
tanδピーク温度(Tnax)〔℃〕と同ピーク高さ
〔(tanδ)nax〕が得られる。第7図aおよび第7図
bに本発明の繊維A、従来の延伸糸B、未延伸糸
C、部分配向糸Dのそれぞれtanδ―温度曲線、
E′―温度曲線の典型例を模式化した。 <微結晶の大きさ(ACS)> 赤道方向のX線回折強度を赤道反射法により測
定することにより微結晶の大きさ(ACS)を求
めることができる。 X線回折強度は理学電機社製X線発生装置
(RU―200PL)とゴニオメータ(SG―9R)、計
数管にはシンチレーシヨンカウンター、計数部に
は波高分析器を用い、ニツケルフイルターで単色
化したCu―Kα線(波長λ=1.5418Å)で測定す
る。繊維試料の繊維軸がX線回折面に対して垂直
となるようにアルミニウム製サンプルホルダーに
セツトする。この時、試料の厚みは0.5mm位にな
るようにセツトする。30kV、30mAでX線発生
装置を運転し、スキヤンニング速度1゜/分、チヤ
ート速度10mm/分、タイムコンスタント1秒、ダ
イバージエンススリツト1/2゜、レシービングス
リツト0.3mm、スキヤツタリングスリツト1/2゜
において2θが35゜から7゜まで回折強度を記録する。
記録計のフルスケール内にはいるように設定す
る。 ポリエチレンテレフタレート繊維は一般に赤道
線の回折角2θ=17゜〜26゜の範囲に3つの主要な反
射を有する(低角度側から(100)、(010)、(110)
面)。第8図にポリエチレンテレフタレート繊維
のX線回折強度曲線の一例を示す(図中aは結晶
部、bは非結晶部を示す)。ACSを求めるには、
例えばL.E.アレキサンダー著「高分子X線回折」
化学同人出版、第7章のシエラー(Scherrer)の
式を用いる。 2θ=7゜と2θ=35゜の間にある回折強度曲線間を
直線で結びベースラインとする。回折ピークの頂
点からベースラインに垂線を下しピークとベース
ライン間の中点を記入する。中点を通る水平線を
回折強度曲線回折ピークの間に引く。主要な反射
がよく分離している場合には曲線のピークの二つ
の肩と交差するが、分離が悪い場合には一つの肩
のみと交差する。このピークの幅を測定する。一
方の肩としか交差しない場合は交差した点と中点
間の距離を測定し、それを二倍する。また二つの
肩と交差する場合は両肩間の距離を測定する。こ
れらの測定値をラジアン表示に換算し、ライン幅
とする。更にこのライン幅を次式で補正する。 β=√22 Bは測定したライン幅、bはブロードニング定
数でSi単結晶の(111)面反射のピークのラジア
ンで表示したライン幅(半値幅)である。微結晶
の大きさ(ACS)は次式 ACS(Å)=K・λ/βcosθ によつて与えられる。ここでKは1、λはX線の
波長(1.5418Å)、βは補正されたライン幅、θ
はブラツグ角で2θの1/2である。 <結晶化度(Xc)> 微結晶の大きさの測定と同様にして得られたX
線回折強度曲線より、2θ=7゜と2θ=35゜の間にあ
る回折強度曲線間を直線で結びベースラインとす
る。2θ=20゜付近の谷を頂点とし、低角側及び高
角側のすそに沿つて直線で結び、結晶部と非結晶
部に分離し、次式に従つて面積法で求める。 Xc=結晶部の散乱強度/全散乱強度×100 <結晶配向度(Co)> 理学電機社製X線発生装置(RU―200PL)、繊
維試料測定装置(FS―3)、ゴニオメータ(SG
―9)、計数管にはシンチレーシヨンカウンター、
計数部には波高分析器を用い、ニツケルフイルタ
ーで単色化したCu―Kα線(波長λ=1.5418Å)
で測定する。ポリエチレンテレフタレート繊維は
一般に赤道線上に三つの主要な反射を有するが、
結晶配向度(Co)の測定には(010)面反射を使
用する。使用される(010)面反射の2θは赤道線
方向の回折強度曲線から決定される。 X線発生装置は30kV、80mAで運転する。繊
維試料測定装置に試料を単糸同志が互に平行にな
るように揃えて取付ける。試料の厚みが0.5mm位
になるようにするのが適当である。赤道方向の回
折強度曲線から決定された2θ値にゴニオメーター
をセツトする。対称透過法を用いて方位角方向を
−30゜〜+30゜走査し方位角方向の回折強度を記録
する。更に−180゜と+180゜の方位角方向の回折強
度を記録する。この時スキヤンニング速度4゜/
分、チヤート速度10mm/分、タイムコンスタント
1秒、コリメーター2mmφ、レシービングスリツ
ト縦幅19mm、横幅3.5mmである。 得られた方位角方向の回折強度曲線からCoを
求めるには、±180゜で得られる回折強度の平均値
を取り、水平線を引きベースラインとする。ピー
クの頂点からベースラインに垂線をおろし、その
高さの中点を求める。中点を通る水平線を引き、
これと回折強度曲線との二つの交点間の距離を測
定し、この値を角度(゜)に換算した値を配向角
H(゜)とする。結晶配向度は次式 Co(%)=180゜−H/180゜×100 によつて与えられる。 <染色性> 染色性は染着率によつて評価した。 分散染料レゾリンブルー(Resoline Blue)
FBL(バイエル社商品名)を使用し、3%owf、
浴比1対50で100℃で染色した。分散剤として
Disper TLを1g/加え、さらに酢酸によつて
PH=6に調整する。染着率は所定時間(2時間)
経過後、染液を採取し、吸光度より残液中の染料
量を算出し、これを染色に用いた染料量から減じ
たものを染着量として染着率(%)を計算した。
なお、試料としては原糸を一口編地とし、スコア
ロールFC2g/を用い60℃で20分精練し、乾燥、
調湿(20℃×65%RH)したものを用いた。なお
従来の衣料用ポリエステル繊維は、この条件で染
色すると染着率は50%以下であり、他の条件はそ
のままで、染色温度を130℃(すなわち通常行な
われる温度)にすると染着率はほぼ85%になる。
したがつて本発明で常圧染色可能とは、100℃の
染色温度の上記条件で染着率85%以上であること
を指す。以下の実施例で易染化とは常圧染色可能
になることを言う。 <染色堅牢度> 染料濃度を1%owfにし、染色時間を90分とす
る以外は染色性評価と同様の方法で染色した試料
をハイドロサルフアイト1g/、水酸化ナトリ
ウム1g/、界面活性剤(サンモールRC―700)
1g/を用い、浴比1対50、80℃で20分間還元
洗浄したものを評価した。 染色堅牢度は耐光堅牢度(JIS L―1044に準ず
る)、摩擦堅牢度(JIS L―0849に準ずる)、ホツ
トプレツシング堅牢度(JIS L―0850に準ずる)
について評価した。 <初期モジユラス> 前出の動的粘弾性試験のE′の30℃に於ける値を
初期モジユラスとした。 <強伸度> 東洋ボールドウイン社製TENSILON UTM―
―20型引張試験機により初長5cm、引張速度20
mm/minで測定した。 <沸水収縮率> 0.1g/d荷重下での試料長をLoとし、荷重を取
除き沸水中で30分間処理した後、再度同じ荷重下
で測定した長さをLとした時、沸水収縮率は 沸水収縮率(%)=Lo−L/Lo×100 で表わされる。 <融解終了温度(Tn3)> Perkin―Elmer社製DSC―b型を用い、試料
量約1.5mgをN2ガス雰囲気中で、約180℃から、
昇温速度20℃/minで昇温し、融解曲線を測定す
る。その融解曲線の融解終了温度をTn3と定義す
る。第7図はこのTn3の説明図である。 〔実施例〕 以下に本発明を実施例を用いて説明する。 実施例 1 フエノール/テトラクロルエタンの2/1混合
溶媒中で、35℃における固有粘度〔η〕(以下
〔η〕と表わす)が0.63のポリエチレンテレフタ
レートを紡糸温度300℃で、孔径0.35mmφ、孔数
7の紡糸口金より紡出し、糸条の全周囲から糸条
の走行方向に平行に供給される22℃の空気の流れ
によつて冷却固化させた後、仕上剤を付与し、
4000m/分〜9000m/分の速度で巻取つて、
35d/7fの繊維を得た。この繊維を第1図の熱処
理用ヒーター9の内部の温度を245℃に調節し、
伸張率2%で0.8秒間、熱処理ヒーター表面に接
触することなく通過せしめ熱処理した。また同時
に比較のため、紡速3000m/分で紡糸した35d/
7fの繊維と、紡速1500m/分で紡糸後30℃で3.3
倍に延伸した35d/7fの繊維についても、同様に
熱処理した。それぞれの繊維の物性値を第1表に
まとめて示す。ただしTn3は熱処理前の繊維に関
する値である。
【表】 第1表の結果より、本発明の方法による4000
m/分以上の紡糸速度で紡糸し、245℃で2%伸
長下において0.8秒間熱処理した繊維は、易染化
し、さらに染色堅牢度に優れ、機械的特性、熱安
定性も充分満足できるものであることが解る。こ
れに対し、本発明範囲外の3000m/分の紡糸速度
で紡糸し、上記条件で熱処理した繊維は易染化は
進むが機械的性質が劣るし、また1500m/分の紡
糸速度で紡糸後、延伸し上記条件で熱処理した繊
維は易染化しない。 実施例 2 〔η〕が0.64のポリエチレンテレフタレート
を、紡糸温度300℃で、孔径0.35mmφ、孔数7の
紡糸口金より紡糸し、糸条の全周囲から糸条の走
行方向に平行に供給される22℃の空気の流れによ
つて冷却、固化させた後、仕上剤を付与し、4000
m/分〜9000m/分の速度で巻取つて、35d/7f
の繊維を得た。第1図に示す熱処理用ヒーター9
の表面温度を240℃に調節し、夫々の紡速で紡糸
したポリエチレンテレフタレート繊維を2%伸長
下において、熱処理用ヒーター9の表面に接触せ
しめて60m/分の速度で通過させ、0.7秒間熱処
理した。また同時に比較のため、紡速3000m/分
で紡糸した35d/7fの繊維と、紡速1500m/分で
紡糸後30℃で3.3倍に延伸した35d/7fの繊維につ
いても同様に熱処理した。それぞれの繊維の物性
値を第2表にまとめて示す。ただしTnioおよび
Tn3は熱処理前の繊維に関する値である。
【表】 第2表の結果より、本発明の方法による4000
m/分以上の紡速で紡糸し、240℃で2%伸長下
において、0.7秒熱処理した繊維は、易染化し、
さらに染色堅牢度に優れ、機械的特性、熱安定性
も充分満足できるものであることが解る。これに
対し、本発明範囲外の3000m/分の紡糸速度で紡
糸し、上記条件で熱処理した繊維は易染化は進む
が機械的性質が劣るし、また1500m/分の紡糸速
度で紡糸後、3.3倍に延伸し、上記条件で熱処理
した繊維は易染化しない。 実施例 3 実施例2と同様にして得た紡速5000m/分の繊
維(Tn3=283℃)を伸長率1%、熱処理用ヒー
ター表面の接触時間0.8秒の条件下で種々の温度
で熱処理した。得られた繊維の動的粘弾性、機械
的特性、熱的特性、および平衡染着率を第3表に
まとめて示す。
【表】 *印の処理は本発明の範囲外
第3表の結果より、本発明の方法で熱処理した
繊維は、易染化し、機械的、熱的特性も充分満足
できることが解る。 実施例 4 実施例2と同様に作製した紡速9000m/分の繊
維(Tn3=298℃)を実施例3と同様に伸長率1
%で、種々の温度の熱処理用ヒーター表面を1秒
間接触させた。得られた繊維の動的粘弾性、機械
的熱的性質及び平衡染着率を第4表にまとめて示
す。
【表】 *印の処理は本発明の範囲外
本発明の方法を採用すれば、物性低下を伴わず
に易染化が可能になる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の方法に用いる装置の一例の概
略図である。図において、1は糸条、2は紡糸ヘ
ツド、3は管状加熱域、4は流体吸引装置、5は
油剤付与装置、6は集束装置、7は引取りローラ
ー、8は糸送りローラー、9は熱処理用ヒータ
ー、10は糸送りローラー、11は巻取りローラ
ーを夫々示す。 第2図は紡速とE′220との関係を、245℃で1秒
間、伸長率1%で熱処理した糸と処理前の糸につ
いて示したものである。なお、熱処理糸の値は点
線、処理前の糸の値は実線で示す。第3図は、紡
速と結晶化度の関係を、第2図の場合と同じ条件
での熱処理前後の値について示したものである。
なお、熱処理糸の値は点線、処理前の糸の値は実
線で示す。第4図は、紡速と(010)面の微結晶
の大きさの関係を、第2図の場合と同じ条件での
熱処理前後の値について示したものである。な
お、熱処理糸の値は点線、処理前の糸の値は実線
で示す。第5図は、紡速と結晶配向度の関係を、
第2図の場合と同じ条件での熱処理前後の値につ
いて示したものである。なお、熱処理糸の値は点
線、処理前の糸の値は実線で示す。第6図は、示
差走査熱量計(DSC)の融解終了温度Tn3の説明
図である。第7図a及び第7図bは力学的損失正
接(tanδ)―温度曲線、動的弾性率(E′)―温度
曲線を模式化して示したグラフである。図におい
てAは本発明の繊維、Bは従来の延伸糸、Cは未
延伸糸、Dは部分配向糸の夫々tanδ、E′の測定値
を示す。 第8図は、ポリエチレンテレフタレート繊維の
X線回折強度曲線の一例を示すグラフである。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 紡速4000m/分以上で紡糸し一旦巻き取つた
    ポリエチレンテレフタレート繊維を、225℃と、
    示差走査熱量計で測定した融解終了温度Tn3より
    10℃高い温度との範囲で、−20%以上+5%未満
    の伸長下で、0.5ないし10秒間熱処理することを
    特徴とするポリエチレンテレフタレート繊維の製
    造法。 2 紡糸された繊維を一旦巻取つた後、ヒーター
    に接触することなく、−5〜0%の伸長下で熱処
    理する特許請求の範囲第1項記載の易染性ポリエ
    チレンテレフタレート繊維の製造法。 3 熱処理温度が235℃以上である特許請求の範
    囲第1項または第2項のいずれかに記載の易染性
    ポリエチレンテレフタレート繊維の製造法。 4 紡速6000m/分以上で紡糸する特許請求の範
    囲第2項記載の易染性ポリエチレンテレフタレー
    ト繊維の製造法。 5 紡速8000m/分以上で紡糸する特許請求の範
    囲第2項記載の易染性ポリエチレンテレフタレー
    ト繊維の製造法。
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