JP2731547B2 - 4サイクルエンジン - Google Patents

4サイクルエンジン

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JP2731547B2
JP2731547B2 JP63263160A JP26316088A JP2731547B2 JP 2731547 B2 JP2731547 B2 JP 2731547B2 JP 63263160 A JP63263160 A JP 63263160A JP 26316088 A JP26316088 A JP 26316088A JP 2731547 B2 JP2731547 B2 JP 2731547B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、例えば一気筒当り三個の吸気バルブを備え
た4サイクルエンジンに関する。
[従来技術] 従来、例えば「特開昭59−231121号公報」に見られる
ように、一気筒につき吸気バルブを三個設け、この吸気
バルブの有効面積を大きくして、吸気効率を高めたエン
ジンが知られている。このエンジンでは、三個の吸気バ
ルブおよび二個の排気バルブを気筒のボア中心に対し放
射状に配置し、燃焼室を理想的な形状と言われる半球形
に近づけるとともに、これら三個の吸気バルブのうち、
両側の二つの吸気バルブをカム軸と連動するロッカアー
ムを介して開閉駆動し、残りの中央の吸気バルブはバル
ブリフタを介して直接開閉駆動することが行なわれてい
る。
[発明が解決しようとする課題] ところが、吸気バルブおよび排気バルブを放射状に配
置した場合、これら各バルブはカム軸側に進むに従い気
筒の径方向外側に向って傾斜するので、特に本数の多い
吸気バルブ側では、その両側に位置する二つの吸気バル
ブの間隔が広くなる傾向にある。
このため、二つの吸気バルブを開閉するロッカアーム
が気筒の径方向外側に張り出すので、この二つのロッカ
アームをカム軸の軸方向に沿う両外側から挾み込む位置
に、シリンダヘッドをシリンダブロックに固定するため
のヘッドボルトを配置すると、このヘッドボルトの配置
間隔がより広がってしまい、その分、シリンダヘッドが
大形化するといった不具合がある。
特に複数の気筒を並設してなる多気筒エンジンでは、
隣り合う気筒のロッカームの間にヘッドボルトが入り込
むために、これらロッカアームの間にヘッドボルトの脱
着スペースを確保しなくてはならない。このため、気筒
間隔がより広がってしまい、エンジンが大形化するとい
った問題がある。
なお、エンジンをコンパクト化することのみを考慮し
て、ヘッドボルトの配置間隔、つまりピッチを決定して
しまうと、バルブ配置が放射状であるが故に、吸気バル
ブの傘部の径を小さくして、この吸気バルブ自体をボア
中心側に寄せなくてはならない。このため、傘部の径が
小さくなった分だけ吸気バルブの有効面積が減少し、吸
気バルブを三個設けたメリットを充分に生かしきれなく
なる等の問題がある。
本発明は、このような事情にもとづいてなされたもの
で、バルブの有効面積やリフト量を減少させることなく
ヘッドボルトの配置間隔を挟めることができ、シリンダ
ヘッドの小型軽量化を図れるとともに、三つのカムに対
応した箇所においてカム軸をシリンダヘッドにしっかり
と固定することができる4サイクルエンジンの提供を目
的とする。
[課題を解決するための手段] 上記目的を達成するため、本発明は、 一気筒当り吸気バルブ又は排気バルブの少なくとも一
方を三個有するシリンダヘッドと; このシリンダヘッドに支持され、上記三個のバルブを
開閉駆動するための三つのカムと、これらカムの間に位
置する二つのジャーナル部と、を有するカム軸と; このカム軸を上記シリンダヘッドに保持するカムキャ
ップと、を備えており、 上記三個のバルブのうち、少なくとも両側に位置され
た二つのバルブを、上記カムと連動する複数のロッカア
ームを介して開閉駆動するようにした4サイクルエンジ
ンを前提としている。
そして、本発明では、上記三個のバルブを上記カム軸
と直交する方向に沿って互いに平行に配置するととも
に、これらバルブのバルブステムを押圧する上記ロッカ
アームも上記カム軸と直交する方向に沿って互いに平行
に配置し、これらロッカアームにおける上記カム軸の軸
方向に沿う両外側に、夫々上記シリンダヘッドをシリン
ダブロックに固定するヘッドボルトを配置し、 また、上記カムキャップは、上記カム軸を挟んで向か
い合う第1および第2の端部と、これら第1および第2
の端部の間に形成され、上記カムの間のジャーナル部に
摺動可能に接する一対の軸受部と、を有し、 このカムキャップの第1および第2の端部は、上記軸
受部に隣り合うロッカアームの方向にずれた二箇所にお
いて夫々ボルトを介して上記シリンダヘッドに固定され
ていることを特徴としている。
[作用] この構成によれば、三個のバルブおよびこのバルブの
バルブステムを押圧するロッカアームは、カム軸と直交
する方向に沿って互いに平行に延びているから、これら
三個のバルブのうち、両側のバルブのバルブステムとロ
ッカアームとの接触部を、従来よりも互いに接近する方
向に寄せることができ、これら両側のバルブおよびロッ
カアームの間隔を狭くすることができる。このため、両
側の二つのロッカアームを挾み込む位置にヘッドボルト
を配置しても、このヘッドボルトが気筒の径方向外側に
大きく張り出すことはなく、ヘッドボルトの配置間隔を
狭めることができる。
また、三個のバルブは互いに平行であるから、両側の
二つのバルブの間隔を狭めてもバルブの傘部の径を充分
に確保することができる。それとともに、少なくとも両
側に位置する二つのバルブをロッカアームによって開閉
駆動すれば、三個のバルブが接近しているにも拘らず、
これらバルブのリフト量を充分に確保することができ
る。
加えて、カムキャップを固定するボルトは、カムキャ
ップの軸受部の配置間隔よりも大きな間隔を存して配置
されるので、これらボルト間のスパーンが長くなる。そ
のため、三つのカムに対応した位置において、カム軸を
シリンダヘッドにしっかりと押え込むことができ、この
カム軸の支持が確実となる。
[実施例] 以下本発明の一実施例を、4サイクル多気筒エンジン
に適用した図面にもとづいて説明する。
図中符号1で示すシリンダヘッド1は、アッパヘッド
1aとロアヘッド1bとに上下に二分割されており、これら
アッパヘッド1aとロアヘッド1bとはボルト1cによって締
付け固定されている。アッパヘッド1aの内部には吸気用
カム軸2と、排気用カム軸3が設けられている。これら
カム軸2,3の端部に位置するジャーナル部2a,3aは、アッ
パヘッド1aの上面に設けた複数の軸受部4と、この軸受
部4にボルト締めした軸受カバー5との間で回転自在に
軸支されており、各カム軸2,3はスプロケット6および
タイミングチェーン7を介して図示しないクランク軸と
連動されている。
ロアヘッド1bの下面にはペントルーフ形の燃焼室8を
形作る凹部9が形成されている。この凹部9は気筒の数
に対応して設けられており、各凹部9には第3図に示す
ように、三個の吸気口10a,10b,10cと二個の排気口11a,1
1bが開口されている。これら吸気口10a,10b,10cと排気
口11a,11bとは、燃焼室8の中心を挾んで互いに向き合
っており、吸気口10a,10b,10cは三個の吸気バルブ12a,1
2b,12cによって個別に開閉されるとともに、排気口11a,
11bは二個の排気バルブ13a,13bによって個別に開閉され
る。これら吸気バルブ12a,12b,12cおよび排気バルブ13
a,13bは、そのバルブステム14がロアヘッド1bに支持さ
れており、このバルブステム14の下端の傘部15は、第2
図に示すように燃焼室8内で向き合っている。このた
め、吸気バルブ12a,12b,12cと排気バルブ13a,13bは、燃
焼室8の中心を挾んで向かい合っており、バルブ配置が
クロスフロー形となっている。
吸気バルブ12a,12b,12cおよび排気バルブ13a,13bのバ
ルブステム14は、ロアヘッド1bを貫通してアッパヘッド
1aの内部に導出されている。これら吸気バルブ12a,12b,
12cおよび排気バルブ13a,13bは第1図および第2図に示
すように、そのバルブステム14の軸線X1およびX2が吸気
用カム軸2および排気用カム軸3と直交する方向に沿っ
て互いに平行に配置されており、中央に位置する吸気バ
ルブ12bは、両側の吸気バルブ12a,12cに対し気筒の径方
向外側にオフセットされている。そして、本実施例の場
合、各吸気バルブ12a,12b,12cおよび排気バルブ13a,13b
の傘部15の下面は、夫々同一平面上に位置している。
排気バルブ13a,13bを開閉する排気用カム軸3は、一
気筒につき二つの排気カム16を備えており、この排気カ
ム16には排気バルブ13a,13bのバルブステム14がバルブ
リフタ17を介して摺接されている。このため、排気バル
ブ13a,13bは排気用カム軸3によって直接開閉駆動され
る。
一方、吸気バルブ12a,12b,12cを開閉する吸気用カム
軸2は、一気筒につき三つの吸気カム18a,18b,18cと、
これら吸気カム18a,18b,18cの間に位置された二つのジ
ャーナル部2aとを備えている。この吸気用カム軸2は上
記三個の吸気バルブ12a,12b,12cのうち、中央に位置す
る吸気バルブ12bの延長線上に位置している。吸気カム1
8a,18b,18cのうち、中央の吸気カム18bには、上記中央
の吸気バルブ12bのバルブステム14がバルブリフタ19を
介して摺接されており、このバルブリフタ19の頂面には
タペットクリアランスを調整するアジャスティングパッ
ト20が着脱可能に取付けられている。このため、中央の
吸気バルブ12bは吸気用カム軸2によって直接開閉駆動
される。
これに対し、両側の吸気バルブ12a,12cのバルブステ
ム14は、吸気用カム軸2の軸線から外れた位置にあるた
め、夫々ロッカアーム21を介して開閉駆動される。
すなわち、アッパヘッド1aにはロッカアーム21を支持
するロッカ軸22が支持されている。このロッカ軸22は吸
気用カム軸2の軸受部4およびアッパヘッド1aの内側面
から一体に延びる膨出壁部23の軸受孔24を貫通してお
り、吸気用カム軸2の外側下方において、この吸気用カ
ム軸2と平行に延びている。そして、ロッカ軸22の外周
にロッカアアーム21の一端のボス部25が軸回り方向に回
動可能で、しかも、軸方向にもスライド可能に支持され
ており、このロッカアーム21はロッカ軸22および吸気用
カム軸2と直交する方向に延びている。したがって、シ
リンダヘッド1を平面的に見た場合、両側の吸気バルブ
12a,12cのバルブステム14とロッカアーム21とは同一直
線上に位置しており、このロッカアーム21によって押さ
れるバルブステム14の上端部には、タペットクリアラン
スを調整するアジャスティングパッド26が着脱可能に取
付けられている。
ロッカアーム21は第5図に示すように、膨出壁部23を
挾んだ両側に位置されており、そのボス部25がロッカ軸
22の外周に設けたコイルスプリング27により、膨出壁部
23の両側面23aに押付けられている。このため、ロッカ
アーム21は膨出壁部23との当接によってロッカ軸22上で
の位置決めがなされており、このロッカアーム21をコイ
ルスプリング27の付勢力に抗してロッカ軸22上をスライ
ドさせると、ロッカアーム21がアジャスティングパッド
26上から離脱し、このアジャスティングパッド26の交換
作業を行なえるようになっている。よって、タペットク
リアランスの調整作業の度に、ロッカアーム21を取外す
必要もなく、調整作業を容易に行なえる。
また、ロッカ軸22は第5図に示すように中空に形成さ
れて、その内部空間が潤滑油の流通路28となっており、
この流通路28内を流れる潤滑油の一部は、ロッカ軸22の
周面およびロッカアーム21のボス部25に設けた噴出孔29
を通じてロッカアーム21と吸気カム18a,18cとの摺接面
に供給される。それとともに、アッパヘッド1aの周壁に
はロッカ軸22の軸線上に位置して、このロッカ軸22を挿
脱するための通孔32が開口されており、この通孔32は着
脱可能なめくら蓋32aによって塞がれている。
なお、図中符号30はバルブスプリング、31はロッカ軸
22の回り止めピンを示す。
ところで、このようなシリンダヘッド1は複数のヘッ
ドボルト33により図示しないシリンダブロックに締付け
固定されている。本実施例のヘッドボルト33は六角穴付
きボルトであり、シリンダヘッド1のロアヘッド1bとシ
リンダブロックとを連結している。そして、このヘッド
ボルト33は吸気用カム軸2側と排気用カム軸3側に一列
づつ並置されており、吸気用カム軸2側のヘッドボルト
33は各気筒のロッカアーム21の両外側に位置するととも
に、排気用カム軸3側のヘッドボルト33は各気筒の排気
カム16の両外側に位置されている。つまり、換言すれ
ば、ヘッドボルト33は各気筒のロッカアーム21および排
気カム16をカム軸2,3の軸方向両側から挾み込む位置に
配置されている。
ヘッドボルト33の頭部34は六角穴34aを有しており、
この頭部34はロアヘッド1bの上面に位置するとともに、
この頭部34の真上を吸気用カム軸2および排気用カム軸
3が通過している。このため、両カム軸2,3には、六角
穴34aに嵌合する六角レンチを通すための挿入孔が径方
向に貫通して設けられている。
また、アッパヘッド1aの膨出壁部23は第4図に示すよ
うに、点火プラグを通す挿通孔36の開口部分まで一体に
延長されており、この延長部分の上面には吸気カム18a,
18b,18cの間のジャーナル部2aを受ける他の軸受部37が
形成されている。膨出壁部23の上面には吸気用カム軸2
のジャーナル部2aを軸受部37との間で挾み込んで支持す
るカムキャップ38が着脱可能にボルト締めされている。
このカムキャップ38は吸気カム18a,18b,18cを上方から
覆う天板部39と、上記挿通孔36に連続する筒状部40を一
体に備えている。天板部39は、吸気カム18a,18b,18cの
回転軌跡に沿うように断面円弧状に湾曲されており、こ
の天板部39の下面には、下向きに突出する一対の軸受部
39a,39bが形成されている。軸受部39a,39bは、吸気カム
18a,18b,18cの間のジャーナル部2aに摺動可能に接する
とともに、このジャーナル部2aを上記アッパヘッド1aの
軸受部37との間で挟み込んで保持している。また、天板
部39には、ねじ孔41が形成されている。このねじ孔41
は、バルブリフタ19の上縁部の真上に位置されている。
このねじ孔41はバルブリフタ19を最大リフト位置に保持
する特殊工具42をねじ込むためのものであり、この特殊
工具42の先端にはバルブリフタ19の上縁部に引掛かる係
止部43が形成されている。
第2図、第3図、第4図および第6図に示すように、
カムキャップ38の天板部39は、上記吸気用カム軸2を挟
んで向かい合う第1の端部50と第2の端部51とを有して
いる。第1の端部50は、上記筒状部40に連なっている。
第1および第2の端部50,51は、夫々一対のボス部52a,5
2b、53a,53bを有している。ボス部52a,52b、53a,53b
は、吸気用カム軸2の軸方向に互いに離間して配置され
ており、これらボス部52a,52b、53a,53bは、上記軸受部
39a,39bよりもその側方に隣り合うように位置されたロ
ッカアーム21の方向にずれている。そのため、ボス部52
a,52b、53a,53bの配置間隔L1は、軸受部39a,39bの配置
間隔L2よりも大きくなっている。
カムキャップ38のポス部52a,52b、53a,53bには、夫々
ボルト55が挿通されている。ボルト55は、アッパヘッド
1aにねじ込まれており、このねじ込みにより、カムキャ
ップ38がアッパヘッド1aに固定されている。そのため、
吸気用カム軸2は、三つの吸気カム18a,18b,18cに対応
した位置において、アッパヘッド1aの軸受部37とカムキ
ャップ38の軸受部39a,39bとの間で摺動可能に挟持され
ている。
また、天板部39のロッカ軸22側の端部は、第4図に示
すように中央の吸気カム18bに対応した位置において、
アッパヘッド1aの一側周縁部側に向って大きく切り欠か
れており、この切り欠き部44は膨出壁部23上に位置して
いる。膨出壁部23の上面にはバルブリフタ19と吸気カム
18bとの摺接部分に連なる逃げ凹部45が形成されてお
り、この逃げ凹部45は切り欠き部44に連続して吸気カム
18bとバルブリフタ19の側方に、シックネスゲージやア
ジャスティングパッド20を出し入れするための開口部46
を形作っている。
したがって、アジャスティングパッド20を交換するに
は、まず、吸気用カム軸2を回転させて、その吸気カム
18bにてバルブリフタ19を最大にリフトさせる。そし
て、特殊工具42をねじ込んで先端の係止部43をバルブリ
フタ19に引掛け、このバルブリフタ19を最大リフト位置
に固定する。この状態で吸気用カム軸2を回して吸気カ
ム18bをバルブリフタ19上のアジャスティングパッド20
から離脱させ、このアジャシティングパッド20を逃げ凹
部45から引き出す。そして、新たなアジャスティングパ
ッド20を逃げ凹部45を通じてバルブリフタ19の頂面にセ
ットしたならば、吸気用カム軸2を回して吸気カム18b
を最大リフト状態にし、特殊工具42をねじ孔41から取外
す。
なお、吸気用カム軸2や排気用カム軸3は、アッパヘ
ッド1aに被せた図示しないヘッドカバーで覆われること
は勿論である。
このような構成によれば、吸気バルブ12a,12b,12cの
バルブステム14およびこのバルブステム14を押圧するロ
ッカアーム21を、吸気用カム軸2と直交する方向に沿っ
て互いに平行に設けたので、これら三個の吸気バルブ12
a,12b,12cのうち、両側に位置する二つの吸気バルブ12
a,12cのバルブステム14とロッカアーム21との接触部
を、従来よりも互いに接近する方向に寄せることがで
き、両側のバルブステム14やロッカアーム21の間隔を狭
くすることができる。このため、二つのロッカアーム21
を挾み込む位置にヘッドボルト33を配置しても、このヘ
ッドボルト33が気筒の径方向外側に大きく張り出さずに
済むから、ヘッドボルト33の配置間隔を狭めることがで
き、その分、シリンダヘッド1がコンパクトとなってエ
ンジンを小形軽量化することができる。
特に本実施例のような多気筒エンジンにおいては、一
つの気筒のロッカアーム21が隣り合う気筒側に大きく張
り出さずに済むから、この隣り合う気筒のロッカアーム
21の間にヘッドボルト33を配置しても、気筒の配置間隔
を極力狭くすることができ、エンジンのコンパクト化を
図る上で好都合となる。
また、吸気バルブ12a,12b,12cは互いに平行をなして
いるので、傘部15の径を充分に大きく設定し得るととも
に、両側に位置する二つの吸気バルブ12a,12cをロッカ
アーム21を介して開閉駆動すれば、三個の吸気バルブ12
a,12b,12cが互いに接近しているにも拘らず、これら吸
気バルブ12a,12b,12cのリフト量を充分に確保すること
ができる。
すなわち、互いに近接した三個の吸気バルブ12a,12b,
12cを、バルブリフタ19を介して直接開閉駆動すると、
これら吸気バルブ12a,12b,12cのリフト量はバルブリフ
タ19との接触面積、つまり、バルブリフタ19の径によっ
て決まるので、一気筒につき三個の吸気バルブ12a,12b,
12cを設けたエンジンのようにバルブ間隔が狭いもので
は、バルブリフタ19の径もスペース的な制約から必然的
に小さくせざるを得なくなり、リフト量を大きくする上
での大きな妨げとなる。
しかるに、上記構成のように両側の吸気バルブ12a,12
cをロッカアーム21を介して開閉駆動すれば、バルブリ
フタ19が一つとなって、このバルブリフタ19を三個並べ
る場合に比べてスペース的な制約が解消される。このた
め、ロッカアーム21自体がリフト量を大きくする上で有
利なことと相まって、全ての吸気バルブ12a,12b,12cの
リフト量を大きくすることができる。
したがって、バルブステム14やロッカアーム21の配置
間隔を狭めたにも拘らず、吸気バルブ12a,12b,12cの傘
部19の径およびリフト量ともに充分に確保することがで
き、その分、吸入空気量が増大して高出力化が可能とな
る。
それとともに、ロッカアーム21はバルブリフタ19に比
べて吸気バルブ12a,12b,12cの並設方向に沿う幅が狭い
ので、両側の吸気バルブ12a,12cの動弁機構が気筒の径
方向外側に張り出さずに済み、この点でもシリンダヘッ
ド1をコンパクト化する上で有効に寄与する。
さらに、本実施例の場合、吸気バルブ12a,12b,12cお
よび排気バルブ13a,13bの各傘部15の下面は同一平面上
に位置しているので、燃焼室8の内面形状が段差のない
滑らかなものとなり、異常燃焼が起り難いとともに、カ
ーボン等も付着し難いといった利点がある。
加えて、上記構成によると、カムキャップ38をアッパ
ヘッド1aに固定するボルト55は、カムキャップ38の第1
および第2の端部50,51において、カムキャップ38の軸
受部39a,39bの配置間隔L2よりも大きな間隔を存して配
置されているので、これらボルト55間のスパーンが長く
なる。そのため、三つの吸気カム18a,18b,18cに対応し
た位置において、吸気用カム軸2をアッパヘッド1aにし
っかりと押え込むことができ、この吸気用カム軸2の支
持が確実となる。
なお、上記実施例では吸気バルブを三個設けたが、本
発明はこれに限らず、排気バルブを三個設けたり、ある
いは吸気バルブと排気バルブの両者を夫々三個づつ設け
ても良いし、三個のバルブの全てをロッカアームを介し
て開閉駆動するようにしても良い。
また、エンジンも多気筒に限らず、単気筒であっても
良い。
[発明の効果] 以上詳述した本発明によれば、二つのロッカアームを
挟み込む位置にヘッドボルトが位置するにも拘わらず、
これらヘッドボルトの配置間隔を狭くすることができ、
その分、シリンダヘッドがコンパクトとなってエンジン
を小型軽量化することができる。しかも、バルブの傘部
の径およびリフト量共に充分に大きく確保することがで
き、出力の向上に寄与する。
さらに、上記構成によると、カムキャップをシリンダ
ヘッドに固定するボルトは、カムキャップの軸受部の配
置間隔よりも大きな間隔を存して配置されるので、これ
らボルト間のスパーンが長くなる。したがって、三つの
カムに対応した位置において、カム軸をしっかりと押え
込むことができ、このカム軸をシリンダヘッドに確実か
つ強固に支持できるといった利点がある。
【図面の簡単な説明】
図面は本発明の一実施例を示し、第1図は吸気バルブ回
りの断面図、第2図は第1図中II−II線に沿う断面図、
第3図はシリンダヘッドの平面図、第4図は第3図中IV
−IV線に沿う断面図、第5図は第3図中V−V線に沿う
断面図、第6図はカムキャップの平面図である。 1……シリンダヘッド、 2,3……カム軸(吸気用カム軸、排気用カム軸)、 2a……ジャーナル部 12a,12b,12c……吸気バルブ、 13a,13b……排気バルブ、 14……バルブステム、 18a,18b,18c……カム(吸気カム)、 21……ロッカアーム、 33……ヘッドボルト、 38……カムキャップ、 39a,39b……軸受部、 50……第1の端部、 51……第2の端部、 55……ボルト。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一気筒当り吸気バルブ又は排気バルブの少
    なくとも一方を三個有するシリンダヘッドと; このシリンダヘッドに支持され、上記三個のバルブを開
    閉駆動するための三つのカムと、これらカムの間に位置
    する二つのジャーナル部と、を有するカム軸と; このカム軸を上記シリンダヘッドに保持するカムキャッ
    プと、を備えており、 上記三個のバルブのうち、少なくとも両側に位置された
    二つのバルブを、上記カムと連動する複数のロッカアー
    ムを介して開閉駆動するようにした4サイクルエンジン
    において、 上記三個のバルブを上記カム軸と直交する方向に沿って
    互いに平行に配置するとともに、これらバルブのバルブ
    ステムを押圧する上記ロッカアームも上記カム軸と直交
    する方向に沿って互いに平行に配置し、これらロッカア
    ームにおける上記カム軸の軸方向に沿う両外側に、夫々
    上記シリンダヘッドをシリンダブロックに固定するヘッ
    ドボルトを配置し、 また、上記カムキャップは、上記カム軸を挟んで向かい
    合う第1および第2の端部と、これら第1および第2の
    端部の間に形成され、上記カムの間のジャーナル部に摺
    動可能に接する一対の軸受部と、を有し、 このカムキャップの第1および第2の端部は、上記軸受
    部に隣り合うロッカアームの方向にずれた二箇所におい
    て夫々ボルトを介して上記シリンダヘッドに固定されて
    いることを特徴とする4サイクルエンジン。
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