JP2730726B2 - 画像表示装置の製造方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、映像機器における画像表示装置の製造方法
に関するものである。

従来の技術 電子ビームを用いてカラーテレビジョン画像を平面状
表示するものに、第２図に示すような画像表示装置があ
る。第２図において、後方から前方に向かって順に背面
電極１、電子ビーム源として線陰極２、垂直集束電極
３、垂直偏向電極４、電子ビーム流制御電極５、水平集
束電極６、水平偏向電極７、電子ビーム加速電極８およ
びスクリーン９が配置されて構成され、上記各要素はガ
ラス容器内（図示せず）に収納され、ガラス容器内を真
空とすることによって平面状の画像表示装置が構成され
ている。上記画像表示装置の中の画像表示素子の背面電
極１、垂直集束電極３、垂直偏向電極４、電子ビーム加
速電極８などについて、たとえば垂直集束電極３と垂直
偏向電極４を個々に位置決めし、第３図に示すように、
各電極をまとめる枠体10と個々に接合固定した後、第４
図に示すように、垂直偏向電極４と垂直集束電極３とを
直交させて接合固定する方法で組み立てられている。

発明が解決しようとする課題 上記のような構成において、垂直偏向電極４は絶縁基
板（たとえばガラスなど）で製作されているため、製造
工程上、前記電極の平面度（反り）を10μｍあるいはそ
れ以下に抑えることは非常に困難である。また、上記電
極を位置決め固定するために枠体10に挿入するが、精度
を保持するには枠体10の精度を充分に確保しなくてはな
らない。このため枠体10の加工には精度を必要とし、し
かも精度確保のための加工工数、組立工数に極めて多く
の時間が費やされると言う問題点を有している。また、
垂直偏向電極４の平面度が悪く反りがあると、画像とし
ての横線あるいは色むらとなって表われるが、その防止
のために、垂直偏向電極４、垂直集束電極３の組立時に
精度基準となる複数の平面方向の基盤と高さ方向の上基
盤とを備え、かつ、それぞれの基盤に対向した方向より
弾性体を介して各電極を加圧することにより接合する手
段を備えた治具により組立てる必要があり、治具の構造
上各電極を均一に加圧することは非常にむつかしく、作
業に熟練と時間が必要で、高精度に組立てることが困難
であると言う問題点を有していた。

本発明は上記問題を解決するもので、垂直偏向電極と
垂直集束電極の組立に際し、各電極を均一に加圧するこ
とにより反りを取り除き、作業に熟練を必要とせず、高
精度組立を可能にし、画像としての横線あるいは色むら
を解消できる画像表示装置の製造方法を提供することを
目的とするものである。

課題を解決するための手段 上記問題を解決するために本発明の画像表示装置の製
造方法は、少なくとも複数の垂直偏向電極の歪を矯正し
て、その端面を枠体に接合固定し、同時に前記垂直偏向
電極の上面を垂直集束電極に接合固定する際に、各垂直
偏向電極の一側面に精度基準の面となる基盤を当て付
け、かつ、その下面を下基盤の発条機構により押圧して
上面を垂直集束電極を介して高さ方向の精度基準となる
上基盤に押し付けるとともに、他側面に弾性体管を介し
てその内部を流れる流体による圧力を作用させて荷重を
かけ、歪を矯正した後、端部を枠体に接合固定するもの
である。

作用 上記構成により、各垂直偏向電極の反りを精度基準の
面となる基盤に対向した方向から弾性体管を使用した流
体圧により矯正し、接合固定するので、作業に熟練を必
要とせず、組立精度を向上させることができ、今まで画
像中に発生していた、横線、色むらなどの問題点を解決
でき、横線、色むらなどのない非常に美しい画像表示装
置を高精度で短時間に得らせれるものである。

実施例 以下本発明の一実施例について、図面を参照しながら
説明する。

第５図は複数の垂直偏向電極４の内の１本について示
した説明図である。第５図において、大きさはｌ・ｈ・
ｔ（ｌは長さ、ｈは幅、ｔは厚みで、たとえば266×9.6
×2mm）であり、ＡはＹ方向、ＢはＺ方向の歪を示す。

第１図は本発明の一実施例の画像表示装置の製造方法
を実施するときに使用する治具の断面を示し、垂直偏向
電極４を第５図のＦ−Ｆで断面して見た断面図である。
治具は垂直偏向電極４の精度基準の面となる基盤11と、
下基盤12と、上基盤13と、加圧手段としての弾性体管14
（たとえばシリコンチューブ）および発条機構15（たと
えば圧縮ばね）と、発条機構押え16を備えており、垂直
偏向電極４は基盤11と下基盤12と弾性体管14の間にセッ
トされる。そして、垂直集束電極３を基盤11の上面にの
せ、その上に精度基準となる上基盤13をのせる。このと
き、下基盤12を上基盤13に向って付勢するように発条機
構15が備わっている。枠体10は第１図（ｃ）に示すよう
に側板17に固定されており、全体としては第３図に示す
ようになっている。この状態で弾性体管14の内部に圧力
（たとえば圧縮空気）を加えると、弾性体管14は圧力に
より変形し、第１図（ｂ）に示すように垂直偏向電極４
を精度基準の面となる基盤11にパスカルの原理により均
一に加圧する。このとき、垂直偏向電極４は、下基盤12
が発条機構15により高さ方向の精度基準となる上基盤13
に向って荷重（300g〜700g程度）がかけられることによ
り、第５図（ｂ）に示すＢの歪が矯正されると同時に、
弾性体管14が圧縮空気などの内部圧力の作用により変形
し、精度基準となる基盤11に向ってＥ方向に荷重（50g
以上）がかけられることにより、第５図（ａ）に示すＡ
の歪が矯正される。また、第１図（ｂ）に示すように枠
体10もセットされ、側板17と弾性体管14、発条機構15、
下基盤12、基盤11、上基盤13により矯正固定され、垂直
偏向電極４と枠体10とは、第３図に示すように、Ｇ方向
より接合（たとえばレーザー溶接）され固定される。そ
して多数の垂直偏向電極４のすべてと垂直集束電極３と
は、第４図に示すように、上基盤13に設けられたピッチ
の等しい多数の穴を介してＨの方向より接合（たとえば
レーザー溶接）され固定される。このときの条件として
精度基準となる基盤11と上基盤13の平面度はともに±0.
01mm以内であることが必要である。

このようにして組立てられた複数の電極中、背面電極
１と垂直偏向電極４と垂直集束電極３と電子ビーム加速
電極のうち、少なくとも垂直偏向電極４と垂直集束電極
３を従来の作業と比較すると、組立精度が従来の1/5以
下の高精度を実現した電極ユニットが作業に熟練してい
なくても得られるようになった。また、弾性体管14の内
部に圧力を加えて変形させ加圧するため、各電極を均一
に加圧することが容易に行えた。

発明の効果 以上のように本発明よれば、垂直偏向電極に対する精
度基準となる複数の平面方向の基盤と精度基準となる高
さ方向の上基盤を用い、それぞれの基盤に対向した方向
より発条機構による加圧と、弾性体管を利用した流体圧
による加圧とにより、複数の垂直偏向電極の歪を矯正し
てその端面を枠体に接合固定し、組立を行うので、高精
度の電極ユニットを製作でき、それにより横線あるいは
色むらのない非常に美しい画像表示装置を安価にかつ効
率よく製作することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図（ａ）は本発明の一実施例における治具の構造を
示す断面図、第１図（ｂ）は、第１図の弾性体管が圧力
により変形し垂直偏向電極を加圧した状態を示す断面
図、第１図（ｃ）は第１図の部分的側面を示す断面図、
第２図は画像表示装置の基本構成を示す見取図、第３図
は複数の垂直偏向電極と枠体の接合固定状態を示した斜
視図、第４図は垂直偏向電極と垂直集束電極の接合固定
状態を示した斜視図、第５図（ａ）（ｂ）は複数の垂直
電極のある１本の歪の状態を示した上面図および正面図
である。 １…背面電極、２…線陰極、３…垂直集束電極、４…垂
直偏向電極、５…電子ビーム流制御電極、６…水平集束
電極、７…水平偏向電極、８…電子ビーム加速電極、９
…スクリーン、10…枠体、11…基盤、12…下基盤、13…
上基盤、14…弾性体管、15…発条機構、16…発条機構押
え、17…側板。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】背面電極とスクリーンの間に複数個の電極
   を有し、背面電極、複数の電極、スクリーンなどの構成
   部品を容器内に挿入後、前記容器を封着する画像表示装
   置の製造方法であって、少なくとも複数の垂直偏向電極
   の歪を矯正してその端面を枠体に接合固定し、同時に前
   記垂直偏向電極の上面を垂直集束電極に接合固定する際
   に、各垂直偏向電極の一側面に精度基準の面となる基盤
   を当て付け、かつその下面を下基盤の発条機構により押
   圧して上面を垂直集束電極を介して高さ方向の精度基準
   となる上基盤に押し付けるとともに、他側面に弾性体管
   を介してその内部を流れる流体による圧力を作用させて
   荷重をかけ、歪を矯正した後、端面を枠体に接合固定す
   る画像表示装置の製造方法。