JP2728935B2 - プラスチックレンズ材料およびその製造方法 - Google Patents

プラスチックレンズ材料およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、プラスチックレンズ材料およびその製造方
法、更に詳しくは、高い屈折率と高いアッベ数および小
さい比重を有し、しかも優れた耐衝撃性と良好な染色性
を有するプラスチックレンズ材料およびその製造方法に
関する。
〔従来の技術〕
最近において、透明なプラスチック材料は、軽いこ
と、耐衝撃性が大きくて割れ難いこと、加工し易いこ
と、並びに染色できることなど、無機ガラスでは得られ
ない種々の特長を有することから、光学レンズの材料と
して多方面で使用され始めている。
特に視力矯正用の眼鏡レンズの材料としては、軽量
性、高い耐衝撃性および染色の容易性などが必須の性質
として要求されることから、プラスチックレンズ材料は
好適なものである。
更に、プラスチックレンズ材料としては、屈折率の高
いものが要求されており、それは、屈折率が高いプラス
チックレンズ材料によれば、例えば眼鏡レンズの周辺部
の厚みを小さくすることができるからである。また高い
アッベ数を有する材料は、色収差が少ないので目の保護
の観点から好ましいものである。更に、比重の小さい材
料は、眼鏡レンズを軽量化することができるので好まし
いことはいうまでもない。
従来、最も多く使用されている眼鏡用のプラスチック
レンズ材料は、ジエチレングリコールビスアリルカーボ
ネート樹脂であるが、この樹脂は、屈折率が1.50前後と
比較的低く、この点において必ずしも満足し得るもので
はなく、また比重も1.31と特別小さいものではない。
一方、優れた耐衝撃性を有するプラスチックレンズ材
料としてはポリウレタン系樹脂が多方面で検討されてお
り、例えば、特開昭57−136601号公報、西独特許第2,92
9,313号明細書、米国特許第3,907,864号明細書、米国特
許第3,954,584号明細書、その他においてポリウレタン
系樹脂よりなるレンズが開示されている。
しかしながら、これらのポリウレタン系樹脂レンズも
屈折率が十分に高いものではなく、この点で満足できる
ものではない。
更に、より高い屈折率を有するポリウレタン系樹脂と
して、ハロゲン原子を含有するものが特開昭58−164615
号公報、特開昭59−133211号公報などにおいて提案され
ている。このように、ハロゲン原子、特に臭素原子やヨ
ウ素原子を含有する場合には、その含有量に応じて重合
体の屈折率が高くなるのであるが、同時にハロゲン原子
の含有量に応じて当該重合体の比重が大きくなってしま
い、このため、プラスチック材料の最大の特長というべ
き軽量性が損なわれ、結局得られるプラスチックレンズ
材料は、屈折率が高いことによる有利性が大幅に減殺さ
れたものとなり、しかも屈折率が高くなると、これに伴
って色収差の指標であるアッベ数が低くなるのが通例で
ある。
更に、水酸基を含有するビニル単量体とイソシアネー
ト化合物との反応により重合体分子に架橋構造を導入し
たものについて、特開昭57−136602号公報、特開昭58−
168614号公報などによって有用な提案がなされている。
しかし前者においては、ラジカ共重合などの多様性に
欠け、また後者においては、レンズ材料として重要な低
比重化や高アッベ数化が十分に考慮されていない。
〔発明が解決しようとする課題〕
このように、高屈折率で耐衝撃性に優れたプラスチッ
クレンズ材料を求めて各方面から模索が行われている
が、未だ十分に満足すべきものが得られていないのが現
状である。
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたもの
であり、高い屈折率と高いアッベ数を有し、しかも比重
が小さく、また優れた耐衝撃性と良好な染色性とを有す
るプラスチックレンズ材料を提供することを目的とす
る。
本発明の他の目的は、以上のような優れた特性を有す
るプラスチックレンズ材料を有利に製造する方法を提供
することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明のプラスチックレンズ材料は、下記A成分のイ
ソシアネート基と下記B成分の水酸基およびチオール基
との付加反応、並びに当該B成分および下記C成分のラ
ジカル重合性不飽和基による共重合反応を行うことによ
って得られる共重合体よりなり、 前記共重合反応に使用される前記C成分の割合が、最
終的に得られる共重合体において50〜85重量%であるこ
とを特徴とする。
A成分:下記構造式(I)で示されるヘキサメチレンジ
イソシアネートの環状三量体 B成分:分子中に水酸基(カルボキシル基のOH基を含
む。)を有すると共にラジカル重合性不飽和基を有する
重合性化合物、および、分子中にチオール基を有する化
合物 C成分:分子中に芳香族基を有すると共にラジカル重合
性不飽和基を有する芳香族単量体よりなる第1成分と、
分子中に少なくとも2個のラジカル重合性不飽和基を有
する架橋性単量体よりなる第2成分とを含む共重合性単
量体 本発明に係る方法は、上記A成分と上記B成分とより
なる液状の付加反応用混合物を、A成分のイソシアネー
ト基とB成分の水酸基およびチオール基との付加反応が
生ずる温度に保持された、付加反応触媒が添加された上
記C成分よりなる液状の付加反応媒体中に滴下して反応
させることにより、当該A成分とB成分とから生成する
単量体が当該C成分に混合された液状の単量体組成物を
得る工程と、 この単量体組成物を共重合反応させて共重合体を得る
工程とを含み、 前記C成分の使用割合が、最終的に得られる共重合体
において50〜85重量%であることを特徴とする。
ここに、A成分とB成分とによる付加反応は、具体的
には、A成分のイソシアネート基と、このA成分のイソ
シアネート基と反応するB成分の水酸基とにより通常は
ウレタン結合が生成されるが、B成分の水酸基はカルボ
キシル基のOH基であってもよく、この場合には厳密には
ウレタン結合といい得る結合が生成されないが、本明細
書では、両方の場合を包含する用語として「ウレタン化
反応」ということとし、これに準じて「ウレタン」の用
語が用いられる。そして、本発明のウレタン化反応は、
ウレタン結合生成反応と共に、B成分の一部として使用
される、分子中に少なくとも1個のチオール基を有する
化合物(以下「チオール化合物」という)の当該チオー
ル基とA成分のイソシアネート基とによるチオカルバミ
ン酸結合生成反応を含む概念である。従ってこのウレタ
ン化反応によって生成されるウレタン化合物は、ウレタ
ン結合のほかにチオカルバミン酸結合を含有するものと
なる。
〔効果〕
本発明によるプラスチックレンズ材料は、高屈折率で
アッベ数が高く、かつ比重が小さく、また優れた耐衝撃
性と良好な染色性を有するものである。
このような優れた特性が得られる理由の一つは、A成
分の分子構造に起因する。すなわち、このA成分の分子
は三次元方向に大きく伸びた三官能性のものであるた
め、このA成分とB成分とにより形成されるウレタン単
量体は空間的に大きな広がりを有していて分子容が大き
なものとなり、その結果、得られる共重合体が確実に比
重の小さいものとなる。
特にB成分の一部としてチオール化合物を使用するの
で、生成されるウレタン単量体の分子中に硫黄原子が導
入されるため、得られる共重合体はアッベ数の高いもの
となる。
また、B成分の重合性化合物とC成分との共重合反応
によって三次元架橋構造を有する共重合体が効率的に形
成される結果、この共重合体はきわめて優れた耐衝撃性
を有するものとなり、しかも当該C成分の第1成分が芳
香族基を有するため、当該共重合体が、比重が過大にな
ることなしに高い屈折率を有するものとなる。
更に、この共重合体は、ウレタン樹脂としての構造を
有することにより、良好な染色性をも有する。
本発明によれば、以上のように、特定のA成分とB成
分とC成分とを用いてウレタン化反応と共重合反応とを
行うことにより、得られる共重合体において、比重の増
加を回避しながら高い屈折率と高いアッベ数を実現する
ことができ、また優れた耐衝撃性と良好な染色性とが得
られる。
また、本発明の方法によれば、A成分とB成分とのウ
レタン化反応は、相対的に大過剰量のC成分よりなるウ
レタン化反応媒体中において行われるため、当該ウレタ
ン化反応による発熱を十分に制御することができ、得ら
れる単量体組成物が十分に均一な性状と適度の粘性を有
する混合物となり、その結果、最終的に得られる共重合
体が良好な光学特性を有するものとなる。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明のプラスチックレンズ材料である共重合体は、
次のウレタン化反応と、共重合反応とを行うことによ
り、得られるものである。
〈ウレタン化反応〉 このウレタン化反応は、上記構造式(I)で示され
る、分子中に3個のイソシアネート基を有するヘキサメ
チレンジイソシアネートの環状三量体よりなるA成分の
イソシアネート基と、B成分の分子中に少なくとも1個
存在する水酸基とによりウレタン結合を形成させる反応
であるが、このウレタン化反応においては、更に、A成
分のイソシアネート基と、B成分の一部として使用され
るチオール化合物のチオール基とによりチオカルバミン
酸結合が形成される。
このウレタン化反応においては、使用するA成分のイ
ソシアネート基のモル数をa、B成分における水酸基と
チオール基の合計のモル数をbとするとき、それらの比
b/aの値αが0.5〜30.0の範囲内にあることが必要であ
り、特に0.75〜20.0の範囲内にあることが好ましい。こ
のαの値が過大のときには、得られる共重合体を比重の
小さいものとすることが困難であり、しかも優れた耐衝
撃性を得ることができないおそれがあり、一方、過小の
ときには、得られる共重合体が、変色するなどの経時変
化が生じやすいものとなるおそれがある。
〈共重合反応〉 この共重合反応は、B成分の重合性化合物によるラジ
カル重合性不飽和基を利用して、上記ウレタン単量体と
特定の共重合性単量体よりなるC成分とを共重合させる
反応である。
この共重合反応において、C成分は、最終的に得られ
る共重合体における割合が50〜85重量%の範囲となる量
で使用される。
A成分 本発明においてA成分として用いられるヘキサメチレ
ンジイソシアネートの環状三量体は、分子容が大きく、
これにより、得られる共重合体の比重が小さいものとな
る。しかもこのA成分は三官能性であるため、B成分と
のウレタン化反応によって三次元架橋効果が有効に発揮
されることとなる。更に、このA成分は、上記αの値が
過小でない限り経時的に黄変することがないので、プラ
スチックレンズ材料として要求される無色透明性の安定
した架橋共重合体を得ることができる。
B成分 本発明においてB成分として用いられる重合性化合物
は、その分子中に、A成分のイソシアネート基と反応す
る少なくとも1個の水酸基(カルボキシル基のOH基を含
む。)を有すると共に少なくとも1個のラジカル重合性
不飽和基を有する重合性化合物である。その具体例とし
ては、アクリル酸、メタクリル酸、2−ヒドロキシエチ
ルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレー
ト、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロ
キシプロピルメタクリレート、2,3−ジヒドロキシプロ
ピルアクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピルメタク
リレート、ビニル安息香酸、その他を挙げることができ
る。
以上の重合性化合物は、1種のみでなく2種以上を使
用することもできる。
また、本発明においては、上記重合性化合物に加え、
B成分の一部としてチオール化合物が使用される。この
チオール化合物は、チオール基の他に水酸基を含有する
ものであってもよい。このチオール化合物は、ウレタン
化反応においてA成分のイソシアネート基と反応してチ
オカルバミン酸結合を形成する。
このチオール化合物を使用することにより、ウレタン
単量体中に硫黄原子が導入されることとなる結果、得ら
れる共重合体をアッベ数の高いものとすることができ
る。
また、このチオール化合物は、その少量を添加するこ
とにより、生成されるウレタン単量体の分子量を大きく
変化させることが可能であり、このことから、当該ウレ
タン単量体の粘性を調節する効果が得られる。
チオール化合物の具体例としては、ジ(2−メルカプ
トエチル)エーテル、1,2−エタンジチオール、1,4−ブ
タンジチオール、ジ(2−メルカプトエチル)スルフィ
ド、2−メルカプトエタノール、エチレングリコールジ
チオグリコレートなどを挙げることができるが、これら
のみに限定されるものではない。
このチオール化合物は、ウレタン単量体の粘性が過度
に高くならないよう、最終的に得られる共重合体におい
て5重量%以下となる割合で用いられる。
C成分 本発明におけるC成分は、分子中に少なくとも1個の
芳香族基を有すると共に少なくとも1個のラジカル重合
性不飽和基を有する芳香族単量体よりなる第1成分と、
分子中に少なくとも2個のラジカル重合性不飽和基を有
する架橋性単量体よりなる第2成分とを含む共重合性単
量体である。第1成分と第2成分以外に、他の共重合性
単量体を共に用いることも可能である。
このC成分の第1成分として用いられる芳香族単量体
の具体例としては、例えばスチレン、α−メチルスチレ
ン、クロロメチルスチレン、フェニルメタクリレート、
クロロスチレン、ナフチルメタクリレートなどの芳香族
ビニル化合物類を挙げることができる。
またC成分の第2成分として用いられる架橋性単量体
の具体例としては、例えばジビニルベンゼン、ジアリル
フタレート、ジアリルイソフタレート、ジエチレングリ
コールビスアリルカーボネートなどのジアリル化合物
類、ジエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブ
タンジオールジアクリレート、2,2−ビス(4−メタク
リロキシエトキシフェニル)プロパンなどの各種のジア
クリレート類およびメタクリレート類、ポリエチレング
リコール無水フタル酸とアクリル酸の重縮合物などを挙
げることができるが、これらのみに限定されるものでは
ない。
以上の第1成分および第2成分の単量体は、各々1種
のみでなく2種以上の化合物を用いることもできる。
また、このC成分における第1成分と第2成分との割
合は、得られる共重合体に求められる特性に応じて適宜
定めることができるが、通常は重量で1〜9:9〜1の範
囲とされる。
このC成分は、A成分とB成分とによるウレタン単量
体と共重合されるが、その第1成分は、芳香族基を有す
るものであるため、得られる共重合体が高い屈折率を有
するものとなると共に、その第2成分がラジカル重合性
不飽和基を2つ以上含有するものであるため、得られる
共重合体が三次元架橋構造を有するものとなる。従っ
て、優れた耐衝撃性、耐溶剤性、耐熱性および耐候性な
どの好適な特性を有するプラスチックレンズ材料を得る
ことができる。
製造方法 本発明のプラスチックレンズ材料は、次のようにして
製造することができる。
先ず、上記のA成分とB成分とを混合することによっ
て液状のウレタン化反応用混合物を調製する。ただし、
このウレタン化反応用混合物にウレタン化反応触媒は添
加されない。
一方、C成分の第1成分と第2成分の共重合性単量体
および必要に応じて用いられる他の共重合性単量体を混
合し、これに適宜の量のウレタン化反応触媒を添加して
ウレタン化反応触媒を調製する。このウレタン化反応触
媒には、必要に応じて適宜の有機溶媒を添加することが
できる。
ここにウレタン化反応触媒としては、例えばジn−ブ
チルチンジラウレート、スタナスオクトエート、ジメチ
ルチンジクロライド、塩化第二錫、1,4−ジアザビシク
ロ[2.2.2]オクタンなどを使用することができる。
そして、前記ウレタン化反応触媒を、前記ウレタン化
反応用混合物のウレタン化反応が生ずる温度に加温して
その温度に保持し、かつ撹拌しながら、前記ウレタン化
反応用混合物を当該ウレタン化反応媒体中に滴下し、こ
れにより当該ウレタン化反応混合物を反応させる。
以上のウレタン化反応における反応温度は、使用する
ウレタン化反応用混合物のウレタン化反応が生ずる最低
温度以上の温度であれば低いことが好ましく、通常、室
温から100℃以下の範囲内の一定の温度とされる。そし
てこのような温度状態を実現するために、反応系を適宜
の手段によって冷却することが好ましい。
このようにしてA成分とB成分とによりウレタン単量
体が生成するが、このウレタン化反応は、ウレタン化反
応用混合物がC成分よりなるウレタン化反応媒体中に滴
下されて行われるため、相対的に大過剰量のC成分中に
おいてウレタン単量体が生成することとなり、従って当
該C成分中において当該ウレタン単量体がいわば単分子
状に混合された状態の単量体組成物が得られる。そして
このような観点から、本発明においてC成分として用い
られる共重合性単量体は、その第1成分および第2成分
が共に粘度の低い液状物であることが好ましい。
この単量体組成物は、次に共重合反応に供される。こ
の共重合反応において、ウレタン単量体のB成分の重合
性化合物によるラジカル重合性不飽和基とC成分のラジ
カル重合性不飽和基とにより、ウレタン単量体とC成分
とが共重合され、これにより、本発明のプラスチックレ
ンズ材料とされる共重合体が得られる。
以上において、A成分およびB成分によるウレタン単
量体とC成分との割合は、目的とするプラスチックレン
ズ材料の用途に応じて変化させることができるが、本発
明においては、単量体組成物の全体において上記ウレタ
ン単量体を15〜50重量%、C成分の共重合性単量体を50
〜85重量%の範囲で使用することが必要である。ウレタ
ン単量体の割合が15重量%未満の場合には、共重合体に
含有されるウレタン結合の比率が小さいものとなるた
め、当該共重合体において、小さな比重および高いアッ
ベ数を実現することができず、更には優れた耐衝撃性お
よび染色性を得ることができない。また、C成分の使用
割合が50重量%未満である場合には、ウレタン化反応用
混合物の滴下に要する全期間にわたって反応温度を十分
に制御することが困難となり、反応系が高温となるた
め、本発明の目的とする良好な光学特性を有するプラス
チックレンズ材料を製造することが困難となる。
以上のように、特定の条件下において、A成分とB成
分とによるウレタン化反応用混合物をウレタン化反応媒
体中に滴下してウレタン化反応を行い、得られる単量体
組成物を共重合反応させる方法によれば、次のような効
果が得られる。
(1)一般にウレタン化反応においては相当量の熱が発
生するが、上記の方法によれば、ウレタン化反応用混合
物が一滴づつウレタン化反応媒体中に滴下されて反応さ
れるため、一時に発生する熱は非常に少なく、従ってこ
の熱が相対的に大過剰量のウレタン化反応媒体によって
十分に吸収される。そのため、反応系の温度が高くなる
ことを容易に防止することができ、例えば通常な冷却手
段によって反応系を所期の低い温度に冷却して保持する
ことが容易である。その結果、反応温度が高い場合に生
ずる単量体の熱重合の発生が抑制され、また撹拌などに
より反応系の全体を一様な状態にすることが容易である
ため、生成するウレタン単量体の性状が均一性の高いも
のとなり、またウレタン単量体が十分にC成分中に溶解
した状態の単量体組成物が得られる。
(2)また、上記のようにウレタン単量体がいわば単分
子状でC成分中に溶解された状態の単量体組成物が得ら
れるため、この単量体組成物を共重合反応に供すること
によって得られる供重合体は、十分透明でしかも脈理な
どのない、高い光学特性を有するものとなる。
これに対し、例えばA成分と、B成分と、C成分を混
合して更にウレタン化反応触媒を加え、ここに得られる
混合物をウレタン化反応させ、その後このウレタン単量
体の組成物を共重合反応させる方法が考えられる。
しかし、このような方法においては、混合物の温度を
ある程度まで上昇させると急激にウレタン化反応が生じ
て反応系が相当の高温となり、しかもこの反応の反応速
度が大きいために温度を制御することは殆ど不可能であ
る。このため単量体の熱重合が発生し、最終的に得られ
る共重合体が着色する。また高温下における反応の進行
が不均一なため、生成するウレタン単量体は全体の粘度
が不均一なものとなり、最終的に得られる共重合体が脈
理などの不均質さを多く含んだものとなる。しかも、高
温のために反応中にC成分として添加された共重合性単
量体の一部が蒸発して組成割合が変化するおそれが大き
い。従って、この方法によって良好なプラスチックレン
ズ材料を得ることは困難である。
また、例えばA成分とB成分とのウレタン化反応用混
合物にウレタン化反応触媒を添加して反応させてウレタ
ン単量体を製造し、これにC成分を加えて希釈して共重
合反応させる方法も考えられる。
このような方法においては、ウレタン化反応系にはC
成分が存在しないため、最終的に得られる共重合性単量
体の組成割合が変化することがない点および熱重合が生
ずる可能性が小さい点においては問題は少ない。しか
し、この方法のウレタン反応においては、反応系が相当
の高温となることを回避することは同様に困難であり、
従ってウレタン単量体は性状の不均一なものとなり、最
終的に得られる共重合体が着色したり、脈理などの不均
質さを多く含んだものとなる。
以上のウレタン化反応により得られる単量体組成物を
共重合反応させると、共重合体は三次元架橋構造を有す
るものとなり、そのため当該共重合体を用いて溶融成型
を行うことは殆ど不可能である。従って、本発明におい
ては、ウレタン化反応によって得られる単量体組成物を
注型重合法を利用して重合させるのが好ましい。
注型重合法によって本発明のプラスチックレンズ材料
を得る場合においては、板状、レンズ状、円筒状、角柱
状、円錐状、球状、その他用途に応じて設計された、ガ
ラス、プラスチック、金属などを材質とする鋳型または
型枠(モールド)を用意し、上記単量体組成物に通常の
ラジカル重合開始剤を添加したものをモールド内に注入
し、これを昇温させて重合処理すればよい。
重合処理に際して、単量体組成物には必要に応じて各
種の添加剤を添加することができる。ここに添加剤とし
ては、得られるレンズに期待される用途に応じて着色
剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、熱安定剤、その他が用い
られる。
得られた成型物は、そのままで目的とするレンズ材料
としてもよいし、成型物を更に研削、研磨することによ
り目的とするレンズ材料とすることも可能である。
以上のようにして得られる本発明のプラスチックレン
ズ材料に対しては、必要に応じて、染色、表面研磨、帯
電防止処理を行うことにより、レンズとしての諸特性を
更に向上させること、並びに表面硬度を高くするため
に、無機あるいは有機のハードコートあるいは無反射コ
ートなど通常のレンズになされる二次加工を施すことも
勿論可能である。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明が
これらによって限定されるものではない。
実施例1 A成分: ヘキサメチレンジイソシアネートの環状三量体 27.0重量部 B成分: 2−ヒドロキシエチルメタクリレート 17.8重量部 2−メルカプトエタノール 0.2重量部 以上の化合物を十分に混合して液状のウレタン化反応
用混合物を調製した。
一方、下記の化合物を十分に混合して液状のウレタン
化反応媒体を調製した。
C成分: (第1成分) α−メチルスチレン 10重量部 スチレン 17重量部 (第2成分) ジエチレングリコールジメタクリレート 12重量部 下記構造式で示されるポリエチレングリコール無水
フタル酸とアクリル酸の重縮合物(東亜合成化学製「ア
ロニックス M6200」) 16重量部 ウレタン化反応触媒: 1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン 0.01重量部 ジn−ブチルチンジラウレート 0.01重量部 上記ウレタン化反応媒体を撹拌しながら加温してその
温度を60℃とし、この温度を保つと共に撹拌を継続しな
がら、90分間をかけて上記ウレタン化反応用混合物の全
量をウレタン化反応媒体中に滴下し、更に60分間温度を
60℃に保ってウレタン化反応を完結させ、その後濾過処
理を行って殆ど無色の単量体組成物を得た。この単量体
組成物の粘度は、温度25℃において80cpであった。
この単量体組成物に重合開始剤であるラウロイルパー
オキサイド1.0重量部を添加したものを球面状の内面を
有するガラス製モールド中に注入し、40℃で10時間、60
℃で4時間、80℃で2時間、90℃で1時間と条件を変え
て共重合反応を行って中心厚さ1.2mm、直径72mmの無色
透明な脈理のない共重合体よりなる凹レンズを得た。
この共重合体の屈折率をアッベ屈折計により測定した
ところ、n20 D=1.545、アッベ数は42であった。また比
重は1.18であった。
また、このレンズはメタノール、エタノール、アセト
ン、トルエンなどの通常の有機溶剤に全く不溶であり、
十分な架橋構造を有するものと認められた。
このレンズの染色性を調べるため、このレンズを「ス
ミカロンブルー E−FBL」(住友化学(株)製)の0.15
%水溶液中に90℃で10分間浸漬させたところ、レンズは
鮮やかな青色に染色された。このことにより、この共重
合体は十分良好な染色性を有することが認められた。
更に米国FDA規格に準じて、重さ16.33gの鋼球を高さ1
27cmの位置から試料に落下させる鋼球落下法による耐衝
撃性テストを、このレンズ20枚について行ったところ、
破損したものは全くなく、優れた耐衝撃性を有するもの
であることが認められた。
実施例2 A成分: ヘキサメチレンジイソシアネートの環状三量体 20.0重量部 B成分: 2−ヒドロキシエチルアクリレート 12.0重量部 1,2−エタンジチオール 0.3重量部 以上の化合物を十分に混合して液状のウレタン化反応
用混合物を調製した。
一方、下記の化合物を十分に混合して液状のウレタン
化反応媒体を調製した。
C成分: (第1成分) フェニルメタクリレート 35.0重量部 (第2成分) 2,2−ビス(4−メタクリロキシエトキシフェニル)
プロパン 32.7重量部 ウレタン化反応触媒: ジn−ブチルチンジラウレート 0.01重量部 上記ウレタン化反応媒体を撹拌しながら加温してその
温度を60℃とし、この温度を保つと共に撹拌を継続しな
がら、90分間をかけて上記ウレタン化反応用混合物の全
量をウレタン化反応媒体中に滴下し、更に18分間温度を
60℃に保ってウレタン化反応を完結させ、その後濾過処
理を行って殆ど無色の単量体組成物を得た。この単量体
組成物の粘度は、温度25℃において145cpであった。
この単量体組成物を用いて実施例1と同様にして共重
合反応を行って中心厚さ1.2mm、直径72mmの無色透明な
脈理のない共重合体よりなる凹レンズを得た。
この共重合体の屈折率をアッベ屈折計により測定した
ところ、n20 D=1.560、アッベ数は42であった。また比
重は1.22であった。
また、このレンズはメタノール、エタノール、アセト
ン、トルエンなどの通常の有機溶剤に全く不溶であり、
十分な架橋構造を有するものと認められた。
更にこの共重合体の染色性を調べるため、このレンズ
を実施例1と同様にして染色処理したところ、レンズは
鮮やかな青色に染色された。このことより、この共重合
体は十分良好な染色性を有するものと認められた。
また、このレンズ20枚について実施例1と同様の耐衝
撃性テストを行ったところ、破損したものは全くなく、
優れた耐衝撃性を有するものであることが認められた。
実施例3 A成分: ヘキサメチレンジイソシアネートの環状三量体 22.0重量部 B成分: 2−ヒドロキシエチルメタクリレート 14.5重量部 2−メルカプトエタノール 0.2重量部 以上の化合物を十分に混合して液状のウレタン化反応
用混合物を調製した。
一方、下記の化合物を十分に混合して液状のウレタン
化反応媒体を調製した。
C成分: (第1成分) パラクロロスチレン 42.0重量部 (第2成分) 2,2−ビス(4−メタクリロキシエトキシフェニル)
プロパン 21.3重量部 ウレタン化反応触媒: スタナスオクトエート 0.05重量部 上記ウレタン化反応用混合物と、ウレタン化反応媒体
を用い、実施例2と同様の方法によりウレタン化反応さ
せて、殆ど無色の単量体組成物を得た。この単量体組成
物の粘度は、温度25℃において約80cpであった。
この単量体組成物を用いて実施例1と同様にして共重
合反応を行って中心厚さ1.2mm、直径72mmの無色透明な
脈理のない共重合体よりなる凹レンズを得た。
この共重合体の屈折率をアッベ屈折計により測定した
ところ、n20 D=1.570、アッベ数は40であった。また比
重は1.24であった。
また、このレンズはメタノール、エタノール、アセト
ン、トルエンなどの通常の有機溶剤に全く不溶であり、
十分な架橋構造を有するものと認められた。
更にこの共重合体の染色性を調べるため、このレンズ
を実施例1と同様にして染色処理したところ、レンズは
鮮やかな青色に染色された。このことにより、この共重
合体は十分良好な染色性を有するものと認められた。
また、このレンズ20枚について実施例1と同様の耐衝
撃性テストを行ったところ、破損したものは全くなく、
優れた耐衝撃性を有するものであることが認められた。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記A成分のイソシアネート基と下記B成
    分の水酸基およびチオール基との付加反応、並びに当該
    B成分および下記C成分のラジカル重合性不飽和基によ
    る共重合反応を行うことによって得られる共重合体より
    なり、 前記共重合反応に使用される前記C成分の割合が、最終
    的に得られる共重合体において50〜85重量%であること
    を特徴とするプラスチックレンズ材料。 A成分:下記構造式(I)で示されるヘキサメチレンジ
    イソシアネートの環状三量体 B成分:分子中に水酸基(カルボキシル基のOH基を含
    む。)を有すると共にラジカル重合性不飽和基を有する
    重合性化合物、および、分子中にチオール基を有する化
    合物 C成分:分子中に芳香族基を有すると共にラジカル重合
    性不飽和基を有する芳香族単量体よりなる第1成分と、
    分子中に少なくとも2個のラジカル重合性不飽和基を有
    する架橋性単量体よりなる第2成分とを含む共重合性単
    量体
  2. 【請求項2】下記A成分と下記B成分とよりなる液状の
    付加反応用混合物を、A成分のイソシアネート基とB成
    分の水酸基およびチオール基との付加反応が生ずる温度
    に保持された、付加反応触媒が添加された下記C成分よ
    りなる液状の付加反応媒体中に滴下して反応させること
    により、当該A成分とB成分とから生成する単量体が当
    該C成分に混合された液状の単量体組成物を得る工程
    と、 この単量体組成物を共重合反応させて共重合体を得る工
    程と を含み、前記C成分の使用割合が、最終的に得られる共
    重合体において50〜85重量%であることを特徴とするプ
    ラスチックレンズ材料の製造方法。 A成分:下記構造式(I)で示されるヘキサメチレンジ
    イソシアネートの環状三量体 B成分:分子中に水酸基(カルボキシル基のOH基を含
    む。)を有すると共にラジカル重合性不飽和基を有する
    重合性化合物、および、分子中にチオール基を有する化
    合物 C成分:分子中に芳香族基を有すると共にラジカル重合
    性不飽和基を有する芳香族単量体よりなる第1成分と、
    分子中に少なくとも2個のラジカル重合体不飽和基を有
    する架橋性単量体よりなる第2成分とを含む共重合性単
    量体
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