JP2728596B2 - 電子写真用有機感光体 - Google Patents

電子写真用有機感光体

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JP2728596B2
JP2728596B2 JP4132840A JP13284092A JP2728596B2 JP 2728596 B2 JP2728596 B2 JP 2728596B2 JP 4132840 A JP4132840 A JP 4132840A JP 13284092 A JP13284092 A JP 13284092A JP 2728596 B2 JP2728596 B2 JP 2728596B2
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    • G03G5/04Photoconductive layers; Charge-generation layers or charge-transporting layers; Additives therefor; Binders therefor
    • G03G5/06Photoconductive layers; Charge-generation layers or charge-transporting layers; Additives therefor; Binders therefor characterised by the photoconductive material being organic
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、複写機、レーザプリン
ター等に使用される電子写真用有機感光体に関し、より
詳細には、正帯電や両帯電が可能で、感度や残留電位の
改善された電子写真用単層型有機感光体に関する。
【0002】
【従来の技術】デジタル光学系を用いた電子写真複写機
には、通常700nm以上の波長を有する光源が使用さ
れている。この波長領域に感度を有する感光体として、
有機感光体(OPC)、アモルファスシリコン(α−S
i)、一部のセレン感光体等が知られているが、感度、
コスト等の総合的見地から、この分野ではOPCを使用
するケースが多い。
【0003】有機感光体としては、電荷発生層(CG
L)と電荷輸送層(CTL)とを積層した所謂機能分離
型の有機感光体、即ち積層型の感光体が多いが、電荷輸
送物質を含む感光層中に電荷発生物質を分散させた単層
分散型の有機感光体も既に知られている。これら機能分
離型の有機感光体においては、感度面や機械的強度面か
ら、導電性基体上にCGLやCTLを順次積層したもの
が現在多数実用に供されている。
【0004】この種の感光体の電荷輸送物質としては、
キャリヤ移動度の高いものが要求されているが、キャリ
ヤ移動度の高い電荷輸送剤は殆どが正孔輸送性であるた
め、実用に供せられているものは負帯電型の有機感光体
に限られている。しかしながら、負帯電型の有機感光体
では、負極性コロナ放電を利用するためオゾンの発生量
が多く、従って環境を汚染する、感光体を劣化する等の
問題があり、これを防止するため、オゾンを発生させな
い格別の帯電システムや、生成オゾンを分解するシステ
ム、装置内のオゾンを排気するシステム等を必要とし、
プロセスやシステムが複雑化するという欠点がある。
【0005】また、上記積層型感光体では感光層の二度
塗りが必要であったり、感光体層に電荷発生層と電荷輸
送層との界面が存在するため、干渉縞が発生しやすいと
いう光学上の問題がある。
【0006】そこで、これらの欠点を解消するため電荷
輸送物質として電子輸送剤を使用することが検討されて
おり、特開平1−206349号公報には、ジフェノキ
ノン構造を有する化合物が電子写真感光体用電荷輸送剤
として提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、一般に
電子輸送剤は、ジフェノキノン類をも含めて、結着樹脂
への相溶性に乏しく、ホッピング距離が長くなるため、
低電界での電子移動が生じ難くなり、残留電位がかなり
高いという欠点が認められる。従って、実用に耐えうる
電子輸送剤を用いた感光体の開発が望まれている。
【0008】一方、感光体の帯電極性について言えば、
正帯電或いは更に負帯電との両方に用いることができれ
ば、感光体の応用範囲を更に広げることができ、前述し
た種々の欠点を解消し得る点で著しく有利である。ま
た、有機感光体を単層の分散型で使用できれば感光体の
製造を容易にし、被膜欠陥の発生を防止し、光学的特性
を向上させる上でも、多くの利点が達成される。
【0009】本発明は上記の欠点を解決するためになさ
れたものであり、その目的は残留電位が低いレベルに抑
制され、しかも優れた感度を示す電子写真用有機感光体
を提供することにある。
【0010】本発明の他の目的は、単層分散型で正帯電
もしくは両帯電が可能な電子写真用有機感光体を提供す
ることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、電子輸送
剤としてジフェノキノン誘導体を使用し、このジフェノ
キノン誘導体のうち特定の二種を併用して有機感光体を
作製すると、感光体の残留電位が著しく低下し、感度が
向上することを見い出し、本発明を完成するに至ったも
のである。
【0012】本発明の電子写真用有機感光体は、導電性
基体上に有機感光層を設け、該有機感光層が、電子輸送
剤としてのジフェノキノン誘導体Aと該ジフェノキノン
誘導体Aに比べて還元電位の絶対値が大きいジフェノキ
ノン誘導体Bとを有し、かつ該ジフェノキノン誘導体B
が、電子輸送剤総量に対して3〜50重量%の範囲で配
合されており、そのことにより上記目的が達成される。
【0013】
【作用】既に指摘した通り、有機感光層に含まれる電子
輸送剤として、上記のようなジフェノキノン誘導体Aと
ジフェノキノン誘導体Bとを上記重量%の範囲で併用す
ることにより残留電位が少なく、かつ感度の向上した有
機感光体が得られる。
【0014】本発明で電子輸送剤としてジフェノキノン
誘導体を使用する理由は、この電子輸送剤が従来のもの
に比べて電子輸送性に優れているからであり、これは分
子鎖両端末に電子受容性に優れたキノン系酸素原子が結
合しており、また分子鎖全体にわたって共役に二重結合
があって、構造内の電子の移動が容易で、しかも電子の
授受が容易に行われることに関係しているものと思われ
る。
【0015】しかしながら、ジフェノキノンは対称的で
しかも剛直な分子構造を有するため、感光層形成に用い
る溶剤に対する溶解性が低く、感光層の媒質となる結着
樹脂に対しても相溶性が低いものである。
【0016】そこで、本発明者等によると、このジフェ
ノキノンに対してアルキル基又はアリール基等の置換基
を導入することにより、溶剤に対する溶解性や、結着樹
脂に対する相溶性を向上できるが、さらに置換基を非対
称に導入すると、より高濃度の電子輸送剤を感光層中に
分散可能となることがわかった。また、組み合わせるジ
フェノキノン誘導体同志の還元電位の絶対値や量比と、
感光体の残留電位(低いほど見かけの感度が増大する)
との間には一定の関係があり、ジフェノキノン誘導体A
と、ジフェノキノン誘導体Aに比べて添加量が少なく還
元電位の大きなジフェノキノン誘導体Bとの組み合わせ
の範囲内で、残留電位が最少ないしその近傍の値を示す
ことがわかった。
【0017】図1は、電荷発生剤(X型メタルフリーフ
タロシアニン)、種々のジフェノキノン誘導体、及び正
孔輸送剤(3,3’−ジメチル−N、N、N’N’−テ
トラキス−4−メチルフェニル(1、1’−ビフェニ
ル)−4,4’−ジアミン)を一定の量比で樹脂中に含
む単層型有機感光体(各剤の配合比は後述する実施例4
と同様)について電子輸送剤(ジフェノキノン誘導体
B)の還元電位(−V)と帯電露光時残留電位との関係
をプロットしたものである。
【0018】図1において、(1)はジフェノキノン誘
導体Aとして3,5−ジメチル−3’,5’−ジt−ブチ
ル−4,4'−ジフェノキノン(還元電位 −0.86
V)と、ジフェノキノン誘導体Bとして、以下に示すa
〜fのジフェノキノン誘導体とを併用し、得られた有機
感光層の残留電位の変化を示している。
【0019】すなわち、図中、B’の位置では、ジフェ
ノキノン誘導体Aとして3,5−ジメチル−3’,5’−
ジt−ブチル−4,4'−ジフェノキノンを用い、これに
ジフェノキノン誘導体Bとして3,5'−ジフェニル−
3’,5−ジt−ブチル−4,4'−ジフェノキノンがジ
フェノキノン誘導体Aに対して25重量%(電子輸送剤
総量に対して20重量%)配合された有機感光体の残留
電位を示しており、A’の位置では、第1電子輸送剤
(3,5−ジメチル−3’,5’−ジt−ブチル−4,4'
−ジフェノキノン)のみを使用して作成した感光体の残
留電位を示している同様に、(2)はジフェノキノン誘
導体Aとして3,5'−ジフェニル−3’,5−ジt−ブ
チル−4,4'−ジフェノキノン(還元電位 −0.74
V)を使用し、ジフェノキノン誘導体Bとして、a〜f
の電子輸送剤を使用した場合の感光体の残留電位の変化
を示している。また、(3)はジフェノキノン誘導体A
として3,5−ジメトキシ−3’,5’−ジt−ブチル−
4,4'−ジフェノキノン(還元電位 −0.87V)を
使用し、ジフェノキノン誘導体Bとして、a〜fの電子
輸送剤を使用した場合の感光体の残留電位の変化を示し
ている。
【0020】使用した電子輸送剤a〜fは以下の通りで
ある。
【0021】a:3,5−ジメチル−3’,5’−ジt−
ブチル−4,4'−ジフェノキノン(還元電位 −0.8
6V) b:3,5'−ジフェニル−3’,5−ジt−ブチル−4,
4'−ジフェノキノン(還元電位 −0.74V) c:3,5−ジメトキシ−3’,5’−ジt−ブチル−
4,4'−ジフェノキノン(還元電位 −0.87V) d:3,3’,5,5'−テトラt−ブチル−4,4'−ジフ
ェノキノン(還元電位−0.94V) e:3,5'−ビス(α,α,γ,γ−テトラメチルブチ
ル)−3’,5−ジフェニル−4,4'−ジフェノキノン
(還元電位 −0.76V) f:3,5'−ビス(α−ジメチルベンジル)−3’,5
−ジ(α−メチルプロピル)−4,4'−ジフェノキノン
(還元電位 −0.85V) この図1から、電子輸送剤として、還元電位の絶対値が
異なる二種のジフェノキノン誘導体を併用し、かつ還元
電位の絶対値が大きいジフェノキノン誘導体を少量用い
ることにより、それ以外の場合に比して感光体の残留電
位を小さいレベルに抑制し、感度を向上させ得ることが
わかる。
【0022】すなわち、具体的に図1において(1)の
D’位置での組み合わせを例にとって説明すると、上記
したようにジフェノキノン誘導体Bとしてのd(3,
3’,5,5'−テトラt−ブチル−4,4'−ジフェノキ
ノン)単独では、電荷発生剤から放出される電子の注入
には優れるものの、ジフェノキノン誘導体Aとしてのa
(3,5−ジメチル−3’,5’−ジt−ブチル−4,4'
−ジフェノキノン)に比して、溶剤への溶解性および結
着樹脂との相溶性に劣る傾向にある。
【0023】逆にジフェノキノンa単独では、ジフェノ
キノンdに比して、結着樹脂中に高濃度に分散可能であ
るものの、分散したジフェノキノンaの中には電子注入
に寄与できない部分が存在し、電子注入効率を低下させ
ているものと推定される。
【0024】しかしながら、両者を特定の割合で配合す
ることにより、相乗効果が発生し、a単独時では電子注
入に寄与できなかった部分が、dを介することで改善さ
れ初めて電子注入に寄与できるようになり、残留電位が
少なく、かつ感度の向上した有機感光体が得られるもの
と推定される。
【0025】図2および図3は本発明の1つである単層
型有機感光体における電荷像生成原理を説明したもので
ある。図2において、導電性基体1上には、単層型の有
機感光体層2が設けられており、この有機感光体層2に
は電荷発生剤CG、ジフェノキノン誘導体Aから成る電
子輸送剤ET1、ジフェノキノン誘導体Bから成る電子
輸送剤ET2及び正孔輸送剤HTが分散している。
【0026】露光に先立った帯電工程により、単層型有
機感光体層2の表面は正(+)に帯電されており、導電
性基体1表面には負電荷(−)が誘導されている。この
状態で光線(hν)を照射すると、電荷発生剤CGには
電荷が発生し、電子は電子輸送剤ET2を介して電子輸
送剤ET1に注入されるものと、電子輸送剤ET2を介さ
ずに直接電子輸送剤ET1に注入されるものとが存在
し、上記2通りの経路で電子が有機感光体層2の表面に
移動して正電荷(+)を打ち消す。一方、正孔(+)は
正孔輸送剤HTに注入されて、途中でトラップされるこ
となく、導電性基体1の表面に移動して負電荷(−)に
より打ち消される。
【0027】すなわち、図2に示すように、光照射によ
り電荷発生剤から放出された電子のうち、従来ジフェノ
キノン誘導体A単独では注入されなかった部分が、本発
明で使用する電子注入効率に優れた還元電位の絶対値が
大きいジフェノキノン誘導体Bからなる電子輸送剤ET
2へまず注入されるため、その後のジフェノキノン誘導
体Aからなる電子輸送剤ET1への注入が容易に行われ
るものと推測される。このように、ジフェノキノン誘導
体Bを介してジフェノキノン誘導体Aへ電子注入する経
路が増すことにより、ジフェノキノン誘導体Aへの電子
注入効率が向上し、感光体の感度が向上するものと推測
される。
【0028】上記したように、ジフェノキノン誘導体B
はジフェノキノン誘導体Aに比して溶剤への溶解性およ
び結着樹脂との相溶性に劣る傾向にあるが、ジフェノキ
ノン誘導体Bの添加量を電子輸送剤総量に対して3〜5
0重量%とすることにより、それらの問題を解消し、か
つジフェノキノン誘導体Bの添加量が少量であってもジ
フェノキノン誘導体Bを介してのジフェノキノン誘導体
Aへの電子注入量はジフェノキノン誘導体Bを介さない
場合よりも大きく、またジフェノキノン誘導体Bは、お
もに電子輸送を行っているジフェノキノン誘導体Aより
も還元電位が大きいため電子トラップとはならないので
ある。
【0029】
【好適態様】本発明に用いられるジフェノキノン誘導体
Aは、下記一般式(1)、(2)または(3)で示され
る非対称置換型のジフェノキノン誘導体であるのがよ
く、上記ジフェノキノン誘導体Bは下記一般式(4)で
示されるジフェノキノン誘導体であるのがよい。
【0030】
【化5】
【0031】
【化6】
【0032】
【化7】
【0033】
【化8】
【0034】上式(1)〜(3)中の、R1〜R6の各々
は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール
基、アラルキル基、シクロアルキル基、アミノ基または
置換アミノ基を表す。アルキル基としては、メチル基、
エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチ
ル基、イソブチル基、t−ブチル基等の低級アルキル基
が好ましい。
【0035】また、式(1)、(2)および(3)中、
1とR2の置換基は互いに異なる。式(4)中、R3
6の置換基は互いに異なってもよく、もしくはそれら
の置換基のうち二つ、三つまたは四つの置換基が同一で
あってもよい。特に、R3〜R6の置換基のすべてが同一
の対称型ジフェノキノン誘導体が好ましい。
【0036】ジフェノキノン誘導体Aの適当な例は、こ
れに限定されないが、3,5−ジメチル−3’,5’−ジ
t−ブチルジ−4,4'−ジフェノキノン、3,3’−ジ
メチル−5,5’−ジt−ブチル−4,4'−ジフェノキ
ノン、3,5’−ジメチル−3’,5−ジt−ブチル−
4,4'−ジフェノキノン等を挙げることができる。これ
らの置換基を有するジフェノキノン誘導体は、分子の対
称性が低いために分子間の相互作用が小さく、溶解性に
優れているために好ましい。これらのジフェノキノン誘
導体Aは、一種または二種以上混合して用いられる。
【0037】本発明に用いられる他のジフェノキノン誘
導体Bは、上式(4)で示されるものが好ましく、その
適当な例はこれに限定されないが、3,3',5,5’−テ
トラ−tメチル−4,4'−ジフェノキノン、3,3',5,
5’−テトラ−tエチル−4,4'−ジフェノキノン、
3,3',5,5’−テトラ−tブチル−4,4'−ジフェノ
キノン、等を挙げることができる。これらのジフェノキ
ノン誘導体Bは、一種または二種以上混合して用いられ
る。
【0038】二種のジフェノキノン誘導体の還元電位の
絶対値の差は、0.03V以上が好ましい。
【0039】電子輸送剤総量(通常はジフェノキノン誘
導体Aとジフェノキノン誘導体Bとを合わせた量)に対
するジフェノキノン誘導体Bの配合割合は、3〜50重
量%であり、特に5〜25重量%が好ましい。電子輸送
剤総量に対するジフェノキノン誘導体Bの配合割合が3
重量%未満の場合には、後述するように、得られた感光
層の残留電位を低下させる効果が小さく、また帯電に対
する感度を高める効果が小さい。50重量%を超えても
それ以上の添加効果が期待できないばかりか結晶化を引
き起こし、有機感光体として使用不能となる。
【0040】本発明に使用される正孔輸送剤としては、
従来公知の正孔輸送物質が使用され、例えばオキサジア
ゾール系化合物、スチリル化合物、カルバゾール系化合
物、ピラゾリン化合物、ヒドラゾン化合物、トリフェニ
ルアミン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール
系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化
合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合
物、ピラゾール系化合物、トリアゾール系化合物等の含
窒素還式化合物、有機ポリシラン化合物、縮合多還式化
合物等があげられる。
【0041】上記正孔輸送剤剤の中でも、特に、イオン
化ポテンシャルが5.3〜5.6eVのものが好ましく
使用される。また、電界強度3×105V/cmで10
-6Vcm以上の移動度を有するものが特によい。具体的
には、アルキル置換トリフェニルジアミンが好ましい。
【0042】なお、イオン化ポテンシャルの測定は、大
気化光電子分析装置(理研計器株式会社製、AC−1)
を用いて行ったものである。
【0043】本発明に用いられる好適な正孔輸送剤は、
これに限定されないが、1,1−ビス(p−ジエチルア
ミノフェニル)−4,4ジフェニル−1,3−ブタジエ
ン、N,N’−ビス(o,p−ジメチルフェニル)−N,
N’−ジフェニルベンジジン、3,3’−ジメチル−N,
N,N’,N’−テトラキス−4−メチルフェニル(1,
1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン、N−エチル
−3−カルバゾリルアルデヒド−N,N’−ジフェニル
ヒドラゾン、4−[N,N−ビス(p−トルイル)アミ
ノ]−β−フェニルスチルベン等である。
【0044】本発明において、正孔輸送剤として、イオ
ン化ポテンシャルが前記範囲内にあるものを用いること
によって、残留電位を低下させ、感度を向上させ得るの
は現象として見いだされたものであり、必ずしも以下の
説明に限定されないが、次のようなものと考えられる。
【0045】即ち、電荷発生剤から正孔輸送剤への電荷
の注入のし易さは、正孔輸送剤のイオン化ポテンシャル
と密接に関連しており、正孔輸送剤のイオン化ポテンシ
ャルが本発明範囲よりも大きい場合には、電荷発生剤か
ら正孔輸送剤への電荷の注入の程度が低くなるか、或い
は正孔輸送剤間での正孔の授受の程度が低くなるため感
度の低下が生じるものと認められる。
【0046】一方、電荷輸送剤として、正孔輸送剤と電
子輸送剤とが共存する系では、両者の間の相互作用、一
層具体的には電荷移動錯体の形成に注意する必要があ
る。
【0047】両者の間にこのような錯体が形成される
と、正孔と電子との間に再結合が生じ、全体として電荷
の移動度が低下する。正孔輸送剤のイオン化ポテンシャ
ルが本発明の範囲よりも小さい場合には、電子輸送剤と
の間に錯体を形成する傾向が大きくなり、電子−正孔の
再結合が生じるために、見掛けの量子収率が低下し、感
度の低下に結びつくものと思われる。
【0048】従って、ジフェノキノンに置換基、特に崇
高な置換基を導入することにより、この誘導体に立体障
害性が付与され、正孔輸送剤との間の錯体形成傾向が抑
制され、感度を向上させることができる。
【0049】本発明に使用される電荷発生剤としては、
例えば、セレン、セレン−テルル、アモルファスシリコ
ン、ピリリウム塩、アゾ系顔料、ジスアゾ系顔料、アン
サンスロン系顔料、フタロシアニン系顔料、インジコ系
顔料、スレン系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系
顔料、ペリレン系顔料、キナクリドン系顔料等が例示さ
れ、所望の領域に吸収波長域を有するよう、一種または
二種以上混合して用いられる。イオン化ポテンシャルが
5.3〜5.6eVの範囲にあるものが好適であり、特
に好適なものとして、X型無金属フタロシアニンとオキ
ソチタニルフタロシアニンが例示される。
【0050】本発明においては、ジフェノキノン誘導体
と組み合わせる正孔輸送剤として、イオン化ポテンシャ
ルが5.3〜5.6eVのものを使用することに関連し
て、電荷発生剤としても、正孔輸送剤とバランスしたイ
オン化ポテンシャルを有するもの、具体的にはイオン化
ポテンシャルが5.3〜5.6eV、特に、5.32〜
5.38eVのものを用いるのが、残留電位の抑制、感
度の向上の点で望ましい。
【0051】また、上記の各剤を分散させるための結着
樹脂としては、有機感光層に使用されている従来公知の
種々の樹脂が使用でき、例えば、スチレン系重合体、ア
クリル系重合体、スチレン−アクリル系共重合体、エチ
レン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、アイオノ
マ−等のオレフィン系重合体、ポリ塩化ビニル、塩化ビ
ニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、アルキッド
樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリ
カーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ジアリ
ルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、ポリ
ビニルブチラール樹脂、ポリエーテル樹脂、フェノール
樹脂や、エポキシアクリレート等の光硬化型樹脂等、各
種の重合体が例示できる。
【0052】これらの結着樹脂は一種または二種以上混
合して用いられる。好適な結着樹脂は、スチレン系重合
体、アクリル系重合体、スチレン−アクリル系共重合
体、ポリエステル、アルキッド樹脂、ポリカーボネー
ト、ポリアリレート等である。
【0053】本発明の感光体において、電荷発生剤は結
着樹脂に対して0.1〜10重量%、特に0.5〜5重
量%の量で配合されるのがよく、また電子輸送剤は、ジ
フェノキノン誘導体Aとジフェノキノン誘導体Bとを合
わせて結着樹脂に対して0.1〜80重量%、特に30
〜60重量%の量で感光層中に配合されるのがよい。正
孔輸送剤(HT)は、固形分当たり5〜80重量%、特
20〜50重量%で感光層中に含有されるのがよい。
さらに、電子輸送剤:正孔輸送剤の重量比は1:9〜
9:1、特に2:8〜8:2の範囲にあるのが最もよ
い。
【0054】有機感光層を形成する樹脂組成物には、電
子写真学的特性に悪影響を及ぼさない範囲で、それ自体
公知の種々の配合剤、例えば酸化防止剤、ラジカル捕捉
剤、一重項クエンチャー、UV吸収剤、軟化剤、表面改
質剤、消剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、
アクセプター、ドナー等を配合させることができる。特
に、全固形分当たり0.1〜20重量%の立体障害性フ
ェノール系酸化防止剤を配合すると、電子写真学的特性
に悪影響を与えることなく、感光層の耐久性を顕著に向
上させることができる。適当な酸化防止剤は次の通りで
ある。
【0055】2,6−ジt−ブチル−p−クレゾール、
トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル
−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト]、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5
−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネート]、 オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブ
チル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,
4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−t−ブチ
−フェノール)、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4
−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス
(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジ
ン)、2−第3−ブチル−6−(3’−第3ブチル−
5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチ
ルフェニルアクリレート、3,9−ビス[1,1−ジメ
チル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−
5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]
2,4,8,10−テトラオキサスピコ[5,5]ウン
デカン。
【0056】本発明の有機感光体に使用される導電性基
体としては、導電性を有する種々の材料が使用でき、例
えば、アルミニウム、銅、錫、白金、金、銀、バナジウ
ム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケ
ル、インジウム、ステンレス鋼、真鍮等の金属単体や、
上記金属が蒸着またはラミネートされたプラスチック材
料、ヨウ化アルミニウム、酸化錫、酸化インジウム等で
被覆されたガラス等が例示される。本発明の単層型有機
感光体では干渉稿等の発生がないことから、通常のアル
ミニウム素管、特に膜厚が1〜50μmとなるようにア
ルマイト処理を施した素管を用いることもできる。
【0057】本発明の有機感光体は、上記剤を含む樹脂
組成物が溶剤に溶解乃至分散された塗布液を導電性基体
上に塗布、乾燥して製造することができる。
【0058】塗布液を調製するには、該樹脂組成物およ
び溶剤を、従来公知の方法、例えば、ロールミル、ボー
ルミル、アトライタ、ペイントシェイカーあるいは超音
波分散器等を用いて行うことができる。また、塗布液を
導電性基体上に塗布するには、従来公知の塗布手段が採
用できる。
【0059】該塗布液を調製するのに使用する溶剤とし
ては、種々の有機溶剤が使用でき、メタノール、エタノ
ール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール
類、n−ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪
族系炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香
族系炭化水素、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩
化炭素、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素、ジメ
チルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラ
ン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレン
グリコール等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケ
トン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢
酸メチル等のエステル類、ジメチルホルムアミド、ジメ
チルスルホキシド等、種々の溶剤が例示され、一種また
は二種以上混合して用いられる。
【0060】本発明の有機感光体は、有機感光体として
単層型および積層型のいずれにも適用可能である。但
し、ジフェノキノン誘導体Aとジフェノキノン誘導体B
との組み合わせによる効果は、単層型有機感光層におい
てより顕著に現れるので、本発明は単層型有機感光体に
適用するのがより好ましいといえる。
【0061】積層型感光体において、感光層の厚さは、
電荷発生層が0.01〜5μm、特に0.1〜3μm程
度に形成されるのが好ましい。電子輸送層の厚さは、5
〜100μmが好ましい。
【0062】単層型感光体において、感光層の厚さは5
〜100μm、特に10〜40μm程度に形成されるの
が好ましい。
【0063】単層型感光体においては、導電性基体と感
光層との間に、また、積層型感光体においては、導電性
基体と電荷発生層との間や、導電性基体と電荷輸送層と
の間または電荷発生層と電荷輸送層との間に、感光体の
特性を阻害しない範囲でバリア層が形成されていてもよ
く、感光体の表面には、保護層が形成されていてもよ
い。
【0064】
【実施例】以下に、実施例に基づき、本発明をより詳細
に説明する。
【0065】実施例では以下の材料を用いた。
【0066】電荷発生剤: I:X型メタルフリーフタロシアニン(IP=5.38
eV) II:オキソチタニルフタロシアニン(IP=5.32e
V) 尚、IPはイオン化ポテンシャルの略である。
【0067】正孔輸送剤: N,N'−ビス−2,4−ジメチルフェニル−N,N'
−ジフェニルベンジジン(IP=5.43eV) 3,3'−ジメチル−N,N,N',N'−テトラキス−
4−メチルフェニル(1,1'−ビフェニル)−4,4'
−ジアミン(IP=5.56eV)電子輸送剤: a:3,5−ジメチル−3’,5’−ジt−ブチル−4,
4'−ジフェノキノン(還元電位 −0.86V) b:3,5'−ジフェニル−3’,5−ジt−ブチル−4,
4'−ジフェノキノン(還元電位 −0.74V) c:3,5−ジメトキシ−3’,5’−ジt−ブチル−
4,4'−ジフェノキノン(還元電位 −0.87V) d:3,3’,5,5'−テトラt−ブチル−4,4'−ジフ
ェノキノン(還元電位−0.94V) e:3,5'−ビス(α,α,γ,γ−テトラメチルブチ
ル)−3’,5−ジフェニル−4,4'−ジフェノキノン
(還元電位 −0.76V) f:3,5'−ビス(α−ジメチルベンジル)−3’,5
−ジ(α−メチルプロピル)−4,4'−ジフェノキノン
(還元電位 −0.85V) (還元電位の測定)還元電位の測定は、以下の材料を用
い、3電極式のサイクリックボルターメトリーにて行っ
た。
【0068】電極:作用電極(グラッシーカーボン電
極)、対極(白金電極) 参照電極:銀硝酸銀電極(0.1 mol/リットル AgNO3-ア
セトニトリル溶液) 測定溶液 電界質:過塩素酸t−ブチルアンモニウム
0.1モル 測定物質:電子輸送剤 0.001モル 溶剤:CH2Cl2 1リットル 以上を調合して測定溶液を調製した。
【0069】還元電位の算出:図4に示すように、牽引
電圧(V)と電流(μA)との関係を求めて図に示すE
1とE2を測定し、以下の計算式により還元電位を求め
た。
【0070】還元電位=(E1+E2)/2 (V) (電子写真感光体の評価)静電複写試験装置(川口電気
社製、EPA−8100)を用いて、各実施例及び各比
較例で得られた感光体に印加電圧を加えて正または負に
帯電させ、光源として白色ハロゲン光を用いて電子写真
特性を測定した。
【0071】なお、表中V1(V)は電圧を印加して、
感光体を帯電させた時の感光体の初期表面電位を示し、
表中のV2(V)は露光開始後1秒経過後の表面電位を
残留電位として測定したものである。E1/2(lux
・sec)は初期表面電位V1(V)が1/2になるの
に要した時間より算出した半減露光量を示す。
【0072】(電子写真感光体の調整) (実施例1〜4、8〜16および比較例1〜5、7〜1
1)電荷発生剤として、表1および表2に示す化合物を
3重量部、正孔輸送剤として表1および表2に示す化合
物を50重量部、電子輸送剤ジフェノキノン誘導体A,
Bとして表1および表2に示す化合物を表示重量部数、
結着樹脂としてのポリカーボネートを100重量部およ
び溶剤として所定量のジメクロロメタンを、ボールミル
で混合分散して単層型感光層用塗布液を調製した。この
調製液をアルミニウム箔上にワイヤーバーにて塗布した
後、100℃で60分間熱風乾燥することにより膜厚1
5〜20μmの感光層を形成して単層型電子写真用感光
体を得た。
【0073】得られた感光体について、上記評価方法に
したがって正に帯電させその電子写真特性を測定した。
結果を表1および表2に示す。
【0074】(実施例6および7、比較例6)実施例
2、4及び比較例5で得られた単層型電子写真感光体を
負に帯電させたこと以外は、実施例1と同様にして電子
写真特性を測定した。その結果を表1に示す。
【0075】(実施例5、比較例12)正孔輸送剤を9
0重量部、ジフェノキノン誘導体A,Bとして表1,2
に示す化合物を表示の重量部としたこと以外は実施例1
と同様にして単層型電子写真用感光体を得た。
【0076】得られた感光体について、実施例1と同様
にしてその電子写真特性を測定した。結果を表1および
表2に示す。
【0077】
【表1】
【0078】
【表2】
【0079】表1および表2より、以下のことが分か
る。 (1)ジフェノキノン誘導体の種類について: ジフェノキノン誘導体Aと、該ジフェノキノン誘導体A
に比べて還元電位の絶対値が大きいジフェノキノン誘導
体Bとを、電子輸送剤としてそれぞれ使用し、かつ該ジ
フェノキノン誘導体Bの含有割合が、電子輸送剤総量に
対して、20重量%である表1に示す実施例4および実
施例8〜15の感光体の残留電位(V2)は、138〜
185であり、半減露光量は、0.795〜0.973
である。これとは逆に、ジフェノキノン誘導体Aと、該
ジフェノキノン誘導体Aに比べて還元電位の絶対値が小
さいジフェノキノン誘導体Bとを、電子輸送剤としてそ
れぞれ使用し、かつ該ジフェノキノン誘導体Bの含有割
合が、電子輸送剤総量に対して、20重量%である表2
に示す比較例1〜3の感光体の残留電位(V2)は、2
02〜228であり、半減露光量は、1.26〜1.3
8である。 これらのことから、ジフェノキノン誘導体A
と、該ジフェノキノン誘導体Aに比べて還元電位の絶対
値が大きいジフェノキノン誘導体Bとを、電子輸送剤と
してそれぞれ使用するだけではなく、該ジフェノキノン
誘導体Bの含有割合が、電子輸送剤総量に対して、3〜
50重量%の範囲とすることにより、初めて残留電位が
著しく低下し、優れた感度を示す電子写真用有機感光体
が得られる。 (2)ジフェノキノン誘導体の含有量について: 実施例1〜5では、ジフェノキノン誘導体aと、該ジフ
ェノキノン誘導体aに比べて還元電位の絶対値が大きい
ジフェノキノン誘導体dとを、電子輸送剤として使用
し、かつ該ジフェノキノン誘導体dの含有割合を、電子
輸送剤総量に対して3〜50重量%の範囲で変えてい
る。 比較例4では、ジフェノキノン誘導体dの含有割合
を電子輸送剤総量に対して、52重量%としたこと以外
は、上記実施例1〜4と同じである。比較例5では、ジ
フェノキノン誘導体dの含有割合が、電子輸送剤総量に
対して0重量%としたこと以外は、上記実施例1〜4と
同じである。 実施例1〜4と比較例4,5との比較か
ら、ジフェノキノン誘導体dの添加は、感光体の残留電
位の低下に著しい効果があり、かつその添加量が多すぎ
ると、 感光層の結晶化を招く。 実施例13,16と比較
例10との対比、および実施例8〜11、実施例15と
比較例7〜11との対比(実施例8〜11、実施例15
は、それぞれ、ジフェノキノン誘導体Bを併用したこと
以外は、比較例7〜11と同じである。)から、電荷発
生剤や正孔輸送剤の種類が変わった場合でも上記と同じ
ことがいえる。 (3)正帯電と負帯電について: 実施例2、4(ジフェノキノン誘導体A、Bを特定の割
合で併用)および比較例5(ジフェノキノン誘導体Aを
単一で使用)は正帯電で用い、実施例6、7および比較
例6は負帯電で用いたこと以外は順次上記と同様の処方
としたものである。 これから、本実施例の感光体は、正
・負どちらの帯電においても残留電位が低下し優れた感
度を示すものであるとわかる。これに対して比較例の感
光体は、正負両帯電が可能であるものの実施例の感光体
に比べて、正・負どちらの帯電においても残留電位が高
く、感度の劣るものであるとわかる。 (4)正孔輸送剤に対するジフェノキノン誘導体の含有
量について: 正孔輸送剤に対するジフェノキノン誘導体の含有量が1
0重量%である実施例5と、正孔輸送剤に対するジフェ
ノキノン誘導体の含有量が50重量%であるその他の実
施例との比較から、正孔輸送剤に対するジフェノキノン
誘導体の含有量が少なくなれば、その添加効果が小さく
なることがわかる。 しかし、正孔輸送剤に対するジフェ
ノキノン誘導体の含有量が、ともに10重量%である実
施例5と比較例12との比較から、正孔輸送剤に対する
ジフェノキノン誘導体Bの含有量が少なくなればその添
加効果は小さくなるものの、ジフェノキノン誘導体Aと
ジフェノキノン誘導体Bとを併用したことによる上記効
果は認められる。
【0080】
【発明の効果】本発明によれば、電子輸送剤として特定
の二種のジフェノキノン誘導体の組み合せを使用したの
で、得られた有機感光体の残留電位が著しく低下し、帯
電に対して優れた感度を示す有機感光体が得られ、複写
機またはプリンター等における高速化を図ることができ
る。
【0081】さらに、正孔輸送剤の内でも、イオン化ポ
テンシャルが5.3〜5.6eV、特に5.32〜5.
56eVの範囲にあるものを選択し、これを上記ジフェ
ノキノン誘導体と組み合わせて使用すると、残留電位が
少なく、感度の向上した単層型有機感光体が得られ、こ
の感光体は正帯電域或いは両帯電の用途に有利に使用で
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 感光体残留電位のジフェノキノン誘導体Bの
還元電位依存性を示すグラフである。
【図2】 本発明の電子写真用単層型有機感光体の一例
の断面構造及び動作を示す説明図である。
【図3】 電荷発生剤、二種のジフェノキノン誘導体及
び正孔輸送剤を一定の量比で含んだ単層型有機感光体の
電子の移動を示す説明図である。
【図4】 牽引電圧(V)と電流(μA)との関係を示
すグラフである。
【符号の説明】
1 導電性基体 2 有機感光体層

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性基体上に有機感光層を設けた電子
    写真用有機感光体であり、有機感光層が、電子輸送剤と
    してのジフェノキノン誘導体Aと該ジフェノキノン誘導
    体Aに比べて還元電位の絶対値が大きいジフェノキノン
    誘導体Bとを有し、かつ該ジフェノキノン誘導体Bが、
    電子輸送剤総量に対して、3〜50重量%の範囲で配合
    されている電子写真用有機感光体。
  2. 【請求項2】 前記有機感光層が、電荷発生剤、正孔
    輸送剤、電子輸送剤および結着樹脂を含有する樹脂組成
    物からなる単層型有機感光層である請求項1に記載の有
    機感光体。
  3. 【請求項3】 前記電子輸送剤が前記結着樹脂に対して
    10〜80重量%の範囲で配合されている請求項2に記
    載の有機感光体。
  4. 【請求項4】 前記ジフェノキノン誘導体Aが以下の一
    般式(1)、(2)または(3)で表され、前記ジフェ
    ノキノン誘導体Bが以下の一般式(4)で表される請求
    項2に記載の有機感光体。 【化1】 【化2】 【化3】 【化4】 式中、R1〜R6の各々は水素原子、アルキル基、アルコ
    キシ基、アリール基、アラルキル基、シクロアルキル
    基、アミノ基または置換アミノ基を表し、かつR1とR2
    の置換基は互いに異なり、R3〜R6の置換基は互いに異
    なってもよく、もしくはそれらの置換基のうち二つ、三
    つまたは四つの置換基が同一であってもよい。
  5. 【請求項5】 前記ジフェノキノン誘導体Aが、3,5
    −ジメチル−3’,5’−ジt−ブチル−4,4’−ジ
    フェノキノンである請求項2に記載の有機感光体。
  6. 【請求項6】 前記ジフェノキノン誘導体Bが、3,
    3’,5,5’−テトラt−ブチル−4,4’−ジフェ
    ノキノンである請求項2に記載の有機感光体。
  7. 【請求項7】 前記正孔輸送剤のイオン化ポテンシャル
    が、5.3〜5.6eVである請求項2に記載の有機感
    光体。
  8. 【請求項8】 前記電荷発生剤のイオン化ポテンシャル
    が、5.3〜5.6eVである請求項2に記載の有機感
    光体。
  9. 【請求項9】 前記電荷発生剤が結着樹脂に対し、0.
    1〜10重量%の割合で配合される請求項2に記載の有
    機感光体。
  10. 【請求項10】 前記正孔輸送剤が、アルキル置換トリ
    フェニルジアミンである請求項2に記載の有機感光体。
  11. 【請求項11】 前記電荷発生剤が、X型無金属フタロ
    シアニンである請求項2に記載の有機感光体。
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