JP2728596B2 - 電子写真用有機感光体 - Google Patents
電子写真用有機感光体Info
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Description
ター等に使用される電子写真用有機感光体に関し、より
詳細には、正帯電や両帯電が可能で、感度や残留電位の
改善された電子写真用単層型有機感光体に関する。
には、通常700nm以上の波長を有する光源が使用さ
れている。この波長領域に感度を有する感光体として、
有機感光体(OPC)、アモルファスシリコン(α−S
i)、一部のセレン感光体等が知られているが、感度、
コスト等の総合的見地から、この分野ではOPCを使用
するケースが多い。
L)と電荷輸送層(CTL)とを積層した所謂機能分離
型の有機感光体、即ち積層型の感光体が多いが、電荷輸
送物質を含む感光層中に電荷発生物質を分散させた単層
分散型の有機感光体も既に知られている。これら機能分
離型の有機感光体においては、感度面や機械的強度面か
ら、導電性基体上にCGLやCTLを順次積層したもの
が現在多数実用に供されている。
キャリヤ移動度の高いものが要求されているが、キャリ
ヤ移動度の高い電荷輸送剤は殆どが正孔輸送性であるた
め、実用に供せられているものは負帯電型の有機感光体
に限られている。しかしながら、負帯電型の有機感光体
では、負極性コロナ放電を利用するためオゾンの発生量
が多く、従って環境を汚染する、感光体を劣化する等の
問題があり、これを防止するため、オゾンを発生させな
い格別の帯電システムや、生成オゾンを分解するシステ
ム、装置内のオゾンを排気するシステム等を必要とし、
プロセスやシステムが複雑化するという欠点がある。
塗りが必要であったり、感光体層に電荷発生層と電荷輸
送層との界面が存在するため、干渉縞が発生しやすいと
いう光学上の問題がある。
輸送物質として電子輸送剤を使用することが検討されて
おり、特開平1−206349号公報には、ジフェノキ
ノン構造を有する化合物が電子写真感光体用電荷輸送剤
として提案されている。
電子輸送剤は、ジフェノキノン類をも含めて、結着樹脂
への相溶性に乏しく、ホッピング距離が長くなるため、
低電界での電子移動が生じ難くなり、残留電位がかなり
高いという欠点が認められる。従って、実用に耐えうる
電子輸送剤を用いた感光体の開発が望まれている。
正帯電或いは更に負帯電との両方に用いることができれ
ば、感光体の応用範囲を更に広げることができ、前述し
た種々の欠点を解消し得る点で著しく有利である。ま
た、有機感光体を単層の分散型で使用できれば感光体の
製造を容易にし、被膜欠陥の発生を防止し、光学的特性
を向上させる上でも、多くの利点が達成される。
れたものであり、その目的は残留電位が低いレベルに抑
制され、しかも優れた感度を示す電子写真用有機感光体
を提供することにある。
もしくは両帯電が可能な電子写真用有機感光体を提供す
ることにある。
剤としてジフェノキノン誘導体を使用し、このジフェノ
キノン誘導体のうち特定の二種を併用して有機感光体を
作製すると、感光体の残留電位が著しく低下し、感度が
向上することを見い出し、本発明を完成するに至ったも
のである。
基体上に有機感光層を設け、該有機感光層が、電子輸送
剤としてのジフェノキノン誘導体Aと該ジフェノキノン
誘導体Aに比べて還元電位の絶対値が大きいジフェノキ
ノン誘導体Bとを有し、かつ該ジフェノキノン誘導体B
が、電子輸送剤総量に対して3〜50重量%の範囲で配
合されており、そのことにより上記目的が達成される。
輸送剤として、上記のようなジフェノキノン誘導体Aと
ジフェノキノン誘導体Bとを上記重量%の範囲で併用す
ることにより残留電位が少なく、かつ感度の向上した有
機感光体が得られる。
誘導体を使用する理由は、この電子輸送剤が従来のもの
に比べて電子輸送性に優れているからであり、これは分
子鎖両端末に電子受容性に優れたキノン系酸素原子が結
合しており、また分子鎖全体にわたって共役に二重結合
があって、構造内の電子の移動が容易で、しかも電子の
授受が容易に行われることに関係しているものと思われ
る。
しかも剛直な分子構造を有するため、感光層形成に用い
る溶剤に対する溶解性が低く、感光層の媒質となる結着
樹脂に対しても相溶性が低いものである。
ノキノンに対してアルキル基又はアリール基等の置換基
を導入することにより、溶剤に対する溶解性や、結着樹
脂に対する相溶性を向上できるが、さらに置換基を非対
称に導入すると、より高濃度の電子輸送剤を感光層中に
分散可能となることがわかった。また、組み合わせるジ
フェノキノン誘導体同志の還元電位の絶対値や量比と、
感光体の残留電位(低いほど見かけの感度が増大する)
との間には一定の関係があり、ジフェノキノン誘導体A
と、ジフェノキノン誘導体Aに比べて添加量が少なく還
元電位の大きなジフェノキノン誘導体Bとの組み合わせ
の範囲内で、残留電位が最少ないしその近傍の値を示す
ことがわかった。
タロシアニン)、種々のジフェノキノン誘導体、及び正
孔輸送剤(3,3’−ジメチル−N、N、N’N’−テ
トラキス−4−メチルフェニル(1、1’−ビフェニ
ル)−4,4’−ジアミン)を一定の量比で樹脂中に含
む単層型有機感光体(各剤の配合比は後述する実施例4
と同様)について電子輸送剤(ジフェノキノン誘導体
B)の還元電位(−V)と帯電露光時残留電位との関係
をプロットしたものである。
導体Aとして3,5−ジメチル−3’,5’−ジt−ブチ
ル−4,4'−ジフェノキノン(還元電位 −0.86
V)と、ジフェノキノン誘導体Bとして、以下に示すa
〜fのジフェノキノン誘導体とを併用し、得られた有機
感光層の残留電位の変化を示している。
ノキノン誘導体Aとして3,5−ジメチル−3’,5’−
ジt−ブチル−4,4'−ジフェノキノンを用い、これに
ジフェノキノン誘導体Bとして3,5'−ジフェニル−
3’,5−ジt−ブチル−4,4'−ジフェノキノンがジ
フェノキノン誘導体Aに対して25重量%(電子輸送剤
総量に対して20重量%)配合された有機感光体の残留
電位を示しており、A’の位置では、第1電子輸送剤
(3,5−ジメチル−3’,5’−ジt−ブチル−4,4'
−ジフェノキノン)のみを使用して作成した感光体の残
留電位を示している同様に、(2)はジフェノキノン誘
導体Aとして3,5'−ジフェニル−3’,5−ジt−ブ
チル−4,4'−ジフェノキノン(還元電位 −0.74
V)を使用し、ジフェノキノン誘導体Bとして、a〜f
の電子輸送剤を使用した場合の感光体の残留電位の変化
を示している。また、(3)はジフェノキノン誘導体A
として3,5−ジメトキシ−3’,5’−ジt−ブチル−
4,4'−ジフェノキノン(還元電位 −0.87V)を
使用し、ジフェノキノン誘導体Bとして、a〜fの電子
輸送剤を使用した場合の感光体の残留電位の変化を示し
ている。
ある。
ブチル−4,4'−ジフェノキノン(還元電位 −0.8
6V) b:3,5'−ジフェニル−3’,5−ジt−ブチル−4,
4'−ジフェノキノン(還元電位 −0.74V) c:3,5−ジメトキシ−3’,5’−ジt−ブチル−
4,4'−ジフェノキノン(還元電位 −0.87V) d:3,3’,5,5'−テトラt−ブチル−4,4'−ジフ
ェノキノン(還元電位−0.94V) e:3,5'−ビス(α,α,γ,γ−テトラメチルブチ
ル)−3’,5−ジフェニル−4,4'−ジフェノキノン
(還元電位 −0.76V) f:3,5'−ビス(α−ジメチルベンジル)−3’,5
−ジ(α−メチルプロピル)−4,4'−ジフェノキノン
(還元電位 −0.85V) この図1から、電子輸送剤として、還元電位の絶対値が
異なる二種のジフェノキノン誘導体を併用し、かつ還元
電位の絶対値が大きいジフェノキノン誘導体を少量用い
ることにより、それ以外の場合に比して感光体の残留電
位を小さいレベルに抑制し、感度を向上させ得ることが
わかる。
D’位置での組み合わせを例にとって説明すると、上記
したようにジフェノキノン誘導体Bとしてのd(3,
3’,5,5'−テトラt−ブチル−4,4'−ジフェノキ
ノン)単独では、電荷発生剤から放出される電子の注入
には優れるものの、ジフェノキノン誘導体Aとしてのa
(3,5−ジメチル−3’,5’−ジt−ブチル−4,4'
−ジフェノキノン)に比して、溶剤への溶解性および結
着樹脂との相溶性に劣る傾向にある。
キノンdに比して、結着樹脂中に高濃度に分散可能であ
るものの、分散したジフェノキノンaの中には電子注入
に寄与できない部分が存在し、電子注入効率を低下させ
ているものと推定される。
ることにより、相乗効果が発生し、a単独時では電子注
入に寄与できなかった部分が、dを介することで改善さ
れ初めて電子注入に寄与できるようになり、残留電位が
少なく、かつ感度の向上した有機感光体が得られるもの
と推定される。
型有機感光体における電荷像生成原理を説明したもので
ある。図2において、導電性基体1上には、単層型の有
機感光体層2が設けられており、この有機感光体層2に
は電荷発生剤CG、ジフェノキノン誘導体Aから成る電
子輸送剤ET1、ジフェノキノン誘導体Bから成る電子
輸送剤ET2及び正孔輸送剤HTが分散している。
機感光体層2の表面は正(+)に帯電されており、導電
性基体1表面には負電荷(−)が誘導されている。この
状態で光線(hν)を照射すると、電荷発生剤CGには
電荷が発生し、電子は電子輸送剤ET2を介して電子輸
送剤ET1に注入されるものと、電子輸送剤ET2を介さ
ずに直接電子輸送剤ET1に注入されるものとが存在
し、上記2通りの経路で電子が有機感光体層2の表面に
移動して正電荷(+)を打ち消す。一方、正孔(+)は
正孔輸送剤HTに注入されて、途中でトラップされるこ
となく、導電性基体1の表面に移動して負電荷(−)に
より打ち消される。
り電荷発生剤から放出された電子のうち、従来ジフェノ
キノン誘導体A単独では注入されなかった部分が、本発
明で使用する電子注入効率に優れた還元電位の絶対値が
大きいジフェノキノン誘導体Bからなる電子輸送剤ET
2へまず注入されるため、その後のジフェノキノン誘導
体Aからなる電子輸送剤ET1への注入が容易に行われ
るものと推測される。このように、ジフェノキノン誘導
体Bを介してジフェノキノン誘導体Aへ電子注入する経
路が増すことにより、ジフェノキノン誘導体Aへの電子
注入効率が向上し、感光体の感度が向上するものと推測
される。
はジフェノキノン誘導体Aに比して溶剤への溶解性およ
び結着樹脂との相溶性に劣る傾向にあるが、ジフェノキ
ノン誘導体Bの添加量を電子輸送剤総量に対して3〜5
0重量%とすることにより、それらの問題を解消し、か
つジフェノキノン誘導体Bの添加量が少量であってもジ
フェノキノン誘導体Bを介してのジフェノキノン誘導体
Aへの電子注入量はジフェノキノン誘導体Bを介さない
場合よりも大きく、またジフェノキノン誘導体Bは、お
もに電子輸送を行っているジフェノキノン誘導体Aより
も還元電位が大きいため電子トラップとはならないので
ある。
Aは、下記一般式(1)、(2)または(3)で示され
る非対称置換型のジフェノキノン誘導体であるのがよ
く、上記ジフェノキノン誘導体Bは下記一般式(4)で
示されるジフェノキノン誘導体であるのがよい。
は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール
基、アラルキル基、シクロアルキル基、アミノ基または
置換アミノ基を表す。アルキル基としては、メチル基、
エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチ
ル基、イソブチル基、t−ブチル基等の低級アルキル基
が好ましい。
R1とR2の置換基は互いに異なる。式(4)中、R3〜
R6の置換基は互いに異なってもよく、もしくはそれら
の置換基のうち二つ、三つまたは四つの置換基が同一で
あってもよい。特に、R3〜R6の置換基のすべてが同一
の対称型ジフェノキノン誘導体が好ましい。
れに限定されないが、3,5−ジメチル−3’,5’−ジ
t−ブチルジ−4,4'−ジフェノキノン、3,3’−ジ
メチル−5,5’−ジt−ブチル−4,4'−ジフェノキ
ノン、3,5’−ジメチル−3’,5−ジt−ブチル−
4,4'−ジフェノキノン等を挙げることができる。これ
らの置換基を有するジフェノキノン誘導体は、分子の対
称性が低いために分子間の相互作用が小さく、溶解性に
優れているために好ましい。これらのジフェノキノン誘
導体Aは、一種または二種以上混合して用いられる。
導体Bは、上式(4)で示されるものが好ましく、その
適当な例はこれに限定されないが、3,3',5,5’−テ
トラ−tメチル−4,4'−ジフェノキノン、3,3',5,
5’−テトラ−tエチル−4,4'−ジフェノキノン、
3,3',5,5’−テトラ−tブチル−4,4'−ジフェノ
キノン、等を挙げることができる。これらのジフェノキ
ノン誘導体Bは、一種または二種以上混合して用いられ
る。
絶対値の差は、0.03V以上が好ましい。
導体Aとジフェノキノン誘導体Bとを合わせた量)に対
するジフェノキノン誘導体Bの配合割合は、3〜50重
量%であり、特に5〜25重量%が好ましい。電子輸送
剤総量に対するジフェノキノン誘導体Bの配合割合が3
重量%未満の場合には、後述するように、得られた感光
層の残留電位を低下させる効果が小さく、また帯電に対
する感度を高める効果が小さい。50重量%を超えても
それ以上の添加効果が期待できないばかりか結晶化を引
き起こし、有機感光体として使用不能となる。
従来公知の正孔輸送物質が使用され、例えばオキサジア
ゾール系化合物、スチリル化合物、カルバゾール系化合
物、ピラゾリン化合物、ヒドラゾン化合物、トリフェニ
ルアミン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール
系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化
合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合
物、ピラゾール系化合物、トリアゾール系化合物等の含
窒素還式化合物、有機ポリシラン化合物、縮合多還式化
合物等があげられる。
化ポテンシャルが5.3〜5.6eVのものが好ましく
使用される。また、電界強度3×105V/cmで10
-6Vcm以上の移動度を有するものが特によい。具体的
には、アルキル置換トリフェニルジアミンが好ましい。
気化光電子分析装置(理研計器株式会社製、AC−1)
を用いて行ったものである。
これに限定されないが、1,1−ビス(p−ジエチルア
ミノフェニル)−4,4ジフェニル−1,3−ブタジエ
ン、N,N’−ビス(o,p−ジメチルフェニル)−N,
N’−ジフェニルベンジジン、3,3’−ジメチル−N,
N,N’,N’−テトラキス−4−メチルフェニル(1,
1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン、N−エチル
−3−カルバゾリルアルデヒド−N,N’−ジフェニル
ヒドラゾン、4−[N,N−ビス(p−トルイル)アミ
ノ]−β−フェニルスチルベン等である。
ン化ポテンシャルが前記範囲内にあるものを用いること
によって、残留電位を低下させ、感度を向上させ得るの
は現象として見いだされたものであり、必ずしも以下の
説明に限定されないが、次のようなものと考えられる。
の注入のし易さは、正孔輸送剤のイオン化ポテンシャル
と密接に関連しており、正孔輸送剤のイオン化ポテンシ
ャルが本発明範囲よりも大きい場合には、電荷発生剤か
ら正孔輸送剤への電荷の注入の程度が低くなるか、或い
は正孔輸送剤間での正孔の授受の程度が低くなるため感
度の低下が生じるものと認められる。
子輸送剤とが共存する系では、両者の間の相互作用、一
層具体的には電荷移動錯体の形成に注意する必要があ
る。
と、正孔と電子との間に再結合が生じ、全体として電荷
の移動度が低下する。正孔輸送剤のイオン化ポテンシャ
ルが本発明の範囲よりも小さい場合には、電子輸送剤と
の間に錯体を形成する傾向が大きくなり、電子−正孔の
再結合が生じるために、見掛けの量子収率が低下し、感
度の低下に結びつくものと思われる。
高な置換基を導入することにより、この誘導体に立体障
害性が付与され、正孔輸送剤との間の錯体形成傾向が抑
制され、感度を向上させることができる。
例えば、セレン、セレン−テルル、アモルファスシリコ
ン、ピリリウム塩、アゾ系顔料、ジスアゾ系顔料、アン
サンスロン系顔料、フタロシアニン系顔料、インジコ系
顔料、スレン系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系
顔料、ペリレン系顔料、キナクリドン系顔料等が例示さ
れ、所望の領域に吸収波長域を有するよう、一種または
二種以上混合して用いられる。イオン化ポテンシャルが
5.3〜5.6eVの範囲にあるものが好適であり、特
に好適なものとして、X型無金属フタロシアニンとオキ
ソチタニルフタロシアニンが例示される。
と組み合わせる正孔輸送剤として、イオン化ポテンシャ
ルが5.3〜5.6eVのものを使用することに関連し
て、電荷発生剤としても、正孔輸送剤とバランスしたイ
オン化ポテンシャルを有するもの、具体的にはイオン化
ポテンシャルが5.3〜5.6eV、特に、5.32〜
5.38eVのものを用いるのが、残留電位の抑制、感
度の向上の点で望ましい。
樹脂としては、有機感光層に使用されている従来公知の
種々の樹脂が使用でき、例えば、スチレン系重合体、ア
クリル系重合体、スチレン−アクリル系共重合体、エチ
レン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、アイオノ
マ−等のオレフィン系重合体、ポリ塩化ビニル、塩化ビ
ニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、アルキッド
樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリ
カーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ジアリ
ルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、ポリ
ビニルブチラール樹脂、ポリエーテル樹脂、フェノール
樹脂や、エポキシアクリレート等の光硬化型樹脂等、各
種の重合体が例示できる。
合して用いられる。好適な結着樹脂は、スチレン系重合
体、アクリル系重合体、スチレン−アクリル系共重合
体、ポリエステル、アルキッド樹脂、ポリカーボネー
ト、ポリアリレート等である。
着樹脂に対して0.1〜10重量%、特に0.5〜5重
量%の量で配合されるのがよく、また電子輸送剤は、ジ
フェノキノン誘導体Aとジフェノキノン誘導体Bとを合
わせて結着樹脂に対して0.1〜80重量%、特に30
〜60重量%の量で感光層中に配合されるのがよい。正
孔輸送剤(HT)は、固形分当たり5〜80重量%、特
に20〜50重量%で感光層中に含有されるのがよい。
さらに、電子輸送剤:正孔輸送剤の重量比は1:9〜
9:1、特に2:8〜8:2の範囲にあるのが最もよ
い。
子写真学的特性に悪影響を及ぼさない範囲で、それ自体
公知の種々の配合剤、例えば酸化防止剤、ラジカル捕捉
剤、一重項クエンチャー、UV吸収剤、軟化剤、表面改
質剤、消剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、
アクセプター、ドナー等を配合させることができる。特
に、全固形分当たり0.1〜20重量%の立体障害性フ
ェノール系酸化防止剤を配合すると、電子写真学的特性
に悪影響を与えることなく、感光層の耐久性を顕著に向
上させることができる。適当な酸化防止剤は次の通りで
ある。
トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル
−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト]、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5
−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネート]、 オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブ
チル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,
4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−t−ブチ
ル−フェノール)、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4
−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス
(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジ
ン)、2−第3−ブチル−6−(3’−第3ブチル−
5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチ
ルフェニルアクリレート、3,9−ビス[1,1−ジメ
チル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−
5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]−
2,4,8,10−テトラオキサスピコ[5,5]ウン
デカン。
体としては、導電性を有する種々の材料が使用でき、例
えば、アルミニウム、銅、錫、白金、金、銀、バナジウ
ム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケ
ル、インジウム、ステンレス鋼、真鍮等の金属単体や、
上記金属が蒸着またはラミネートされたプラスチック材
料、ヨウ化アルミニウム、酸化錫、酸化インジウム等で
被覆されたガラス等が例示される。本発明の単層型有機
感光体では干渉稿等の発生がないことから、通常のアル
ミニウム素管、特に膜厚が1〜50μmとなるようにア
ルマイト処理を施した素管を用いることもできる。
組成物が溶剤に溶解乃至分散された塗布液を導電性基体
上に塗布、乾燥して製造することができる。
び溶剤を、従来公知の方法、例えば、ロールミル、ボー
ルミル、アトライタ、ペイントシェイカーあるいは超音
波分散器等を用いて行うことができる。また、塗布液を
導電性基体上に塗布するには、従来公知の塗布手段が採
用できる。
ては、種々の有機溶剤が使用でき、メタノール、エタノ
ール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール
類、n−ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪
族系炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香
族系炭化水素、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩
化炭素、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素、ジメ
チルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラ
ン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレン
グリコール等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケ
トン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢
酸メチル等のエステル類、ジメチルホルムアミド、ジメ
チルスルホキシド等、種々の溶剤が例示され、一種また
は二種以上混合して用いられる。
単層型および積層型のいずれにも適用可能である。但
し、ジフェノキノン誘導体Aとジフェノキノン誘導体B
との組み合わせによる効果は、単層型有機感光層におい
てより顕著に現れるので、本発明は単層型有機感光体に
適用するのがより好ましいといえる。
電荷発生層が0.01〜5μm、特に0.1〜3μm程
度に形成されるのが好ましい。電子輸送層の厚さは、5
〜100μmが好ましい。
〜100μm、特に10〜40μm程度に形成されるの
が好ましい。
光層との間に、また、積層型感光体においては、導電性
基体と電荷発生層との間や、導電性基体と電荷輸送層と
の間または電荷発生層と電荷輸送層との間に、感光体の
特性を阻害しない範囲でバリア層が形成されていてもよ
く、感光体の表面には、保護層が形成されていてもよ
い。
に説明する。
eV) II:オキソチタニルフタロシアニン(IP=5.32e
V) 尚、IPはイオン化ポテンシャルの略である。
−ジフェニルベンジジン(IP=5.43eV) 3,3'−ジメチル−N,N,N',N'−テトラキス−
4−メチルフェニル(1,1'−ビフェニル)−4,4'
−ジアミン(IP=5.56eV)電子輸送剤: a:3,5−ジメチル−3’,5’−ジt−ブチル−4,
4'−ジフェノキノン(還元電位 −0.86V) b:3,5'−ジフェニル−3’,5−ジt−ブチル−4,
4'−ジフェノキノン(還元電位 −0.74V) c:3,5−ジメトキシ−3’,5’−ジt−ブチル−
4,4'−ジフェノキノン(還元電位 −0.87V) d:3,3’,5,5'−テトラt−ブチル−4,4'−ジフ
ェノキノン(還元電位−0.94V) e:3,5'−ビス(α,α,γ,γ−テトラメチルブチ
ル)−3’,5−ジフェニル−4,4'−ジフェノキノン
(還元電位 −0.76V) f:3,5'−ビス(α−ジメチルベンジル)−3’,5
−ジ(α−メチルプロピル)−4,4'−ジフェノキノン
(還元電位 −0.85V) (還元電位の測定)還元電位の測定は、以下の材料を用
い、3電極式のサイクリックボルターメトリーにて行っ
た。
極)、対極(白金電極) 参照電極:銀硝酸銀電極(0.1 mol/リットル AgNO3-ア
セトニトリル溶液) 測定溶液 電界質:過塩素酸t−ブチルアンモニウム
0.1モル 測定物質:電子輸送剤 0.001モル 溶剤:CH2Cl2 1リットル 以上を調合して測定溶液を調製した。
電圧(V)と電流(μA)との関係を求めて図に示すE
1とE2を測定し、以下の計算式により還元電位を求め
た。
社製、EPA−8100)を用いて、各実施例及び各比
較例で得られた感光体に印加電圧を加えて正または負に
帯電させ、光源として白色ハロゲン光を用いて電子写真
特性を測定した。
感光体を帯電させた時の感光体の初期表面電位を示し、
表中のV2(V)は露光開始後1秒経過後の表面電位を
残留電位として測定したものである。E1/2(lux
・sec)は初期表面電位V1(V)が1/2になるの
に要した時間より算出した半減露光量を示す。
1)電荷発生剤として、表1および表2に示す化合物を
3重量部、正孔輸送剤として表1および表2に示す化合
物を50重量部、電子輸送剤ジフェノキノン誘導体A,
Bとして表1および表2に示す化合物を表示重量部数、
結着樹脂としてのポリカーボネートを100重量部およ
び溶剤として所定量のジメクロロメタンを、ボールミル
で混合分散して単層型感光層用塗布液を調製した。この
調製液をアルミニウム箔上にワイヤーバーにて塗布した
後、100℃で60分間熱風乾燥することにより膜厚1
5〜20μmの感光層を形成して単層型電子写真用感光
体を得た。
したがって正に帯電させその電子写真特性を測定した。
結果を表1および表2に示す。
2、4及び比較例5で得られた単層型電子写真感光体を
負に帯電させたこと以外は、実施例1と同様にして電子
写真特性を測定した。その結果を表1に示す。
0重量部、ジフェノキノン誘導体A,Bとして表1,2
に示す化合物を表示の重量部としたこと以外は実施例1
と同様にして単層型電子写真用感光体を得た。
にしてその電子写真特性を測定した。結果を表1および
表2に示す。
る。 (1)ジフェノキノン誘導体の種類について: ジフェノキノン誘導体Aと、該ジフェノキノン誘導体A
に比べて還元電位の絶対値が大きいジフェノキノン誘導
体Bとを、電子輸送剤としてそれぞれ使用し、かつ該ジ
フェノキノン誘導体Bの含有割合が、電子輸送剤総量に
対して、20重量%である表1に示す実施例4および実
施例8〜15の感光体の残留電位(V2)は、138〜
185であり、半減露光量は、0.795〜0.973
である。これとは逆に、ジフェノキノン誘導体Aと、該
ジフェノキノン誘導体Aに比べて還元電位の絶対値が小
さいジフェノキノン誘導体Bとを、電子輸送剤としてそ
れぞれ使用し、かつ該ジフェノキノン誘導体Bの含有割
合が、電子輸送剤総量に対して、20重量%である表2
に示す比較例1〜3の感光体の残留電位(V2)は、2
02〜228であり、半減露光量は、1.26〜1.3
8である。 これらのことから、ジフェノキノン誘導体A
と、該ジフェノキノン誘導体Aに比べて還元電位の絶対
値が大きいジフェノキノン誘導体Bとを、電子輸送剤と
してそれぞれ使用するだけではなく、該ジフェノキノン
誘導体Bの含有割合が、電子輸送剤総量に対して、3〜
50重量%の範囲とすることにより、初めて残留電位が
著しく低下し、優れた感度を示す電子写真用有機感光体
が得られる。 (2)ジフェノキノン誘導体の含有量について: 実施例1〜5では、ジフェノキノン誘導体aと、該ジフ
ェノキノン誘導体aに比べて還元電位の絶対値が大きい
ジフェノキノン誘導体dとを、電子輸送剤として使用
し、かつ該ジフェノキノン誘導体dの含有割合を、電子
輸送剤総量に対して3〜50重量%の範囲で変えてい
る。 比較例4では、ジフェノキノン誘導体dの含有割合
を電子輸送剤総量に対して、52重量%としたこと以外
は、上記実施例1〜4と同じである。比較例5では、ジ
フェノキノン誘導体dの含有割合が、電子輸送剤総量に
対して0重量%としたこと以外は、上記実施例1〜4と
同じである。 実施例1〜4と比較例4,5との比較か
ら、ジフェノキノン誘導体dの添加は、感光体の残留電
位の低下に著しい効果があり、かつその添加量が多すぎ
ると、 感光層の結晶化を招く。 実施例13,16と比較
例10との対比、および実施例8〜11、実施例15と
比較例7〜11との対比(実施例8〜11、実施例15
は、それぞれ、ジフェノキノン誘導体Bを併用したこと
以外は、比較例7〜11と同じである。)から、電荷発
生剤や正孔輸送剤の種類が変わった場合でも上記と同じ
ことがいえる。 (3)正帯電と負帯電について: 実施例2、4(ジフェノキノン誘導体A、Bを特定の割
合で併用)および比較例5(ジフェノキノン誘導体Aを
単一で使用)は正帯電で用い、実施例6、7および比較
例6は負帯電で用いたこと以外は順次上記と同様の処方
としたものである。 これから、本実施例の感光体は、正
・負どちらの帯電においても残留電位が低下し優れた感
度を示すものであるとわかる。これに対して比較例の感
光体は、正負両帯電が可能であるものの実施例の感光体
に比べて、正・負どちらの帯電においても残留電位が高
く、感度の劣るものであるとわかる。 (4)正孔輸送剤に対するジフェノキノン誘導体の含有
量について: 正孔輸送剤に対するジフェノキノン誘導体の含有量が1
0重量%である実施例5と、正孔輸送剤に対するジフェ
ノキノン誘導体の含有量が50重量%であるその他の実
施例との比較から、正孔輸送剤に対するジフェノキノン
誘導体の含有量が少なくなれば、その添加効果が小さく
なることがわかる。 しかし、正孔輸送剤に対するジフェ
ノキノン誘導体の含有量が、ともに10重量%である実
施例5と比較例12との比較から、正孔輸送剤に対する
ジフェノキノン誘導体Bの含有量が少なくなればその添
加効果は小さくなるものの、ジフェノキノン誘導体Aと
ジフェノキノン誘導体Bとを併用したことによる上記効
果は認められる。
の二種のジフェノキノン誘導体の組み合せを使用したの
で、得られた有機感光体の残留電位が著しく低下し、帯
電に対して優れた感度を示す有機感光体が得られ、複写
機またはプリンター等における高速化を図ることができ
る。
テンシャルが5.3〜5.6eV、特に5.32〜5.
56eVの範囲にあるものを選択し、これを上記ジフェ
ノキノン誘導体と組み合わせて使用すると、残留電位が
少なく、感度の向上した単層型有機感光体が得られ、こ
の感光体は正帯電域或いは両帯電の用途に有利に使用で
きる。
還元電位依存性を示すグラフである。
の断面構造及び動作を示す説明図である。
び正孔輸送剤を一定の量比で含んだ単層型有機感光体の
電子の移動を示す説明図である。
すグラフである。
Claims (11)
- 【請求項1】 導電性基体上に有機感光層を設けた電子
写真用有機感光体であり、有機感光層が、電子輸送剤と
してのジフェノキノン誘導体Aと該ジフェノキノン誘導
体Aに比べて還元電位の絶対値が大きいジフェノキノン
誘導体Bとを有し、かつ該ジフェノキノン誘導体Bが、
電子輸送剤総量に対して、3〜50重量%の範囲で配合
されている電子写真用有機感光体。 - 【請求項2】 前記有機感光層が、電荷発生剤、正孔
輸送剤、電子輸送剤および結着樹脂を含有する樹脂組成
物からなる単層型有機感光層である請求項1に記載の有
機感光体。 - 【請求項3】 前記電子輸送剤が前記結着樹脂に対して
10〜80重量%の範囲で配合されている請求項2に記
載の有機感光体。 - 【請求項4】 前記ジフェノキノン誘導体Aが以下の一
般式(1)、(2)または(3)で表され、前記ジフェ
ノキノン誘導体Bが以下の一般式(4)で表される請求
項2に記載の有機感光体。 【化1】 【化2】 【化3】 【化4】 式中、R1〜R6の各々は水素原子、アルキル基、アルコ
キシ基、アリール基、アラルキル基、シクロアルキル
基、アミノ基または置換アミノ基を表し、かつR1とR2
の置換基は互いに異なり、R3〜R6の置換基は互いに異
なってもよく、もしくはそれらの置換基のうち二つ、三
つまたは四つの置換基が同一であってもよい。 - 【請求項5】 前記ジフェノキノン誘導体Aが、3,5
−ジメチル−3’,5’−ジt−ブチル−4,4’−ジ
フェノキノンである請求項2に記載の有機感光体。 - 【請求項6】 前記ジフェノキノン誘導体Bが、3,
3’,5,5’−テトラt−ブチル−4,4’−ジフェ
ノキノンである請求項2に記載の有機感光体。 - 【請求項7】 前記正孔輸送剤のイオン化ポテンシャル
が、5.3〜5.6eVである請求項2に記載の有機感
光体。 - 【請求項8】 前記電荷発生剤のイオン化ポテンシャル
が、5.3〜5.6eVである請求項2に記載の有機感
光体。 - 【請求項9】 前記電荷発生剤が結着樹脂に対し、0.
1〜10重量%の割合で配合される請求項2に記載の有
機感光体。 - 【請求項10】 前記正孔輸送剤が、アルキル置換トリ
フェニルジアミンである請求項2に記載の有機感光体。 - 【請求項11】 前記電荷発生剤が、X型無金属フタロ
シアニンである請求項2に記載の有機感光体。
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