JPH07209886A - 電子写真用有機感光体 - Google Patents

電子写真用有機感光体

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JPH07209886A
JPH07209886A JP10991394A JP10991394A JPH07209886A JP H07209886 A JPH07209886 A JP H07209886A JP 10991394 A JP10991394 A JP 10991394A JP 10991394 A JP10991394 A JP 10991394A JP H07209886 A JPH07209886 A JP H07209886A
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JP
Japan
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organic
weight
parts
agent
photosensitive layer
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Application number
JP10991394A
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English (en)
Inventor
Hirobumi Kawaguchi
博文 川口
Yukitada Watanabe
征正 渡辺
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Kyocera Mita Industrial Co Ltd
Original Assignee
Mita Industrial Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 導電性基体上に設けた有機感光層が、結着樹
脂中に、少なくとも電荷発生剤および下記一般式(1) で
表される電子輸送剤を含有したことを特徴とする電子写
真用有機感光体。 【化1】 (式中、R1 およびR2 は、同一または異なって、アル
キル基、アラルキル基または置換基を有していてもよい
アリール基を示す。) 【効果】 残留電位が著しく低下し、帯電に対して優れ
た感度を有している。また、正帯電および負帯電のいず
れにも適用可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、複写機、レーザープリ
ンター等に使用される単層型の電子写真用有機感光体に
関し、より詳しくは、とくに正帯電型に適した感光体で
あって感度や残留電位が改善された単層型の電子写真用
有機感光体に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】近
時、700nm以上の波長を有する光源を使用したデジ
タル光学系の電子写真複写機においては、前記波長領域
に感度を有する有機感光体(OPC)が多く使用されて
いる。有機感光体としては、電荷発生層と電荷輸送層と
を積層した所謂機能分離型の有機感光体、すなわち積層
型の感光体が多いが、電荷発生物質と電荷輸送物質とを
感光層中に分散させた単層型の有機感光体も知られてい
る。
【0003】これらの感光体に使用される電荷輸送物質
としては、キャリヤ移動度の高いものが要求されている
が、キャリヤ移動度の高い電荷輸送物質は殆どが正孔輸
送性であるため、実用に供されているものは、感度面お
よび機械強度面から、導電性基体上に電荷発生層、電荷
輸送層を順次積層した負帯電型の有機感光体に限られて
いる。しかしながら、負帯電型の有機感光体では、負極
性コロナ放電を利用するため、オゾンの発生量が多く、
従って環境を汚染したり、感光体を劣化させるなどの問
題があった。
【0004】そこで、このような欠点を排除するため
に、電荷輸送物質として電子輸送剤を使用することが検
討されており、特開平1−206349号公報には、ジ
フェノキノン構造を有する化合物を有機感光体用の電子
輸送剤として使用することが提案されている。しかしな
がら、一般に、ジフェノキノン類等の電子輸送剤は、今
だ充分な電子移動度を有しておらず、光感度が充分でな
かった。また、さらなる残留電位の低下も望まれてい
る。
【0005】一方、感光体の帯電極性に関しては、1つ
の感光体を正帯電および負帯電の両方に用いることがで
きれば、感光体の応用範囲を広げることができる。ま
た、有機感光体を単層の分散型で使用できれば、感光体
の製造が容易になり、被膜欠陥の発生を防止し、光学的
特性を向上させる上でも多くの利点がある。本発明の主
たる目的は、上述の技術的課題を解決し、より速い電子
移動度を有する電荷輸送剤を用いることにより、従来よ
りも高感度で残留電位の低下した電子写真用有機感光体
を提供することである。
【0006】本発明の他の目的は、正帯電または負帯電
が可能な電子写真用有機感光体を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段および作用】本発明者ら
は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、感光
層中に電荷発生剤と共に、下記一般式(1) で表される電
子輸送剤を含有させるときは、感光体の残留電位が著し
く低下し、感度が向上するという事実を見出し、本発明
を完成するに至った。
【0008】
【化2】
【0009】(式中、R1 およびR2 は、同一または異
なって、アルキル基、アラルキル基または置換基を有し
ていてもよいアリール基を示す。) すなわち、本発明の電子写真用有機感光体は、導電性基
体上に有機感光層を設けたものであって、前記有機感光
層が、結着樹脂中に、少なくとも電荷発生剤および前記
一般式(1) で表される電子輸送剤を含有したことを特徴
とする。
【0010】前記電子輸送剤を構成する前記一般式(1)
で表される化合物は、トリニトロフルオレノンヒドラゾ
ン誘導体であり、電子輸送性および樹脂との相溶性にす
ぐれている。前記一般式において、アルキル基として
は、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピ
ル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル基などの炭素数が
1〜6のアルキル基があげられる。アラルキル基として
は、例えばベンジル、ベンズヒドリル、トリチル、フェ
ネチル基などがあげられる。アリール基としては、例え
ばフェニル基、ナフチル基などがあげられる。アリール
基に置換してもよい置換基としては、例えばアルキル
基、アルコキシ基、ハロゲン原子などがあげられる。置
換基の数は2以上であってもよい。また、アリール基へ
の置換位置はとくに限定されない。前記アルコキシ基と
しては、例えばメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イ
ソプロポキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシ
ルオキシ基などの炭素数が1〜6のアルコキシ基があげ
られる。また、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、
臭素、ヨウ素があげられる。
【0011】本発明のトリニトロフルオレノンヒドラゾ
ン誘導体の具体例としては、前記R 1 およびR2 が同一
であって、フェニル基、ベンジル基またはメチル基であ
る誘導体をあげることができるが、R1 およびR2 は異
なる置換基であってもよい。本発明のトリニトロフルオ
レノンヒドラゾン誘導体は、例えば、下記反応行程式に
示されるように、トリニトロフルオレノンとヒドラジン
とを適当な溶媒に溶解させ、約60〜150℃で1〜2
時間反応させることよって得ることができる。
【0012】
【化3】
【0013】(式中、R1 およびR2 は前記と同じであ
る。) この反応において、トリニトロフルオレノンとヒドラジ
ンとは少なくとも等モル量であればよく、一般にはトリ
ニトロフルオレノンに対してヒドラジンを0.8〜1.
2倍モル量で混合すればよい。使用するヒドラジンは溶
媒への溶解性のうえから、塩酸塩、硫酸塩、酢酸塩など
の塩の形態で使用するのが好ましい。
【0014】前記溶媒としては、例えば酢酸、プロピオ
ン酸、ブタン酸、クロロホルム、テトラヒドロフラン、
ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどがあ
げられる。本発明における前記一般式で表される化合物
は、溶剤への溶解性および結着樹脂との相溶性が良好で
あると共に、特に低電界での電子輸送性に優れている。
【0015】本発明の感光体では、露光工程において電
荷発生剤から放出された電子が前記一般式で表される電
子輸送剤にスムーズに注入され、ついで電子輸送剤間で
の電子の授受により電子は感光層の表面に移動されて、
あらかじめ感光層表面に帯電させた正電荷(+)を打ち
消す。一方、正孔(+)は正孔輸送剤に注入されて、途
中でトラップされることなく、導電性基体の表面に移動
し、あらかじめ導電性基体の表面に帯電させた負電荷
(−)により打ち消される。このようにして、正帯電型
の感光体の感度が向上するものと考えられる。
【0016】また、本発明における前記有機感光層に
は、電荷発生剤、電子輸送剤に加えて、正孔輸送剤を含
有させるのが好ましい。かかる正孔輸送剤としては、従
来公知の正孔輸送物質がいずれも使用可能であり、例え
ば2,5−ジ(4−メチルアミノフェニル)、1,3,
4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、
9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン等の
スチリル系化合物、ポリビニルカルバゾール等のカルバ
ゾール系化合物、有機ポリシラン化合物、1−フェニル
−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン等の
ピラゾリン系化合物、ヒドラゾン系化合物、トリフェニ
ルアミン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール
系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化
合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合
物、ピラゾール系化合物、トリアゾール系化合物等の含
窒素環式化合物、縮合多環式化合物等があげられる。
【0017】これらの電荷輸送材料は、1種または2種
以上混合して用いられる。また、ポリビニルカルバゾー
ル等の成膜性を有する電荷輸送材料を用いる場合には、
結着樹脂は必ずしも必要でない。前記正孔輸送剤の中で
も、特にイオン化ポテンシャルが5.0〜5.6eVの
ものが好ましく使用される。また、電界強度3×105
V/cmで1×10-6cm2 /V・秒以上の移動度を有
するものが特に好ましい。具体的には、アルキル置換ト
リフェニルジアミン誘導体が好ましい。
【0018】本発明に用いられる好適な正孔輸送剤とし
ては、とくに限定されるものではないが、例えば1,1
−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)−4,4−ジフ
ェニル−1,3−ブタジエン、N,N′−ビス(2,4
−ジメチルフェニル)−N,N′−ジフェニルベンジジ
ン、3,3′−ジメチル−N,N,N′,N′−テトラ
キス−4−メチルフェニル(1,1′−ビフェニル)−
4,4′−ジアミン、N−エチル−3−カルバゾリルア
ルデヒド−N,N′−ジフェニルヒドラゾン、4−
〔N,N−ビス(p−トルイル)アミノ〕−β−フェニ
ルスチルベン等があげられる。
【0019】前記イオン化ポテンシャルの値は、大気下
光電子分析装置(理研計器(株)製のAC−1)を用い
て測定したものである。本発明において、正孔輸送剤と
して、イオン化ポテンシャルが前記範囲内にあるものを
用いることによって、より一層残留電位を低下させ、感
度を向上させ得る。その理由は必ずしも明らかではない
が、以下のようなものと考えられる。
【0020】すなわち、電荷発生剤から正孔輸送剤への
電荷の注入のし易さは正孔輸送剤のイオン化ポテンシャ
ルと密接に関係しており、正孔輸送剤のイオン化ポテン
シャルが前記範囲よりも大きい場合には、電荷発生剤か
ら正孔輸送剤への電荷の注入の程度が低くなるか、ある
いは正孔輸送剤間での正孔の授受の程度が低くなるた
め、感度の低下が生じるものと認められる。
【0021】一方、正孔輸送剤と電子輸送剤とが共存す
る系では、両者の間の相互作用、より具体的には電荷移
動錯体の形成に注意する必要がある。両者の間にこのよ
うな錯体が形成されると、正孔と電子との間に再結合が
生じ、全体として電荷の移動度が低下する。正孔輸送剤
のイオン化ポテンシャルが前記範囲よりも小さい場合に
は、電子輸送剤との間に錯体を形成する傾向が大きくな
り、電子−正孔の再結合が生じるために、見掛けの量子
収率が低下し、感度の低下に結びつくものと思われる。
【0022】従って、前記一般式で表されるN−トリニ
トロフルオレニリデン−アニリン誘導体には、できるだ
け嵩高い置換基、例えばアリール基、アラルキル基など
を導入し、その立体障害により正孔輸送剤との間での錯
体の形成を抑制するのが好ましい。本発明において使用
される電荷発生剤としては、例えばセレン、セレン−テ
ルル、アモルファスシリコン、ピリリウム塩、アゾ系顔
料、ジスアゾ系顔料、アンサンスロン系顔料、フタロシ
アニン系顔料、ペリレン系顔料、ナフタロシアニン系顔
料、インジゴ系顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレ
ン系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料、キナ
クリドン系顔料、ジチオケトピロロピロール系顔料等が
あげられる。これらの電荷発生剤は、所望の領域に吸収
波長を有するように、一種または二種以上を混合して用
いることができる。その際、正孔輸送剤としてイオン化
ポテンシャルが5.0〜5.6eVのものを使用するこ
とに関連して、電荷発生剤としても、正孔輸送剤とバラ
ンスしたイオン化ポテンシャルのもの、具体的にはイオ
ン化ポテンシャルが5.0〜5.6eV、特に5.32
〜5.38eVの範囲にあるものを用いるのが残留電位
の低減、感度の向上の上で望ましい。特に好適な電荷発
生剤としては、X型無金属フタロシアニン、オキソチタ
ニルフタロシアニン等のフタロシアニン系顔料が例示さ
れる。
【0023】上記の各成分を分散させるための結着樹脂
としては、従来より有機感光層に使用されている種々の
樹脂を使用することができ、例えばスチレン系重合体、
スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニ
トリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アク
リル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリエ
チレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエ
チレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、アイオノマ
ー、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、
アルキド樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、ポリカーボ
ネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ジアリルフタ
レート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、
ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂
や、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、
尿素樹脂、メラミン樹脂、その他架橋性の熱硬化性樹
脂、さらにエポキシアクリレート、ウレタン−アクリレ
ート等の光硬化性樹脂等があげられる。これらの結着樹
脂は1種または2種以上を混合して用いることができ
る。好適な樹脂は、スチレン系重合体、アクリル系重合
体、スチレン−アクリル系共重合体、ポリエステル、ア
ルキド樹脂、ポリカーボネート、ポリアリレート等であ
る。
【0024】本発明において、電荷発生剤は結着樹脂1
00重量部に対して0.5〜10重量部、とくに0.5
〜5重量部の割合で感光層に配合するのがよい。正孔輸
送剤は、結着樹脂100重量部に対して5〜100重量
部、とくに50〜80重量部の割合で感光層中に含有さ
れるのがよい。前記電子輸送剤は結着樹脂100重量部
に対して5〜200重量部、とくに10〜100重量部
の割合で配合するのがよい。
【0025】また、感光層には、電子写真特性に悪影響
を与えない範囲で、それ自体公知の種々の添加剤、例え
ば酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、一重項クエンチャー、
紫外線吸収剤等の劣化防止剤、軟化剤、可塑剤、表面改
質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、アクセ
プター、ドナー等を配合することができる。本発明で
は、前記酸化防止剤として、とくに立体障害性フェノー
ル系酸化防止剤を結着樹脂100重量部に対して0.1
〜50重量部の割合で添加すると、電子写真学的特性に
悪影響を与えることなく、感光層の耐久性を著しく向上
させることができる。このような酸化防止剤として下記
の化合物が例示される。
【0026】2,6−ジt−ブチル−p−クレゾール
【0027】
【化4】
【0028】
【化5】
【0029】
【化6】
【0030】
【化7】
【0031】
【化8】
【0032】
【化9】
【0033】
【化10】
【0034】(各式中、tBuはt−ブチル基を示
す。) また、感光層の感度を向上させるために、例えばターフ
ェニル、ハロナフトキノン類、アセナフチレン等の公知
の増感剤を電荷発生剤と併用してもよい。また、前記一
般式で表される化合物と共に、従来公知の他の電子輸送
剤を感光層に含有させてもよい。このような電子輸送剤
としては、例えばベンゾキノン系、ジフェノキノン系、
マロノニトリル、チオピラン系化合物、テトラシアノエ
チレン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、3,
4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフル
オレノン系化合物、ジニトロベンゼン、ジニトロアント
ラセン、ジニトロアクリジン、ニトロアントラキノン、
ジニトロアントラキノン、無水コハク酸、無水マレイン
酸、ジブロモ無水マレイン酸等があげられる。
【0035】本発明の感光体に使用される導電性基体と
しては、導電性を有する種々の材料を使用することがで
き、例えばアルミニウム、銅、スズ、白金、銀、バナジ
ウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッ
ケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、真鍮等
の金属単体や、上記金属が蒸着またはラミネートされた
プラスチック材料、ヨウ化アルミニウム、酸化スズ、酸
化インジウム等で被覆されたガラス等が例示される。
【0036】導電性基体はシート状、ドラム状等の何れ
であってもよく、基体自体が導電性を有するか、あるい
は基体の表面が導電性を有していればよい。また、導電
性基体は、使用に際して、充分な機械的強度を有するも
のが好ましい。本発明における感光層は、前記した各成
分を含む樹脂組成物を溶剤に溶解ないし分散した塗布液
を導電性基体上に塗布、乾燥して製造される。
【0037】正帯電型の積層感光体である場合には、導
電性基体上に電荷発生層および電荷輸送層をこの順に設
ける。電荷発生層には、電荷発生剤および必要なら正孔
輸送剤を含有させ、電荷輸送層には電子輸送剤を含有さ
せる。これにより、露光によって電荷発生層で発生した
電子を効率よく感光層の表面に輸送でき、感光層表面の
正電荷を打ち消すことができる。一方、導電性基体上に
電荷輸送層および電荷発生層をこの順に設けてもよく、
この場合には電荷輸送層に正孔輸送剤を含有させ、電荷
発生層に電荷発生剤および電子輸送剤を含有させる。
【0038】かかる積層型感光体において、電荷発生層
の厚さは約0.01〜5μm、好ましくは1〜3μm程
度であり、電荷輸送層の厚さは約5〜50μm、好まし
くは10〜25μm程度である。本発明における前記電
子輸送剤の使用による効果は、単層型感光体において顕
著に現れる。本発明の単層型感光体は正帯電および負帯
電のいずれにも適用可能であるが、とくに正帯電型で使
用するのが好ましい。
【0039】単層型感光体において、感光層の厚さは5
〜50μm、特に10〜40μm程度に形成するのが好
ましい。単層型感光体においては、導電性基体と感光層
との間に、また、積層型感光体においては、導電性基体
と電荷発生層との間に、または導電性基体と電荷輸送層
との間に、感光体の特性を阻害しない範囲でバリア層が
形成されていてもよい。また、感光層の表面には、保護
層が形成されていてもよい。
【0040】上記感光層を塗布の方法により形成する場
合には、前記例示の電荷発生材料、電荷輸送材料、結着
樹脂等を、適当な溶剤とともに、公知の方法、例えば、
ロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシェー
カーあるいは超音波分散器等を用いて分散混合して分散
液を調製し、これを公知の手段により塗布、乾燥すれば
よい。
【0041】分散液をつくるための溶剤としては、種々
の有機溶剤が使用可能であり、例えばメタノール、エタ
ノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール
類、n−ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪
族系炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香
族炭化水素、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化
炭素、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素、ジメチ
ルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、
エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリ
コールジメチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メ
チルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢
酸エチル、酢酸メチル等のエステル類、ジメチルホルム
アルデヒド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキ
シド等があげられる。これらの溶剤は1種又は2種以上
を混合して用いることができる。
【0042】さらに、電荷輸送材料や電荷発生材料の分
散性、感光層表面の平滑性をよくするために界面活性
剤、レベリング剤等を使用してもよい。
【0043】
【実施例】以下、実施例および比較例をあげて本発明の
電子写真用有機感光体を説明する。以下の実施例および
比較例で使用した電荷発生剤、正孔輸送剤および電子輸
送剤は次のとおりである。電荷発生剤 I : X型メタルフリーフタロシアニン(Ip=5.
38eV) II: オキソチタニルフタロシアニン(Ip=5.3
2eV) なお、Ipはイオン化ポテンシャルの略である(以下、
同じ)。正孔輸送剤 (1) N,N,N′,N′−テトラキス(4−メチルフェ
ニル)−3,3′−ジメチルベンジジン(Ip=5.5
6eV) (2) N,N′−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−
N,N′−ジフェニルベンジジン(Ip=5.43e
V)電子輸送剤 A〜Cは表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】D:2,6−ジメチル−2′,6′−ジt
−ブチル−4,4′−ジフェノキノン 実施例1〜5 電荷発生剤、正孔輸送剤、電子輸送剤として表2に示す
各化合物を下記に示す割合でそれぞれ用いた。結着樹脂
としては、ポリカーボネートを使用し、これらの材料を
所定量のジクロロメタンにボールミルで混合分散し、単
層型感光層塗布液を調製した。ついで、この塗布液をア
ルミニウム箔上にワイヤーバーにて塗布した後、100
℃で60分間熱風乾燥して、膜厚15〜20μmの単層
型電子写真用有機感光体を作製した。
【0046】 (成分) (重量部) 電荷発生剤 1 正孔輸送剤 60 電子輸送剤 40 結着樹脂 100 比較例1 電子輸送剤を含有しないほかは、実施例1〜5と同様に
して単層型電子写真用有機感光体を作製した。 比較例2 電子輸送剤として上記Dの化合物を使用したほかは、実
施例1〜5と同様にして単層型電子写真用有機感光体を
作製した。 実施例6(積層型感光体) 電荷発生剤として前記Iの化合物を250重量部、結着
樹脂としてポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業社
製の「S−lecBH−5H」)を100重量部および
溶剤としてテトラヒドロフラン150重量部をボールミ
ルで混合分散し、電荷発生層用塗布液を調製した。この
塗布液をアルマイト加工を施したアルミニウムシリンダ
上に塗布した後、100℃で60分間熱風乾燥すること
により、膜厚約1μmの電荷発生層を形成した。
【0047】一方、電子輸送剤として前記Aの化合物を
100重量部、結着樹脂としてポリカーボネート樹脂1
00重量部および溶剤としてトルエン460重量部をボ
ールミルで混合分散し、電荷輸送層用塗布液を調製し
た。この塗布液を前記電荷発生層上に塗布した後、10
0℃で60分間熱風乾燥することにより、膜厚20μm
の電荷輸送層を形成し、正帯電型の積層感光体を作製し
た。 比較例3(積層型感光体) 電荷輸送剤として前記Dのジフェノキノン系化合物を使
用したほかは実施例6と同様にして積層感光体を作製し
た。 (電子写真用有機感光体の評価方法)静電複写試験装置
(川口電機社製のEPA−8100)を用いて、各実施
例および比較例で得た感光体に印加電圧を加えて、正に
帯電させ、光源として白色ハロゲン光を用いて電子写真
特性を測定した。その結果を表2に示す。
【0048】表中のV1は電圧を印加して感光体を帯電
させたときの感光体の初期表面電位を示し、V2は露光
開始後0.8秒経過後の表面電位を残留電位として測定
したものである。また、E1/2は初期表面電位V1が
1/2に減衰した時の半減露光量である。
【0049】
【表2】
【0050】表2から、実施例の電子写真用有機感光体
は、電子輸送性に優れた特定の電子輸送剤を含有するこ
とにより、残留電位が低下していることから、高い感度
を有していることがわかる。
【0051】
【発明の効果】本発明の電子写真用有機感光体は、電子
輸送性に優れた特定の電子輸送剤を使用することによ
り、残留電位が著しく低下し、帯電に対して高い感度を
有するという効果がある。従って、本発明の感光体を使
用すると、複写機やプリンター等の高速化を図ることが
できる。
【0052】また、正孔輸送剤および電荷発生剤とし
て、イオン化ポテンシャルが5.0〜5.6eVの範囲
のものをそれぞれ使用することにより、より一層残留電
位が低下し、感度の向上した感光体が得られる。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】導電性基体上に有機感光層を設けた電子写
    真用有機感光体であって、前記有機感光層が、結着樹脂
    中に、少なくとも電荷発生剤および下記一般式(1) で表
    される電子輸送剤を含有したことを特徴とする電子写真
    用有機感光体。 【化1】 (式中、R1 およびR2 は、同一または異なって、アル
    キル基、アラルキル基または置換基を有していてもよい
    アリール基を示す。)
  2. 【請求項2】前記電荷発生剤が5.0〜5.6eVのイ
    オン化ポテンシャルを有する請求項1記載の電子写真用
    有機感光体。
  3. 【請求項3】前記電荷発生剤が、結着樹脂100重量部
    に対して0.5〜10重量部の割合で添加された請求項
    1記載の電子写真用有機感光体。
  4. 【請求項4】前記電荷発生剤がフタロシアニン顔料であ
    る請求項1記載の電子写真用有機感光体。
  5. 【請求項5】前記有機感光層がイオン化ポテンシャルが
    5.0〜5.6eVの正孔輸送剤を含有した請求項1記
    載の電子写真用有機感光体。
  6. 【請求項6】前記正孔輸送剤がアルキル置換トリフェニ
    ルジアミン誘導体である請求項5記載の電子写真用有機
    感光体。
  7. 【請求項7】前記正孔輸送剤が電界強度3×105 V/
    cmで1×10-6cm2 /V・秒以上の正孔移動度を有
    する請求項5記載の電子写真用有機感光体。
  8. 【請求項8】前記電子輸送剤が結着樹脂100重量部に
    対して5〜200重量部の割合で添加される請求項1記
    載の電子写真感光体。
  9. 【請求項9】立体障害性フェノール系酸化防止剤を結着
    樹脂100重量部に対して0.1〜50重量部の割合で
    添加する請求項1記載の電子写真用有機感光体。
  10. 【請求項10】前記有機感光層が5〜50μmの厚さを
    有する単層型感光層である請求項1記載の電子写真用有
    機感光体。
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