JP3571099B2 - 電子写真感光体 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、静電式複写機、レーザープリンタ、普通紙ファクシミリ装置等の画像形成装置に使用される、電子写真感光体に関するものである。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
複写機等の画像形成装置においては、当該画像形成装置の光源の波長領域に感度を有する有機感光体(OPC)が多く使用されている。
有機感光体としては、電荷発生層と電荷輸送層とを積層した積層型の感光体が多いが、電荷発生剤と電荷輸送剤とを同一の層中に分散させた単層型の有機感光体も知られている。
【0003】
これらの感光体に使用される電荷輸送剤としては、キャリヤ移動度の高いものが要求されているが、キャリヤ移動度の高い電荷輸送剤は殆どが正孔輸送性であるため、実用に供されている感光体は、機械的強度面から最外層に電荷輸送層を設けた負帯電型の積層型有機感光体に限られている。しかしながら、負帯電型の有機感光体では、負極性コロナ放電を利用するため、オゾンの発生量が多く、発生したオゾンが環境を汚染したり、あるいは感光体を劣化させたりするなどの問題があった。
【0004】
そこでこのような欠点を排除するために、電荷輸送剤として電子輸送剤を使用することが検討されており、特開平1−206349号公報には、ジフェノキノン構造を有する化合物を電子写真感光体用の電子輸送剤として使用することが提案されている。
しかしながら、ジフェノキノン類等の電子輸送剤は一般に、結着樹脂との相溶性に乏しく、ホッピング距離が長くなるため、低電界での電子移動が生じにくい。そのため、電子写真感光体の残留電位がかなり高くなり、光感度が十分でなかった。
【0005】
また、有機感光体を単層の分散型で使用できれば、感光体の製造が容易になり、被膜欠陥の発生を防止し、光学的特性を向上させる上でも多くの利点があり、しかもこのような単層型の有機感光体は、1つの感光体を正帯電および負帯電の両方に用いることが可能で、感光体の応用範囲を広げることができるが、電子輸送剤であるジフェノキノンと正孔輸送剤との相互作用により、電子および正孔の輸送が阻害されるという問題があるため、未だ実用化されるに至っていない。
【0006】
この発明の主たる目的は、上述の技術的課題を解決し、電荷発生剤からの電子の注入と輸送がスムーズに行われ、従来に比べて感度が向上した電子写真感光体を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段および作用】
特開平5−165232号公報には、一般式(2) :
【0008】
【化2】
【0009】
〔式中Ra およびRb は同一または異なって、アルキル基、アリール基またはアラルキル基が置換したオキシカルボニル基、アルキル基、アルコキシ基、水酸基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子または水素原子を示す。〕
で表されるチオキサンテン誘導体を、電子輸送剤として使用した電子写真感光体が開示されている。
【0010】
上記チオキサンテン誘導体はそれ自体、結着樹脂との相溶性にすぐるため、とくに低電界での電子輸送能にすぐれており、しかも正孔輸送剤が共存する系では、当該正孔輸送剤と相互作用を生じない、つまり、電子および正孔の輸送の妨げとなる電荷移動錯体を形成しないものである。
しかし上記先願公報に開示された電子写真感光体は、チオキサンテン誘導体の、上記のようなすぐれた特性が十分に活かされておらず、感度の点で十分なものとは言えなかった。
【0011】
この原因について発明者らが検討したところ、上記チオキサンテン誘導体は、電荷発生剤とのマッチングが困難であるため、電荷発生剤から電子輸送剤への電子注入が不十分であり、そのため感光体の光感度が低下することがわかった。
つまり、電荷発生剤への光照射によって発生した電子・正孔対のうち電子が、電子輸送剤であるチオキサンテン誘導体に効率よく注入されないため、正孔と再結合して消失してしまう割合が大きく、その結果、感光体の光感度が不十分になるのである。
【0012】
そこで発明者らは、上記チオキサンテン誘導体の中から、とくに低電界での電子輸送能にすぐれ、かつ正孔輸送剤と相互作用を生じない構造を特定するとともに、かかる特定構造のチオキサンテン誘導体への、電荷発生剤からの電子の注入をより円滑に行うことのできる、感光体の組成についてさらに検討した。
その結果、チオキサンテン誘導体としては、一般式(1) :
【0013】
【化3】
【0014】
〔式中R1 はアルキル基またはアラルキル基を示す。〕
で表される構造が望ましいこと、そして上記特定構造のチオキサンテン誘導体を、酸化還元電位が−0.8〜−1.1Vの電子受容性化合物と併用すると、当該電子受容性化合物が、電荷発生剤から電子を引き抜いてチオキサンテン誘導体に伝達する働きをするため、電荷発生剤からチオキサンテン誘導体への電子の注入が円滑になり、感光体の光感度が向上することを見出し、この発明を完成するに至った。
【0015】
すなわちこの発明の電子写真感光体は、導電性基体上に、電子輸送剤である上記一般式(1) で表されるチオキサンテン誘導体と、酸化還元電位が−0.8〜−1.1Vの電子受容性化合物とを含む感光層を設けたことを特徴としている。
以下にこの発明を説明する。
一般式(1) において基R1 に相当するアルキル基としては、たとえばメチル、エチル、ノルマルプロピル、イソプロピル、ノルマルブチル、第2級ブチル、第3級ブチル、ペンチル、ヘキシル等の、炭素数1〜6のアルキル基があげられる。
【0016】
またアラルキル基としては、たとえばベンジル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、フェネチル基等があげられる。
かかるチオキサンテン誘導体(1) の具体的化合物としては、これに限定されないが、たとえば式(1−1) で表される化合物があげられる。
【0017】
【化4】
【0018】
上記チオキサンテン誘導体(1) と併用される、酸化還元電位が−0.8〜−1.1Vである電子受容性化合物は、そのLUMO〔Lowest Unoccupied Molecular Orbital 、基底空分子軌道〕のエネルギー凖位が、電荷発生剤のそれよりも低いため、光照射による電荷発生剤での電子・正孔対の生成の際に、電荷発生剤から電子を引き抜く働きをする。このため、電荷発生剤中での、電子と正孔の再結合による消失の割合が減少して、電荷発生効率が向上する。また、上記電子受容性化合物は、電荷発生剤から引き抜いた電子を、電子輸送剤であるチオキサンテン誘導体に効率よく伝達する働きもする。このため、上記両者の併用系では、電荷発生剤からの電子の注入と輸送がスムーズに行われ、従来に比べて感光体の感度が向上する。
【0019】
電子受容性化合物の酸化還元電位が上記範囲内に限定されるのは、以下の理由による。
すなわち、酸化還元電位が−0.8Vよりも大きい電子受容性化合物は、トラップ−脱トラップを繰り返しながら移動する電子を、脱トラップ不可能なレベルに落とし込み、キャリヤトラップを生じるために電子輸送の妨げとなり、その結果、感光体の感度が低下する。
【0020】
また逆に、酸化還元電位が−1.1Vより小さい電子受容性化合物の場合は、LUMOのエネルギー準位が電荷発生剤よりも高くなり、電子・正孔対の生成の際に、電子が電子受容性化合物に移動しないため、電荷発生効率の向上に繋がらず、やはり感光体の感度が低下してしまう。
なお、上記電子受容性化合物の酸化還元電位は、感光体の感度を考慮すると、上記範囲内でもとくに、−0.85〜−1.00Vであるのが好ましい。
【0021】
酸化還元電位の測定は、たとえば以下の材料を用い、3電極式のサイクリックボルターメトリーにして行う。
以上の材料を調合して測定溶液を調製する。
【0022】
そして図1に示すように、索引電圧(V)と電流(μA)との関係を求めて、同図に示すE1 とE2 とを測定し、以下の計算式により酸化還元電位を求める。
酸化還元電位=(E1 +E2 )/2 (V)
かかる電子受容性化合物としては、電子受容性を有し、かつその酸化還元電位が−0.8〜−1.1Vの範囲内である化合物であればとくに制限はなく、たとえばベンゾキノン系化合物、ナフトキノン系化合物、アントラキノン系化合物、ジフェノキノン系化合物、マロノニトリル系化合物、チオピラン系化合物、2,4,8−トリニトロチオキサントン、3,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン系化合物、ジニトロアントラセン、ジニトロアクリジン、ニトロアントラキノン、ジニトロアントラキノン等の電子受容性化合物の中から、酸化還元電位が前記の範囲内である化合物が、選択して使用される。
【0023】
中でも、一般式(3) :
【0024】
【化5】
【0025】
〔式中R2 ,R3 ,R4 およびR5 は、同一または異なって、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アラルキル基、シクロアルキル基、置換基を有していてもよいアミノ基を示す。〕
で表されるベンゾキノン系化合物、および一般式(4) :
【0026】
【化6】
【0027】
〔式中R6 ,R7 ,R8 およびR9 は、同一または異なって、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アラルキル基、シクロアルキル基、置換基を有していてもよいアミノ基を示す。〕
で表されるジフェノキノン系化合物に属し、かつ酸化還元電位が前記の範囲内である化合物が好適に使用される。
【0028】
なお、上記両式中のアルキル基、アラルキル基としては、前記と同様の基があげられる。またアルコキシ基としては、たとえばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ基などの、炭素数1〜6のアルコキシ基があげられ、アリール基としては、たとえばフェニル基、ナフチル基などがあげられる。さらにシクロアルキル基としては、たとえばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどの、炭素数3〜6のシクロアルキル基があげられる。また、置換基を有していてもよいアミノ基としては、たとえばアミノ基のほか、モノメチルアミノ、ジメチルアミノ、モノエチルアミノ、ジエチルアミノ基などがあげられる。
【0029】
ベンゾキノン系化合物の具体例としては、これに限定されないがたとえば、式(3−1) :
【0030】
【化7】
【0031】
で表されるp−ベンゾキノン(酸化還元電位−0.81V)などがあげられる。またジフェノキノン系化合物の具体例としては、これに限定されないがたとえば、式(4−1) で表される3,5−ジメチル−3′,5′−ジt−ブチル−4,4′−ジフェノキノン(酸化還元電位−0.86V)や、式(4−2) で表される3,5,3′,5′−テトラキス(t−ブチル)−4,4′−ジフェノキノン(酸化還元電位−0.94V)などがあげられる。
【0032】
【化8】
【0033】
これらの電子受容性化合物は、それぞれ単独で使用できる他、二種以上を併用することもできる。
上記電子受容性化合物と、前記一般式(1) で表されるチオキサンテン誘導体とを含む感光層には、いわゆる単層型のもの積層型のものとがあり、この発明はこのいずれにも適用可能であるが、前述したような、電荷発生剤とチオキサンテン誘導体と電子受容性化合物との相互作用は、とくに単層型の感光層において顕著である。
またこの発明の構成は、正帯電型および負帯電型のいずれにも適用できるが、前述したオゾン発生の抑制を考慮すると、正帯電型で使用するのが好ましい。
【0034】
正帯電型感光体においては、露光工程において電荷発生剤から放出された電子が、電子受容性化合物の作用によって、電子輸送剤としてのチオキサンテン誘導体にスムーズに注入され、ついで、チオキサンテン誘導体間での授受により感光層の表面に移動して、あらかじめ感光層表面に帯電させた正電荷(+)を打ち消す。一方、正孔(+)は正孔輸送剤に注入されて、途中でトラップされることなく、導電性基体に移動し、あらかじめ導電性基体に印加した負電荷(−)により打ち消される。このようにして、正帯電型の感光体の感度が向上するものと考えられる。
【0035】
正孔輸送剤としては、従来公知の正孔輸送物質が使用され、たとえばジアミン系化合物、2,5−ジ(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン等のスチリル系化合物、ポリビニルカルバゾール等のカルバゾール系化合物、有機ポリシラン化合物、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン等のピラゾリン系化合物、ヒドラゾン系化合物、トリフェニルアミン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、トリアゾール系化合物等の含窒素環式化合物、縮合多環式化合物等があげられる。
【0036】
これらの正孔輸送剤は、1種または2種以上混合して用いられる。また、ポリビニルカルバゾール等の成膜性を有する正孔輸送剤を用いる場合には、結着樹脂は必ずしも必要でない。
上記正孔輸送剤の中でもとくに、イオン化電位が5.0〜5.6eVのものが好ましく使用される。また、電界強度3×105 V/cmで1×10−6cm2 /V・秒以上の移動度を有するものがとくに好ましい。
【0037】
上記の条件を満たす、この発明に好適な正孔輸送剤としては、これに限定されないが、たとえばN,N,N′,N′−テトラキス(p−メチルフェニル)−3,3′−ジメチルベンジジン、1,1−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)−4,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、N−エチル−3−カルバゾリルアルデヒドジフェニルヒドラゾン、p−N,N−ジエチルベンズアルデヒドジフェニルヒドラゾン、4−〔N,N−ビス(p−トルイル)アミノ〕−β−フェニルスチルベン等があげられる。
【0038】
前記イオン化電位の値は、大気下光電子分析装置(理研計器(株)製のAC−1)を用いて測定したものである。
この発明においては、イオン化電位が前記範囲内にある正孔輸送剤を用いることによって、より一層残留電位を低下させ、感度を向上させるとができる。その理由は必ずしも明らかではないが、以下のように考えられる。
【0039】
すなわち、電荷発生剤から正孔輸送剤への電荷の注入のし易さは、正孔輸送剤のイオン化電位と密接に関係しており、正孔輸送剤のイオン化電位が前記範囲よりも大きい場合には、電荷発生剤から正孔輸送剤への電荷の注入の程度が低くなるか、あるいは正孔輸送剤間での正孔の授受の程度が低くなるため、感度の低下が生じるものと認められる。
【0040】
一方、正孔輸送剤と電子輸送剤とが共存する系では、前述したように両者の間の相互作用、つまり電荷移動錯体の形成に注意する必要がある。両者の間にこのような錯体が形成されると、正孔と電子との間に再結合が生じ、全体として電荷の移動度が低下する。正孔輸送剤のイオン化電位が前記範囲よりも小さい場合には、電子輸送剤との間に錯体を形成する傾向が大きくなり、電子−正孔の再結合が生じるために、見掛けの量子収率が低下し、感度の低下に結びつくものと思われる。
【0041】
したがって、正孔輸送剤のイオン化電位は、前記範囲内にあるのが好ましい。電荷発生剤としては、たとえばセレン、セレン−テルル、アモルファスシリコン、ピリリウム塩、アゾ系顔料、ジスアゾ系顔料、アンサンスロン系顔料、フタロシアニン系顔料、ナフタロシアニン系顔料、インジゴ系顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料、キナクリドン系顔料、ジチオケトピロロピロール系顔料等があげられる。これらの電荷発生剤は、所望の領域に吸収波長を有するように、一種または二種以上を混合して用いることができる。
【0042】
上記電荷発生剤としては、正孔輸送剤としてイオン化電位が5.0〜5.6eVのものを使用することに関連して、正孔輸送剤とバランスしたイオン化電位を有するもの、具体的にはイオン化電位が5.0〜5.6eV、とくに5.32〜5.38eVの範囲にあるものを用いるのが残留電位の低減、感度の向上の上で望ましい。
【0043】
上記の各成分を分散させるための結着樹脂としては、従来より有機感光層に使用されている種々の樹脂を使用することができ、たとえばスチレン系重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、アイオノマー、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、アルキド樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂や、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、その他架橋性の熱硬化性樹脂、さらにエポキシアクリレート、ウレタン−アクリレート等の光硬化性樹脂等があげられる。これらの結着樹脂は1種または2種以上を混合して用いることができる。好適な樹脂は、スチレン系重合体、アクリル系重合体、スチレン−アクリル系共重合体、ポリエステル、アルキド樹脂、ポリカーボネート、ポリアリレート等である。
【0044】
また感光層には、電子写真特性に悪影響を与えない範囲で、それ自体公知の種々の添加剤、たとえば酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、一重項クエンチャー、紫外線吸収剤等の劣化防止剤、軟化剤、可塑剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、アクセプター、ドナー等を配合することができる。これら添加剤の配合量は、従来と同程度でよい。たとえば立体障害性フェノール系酸化防止剤は、結着樹脂100重量部に対して0.1〜50重量部程度の割合で配合するのがよい。
【0045】
また、感光層の感度を向上させるために、たとえばターフェニル、ハロナフトキノン類、アセナフチレン等の公知の増感剤を電荷発生剤と併用してもよい。
また、電子輸送剤であるチオキサンテン誘導体とともに、従来公知の他の電子輸送剤を感光層に含有させてもよい。このような電子輸送剤としては、たとえばベンゾキノン系、ジフェノキノン系、マロノニトリル、チオピラン系化合物、テトラシアノエチレン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、3,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン系化合物、ジニトロベンゼン、ジニトロアントラセン、ジニトロアクリジン、ニトロアントラキノン、ジニトロアントラキノン、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロモ無水マレイン酸等があげられる。
【0046】
上記各成分を含む感光層が形成される導電性基体としては、導電性を有する種々の材料を使用することができ、たとえばアルミニウム、銅、スズ、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、真鍮等の金属単体や、上記金属が蒸着またはラミネートされたプラスチック材料、ヨウ化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で被覆されたガラス等が例示される。
【0047】
導電性基体はシート状、ドラム状等の何れであってもよく、基体自体が導電性を有するか、あるいは基体の表面が導電性を有していればよい。また、導電性基体は、使用に際して、充分な機械的強度を有するものが好ましい。
単層型の感光層は、前記した各成分を含む塗布液を導電性基体上に塗布し、乾燥して製造される。
【0048】
単層型感光体において、電荷発生剤は結着樹脂100重量部に対して0.5〜10重量部、とくに0.5〜5重量部の割合で感光層に配合するのがよい。
正孔輸送剤は、結着樹脂100重量部に対して5〜100重量部、とくに50〜80重量部の割合で感光層中に配合するのがよい。
電子輸送剤は結着樹脂100重量部に対して5〜100重量部、とくに10〜80重量部の割合で感光層に配合するのがよい。電子輸送剤の配合量は、当該電子輸送剤として、一般式(1) で表されるチオキサンテン誘導体のみを単独で使用する場合は、当該誘導体の配合量であり、上記チオキサンテン誘導体と、他の電子輸送剤とを併用する場合は、各電子輸送剤の合計の配合量である。
【0049】
さらに電子受容性化合物は結着樹脂100重量部に対して0.1〜40重量部、好ましくは0.5〜20重量部の割合で感光層中に配合するのがよい。
単層型の感光層の厚さは5〜50μm、とくに10〜40μm程度であるのが好ましい。
また、積層型の感光層を得るには、導電性基体上に、電荷発生剤を蒸着させて電荷発生層を形成するか、塗布等の手段により、電荷発生剤と結着樹脂と要すれば正孔輸送剤とを含有する電荷発生層を形成し、この電荷発生層上に、電子輸送剤であるチオキサンテン誘導体と結着樹脂とを含有する電荷輸送層を形成すればよい。また、上記とは逆に、導電性基体上に電荷輸送層を形成し、次いで電荷発生層を形成してもよい。
【0050】
電子受容性化合物は、上記いずれの層に配合してもよいが、前述した電荷発生剤からの電子の引き抜き効果を考慮すると、電荷発生層中に配合するのが好ましい。また、電荷発生層、電荷輸送層の両方に、電子受容性化合物を配合してもよい。
積層感光体において、電荷発生層を構成する電荷発生剤と結着樹脂とは、種々の割合で使用することができるが、結着樹脂100重量部に対して、電荷発生剤5〜1000重量部、とくに30〜500重量部の割合で用いるのが好ましい。
【0051】
また、電荷発生層に電子受容性化合物を含有させる場合は、結着樹脂100重量部に対して0.1〜40重量部、好ましくは0.5〜20重量部の割合で配合するのがよい。
また電荷輸送層を構成する電子輸送剤と結着樹脂とは、電子の輸送を阻害しない範囲および結晶化しない範囲で、種々の割合で使用することができるが、光照射により電荷発生層で生じた電子が容易に輸送できるように、結着樹脂100重量部に対して、電子輸送剤10〜500重量部、とくに25〜200重量部の割合で用いるのが好ましい。電子輸送剤の配合量は、前記と同様に、当該電子輸送剤として、一般式(1) で表されるチオキサンテン誘導体のみを単独で使用する場合は、当該誘導体の配合量であり、上記チオキサンテン誘導体と、他の電子輸送剤とを併用する場合は、各電子輸送剤の合計の配合量である。
【0052】
また、電荷輸送層に電子受容性化合物を含有させる場合は、結着樹脂100重量部に対して0.1〜40重量部、好ましくは0.5〜20重量部の割合で配合するのがよい。
積層型の感光層の厚さは、電荷発生層が0.01〜5μm程度、とくに0.1〜3μm程度に形成されるのが好ましく、電荷輸送層が2〜100μm、とくに5〜50μm程度に形成されるのが好ましい。
【0053】
単層型感光体においては、導電性基体と感光層との間に、また積層型感光体においては、導電性基体と電荷発生層との間に、または導電性基体と電荷輸送層との間に、感光体の特性を阻害しない範囲でバリア層が形成されていてもよい。また、感光層の表面には、保護層が形成されていてもよい。
上記感光層を塗布の方法により形成する場合には、前記例示の電荷発生剤、電荷輸送剤、結着樹脂等を、適当な溶剤とともに、公知の方法、たとえば、ロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシェーカーあるいは超音波分散器等を用いて分散混合して分散液を調製し、これを公知の手段により塗布、乾燥すればよい。
【0054】
分散液をつくるための溶剤としては、種々の有機溶剤が使用可能であり、たとえばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類、n−ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族系炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル類、ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等があげられる。これらの溶剤は1種又は2種以上を混合して用いることができる。
【0055】
さらに、電荷輸送剤や電荷発生剤の分散性、感光層表面の平滑性をよくするために界面活性剤、レベリング剤等を使用してもよい。
【0056】
【実施例】
以下、実施例、比較例をあげてこの発明を説明する。
《単層型感光体》
実施例1
電荷発生剤である、Ip=5.38eVのX型メタルフリーフタロシアニン(Xφ)5重量部と、電子輸送剤である、前記式(1−1) で表されるチオキサンテン誘導体30重量部と、電子受容性化合物である、前記式(3−1) で表されるp−ベンゾキノン(酸化還元電位−0.81V)10重量部と、正孔輸送剤である、式(5) :
【0057】
【化9】
【0058】
で表されるN,N,N′,N′−テトラキス(p−メチルフェニル)−3,3′−ジメチルベンジジン(Ip=5.56eV)50重量部と、結着樹脂であるポリカーボネート100重量部とを、溶媒である800重量部のテトラヒドロフランとともにボールミルにて50時間、混合、分散させて単層型感光層塗布液を調製した。ついでこの塗布液を、導電性基材であるアルミニウム素管の表面に、ディップコート法にて塗布し、100℃で60分間、熱風乾燥して、膜厚15〜20μmの単層型感光層を有する電子写真感光体を作製した。
実施例2
電子受容性化合物として、前記式(4−1) で表される3,5−ジメチル−3′,5′−ジt−ブチル−4,4′−ジフェノキノン(酸化還元電位−0.86V)10重量部を使用したほかは、実施例1と同様にして、単層型感光層を有する電子写真感光体を作製した。
実施例3
電子受容性化合物として、前記式(4−2) で表される3,5,3′,5′−テトラキス(t−ブチル)−4,4′−ジフェノキノン(酸化還元電位−0.94V)10重量部を使用したほかは、実施例1と同様にして、単層型感光層を有する電子写真感光体を作製した。
実施例4
電荷発生剤として、Ip=5.32eVのオキソチタニルフタロシアニン(Tiφ)5重量部を使用したほかは、実施例3と同様にして、単層型感光層を有する電子写真感光体を作製した。
実施例5
電子受容性化合物である、前記式(4−2) で表される3,5,3′,5′−テトラキス(t−ブチル)−4,4′−ジフェノキノン(酸化還元電位−0.94V)の配合量を25重量部としたこと以外は、実施例3と同様にして、単層型感光層を有する電子写真感光体を作製した。
比較例1
電子受容性化合物として、式(3−2) :
【0059】
【化10】
【0060】
で表される2,5−ジクロロ−p−ベンゾキノン(酸化還元電位−0.51V)10重量部を使用したほかは、実施例1と同様にして、単層型感光層を有する電子写真感光体を作製した。
比較例2
電子受容性化合物を配合しないほかは、実施例1と同様にして、単層型感光層を有する電子写真感光体を作製した。
比較例3
電荷発生剤として、Ip=5.32eVのオキソチタニルフタロシアニン(Tiφ)5重量部を使用したほかは、比較例2と同様にして、単層型感光層を有する電子写真感光体を作製した。
《積層型感光体》
実施例6
電荷発生剤であるXφ2重量部と、電子受容性化合物である、前記式(4−2) で表される3,5,3′,5′−テトラキス(t−ブチル)−4,4′−ジフェノキノン(酸化還元電位−0.94V)0.05重量部と、結着樹脂であるポリビニルブチラール1重量部とを、120重量部のジクロロメタンとともにボールミルで混合分散して、電荷発生層用塗布液を調製した。そしてこの塗布液を、導電性基材であるアルミニウム素管の表面に、ディップコート法にて塗布し、100℃で60分間、熱風乾燥して、膜厚0.5μmの電荷発生層を形成した。
【0061】
つぎに、電子輸送剤である、前記式(1−1) で表されるチオキサンテン誘導体80重量部と、結着樹脂であるポリカーボネート100重量部とを、800重量部のベンゼンとともにボールミルで混合分散して、電荷輸送層用塗布液を調製した。そしてこの塗布液を、上記電荷発生層上に、ディップコート法にて塗布し、90℃で60分間、熱風乾燥して、膜厚15μmの電荷輸送層を形成することにより、積層型感光層を有する電子写真感光体を作製した。
比較例4
電荷発生層用塗布液に電子受容性化合物を配合しないほかは、実施例6と同様にして、積層型感光層を有する電子写真感光体を作製した。
【0062】
上記各実施例、比較例の感光体について、下記の光感度試験を行い、その特性を評価した。
光感度試験
ジェンテック(GENTEC)社製のドラム感度試験機を用いて、各実施例、比較例の感光体の表面に印加電圧を加えて、その表面を+700Vに帯電させた。そして、上記試験機の露光光源であるハロゲンランプの白色光から、バンドパスフィルターを用いて取り出した、波長780nm(半値幅20nm)、光強度16μW/cm2 の単色光を、上記帯電状態の感光体の表面に照射(照射時間80msec.)して、露光開始から330msec.経過した時点での表面電位を、露光後電位VL (V)として測定した。露光後電位VL (V)が小さいほど、感光体は高感度である。
【0063】
結果を表1に示す。
【0064】
【表1】
【0065】
【発明の効果】
この発明の電子写真感光体は、電子輸送剤としての特性にすぐれたチオキサンテン誘導体を、特定の酸化還元電位を有し、電荷発生剤からの電子の引き抜き効果等にすぐれた電子受容性化合物とともに含有する感光層を備えるため高感度である。よってこの発明の電子写真感光体を使用すると、静電式複写機やレーザープリンタ、あるいは普通紙ファクシミリ装置等の画像形成装置の高速化を図ることができるという特有の作用効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】電子受容性化合物の酸化還元電位を求めるための、牽引電圧(V)と電流(μA)との関係を示すグラフである。
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