JP2722640B2 - エンジン吸気系における故障診断装置 - Google Patents

エンジン吸気系における故障診断装置

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JP2722640B2
JP2722640B2 JP8734389A JP8734389A JP2722640B2 JP 2722640 B2 JP2722640 B2 JP 2722640B2 JP 8734389 A JP8734389 A JP 8734389A JP 8734389 A JP8734389 A JP 8734389A JP 2722640 B2 JP2722640 B2 JP 2722640B2
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  • Control Of Vehicle Engines Or Engines For Specific Uses (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 [発明の目的] (産業上の利用分野) 本発明は、特に、自動車用エンジンの吸気管内に設け
られたスロットル弁を電動アクチュエータ等の駆動手段
により開閉制御するエンジン吸気系において、上記スロ
ットル弁の開度を検出するスロットル開度センサの故障
判定を行なうエンジン吸気系における故障診断装置に関
する。
(従来の技術) 一般に、自動車において、エンジン出力を制御するに
は、吸気管に設けられたスロットル弁を開閉させて、シ
リンダに対する吸入空気量や燃料量を可変することが知
られている。
ここで、上記吸気管におけるスロットル弁システムと
しては、アクセルペダルの踏込み操作に連動してスロッ
トル弁が開閉される機械式スロットルシステムの他に、
アクセルペダルの踏込み量を基本にして目標とするスロ
ットル開度を設定し、この目標スロットル開度に応じて
スロットル弁の開度を自動制御する電動式スロットルシ
ステムが実用化されている。この電動式スロットルシス
テムでは、スロットル開度を検出するスロットル開度セ
ンサを備え、このスロットル開度センサにより検出され
る実測のスロットル開度と上記目標とするスロットル開
度との偏差が求められ、この開度偏差が“0"になるよう
に電動アクチュエータを制御することでスロットル開度
が該目標スロットル開度に調整される。
このような電動式スロットルシステムでは、スロット
ル開度センサが故障すると、目標スロットル開度に対す
る実測スロットル開度のフィードバック制御ができなく
なるため、該スロットル開度センサが正常に作動してい
るか否かを常に監視する必要がある。
そこで、従来、上記スロットル開度センサの故障判定
手段として、スロットル弁の全開/全閉位置をスイッ
チにより検出してその全開/全閉位置でのセンサ出力電
圧が妥当であるか否かを判断する手段、スロットル開
度センサによる検出開度と吸気流量計により得られる吸
気流量から推定したスロットル開度とを比較判断する手
段、が考えられている。
(発明が解決しようとする課題) しかしながら、上記に示す故障判断手段では、スロ
ットル弁が全開/全閉位置に達した状態でしか故障判定
を行なえないため、運転中連続的な故障判定ができない
という問題がある。また、上記に示す故障判定手段で
は、空気流量計との2者の比較判断手段であるため、該
吸気流量計自身に異常が生じるという誤判定を招くこと
になる。
本発明は上記課題に鑑みなされたもので、スロットル
弁の全開/全閉位置に拘らず、信頼性の高いスロットル
開度センサの故障検出を運転中連続的に行なうことが可
能になるエンジン吸気系における故障診断装置に提供す
ることを目的とする。
[発明の構成] (課題を解決するための手段及び作用) すなわち本発明に係わるエンジン吸気系における故障
診断装置は、吸気管の吸気流路に設けられ駆動手段によ
り開閉動作して吸入空気量を調節するスロットル弁と、
このスロットル弁の開度を検出するスロットル開度セン
サと、上記スロットル弁駆動手段の動作情報を記憶する
メモリと、上記吸気管の吸入空気量を検出するエアフロ
ーセンサと、このエアフローセンサにより検出された吸
入空気量に基づき上記スロットル弁の開度を推定するス
ロットル開度推定手段と、上記スロットル開度センサに
より検出されたスロットル開度と上記スロットル弁駆動
手段の動作情報に基づくスロットル開度と上記スロット
ル開度推定手段により推定されたスロットル開度との3
つのスロットル開度判断手段により得られるスロットル
開度を比較する比較手段と、この比較手段により比較さ
れる3つのスロットル開度のうち1つのスロットル開度
が他の2つのスロットル開度と所定の許容値を上回る開
度差で異なる場合には該異なる1つのスロットル開度を
示すスロットル開度判断手段を故障として判定する故障
判定手段とを備えて構成したものである。
(実施例) 以下、図面を参照して本発明を車両の加速スリップ防
止装置に実施した場合について説明する。
第1図(A)は車両の加速スリップ防止装置を示す構
成図である。
同図は前輪駆動車を示しているもので、WFRは前輪右
側車輪、WFLは前輪左側車輪、WRRは後輪右側車輪、W
RLは後輪左側車輪を示している。また、10はアクセルぺ
ダルの踏込み開度を検出するアクセルポジションセンサ
であり、このアクセスポジションセンサ10により検出さ
れたアクセル開度θACはトラクションコントローラ15に
入力される。そして、11は前輪右側車輪(駆動輪)WFR
の車輪速度VFRを検出する車輪速度センサ、12は前輪左
側車輪(駆動輪)WFLの車輪速度VELを検出する車輪速
度センサ、13は後輪右側車輪(従動輪)WRRの車輪速度
VRRを検出する車輪速度センサ、14は後輪左側車輪(従
動輪)WRLの車輪速度VRLを検出する車輪速度センサで
ある。上記車輪速度センサ11〜14で検出された車輪速度
VFR,VFL,VRR,VRLはトラクションコントローラ15に入力
される。このトラクションコントローラ15はエンジン16
に制御信号を送ってエンジン出力の制御を行なうと共
に、加速時の駆動輪のスリップを防止する制御を行なっ
ている。
第1図(B)は上記エンジン16における吸気系を示す
もので、同図において、21はエアクリーナ、22は吸気
管、22aはタージタンクであり、吸気管22には、上記ト
ラクションコントローラ15からの制御信号DMによりその
開度θmが制御されるスロットル弁THm23が設けられ
る。つまり、エアクリーナ21を介して導入された吸入空
気は、スロットル弁THm23を介してサージタンク22aから
吸気弁側に吸入されるもので、上記スロットル弁THm23
の開度θmをトラクションコントロール15からの制御信
号DMにより、モータ駆動回路25とそのモータ24を介して
制御しエンジン16の駆動力を制御している。ここで、上
記モータ24には、例えば1ステップに付き一定角度回動
するステップモータを使用するもので、このモータの動
作角に対応するステップデータは、モータ駆動回路25内
のメモリ25aに対しリアルタイムで記憶される。この場
合、モータ24を正転させれば、スロットル弁THm23は開
方向に回動してステップデータは(+)方向に変化し、
また、モータ24を逆転させれば、スロットル弁THm23は
閉方向に回動してステップデータは(−)方向に変化す
ることになる。ここで、スロットル弁THm23の開度θm
は、スロットルポジションセンサ(TPS)26により検出
される。また、スロットル弁THm23にはその全閉状態、
つまりエンジン16のアイドリング状態を検出するスロッ
トルアイドルSW27が設けられる。さらに、上記エアクリ
ーナ21の下流にはエンジン1回転当たりの吸入空気量を
検出するためのエアフローセンサ(AFS)28が設けら
れ、また、上記サージタンク22aには吸気弁から燃焼室
に燃料混合気が流れ込む際の管内負圧(ブースト圧)を
検出する負圧センサ29が設けられる。これら各センサ2
6,28,29及びSW27からの出力信号は、何れも上記トラク
ションコントローラ15に与えられる。
一方、第1図(A)において、17は前輪右側車輪WFR
の制動を行なうホイールシリンダ、18は前輪左側車輪W
FLの制動を行なうホイールシリンダである。通常これら
のホイールシリンダにはブレーキペダル(図示せず)を
操作することで、マスタシリンダ等(図示せず)を介し
て圧油が供給される。トラクションコントロール作動時
には次に述べる別の経路からの圧油の供給を可能として
いる。上記ホイールシリンダ17への油圧源19からの圧油
の供給はインレットバルブ17iを介して行われ、上記ホ
イールシリンダ17からリザーバ20への圧油の排出はアウ
トレットバルブ17oを介して行われる。また、上記ホイ
ールシリンダ18への油圧源19からの圧油の供給はインレ
ットバルブ18iを介して行われる、上記ホイールシリン
ダ18からのリザーバ20への圧油の排出はアウトレットバ
ルブ18oを介して行われる。そして、上記インレットバ
ルブ17i及び18i、上記アウトレッドバルブ17o及び18oの
開閉制御は上記トラクションコントローラ15により行わ
れる。
ここで、上記エンジン16の駆動力制御及び駆動輪WF
R,WFLの制動制御によりスリップ防止制御は、駆動輪WF
R,WFLのスリップ量が所定のスリップ判定値αを上回っ
た際に開始され、また、上記スリップ量が所定のスリッ
プ判定値α以下になった際に終了される。
さらに、第1図(A)において、81a〜81dは燃料噴射
インジェクタであり、このインジェクタ81a〜81dの作動
時間つまり燃料噴射量は、エンジンコントロールユニッ
ト(ECU)82において上記エアフローセンサ(AFS)28か
らの信号に基づく吸入空気量に応じて設定される。ま
た、83はエンジン16のクランク軸の回転を検出するエン
ジン回転センサ、84はエンジン16の出力トルクを検出す
るエンジントルクセンサであり、各センサ83,84により
検出されるエンジン回転検出信号及びエンジントルク検
出信号は上記ECU82に検出される。なお、上記トランク
ションコントローラ15はECU82と一体のものでもよい。
次に、第2図を参照して上記トラクションコントロー
ラ15の詳細な構成について説明する。
同図において、11,12は駆動輪WFR,WFLの車輪速度VF
R,VFLを検出する車輪速度センサであり、この車輪速度
センサ11,12により検出された駆動輪速度VFR,VFLは、
何れも高車速選択部31及び平均部32に送られる。高車速
選択部31は、上記駆動輪速度VFR,VFLのうちの高車輪速
度側を選択するもので、この車輪速選択部31により選択
された駆動輪速度は、重み付け部33に出出される。ま
た、上記平均部32は、上記車輪速度センサ11,12から得
られた駆動輪速度VFR,VFLから、平均駆動輪速度(VFR
+VFL)/2を算出するもので、この平均部32により算出
された平均駆動輪速度帯は、重み付け部34に出力され
る。重み付け部33は、上記高車速選択部31により選択出
力された駆動輪WFR,WFLの何れか高い方の車輪速度をK
G倍(変数)し、また、重み付け部34は、平均部32によ
り平均出力された平均駆動輪速度を(1−KG)倍(変
数)するもので、上記各重み付け部33及び34により重み
付けされた駆動輪速度及び平均駆動輪速度は、加算部35
に与えられて加算され、駆動輪速度VFが算出される。
ここで、上記変数KGは、第3図で示すように、求心
加速度GYに応じて変化する変数であり、求心加速度GYが
所定値(例えば0.1g、ただしgは重力加速度)まではそ
の値の大小に比例し、それ以上「1」になるように設定
される。
一方、車輪速度センサ13,14により検出される従動輪
速度VRR,VRLは、何れも低車速選択部36及び高車速選択
部37に送られる。低車速選択部36は、上記従動輪速度V
RR,VRLのうちの低車輪速度側を選択し、また、高車速選
択部37は、上記従動輪速度VRR,VRLのうちの高車輪速度
側を選択するもので、この低車速選択部36により選択さ
れた低従動輪速度は重み付け部38に、また、高車速選択
部37により選択された高従動輪速度は重み付け部39に出
力される。
重み付け部38は、上記低車速選択部36により選択出力
された従動輪WRR,WRLの何れか低い方の車輪速度をKr部
(変数)し、また、重み付け部39は、上記高車速選択部
37により選択出力された従動輪WRR,WRLの何れか高い法
の車輪速度を(1−Kr)倍(変数)するもので、上記各
重み付け部38及び39により重み付けされた従動輪速度
は、加算部40に与えられて加算され、従動輪速度VRが
算出される。この加算部40で算出された従動輪速度VR
は、乗算部40′に出力される。この乗酸部40′は、上記
加算算出された従来輪速度VRを(1+α)倍するもの
で、この乗算部40′を経て従動輪速度VRR,VRLに基づく
目標駆動輪速度Vφが算出される。
ここで、上記変数Krは、第4図で示すように、求心加
速度GYに応じて「1」〜「0」の間を変化する変数であ
る。
そして、上記加算部35により算出された駆動輪速度V
F、及び乗算部40′により算出された目標駆動輪速度V
φは、減算部41に与えられる。この減算部41は、上記駆
動輪速度VFから目標駆動輪速度Vφを減算し、駆動輪
WFR,WFLのスリップ量DVi′(=VF−Vφ)を算出する
もので、この減算部41により算出されたスリップ量DV
i′は加算部42に与えられる。この加算部42は、上記ス
リップ量DVi′を、求心加速度帯GY及びその変化率ΔGY
に応じて補正するもので、求心加速度GYに応じて変化す
るスリップ補正量Vg(第5図参照)はスリップ量補正部
43から与えられ、求心加速度GYの変化率ΔGYに応じて変
化するスリップ補正量Vd(第6図参照)はスリップ量補
正部44から与えられる。つまり、加算部42では、上記減
算部から得られたスリップ量DVi′に各スリップ補正量V
g,Vdを加算するもので、この加算部42を経て、上記求心
加速度GY及びその変化率ΔGYに応じて補正されたスリッ
プ量DViは、例えば15msのサンプリング時間T毎にTSn演
算部45及びTPn演算部46に送られる。
TSn演算部45における演算部45aは、上記スリップ量DV
iに係数KIを乗算し積分した積分型補正トルクTSn′(=
ΣKI・DVi)を求めるもので、この積分型補正トルクTS
n′は係数乗算部45bに送られる。つまり、上記積分型補
正トルクTSn′は、駆動輪WFR,WFLの駆動トルクに対す
る補正値であり、該駆動輪WFR,WFLとエンジン16との間
に存在する動力伝達機構の変速特性が変化するのに応じ
てその制御ゲインを調整する必要があり、係数乗算部45
bでは、上記演算部45aから得られた積分型補正トルクTS
n′に変速段により異なる係数GKiを乗算し、該変速段に
応じた積分型補正トルクTSnを算出する。ここで、上記
変数KIは、スリップ量DViに応じて変化する係数であ
る。
一方、TPn演算部46における演算部46aは、上記スリッ
プ量DViに係数Kpを乗算した比例型補正トルクTPn′(=
DVi・Kp)を求めるもので、この比例型補正トルクTPn′
は係数乗算部46bに送られる。つまり、この比例型補正
トルクTPn′も、上記積分型補正トルクTSn′同様、駆動
輪WFR,WFLの駆動トルクに対する補正値であり、該駆動
輪WFR,WFLとエンジン16との間に存在する動力伝達機構
の変速特性が変化するに応じてその制御ゲインを調整す
る必要のあるもので、係数乗算部46bでは、上記演算部4
6aから得られた比例型補正トルクTSn′に変速段により
異なる係数GKpを乗算し、該変速段に応じた比例型補正
トルクTPnを算出する。
一方、上記加算部40により得られる従動輪速度VR
は、車輪速度VBとして基準トルク演算部47に送られ
る。この基準トルク演算部47は、まず、車体加速度演算
部47aにおいて上記車体速度VBの加速度GBを演算する
もので、この車体加速度演算部47aにより得られた車体
加速度GBはフィルタ47bを介し車体加速度GBFとして基
準トルク算出部47cに送られる。この基準トルク算出部4
7c、上記車体加速度GBF及び車重W及び車輪半径Reに基
づき基準トルクTG(=GBF×W×Re)を算出するもの
で、この基準トルクTGが上記車体加速度GBFで加速す
るときに本来エンジン16が出力すべきトルク値となる。
上記フィルタ47bは、基準トルク演算部47cで算出され
る基準トルクTGを、時間的にどの程度手前の車体加速
度GBに基づき算出させるかを例えば3段階に定めるも
ので、つまりこのフィルタ47bに通して得られる車体加
速度GBFは、今回検出した車体加速度GBnと前回までの
フィルタ47bの出力である車体加速度GBFn-1とにより、
現在のスリップ率S及び加速状態に応じて算出される。
例えば現在車両の加速度が増加している際にそのスリ
ップ率Sが第15図の範囲「1」で示す状態にある場合に
は、素早く範囲「2」の状態へ移行させるため、車体加
速度GBFは、前回のフィルタ47bの出力であるGBFn-1と
今回検出のGBnとを同じ重み付けで平均して最新の車体
加速度GBFnとして下式(1)により算出される。
GBFn=(GBn+GBFn-1)/2 …(1) また、例えば現在車両の加速度が減少している際にそ
のスリップ率SがS>S1で第15図で示す範囲「2」→
「3」に移行するような場合には、可能な限り範囲
「2」の状態を維持させるため、車体加速度GBFは、前
回のフィルタ47bの出力GBFn-1に重み置かれて、上式
(1)で算出するときに比べ、前回算出の車体加速度G
BFn-1に近い値を有する車体加速度GBFnとして下式
(2)により算出される。
GBFn=(GBn+7GBFn-1)/8 …(2) さらに、例えば現在車両の加速度が減少している際に
そのスリップ率SがS≦S1で第15図で示す範囲「2」→
「1」に移行したような場合には、可能な限り範囲
「2」の状態に戻すため、車体加速度GBFは、前回のフ
ィルタ47bの出力GBFn-1に更に重みが置かれて、上式
(2)で算出するときに比べ、前回算出の車体加速度G
BFn-1に近い値を有する車体加速度GBFnとして下式
(3)により算出される。
GBFn=(GBn+15GBFn-1)/16 …(3) 次に、上記基準トルク演算部47により算出された基準
トルクTGは、減算部48に算出される。この減算部48
は、上記基準トルク演算部47より得られる基準トルクT
Gから前記TSn演算部45にて算出された積分型補正トルク
TSnを減算するもので、その減算データはさらに減算部4
9に送られる。この減算部49は、上記減算部48から得ら
れた減算データからさらに前記TSn演算部46にて算出さ
れた比例型補正トルクTPnを減算するもので、その減算
データは駆動輪WFR,WFLを駆動する車軸トルクの目標ト
ルクTφとしてスイッチS1を介しエンジントルク算出部
50に送られる。つまり、上記目標トルクTφは下式
(4)による値となる。
Tφ=TG−TSn−TPn …(4) エンジントルク算出部50は、上記減算部49からスンッ
チS1を介して与えられた駆動輪WFR,WFLに対する目標ト
ルクTφを、エンジン16と上記駆動輪車輪との間の総ギ
ア比で除算し目標エンジントルクTeに換算するもので、
この目標エンジントルクTEは下限値設定部501に送られ
る。この下限値設定部501は、上記エンジントルク算出
部50で算出された目標エンジントルクTeの下限値を、例
えば第16図及び第17図に示すように、トラクションコン
トロール開始からの経過時間tあるいは車体速度VBに
応じて変化する下限値Tlimにより制限するもので、この
下限値設定部501により下限値が制限された目標エンジ
ントルクTelは目標空気量算出部502に送られる。この目
標空気量算出部502は、アクセル開度センサ(ACS)10か
らのアクセル操作量θACとエンジン回転Neとに応じた吸
気管22におけるエンジン1回転当たりの目標空気量A/N0
を算出すると共に、前記エンジン16において上記目標エ
ンジントルクTelを出力させるための該吸気管22におけ
るエンジン1回転当たりの目標空気量A/N0を、第20図に
示すような3次元マップからエンジン回転速度Neに基づ
き算出し、その何れか一方の目標空気量A/N0を選択して
出力するもので、こうして目標空気量算出部502にて得
られた目標空気量A/N0は目標スロットル開度算出部503
に送られる。
ここで、目標空気量算出部502は、通常のエンジン制
御時、つまりスリップ制御の非実行中においては、上記
目標エンジントルクTelに応じた目標空気A/N0及びアク
セル操作量θACに応じた目標空気量A/N0のうち大きい方
の目標空気量A/N0を選択し、また、スリップ制御の実行
中においては、該2つの目標空気量A/N0のうち小さい方
の目標空気量A/N0を選択するもので、この目標空気量算
出部502にて選択出力された目標エンジントルクTelに応
じた目標空気量A/N0またはアクセル操作量θACに応じた
目標空気量A/N0が目標スロットル開度算出部503に送ら
れる。この目標スロットル開度算出部503は、エンジン
回転速度Neと上記目標空気量A/N0とに基づき第21図に示
すようなマップを参照して該目標空気量A/N0を達成する
ための目標スロットル開度θmo′を求める。
一方、上記目標空気量算出部502により選択出力され
た目標空気量A/N0は減算部504にも送られる。この減算
部504は、上記目標空気量A/N0と前記エアフローセンサ2
8により所定のサンプリング時間毎に検出されるエンジ
ン1回転4当たりの実際の吸入空気量A/Nとの差ΔA/Nを
算出するもので、この目標空気量A/N0と実空気量A/Nと
の偏差ΔA/NはPID制御部505に送られる。このPID制御部
505は、上記空気量偏差ΔA/Nに相当する上記スロットル
弁THm23の開度補正量Δθを算出するもの、このスロッ
トル開度補正量ΔθはスイッチA3を介し加算部506に送
られる。
ここで、上記PID制御部505により得られるスロットル
開度補正量Δθは、比例制御による開度補正量Δθp、
積分制御による開度補正量Δθi、微分制御による開度
補正量Δθdを加算したものである。
Δθ=Δθp+Δθi+Δθd Δθp=Kp(Ne)*Kth(Ne)*ΔA/N Δθi=Ki(Ne)*Kth(Ne)*Σ(ΔA/N) Δθd=Kd(Ne)*Kth(Ne)*{ΔA/N−ΔA/Nold} ここで、各係数Kp,Ki,Kdは、それぞれエンジン回転速
度Neをパラメータとした比例ゲイン(第22図参照),積
分ゲイン(第23図参照),微分ゲイン(第24図参照)で
あり、Kthはエンジン回転速度NeをパラメータとしたΔA
/N→Δθ変換ゲイン(第25図参照)、ΔA/Nは目標空気
量A/N0と実際の空気量A/Nとの偏差、ΔA/Noldは1回前
のサンプリングタイミングでのΔA/Nである。
そして、上記加算部506は、目標スロットル開度算出
部503で算出された目標スロットル開示度θmo′と上記P
ID制御部505で算出されたスロットル開度補正量Δθと
を加算し、フィードバック補正された目標スロットル開
度θmoを算出する。この目標スロットル開度θmoは減算
部507に送られる。この減算部507は、上記目標スロット
ル開度θmoと前記スロットルポジションセンサ26により
所定のサンプリング時間毎に検出される実測のスロット
ル開度θmとの差Δθmを算出するもので、このスロッ
トル開度偏差Δθm相当のモータ駆動量に対応したモー
タ駆動信号DMがスイッチA1を介し前記モータ駆動回路25
に送られる。
一方、PID制御部505により得られるスロットル開度補
正量Δθ相当のモータ駆動量に対応したモータ駆動信号
DMは、スイッチA2を介し前記モータ駆動回路25に送られ
る。
ここで、スイッチA1〜A3は、連動した切換えスイッチ
であり、このスイッチA1〜A3の切換え動作は故障判定部
15aにより制御される。この故障判定部15aは、例えばエ
ンジン16の始動の際に、前記第1図(B)におけるスロ
ットルポジションセンサ26やエアフローセンサ28、そし
てスロットル弁駆動モータ24のモータ制御系が故障して
いるか否かを判定するもので、この故障判定部15aに
は、イグニッションSW51からのキーON信号を始めとし
て、スロットルポジションセンサ26からのスロットル開
度検出信号、モータ駆動回路25内メモリ25aからのスロ
ットル開度を示すモータステップデータ、エアフローセ
ンサ28からの吸入空気量検出信号、エンジン回転センサ
83からのエンジン回転検出信号が与えられる。
すなわち、故障判定部15aは、上記スロットルポジシ
ョンセンサ26により検出されたスロットル開度θmと上
記スロットル駆動モータ24のモータステップデータに基
づくスロットル開度θと上記エアフローセンサ28によ
り検出されたエンジン1回転当たりの吸入空気量A/Nに
基づき第26図に示すA/N−θマップにより推定される
スロットル開度θとの3つのスロットル開度判断手段
により得られるスロットル開度θm,θMを比較し、
この3つのスロットル開度θm,θMのうち何れか1
つのスロットル開度が他の2つのスロットル開度と所定
の許容値「この場合、許容率r(=30%)に基づく許容
値」を上回る開度差を有して異なる場合には、該異なる
1つのスロットル開度θmまたはθまたはθを示す
スロットル開度判断手段「スロットルポジションセンサ
26またはモータ制御系またはエアーフローセンサ28」を
故障として判定するもので、この故障判定部15aにより
上記何れかのスロットル開度判断手段が故障として判定
されると、その故障判定を意味する異常フラグがセット
される。この場合、上記スロットルポジションセンサ26
が故障であると判定されると、スロットルポジションセ
ンサ異常フラグがセットされ、スイッチA1→開成,スイ
ッチA2→閉成に切換えられる。また、上記エアフローセ
ンサ28が故障であると判定されると、エアフローセンサ
異常フラグがセットされ、スイッチA1→閉成,スイッチ
A2,A3→開成に切換えられる。
つまり、スロットルポジションセンサ26の異常時に
は、空気量偏差ΔA/Nを“0"にすべくモータ駆動信号DM
が、PID制御部505からスイッチA2を介してモータ24に出
力され、また、エアフローセンサ28の異常時には、スロ
ットル開度偏差Δθmを“0"にすべくモータ駆動信号DM
が、減算部507からスイッチA1を介してモータ24に出力
される。そして、スロットル弁THm23の開度θmが制御
される。
なお、上記モータ制御系が故障であると判定される
と、スロットル弁THm23は図示しないリターンスプリン
グにより閉動され、該スロットル弁THm23の自動制御は
中止される。
一方、前記車輪速度センサ13,14により検出された従
動輪WRR,WRLの車輪速度VRR,VRLは、求心加速度演算部
53に送られる。この求心加速度演算部53は、車両の旋回
度を判断するための求心加速度GY′を求めるもので、こ
の求心加速度GY′は求心加速度補正部54に送られる。こ
の求心加速度補正部54は、上記求心加速度GY′を車速に
応じて補正し求心加速度GYを求める。
GY=Kv・GY′ ここで、Kvは第7図乃至第12図で示すように、車速に
応じて変化する係数である。
ところで、前記高車速選択部37から出力される大きい
方の従動輪車輪速度は減算部55に送られ、右駆動輪WFR
の車輪速度VFRから減算される。また、上記高車速選択
部37から出力される大きい方の従動輪車輪速度は減算部
56に送られ、左駆動輪WFLの車輪速度VFLから減算され
る。そして、減算部55による減算出力は乗酸部57に送ら
れ、また、減算部56による減算出力は乗算部58に送られ
る。上記乗算部57は減算部55からの減算出力をKB倍
(0<KB<1)し、また、乗算部58は減算56からの減
算出力を(1−KB)倍するもので、このそれぞれの乗
算出力は加算部59に送られて加算され右駆動輪WFRのス
リップ量DVFRが求められる。
一方、減算部56による減算出力は乗算部60に送られ、
また、減算部55による減算出力は乗算部61に送られる。
上記乗算部60は減算部56からの減算出力をKB倍(0<
KB<1)し、また、乗算部61は減算部55からの減算出
力を(1−KB)倍するもので、このそれぞれの乗算出
力は加算部62に送られて加算された左駆動輪WFLのスリ
ップ量DVFLが求められる。
ここで、上記KBは、第13図に示すように、トラクシ
ョンコントロールの制御開始からの経過時間tに応じて
変化する変数であり、この場合、トラクションコントロ
ールの制御開始時にはKB=「0.5」とし、その制御が進
むに従ってKB=「0.8」に近付くよう設定する。つま
り、左右駆動輪WFR,WFLのブレーキ制御を全く独立にす
ると、一方の駆動輪だけにブレーキが掛かってその回転
が減少した際、デファレンシャルギアの作用により、今
度は反対側の駆動輪がスリップしてブレーキが掛かるこ
とになり、この動作が繰返されるのを防止するように構
成する。
次に、上記加算部59により得られる右駆動輪WFRのス
リップ量DVFRは微分部63に送られる。また、上記加算部
62により得られる左駆動輪WFLのスリップ量DVFLの微分
部64に送られる。この微分部63,64は、それぞれ対応す
る駆動輪のスリップ量DVFR,DVFLを微分してその時間的
変化量、つまりスリップ加速度GFR,GFLを求めるもの
で、この右駆動輪WFRのスリップ加速度GFRはブレーキ
液圧変化量(ΔP)算出部65に、また、左駆動輪WFLの
スリップ加速度GFLはブレーキ液圧変化量(ΔP)算出
部66に送られる。このブレーキ液圧変化量(ΔP)算出
部65,66は、第14図に示すようなGFR(GFL)−ΔP変
換マップに基づき、各駆動輪WFR,WFLのスリップ加速度
GFR,GFLを抑制するためのブレーキ液圧変化量ΔPを求
めるもので、この左右駆動輪WFR,WFLに対するブレーキ
液圧変化量ΔPはそれぞれΔP−T変換部67,68に送ら
れる。このΔP−T変換部67,68は、各対応する駆動輪
のブレーキ液圧変化量ΔPを前記第1図(A)における
インレットバルブ17i,18iおよびアウトレットバルブ17
o,18oの開時間Tに変換するもので、上記ΔPが正のと
きは、ΔP−T変換部67により得られた開時間Tに応じ
て右駆動輪WFR用のインレットバルブ17iを開制御し、
また、ΔP−T変換部68により得られた開時間Tに応じ
て左駆動輪WFL用のインレットバルブ18iを開制御す
る。また、上記ΔPが負のときは、ΔP−T変換部67に
より得られた開時間Tに応じて右駆動輪WFR用のアウト
レットバルブ17oを開制御し、ΔP−T変換部68により
得られた開時間Tに応じて左駆動輪WFL用のアウトレッ
トバルブ18oを開制御する。
なお、上記第14図に示すGFR(GFL)−ΔP変換マッ
プにおいて破線aに基づく変換値は、旋回時においてブ
レーキ制御を行なう際に、内側駆動輪に対するブレーキ
制御を強化するためのものである。
一方、上記目標トルクTφが算出される減算部49から
エンジントルク算出部50の間には、スイッチS1が介在さ
れ、また、ブレーキ液圧変化量(ΔP)算出部65,66か
らΔP−T変換部67,68の間には、それぞれスイッチS2
a,S2bが介在される。上記各スイッチS1,S2a,S2b、それ
ぞれ後術するスリップ制御の開始/終了条件が満たされ
ると閉成、/開成されるもので、このスイッチS1,S2a,S
2bは、何れも制御開始/終了判定部69により開閉制御さ
れる。この制御開始/終了判定部69には、スリップ判定
部70からのスリップ判定信号が与えられる。このスリッ
プ判定部70は、前記駆動輪速度VFと従動輪速度VRとに
基づき減算部41及び加算部42を通して得られるスリップ
量DViが、スリップ判定値記憶部71で予め記憶されるス
リップ判定値αを上回ったか否かを判定するもので、こ
のスリップ判定信号が制御開始/終了判定部69に対して
与えられる。
ここで、上記制御開始/終了判定部69は、スリップ判
定部70からスリップ判定信号(DVi>α)が入力された
際に制御開始信号を出力し、上記スイッチS1,S2a,S2bを
閉成させる。また、制御開始/終了判定部69は、スリッ
プ判定部70から非スリップ判定信号(DVi≦α)が入力
された際に制御終了信号を出力し、スイッチS1,S2a,S2b
を開成させる。
次に、上記のように構成された車両の加速スリップ防
止装置の動作について説明する。
第1図及び第2図において、車輪速度センサ13,14か
ら出力される従動輪(後輪)の車輪速度は高車速選択部
36,低車速選択部37,求心加速度演算部53に入力される。
上記低車速選択部36においては従動輪の左右輪のうち小
さい方の車輪速度が選択され、上記高車速選択部37にお
いては従動輪の左右輪のうち大きい方の車輪速度が選択
される。通常の直線走行時において、左右の従動輪の車
輪速度が同一速度である場合には、低車速選択部36及び
高車速選択部37からは同じ車輪速度が選択される。ま
た、求心加速度演算部53においては左右の摺動輪の車輪
速度が入力されており、その左右の従動輪の車輪速度か
ら車両が旋回している場合の旋回度、つまりどの程度急
な旋回を行なっているかの度合いが算出される。
以下、求心加速度演算部53においてどのように求心加
速度が算出されるかについて説明する。前輪駆動車では
後輪が従動輪であるため、駆動によるスリップに関係な
くその位置での車体速度を車輪速度センサにより検出で
きるので、アッカーマンジオメトリを利用することがで
きる。つまり、定常旋回においては求心加速度GY′は GY′=v2/r …(5) (v=車速,r=旋回半径)として算出される。
例えば、第19図に示すように車両が右に旋回している
場合において、旋回の中心をMoとし、旋回の中心Moから
内輪側(WRR)までの距離をr1とし、トレッドをΔrと
し、内輪側(WRR)の車輪速度をv1とし、外輪側(WR
L)の車輪速度をv2とした場合に、 v2/v1=(Δr+r1)/r1 …(6) とされる。
そして、上記(6)式を変形して、 1/r1=(v2−v1)/Δr・v1 …(7) とされる。そして、内輪側を基準とすると求心加速度G
Y′は GY′=v12/r1 =v12・(v2−v1)/Δr・v1 =v1・(v2−v1)/Δr …(8) として算出される。
つまり、第(8)式により求心加速度GY′が算出され
る。ところで、旋回時には内輪側の車輪速度v1は外輪側
の車輪速度v2より小さいため、内輪側の車輪速度v1を用
いて求心加速度GY′を算出しているので、求心加速度G
Y′は実際より小さく算出される。従って、重み付け部3
3で算出される係数KGは求心加速度GY′が小さく見積ら
れるために、小さく見積もられる。従って、駆動輪速度
VFが小さく見積られるために、スリップ量DVi′(VF
−Vφ)も小さく見積もられる。これにより、目標トル
クTφが大きく見積もられるために、目標エンジントル
クが大きく見積もられることにより、旋回時にも充分な
駆動力を与えるようにしている。
ところで、極低速時の場合には、第19図に示すよう
に、内輪側から旋回の中心M0までの距離はr1であるが、
速度が上がるに従ってアンダーステアする車輪において
は、旋回の中心はMに移行し、その距離はr(r>R1)
となっている。このように速度が上がった場合でも、旋
回半径をr1として計算しているために、上記第(8)式
に基づいて算出された求心加速度GY′は実際よりも大き
い値として算出される。このため、求心加速度演算部53
において算出された求心加速度GY′は求心加速度補正部
54に送られて、高速では求心加速度GYが小さくなるよう
に、求心加速度GY′に第7図の係数Kvが乗算される。こ
の変数Kvは車速に応じて小さくなるように設定されてお
り、第8図にあるいは第9図に示すように設定しても良
い。このようにして、求心加速度補正部54より補正され
た求心加速度GYが出力される。
一方、速度が上がるに従って、オーバステアする(r
<r1)車両においては、上記したアンダーステアする車
両とは全く逆の補正が求心加速度補正部54において行わ
れる。つまり、第10図ないし第12図のいずれかの変数Kv
が用いられて、車速が上がるに従って、上記求心加速度
演算部53で算出された求心加速度GY′を大きくなるよう
に補正している。
ところで、上記低車速選択部36において選択された小
さい方の車輪速度は重み付部38において第4図に示すよ
うに変数Kr倍され、高車速選択部37において選択された
高車速は重み付け部39において変数(1−Kr)倍され
る。変数Krは求心加速度GYが例えば0.9gより大きくなる
ような旋回時に「1」となるようにされ、求心加速度GY
が0.4gより小さくなると「0」に設定される。
従って、求心加速度GYが0.9gより大きくなるような旋
回に対しては、低車速選択部36から出力される従動輪の
うち低車速の車輪速度、つまり選択時における内輪側の
車輪速度が選択される。そして、上記重み付け部38及び
39から出力される車輪速度は加算部40において加算され
て従動輪速度VRとされ、さらに上記従動輪速度VRは乗
算部40′において(1+α)倍されて目標駆動輪速度V
φとされる。
また、駆動輪の車輪速度のうち大きい方の車輪速度が
高車速選択部31において選択された後、重み付け部33に
おいて第3図に示すように変数KG倍される。さらに、
平均部32において算出された駆動輪の平均車速(VFR+
VFL)/2は重み付け部34において、(1−KG)倍にさ
れ、上記重み付部33の出力と加算部35において加算され
て駆動輪速度VFとされる。従って、求心加速度GYが例
えば0.1g以上となると、KG=1とされるため、高車速
選択部31から出力される2つの駆動輪のうち大きい方の
駆動輪の車輪速度が出力されることになる。つまり、車
両の旋回度が大きくなって求心加速度GYが例えば、0.9g
以上となると、「KG=Kr=1」となるために、駆動輪
側は車輪速度の大きい外輪側の車輪速度を駆動輪速度V
Fとし、従動輪側は車輪速度の小さい内輪側の車輪速度
を従動輪速度VRとしているために、減速部41で算出さ
れるスリップ量DVi′(=VF−Vφ)を大きく見積もっ
ている。従って、目標トルクTφは小さく見積もるため
に、エンジンの出力が低減されて、スリップ率Sを低減
させて第18図に示すように横力Aを上昇させることがで
き、旋回時のタイヤのグリップ力を上昇させて、安全な
旋回を行なうことができる。
上記スリップ量DVi′はスリップ量補正部43におい
て、求心加速度GYが発生する旋回時のみ第5図に示すよ
うなスリップ補正量Vgが加算されると共に、スリップ量
補正部44において第6図に示すようなスリップ量Vdが加
算される。
例えば、直角に曲がるカーブの旋回を想定した場合
に、旋回の前半においては求心加速度GY及びその時間的
変化率ΔGYは正の値となるが、カーブの後半においては
求心加速度GYの時間的変化率ΔGYは正の値となる。従っ
て、カーブの前半においては加算部42においては、スリ
ップ量DVi′に第5図に示すスリップ補正量Vg(>0)
及び第6図に示すスリップ補正量Vd(>0)が加算され
てスリップ量DViとされ、カーブの後半においてはスリ
ップ補正量Vg(>0)及びスリップ補正量Vd(<0)が
加算されてスリップ量Dviとされる。従って、旋回の後
半におけるスリップ量DViは旋回の前半におけるスリッ
プ量DViよりも小さく見積もることにより、旋回の前半
においてはエンジン出力を低下させて横力を増大させ、
旋回の後半においては、前半よりもエンジン出力を回復
させて車両の加速性を向上させるようにしている。
このようにして、補正されたスリップ量DViは例えば1
5msのサンプリング時間TでTSn演算部45に送られる。こ
のTSn演算部45内において、スリップ量DViが係数KIを乗
算されながら積分されて補正トルクTSnが求められる。
つまり、 TSn=GKi・Σ(KI・DVi)(KIはスリップ量DViに応じて
変化する係数である) としてスリップ量DViの補正によって求められた補正ト
ルク、つまり積分型補正トルクTSnが求められる。
また、上記スリップ量DViはサンプリング時間T毎にT
Pn演算部46に送られて、補正トルクTPnが算出される。
つまり、 TPn=GKp・DVi・Kp(Kpは係数) としてスリップ量DViにより補正された補正トルク、つ
まり比例型補正トルクTPnが求められる。
また、上記係数乗算部45b,46bにおける演算に使用す
る係数GKi,GKpの値は、シフトアップ時には変速開始か
ら設定時間後に変速後の変速段に応じた値に切替えされ
る。これは変速開始から実際に変速段が切替わって変速
を終了するまで時間がかかり、シフトアップ時に、変速
開始とともに変速後の高速段に対応した上記係数GKi,GK
pを用いると、上記補正トルクTSn,TPnの値は上記高速段
に対応した値となるため実際の変速が終了してないのに
変速開始前の値より小さくなり目標トルクTφが大きく
なってしまって、スリップが誘発されて制御が不安定と
なるためである。
また、上記加算部40から出力される従動輪速度VRは
車体速度VBとして基準トルク演算部47に入力される。
そして、車体加速度演算部47aにおいて、車体速度VBの
加速度GBが演算される。そして、上記車体加速度演算
部47aにおいて算出された車体速度の加速度GBはフィル
タ47bにより構成のところで説明したように、(1)式
乃至(3)式の何れかのフィルタがかけられて、加速度
GBの状態に応じてGBFを最適な位置に止どめるように
している。そして、基準トルク算出部47cにおいて、基
準トルクTG(=GBF×W×Re)が算出される。
そして、上記基準トルクTGと上記積分型補正トルクT
Snとの減算は減算部48において行われ、さらに上記比例
型補正トルクTPnが減算部49において減算される。この
ようにして、目標トルクTφは、 Tφ=TG−TSn−TPnとして算出される。
この目標トルクTφ、つまり車輪トルクTφは、スイ
ッチS1を介してエンジントルク算出部50に与えられ、目
標エンジントルクTeに換算される。この目標エンジント
ルクTeは、エンジントルクの下限値Tlimを設定している
下限値設定部501において、その目標エンジントルクTe
の下限値が制限される。そして、この下限値の制限され
た目標エンジントルクTelは、目標空気量算出部502に送
られて該目標エンジントルクTelを出力するための目標
空気量A/N0が算出される。そして、目標空気量算出部50
2から出力される目標空気量A/N0は、目標スロットル開
度算出部503に送られ、第21図のマップが参照されてエ
ンジン回転速度Neと目標空気量A/N0に対する目標スロッ
トル開度θmo′が求められる。
ここで、上記目標空気量算出部502において、非スリ
ップ制御時には大きい方の目標空気量A/N0が選択され
る。つまり、制御開始/終了判定部69からスリップ制御
開始信号が出力されないスイッチS1の開成状態では、目
標エンジントルクTelに応じた目標空気A/N0の実質“0"
であるので、アクセス操作量θACに応じて目標空気量A/
N0が選択され、目標スロットル開度算出部503に送られ
る。
また、スリップ制御時には小さい方の目標空気量A/N0
が選択出力される。つまり、制御開始/終了判定部69か
らスリップ制御開始信号が出力されたスイッチS1の開成
状態では、駆動輪のスリップを抑制すべく目標エンジン
トルクTelに応じた目標空気量A/N0が得られるので、ア
クセル操作量θACに応じた目標空気量A/N0が大きいと該
スリップを抑制すべく目標エンジントルクTelに応じた
目標空気量A/N0が選択され、ドライバの意思によりスリ
ップを抑制すべくアクセル操作量θACが小さくなった場
合には該アクセル操作量θACに応じた目標空気量A/N0
選択され、目標スロットル開度算出部503に送られる。
一方、上記目標空気量算出部502から選択出力された
目標空気量A/N0は、減算部504に送られ、所定のサンプ
リング時間毎に前記エアフローセンサ28で検出される現
在の空気量A/Nとの差ΔA/Nが算出される。このΔA/NはP
ID制御部505に送られてPID制御が行なわれ、該ΔA/Nに
相当する開度補正量Δθが算出される。この開度補正量
ΔθはスイッチA3を介し加算部506において上記目標ス
ロットル開度θmo′と加算され、フィードバック補正さ
れた目標スロットル開度θmoが算出される。この目標ス
ロットル開度φmoは、さらに、減算部507に送られる上
記スロットルポジションセンサ26により検出される実測
のスロットル開度θmとの偏差Δθm(=θmo−θm)
が算出される。これにより、上記目標スロットル開度θ
moに対する実測スロットル開度θmとの偏差Δθmを
“0"にするべくモータ駆動信号DMがスイッチA1を介して
モータ駆動回路25に出力され、スロットル開度θmが上
記目標エンジントルクTelまたはアクセル操作量θACに
応じた目標スロットル開度θmoに調整される。
すなわち、故障判定部15aの制御により、スイッチA1,
A3が閉成,スイッチA2が開成された状態で、例えば減算
部507において得られるスロットル開度偏差Δθmが
(+)偏差である場合には、実測スロットル開度θmに
対して目標スロットル開度θmoの方が大きい値となるの
で、正転用のモータ駆動信号+DMが出力され、スロット
ル弁THm23はその実測開度θmが目標開度θmoに一致す
るまで全開方向に駆動される。この場合、モータ駆動回
路25のメモリ25aに記憶されるステップデータは、モー
タ24が上記開方向に1ステップ回動する毎に(+1)に
される。また、上記減算部507において得られるスロッ
トル開度偏差Δθmが(−)偏差である場合には、実測
スロットル開度θmに対して目標スロットル開度θmoの
方が小さい値となるので、逆転用のモータ駆動信号−DM
が出力され、スロットル弁THm23はその実測開度θmが
目標開度θmoに一致するまで全閉方向に駆動される。こ
の場合、モータ駆動回路25のメモリ25aに記憶されるス
テップデータは、モータ24が上記閉方向に1ステップ回
動する毎に(−1)される。
以後、上記目標スロットル開度θmoに対する実測スロ
ットル開度θmによるスロットル開度位置のフィードバ
ック制御が繰返され、スロットル弁THm23の開度θmが
上記目標スロットル開度θmoに調整される。
一方、故障判定部15aの制御により、スイッチA2が閉
成,スイッチA1が開成された状態で、例えば減算部504
において得られる吸入空気量偏差ΔA/Nが(+)偏差で
ある場合には、実測空気量A/Nに対して目標空気量A/N0
の方が大きい値となるので、PID制御部505からは正転用
のモータ駆動信号+DMが出力され、スロットル弁THm23
は上記実測空気量A/Nが目標空気量A/N0に到達するまで
全開方向に駆動される。この場合、モータ駆動回路25の
メモリ25aに記憶されるステップデータは、モータ24が
上記方向に1ステップ回動する毎に(+1)される。ま
た、上記減算部504において得られる空量偏差ΔA/Nが
(−)偏差である場合には、実測空気量A/Nに対して目
標空気量A/N0の方が小さい値となるので、PID制御部505
らは逆転用のモータ駆動信号−DMが出力され、スロット
ル弁THm23は上記実測空気量A/Nが目標空気量A/N0に一致
するまで全閉方向に駆動される。この場合、モータ駆動
回路25のメモリ25aに記憶されるステップデータは、モ
ータ24が上記閉方向に1ステップ回動する毎に(−1)
にされる。以後、上記目標空気量A/N0に対する実測空気
量A/Nによるスロットル開度θmのフィードバック制御
が繰返され、スロットル弁THm23の開度θmが上記目標
空気量A/N0を得るための目標スロットル開度θmoに調整
される。
さらに、故障判定部15aの制御によりスイッチA1が閉
成,スイッチA2,A3が開成された状態では、目標スロッ
トル開度算出部503により得られる基本の目標スロット
ル開度θmo′は、空気量偏差ΔA/Nによるフィードバッ
クを受けずにそのまま目標スロットル開度θmoとなり、
この目標スロットル開度θmoに対する実測スロットル開
度θmとの偏差Δθmを“0"にすべくモータ駆動信号DM
がスイッチA1を介しモータ駆動回路25に出力され、スロ
ットル開度θmが目標スロットル開度θmoに調整され
る。
次に、上記故障判定部15aにおける、スロットルポジ
ションセンサ26,モータ制御系,エアフローセンサ28の
故障判定処理に基づくスイッチA1〜A3の切換え制御動作
について説明する。
第27図は上記センサ及びモータ制御系の故障判定処理
を示すフローチャートであり、まず、ステップS1におい
て、スロットルポジションセンサ26により検出されるス
ロットル開度θmが故障判定部15aに入力される。ま
た、ステップS2において、モータ駆動回路25からのモー
タステップデータに基づき得られるスロットル開度θ
が故障判定部15aに入力される。さらに、ステップS3に
おいて、エアフローセンサ28により検出された吸入空気
量A/Nに基づき推定されるスロットル開度θが故障判
定部15aに入力される。
ここで、第28図は上記ステップS3におけるスロットル
開度θの推定処理を示すフローチャートであり、ステ
ップA1において、エアフローセンサ28によりエンジン1
回転当たりの実測空気量A/Nが得られると、これを現在
の実測空気量A/Niとし、ステップA2において、スロット
ル弁THm23の下流圧Piが次に示す離散値計算式により算
出される。
Pi=αPi−1+(1−α)・K・A/Ni …(9) 但し、Piは現在のスロットル不流圧であり、αは吸気
管容積,シリンダ容積,エンジン回転数Neにより定まる
フィルタ乗数、Kは吸入空気量A/Nからスロットル下流
圧Pへの変換乗数である。
上記第(9)式によりスロットル下流圧Piが算出され
ると、ステップA3に進み、このPiをパラメータとして、
第26図に示すA/Ni−θマップに基づき、吸入空気量A/
Nに応じたスロットル開度θが求められる。
こうして、スロットルポジションセンサ26により検出
されるスロットル開度θm、モータステップデータに基
づくスロットル開度θ、吸入空気量A/Nに基づくスロ
ットル開度θの3種の開度判断手段によりスロットル
開度θm,θMが得られると、ステップS4において、
この3つのスロットル開度θm,θMのうち最も近い
2つの開度の平均をθとする。
ここで、ステップS5において、最も近い2つの開度は
θ及びθであり、その平均がθ(=(θ
θ)/2)として算出されると、ステップS6に進み、残
るスロットル開度θmを該平均開度θで除算し1から
減算した値(|1−(θm/θ)|)が、所定の許容値r
(例えば30%)を上回るか(>r)否か(≦r)判断さ
れる。すなわち、このステップS6では、3つのスロット
ル開度θm,θMのうち1つ離れたスロットル開度θ
mが許容範囲rを越える異常な値であるか否かが判断さ
れるもので、このステップS6において「Yes」、つまり
「|1−(θm/θ)|>r」と判断されると、ステップ
S7に進み、スロットルポジションセンサ26により得られ
るスロットル開度θmは異常であるとして、該スロット
ルポジションセンサ26の故障を示す異常フラグがセット
される。
この場合、スロットルポジションセンサ26が故障する
と、減算部507を介してモータ駆動信号DMを得る実測ス
ロットル開度θmによるフィドーバック制御が不能にな
るので、上記故障判定部15aにスロットルポジションセ
ンサ26の異常フラグがセットされると、スイッチA1が開
成,スイッチA2は開成位置に切換え保持され、実測吸入
空気量A/Nによるフィードバック制御に切換えられるこ
とになる。
一方、上記ステップS4において、平均される最も近い
2つのスロットル開度はθm及びθであり、ステップ
S8において、その平均がθ(=θm+θ)/2)とし
て算出されると、ステップS9に進み、残るスロットル開
度θを該平均開度θで除算し1から減算した値(|1
−(θM)|)が、所定の許容値r(例えば30%)
を上回るか(>r)否か(≦r)判断される。すなわ
ち、このステップS9では、3つのスロットル開度θm,θ
Mのうち1つ離れたスロットル開度θが許容範囲
rを越える異常な値であるか否かが判断されるもので、
このステップS9において「Yes」、つまり「|1−(θM/
θ)|>r」と判断されると、ステップS10に進み、
モータステップデータに基づき得られるスロットル開度
θは異常であるとして、モータ制御系の故障を示す異
常フラグがセットされる。
この場合、モータ24によるスロットル弁THm23の自動
制御が不能になるので、該スロットル弁THm23はリター
ンスプリングにより全閉方向に閉動され、例えばエンジ
ン出力はアイドリング状態に保持される。
さらに、上記ステップS4において、平均される最も近
い2つのスロットル開度はθm及びθであり、その平
均がθ(=(θm+θ)/2)として算出されると、
ステップS11に進み、残るスロットル開度θを該平均
開度θで除算し1から減算した値(|1−(θA
|)が、所定の許容値r(例えば30%)を上回るか(>
r)否か(≦r)判断される。すなわち、このステップ
S11では、3つのスロットル開度θm,θMのうち1
つ離れたスロットル開度θが許容範囲rを越える異常
な値であるか否かが判断されるもので、このステップS1
1において「Yes」、つまり「|1−(θA)|>r」
と判断されると、ステップS12に進み、エアフローセン
サ28による吸入空気量A/Nに基づき得られるスロットル
開度θは異常であるとして、エアフローセンサ28の故
障を示す異常フラグがセットされる。
この場合、エアフローセンサ28が故障すると、減算部
504及びPID制御部505を介して基本目標スロットル開度
θmo′に対してスロットル開度補正量Δθを得る空気量
フィードバックを加えたスロットル制御が不能になるの
で、上記故障判定部15aにエアフローセンサ28の異常フ
ラグがセットされると、スイッチA1は閉成,スイッチA
2,A3は開成位置に切換え保持され、実測スロットル開度
θmのフィードバックのみによるスロットル制御に切換
えられることになる。
すなわち、3種のスロットル開度判断手段により得ら
れる各スロットル開度θm,θMを比較し、1つ異な
るスロットル開度が得られたスロットル開度判断手段を
故障として判定するので、信頼性の高い故障判定を行な
うことが可能になる。
また、3種の開度判断手段により得られるスロット開
度θm,θMは、スロットルポジション26,モータス
テップデータ,エアフローセンサ28により検出される吸
入空気量A/Nのそれぞれに基づき得られるので、スロッ
トル弁THm23の全開全閉間におけるあらゆる開度で、
該3つの開度判断手段の故障判定を行なうことが可能に
なる。
ところで、上記高車速選択部37から出力される大きい
方法の従動輪車輪速度が減算部55において駆動輪の車輪
速度VFRから減算される。さらに、上記高車速選択部37
から出力される大きい方の車輪速度が減算部56において
駆動輪の車輪速度VFLから減算される。従って、減算部
55及び56の出力を小さく見積もるようにして、旋回中に
おいてもブレーキを使用する回数を低減させ、エンジン
トルクの低減により駆動輪のスリップを低減させるよう
にしている。
上記減算部55の出力は乗算部57においてKB倍(0<
KB<1)され、上記減算部56の出力は乗算部58におい
て(1−KB)倍された後、加算部59において加算され
て右側駆動輪のスリップ量DVFRとされる。また同時に、
上記減算部56の出力は乗算部60においてKB倍され、上
記減算部55の出力は乗算部61において(1−KB)倍さ
れた後加算部62において加算されて左側の駆動輪のスリ
ップ量のDVFLとされる。上記変数KBは第13図に示すよ
うにトラクションコントロール制御開始からの経過時間
tに応じて変化するもので、トラクションコントロール
の制御開始時には「0.5」とされ、トラクションコント
ロールの制御が進むに従って、「0.8」に近付くように
設定されている。つまり、ブレーキにより駆動輪のスリ
ップを低減させる場合には、制動開始時においては、両
車輪に同時にブレーキを掛けて、例えばスプリット路で
のブレーキ制動開始時の不快なハンドルショックを低減
させることができる。一方、ブレーキ制御が継続されて
行われて、上記KBが「0.8」となった場合の動作につい
て説明する。この場合、一方の駆動輪だけにスリップが
発生したとき他方の駆動輪でも一方の駆動輪の20%分だ
けスリップが発生したように認識してブレーキ制御を行
なうようにしている。これは、左右駆動輪のブレーキを
全く独立にすると、一方の駆動輪にのみブレーキがかか
って回転が減少するとデフの作用により今度は反対側の
駆動輪がスリップしてブレーキがかかり、この動作が繰
返えされて好まいくないためである。上記右側駆動輪の
スリップ量DVFRは微分部63において微分されてその時間
的変化量、つまりスリップ加速度GFRが算出されると共
に、上記右側駆動輪のスリップ量DVFLは微分部64におい
て微分されてその時間的変化量、つまりスリップ加速度
GFLが算出される。そして、上記スリップ加速度GFRは
ブレーキ液圧変化量(ΔP)算出部65に送られて、第14
図に示すGFR(GFL)−ΔP変換マップが参照されてス
リップ加速度GFRを抑制するためのブレーキ液圧の変化
量ΔPが求められる。また、同様に、スリップ加速度FL
はブレーキ液圧変化量(ΔP)算出部66に送られて、第
14図に示すGFR(GFL)−ΔP変換マップが参照され
て、スリップ加速度GFLを抑制するためのブレーキ液圧
の変化量ΔPが求められる。
さらに、上記ΔP算出部65から出力されるスリップ加
速度GFRを抑制するためのブレーキ液圧の変化量ΔP
は、スイッチS2aの閉成時、つまり制御開始/終了判定
部69により制御開始条件成立判定の際にインレットバル
ブ17iおよびアウトレットバルブ17oの開時間Tを算出す
るΔP−T変換部67に与えられ、ΔPが正のときはイン
レットバルブ17iの開時間が算出され、ΔPが負のとき
はアウトレットバルブ17oの開時間が算出される。つま
り、このΔP−T変換部67において算出されたバルブ開
時間Tが、右側駆動輪WFRのブレーキ作業時間FRとされ
る。また、同様に、上記ΔP算出部66から出力されるス
リップ加速度GFLを抑制するためのブレーキ液圧の変化
量ΔPは、スイッチS2bの閉成時、つまり制御開始/終
了判定部69による制御開始条件成立判定の際にインレッ
トバルブ18iおよびアウトレットバルブ18oの開時間Tを
算出するΔP−T変換部68に与えられ、ΔPが正のとき
はインレットバルブ18iの開時間が算出され、ΔPが負
のときはアウトレットバルブ18oの開時間が算出され
る。つまり、このΔP−T変換部68において算出された
バルブ開時間Tが、左側駆動輪WFLのブレーキ作動時間
FLとされる。これにより、左右の駆動輪WFR,WFLにより
以上のスリップが生じることが抑制される。
なお、第14図において、旋回時にブレーキを掛ける場
合には、内輪側の駆動輪のブレーキを強化するために、
旋回時の内輪側は破線aで示すようになっている。この
ようにして、旋回時において荷重移動が外輪側に移動し
て、内輪側がすべり易くなっているのを、ブレーキ液圧
の変化量ΔPを内輪側を外輪側よりも大きめとすること
により、旋回時に内輪側がすべるのを防止させることが
できる。
ここで、例えば車両が圧雪路等の低μ路上で発進加速
する際に、アクセルペダルの踏込みに伴うエンジン出力
の上昇により、駆動輪WFR,WFLに加速スリップが生じ、
そのスリップ量DViがスリップ判定値記憶部71で予め記
憶されるスリップ判定値αを上回ると、スリップ判定部
70から制御開始/終了判定部69に対しスリップ判定信号
(DVi>α)が出力される。すると、制御開始/終了判
定部69では、駆動輪のスリップ抑制制御が必要になった
と判定し、スイッチS1及びS2a,S2bを閉成させる。これ
により、上記駆動輪WFR,WFLのスリップ量DVに応じたエ
ンジントルク制御、並びに制動制御によるスリップ制御
が開始される。
一方、上記スリップ制御が開始された後の状態におい
て、例えばアクセルペダルの戻し操作による主スロット
ル弁THm23の閉じ動作に伴い、エンジン出力トルクが低
下して駆動輪WFR,WFLのスリップ要因が解消され、その
スリップ量DViがスリップ判定値記憶部71で予め記憶さ
れるスリップ判定値α以下になると、スリップ判定部70
から制御開始/終了判定部69に対しスリップ判定信号
(DVi≦α)が出力される。すると、制御開始/終了判
定部69では、駆動輪のスリップ抑制制御が不要になった
と判定し、スイッチS1及びS2a,S2bを開成させる。これ
により、上記駆動輪WFR,WFLのスリップ量DVに応じたエ
ンジントルク制御、並びに制動制御によるスリップ制御
が終了される。
したがって、上記構成の車両の加速スリップ防止装置
によれば、スリップ制御時には、エンジントルク制御な
らびにブレーキング制御を適切に行ない、駆動輪に生じ
るスリップを確実に抑制して車両の加速性を向上させる
ことが可能になるばかりでなく、エンジン吸気系におい
て、スロットルポジションセンサ26、スロットル駆動モ
ータ24の制御系、エアフローセンサ28の故障判定を、該
スロットルポジションセンサ26により得られるスロット
ル開度θm、モータステップデータに基づくスロットル
開度θ、エアフローセンサ28により検出された吸入空
気量A/Nに基づくスロットル開度θの3つの異なる開
度判断手段により得られるスロットル開度θm,θM
を比較して行ない、異常な開度データを示す1つのスロ
ットル開度判断手段を故障として判定するので、信頼性
の高い確実な故障判定を行なうことが可能になると共
に、全スロットル開度位置において常時故障判定処理を
行なうことが可能になる。
尚、上記実施例では、エアフローセンサ28により検出
される吸入空気量A/Niからスロットル開度θを推定す
るのに、スロートル下流圧PiをラメータにしたA/Ni−θ
マップ(第26図参照)を用いたが、エンジン16が過渡
状態にない定常運転状態にあるときには、エンジン16に
対する吸入空気量A/Noとスロットル弁通過の空気量A/Ni
とがほぼ等しいので、例えば第29図におけるθm−A/N
マップを用い、エンジン回転数Neをパラメータとして上
記スロットル開度θを推定してもよい。
また、スロットル弁を駆動するアクチュエータが電動
のものではなく、例えば負圧を用いたダイヤヘラム等で
あって、スロットル弁の実際の開度が目標開度に一致す
るように上記アクチュエータをフィードバック制御する
場合においても、同フィードバック制御が不能となった
ときには、上記実施例と同様にして目標空気量A/N0と実
測空気量A/Nとの偏差ΔA/Nに基づきフィードバック制御
が可能となる。
[発明の効果] 以上のように本発明によれば、吸気管の吸気流路に設
けられた駆動手段により開閉動作して吸入空気量を調節
するスロットル弁と、このスロットル弁の開度を検出す
るスロットル開度センサと、上記スロットル弁駆動手段
の動作情報を記憶するメモリと、上記吸気管の吸入空気
量を検出するエアフローセンサと、このエアフローセン
サにより検出された吸入空気量に基づき上記スロットル
弁の開度を推定するスロットル開度推定手段と、上記ス
ロットル開度センサにより検出されたスロットル開度と
上記スロットル弁駆動手段の動作情報に基づくスロット
ル開度と上記スロットル開度推定手段により推定された
スロットル開度との3つのスロットル開度判断手段によ
り得られるスロットル開度を比較する比較手段と、この
比較手段により比較される3つのスロットル開度のうち
1つのスロットル開度が他の2つのスロットル開度と所
定の許容値を上回る開度差で異なる場合には該異なる1
つのスロットル開度を示すスロットル開度判断手段を故
障として判定する故障判定手段とを備えて構成したの
で、スロットル弁の全開/全閉位置に拘らず、信頼性の
高いスロットル開度センサの故障検出を運転中連続的に
行なうことが可能になるエンジン吸気系における故障診
断装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
第1図(A)は本発明のエンジン吸気系における故障診
断装置の一実施例に係わる車両の加速スリップ防止装置
の全体的な構成図、第1図(B)は第1図(A)のエン
ジン吸気系を示す構成図、第2図は第1図のトラクショ
ンコントローラの制御を機能ブロック毎に分けて示した
ブロック図、第3図は求心加速度GYと変数KGとの関係
を示す図、第4図は求心加速度GYと変数Krとの関係を示
す図、第5図は求心加速度GYとスリップ補正量Vgとの関
係を示す図、第6図は求心加速度の時間的変化量ΔGYと
スリップ補正量Vdとの関係を示す図、第7図乃至第12図
はそれぞれ車体速度VBと変数Kvとの関係を示す図、第1
3図はブレーキ制御開始時から変数KBの経時変化を示す
図、第14図はスリップ量の時間的変化量GFR(GFL)と
ブレーキ液圧の変化量ΔPとの関係を示す図、第15図及
び第18図はそれぞれスリップ率Sと路面の摩擦係数μと
の関係を示す図、第16図はTlim−t特性を示す図、第17
図はTlim−VB特性を示す図、第19図は旋回時の車両の
状態を示す図、第20図は目標空気量を求めるための目標
エンジントルク−エンジン回転速度マップを示す図、第
21図は目標スロットル開度を求めるための目標空気量−
エンジン回転速度マップを示す図、第22図は比例ゲイン
Kpのエンジン回転速度特性を示す図、第23図は積分ゲイ
ンKiのエンジン回転速度特性を示す図、第24図は微分ゲ
インKdのエンジン回転速度特性を示す図、第25図は変換
ゲインのエンジン回転速度特性を示す図、第26図はスロ
ットル下流圧に応じた吸入空気量−スロットル開度特性
を示す図、第27図は上記トラクションコントローラの故
障判定部における故障判定処理を示すフローチャート、
第28図はスロットル下流圧に応じたスロットル開度の推
定処理を示すフローチャート、第29図はエンジン回転数
に応じたスロットル開度−吸入空気量の特性曲線を示す
図である。 WFR,WFL……駆動輪、WRR,WRL……従動輪、10……アク
セル開度センサ、11〜14……車輪速度センサ、15……ト
ラクションコントローラ、15a……故障判定部、16……
エンジン、22……吸気管、23……スロットル弁THm、24
モータ、25……モータ駆動回路、25a……メモリ、26…
…スロットルポジションセンサ(TPS)、27……スロッ
トルアイドルSW、28……エアフローセンサ(AFS)、29
……負圧センサ、45,46……補正トルク演算部、47c……
基準トルク算出部、50……エンジントルク算出部、51…
…イグニッションSW、69……制御開始/終了判定部、70
……スリップ判定部、71……スリップ判定値記憶部、81
a〜81……燃料噴射インジェクタ、82……エンジンコン
トロールユニット(ECU)、83……エンジン回転セン
サ、84……エンジントルクセンサ、501……下限値設定
部、502……トルク/スロットル開度変換部、503……目
標スロットル開度算出部、504、507……減算部、505…
…PID制御部、506……加算部、A1〜A3……スイッチ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 島田 誠 東京都港区芝5丁目33番8号 三菱自動 車工業株式会社内 (72)発明者 上田 克則 東京都港区芝5丁目33番8号 三菱自動 車工業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−113166(JP,A) 特開 昭62−91644(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】吸気管の吸気流路に設けられ駆動手段によ
    り開閉動作して吸入空気量を調節するスロットル弁と、
    このスロットル弁の開度を検出するスロットル開度セン
    サと、上記スロットル弁駆動手段の動作情報を記憶する
    メモリと、上記吸気管の吸入空気量を検出するエアフロ
    ーセンサと、このエアフローセンサにより検出された吸
    入空気量に基づき上記スロットル弁の開度を推定するス
    ロットル開度推定手段と、上記スロットル開度センサに
    より検出されたスロットル開度と上記スロットル弁駆動
    手段の動作情報に基づくスロットル開度と上記スロット
    ル開度推定手段により推定されたスロットル開度との3
    つのスロットル開度判断手段により得られるスロットル
    開度を比較する比較手段と、この比較手段により比較さ
    れる3つのスロットル開度のうち1つのスロットル開度
    が他の2つのスロットル開度と所定の許容値を上回る開
    度差で異なる場合には該異なる1つのスロットル開度を
    示すスロットル開度判断手段を故障として判定する故障
    判定手段とを具備したことを特徴とするエンジン吸気系
    における故障診断装置。
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