JP2718139B2 - エンジン吸気系における故障診断装置 - Google Patents

エンジン吸気系における故障診断装置

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JP2718139B2
JP2718139B2 JP2297189A JP2297189A JP2718139B2 JP 2718139 B2 JP2718139 B2 JP 2718139B2 JP 2297189 A JP2297189 A JP 2297189A JP 2297189 A JP2297189 A JP 2297189A JP 2718139 B2 JP2718139 B2 JP 2718139B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の目的] (産業上の利用分野) 本発明は、吸気管に設けられたスロットル弁の全開位
置又は全閉位置等の所定のスロットル開度を検知するス
ロットルスイッチの故障判定を行なうエンジン吸気系に
おける故障診断装置に関する。
(従来の技術) 近年、自動車におけるエンジン制御には、電子制御を
導入することが一般化しているが、その一例として、車
両の走行状態に応じて吸気管に設けられたスロットル弁
を電動により開閉制御し、吸入空気量を調節してエンジ
ン出力を制御するエンジン出力制御装置が考えられてい
る。例えば、吸気管に対しアクセルペダルに連動して開
閉動作する主スロットル弁と上記電動により開閉制御さ
れる副スロットル弁とを直列に配した2スロットル方式
のエンジン出力制御装置では、電子制御による吸入空気
量の制限が全く加わらない位置、つまり副スロットル弁
の全開位置を検知するための副スロットル全開スイッチ
が備えられている。この副スロットル全開スイッチは、
副スロットル弁の全開位置を直接デジタルデータとして
コントローラに得ることができるため、スロットル弁の
開閉制御上重要な情報源となるが、それだけにこのスイ
ッチが正常に作動しているか否かを確実に知る必要があ
る。
(発明が解決しようとする課題) そこで、従来、上記副スロットル弁の開度を検出する
摺動式の開度センサを併用し、上記スロットル全開スイ
ッチが検知動作した際の該開度センサによる検出開度を
確認して全開スイッチが正常に作動するか否かを判断し
ているが、開度センサ自身が故障する場合も考えられる
ので、信頼性の高い故障検出を行なうことができない。
本発明は上記課題に鑑みなされたもので、信頼性の高
いスロットルスイッチの故障検出を行なうことが可能に
なるエンジン吸気系における故障診断装置を提供するこ
とを目的とする。
[発明の構成] (課題を解決するための手段及び作用) すなわち本発明に係わるエンジン吸気系における故障
診断装置は、吸気管の吸気流路に設けられ開閉動作して
吸入空気量を調節するスロットル弁と、このスロットル
弁を開閉動作させる電動アクチュエータと、この電動ア
クチュエータの動作情報を記憶するメモリと、上記スロ
ットル弁の所定の開度を検知するスロットルスイッチ
と、同スロットルスイッチの検知結果に基づき上記スロ
ットル弁の開閉状態を開度範囲をもって推定する開度範
囲推定手段と、上記スロットル弁の開度を検出するスロ
ットルセンサと、上記開度推定手段によって推定された
開度範囲と上記スロットルセンサにより検出されたスロ
ットル開度と上記電動アクチュエータの動作情報に基づ
く推定スロットル開度とを比較する比較手段と、上記ス
ロットル開度と上記推定スロットル開度とのいずれもが
上記開度範囲内にないときには上記スロットルスイッチ
を故障として判定し上記スロットル開度が上記開度範囲
内になく且つ上記推定スロットル開度が上記開度範囲内
にあるときには上記スロットルセンサを故障として判定
する故障判定手段とを備えてなるものである。
(実施例) 以下、図面を参照して本発明の一実施例を車両の加速
スリップ防止装置に実施した場合ついて説明する。
第1図(A)は車両の加速スリップ防止装置を示す構
成図である。同図は前輪駆動車を示しているもので、W
FRは前輪右側車輪、WFLは前輪左側車輪、WRRは後輪右
側車輪、WRLは後輪左側車輪を示している。また、11は
前輪右側車輪(駆動輪)WFRの車輪速度VFRを検出する
車輪速度センサ、12は前輪左側車輪(駆動輪)WFLの車
輪速度VFLを検出する車輪速度センサ、13は後輪右側車
輪(従動輪)WRRの車輪速度VRRを検出する車輪速度セ
ンサ、14は後輪左側車輪(従動輪)WRLの車輪速度VRL
を検出する車輪速度センサである。上記車輪速度センサ
11〜14で検出された車輪速度VFR,VFL,VRR,VRLはトラク
ションコントローラ15に入力される。このトラクション
コントローラ15はエンジン16に制御信号を送って加速時
の駆動輪のスリップを防止する制御を行なっている。
第1図(B)は上記エンジン16における吸気系を示す
もので、同図において、21はエアクリーナ、22は吸気
管、22aはサージタンクであり、吸気管22にはアクセル
ペダルによりその開度θmが操作される主スロットル弁
THm23の他に、上記トラクションコントローラ15からの
制御信号によりその開度θsが制御される副スロットル
弁THs24が設けられる。つまり、エアクリーナ21を介し
て導入された吸入空気は、副スロットル弁THs24及び主
スロットル弁THm23を直列に介してサージタンク22aから
吸気弁側に流れるもので、上記副スロットル弁THs24の
開度θsをトラクションコントローラ15からの制御信号
θsoにより、モータ駆動回路25とそのモータ24Mを経て
制御しエンジン16の駆動力を制御している。
ここで、上記モータ24Mには、例えば1ステップに付
き一定角度回動するステップモータを使用するもので、
このモータ24Mの動作角に対応するステップデータは、
モータ駆動回路25内のメモリ25aに対しリアルタイムで
記憶される。この場合、上記メモリ25aにおけるモータ2
4Mのステップデータが(+)方向に変化すれば副スロッ
トル弁THs24は開方向に動作し、また核ステップデータ
が(−)方向に変化すれば副スロットル弁THs24は閉方
向に動作したことになる。
そして、上記主スロットル弁THm23及び副スロットル
弁THs24の開度θm及びθsは、それぞれ主スロットル
ポジションセンサ(TPS1)26及び副スロットルポジショ
ンセンサ(TPS2)27により検出される。また、主スロッ
トル弁THm23にはアクセルペダルの非踏込み状態、つま
りエンジン16のアイドリング状態を検出する主スロット
ルアイドルSW28が、また副スロットル弁THs24には、そ
の全開復帰状態を検知する副フロットル全開SW29がそれ
ぞれ設けられる。さらに、上記エアクリーナ21の下流に
は吸入空気量を検出するためのエアフローセンサ(AF
S)30が設けられ、また、上記サージタンク22aには吸気
弁から燃焼室に燃料混合気に流れ込む際の管内負圧(ブ
ースト圧)を検出する負圧センサ30aが設けられる。こ
れら各センサ26,27,30,30a及びSW28,29からの出力信号
は、何れも上記トラクションコントローラ15に与えられ
る。
第31図は上記副スロットルポジションセンサ27と副ス
ロットル全開SW29の出力特性を対比して示すもので、副
スロットルポジションセンサ29の出力レベルは、副スロ
ットル開度θsが、全閉→全開になるのに比例して直線
的に上昇変化するので、その出力レベルがそのまま副ス
ロットル開度θsとして得られる。また、副スロットル
全開SW29の出力レベルは、副スロットル開度θsの全開
位置近傍において開方向θOUでON,閉方向θOLでOFFとな
るヒステリシス特性を示すので、副スロットル弁THs24
の直前の動作方向に応じてその全開検出位置がθOU又は
θOLとして得られる。
一方、第1図(A)において、17は前輪右側車輪WFR
の制動を行なうホイールシリンダ、18は前輪左側車輪W
FLの制動を行なうホイールシリンダである。通常これら
のホイールシリンダにはブレーキペダル(図示せず)を
操作することで、マスタシリンダ等(図示せず)を介し
て圧油が供給される。トラクションコントロール作動時
には次に述べる別の経路からの圧油の供給を可能として
いる。上記ホイールシリンダ17への油圧源19からの圧油
の供給ハインレットバルブ17iを介して行われ、上記ホ
イールシリンダ17からリザーバ20への圧油の排出はアウ
トレットバルブ17oを介して行われる。また、上記ホイ
ールシリンダ18への油圧源19からの圧油の供給はインレ
ットバルブ18iを介して行われ、上記ホイールシリンダ1
8からリザーバ20への圧油の排出はアウトレットバルブ1
8oを介して行われる。そして、上記インレットバルブ17
i及び18i、上記アウトレットバルブ17o及び18oの開閉制
御は上記トラクションコントローラ15により行われる。
ここで、上記エンジン16の駆動力制御及び駆動輪WF
R,WFLの制動制御によるスリップ防止制御は、駆動輪WF
R,WFLのスリップ量が所定のスリップ判定値αを上回っ
た際に開始され、また、上記スリップ量が所定のスリッ
プ判定値α以下になった際に終了される。
さらに、第1図(A)において、81a〜81dは燃料噴射
インジェクタであり、このインダェクタ81a〜81dの作動
時間つまり燃料噴射量は、エンジンコントロールユニッ
ト(ECU)82において上記エアフローセンサ(AFS)30か
らの信号に基づく吸入空気量に応じて設定される。ま
た、83はエンジン16のクランク軸の回転を検出するエン
ジン回転センサ、84はエンジン16の出力トルクを検出す
るエンジントルクセンサであり、各センサ83,84により
検出されるエンジン回転検出信号及びエンジントルク検
出信号は上記ECU82に出力される。なお、上記トラクシ
ョンコントローラ15はECU82と一体のものでもよい。
次に、第2図を参照して上記トラクションコントロー
ラ15の詳細な構成について説明する。
同図において、11,12は駆動輪WFR,EFLの車輪速度VF
R,VFLを検出する車輪速度センサであり、この車輪速度
センサ11,12により検出された駆動輪速度VFR,VFLは、
何れも高車速選択部31及び平均部32に送られる。高車速
選択部31は、上記駆動輪速度VFR,VFLのうちの高車輪速
度側を選択するもので、この高車速選択部31により選択
された駆動輪速度は、重み付け部33に出力される。ま
た、上記平均部32は、上記車輪速度センサ11,12から得
られた駆動輪速度VFR,VFLから、平均駆動輪速度(VFR
+VFL)/2を算出するもので、この平均部32により算出
された平均駆動輪速度は、重み付け部34に出力される。
重み付け部33は、上記高車速選択部31により選択出力さ
れた駆動輪WFR,WFLの何れか高い方の車輪速度をKG倍
(変数)し、また、重み付け部34は、平均部32により平
均出力された平均駆動輪速度を(1−KG)倍(変数)
するもので、上記各重み付け部33及び34により重み付け
された駆動輪速度及び平均駆動輪速度は、加算部35に与
えられて加算され、駆動輪速度VFが算出される。
ここで、上記変数KGは、第3図で示すように、求心
加速度GYに応じて変化する変数であり、求心加速度GYが
所定値(例えば0.1g)まではその値の大小に比例し、そ
れ以上で「1」になるよう設定される。
一方、車輪速度センサ13,14により検出される従動輪
速度VRR,VRLは、何れも低車速選択部36及び高車速選択
部37に送られる。低車速選択部36は、上記従動輪速度V
RR,VRLのうちの低車輪速度側を選択し、また、高車速選
択部37は、上記従動輪速度VRR,VRLのうちの高車輪速度
側を選択するもので、この低車速選択部36により選択さ
れた低従動輪速度は重み付け部38に、また、高車速選択
部37により選択された高従動輪速度は重み付け部39に出
力される。重み付け部38は、上記低車速選択部36により
選択出力された従動輪WRR,WRLの何れか低い方の車輪速
度をKr倍(変数)し、また、重み付け部39は、上記高車
速選択部37により選択出力された従動輪WRR,WRLの何れ
か高い方の車輪速度を(1−Kr)倍(変数)するもの
で、上記各重み付け部38及び39により重み付けされた従
動輪速度は、加算部40に与えられて加算され、従動輪速
度VRが算出される。この加算部40で算出された従動輪
速度VRは、乗算部40′に出力される。この乗算部40′
は、上記加算算出された従動輪速度VRを(1+α)倍
するもので、この乗算部40′を経て従動輪速度VRR,VRL
に基づく目標駆動輪速度Vφが算出される。
ここで、上記変数Krは、第4図で示すように、求心加
速度GYに応じて「1」〜「0」の間を変化する変数であ
る。
そして、上記加算部35により算出された駆動輪速度V
F、及び乗算部40′により算出された目標駆動輪速度V
φは、減算部41に与えられる。この減算部41は、上記駆
動輪速度VFから目標駆動輪速度Vφを減算し、駆動輪
WFR,WFLのスリップ量DVi′(VF−Vφ)を算出するも
ので、この減算部41により算出されたスリップ量DVi′
は加算部42に与えられる。この加算部42は、上記スリッ
プ量DVi′を、求心加速度GY及びその変化率ΔGYに応じ
て補正するもので、求心加速度GYに応じて変化するスリ
ップ補正量Vg(第5図参照)はスリップ量補正部43から
与えられ、求心加速度GYの変化率ΔGYに応じて変化する
スリップ補正量Vd(第6図参照)はスリップ量補正部44
から与えられる。つまり、加算部42では、上記減算部か
ら得られたスリップ量DVi′に各スリップ補正量Vg,Vdを
加算するもので、この加算部42を経て、上記求心加速度
GY及びその変化率ΔGYに応じて補正されたスリップ量DV
iは、例えば15msのサンプリング時間T毎にTSn演算部45
及びTPn演算部46に送られる。
TSn演算部45における演算部45aは、上記スリップ量DV
iに係数KIを乗算し積分した積分型補正トルクTSn′(=
ΣKI・DVi)を求めるもので、この積分型補正トルクTS
n′は係数乗算部45bに送られる。つまり、上記積分型補
正トルクTSn′は、駆動輪WFR,WFLの駆動トルクに対す
る補正値であり、該駆動輪WFR,WFLとエンジン16との間
に存在する動力伝達機構の変速特性が変化するのに応じ
てその制御ゲインを調整する必要があり、係数乗算部45
bでは、上記演算部45aから得られた積分型補正トルクTS
n′に変速段により異なる係数GKiを乗算し、該変速段に
応じた積弁型補正トルクTSnを算出する。ここで、上記
変数KIは、スリップ量DViに応じて変化する係数であ
る。
一方、TPn演算部46における演算部46aは、上記スリッ
プ量DViに係数Kpを乗算した比例型補正トルクTPn′(=
DVi・Kp)を求めるもので、この比例型補正トルクTPn′
は係数乗算部46bに送られる。つまり、この比例型補正
トルクTPn′も、上記積分型補正トルクTSn′同様、駆動
輪WFR,WFLの駆動トルに対する補正値であり、該駆動輪
WFR,WFLとエンジン16との間に存在する動力伝達機構の
変速特性が変化するのに応じてその制御ゲインを調整す
る必要のあるもので、係数乗算部46bでは、上記演算部4
6aから得られた比例型補正トルクTSn′に変速段により
異なる係数GKpを乗算し、該変速段に応じた比例型補正
トルクTPnを算出する。
一方、上記加算部40により得られる従動輪速度VR
は、車体速度VBとして基準トルク演算部47に送られ
る。この基準トルク演算部47は、まず車体加速度演算部
47aにおいて上記車体速度VBの加速度GBを算出するも
ので、この車体加速度演算部47aにより得られた車体加
速度GBはフィルタ47bを介し車体加速度GBFとして基準
トルク算出部47cに送られる。この基準トル算出部47c
は、上記車体加速度GBF及び車重W及び車輪半径Reに基
づき基準トルクTG(=GBF×W×Re)を算出するもの
で、この基準トルクTGが本来エンジン16が出力すべき
トルク値となる。
上記フィルタ47bは、基準トルク演算部47cで算出され
る基準トルクTGを、時間的にどの程度手前の車体加速
度GBに基づき算出させるかを例えば3段階に定めるも
ので、つまりこのフィルタ47bを通して得られる車体加
速度GBFは、今回検出した車体加速度GBnと前回までの
フィルタ47bの出力である車体加速度GBFn-1とにより、
現在のスリップ率S及び加速状態に応じて算出される。
例えば現在車両の加速度が増加している際にそのスリ
ップ率Sが第15図の範囲「1」で示す状態にある場合に
は、素早く範囲「2」の状態へ移行させるため、車体加
速度GBFは、前回のフィルタ47bの出力であるGBFn-1と
今回検出のGBnとを同じ重み付けで平均して最新の車体
加速度GBFnとして下式(1)により算出される。
GBFn=(GBn+GBFn-1)/2 …(1) また、例えば現在車両の加速度が減少している際にそ
のスリップ率SがS>S1で第15図で示す範囲「2」→
「3」に移行するような場合には、可能な限り範囲
「2」の状態を維持させるため、車体加速度GBFは、前
回のフィルタ47bの出力GBFn-1に重みが置かれて、上式
(1)で算出するときに比べ、前回算出の車体加速度G
BFn-1に近い値を有する車体加速度GBFnとして下式
(2)により算出される。
GBFn=(GBn+7GBFn-1)/8 …(2) さらに、例えば現在車両の加速度が減少している際に
そのスリップ率SがS≦S1で第15図で示す範囲「2」→
「1」に移行したような場合には、可能な限り範囲
「2」の状態に戻すため、車体加速度GBFは、前回のフ
ィルタ47bの出力GBFn-1に更に重みが置かれて、上式
(2)で算出するときに比べ、前回算出の車体加速度G
BFn-1に近い値を有する車体加速度GBFnとして下式
(3)により算出される。
GBFn=(GBn+15GBFn-1)/16 …(3) 次に、上記基準トルク演算部47により算出された基準
トルクTGは、減算部48に出力される。この減算部48
は、上記基準トルク演算部47より得られる基準トルクT
Gから前記TSn演算部45にて算出された積分型補正トルク
TSnを減算するもので、その減算データはさらに減算部4
9に送られる。この減算部49は、上記減算部48から得ら
れた減算データからさらに前記TPn演算部46にて算出さ
れた比例型補正トルクTPnを減算するもので、その減算
データは駆動輪WFR,WFLを駆動する車軸トルクの目標ト
ルクTφとしてスイッチS1を介しエンジントルク算出部
50に送られる。つまり、上記目標トルクTφは下式
(4)による値となる。
Tφ=TG−TSn−TPn …(4) エンジントルク算出部50は、上記減算部49からスイッ
チS1を介して与えられた駆動輪WFR,WFLに対する目標ト
ルクTφを、エンジン16と上記駆動輪車軸との間の総ギ
ア比で除算し目標エンジントルクTeに換算するもので、
この目標エンジントルクTeは下限値設定部501に送られ
る。この下限値設定部501は、上記エンジントルク算出
部50で算出された目標エンジントルクTeの下限値を、例
えば第16図及び第17図に示すように、トラクションコン
トロール開始からの経過時間tあるいは車体速度VBに
応じて変化する下限値Tlimにより制限するもので、この
下限値設定部501により下限値が制限された目標エンジ
ントルクTelは目標空気量算出部502に送られる。この目
標空気量算出部502は、前記エンジン16において上記目
標エンジントルクTelを出力させるための吸気管22にお
ける吸気行程1回当たりの目標空気量(質量)A/Nmを算
出するもので、この目標空気量A/Nmは、エンジン回転速
度Neと上記目標エンジントルクTelとに基づき、第20図
に示すような3次元マップが参照されて求められる。
A/Nm=F[Ne,Tel] ここで、上記A/Nmは吸気行程1回当たりの吸入空気量
(質量)であり、f[Ne,Tel]はエンジン回転速度Ne,
目標エンジントルクTelをパラメータとした3次元マッ
プである。
なお、上記目標空気量(質量)A/Nmは、エンジン回転
速度Neに対して、第21図に示すような係数Kaと目標エン
ジントルクTelとの乗算により下式のようにして得ても
よい。
A/Nm=Ka(Ne)*Tel そして目標空気量算出部502は下式により、上記吸入
空気量(質量)A/Nmを、吸気温度及び大気圧に応じて補
正し、標準大気状態での吸入空気量(体積)A/Nvに換算
する。
A/Nv=(A/Nm)/{Kt(AT)*Kp(AP)} ここで、A/Nvは吸気行程1回当たりの吸入空気量(体
積)、Ktは吸気温度(AT)をパラメータとした密度補正
係数(第22図参照)、Kpは大気圧(AP)をパラメータと
した密度補正係数(第23図参照)である。
こうして上記目標空気量算出部502にて得られた目標
吸入空気量(体積)A/Nvは目標空気量補正部503に送ら
れる。この目標空気量補正部503は下式により、上記目
標空気量算出部502で算出された目標吸入空気量A/Nv
(体積)を吸気温度に応じて補正し、目標空気量A/N0
求める。
A/N0=A/Nv*Ka′(AT) ここで、A/N0は補正後の目標空気量、A/Nvは補正前の
目標空気量、Ka′は吸気温度(AT)による補正係数(第
24図参照)である。
次に、上記目標空気量補正部503により補正出力され
た目標空気量A/N0は等価目標スロットル開度算出部504
に送られる。この等価目標スロットル開度算出部504
は、エンジン回転速度Neと上記目標空気量A/N0とに基づ
き第25図に示すようなマップを参照して等価目標スロッ
トル開度θ0を求めるもので、この等価目標スロットル
開度θ0は目標スロットル開度算出部505に送られる。
ここで、上記等価目標スロットル開度θ0は、前記吸
気管22におけるスロットル弁を1つとした場合に上記目
標空気量A/N0を達成するためのスロットル弁開度であ
る。
そして、目標スロットル開度算出部505は、上記等価
目標スロットル開度θ0と主スロットル弁THm23のスロッ
トル開度θmとに基づき第30図に示すようなマップを参
照して副スロットル弁THs24に対する目標副スロットル
開度θs′を求める。
一方、上記目標空気量補正部53により補正出力された
目標空気量A/N0は減算部506にも送られる。この減算部5
06は、上記目標空気量A/N0と前記エアフローセンサ30に
より所定のサンプリング時間毎に検出される実際の吸入
空気量A/Nとの差ΔA/Nを算出するもので、この目標空気
量A/N0と実空気量A/Nとの偏差ΔA/NはPID制御部507に送
られる。このPID制御部507は、上記空気量偏差ΔA/Nに
相当する上記副スロットル弁THs24の開度補正量Δθを
算出するもので、この副スロットル開度補正量Δθは加
算部508に送られる。
ここで、上記PID制御部507により得られる副スロット
ル開度補正量Δθは、比例制御による開度補正量Δθ
p、積分制御による開度補正量Δθi、微分制御による
開度補正量Δθdを加算したものである。
Δθ=Δθp+Δθi+Δθd Δθp =Kp(Ne)*Kth(Ne)*ΔA/N Δθi =Ki(Ne)*Kth(Ne)*Σ(ΔA/N) Δθd=Kd(Ne)*Kth(Ne)*{ΔA/N−ΔA/Nold} ここで、各係数Kp,Ki,Kdは、それぞれエンジン回転速
度Neをパラメータとした比例ゲイン(第26図参照),積
分ゲイン(第27図参照),微分ゲイン(第28図参照)で
あり、Kthはエンジン回転速度NeをパラメータとしたΔA
/N→Δθ変換ゲイン(第29図参照)、ΔA/Nは目標空気
量A/N0と実際の空気量A/Nとの偏差、ΔA/Noldは1回前
のサンプリングタイミングでのΔA/Nである。
そして、上記加算部508は、目標スロットル開度算出
部505で算出された目標副スロットル開度θs′と上記P
ID制御部507で算出された副スロットル開度補正量Δθ
とを加算し、フィードバック補正された目標副スロット
ル開度θsoを算出する。この目標副スロットル開度θso
は、副スロットル弁開度信号として前記モータ駆動回路
25に送られ、副スロットル弁THs24の開度θsが制御さ
れる。
一方、前記車輪速度センサ13,14により検出された従
動輪WRR,WRLの車輪速度VRR,VRLは、求心加速度演算部
53に送られる。この求心加速度演算部53は、車両の旋回
度を判断するための求心加速度GY′を求めるもので、こ
の求心加速度GY′は求心加速度補正部54に送られる。こ
の求心加速度補正部54は、上記求心加速度GY′を車速に
応じて補正し求心加速度GYを求める。
GY=Kv・GY′ ここで、Kvは第7図乃至第12図で示すように、車速に
応じて変化する係数である。
ところで、前記高車速選択部37から出力される大きい
方の従動輪車輪速度は減算部55に送られ、右駆動輪WFR
の車輪速度VFRから減算される。また、上記高車速選択
部37から出力される大きい方の従動輪車輪速度はは減算
部56に送られ、左駆動輪WFLの車輪速度VFLから減算さ
れる。そして、減算部55による減算出力は乗算部57に送
られ、また、減算部56による減算出力は乗算部58に送ら
れる。上記乗算部57は減算部55からの減算出力をKB倍
(0<KB<1)し、また、乗算部58は乗算部56からの
乗算出力を(1−KB)倍するもので、このそれぞれの
乗算出力は加算部59に送られて加算され右駆動輪WFRの
スリップ量DVFRが求められる。
一方、減算部56による減算出力は乗算部60に送られ、
また、減算部55による減算出力は乗算部61に送られる。
上記乗算部60は減算部56からの乗算出力をKB倍(0<
KB<1)し、また、乗算部61は減算部55からの減算出
力を(1−KB)倍するもので、このそれぞれの乗算出
力は加算部62に送られて加算され左駆動輪WFLのスリッ
プ量DVFLが求められる。
ここで、上記KBは、第13部に示すように、トラクシ
ョンコントロールの制御開始からの経過時間tに応じて
変化する変数であり、この場合、トラクションコントロ
ールの制御開始時にはKB=「0.5」とし、その制御が進
むに従ってKB=「0.8」に近付くよう設定する。つま
り、右駆動輪=WFR,WFLのブレーキ制御を全く独立にす
ると、一方の駆動輪だけにブレーキが掛かってその回転
が減少した際、デファレンシャルギアの作用により、今
度は反対側の駆動輪がスリップしてブレーキが掛かるこ
とになり、この動作が繰返されるのを防止するよう構成
する。
次に、上記加算部59により得られる右駆動輪WFRのス
リップ量DVFRは微分部63に送られる。また、上記加算部
62により得られる左駆動輪WFLのスリップ量DVFLは微分
部64に送られる。この微分部63,64は、それぞれ対応す
る駆動輪のスリップ量DVFR,DVFLを微分してその時間的
変化量、つまりスリップ加速度GFR,GFLを求めるもの
で、この右駆動輪WFRのスリップ加速度GFRはブレーキ
液圧変化量(ΔP)算出部65に、また、左駆動輪WFLの
スリップ加速度GFLはブレーキ液圧変化量(ΔP)算出
部66に送られる。このブレーキ液圧変化量(ΔP)算出
部65,66は、第14図に示すようなGFR(GFL)−ΔP変
換マップに基づき、各駆動輪WFR,WFLのスリップ加速度
GFR,GFLを抑制するためのブレーキ液圧変化量ΔPを求
めるもので、この左右駆動輪WFR,WFLに対するブレーキ
液圧変化量ΔPはそれぞれΔP−T変換部67,68に送ら
れる。このΔP−T変換部67,68は、各対応する駆動輪
のブレーキ液圧変化量ΔPを前記第1図(A)における
インレットバルブ17i,18iの開時間Tに変換するもの
で、ΔP−T変換部67により得られた開時間Tに応じて
右駆動輪WFR用のインレットバルブ17iを開制御し、ま
た、ΔP−T変換部68により得られた開時間Tに応じて
左駆動輪WFL用のインレットバルブ18iを開制御する。
なお、上記第14図に示すGFR(GFL)−ΔP変換マッ
プにおいて破線aに基づく変換値は、旋回時においてブ
レーキ制御を行なう際に、内側駆動輪に対するブレーキ
制御を強化するためのものである。
一方、上記目標トルクTφが算出される減算部49から
エンジントルク算出部50の間には、スイッチS1が介在さ
れ、また、ブレーキ液圧変化量(ΔP)算出部65,66か
らΔP−T変換部67,68の間には、それぞれスイッチS2
a,S2bが介在される。上記各スイッチS1,S2a,S2bは、そ
れぞれ後述するスリップ制御の開始/終了条件が満たさ
れると閉成/開成されるもので、このスイッチS1,S2a,S
2bは、何れも制御開始/終了判定部69により開閉制御さ
れる。この制御開始/終了判定部69には、スリップ判定
部70からのスリップ判定信号が与えられる。このスリッ
プ判定部70は、前記駆動輪速度VFと従動輪速度VRとに
基づき減算部41及び加算部42を通して得られるスリップ
量DViが、スリップ判定値記憶部71で予め記憶されるス
リップ判定値αを上回ったか否かを判定するもので、こ
のスリップ判定信号が制御開始/終了判定部69に対して
与えられる。
ここで、上記制御開始/終了判定部69は、スリップ判
定部70からスリップ判定信号(DVi>α)が入力された
際に制御開始信号を出力し、上記スイッチS1,S2a,S2bを
閉成させる。また、制御開始/終了判定部69は、スリッ
プ判定部70から非スリップ判定信号(DVi≦α)が入力
された際に制御終了信号を出力し、スイッチS1,S2a,S2b
を開成させる。
また、上記トラクションコントローラ15の内部には、
さらに故障判定部15aが備えられる。この故障判定部15a
は、例えばエンジン16の始動時あるいは上記スリップ制
御終了の際に、前記第1図(B)における副スロットル
全開SW29や副スロットルポジションセンサ24等が故障し
ているか否かを判定するもので、この故障判定部15aに
は、イグニッションSW51からのキーON信号を始めとし
て、副スロットル全開SW29からの副スロットル全開検知
信号、副スロットルポジションセンサ27からの副スロッ
トル開度検出信号、モータ駆動回路25内メモリ25aから
の副スロットル開度を示すモータステップデータが与え
られる。また、上記制御開始/終了判定部69からは、ス
リップ制御の終了信号が与えられる。
次に、上記のように構成された車両の加速スリップ防
止装置の動作について説明する。
第1図及び第2図において、車輪速度センサ13,14か
ら出力される従動輪(後輪)の車輪速度は高車速選択部
36,低車速選択部37,求心加速度演算部53に入力される。
上記低車速選択部36においては従動輪の左右輪のうち小
さい方の車輪速度が選択され、上記高車速選択部37にお
いては従動輪の左右輪のうち大きい方の車輪速度が選択
される。通常の直線走行時において、左右の従動輪の車
輪速度が同一速度である場合には、低車速選択部36及び
高車速選択部37からは同じ車輪速度が選択される。ま
た、求心加速度演算部53においては左右の従動輪の車輪
速度が入力されており、その左右の従動輪の車輪速度か
ら車両が旋回している場合の旋回度、つまりどの程度急
な旋回を行なっているかの度合いが算出される。
以下、求心加速度演算部53においてどのように求心加
速度が算出されるかについて説明する。前輪駆動車では
後輪が従動輪であるため、駆動によるスリップに関係な
くその位置での車体速度を車輪速度センサにより検出で
きるので、アッカーマンジオメトリを利用することがで
きる。つまり、定常旋回においては求心加速度GY′は GY′=v2/r …(5) (v=車速,r=旋回半径)として算出される。
例えば、第19図に示すように車両が右に旋回している
場合において、旋回の中心をMoとし、旋回の中心Moから
内輪側(WRR)までの距離をr1とし、トレッドをΔrと
し、内輪側(WRR)の車輪速度をv1とし、外輪側(WR
L)の車輪速度をv2とした場合に、 v2/v1=(Δr+r1)/r1 …(6) とされる。
そして、上記(6)式を変形して 1/r1=(v2−v1)/Δr・v1 …(7) とされる。そして、内輪側を基準とすると求心加速度G
Y′は GY′=v12/r1=v12・(v2−v1)/Δr・v1=v1・(v2
−v1)/Δr …(8) として算出される。
つまり、第(8)式により求心加速度Gら′が算出さ
れる。ところで、旋回時には内輪側の車輪速度v1は外輪
側の車輪速度v2より小さいため、内輪側の車輪速度v1を
用いて求心加速度GY′を算出しているので、求心加速度
GY′は実際より小さく算出される。従って、重み付け部
33で乗算される係数KGは求心加速度GY′が小さく見積
られるために、小さく見積もられる。従って、駆動輪速
度VFが小さく見積もられるために、スリップ量DVi′
(VF−Vφ)も小さく見積もられる。これにより、目
標トルクTφが大きく見積もられるために、目標エンジ
ントルクが大きく見積もられることにより、旋回時にも
充分な駆動力を与えるようにしている。
ところで、極低速時の場合には、第19図に示すよう
に、内輪側から旋回の中心M0までの距離はr1であるが、
速度が上がるに従ってアンダーステアする車両において
は、旋回の中心はMに移行し、その距離はr(r>r1)
となっている。このように速度が上がった場合でも、旋
回半径をr1として計算しているために、上記第(8)式
に基づいて算出された求心加速度GY′は実際よりも大き
い値として算出される。このため、求心加速度演算部53
において算出された求心加速度GY′は求心加速度補正部
54に送られて、高速では求心加速度GYが小さくなるよう
に、求心加速度GY′に第7図の係数Kvが乗算される。こ
の変数Kvは車速に応じて小さくなるように設定されてお
り、第8図あるいは第9図に示すように設定しても良
い。このようにして、求心加速度補正部54より補正され
た求心加速度GYが出力される。
一方、速度が上がるに従って、オーバステアする(r
<r1)車両においては、上記したアンダーステアする車
両とは全く逆の補正が求心加速度補正部54において行わ
れる。つまり、第10図ないし第12図のいずれかの変数Kv
が用いられて、車速が上がるに従って、上記求心加速度
演算部53で算出された求心加速度GY′を大きくなるよう
に補正している。
ところで、上記低車速選択部36において選択された小
さい方の車輪速度は重み付部38において第4図に示すよ
うに変数Kr倍され、高車速選択部37において選択された
高車速は重み付け部39において変数(1−Kr)倍され
る。変数Krは求心加速度GYが例えば0.9gより大きくなる
ような旋回時に「1」となるようにされ、求心加速度GY
が0.4gより小さくなると「0」に設定される。
従って、求心加速度GYが0.9gより大きくなるような旋
回に対しては、低車速選択部36から出力される従動輪の
うち低車速の車輪速度、つまり選択時における内輪側の
車輪速度が選択される。そして、上記重み付け部38及び
39から出力される車輪速度は加算部40において加算され
て従動輪速度VRとされ、さらに上記従動輪速度VRは乗
算部40′において(1+α)倍されて目標駆動輪速度V
φとされる。
また、駆動輪の車輪速度のうち大きい方の車輪速度が
高車速選択部31において選択された後、重み付け部33に
おいて第3図に示すように変数KG倍される。さらに、
平均部32において算出された駆動輪の平均車速(VFR+
VFL)/2は重み付け部34において、(1−KG)倍さ
れ、上記重み付け部33の出力と加算部35において加算さ
れて駆動輪速度VFとされる。従って、求心加速度GYが
例えば0.1g以上となると、KG=1とされるため、高車
速選択部31から出力される2つの駆動輪のうち大きい方
の駆動輪の車輪速度が出力されることになる。つまり、
車両の旋回度が大きくなって求心加速度GYが例えば、0.
9g以上になると、「KG=Kr=1」となるために、駆動
輪側は車輪速度の大きい外輪側の車輪速度を駆動輪速度
VFとし、従動輪側は車輪速度の小さい内輪側の車輪速
度を従動輪速度VRとしているために、減算部41で算出
されるスリップ量DVi′(=VF−Vφ)を大きく見積も
っている。従って、目標トルクTφは小さく見積もるた
めに、エンジンの出力が低減されて、スリップ率Sを低
減させて第18図に示すように横力Aを上昇させることが
でき、旋回時のタイヤのグリップ力を上昇させて、安全
な旋回を行なうことができる。
上記スリップ量DVi′はスリップ量補正部43におい
て、求心加速度GYが発生する旋回時のみ第5図に示すよ
うなスリップ補正量Vgが加算されると共に、スリップ量
補正部44において第6図に示すようなスリップ量Vdが加
算される。例えば、直角に曲がるカーブの旋回を想定し
た場合に、旋回の前半においては求心加速度GY及びその
時間的変化率ΔGYは正の値となるが、カーブの後半にお
いては求心加速度GYの時間的変化率ΔGYは負の値とな
る。従って、カーブの前半においては加算部42におい
て、スリップ量DVi′に第5図に示すスリップ補正量Vg
(>0)及び第6図に示すスリップ補正量Vd(>0)が
加算されてスリップ量DViとされ、カーブの後半におい
てはスリップ補正量Vg(>0)及びスリップ補正量Vd
(<0)が加算されてスリップ量DViとされる。従っ
て、旋回の後半におけるスリップ量DViは旋回の前半に
おけるスリップ量DViよりも小さく見積もることによ
り、旋回の前半においてはエンジン出力を低下させて横
力を増大させ、旋回の後半においては、前半よりもエン
ジン出力を回復させて車両の加速性を向上させるように
している。
このようにして、補正されたスリップ量DViは例えば1
5msのサンプリング時間TでTSn演算部45に送られる。こ
のTSn演算部45内において、スリップ量DViが係数KIを乗
算されながら積分されて補正トルクTSnが求められる。
つまり、 TSn=GKiΣKI・DVi(KIはスリップ量DViに応じて変化す
る係数である) としてスリップ量DViの補正によって求められた補正ト
ルク、つまり積分型補正トルクTSnが求められる。
また、上記スリップ量DViははサンプリング時間T毎
にTPn演算部46に送られて、補正トルクTPnが算出され
る。つまり、 TPn=GKpDVi・Kp(Kpは係数) としてスリップ量DViにより補正された補正トルク、つ
まり比例型補正トルクTPnが求められる。
また、上記係数乗算部45b,46bにおける演算に使用す
る係数GKi,GKpの値は、シフトアップ時には変速開始か
ら設定時間後に変速後の変速段に応じた値に切替えられ
る。これは変速開始から実際に変速段が切替わって変速
を終了するまで時間がかかり、シフトアップ時に、変速
開始とともに変速後の高速段に対応した上記係数GKi,GK
pを用いると、上記補正トルクTSn,TPnの値は上記高速段
に対応した値となるため実際の変速が終了してないのに
変速開始前の値より小さくなり目標トルクTφが大きく
なってしまって、スリップが誘発されて制御が不安定と
なるためである。
また、上記加算部40から出力される従動輪速度VRは
車体速度VBとして基準トルク演算部47に入力される。
そして、車体加速度演算部47aにおいて、車体速度の加
速度VB(GB)が演算される。そして、上記車体加速度
演算部47aにおいて算出された車体速度の加速度GBはフ
ィルタ47bにより構成のところで説明したように、
(1)式乃至(3)式の何れかのフィルタがかけられ
て、加速度GBの状態に応じてGBFを最適な位置に止ど
めるようにしている。そして、基準トルク算出部47cに
おいて、基準トルクTG(=GBF×W×Re)が算出され
る。
そして、上記基準トルクTGと上記積分型補正トルクT
Snとの減算は減算部48において行われ、さらに上記比例
型補正トルクTPnが減算部49において減算される。この
ようにして、目標トルクTφは、 Tφ=TG−TSn−TPnとして算出される。
この目標トルクTφ、つまり車軸トルクTφは、スイ
ッチS1を介してエンジントル算出部50に与えられ、目標
エンジントルクTeに換算される。この目標エンジントル
クTeは、エンジントルクの下限値Tlimを設定している下
限値設定部501において、その目標エンジントルクTeの
下限値が制限される。そして、この下限値の制限された
目標エンジントルクTelは、目標空気量算出部502に送ら
れて該目標エンジントルクTelを出力するための目標空
気量(質量)A/Nmが算出される。また、目標空気量算出
部502では、上記吸入空気量A/Nm(質量)が吸気温度及
び大気圧により補正されて標準大気圧状態での吸入空気
量A/Nv(体積)に換算される。
このようにして算出された目標吸入空気量A/Nv(体
積)は、目標空気量補正部503において吸気温による補
正が行われ、目標空気量A/N0とされる。
そして、目標空気量補正部503から出力される目標空
気量A/N0は、等価目標スロットル開度算出部504に送ら
れ、第25図のマップが参照されてエンジン回転速度Neと
目標空気量A/N0に対する等価目標スロットル開度θ0
求められる。
この等価目標スロットル開度θ0は、目標スロットル
開度算出部505に送られ、第30図のマップが参照されて
主スロットル弁THm23のスロットル開度がθmである場
合の副スロットル弁THs24に対する目標スロットル開度
θs′が算出される。
一方、上記目標空気量補正部503から補正出力された
目標空気量A/N0は、減算部506に送られ、所定のサンプ
リング時間毎に前記エアフローセンサ30で検出される現
在の空気量A/Nとの差ΔA/Nが算出される。このΔA/NはP
ID制御部507に送られてPID制御が行なわれ、該ΔA/Nに
相当する開度補正量Δθが算出される。この開度補正量
Δθは加算部508において、上記目標副スロットル開度
θs′と加算され、フィードバック補正された目標副ス
ロットル開度θsoが算出される。
上記のようにして求められた目標副スロットル開度θ
soは、副スロットル弁開度信号として前記モータ駆動回
路25に送られ、副スロットル弁THs24の開度θsが制御
される。
ところで、上記高車速選択部37から出力される大きい
方の従動輪車輪速度が減算部55において駆動輪の車輪速
度VFRから減算される。さらに、上記高車速選択部37か
ら出力される大きい方の車輪速度が減算部56において駆
動輪の車輪速度VFLから減算される。従って、減算部55
及び56の出力を小さく見積もるようにして、旋回中にお
いてもブレーキを使用する回数を低減させ、エンジント
ルクの低減により駆動輪のスリップを低減させるように
している。
上記減算部55の出力は乗算部57においてKB倍(0<
KB<1)され、上記減算部56の出力は乗算部58におい
て(1−KB)倍された後、加算部59において加算され
て右側駆動輪のスリップ量DVFRとされる。また同時に、
上記減算部56の出力は乗算部60においてKB倍され、上
記減算部55の出力は乗算部61において(1−KB)倍さ
れた後加算部62において加算されて左側の駆動輪のスリ
ップ量DVFLとされる。上記変数KBは第13図に示すよう
にトラクションコントロールの制御開始からの経過時間
tに応じて変化するもので、トラクションコントロール
の制御開始時には「0.5」とされ、トラクションコント
ロールの制御が進むに従って、「0.8」に近付くように
設定されている。つまり、ブレーキにより駆動輪のスリ
ップを低減させる場合には、制動開始時においては、両
車輪に同時にブレーキを掛けて、例えばスプリット路で
のブレーキ制動開始時の不快なハンドルショックを低減
させることができる。一方、ブレーキ制御が継続されて
行われて、上記KBが「0.8」となった場合の動作につい
て説明する。この場合、一方の駆動輪だけにスリップが
発生したとき他方の駆動輪でも一方の駆動輪の20%分だ
けスリップが発生したように認識してブレーキ制御を行
なうようにしている。これは、左右駆動輪のブレーキを
全く独立にすると、一方の駆動輪にのみブレーキがかか
って回転が減少するとデフの作用により今度は反対側の
駆動輪がスリップしてブレーキがかかり、この動作が繰
返えされて好ましくないためである。上記右側駆動輪の
スリップ量DVFRは微分部63において微分されてその時間
的変化量、つまりスリップ加速度GFRが算出されると共
に、上記左側駆動輪のスリップ量DVFLは微分部64におい
て微分されてその時間的変化量、つまりスリップ加速度
GFLが算出される。そして、上記スリップ加速度GFRは
ブレーキ液圧変化量(ΔP)算出部65に送られて、第14
図に示すCFR(GFL)−ΔP変換マップが参照されてス
リップ加速度GFRを抑制するためのブレーキ液圧の変化
量ΔPが求められる。また、同様に、スリップ加速度G
FLはブレーキ液圧変化量(ΔP)算出部66に送られて、
第14図に示すGFR(GFL)−ΔP変換マップが参照され
て、スリップ加速度GFLを抑制するためのブレーキ液圧
の変化量ΔPが求められる。
さらに、上記ΔP算出部65から出力されるスリップ加
速度GFRを抑制するためのブレーキ液圧の変化量ΔP
は、スイッチS2aの閉成時、つまり制御開始/終了判定
部69による制御開始条件成立判定の際にインレットバル
ブ17iの開時間Tを算出するΔP−T変換部67に与えら
れる。つまり、このΔP−T変換部67において算出され
たバルブ開時間Tが、右側駆動輪WFRのブレーキ作動時
間RFとされる。また、同様に、上記ΔP算出部66から出
力されるスリップ加速度GFLを抑制するためのブレーキ
液圧の変化量ΔPは、スイッチS2bの閉成時、つまり制
御開始/終了判定部69による制御開始条件成立判定の際
にインレットバルブ18iの開時間Tを算出するΔP−T
変換部68に与えられる。つまり、このΔP−T変換部68
において算出されたバルブ開時間Tが、左側駆動輪WFL
のブレーキ作動時間FLとされる。これにより、左右の駆
動輪WFR,WFLにより以上のスリップが生じることが抑制
される。なお、第14図において、旋回時にブレーキを掛
ける場合には、内輪側の駆動輪のブレーキを強化するた
めに、旋回時の内輪側は破線aで示すようになってい
る。このようにして、旋回時において荷重移動が外輪側
に移動して、内輪側がすべり易くなっているのを、ブレ
ーキ液圧の変化量ΔPを内輪側を外輪側よりも大きめと
することにより、旋回時に内輪側がすべるのを防止させ
ることができる。
ここで、例えば車両が圧雪路等の低μ路上で発進加速
する際に、アクセルペダルの踏込みに伴うエンジン出力
の上昇により、駆動輪WFR,WFLに加速スリップが生じ、
そのスリップ量DViがスリップ判定値記憶部71に予め記
憶されるスリップ判定値αを上回ると、スリップ判定部
70から制御開始/終了判定部69に対しスリップ判定信号
(DVi>α)が出力される。すると、制御開始/終了判
定部69では、駆動輪のスリップ抑制制御が必要になった
と判定し、スイッチS1及びS2a,S2bを閉成させる。これ
により、上記駆動輪WFR,WFLのスリップ量DVに応じたエ
ンジントルク制御、並びに制動制御によるスリップ制御
が開始される。
一方、上記スリップ制御が開始された後の状態におい
て、例えばアクセルペダルの戻し操作による主スロット
ル弁THm23の閉じ動作に伴い、エンジン出力トルクが低
下して駆動輪WFR,WFLのスリップ要因が解消され、その
スリップ量DViがスリップ判定値記憶部71で予め記憶さ
れるスリップ判定値α以下になると、スリップ判定部70
から制御開始/終了判定部69に対しスリップ判定信号
(DVi≦α)が出力される。すると、制御開始/終了判
定部69では、駆動輪のスリップ抑制制御が不要になった
と判定し、スイッチS1及びS2a,S2bを開成させる。これ
により、上記駆動輪WFR,WFLのスリップ量DVに応じたエ
ンジントルク制御、並びに制動制御によるスリップ制御
が終了される。
ここで、上記制御開始/終了判定部69により制御終了
判定が成された場合には、副スロットル弁THs24の開度
θsは徐々に全開方向に制御され、副スロットル全開SW
29から全開検知信号(オン)が得られた状態で待機され
る。
次に、上記トラクションコントローラ15に備えられる
故障判定部15aの故障判定動作について説明する。
第32図は故障判定のイニシャル処理を示すフローチャ
ート、第33図は故障判定処理を示すフローチャートであ
る。
まず、ドライバがエンジン16を始動する際にイグニッ
ションキーを操作すると、イグニッションSW51からのキ
ーON信号が故障判定部15aに対し出力され、故障判定部1
5aは上記第32図における故障判定イニシャル処理を実行
する。
すなわち、イグニッションSW51がONされると、ステッ
プS1において、副スロットル全開SW29から得られる出力
信号がONか否か判断され、「YES」、つまり副スロット
ル全開SW29は全開検知位置にあると判断されると、ステ
ップS4に進み、第33図における故障判定処理に移行す
る。
また、上記ステップS1において「NO」、つまり、副ス
ロットル全開SW29は全開検知位置(第31図におけるθOL
以上)にないと判断されると、ステップS2において、モ
ータ駆動回路25からのモータステップデータに基づき、
副スロットル弁THs24が全閉位置から全開位置に達する
に充分なだけ動作したか否か判断され、「NO」、つまり
副スロットル全開SW29は全開検知位置まで達していない
と判断されると、ステップS3において副スロットル弁TH
s24がモータ駆動回路25からのパルス信号により1ステ
ップずつ全開方向に駆動され、ステップS1において「YE
S」、つまり、副スロットル全開SW29がONしたと判断さ
れると、ステップS4に進み、第33図における故障判定処
理に移行する。
こうして、第32図における故障判定イニシャル処理に
おいて、副スロットル全開SW29から全開検知信号“ON"
が出力されることで、第33図における故障判定処理に移
行すると、まず、ステップA1において「YES」と判断さ
れステップA2に進む。このステップA2では、モータ駆動
回路25からのモータステップデータに基づき、副スロッ
トル弁THs24の直前の動作方向が全開方向か否か判断さ
れるもので、この場合、例えば前記ステップS2及びS3に
おける全開駆動処理により副スロットル弁THs24は全開
検知位置に達したとして「YES」と判断されると、ステ
ップA3aに進み、この副スロットル弁THs24の全開検知下
限位置θLがθOUに設定される。つまり、副スロットル
弁THs24が直前に全開方向に動作して全開検知位置に達
した状態では、第31図により、少なくとも副スロットル
弁THs24の開度θsはθOU以上にあることになる。
一方、上記ステップA2において「NO」、つまり、副ス
ロットル弁THs24は直前に全閉方向に動作したが全開検
知位置内にあると判断されると、ステップA3bに進み、
その全開検知下限位置θLがθOLに設定される。つま
り、副スロットル弁THs24が直前に全閉方向に動作して
も依然として全開検知位置に存在する状態では、第31図
により、少なくとも副スロットル弁THs24の開度θsは
θOL以上にあることになる。
こうして、副スロットル弁THs24の全開検知下限位置
θLが設定されると、ステップA4に進み、上記下限位置
θLから許容誤差δ1を引いた値を副スロットルポジショ
ンセンサ27により得られる副スロットル開度θPが上回
るか否か(θP>θL−δ1)の比較が行なわれる。。こ
のステップA4において「YES」、つまり副スロットル全
開SW29がONした際に考えられる副スロットル開度θsの
実際の下限位置θL(−δ1)を副スロットルポジション
センサ27による副スロットル検出開度θPが上回れば、
副スロットル全開SW29及び副スロットルポジションセン
サ27による副スロットル開度情報は一致したことにな
り、副スロットル全開SW29による全開側検知動作は正常
であるとして再び前記第32図におけるイニシャル処理
(ステップS5〜)に移行する。
一方、上記ステップA4において「NO」、つまり、副ス
ロットル全開SW29がONした際に考えられる副スロットル
開度θsの実際の下限位置θL(−δ1)を副スロットル
ポジションセンサ27による副スロットル検出開度θP
上回らず、副スロットル全開SW29に対する副スロットル
ポジションセンサ27の副スロットル開度情報が一致しな
いと判断されると、ステップA5に進み、上記下限位置θ
Lから許容誤差δ2を引いた値をモータ駆動回路25からの
モータステップデータに基づき得られる副スロットル開
度θMが上回るか否か(θM>θL−δ2)の比較が行なわ
れる。このステップA5において「YES」、つまり上記ス
テップA4において、副スロットル全開SW29に対する副ス
ロットルポジションセンサ27の副スロットル開度情報θ
Pが一致しないにも拘らず、このステップA5において
は、モータステップデータに基づく副スロットル開度情
報θMが一致したと判断されると、副スロットル全開SW2
9,副スロットルポジションセンサ27,副スロットル駆動
モータ24Mのそれぞれから得られる開度情報のうち、副
スロットルポジションセンサ27から得られる開度情報θ
Pのみが異常値を示したことになる。よって、故障判定
部15aは、ステップA6aにおいて、副スロットルポジショ
ンセンサ27を故障と判定し故障フラグAをセットする。
また、上記ステップA5において「NO」、つまり上記ス
テップA4において、副スロットル全開SW29に対する副ス
ロットルポジションセンサ27の副スロットル開度情報θ
Pが一致せず、しかも、モータステップデータに基づく
副スロットル開度情報θMにも一致しないと判断される
と、副スロットル全開SW29は、降るスロットルポジショ
ンセンサ27及び副スロットル駆動モータ24Mの何れの開
度情報にも一致しないことになり、副スロットル全開SW
29は異常信号を出力したことになる。よって、故障判定
部15aは、ステップA6bにおいて、副スロットル全開SW29
を故障と判定し故障フラグBをセットする。
こうして、副スロットル全開SW29を全開側にした故障
判定処理が終了すると、前記第32図の故障判定イニシャ
ル処理におけるステップS5に移行する。
すると、ステップS5において、副スロットル全開SW29
から得られる出力信号がOFFか否か判断され、「YES」、
つまり副スロットル全開SW29は全開検知位置にないと判
断されると、ステップS8に進み、再び前記第33図におけ
る故障判定処理に移行する。
また、上記ステップS5において「NO」、つまり、副ス
ロットル全開SW29は全開検知位置(第31図におけるθOL
以上)にあると判断されると、ステップS6において、モ
ータ駆動回路25からのモータステップデータに基づき、
副スロットル弁THs24が全開位置から全閉位置に達する
に充分なだけ動作したか否か判断され、「NO」、つまり
副スロットル全開SW29は全閉検知位置まで達していない
と判断されると、ステップS7において副スロットル弁TH
s24がモータ駆動回路25からのパルス信号により1ステ
ップずつ全閉方向に駆動され、ステップS5において「YE
S」、つまり、副スロットル全開SW29にOFFしたと判断さ
れると、ステップS8に進み、第33図における故障判定処
理に移行する。
こうして、第32図における故障判定イニシャル処理に
おいて、副スロットル全開SW29から検知信号“OFF"が出
力されることで、第33図における故障判定処理に移行す
ると、まず、ステップA1において「NO」と判断されステ
ップA7に進む。このステップA7では、モータ駆動回路25
からのモータステップデータに基づき、副スロットル弁
THs24の直前の動作方向が全開方向か否か判断されるも
ので、この場合、例えば前記ステップS6及びS7における
全閉駆動処理により副スロットル弁THs24は前記全開検
知位置から脱したとして「NO」と判断されると、ステッ
プA8bに進み、この副スロットル弁THs24の検知上限位置
θUがθOLに設定される。つまり、副スロットル弁THs24
が直前に全閉方向に動作して全開検知位置を脱した状態
では、第31図により、少なくとも副スロットル弁THs24
の開度θSはθOL以下にあることになる。
一方、上記ステップA7において「YES」、つまり、副
スロットル弁THs24は直前に全開方向に動作したが全開
検知位置までは達してないと判断されると、ステップA8
aに進み、その検知上限位置θUがθOUに設定される。つ
まり、副スロットル弁THs24が直前に全開方向に動作し
たが全開検知位置までは達していない状態では、第31図
により、少なくとも副スロットル弁THs24の開度θsは
θOU以下にあることになる。
こうして、副スロットル弁THs24の副スロットル全開S
W29に基づく検知上限位置θUが設定されると、ステップ
A9に進み、上記上限位置θUに許容誤差δ1を加えた値を
副スロットルポジションセンサ27により得られる副スロ
ットル開度θPが下回るか否か(θP<θU+δ1)の比較
が行なわれる。このステップA9において「YES」、つま
り副スロットル全開SW29がOFFした際に考えられる副ス
ロットル開度θSの実際の上限位置θU(+δ1)を副ス
ロットルポジションセンサ27による副スロットル検出開
度θPが下回れば、副スロットル全開SW29及び副スロッ
トルポジションセンサ27による副スロットル開度情報は
一致したことになり、副スロットル全開SW29による非全
開側検知動作は正常であるとして次の処理、例えばエン
ジンスタート処理に移行する。
一方、上記ステップA9において「NO」、つまり、副ス
ロットル全開SW29がOFFした際に考えられる副スロット
ル開度θSの実際の上限位置θU(+δ1)を副スロット
ルポジションセンサ27による副スロットル検出開度θP
が下回らず、副スロットル全開SW29に対する副スロット
ルポジションセンサ27の副スロットル開度情報が一致し
ないと判断されると、ステップA10に進み、上記上限位
置θUに許容誤差δ2を加えた値をモータ駆動回路25から
のモータステップデータに基づき得られる副スロットル
開度θMが下回るか否か(θM<θU+δ2)の比較が行な
われる。このステップA10において「YES」、つまり上記
ステップA9において、副スロットル全開SW29に対する副
スロットルポジションセンサ27の副スロットル開度情報
θPが一致しないにも拘らず、このステップA10において
は、モータステップデータに基づく副スロットル開度情
報θMが一致したと判断されると、副スロットル全開SW2
9,副スロットルポジションセンサ27,副スロットル駆動
モータ24Mのそれぞれから得られる開度情報のうち、副
スロットルポジションセンサ27から得られる開度情報θ
Pのみが異常値を示したことになる。よって故障判定部1
5aは、ステップA11aにおいて、副スロットルポジション
センサ27を故障と判定し故障フラグAをセットする。
また、上記ステップA10において「NO」、つまり上記
ステップA9において、副スロットル全開SW29に対する副
スロットルポジションセンサ27の副スロットル開度情報
θPが一致せず、しかも、モータステップデータに基づ
く副スロットル開度情報θMにも一致しないと判断され
ると、副スロットル全開SW29は、副スロットルポジショ
ンセンサ27及び副スロットル駆動モータ24Mの何れの開
度情報にも一致しないことになり、副スロットル全開SW
29は異常信号を出力したことになる。よって、故障判定
部15aは、ステップA11bにおいて、副スロットル全開SW2
9を故障と判定し故障フラグBをセットする。
ここで、上記δ1は副スロットルポジションセンサ27
により得られる副スロットル開度θPに対する許容誤
差、δ2はモータステップデータに基づき得られる副ス
ロットル開度θMに対する許容誤差である。
したがって、上記構成の車両の加速スリップ防止装置
によれば、エンジントルク制御ならびにブレーキング制
御を適切に行ない、駆動輪に生じるスリップを確実に抑
制して車両の加速性を向上させることが可能になるばか
りでなく、副スロットル弁THs24の制御動作に重要な情
報源となる副スロットル全開SW29の故障判定を、副スロ
ットルポジションセンサ27及びモータ駆動データに基づ
き得られるそれぞれの副スロットル開度θP,θMと比較
して行なうので、誤りのない確実な故障判定を行なうこ
とができ、副スロットル全開SW29の正常/異常に伴う制
御処理の続行,変更,中止等を正確且つ速やかに判断処
理することができる。
尚、上記実施例では、イグニッションSW51のON動作に
応じて副スロットル全開SW29の全開検知位置及び非全開
検知位置それぞれにおける故障判定を行なうようにした
が、前記制御開始/終了判定部69からスリップ制御の終
了信号が出力された際に、該故障判定を行なうようにし
てもよい。
すなわち、制御開始/終了判定部69において、スリッ
プ制御の終了判定が成されると、副スロットル弁THs24
の開度θSは徐々に全開方向に制御され、副スロットル
全開SW29から全開検知信号(オン)が得られた状態で待
機されるので、この際、上記第33図における故障判定処
理をスタートさせれば、ステップA1〜A6bにおいて全開
検知側、ステップA1→A7〜A11bにおいて非全開検知側の
故障判定を、それぞれ上記実施例と同様にして実行する
ことができる。
また、上記実施例における副スロットル全開SW29の故
障判定処理は、SW29の出力状態がOFF→ON及びON→OFFと
変化する毎に実行してもよいし、一定時間毎に実行して
もよい。
つまり、一定時間毎に副スロットル全開SW29の故障判
定を行なうには、上記実施例と同様にその時々の副スロ
ットル全開SW29の出力状態に応じた副スロットル弁THs2
4の全開検知下限位置θL又は全開検知上限位置θUを設
定し、この全開検知下限位置θL又は全開検知上限位置
θUに対し上記実施例と同様にして副スロットルポジシ
ョンセンサ27により得られる副スロットル検出開度θP
と、モータ駆動データに基づき得られる副スロットル開
度θMとを、それぞれ比較して故障判定すればよい。
さらに、上記実施例では、主スロットル弁THm23及び
副スロットル弁THs24からなる2スロットル方式のエン
ジン吸気系において、副スロットル全開SW29の故障判定
を行なったが、電動のスロットル弁を1つ配して、アク
セルペダルの踏込量を検出し、同踏込量に応じて上記ス
ロットル弁を制御する1スロットル方式のエンジン吸気
系においては、スロットル弁の全閉側アイドル位置を検
知してON動作するアイドルSWの故障判定を、例えばアク
セルペダルの全戻し操作時に対応して実行すればよい。
この場合も、上記実施例と同様にして、スロットルポジ
ションセンサにより得られるスロットル検出開度と電動
アクチュエータの動作データに基づくスロットル開度と
をそれぞれ比較し、故障判定を行なえばよい。
[発明の効果] 以上のように本発明によれば、吸気管の吸気流路に設
けられ開閉動作して吸入空気量を調節するスロットル弁
と、このスロットル弁を開閉動作させる電動アクチュエ
ータと、この電動アクチュエータの動作情報を記憶する
メモリと、上記スロットル弁の所定の開度を検知するス
ロットルスイッチと、同スロットルスイッチの検知結果
に基づき上記スロットル弁の開閉状態を開度範囲をもっ
て推定する開度範囲推定手段と、上記スロットル弁の開
度を検出するスロットルセンサと、上記開度推定手段に
よって推定された開度範囲と上記スロットルセンサによ
り検出されたスロットル開度と上記電動アクチュエータ
の動作情報に基づく推定スロットル開度とを比較する比
較手段と、上記スロットル開度と上記推定スロットル開
度とのいずれもが上記開度範囲内にないときには上記ス
ロットル開度が上記開度範囲内になく且つ上記推定スロ
ットル開度が上記開度範囲内にあるときには上記スロッ
トルセンサを故障として判定する故障判定手段とを備え
てなるので、信頼性の高いスロットルスイッチの故障検
出を行なうことが可能になるエンジン吸気系における故
障診断装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
第1図(A)は本発明のエンジン吸気系における故障診
断装置の一実施例に係わる車両の加速スリップ防止装置
の全体的な構成図、第1図(B)は第1図(A)のエン
ジン吸気系を示す構成図、第2図は第1図のトラクショ
ンコントローラの制御を機能ブロック毎に分けて示した
ブロック図、第3図は求心加速度GYと変数KGとの関係
を示す図、第4図は求心加速度GYと変数Krとの関係を示
す図、第5図は求心加速度GYとスリップ補正量Vgとの関
係を示す図、第6図は求心加速度の時間的変化量ΔGYと
スリップ補正量Vdとの関係を示す図、第7図乃至第12図
はそれぞれ車体速度VBと変数Kvとの関係を示す図、第1
3図はブレーキ制御開始時から変数KBの経時変化を示す
図、第14図はスリップ量の時間的変化量GFR(GFL)と
ブレーキ液圧の変化量ΔPとの関係を示す図、第15図及
び第18図はそれぞれスリップ率Sと路面の摩擦係数μと
の関係を示す図、第16図はTlim−t特性を示す図、第17
図はTlim-VB特性を示す図、第19図は旋回時の車両の状
態を示す図、第20図は目標エンジントルク−エンジン回
転速度マップを示す図、第21図は係数Kaのエンジン回転
速度Ne特性を示す図、第22図は係数Ktの吸気温度特性を
示す図、第23図は係数Kpの大気圧特性を示す図、第24図
は係数Ka′の吸気温度特性を示す図、第25図は目標A/N
−エンジン回転速度マップを示す図、第26図は比例ゲイ
ンKpのエンジン回転速度特性を示す図、第27図は積分ゲ
インKiのエンジン回転速度特性を示す図、第28図は微分
ゲインKdのエンジン回転速度特性を示す図、第29図は変
換ゲインのエンジン回転速度特性を示す図、第30図は等
価目標スロットル開度−主スロットル開度マップを示す
図、第31図はエンジン吸気系に配設される副スロットル
全開SWと副スロットルポジションセンサとの出力特性を
対比して示す図、第32図は上記エンジン吸気系における
故障判定イニシャル処理を示すフローチャート、第33図
は上記エンジン吸気系におけける故障判定処理を示すフ
ローチャートである。 WFR,WFL……駆動輪、WRR,WRL……従動輪、11〜14……
車輪速度センサ、15……トラクションコントローラ、15
a……故障判定部、16……エンジン、22……吸気管、23
……主スロットル弁THm、24……副スロットル弁THs、24
M……モータ、25……モータ駆動回路、25a……メモリ、
26……主スロットルポジションセンサ(TPS1)、27……
副スロットルポジションセンサ(TPS2)、28……主スロ
ットルアイドルSW、29……副スロットル全開SW、30……
エアフローセンサ(AFS)、30a……負圧センサ、45,46
……補正トルク演算部、47c……基準トルク算出部、50
……エンジントルク算出部、51……イグニッションSW、
69……制御開始/終了判定部、70……スリップ判定部、
71……スリップ判定値記憶部、81a〜81d……燃料噴射イ
ンジェクタ、82……エンジンコントロールユニット(EC
U)、83……エンジン回転センサ、84……エンジントル
クセンサ、502……目標空気量算出部、504……等価目標
スロットル開度算出部、505……目標スロットル開度算
出部、S1,S2a,S2b……スイッチ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 島田 誠 東京都港区芝5丁目33番8号 三菱自動 車工業株式会社内 (72)発明者 上田 克則 東京都港区芝5丁目33番8号 三菱自動 車工業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭61−8435(JP,A) 特開 昭62−294749(JP,A) 特開 昭62−168953(JP,A) 特開 昭59−65520(JP,A) 特開 昭61−130845(JP,A) 特開 昭62−55443(JP,A) 特開 昭63−179166(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】吸気管の吸気流路に設けられ開閉動作して
    吸入空気量を調節するスロットル弁と、このスロットル
    弁を開閉動作させる電動アクチュエータと、この電動ア
    クチュエータの動作情報を記憶するメモリと、上記スロ
    ットル弁の所定の開度を検知するスロットルスイッチ
    と、同スロットルスイッチの検知結果に基づき上記スロ
    ットル弁の開閉状態を開度範囲をもって推定する開度範
    囲推定手段と、上記スロットル弁の開度を検出するスロ
    ットルセンサと、上記開度推定手段によって推定された
    開度範囲と上記スロットルセンサにより検出されたスロ
    ットル開度と上記電動アクチュエータの動作情報に基づ
    く推定スロットル開度とを比較する比較手段と、上記ス
    ロットル開度と上記推定スロットル開度とのいずれもが
    上記開度範囲内にないときには上記スロットルスイッチ
    を故障として判定し上記スロットル開度が上記開度範囲
    内になく且つ上記推定スロットル開度が上記開度範囲内
    にあるときには上記スロットルセンサを故障として判定
    する故障判定手段とを具備したことを特徴とするエンジ
    ン吸気系における故障診断装置。
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