JP2721550B2 - 縮合環含有化合物の製造方法 - Google Patents

縮合環含有化合物の製造方法

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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はペルヒドロジメタノナフタレン骨格を有する
化合物の製造方法に関する。
本発明の方法により製造される化合物は各種の構造材
料、機能材料として有用な高分子化合物として用いられ
る。
〔従来の技術〕
従来、ノルボルナン骨格またはペルヒドロジメタノナ
フタレン骨格を有するジメタノール化合物とアルキレン
ジカルボン酸、シクロアルキレンジカルボン酸、アルキ
レンビスアリーレンジカルボン酸またはアリーレンアル
キレンジカルボン酸等から得られるポリエステルは寸法
安定性に優れており、写真用フイルムのベースなどに用
いられることが知られている(米国防衛特許第896,033
号明細書参照)。
上記のジメタノール化合物と芳香族ジカルボン酸より
得られるポリエステルのうち、ペルヒドロジメタノナフ
タレン骨格を有するポリエステルは高いガラス転移温度
を有することが知られている〔ジヤーナル・オブ・ポリ
マー・サイエンス:ポリマー・ケミストリイ・エデイシ
ヨン(Journal of Polymer Science:Polymer Chemistry
Edition)、10巻、3191頁(1972年)参照〕。この文献
には、上記のジメタノール化合物の製造方法として、フ
マル酸のジエチルエステルとシクロペンタジエンからデ
イールス−アルダー(Diels−Alder)反応によりノルボ
ルネン骨格またはノルボルネンの累積した骨格を有する
化合物を得、次いで該化合物をパラジウム触媒の存在下
に行う二重結合の水添反応に付してノルボルナン骨格ま
たはノルボルナンの累積した骨格を有する化合物に変換
させた後、銅−クロマイト触媒の存在下に行うエステル
部分の還元反応に付することにより該ジメタノール化合
物を製造する方法が開示されている。
また、2−ブテン−1,4−ジオールとジシクロペンタ
ジエンとからノルボルネン−2,3−ジメタノールが製造
されることが知られている(英国特許第796,135号明細
書参照)。
〔発明が解決しようとする課題〕
ペルヒドロジメタノナフタレン骨格を有するジメタノ
ール化合物を製造する上記の方法においては、フマル酸
ジエチルとシクロペンタジエンより得られるペルヒドロ
−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−トランス−2,3−ジカ
ルボン酸ジエチルを200℃、4,400psi(約300気圧)の水
素加圧下での18時間を要する反応に付することによつ
て、収率44.8%でペルヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフ
タレン−トランス−2,3−ジメタノールを得ているよう
に、ペルヒドロジメタノナフタレン骨格を有するジエス
テル化合物をジメタノール化合物に変換する還元反応を
高温かつ高圧の水素下という苛酷な条件下で長時間行う
必要があり、しかも目的とするジメタノール化合物の収
率が著しく低いという問題点がある。
本発明の目的は、ペルヒドロジメタノナフタレン骨格
を有するジメタノール化合物およびそのカルボン酸エス
テルを工業的に有利に製造するための方法を提供するこ
とにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明によれば、上記の目的は、下記一般式(III) R11OCH2CH=CHCH2OR21(III) (式中、R11およびR21はそれぞれ水素原子またはアシル
基を表す。) で示される化合物とシクロペンタジエンまたはジシクロ
ペンタジエンを反応させ、得られた下記一般式(II) (式中、R11およびR21は上記に定義したとおりであ
る。) で示される化合物を水素添加反応に付するか、または該
一般式(II)で示される化合物を加水分解反応に付した
のち、その加水分解物を水素添加反応に付し、得られた
下記一般式(I−1) (式中、R12およびR22はそれぞれR11またはR21と同一ま
たは異なり、水素原子またはアシル基を表す。) で示される化合物を必要に応じて加水分解反応に付する
ことを特徴とする下記一般式(I−2) (式中、R1およびR2はそれぞれR12またはR22と同一また
は異なり、水素原子またはアシル基を表す。) で示される化合物の製造方法を提供することによつて達
成される。
一般式(I−2)におけるR1およびR2、一般式(I−
1)におけるR12およびR22、ならびに一般式(II)およ
び一般式(III)におけるR11およびR21がそれぞれ表す
アシル基としては、炭素数2〜5のアシル基が好まし
く、その具体例として次のものが挙げられる。
本発明の方法においては、まず一般式(III)で示さ
れる化合物とシクロペンタジエンまたはジシクロペンタ
ジエンを反応させることにより、一般式(II)で示され
る1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4−:5,8−ジメ
タノナフタレン−2,3−ジメタノールおよびそのジカル
ボキシレートが製造される。一般式(III)で示される
化合物としては、R11およびR21がともに水素原子である
2−ブテン−1,4−ジオールよりもR11およびR21がとも
にアシル基である2−ブテン−1,4−ジオール ジカル
ボキシレートを用いる方が、反応速度が大であり、かつ
一般式(II)で示される化合物の収率がよいことから好
ましい。一般式(III)においてR11およびR21がアセチ
ル基である化合物、すなわち、1,4−ジアセトキシ−2
−ブテンを用いるのが特に好ましい。なお、一般式(II
I)で示される化合物はトランス体、シス体またはそれ
らの混合物のいずれであつてもよく、これらの幾何異性
体に対応した一般式(II)で示される化合物の幾何異性
体が得られる。シクロペンタジエンは一般式(III)で
示される化合物1モルに対して2モル倍以上の量で用い
るのが好ましい。ジシクロペンタジエンはこれをシクロ
ペンタジエンに換算した量が該シクロペンタジエンの使
用量となるような量で用いるのが好ましい。なお、シク
ロペンタジエンはそれ自体重合し易い化合物であること
から、一般式(III)で示される化合物1モルに対して
最終的に2モル倍以上となるように反応系中に連続的ま
たは断続的に供給し、反応系中でのシクロペンタジエン
の濃度があまり高くならないように制御することが好ま
しい結果を与える。シクロペンタジエンの使用量が一般
式(III)で示される化合物に対して2モル倍よりも少
ない場合は、一般式(II)で示される化合物の収率が低
いことから好ましくない。シクロペンタジエンまたはジ
シクロペンタジエンの使用量の上限は通常はシクロペン
タジエンに換算した量で一般式(III)で示される化合
物に対して5モル倍以下であることが適当である。この
反応は溶媒の不存在下で行うことも可能であるが、適当
な有機溶媒の存在下で行うのが一般式(II)で示される
化合物の収率が良好となる点で好ましい。有機溶媒とし
てはベンゼン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラ
ン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノー
ル、酢酸エチル、1,4−ジオキサン、塩化メチレン、ク
ロロホルム、N−メチルピロリドン等を使用することが
好ましい。反応は通常約100℃から300℃の範囲内の温度
で実施される。ジシクロペンタジエンを用いる場合に
は、ジシクロペンタジエンのシクロペンタジエンへの熱
分解を容易にするために通常160℃以上の温度で反応を
行うのが望ましい。反応時間は約10分間ないし100時
間、好ましくは約30分間ないし30時間の範囲内である。
このようにして得られた一般式(II)で示される化合
物を水素添加反応に付すことにより一般式(I−1)で
示される化合物が製造される。水素添加反応は水素ガス
の存在下、通常は適当な触媒の共存下で実施される。触
媒としては水素添加反応に一般に使用される触媒が使用
されるが、例えば、還元ニツケル触媒、ラネーニツケル
触媒、コバルト触媒、鉄触媒、銅触媒、銅−クロム触
媒、白金触媒、パラジウム触媒、ロジウム触媒、ルテニ
ウム触媒、イリジウム触媒、レニウム触媒等を挙げるこ
とができる。これらの触媒は均一系または不均一系のい
ずれでもよい。触媒は一般式(II)で示される化合物に
対して0.001−10重量%の範囲内の量で使用される。水
素ガスの圧力としては1気圧から300気圧、好ましくは
1気圧から100気圧の範囲内である。反応温度としては
室温から300℃、好ましくは室温から200℃の範囲内であ
る。反応時間は1分間から50時間の範囲以内から選ばれ
る。なお、水素ガスの圧力、反応温度および反応時間は
使用する触媒の種類に応じて上記の範囲内から適宜選ば
れる。水素添加反応は溶媒の不存在下で行うことも可能
であるが、通常は適当な有機溶媒の存在下で行われる。
有機溶媒としてはベンゼン、トルエン、キシレン、テト
ラヒドロフラン、メタノール、エタノール、プロパノー
ル、ブタノール、酢酸エチル、1,4−ジオキサン、およ
び生成物である一般式(I−1)で示される化合物等を
使用することができる。反応は攪拌槽型反応器、気泡塔
型反応器、充填塔型反応器等の一般の水素添加反応に用
いられる任意の形状の反応器を用いることができる。
一般式(III)においてR11およびR21がともにアシル
基である化合物を用いて一般式(I−2)においてR1
よびR2がともに水素原子である化合物、すなわち、ペル
ヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2,3−ジメタノ
ールを製造する場合には、一般式(I−1)においてR
12およびR22がともにアシル基である化合物を製造した
のち、該一般式(I−1)で示される化合物を加水分解
反応に付することにより製造することができるほか、一
般式(II)においてR11およびR21がともにアシル基であ
る化合物を製造し、該一般式(II)で示される化合物を
加水分解反応に付することにより一般式(I−1)にお
いてR12およびR22がともに水素原子である化合物に変換
したのち、該一般式(I−1)で示される化合物を水素
添加反応に付することにより製造することも可能であ
る。
一般式(III)で示される2−ブテン−1,4−ジオール
ジカルボキシレートは、例えば、パラジウム触媒の存
在下にブタジエン、低級カルボン酸および酸素を反応さ
せることにより容易に製造できる(特公昭52−12172号
公報参照)。2−ブテン−1,4−ジオールは2−ブテン
−1,4−ジオール ジカルボキシレートを加水分解する
ことにより製造することができ、またアセチレンとホル
マリンとからレツペ反応により製造することもできる。
なお、2−ブテン−1,4−ジオールから2−ブテン−1,4
−ジオール ジカルボキシレートを製造することも可能
である。
本発明の製造方法によれば、前記の従来法によるジエ
ステル化合物の高温かつ高圧水素下での還元反応を経ず
に温和な条件下でペルヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフ
タレン−2,3−ジメタノールまたはそのジカルボキシレ
ートを高収率で製造することが可能である。
本発明の方法により得られる一般式(I−2)で示さ
れる化合物は公知の方法に従つて各種の構造材料、機能
材料として有用なポリエステル、ポリカーボネートまた
はポリエステルカーボネートに容易に誘導することがで
きる。
〔実施例〕
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本
発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではな
い。なお、1H−NMRスペクトルは重クロロホルム中で測
定し求めたものである。
実施例1 電磁攪拌装置を備えた内容1のオートクレーブにト
ランス−2−ブテン−1,4−ジオール ジアセテート120
g、ジシクロペンタジエン60gおよびキシレン300gを仕込
み、窒素ガスで系内を置換した。次いで、オートクレー
ブの内温を220℃に昇温し、同温度で攪拌下に3時間反
応させた。次に、定量ポンプを用いてジシクロペンタジ
エン60gをオートクレーブに供給した。さらに同温度で
3時間攪拌を続けた。反応終了後、反応混合液を減圧蒸
留に付することにより、沸点200℃/5mmHg以上の留分を1
12g得た。マススペクトルおよび1H−NMRによる分析の結
果、この留分は1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,
4:5,8−ジメタノナフタレン−トランス−2,3−ジメタノ
ール ジアセテートであることが確かめられた。なお、
1H−NMRスペクトルは次のとおりであつた。
0.9ppm〜2.3ppm:18H 3.7ppm〜4.2ppm: 4H (酸素原子に結合したメチレン基のプロトン) 6.0ppm:2H (二重結合のプロトン) 上記と同じ内容1のオートクレーブに、1,2,3,4,4
a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレ
ン−トランス−2,3−ジメタノール ジアセテート40g、
メタノール400mlおよび5%のパラジウムを担持した活
性炭触媒1gを仕込み、系内を水素ガスで充分置換したの
ち、水素ガスを30気圧仕込み、100℃で2時間攪拌し
た。冷却後、反応液を取出し、触媒を濾別したのち、メ
タノールを除去した。残渣をアセトンより再結晶するこ
とにより、白色結晶39gを得た。得られた結晶の1H−NMR
スペクトルは次のとおりであり、該結晶はペルヒドロ−
1,4:5,8−ジメタノナフタレン−トランス−2,3−ジメタ
ノール ジアセテートであることが確かめられた。
0.8〜2.3ppm:22H 3.7〜4.3ppm: 4H (酸素原子に結合したメチレン基のプロトン) 実施例2 攪拌装置および還流冷却器を備えた内容500lの三つ口
フラスコに実施例1におけると同様の方法で得たペルヒ
ドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−トランス−2,3−
ジメタノール ジアセテート20g、メタノール300mlおよ
び5%水酸化ナトリウム水溶液120mlを仕込み、3時間
還流下に反応させた。エバポレータを用いて約240mlの
メタノールを留去したのち、エーテル抽出および濃縮に
より13gの白色粉末を得た。マススペクトルによる分析
の結果、この粉末はペルヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナ
フタレン−トランス−2,3−ジメタノールであることが
確かめられた。なお、このものの1H−NMRスペクトルは
次のとおりであつた。
0.8〜2.0ppm:12H 2.0〜2.3ppm: 4H (ノルボルナン骨格橋頭位のプロトン) 3.0〜3.8ppm: 6H (酸素原子に結合したメチレン基のプロトンおよび水酸
基のプロトン) 実施例3 実施例2においてペルヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナ
フタレン−トランス−2,3−ジメタノール ジアセテー
ト20gの代りに実施例1におけると同様の方法で得た1,
2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナ
フタレン−トランス−2,3−ジメタノール ジアセテー
ト20gを用いた以外は同様な操作により加水分解を行つ
た。得られた粉末14gを用いて実施例1におけると同様
にして水素添加反応を行つた。冷却後、反応液を取出
し、触媒を濾別したのち、メタノールを除去した。残渣
をエタノールにより再結晶することにより、白色結晶12
gを得た。マススペクトルおよび1H−NMRスペクトルによ
る分析の結果、該結晶はペルヒドロ−1,4:5,8−ジメタ
ノナフタレン−トランス−2,3−ジメタノールであるこ
とが確かめられた。
〔発明の効果〕
本発明の方法によれば、温和な条件下でペルヒドロ−
1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2,3−ジメタノールまた
はそのジカルボキシレートが高収率で製造できる。本発
明によれば、従来提案されている方法に比べて工業的に
有利なペルヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2,3
−ジメタノールまたはそのジカルボキシレートの製造方
法が提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 C07C 33/05 9155−4H C07C 33/05 B

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式(III) R11OCH2CH=CHCH2OR21(III) (式中、R11およびR21はそれぞれ水素原子またはアシル
    基を表す。) で示される化合物とシクロペンタジエンまたはジシクロ
    ペンタジエンを反応させ、得られた下記一般式(II) (式中、R11およびR21は上記に定義したとおりであ
    る。) で示される化合物を水素添加反応に付するか、または該
    一般式(II)で示される化合物を加水分解反応に付した
    のち、その加水分解物を水素添加反応に付し、得られた
    下記一般式(I−1) (式中、R12およびR22はそれぞれR11またはR21と同一ま
    たは異なり、水素原子またはアシル基を表す。) で示される化合物を必要に応じて加水分解反応に付する
    ことを特徴とする下記一般式(I−2) (式中、R1およびR2はそれぞれR12またはR22と同一また
    は異なり、水素原子またはアシル基を表す。) で示される化合物の製造方法。
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