JP2721542B2 - エチレン―ビニルアルコールランダム共重合体、成形体および積層体 - Google Patents

エチレン―ビニルアルコールランダム共重合体、成形体および積層体

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Description

【発明の詳細な説明】 A.産業上の利用分野 本発明は、高湿度の環境下において耐気体透過性に優
れたエチレン−ビニルアルコールランダム共重体、成形
体および積層体を提供するものである。
B.従来技術 従来、エチレン−ビニルアルコールランダム共重体
(以下EVOHと記す)は耐気体透過性、耐油性、耐有機溶
剤性等に優れた溶融成形可能な熱可塑性樹脂として広く
知られ、種々の包装分野の包装用フイルム、特に食品包
装用フイルム、シート、容器等の成形体に好適に用いら
れてきた。
ところで、このようなEVOHは、先ずエチレン−酢酸ビ
ニルランダム共重体は公知の比較的高温における溶液重
合で製造し、続いてけん化を公知の方法により行つて得
られる(特開昭63−46202)が、そのような方法で得たE
VOHは、外部の湿度や温度という環境変化により成形体
のヤング率や耐衝撃性等の物性が大きく変化したり、特
に耐気体透過性の湿度による変化が大きく、高湿度の環
境下で耐気体透過性が低下するという欠点を有してい
る。
これらの欠点を改善することは、実用上極めて重要で
ある。該欠点を補うために、例えばポリエチレン、ポリ
プロピレンなどの低吸水性の樹脂をEVOHフイルム、シー
トにラミネートして吸湿性を低下させる方法(特開昭60
−173038、同60−28661、同62−207338)あるいは、EVO
Hフイルム、シート表面をアセタール化して耐吸水性を
向上させるという方法(特開昭55−2191、53−65478)
が提案されている。
C.発明が解決しようとする課題 しかし、前者の方法ではラミネート加工操作を行う必
要ある上に、得られたラミネート成形体も徐々に吸湿
し、その結果、EVOHの耐気体透過性が低下し、本質的な
解決にはならない。また、近年増大しているレトルト用
途ではラミネート成形体においても、EVOHの吸水による
耐気体透過性の低下が問題になつている。また、後者の
方法はEVOHをフイルム、シートに成形後改めてアセター
ル化の処理工程が必要であり、経済的に不利であるため
実用化されるに至つていない。
D.問題点を解決するための手段 本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、1,2−グリコ
ール結合の構造単位含有量が小さいEVOHは、従来のEVOH
が持つ良好な透明性、光沢を損なわない上に、耐気体透
過性の湿度依存性が小さく、他の熱可塑性樹脂との積層
も容易であり、食品包装用等の材料として顕著に優れて
いることを見出し、本発明を完成するに至つた。
すなわち、本発明は下記(I),(II),(III)の
構造単位からなり、 エチレン成分(I)の含有量が20〜60モル%{(I)+
(II)+(III)の含有量に対する値}、ビニルアルコ
ール成分(II)の含有量が98モル%以上{(II)+(II
I)の含有量に対する値}であり、1,2−グリコール結合
の構造単位含有量が下記(IV)式を満足し、かつ固有粘
度が0.05〜0.2/gであるエチレン−ビニルアルコール
ランダム共重合体である。
A≦1.58−0.0244×E ……(IV) ここで、Aは1,2−グリコール結合を構造単位含有量
(モル%)、Eは(I)成分の含有量(モル%)であ
る。
また、本発明の他の態様は、該EVOHからなり、かつ酸
素透過率が下記(V)式を満足する成形体である。
LogP≦1.204×10-3×E2−0.103×E−10.15 ……(V) ここで、Pは温度20℃、相対湿度100%における酸素
透過率(C.C.・cm/cm2・sec・cmHg),Eは(I)成分の
含有量(モル%)である。
また本発明の他の態様は、該EVOHの層と他の熱可塑性
樹脂層の少なくとも二層を含む積層体である。
本発明は、上述の如く、EVOHに含まれる1,2−グリコ
ール結合の構造単位含有量Aが(IV)式を満足する値で
あることが必要である。1,2−グリコール結合の構造単
位含有量AがA>1.58−0.0244×Eである場合は、耐気
体透過性の湿度依存性が大となり、本発明の効果を享受
し難くなる。1,2−グリコール結合の構造単位含有量A
は、次式(IV′)を満足することがより好ましい。
A≦1.49−0.0244×E ……(IV′) なお、本発明でいう1,2−グリコール結合の構造単位
含有量は、S.Amiyaら(Analytical Science vol.1,91
(1985))に記載された方法に準じて、EVOH試料をジメ
チルスルホキサイド溶液として、核磁気共鳴法によつて
温度90℃で測定される。
本発明のEVOHは、エチレン成分(I)の含有量は20〜
60モル%であることが重要であり、好ましくは25〜55モ
ル%である。エチレン含有量が20モル%より小さいと、
耐水性、耐湿性が低下するとともに、高湿度下の耐気体
透過性が損なわれ、耐ストレスクラツキング性が低下
し、また良好な溶融加工特性の保持も困難になる。一
方、60モル%より大きいと耐水性、耐質性は改善される
ものの低湿度下の耐気体透過性が悪くなる。いずれにし
ても包装用としては不適切である。
ビニルアルコール成分(II)の含有量(酢酸ビニル成
分のけん化度)は98モル%以上であることが必要であ
り、好ましくは99モル%以上である。けん化度が98モル
%より小さいと熱安定性が悪くなり、溶融加工時にゲル
が発生しやすい欠点が生じ、また耐気体透過性、耐油性
も低下し、EVOH本来の特性が保持し得なくなり、本発明
の効果を享受し難くなる。
酢酸ビニル成分(III)の含有量(酢酸ビニル成分の
未けん化度)は2モル%以下であり、0モル%の場合も
含まれる。
また、本発明のEVOHは、フエノール85重量%と水15重
量%との混合溶媒中、30℃の温度で測定した固有粘度が
0.05〜0.2/gの範囲にあることが好適である。固有粘
度が0.05/gより小さいと成形物の機械的性質が不良と
なり、他方0.2/gより大きいと、溶融成形時にゲル化
が起こりやすくなり、いずれの場合も好ましくない。
本発明の1,2−グリコール結合の構造単位含有量の低
いEVOHは、代表的には次のような方法で得られる。30℃
以下、好適には25℃以下の低温で酢酸ビニル及びエチレ
ンを共重合させ、得られる共重合耐をけん化することに
より製造できる。共重合は溶液重合、サスペンジヨン重
合、エマルジヨン重合により実施されるが、アルコール
の存在下で溶液重合で実施することが工業的に好まし
い。溶液重合を実施する場合、溶剤濃度は0〜50%、好
適には3〜30%が好ましく、重合率は通常10〜80%、好
適には10〜60%が好ましい。アルコールは、通常メタノ
ール、エタノール、プロパノールなどの低級アルコール
が工業的に好ましい。共重合操作は回分法式、連続法式
いずれも使用できるが、もつぱら撹はん混合型重合槽を
用いた流系操作が最も好適である。
EVOHのエチレン含有量は、主として共重合系内に存在
する酢酸ビニルと該系内に溶在するエチレン量によつて
決り、後者は重合エチレン圧力及び温度などに主として
依存する。回分法式の場合、共重合反応特性は比に従つ
て重合率とともに共重合体組成が変動していくことはよ
く知られているが、単量体組成が一定となるように一方
もしくは両方の単量体を添加していく半回分法式を採用
することが均一な共重合組成を有する共重合体を得るた
めには、より望ましい。この場合の添加量の算出方法の
一例としては、R.J.Hanna(Industrial and Engineerin
g Chemistry vol.49,208(1957))が提出している式が
挙げられる。連続法式の場合、撹はん混合槽を共重合反
応槽とする完全混合型1段の流系反応方式が最も好適で
あり、また2段以上の多段の該流系反応方式の場合に
は、前記と同様の理由で各段の共重合槽内の単量体組成
が一定となるように、2段以降の該槽に単量体を添加し
ながら行うことがより好ましい。
本発明における該共重合反応には、それ自体公知の各
種のラジカル開始剤が用いられ、例えば2,2′−アゾビ
ス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリ
ル)、2,4,4−トリメチルバレロニトリル、2′,2″−
アゾビス−イソブチロニトリルなどのニトリル類、ジ−
n−プロピルパーオキシカーボネート、ビス−4−t−
ブチルシクロヘキシルパーオキシジカーボネート、ビス
−2−エチル−ヘキシルパーオキシジカーボネートなど
のカーボネート類、アセチルシクロヘキサンスルフオニ
ルパーオキシド、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル
などの過酸化物などがある。もつぱら半減期の、より短
い開始剤は前記流系操作にあつては共重合途上経時的に
認められる重合系に不溶のゲル状物の生成をほぼ完全
に、あるいは大きく抑制しうる点で長期連続重合操作に
関して、より好適に用いられる。重合で得られた共重合
体は、ついでけん化反応に供せられる。けん化反応は、
例えばアルカリ触媒を用いて公知の方法、すなわち通常
該共重合体をアルコール溶液として実施し、アルコリシ
スにより反応を行わしめるのが有利である。なかでも、
日本特許第575,889号及び同611,557号に開示された塔型
反応器を用い、けん化反応途上副生する酢酸メチルを塔
底にアルコール蒸気を吹き込んで塔頂から除去しながら
行う方法が最も好適に用いることができる。けん化反応
に用いるアルカリ触媒としては水酸化ナトリウム、水酸
化ナトリウム等のアルカリ金属の水酸化物、ナトリウム
メチラート、カリウムメチラートなどのアルコラートな
どが用いられる。特に水酸化ナトリウムが工業的には、
経済的に有利である。けん化温度は60〜175℃の範囲か
ら好適に選ばれる。なかでも、前記塔型反応器を用いる
場合には該共重合体の組成にも関するが反応時間の短
縮、該EVOHのアルコールへの溶解性等から100℃以上が
好適である。
けん化反応後、該EVOHを単離するに当たつては公知の
方法が適用可能であるが、なかでも、日本特許第725,52
0号に開示されたストランド状に析出させ、該EVOHを分
離する方法が好適に用いられる。析出単離された該EVOH
は公知の方法で水洗後乾燥される。
また、本発明のEVOHは、本発明の目的が阻害されない
限り、少量のプロピレン、イソブテン等のα−オレフイ
ン、ケイ素を含有するオレフイン性不飽和単量体、アク
リル酸、メタアクリル酸、マレイン酸等の不飽和カルボ
ン酸またはその塩、あるいはそのエステル等のコモノマ
ーを共重合成分として含有しても差支えない。
このようにして得られた本発明のEVOHは、成形体、塗
料、接着剤等の広範な用途に使用できるが、とりわけ成
形体の分野に広く用いられる。成形体としては、主とし
て溶融成形により得たフイルム、シート、またはこれら
のフイルム、シートを延伸(一軸または二軸延伸)、ま
たは必要により熱処理して得たもの、パリソン、パイ
プ、容器{ボトル(ダイレクトブローボトル、二軸延伸
ブローボトル)、熱成形によるカップ}などがあげられ
る。
本発明のEVOHからなる成形体は、酸素透過率が下記
(V)式、好適には(V′)式を満足する。
LogP≦1.204×10-3×E2−0.103×E−10.15 ……(V) LogP≦1.204×10-3×E2−0.103×E−10.23 ……(V′) ここで、Pは温度20℃、相対湿度100%における酸素
透過率(cc・cm/cm2・sec・cmHg)、Eは(I)成分の
含有率(モル%)である。
高湿下においてこのような優れた耐気体透過性を示す
EVOHは、特に食品包装用材料、特に液性食品包装材料と
して極めて有用である。
本発明の他の態様は、近年特に要求される特性の多様
化、高級化等の要望に答えるべく、1,2−グリコール結
合の構造単位含有量の低いEVOHと他の熱可塑性樹脂の層
との少なくとも二層を含む積層体を提供することにあ
る。ここで該EVOHと積層するために用いられる熱可塑性
樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレ
ン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合
体、ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性ポリエス
テル、6−ナイロン、6,6−ナイロン等のポリアミド、
ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート等が
好ましい。これらのうち、特に好ましいのはポリエチレ
ン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、
熱可塑性ポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネー
トである。また、積層体の構成は、該EVOH/熱可塑性樹
脂、熱可塑性樹脂/該EVOH/熱可塑性樹脂、熱可塑性樹
脂/該EVOH/熱可塑性樹脂/該EVOH熱可塑性樹脂等であ
り、それぞれの熱可塑性樹脂は単層であつてもよいし、
場合によつては複層であつてもよい。
また、必要であれば該積層体の各層の間には接着性樹
脂を配しても良く、該接着性樹脂としては特に制限はな
いが、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸
ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合
体などをエチレン性不飽和酸またはその無水物で変性し
たもの、なかでも無水マレイン酸変性物あるいは無水マ
レイン酸変性物に未変性の該重合体をブレンドしたもの
が、より好適に用いられる。
該積層体の成形としては、押出成形、射出成形等の公
知の方法が主として採用される。たとえば、押出成形方
法としては多重・複層のT−ダイ押出、インフレーシヨ
ン押出、ブロー押出、二軸等が採用される。また、該積
層体は押出ラミネート等のラミネート技術やコーテイン
グ技術等によつても成形可能である。ラミネートやコー
テイングする場合のポリマー基材としては、先に述べた
本発明の該重合体けん化物と積層するために用いられる
熱可塑性樹脂などのフイルム、シートの他にセロハン、
ポリ塩化ビニリデンなどのフイルム、シート(これらは
一軸または二軸に延伸されていても良い。また、これら
の複層であつてもよい)等が挙げられる。成形温度は15
0〜280℃の範囲から選ぶことが多い。
また、溶融成形において、本発明のEVOHに可塑剤、安
定剤、界面活性剤、架橋剤、充填剤、補強剤繊維等を適
当量添加することや、別の熱可塑性樹脂を適当量添加す
ることも可能である。ここで熱可塑性樹脂としては、先
に述べた本発明の該共重合体けん化物と積層するために
用いられる熱可塑性樹脂等が挙げられる。
上記のように押出成形、射出成形等により成形された
積層体(フイルム、シート、パリソン、パイプ)は、無
延伸または延伸(一軸延伸または二軸延伸)積層フイル
ム、深絞り容器、ダイレクトブロー容器、二軸延伸ブロ
ー容器の材料として使用される。また、カツプ状容器の
ような深絞り容器は、該積層体からなるシートを所定の
延伸温度にて深絞り成形、圧空成形、真空提携、プラグ
アジスト成形等により得られる。このようにして得られ
た積層体は、詳細は実施例に述べるが、高湿度下におけ
る酸素透過性が小さく、包装用に好適に使用され、特に
食品包装用として好適に用いられる。
以下、本発明をより理解しやすくするために実施例を
挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定され
るものではない。
なお実施例中の測定項目は下記の方法で行つた。
(1) 酢酸ビニル含有量およびけん化度 JIS−6730−1977に準拠して求めた。
(2) 固有粘度〔η〕ph フエノール85重量%と水15重量%との混合溶媒中、30
℃で測定した。
(3) メルトフローインデツクスMFI 宝工業(株)のメルトインデクサーを使用し、所定温
度(190℃または230℃)で荷重2160gで測定した。
(4) 酸素透過量 モダンコントロール社の酸素透過量測定装置(OX−TR
AN 100)を使用して、20℃で所定の相対湿度に調整した
条件のもので測定した。
(5) 1,2−グリコール結合含有量 EVOH試料をジメチルスルホキサイド溶液として、核磁
気共鳴法によつて温度90℃で測定した。
E. 実施例 実施例1 容量50で内部に冷却用コイルをもつ撹はん機付重合
槽において、1,2−グリコール結合含有量の値が小さいE
VOHを得るために以下に示す条件により重合を実施し
た。
酢酸ビニル 25.4kg メタノール 3.1kg 2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバ
レロニトリル) 246g 重合温度 20℃ 重合槽エチレン圧力 18.0kg/cm2 重合時間 10hrs 酢酸ビニルの重合率は約20%であつた。該共重合反応
液を追出塔に供給し、塔下部からのメタノール蒸気の導
入により未反応酢酸ビニルを塔頂より除去した後、該共
重合体の45%のメタノール溶液を得た。該共重合体はエ
チレン含有量27.3モル%、酢酸ビニル含有量72.7モル%
であつた。該共重合体のメタノール溶液を塔式けん化反
応器に導入し、さらに水酸化ナトリウムを該共重合体に
含まれる酢酸ビニル成分に対するモル比が0.025となる
ように該反応器に供給し、塔下部よりメタノール蒸気を
吹込み、塔頂より副生する酢酸メチルを除去しながら、
けん化反応を行い、塔底より改質EVOHのメタノール溶液
を得た。該メタノール溶液に重量比メタノール/水=7/
3の混合蒸気を吹込み、該溶液中の溶剤組成を水/メタ
ノール混合系に変えた後、5℃のメタノール10%水溶液
中にストランド状に吐出させ、凝固析出させ、切断し
て、該EVOHをペレツト状物として単離した。十分水洗し
た後、稀薄酢酸水に浸漬処理して65℃〜110℃で乾燥
し、EVOHペレツトを得た。該EVOHのけん化度は99.5モル
%であり、固有粘度は0.116/g、MFIは4.9g/10分(230
℃)であつた。また、得られたEVOHの核磁気共鳴スペク
トルを添附図面第1図に示す。スペクトル1で20ppmか
ら75ppmに領域に認められるいくつかの強い信号はEVOH
の主構造によるものであり、それぞれの信号は図中に示
したようなメチレンおよびメチンカーボンに帰属され
る。特に64ppmから72ppmの間の信号はメチンカーボンに
帰属される。また74ppm付近の強度の弱い信号は1,2−グ
リコール結合由来のカーボンに帰属される。メチンおよ
び1,2−グリコール結合由来のカーボンに帰属された各
ピークの積分曲線2から1,2−グリコール結合含有量を
決定した。該EVOHの1,2−グリコール結合含有量を表1
に示す。
また該EVOHを使用して3種5層の積層フイルムを次の
方法で得た。すなわち2流路に分岐したメルトチヤンネ
ルを有した内外層用押出機、中間層用押出機および接着
層用の分岐したメルトチヤンネルを有した押出機の組合
わせと5層Tダイを用いて積層フイルムを得た。成形に
使用した樹脂は中間層が前記EVOH、内外層はMFI1.4g/10
分(230℃)のポリプロピレン(三菱油化(株)製のノ
ーブレンMA6)、また接着層はMFI3.9g/10分(230℃)の
無水マレイン酸で変性されたポリプロピレン(三井石油
化学(株)製のアドマーQF500)である。成形温度は中
間層用押出機180〜235℃、内外層用押出機210〜240℃、
接着層用押出機220〜240℃、Tダイ240℃である。積層
フイルムの厚さ構成は内層/接着層/中間層/接着層/
外層=90/10/20/10/90(μ)であつた。これらの積層フ
イルムの酸素透過量の結果を併せて表1に示す。
実施例2 実施例1と同じ重合槽を用いて、以下に示す条件で重
合を実施した。
酢酸ビニル 18.6kg メタノール 9.6kg 2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4,ジメチルバ
レロニトリル) 644g 重合温度 20℃ 重合槽エチレン圧力 20.0kg/cm2 重合時間 10hrs 酢酸ビニルの重合率は約10%であつた。該共重合体は
エチレン含有量32.3モル%、酢酸ビニル含有量67.7モル
%であつた。実施例1と同様にけん化し単離して、後処
理を行つた後、乾燥して、EVOHペレツトを得た。該EVOH
のけん化度は99.5モル%、固有粘度は0.108g/であ
り、MFIは2.0g/10分(190℃)であつた。該EVOHの1,2−
グリコール結合含有量を表1に示す。
また該EVOHを使用して3種5層の積層フイルムを実施
例1の方法で得た。これらの積層フイルムの酸素透過量
の結果を併せて表1に示す。
実施例3 実施例1と同じ重合層を用いて、以下に示す条件で重
合を実施した。
酢酸ビニル 20.9kg メタノール 1.6kg 2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4,ジメチルバ
レロニトリル) 257g 重合温度 20℃ 重合槽エチレン圧力 41.5kg/cm2 重合時間 10hrs 酢酸ビニルの重合率は約17%であつた。該共重合体は
エチレン含有量42.4モル%、酢酸ビニル含有量57.6モル
%であつた。
実施例1と同様にけん化し単離して、後処理を行つた
後、乾燥して、EVOHペレツトを得た。該EVOHのけん化度
は99.6モル%、固有粘度は0.098/gであり、MFIは4.6g
/10分(190℃)であつた。該EVOHの1,2−グリコール結
合含有量を表1に示。
また該EVOHを使用して3種5層の積層フイルムを実施
例1の方法を得た。これらの積層フイルムの酸素透過量
の結果を併せて表1に示す。
実施例4 実施例1と同じ重合槽を用いて、以下に示す条件で重
合を実施した。
酢酸ビニル 21.9kg メタノール 5.1kg 2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバ
レロニトリル) 15.4g 重合温度 25℃ 重合槽エチレン圧力 26.0kg/cm2 重合時間 10hrs 酢酸ビニルの重合率は約10%であつた。該共重合体は
エチレン含有量32.6モル%、酢酸ビニル含有量67.4モル
%であつた。
実施例1と同様にけん化し単離して、後処理を行つた
後、乾燥して、EVOHペレツトを得た。該EVOHのけん化度
を99.4モル%、固有粘度は0.135/gであり、MFIは0.4g
/10分(190℃)であつた。該EVOHの1,2−グリコール結
合含有量は表1に示す。
また該EVOHを使用して3種5層の積層フイルムを実施
例1の方法で得た。これらの積層フイルムの酸素透過量
の結果を併せて表1に示す。
比較例1 実施例1と同じ重合槽を用いて、以下に示す条件で重
合を実施した。
酢酸ビニル 24.0kg メタノール 4.9kg 2,2′−アゾビスイソブチロニトリル 2.66g 重合温度 60℃ 重合槽エチレン圧力 32.5kg/cm2 重合時間 10hrs 酢酸ビニルの重合率は約40%であつた。該共重合体は
エチレン含有量27.0モル%、酢酸ビニル含有量73.0モル
%であつた。
実施例1と同様にけん化し単離して、後処理を行つた
後、乾燥して、EVOHペレツトを得た。該EVOHのけん化度
は99.5モル%、固有粘度は0.114/gであり、MFIは5.3g
/10分(230℃)であつた。また得られたEVOHの核磁気共
鳴スペクルを添附図面第2図に示す。スペクトルの帰属
は実施例1と同様であり、該EVOHの1,2−グリコール結
合含有量を表1に示す。
また該EVOHを使用して3種5層の積層フイルムを実施
例1の方法で得た。これらの積層フイルムの酸素透過量
の結果を併せて表1に示す。
比較例2 実施例1と同じ重合槽を用いて、以下に示す条件で重
合を実施した。
酢酸ビニル 23.6kg メタノール 2.9kg 2,2′−アゾビスイソブチロニトリル 3.19g 重合温度 60℃ 重合槽エチレン圧力 40.5kg/cm2 重合時間 10hrs 酢酸ビニルの重合率は約40%であつた。該共重合体は
エチレン含有量32.5モル%、酢酸ビニル含有量67.5モル
%であつた。
実施例1と同様にけん化し単離して、後処理を行つた
後、乾燥して、EVOHペレツトを得た。該EVOHのけん化度
は99.5モル%、固有粘度は0.112/gであり、MFIは1.6g
/10分(190℃)であつた。該EVOHの1,2−グリコール結
合含有量を表1に示す。
また該EVOHを使用して3種5層の積層フイルムを実施
例1の方法で得た。これらの積層フイルムの酸素透過量
の結果を併せて表1に示す。
比較例3 実施例1と同じ重合槽を用いて、以下に示す条件で重
合を実施した。
酢酸ビニル 12.8kg メタノール 1.6kg 2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバ
レロニトリル) 246g 重合温度 20℃ 重合槽エチレン圧力 68.0kg/cm2 重合時間 10hrs 酢酸ビニルの重合率は約18%であつた。該共重合体は
エチレン含有量64.0モル%、酢酸ビニル含有量36.0モル
%であつた。
実施例1と同様にけん化し単離して、後処理を行つた
後、乾燥して、EVOHペレツトを得た。該EVOHのけん化度
は99.3モル%、固有粘度は0.073/gであり、MFIは36g/
10分(190℃)であつた。該EVOHの1,2−グリコール結合
含有量を表1に示す。
また該共重合体を使用して3種5層の積層フイルムを
実施例1の方法で得た。これらの積層フイルムの酸素透
過量の結果を併せて表1に示す。
比較例4 実施例1と同じ重合槽を用いて、以下に示す条件で重
合を実施した。
酢酸ビニル 12.8kg メタノール 11.7kg 2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4,ジメチルバ
レロニトリル) 166g 重合温度 20℃ 重合槽エチレン圧力 7.0kg/cm2 重合時間 10hrs 酢酸ビニルの重合率は約20%であつた。該共重合体は
エチレン含有量18.1モル%、酢酸ビニル含有量81.9モル
%であつた。
実施例1と同様にけん化し単離して、後処理を行つた
後、乾燥して、EVOHペレツトを得た。該EVOHのけん化度
は99.3モル%、固有粘度は0.110/gであり、MFIは6.0g
/10分(230℃)であつた。該EVOHの1,2−グリコール結
合含有量を表1に示す。
また該EVOHを使用して3種5層の積層フイルムを実施
例1の方法で得た。これらの積層フイルムの酸素透過量
の結果を併せて表1に示す。
比較例5 実施例2で示した重合の条件と同様の操作し実施し
た。酢酸ビニルの重合率は約10%であつた。該共重合体
はエチレン含有量32.4モル%、酢酸ビニル含有量67.6モ
ル%であつた。
実施例2で水酸化ナトリウムのモル比を0.019とした
以外は実施例2と同様にけん化し単離して、後処理を行
つた後、乾燥して、EVOHペレツトを得た。該EVOHのけん
化度は97.2モル%、固有粘度は0.113/gであり、MFIは
1.7g/10分(190℃)であつた。該EVOHの1,2−グリコー
ル結合含有量を表1に示す。
また該EVOHを使用して3種5層の積層フイルムを実施
例1の方法で得た。これらの積層フイルムの酸素透過量
の結果を併せて表1に示す。
F. 発明の効果 本発明の1,2−グリコール結合の構造単位含有量が特
定の値より小さいエチレン−ビニルアルコールランダム
共重合体は、高湿度下で酸素透過量が小さい耐気体透過
性の優れた性能を有しており、この共重合体を用いた積
層体は各種包装分野において、特に食品包装分野におい
てフイルム、シート、容器の形態で好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のエチレン−ビニルアルコールランダム
共重合体(実施例1)の核磁気共鳴スペクトルであり、
第2図は通常のエチレン−ビニルアルコールランダム共
重合体(比較例1)の核磁気共鳴スペクトルである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 網屋 繁俊 岡山県倉敷市酒津2045番地の1 株式会 社クラレ内 審査官 佐々木 秀次

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記(I),(II),(III)の構造単位
    からなり、 エチレン成分(I)の含有量が20〜60モル%{(I)+
    (II)+(III)の含有量に対する値}、ビニルアルコ
    ール成分(II)の含有量が98モル%以上{(II)+(II
    I)の含有量に対する値}であり、1,2−グリコール結合
    の構造単位含有量が下記(IV)式を満足し、かつ固有粘
    度が0.05〜0.2/gであるエチレン−ビニルアルコール
    ランダム共重合体。 A≦1.58−0.0244×E ……(IV) ここで、Aは1,2−グリコール結合の構造単位含有量
    (モル%),Eは(I)成分の含有量(モル%)である。
  2. 【請求項2】請求項1記載のエチレン−ビニルアルコー
    ルランダム共重合体からなり、かつ酸素透過率が下記
    (V)式を満足する成形体。 LogP≦1.204×10-3×E2−0.103×E−10.15 ……(V) ここで、Pは温度20℃、相対湿度100%における酸素透
    過率(C.C.・cm/cm2・sec・cmHg),Eは(I)成分の含
    有量(モル%)である。
  3. 【請求項3】請求項1記載のエチレン−ビニルアルコー
    ルランダム共重合体層と他の熱可塑性樹脂層の少なくと
    も二層を含む積層体。
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