JP3059239B2 - エチレン−ビニルアルコール系共重合体、成形体および積層体 - Google Patents

エチレン−ビニルアルコール系共重合体、成形体および積層体

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高いシンジオタクティ
シティを有するエチレン−ビニルアルコール系共重合
体、成形体および積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】エチレン−ビニルアルコール共重合体
(以下EVOHと記す)は、すぐれた耐気体透過性、耐
油性、耐溶剤性、保香性を有した熱可塑性樹脂であり、
種々の包装体、シート、容器等に使用されている。
【0003】ところで、このようなEVOHは、まずエ
チレン−酢酸ビニル共重合体を溶液重合法等で得、つい
でけん化を行って得られているが、この方法で得られた
EVOHは、外部の湿度、温度により耐衝撃性、ヤング
率が大きく変化したり、耐気体透過性の湿度依存性が大
きい。また、最近EVOHを中間層に使用した積層体が
レトルト処理用の容器として用いられているが、EVO
Hはレトルト処理時において耐気体透過性が低下する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、従来
のEVOHの高湿度条件下、とくに高温高湿度条件下に
おける耐気体透過性の劣化を改善することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
を重ねた結果、シンジオタクティシティを高くすること
によって、従来のEVOHの優れた性質を損なうことな
く、その弱点であった高湿度条件、とくに高温高湿度下
における耐気体透過性の劣化が改善されることを見いだ
し本発明を完成した。
【0006】すなわち、本発明は、エチレン成分の含有
量が10〜70モル%であり、シンジオタクティシティ
がダイアッド表示で55モル%以上であるエチレン−ビ
ニルアルコール系共重合体であり、かつフェノール85
重量%と水15重量%の混合溶媒を用いて30℃で測定
した極限粘度[η]が0.05リットル/g以上であるエ
チレン−ビニルアルコール系共重合体である。
【0007】本発明においては、まず、エチレン成分の
含有量は、10〜70モル%であることが重要であり、
この範囲において、高湿度条件下、とくに高温高湿度条
件下での優れた耐気体透過性を維持することができる。
エチレン成分の含有量が10モル%未満であると高湿度
下での耐気体透過性が損なわれるし、エチレン成分が7
0モル%より大きいと低湿度下での耐気体透過性が著し
く損なわれる。エチレン成分の含有量は15モル%以
上、さらには20モル%以上、最適には25モル%以上
であることが好ましく、また65モル%以下さらに60
モル%以下であることが好ましい。
【0008】次に、本発明において、シンジオタクティ
シティが55モル%以上であることは極めて重要であ
り、この範囲において高湿度条件下、とくに高温高湿度
条件下での優れた耐気体透過性を維持することができ
る。シンジオタクティシティが55モル%未満では後述
する実施例からも明らかなように高湿度条件下における
耐気体透過性が損なわれる。シンジオタクティシティは
好ましくは57モル%以上である。シンジオタクティシ
ティの上限についてはとくに限定されるものではない
が、製造上の観点から65モル%、さらには70モル%
である。
【0009】ここでシンジオタクティシティとは、ダイ
アッド表示で表されるものであり、1H−NMRの4.
0〜4.7ppmに存在する水酸基の水素のピークの分
裂の積分強度比より計算される。(図1参照)。さら
に、本発明においてエチレン−ビニルアルコール系共重
合体の極限粘度[η]は0.05リットル/g以上であ
り、この範囲において機械的強度の充分な成形物が得ら
れ、また溶融成形性も良好である。好適には0.05〜
0.7リットル/gであり、さらに好適には0.06〜
0.5リットル/gである。
【0010】本発明のエチレン−ビニルアルコール系共
重合体は、例えば次のような方法により製造される。す
なわち、エチレンと化1で表されるビニルエステルを共
重合し、得られた共重合体をけん化する方法である。
【0011】
【化1】
【0012】ここで、R1,R2は、水素または炭化水素
基を示し、R3は炭化水素基を示すが、炭化水素基とし
ては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、t−ブチル
などの低級アルキル基;フェニルなどのアリール基;シ
クロヘキシル基などのシクロアルキル基などの炭素数1
〜18の炭化水素基が挙げられる。このうち、R1
2,R3はいずれも低級アルキル基、とくにメチル基で
あることが好ましい。すなわちビニルエステル成分とし
ては、R1,R2,R3がいずれもメチル基であるピバリ
ン酸ビニルであることが最も好ましい。
【0013】エチレン−ビニルエステルの共重合は、バ
ルク重合、溶液重合、サスペンジョン重合、エマルジョ
ン重合により実施されるが、バルク、あるいは溶媒の存
在下での溶液重合により、0℃〜100℃、好ましくは
30℃〜60℃の条件下で実施されることが好ましい。
重合率は20〜80%、好ましくは30〜60%であ
り、溶液重合の際には、溶剤濃度は50%以下、好まし
くは30%以下である。
【0014】溶液重合に使用する溶媒はアルコールであ
ることが好ましく、通常メタノール、エタノール、プロ
パノール、t−ブタノールなどの低級アルコールが好ま
しい。これらの溶媒は単独で使用することもできるし、
2種以上を混合して使用してもよい。共重合操作は、回
分式、連続式のいずれも使用できるが、撹拌混合型重合
槽をもちいた流系操作が好適である。
【0015】エチレン−ビニルエステル系共重合体のエ
チレン含有率は系内に存在するビニルエステルと溶液中
の溶存エチレン量によって決まり、後者は系内エチレン
圧力、温度に依存する。回分式で重合を行う際は共重合
反応性比に従い重合率と共に共重合組成が変動していく
ことはよく知られているが、単量体組成が一定となるよ
うに一方もしくは両方の単量体を添加していく半回分法
を採用することが均一な共重合組成を有する共重合体を
得るためには、より望ましい。この際の添加量の算出方
法の一例としては、R.J.Hanna(Indust
rial and Engineering Chem
istry vol.49,208(1957))が提
出している式が挙げられる。連続法の場合、撹拌混合槽
を共重合反応槽とする完全混合型1段の流系反応方式が
好適であり、また2段以上の多段の流系反応方式の場合
には、前記と同様の理由で各段の共重合槽内の単量体組
成が一定となるように、2段以降の槽に単量体を添加し
ながら行うことがより好ましい。
【0016】前記共重合反応には、ラジカル重合開始剤
が用いられ、例えば2,2’−アゾビス−(4−メトキ
シ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,4,4−
トリメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス−イソ
ブチロニトリルなどのニトリル類、ジ−n−プロピルパ
−オキシカーボネート、ビス−4−t−ブチルシクロ
ヘキシルパーオキシジカーボネート、ビス−2−エチル
−ヘキシルパーオキシジカーボネートなどのカーボネー
ト類、アセチルシクロヘキサンスルフオニルパーオキシ
ド、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイルなどの過酸化
物などがある。このようにして得られた共重合体は、次
でけん化反応に供せられる。
【0017】一般に、化1で表されるような側鎖にかさ
高い基を持つビニルエステル、例えばピバリン酸ビニル
は、その立体障害のために加水分解を受けにくく、エチ
レンとの共重合体において通常のエチレン−酢酸ビニル
共重合体に対して行うような条件でのアルカリけん化方
法では十分にけん化されない。したがって以下に示す条
件によってけん化することが好ましい。
【0018】まず第1に酸素の不存在下あるいは酸化防
止剤の存在下でけん化を行なうことが重要であり、さら
に塩基性物質の使用量/ビニルエステル単位含有量のモ
ル比を0.1〜10、さらにけん化温度を60℃以上と
することが重要である。
【0019】ここで酸素の不存在下とは不活性ガス(窒
素など)で置換することにより行う方法が代表的であ
る。また、酸化防止剤としては、けん化反応に悪影響を
及ぼさず、かつけん化系において酸化防止効果を喪失し
ないものであればとくに限定されることはなく、例え
ば、
【0020】
【化2】 で示される化合物{IRGANOX 1010(日本チ
バガイギー社製)}
【0021】
【化3】 で示される化合物{IRGANOX 1098(日本チ
バガイギー社製)}などのヒンダードフェノール系酸化
防止剤、ヒドロキノンのようなフェノール系酸化防止
剤、SANOL LS−770(日本チバガイギー社
製)などのヒンダードアミン系酸化防止剤などが代表的
なものとして挙げられる。
【0022】けん化反応は、塩基性物質の存在下で行わ
れ、塩基性物質の種類、濃度、溶媒の種類に応じてエス
テル交換反応、直接けん化反応のいずれを選択すること
もできる。塩基性物質の例としては、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなどの強塩基、
ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウ
ムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウム−t−ブ
トキシドなどの金属アルコキシドが挙げられる。塩基性
物質の使用量/ビニルエステル単位含有量のモル比は、
該共重合体中に含まれるビニルエステル単位に対するモ
ル比で表され、0.1〜10、好ましくは0.5〜3で
ある。この値は目標とするけん化度、重合度、溶媒、塩
基性物質の種類などによって変化するが、一般的に0.
1未満ではけん化度が上がらず、10より大ではけん化
反応時に、重合度低下が著しく起こる。塩基性物質の使
用量は、該共重合体以外のモノマー単位において、塩基
性物質と反応する基(たとえばカルボキシル基)を含む
場合および酸化防止剤が塩基性物質と反応する場合に
は、これらによって消費される量を補償して設定され
る。
【0023】けん化温度は60℃以上であり、好適には
60〜140℃、さらに好適には80〜120℃であ
る。
【0024】けん化反応時間は、目標とするけん化度、
ポリマーの濃度、溶媒、塩基性物質、温度等によって適
宜設定される。けん化終了後は、反応系に残存している
塩基性物質を、直ちに酸によって中和することが好まし
い。酸の種類は塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、炭酸などの
無機酸や、ギ酸、酢酸、安息香酸などの有機酸が挙げら
れるが、有機酸が好ましく、酢酸が最も好適である。け
ん化終了後、反応系に残存する塩基性物質を中和しない
場合は、該共重合体の重合度の低下が起こる。
【0025】けん化の際に用いられる溶媒はエチレン−
ビニルエステル共重合体を溶解または膨潤させうるもの
であり、さらに塩基性物質およびけん化後の重合体を溶
解させることのできるものが望ましい。これらの性質を
持ち合わせた溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジオ
キサンなどの環状エーテル;アセトン、メチルエチルケ
トン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;ジメチ
ルスルホキシドなどのスルホキシド類;ジメチルホルム
アミドなどのアミド類;トルエン、ベンゼンなどの芳香
族炭化水素;メタノール、エタノール、t−ブタノー
ル、n−プロパノール、iso−プロパノール、sec
−ブタノール、シクロヘキサノールなどのアルコール類
などが挙げられ、特にテトラヒドロフラン、メチルエチ
ルケトン、t−ブタノールなどが好適である。これらは
単独で使用することもできるし、2種以上を混合して使
用してもよい。
【0026】また該エチレン−ビニルエステル共重合体
のけん化系における溶剤溶液中での濃度は、該共重合体
の重合度に応じて適宜決定されるが、通常は3〜70重
量%の間である。
【0027】このような方法でけん化して得られるエチ
レン−ビニルアルコール系共重合体の化1で示されるビ
ニルエステル成分のけん化度は80モル%以上、好まし
くは98モル%以上、最適には99モル%以上である。
けん化度が高くなればなるほど耐気体透過性が良好であ
る。また、本発明のエチレン−ビニルアルコール系共重
合体は、本発明の目的が損なわれない限りにおいてプロ
ピレン、イソブテン等のα−オレフイン、ケイ素を含む
オレフイン性不飽和単量体、アクリル酸、メタアクリル
酸、マレイン酸などの不飽和カルボン酸またはその塩、
あるいはそのエステル、あるいは酢酸ビニルなどのエチ
レンおよび前記化1以外の単量体を共重合成分として含
有しても差し支えない。
【0028】このようにして得られたエチレン−ビニル
アルコール系共重合体は、後述する実施例からも明らか
なように、とくに従来のEVOHに比べて、高湿度条件
下、とくに高温高湿度条件下における耐気体透過性の劣
化が著しく改善されるので、高湿度下において耐気体透
過性を必要とする分野、例えば食品(とくに液状)用包
装材料(容器、カップ、パウチなど)、とくに高温高湿
条件下で処理されるレトルト用包装材料として優れた効
果を示す。また、本発明のエチレン−ビニルアルコール
系共重合体は、低湿度下(乾燥状態)での耐気体透過
性、機械的特性(ヤング率、破断強度、破断伸度な
ど)、透明性においても従来のEVOHと比べて遜色は
なく、さらにエチレン含有量15モル%以上、とくに2
0モル%以上の場合は溶融成形性も良好である。
【0029】本発明のエチレン−ビニルアルコール系共
重合体は、成形体、塗料、接着剤等の広範な用途に使用
できるが、とりわけ成形体、とくに食品包装材料、医薬
品、化粧品などの包装材料の分野に広く用いられる。成
形体としては、主として溶融成形により得たフィルム、
シート、またはこれらのフィルム、シートを延伸(一軸
または二軸延伸)、または必要により熱処理して得たも
の、パリソン、パイプ、容器{ボトル(ダイレクトブロ
ーボトル、二軸延伸ブローボトル)、熱成形によるカッ
プ}などがあげられる。
【0030】本発明の他の態様は、近年特に要求される
特性の多様化、高級化等の要望に答えるべく、本発明の
エチレン−ビニルアルコール系共重合体層と他の熱可塑
性樹脂の層との少なくとも二層を含む積層体を提供する
ことにある。ここで本発明のエチレン−ビニルアルコー
ル系共重合体層と積層するために用いられる熱可塑性樹
脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン
−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体
などのポリオレフイン系樹脂、ポリエチレンテレフタレ
ート等の熱可塑性ポリエステル、6−ナイロン、66−
ナイロン等のポリアミド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニ
ル、ポリカーボネート、通常のEVOH、ポリビニルア
ルコール等またはこれら二種以上の混合物が好ましい。
これらのうち、特に好ましいのは低透湿性の熱可塑性樹
脂、とくにポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−
プロピレン共重合体、熱可塑性ポリエステル、ポリスチ
レン、ポリカーボネートである。また、積層体の構成
は、本発明のエチレン−ビニルアルコール系共重合体/
熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂/本発明のエチレン−ビニ
ルアルコール系共重合体/熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂
/本発明のエチレン−ビニルアルコール系共重合体/熱
可塑性樹脂/本発明のエチレン−ビニルアルコール系共
重合体/熱可塑性樹脂等であり、本発明のエチレン−ビ
ニルアルコール系共重合体、熱可塑性樹脂はそれぞれ単
層であってもよいし、場合によっては複層であってもよ
い。
【0031】また必要であれば該積層体の各層の間には
接着性樹脂を配しても良く、該接着性樹脂としては特に
制限はないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレ
ン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステ
ル共重合体などをエチレン性不飽和酸またはその無水物
で変性したもの、なかでも無水マレイン酸変性物あるい
は無水マレイン酸変性物に未変性の該重合体をブレンド
したものが、より好適に用いられる。
【0032】該積層体の成形としては、押出成形、射出
成形等の公知の方法が主として採用される。たとえば、
押出成形方法としては多重・複層のT−ダイ押出成形、
インフレーション押出成形、ブロー押出成形、二軸延伸
成形等が採用される。また、該積層体は押出ラミネー
ト、ドライラミネート等のラミネート技術やコーティン
グ技術等によっても成形可能である。ラミネートやコー
テイングする場合の基材としては、先に述べた本発明の
エチレン−ビニルアルコール系共重合体と積層するため
に用いられる熱可塑性樹脂などのフイルム、シートの他
にセロハン、ポリ塩化ビニリデンなどのフィルム、シー
ト(これらは一軸または二軸に延伸されていても良い。
また、これらの複層であってもよい)、紙等が挙げられ
る。また本発明エチレン−ビニルアルコール系共重合体
からなる成形体、積層体には金属酸化物(蒸着)層を設
けることもできる。
【0033】また、溶融成形において、本発明のEVO
Hに可塑剤、安定剤、界面活性剤、架橋剤、充填剤、補
強剤繊維等を適当量添加することや、別の熱可塑性樹
脂を適当量添加することも可能である。ここで熱可塑性
樹脂としては、先に述べた本発明の該共重合体けん化物
と積層するために用いられる熱可塑性樹脂等が挙げられ
る。
【0034】上記のように押出成形、射出成形等により
成形された積層体(フィルム、シート、パリソン、パイ
プ)は、無延伸または延伸(一軸延伸または二軸延伸)
積層フィルム、深絞り容器、ダイレクトブロー容器、二
軸延伸ブロー容器の材料として使用される。また、カッ
プ状容器のような深絞り容器は、該積層体からなるシー
トを所定の延伸温度にて深絞り成形、圧空成形、真空成
形、プラグアシスト成形等により得られる。このように
して得られた積層体は、詳細は実施例に述べるが、高湿
度下における酸素透過性が小さく、包装用に好適に使用
され、特に食品包装用として好適に用いられる。
【0035】以下、本発明をより理解しやすくするため
に実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例
に限定されるものではない。
【0036】
【実施例】実施例1 容量50リットルの撹拌機付き耐圧重合槽に、ピバリン
酸ビニル単量体20kg、メタノール4.5kg、エタ
ノール1.5kgおよび重合開始剤としてアゾビスイソ
ブチロニトリル(AIBN)13gを仕込み、系内をエ
チレンで置換することによって酸素を十分除き、エチレ
ン圧力を25kg/cm2に保ち、撹拌しながら60℃
で5時間重合反応を行った。素早く系内に重合禁止剤を
投入して重合反応を停止した。ピバリン酸ビニルの重合
率は50%であった。当該共重合体をiso−プロパノ
ールに溶解させ、減圧加熱して未反応単量体を追い出し
た。さらにアセトンを用いて再沈、精製した。当該重合
体6kgを90kgのテトラヒドロフラン(THF)に
溶かし、1時間窒素バブリングを行い酸素を十分に除去
した。
【0037】次に、水酸化カリウム(KOH)15.6
kg(KOH使用量/ピバリン酸ビニル単位含有量のモ
ル比6.5)を、45kgのメタノール(MeOH)に
溶解させ同様に1時間窒素バブリングし酸素を十分に除
去した。ついで両液を窒素置換した200リットル耐圧
反応槽に入れ、よく混合撹拌して75分、95℃でけん
化を行い、得られたけん化物を純水で洗浄した後に10
5℃で20時間減圧乾燥した。溶媒にd6−ジメチルス
ルホキシド(DMSO)を用いて1H−NMRにより、
得られたエチレン−ビニルアルコールランダム共重合体
のエチレン成分含量、けん化度、シンジオタクティシテ
ィを求めた。そのチャートを図1に示す。融点は、DS
Cを用い、窒素気流中で昇温速度10℃/minで室温
から250℃まで昇温し、直ちに室温まで急冷後再び1
0℃/minで250℃まで昇温して測定した。
【0038】レトルト処理時酸素透過量は、多層シート
(ポリプロピレン(PP)/接着層/実施例1の共重合
体/接着層/PPの構成の3種5層シートを共押出によ
って作成し、厚み構成がPP(300μ)/接着層(1
5μ)/共重合体(20μ)/接着層(15μ)/PP
(300μ))を用いて絞り比1:1のカップ状容器
(底部66mmφ、上部75mmφ、高さ75mmの容
器;表面積(透過面積)/容積=0.7)を作成し、酸
素を十分除去した水に還元液を加えた液を満たし上部を
アルミ箔で密閉し、120℃(ゲージ圧力1.0kg/
cm2)で所定時間レトルト処理し、容器中の液をサン
プリングし、還元液と透過した酸素の反応生成物を吸光
度法で定量することにより求めた。
【0039】酸素透過率は、厚み30μの溶融押出単層
フィルムを120℃、10分熱処理し、20℃、65%
RHおよび100%RHの条件下で1週間調湿し、モダ
ンコントロール社の酸素透過率測定装置(OX−TRA
N100)を用いて測定した。
【0040】ヤング率、破断強度、破断伸度は上記単層
フィルムを120℃、10分熱処理し、20℃、65%
RHの条件下1週間調湿し、引っ張り試験機を用いて引
っ張り速度500mm/minで測定した。上記の各測
定値を表1に示す。
【0041】実施例2 エチレン圧力を34kg/cm2とした以外はすべて実
施例1と同様の方法で重合、けん化、水洗、乾燥を行
い、該EVOHの各種分析および該EVOHを用い実施
例1と同様にして成形して得たカップ状容器、単層フィ
ルムの各種評価を実施した。結果を表1に示す。
【0042】実施例3 メタノールの仕込量を2.4kg、エチレン圧力を45
kg/cm2とした以外はすべて実施例1と同様の方法
で重合、けん化、水洗、乾燥を行い、該EVOHの各種
分析および該EVOHを用い実施例1と同様にして成形
して得たカップ状容器、単層フィルムの各種評価を実施
した。結果を表1に示す。
【0043】実施例4 メタノールの仕込量を6.0kg、エチレン圧力を15
kg/cm2とした以外はすべて実施例1と同様の方法
で重合、けん化、水洗、乾燥を行い、該EVOHの各種
分析および該EVOHを用い実施例1と同様にして成形
して得たカップ状容器、単層フィルムの各種評価を実施
した。結果を表1に示す。
【0044】比較例1 容器50 の撹拌機付き耐圧重合槽に、酢酸ビニル単量
体13.0kg、メタノール2.0kgおよび重合開始
剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)8.
8gを仕込み、系内をエチレンで置換することによって
酸素を十分除き、エチレン圧力を42kg/cm2に保
ち、撹拌しながら60℃で4時間重合反応を行った。素
早く系内に重合禁止剤を投入して重合反応を停止した。
酢酸ビニルの重合率は40%であった。メタノールを加
えて未反応単量体を追い出した後に所定量の水酸化ナト
リウム(NaOH)、メタノールを加えて60℃、75
分けん化を行い、ついで水洗、乾燥した。次に該EVO
Hの各種分析および該EVOHを用い実施例1と同様に
して成形して得たカップ状容器、単層フィルムの各種評
価を実施した。結果を表1に示す。実施例1と比較し
て、120℃レトルト処理時および20℃、100%R
H条件下の酸素透過性が大きい。
【0045】比較例2 エチレン圧力を57kg/cm2とした以外は比較例1
と同様の方法で重合、けん化、水洗、乾燥を行い、該E
VOHの各種分析および該EVOHを用い実施例1と同
様にして成形して得たカップ状容器、単層フィルムの各
種評価を実施した。結果を表1に示す。実施例3と比較
して、120℃レトルト処理時および20℃、100%
RH条件下の酸素透過性が大きい。
【0046】比較例3 けん化条件を、温度60℃、時間30分とした以外は実
施例1と同様の条件で重合、けん化、水洗、乾燥を行
い、該EVOHの各種分析および該EVOHを用い実施
例1と同様にして成形して得たカップ状容器、単層フィ
ルムの各種評価を実施した。結果を表1に示す。実施例
1と比較して120℃レトルト処理時および20℃、6
5%RH、100%RH条件下の酸素透過性が非常に大
きい。
【0047】比較例4 メタノールの仕込量を3.3kg、エチレン圧力を27
kg/cm2とした以外は比較例1と同様の方法で重
合、けん化、水洗、乾燥を行い、該EVOHの各種分析
および該EVOHを用い実施例1と同様にして成形して
得たカップ状容器、単層フィルムの各種評価を実施し
た。結果を表1に示す。実施例4と比較して、120℃
レトルト処理時および20℃、100%RH条件下の酸
素透過性が大きい。
【0048】比較例5 メタノールの仕込み量を0kg、エチレン圧力を80kg
/cm2とした以外は実施例1と同様の条件で重合、け
ん化、水洗、乾燥を行い、該EVOHの各種分析および
該EVOHを用い実施例1と同様にして成形して得たカ
ップ状容器、単層フィルムの各種評価を実施した。結果
を表1に示す。実施例1〜4と比較して120℃レトル
ト処理時および20℃、65%RH、100%RH条件
下の酸素透過性が非常に大きい。
【0049】比較例6 メタノールの仕込量を10.0kg、エタノールの仕込
量を1.0kg、エチレン圧力を3kg/cm2とした
以外はすべて実施例1と同様の方法で重合、けん化、水
洗、乾燥を行い、該EVOHの各種分析を行った。該E
VOHは融点が高く、溶融成形が不可能であるため、該
EVOHをDMSOに溶解し、これをキャストしてフィ
ルム(30μ)を得た。このフィルムの各種評価結果を
表1に示す。
【0050】比較例7 メタノールの仕込量を8.0Kg,エタノールを0K
g,エチレンを0Kg/cm2(エチレン不使用)とし
た以外は実施例1と同様の方法で重合,けん化,水洗乾
燥を行い、得られたポリマーは融点が高く、溶融熱成形
が不可能であるため、このポリマーをDMSOに溶融
し、キャストしてフィルム(30μ)を得た。このフィ
ルムの評価を表1に示すが、実施例1〜4と比較して高
湿度下の酸素透過性が非常に大きい。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
【発明の効果】本発明のエチレン−ビニルアルコール系
共重合体は、従来のEVOHに比べて、高湿度下、とく
に高温高湿度下における耐気体透過性の劣化が少なく、
しかも低湿度下の耐気体透過性、透明性、溶融成形性に
おいて遜色がなく良好である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られたエチレン−ビニルアルコー
ル系ランダム共重合体のd6−DMSO溶媒中で測定し
1H−NMRのチャート(400MHz、日本電子
(株)製GX−400使用)である。1.2〜1.5pp
mのピークはメチレン基のケミカルシフトを、3.5〜
4.0ppmのピークはメチン基のケミカルシフトを、
4.0〜4.7ppmのピークは水酸基のケミカルシフ
トを表す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡谷 卓司 大阪市北区梅田1丁目12番地39号 株式 会社クラレ内 審査官 佐藤 邦彦 (56)参考文献 特開 平3−200842(JP,A) 特開 平1−319505(JP,A) 特開 平1−92203(JP,A) 特開 昭60−173038(JP,A) 特開 昭61−108713(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 8/12 C08F 210/02 C08F 216/06

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレン成分の含有量が10〜70モル
    %、シンジオタクティシティがダイアッド表示で55モ
    ル%以上であり、かつフェノール85重量%と水15重
    量%の混合溶媒を用いて30℃で測定した極限粘度[η]
    が0.05リットル/g以上であるエチレン−ビニルア
    ルコール系共重合体。
  2. 【請求項2】 請求項記載のエチレン−ビニルアルコ
    ール系共重合体からなる成形体。
  3. 【請求項3】 請求項記載のエチレン−ビニルアルコ
    ール系共重合体層と他の熱可塑性樹脂層の少なくとも二
    層を含む積層体。
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