JP2721501B2 - 異温度室を有する貨物車 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、保存温度帯が異なる食品や薬品、その他の
各種貨物を最適温度で管理しつつ輸送するための異温度
室を有する貨物車に関する。 （従来の技術） 従来の貨物車は、通常貨物を積載する貨物車か、或い
は冷凍専用の冷凍車であり、貨物の管理に好ましい温度
に制御された異温度室を有する貨物車が提供されていな
かった。 近時、貨物特に小貨物の移動手段の主流となった宅配
便において、異なった温度管理を要する種々貨物が著し
く増加している。そのために一車両において異なった温
度管理をする必要性が生じており、これは一地域から他
地域へ貨物を集中移動させるための運行車においても必
要であるが、集配基地から各集配先を回る集配車には、
一定地域内における種々の集配貨物を混載することにな
るために特に温度管理の必要性が高まる。 本発明は、このような観点から新たな積載構成を有し
た貨物車を提供せんとするものである。 （問題を解決するための手段） 上記目的を達成するため本発明は、貨物積載用の常温
室と、互いに温度の異なる二以上の冷蔵乃至冷凍室とか
らなり、冷蔵乃至冷凍室には、各々独立した開閉扉が設
置され、かつ、各室の温度条件の冷凍能力を持つように
所要個数の蓄冷剤をセットした蓄冷剤ユニットと、貨物
車のバッテリーを電源とし、各室の温度条件に制御され
た冷凍機とが各々配設されている異温度室を有した貨物
車の構成を特徴とする。 また前記蓄冷剤は蓄冷能力によって色分け等により識
別可能とし、この異なった蓄冷能力の蓄冷剤が各別に冷
蔵乃至冷凍室に配設されているものとするのが好まし
く、前記蓄冷剤ユニットをその蓄冷能力に応じて異なっ
た色又は少なくとも部分的変形によって識別されるトレ
ーによって形成してあるものとすれば一層好ましい。 （実施例） 次に、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。 第１図は、本発明に係る一例貨物車の構成状態を示す
平面略図であり、貨物車を箱状の貨物室１として構成
し、該貨物室１内に保冷庫３を搭載し、他の室内部分を
外気温と同様乃至近似した環境の積載区画としての常温
室２とし、保冷庫３は、第２図に示されているように３
つの区画に遮断し、１つの区画を、青果、加工肉、乳製
品等の食品、その他凍結しないように低温保管すること
が望ましい貨物用としての摂氏５℃前後を維持する冷蔵
室４とし、別の１つの区画を、生鮮魚介類や生肉等の氷
温食品（氷温とは、生鮮物の細胞が破壊乃至変性してし
まわない範囲での凍結温度）、その他の氷温状態で保管
することが望ましい貨物用としての摂氏０℃〜４℃前後
を維持する氷温室５とし、他の１つの区画を、アイスク
リーム等の冷凍食品、その他の冷凍状態で保管すること
が望ましい貨物用としての摂氏−18℃前後（−15℃以
下）を維持する冷凍室６として構成されている。 上記各室4,5,6には、それぞれ独立して開閉扉7,8,9が
設置されていると共に、各独立した２種類の冷凍能力が
配設されている。該冷凍機能は、貨物車のバッテリーを
電源として各室の温度条件に制御された冷凍機10,11,1
2、及び各室の温度条件の冷凍能力を持つようにセット
されかつ各室上部に設けられた棚上に配設された蓄冷剤
ユニット13,14,15からなっている。 蓄冷剤ユニットは、第３図に例示する如くトレー16に
各室4,5,6のそれぞれの所定温度条件を所定時間維持し
得るに必要な数の単位蓄冷剤17をセットして構成されて
いる。該トレー16は、所要個数の単位蓄冷剤17が適宜間
隔を置いて並置固定されるように構成されており、単位
蓄冷剤17は、各室4,5,6の所定温度を維持しえる蓄熱量
を有した３種の蓄冷剤とし、例えば、冷蔵室用の蓄冷剤
は５℃前後の保冷能力をもつものとして外郭を緑色に着
色され、氷温室用のものは０〜−４℃程度の保冷能力で
その外郭を青色に着色され、冷凍室用のものは−18℃程
度の保冷能力でその外郭を白色に着色されて、それぞれ
が誤認使用されないように一見して識別可能に形成され
ている。 なお、トレー16を上記同様の識別性を持たせるため
に、或いは有効時間を分かるようにする等のために色別
乃至一部形状を変更する等してもよい。 上記蓄冷剤17は、宅配等の業務終了後に凍結庫に入れ
て再蓄冷させ、次の使用に供する。 上記構成の異温度室を有する貨物車によれば、車両運
行中は、バッテリー電源による冷凍機10,11,12によって
各室4,5,6が積極的に所定温度帯に管理され、宅配のた
めにエンジンを停止している時等の冷凍機の機能停止時
は蓄冷剤ユニット13,14,15によって各室が所定温度帯に
維持管理されるので、貨物の温度管理が確実である。 なお、貨物車の貨物室は、上記のように箱状とする
他、幌を被せたもの等であってもよく、また、保冷室の
異温度室数は上記３室とするのが、貨物の温度管理適
正、使用頻度、管理コスト等を総合勘案して最も好まし
いが、２室或いは４室等としてもよい。 （発明の効果） 以上のように、本発明によれば、通常貨物積載用の常
温室と、温度の異なる２以上の保冷室を有しているた
め、保管温度帯が異なる各種貨物を変質、変形等するこ
とのない適正な温度帯で保管しつつ多数同時に輸送する
ことができる。特に、各種貨物を混載する宅配使用の貨
物車として有効である。

【図面の簡単な説明】 第１図は本発明に係る一例貨物車の平面略図、第２図は
一例保冷室の斜視図、第３図は蓄冷剤ユニットの一部を
切断して示した斜視図である。 ２……常温室、３……保冷庫、４…冷蔵室、５……氷温
室、６…冷凍室、10〜12……冷凍機、13〜15……蓄冷剤
ユニット、16……トレー、17……単位蓄冷剤。

Claims (1)

1. (57)【特許請求の範囲】 １．貨物積載用の常温室と、互いに温度の異なる二以上
   の冷蔵乃至冷凍室とからなり、冷蔵乃至冷凍室には、各
   々独立した開閉扉が設置され、かつ、各室の温度条件の
   冷凍能力を持つように所要個数の蓄冷剤をセットした蓄
   冷剤ユニットと、貨物車のバッテリーを電源とし、各室
   の温度条件に制御された冷凍機とが各々配設されている
   異温度室を有する貨物車。 ２．前記蓄冷剤は蓄冷能力によって色分け等により識別
   可能とし、この異なった蓄冷能力の蓄冷剤が各別に冷蔵
   乃至冷凍室に配設されているものである請求項１に記載
   の異温度室を有する貨物車。 ３．前記蓄冷剤ユニットはその蓄冷能力に応じて異なっ
   た色又は少なくとも部分的変形によって識別されるトレ
   ーによって形成されているものである請求項１または２
   に記載の異温度室を有する貨物車。