JP2721484B2 - コンクリートタイルの製造方法 - Google Patents

コンクリートタイルの製造方法

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  • Finishing Walls (AREA)
  • Moulds, Cores, Or Mandrels (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】 本発明は、壁面や床面、その他
路面などに用いることができるコンクリートタイルの
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】 従来から、壁面などにモルタルを塗布
し、その上からコンクリートタイルを貼り付けてタイル
張りすることが行われている。図11、図12はかかる
従来のコンクリートタイルを外壁に用いた例であって、
図11において、コンクリートタイル1は略四角形の平
板状に形成されている。コンクリートタイル1の表面に
は所定の意匠が施されており、図12のように並べて配
置することにより所定の外観(図12に示した例では煉
瓦造りの外観となっている)を作るようになっている。
一方、コンクリートタイル1の裏面側は、ほぼ平坦な面
に形成されており、この裏面側に張付けモルタル3及び
接着剤を塗布することにより、コンクリートタイル1が
コンクリートの壁面2に固着されている。そして、コン
クリートタイル1を取り付けた後に、目地ゴテ4により
コンクリートタイル1とコンクリートタイル1との間の
モルタルの盛り上がりが整形されている。
【0003】 また、上記のようなタイルの製造方法と
しては、箱形をした型にコンクリートタイル1の材料で
あるコンクリートを流し込み、このコンクリートが完全
に乾燥したところで型から取り外す方法が用いられてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】 上記のような従来の
コンクリートタイルにおいては、タイルの取付け面であ
る裏面が、ほぼ平坦な面となっていたため、取付け強度
が必ずしも十分ではなく、タイルを張付けてから長期間
経過すると、タイルが容易に取れてしまったり、剥がれ
落ちてしまうという問題があった。特に、コンクリート
タイルを高層住宅の外壁などに使用している場合には、
タイルが剥がれ落ちたのでは大変危険であるし、また、
外壁上も美観が悪化してしまい、意匠建材としての外観
を損なってしまうという問題もあった。
【0005】 本発明は上記従来技術の問題点を解決す
るためになされたものであって、コンクリートタイルの
取付け強度を強くすることにより、長期間経過してもタ
イルが剥離してしまうことを防止することができるコン
クリートタイルの製造方法を提供することを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】 本発明にかかるタイル
の製造方法は、型にタイルを構成するモルタルを流し込
み、エアーが入った複数の突起を有するエアパックを上
記モルタルに押圧ながら埋設し、モルタルが固化した後
に上記エアパックを抜き取ることによりコンクリートタ
イルの裏面に孔を形成するようにした。また、別の製造
方法は、型にコンクリートタイルを構成するモルタルを
流し込み、基端部より先端部側の径が大きい可撓性の突
起を複数有する孔形成部材を上記モルタルに押圧しなが
ら埋設し、モルタルが固化した後に上記孔形成部材を抜
き取ることによりコンクリートタイルの裏面に孔を形成
するようにした。上記の製造工程に加えてエアパック又
は孔形成部材をモルタル上面に押しつけた後に型全体に
振動を与えるようにしてもよい。
【0007】
【作用】 エアックの突起は、タイルを構成するモル
タルに押圧され、この圧力によって扁平な形となり、
端部よりも先端側の径が大きくなる。また、孔形成部材
は、可撓性の部材であるため、タイルを構成するモルタ
ルが固化した後でもタイルの孔から容易に取り出すこと
ができる。コンクリートタイルの裏面に形成された有底
の孔には、タイルの張付けモルタルが充填される。この
孔は開口部よりも奥の方の径が大きくなっていることか
ら、孔の奥の方固化したモルタルが小径に形成された
孔の開口部に引っ掛り、これによりコンクリートタイル
が取付け面から剥離することが防止される。
【0008】
【実施例】 以下、本発明にかかるタイルの製造方法の
実施例を図面を用いて説明する。図1ないし図3におい
て、コンクリートタイル11はモルタルを型により成形
することにより作られている。コンクリートタイル11
の表面には所定の意匠が施されており、図2のように所
定の形に並べて配置することにより、所定の外観(図2
に示す実施例では煉瓦造りの外観)が形成されるように
なっている。一方、コンクリートタイル11の裏面には
図1に示すように複数の有底の孔12が複数列形成され
ている。各孔12の奥の方の径は、その開口部の径より
も大きく形成されている。なお、上記コンクリートタイ
ル11の裏面に形成される孔12はタイル裏面全体に均
一に設けた方がよく、これによりコンクリートタイル1
1を外壁などに取り付けた場合、コンクリートタイル1
1にかかる外力を均一に受けることができる。
【0009】 上記コンクリートタイル11を壁面など
に取り付けた状態について説明する。図2、図3におい
て、コンクリートなどからなる壁面2上には張付けモル
タル3が塗付けられている。この張付けモルタル3には
改良圧着張り工法により上記コンクリートタイル11が
埋め込まれるようにして取り付けられている。コンクリ
ートタイル11の裏面の孔12には張付けモルタル3が
充填され、上記張付けモルタル3は上記壁面2への塗布
層から孔12内にかけてつながっている。そして、コン
クリートタイル11とコンクリートタイル11との間の
盛り上がった部分は、目地ゴテやササラにより整形され
ている。なお、コンクリートタイル11と取付け用のモ
ルタル3との間に隙間ができないようにモルタルパック
などを用いて張り付けモルタルを注入したり、凍結防止
や美観維持のためタイルの上から浸透性吸水防止剤を塗
布しておいてもよい。
【0010】 次に、上記タイルの製造方法について図
4ないし図6を用いて説明する。まず、コンクリートタ
イル11を成形する型13は上面から見て所定の形状
(図4に示す実施例では長方形状)に形成されており、
この型13内にはコンクリートタイル11を構成するモ
ルタル11Aが流し込まれる。この状態ではモルタル1
1Aはまだ半流動体(ゲル状)となっている。そして、
図5に示すように孔形成部材14を押圧部材15により
上記モルタル11Aの上面に押し付ける。孔形成部材1
4としては、エアパックと称して主に梱包材料として用
いられるもので、柔軟性のある薄いフィルムで作られ、
気泡状の気密室を無数に近接させて配置させたものを用
いる。エアパックからなる孔形成部材14の片面側(図
4では下面側)に上記気密室17が無数に突設されてお
り、この気密室17がモルタル11A内に埋設される。
【0011】 図6は、かかる気密室17がモルタル1
1Aに押圧された状態を示したものである。気密室17
は、通常の状態では図6に破線で示したようにエアパッ
ク本体から突出するようになっており、その内部のエア
ーも余裕を持って充填されている。しかし、モルタル1
1A上に押圧されると、その押圧力により余裕をもって
充填されていたエアーが圧縮され周囲に拡大しようとす
るため、この力により突起17が横方向に押し拡げられ
る。従って、これにより形成される孔12は扁平な形と
なり、その奥方の径がその開口部の径よりも大きくなる
ように形成される。なお、モルタル11Aは半流動体
(ゲル状)であるため、突起17の基端部と先端部との
間の隙間Sまでモルタル18Aがゆきわたらないことが
あり、この部分に隙間が形成され、孔12の開口が広が
ってしまう場合がある。そのため、図5に示すように型
枠13の載置されている台16自体をバイブレータと
し、又は16にバイブレータを連結して16を振動
させることにより、型枠全体を振動させ、上記隙間Sの
部分にもモルタル11Aがゆきわたるようにしてもよ
い。こうすれば孔の開口部の径が大きくなってしまうこ
とを防止することができる。
【0012】 上記のようにエアパック14からなる孔
形成部材をモルタル11Aに押圧した状態でモルタル1
1Aを乾燥させて固化させる。モルタル11Aが完全に
固化した状態で孔形成部材14を抜き取る。この時、孔
形成部材は柔軟性のある薄いフィルム状に形成されてい
ると共に、気密室17内のエアーが弾性を有することか
ら比較的容易に抜き取ることができる。なお、たとえ抜
き取りに失敗し、エアパック14の一部が孔12内に残
ったとしても、エアパック14の突起17は薄膜状のフ
ィルムであるため、コンクリートタイル11を壁面など
に取り付けるときの障害となることもない。
【0013】 上記の方法により製造されたコンクリー
トタイル11によれば、タイルの取付け面となる裏面に
有底の孔12が複数個形成されており、この孔12の径
は開口部よりも奥の方が大きくなっていることから、こ
の孔12に張付けモルタル3が充填されて取り付けられ
ることになり、よって内周部に充填されたモルタルが小
径の孔12の開口部に引っ掛ることにより、コンクリー
トタイル11の取付け強度を向上させることができ、タ
イルを長期間安定して張り付けておくことができる。ち
なみに、コンクリートタイル11を引き剥がすのに必要
な力は、従来のように裏面を平坦な面に形成した場合に
比べて3〜4倍に達することを確認した。
【0014】 また、上記実施例のように、エアーが充
填された気密室17を複数有するエアパックを孔形成部
材14としてタイル形成用のモルタル11Aに押圧して
タイルを形成するようにしたことから、特殊な機材を用
いることなく、日常的に用いられている素材で極めて簡
単に有底の孔を有するコンクリートタイル11を製造す
ることができる。また、たとえエアパックの抜き取りに
失敗し、その一部が孔12内に残ったとしても、コンク
リートタイル11を壁面などに取り付けるときの障害と
なることはないし、エアパックの抜き取りは容易であり
作業能率が低下することもない。
【0015】 次に、本発明別の実施例について、図
7ないし図10を用いて説明する。なお、上記図1ない
し図6に示す実施例の構成部分と同一の構成部分につい
ては、同一の符号を付して説明を省略する。図7に示す
実施例は、突起23を有する孔形成部材22をシリコン
ラバー又はポリエチレンなどの可撓性材料により形成
し、孔形成部材22の突起23及びこれにより形成され
るタイルの孔24を断面台形状に形成した例である。上
記突起23はその基端部の径よりも先端部の径の方が大
径となっており、これに対応して、上記孔24はその開
口部の径よりも奥方の径の方が大きくなっている。な
お、上記孔形成部材22により孔24を形成するには、
上記図4、図5に示した実施例と同様の工程により行え
ばよい。即ち、型に流し込まれたモルタルの上に孔形成
部材22を載せて押圧部材によりモルタルに押圧し、モ
ルタルが硬化したあと孔形成部材22を抜き取る。モル
タルに孔形成部材22を載せた状態で振動を与えればよ
いことも前記実施例の場合と同じである。
【0016】 上記図7に示す実施例によっても上記図
1ないし図5に示した実施例と同様の効果を奏すること
ができる。また、孔形成部材22の突起23は可撓性を
有するシリコンラバー又はポリエチレンで形成されてい
ることから、モルタル11Aが固化した後でも孔形成部
材22の突起23を容易に孔24から抜き取ることがで
き、容易にコンクリートタイルを製造することでき
る。
【0017】 また、図8に示した実施例は、突起27
を有する孔形成部材26をシリコンラバー又はポリエチ
レンなどの可撓性を有する材料により形成し、孔形成部
材26の突起27及びこれにより形成されるタイルの孔
28をその断面が矢印状となるように形成した例であ
る。上記突起27はその基端部よりも、先端部の円錐状
をした部分の最大径部の方が大径となっている。そし
て、これに対応して上記孔28もその開口部の径よりも
奥の方の円錐状をした部分の最大径部の径の方が大きく
なっている。なお、上記孔形成部材26により孔28を
形成するには、前記図4、図5に示した実施例と同様の
工程により行えばよい。
【0018】 このように図8に示す実施例において
も、孔28はその開口部の径がその奥の方の径よりも小
さくなっていると共に、突起27はシリコンラバー又は
ポリエチレンといった弾性部材により形成されているこ
とから、上記図7に示す実施例と同様の効果を奏するこ
とができる。
【0019】 また、図9に示した実施例は、突起32
を有する孔形成部材31をシリコンラバー又はポリエチ
レンなどの可撓性材料により形成し、孔形成部材31の
突起32及びこれにより形成されるタイルの孔33をそ
の断面が菱形となるように形成した例である。上記突起
32はその基端部よりも、先端部の菱形をした部分の最
大径部の方が大径となっており、これに対応して上記孔
33もその開口部の径よりも奥の方の菱形をした部分の
最大径部の径の方が大きくなっている。なお、上記孔形
成部材31により孔33を形成するには、上記図4、図
5に示した実施例と同様の工程により行えばよい。
【0020】 このように図9に示す実施例において
も、孔33はその開口部の径がその奥の径よりも小さく
なっていると共に、突起32はシリコンラバー又はポリ
エチレンといった弾性部材により形成されていることか
ら、上記図7に示す実施例と同様の効果を奏することが
できる。
【0021】 また、図10に示した実施例は、突起3
7を有する孔形成部材36をシリコンラバー又はポリエ
チレンなどの可撓性材料により形成し、孔形成部材36
の突起37及びこれにより形成されるタイルの孔38を
その断面が半円状となるように形成した例である。上記
突起37はその基端部よりも、先端部の半球状をした部
分の最大径部の方が大径となっている。そして、これに
対応して上記孔38もその開口部の径よりも奥の半球状
をした部分の最大径部の径の方が大きくなっている。な
お、上記孔形成部材36により孔38を形成するには、
上記図4、図5に示した実施例と同様の工程により行え
ばよい。
【0022】 このように図10に示す実施例において
も、孔38はその開口部の径がその奥の径よりも小さく
なっていると共に、突起37はシリコンラバー又はポリ
エチレンといった弾性部材により形成されていることか
ら、上記図7に示す実施例と同様の効果を奏することが
できる。
【0023】
【発明の効果】 本願請求項1記載の発明によれば、型
にタイルを構成するモルタルを流し込み、エアーが入っ
た複数の突起を有するエアパックを上記モルタルに押圧
しながら埋設し、モルタルが固化した後に上記孔形成部
材を抜き取ることによりコンクリートタイルの裏面に孔
を形成するようにしたことから、コンクリートタイルの
裏面に容易に孔を形成することができ、製造コストも低
く抑えることができる。また、たとえエアパックの抜き
取りに失敗し、その一部が孔内に残ったとしても、コン
クリートタイルを壁面などに取り付けるときの障害とな
ることはないから、エアパックの抜き取りは容易であり
作業能率が低下することはない。
【0024】 上記製造方法によって製造されたコンク
リートタイルによれば、コンクリートタイルの取付け面
となる裏面に有底の孔が複数個形成されており、この孔
の径は開口部よりも奥の方が大きくなっていることか
ら、この孔に張付けモルタルが充填されて取り付けられ
ることにより、奥の方に充填されたモルタルが小径の孔
の開口部に引っ掛り、コンクリートタイルの取付け強度
を向上させることができると共に、コンクリートタイル
を長期間安定して張り付けておくことができる。
【0025】 本願請求項記載の発明によれば、エア
パックをモルタル上に押圧した後に型枠全体を振動させ
るようにしたことから、モルタルを気密室の基端部と先
端部との間の隙間にいきわたらせることができ、孔の開
口部が広がってしまうことを防止することができる。
【0026】 本願請求項記載の発明によれば、型に
コンクリートタイルを構成するモルタルを流し込み、基
端部より先端部側の径が大きい可撓性の突起を複数有す
る孔形成部材を上記モルタル上面に押圧しながら埋設
し、モルタルが固化した後に上記孔形成部材を抜き取る
ようにしたことから、コンクリートタイルに孔を形成し
た後に孔形成部材を容易に抜き取ることができ、コンク
リートタイルの裏面に容易に形成することができる。
【0027】 本願請求項記載の発明によれば、孔形
成部材をコンクリートタイルを構成するモルタル上に押
圧した後に型枠全体を振動させるようにしたことから、
モルタルを突起の基端部と先端部との間の隙間にいきわ
たらせることができ、孔の開口部が広がってしまうこと
を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる製造方法で製造されたコンク
リートタイルを裏面側から示した斜視図。
【図2】 同上コンクリートタイルを張付け状態の例
を示す平面図。
【図3】 同上コンクリートタイルの張付け状態におけ
る断面図。
【図4】 本発明にかかるコンクリートタイルの製造方
法の一実施例の一工程を示す模式図。
【図5】同上実施例中の別の製造工程を示す模式図。
【図6】 同上製造工程において、エアパックが押圧さ
れた状態を示す要部断面図。
【図7】 本発明別の実施例を示す要部断面図。
【図8】 本発明さらに別の実施例を示す要部断面
図。
【図9】 本発明さらに別の実施例を示す要部断面
図。
【図10】 本発明さらに別の実施例を示す要部断面
図。
【図11】 従来のコンクリートタイルの取付け状態及
び取付け工程の一を示す断面図。
【図12】 従来のコンクリートタイルの取付け状態を
示す平面図。
【符号の説明】
11 コンクリートタイル 11A コンクリートタイルの材料であるモルタル 14 孔形成部材としてのエアパック 17 気密室 22 孔形成部材 23 突起 24 孔 26 孔形成部材 27 突起 28 孔 31 孔形成部材 32 突起 33 孔 36 孔形成部材 37 突起 38 孔

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 型にタイルを構成するモルタルを流し込
    み、エアーが入った複数の突起を有するエアパックを上
    記モルタルに押圧しながら埋設し、モルタルが固化した
    後に上記エアパックを抜き取ることによりコンクリート
    タイルの裏面に孔を形成することを特徴とするコンクリ
    ートタイルの製造方法。
  2. 【請求項2】 エアパックをモルタルに押しつけた後に
    型全体に振動を与えるようにした請求項1記載のコンク
    リートタイルの製造方法。
  3. 【請求項3】 型にタイルを構成するモルタルを流し込
    み、基端部より先端部側の径が大きい可撓性の突起を複
    数有する孔形成部材を上記モルタルに押圧しながら埋設
    し、モルタルが固化した後に上記孔形成部材を抜き取る
    ことによりコンクリートタイルの裏面に孔を形成するこ
    とを特徴とするコンクリートタイルの製造方法。
  4. 【請求項4】 孔形成部材をモルタル上面に押しつけた
    後に型全体に振動を与えるようにした請求項3記載のコ
    ンクリートタイルの製造方法。
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