JP2718199B2 - ポリアミド系樹脂組成物 - Google Patents

ポリアミド系樹脂組成物

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JP2718199B2 JP19980589A JP19980589A JP2718199B2 JP 2718199 B2 JP2718199 B2 JP 2718199B2 JP 19980589 A JP19980589 A JP 19980589A JP 19980589 A JP19980589 A JP 19980589A JP 2718199 B2 JP2718199 B2 JP 2718199B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (イ)発明の目的 〔産業上の利用分野〕 本発明は一般消費用、工業用の成型材料、合成繊維、
接着剤等広範な用途に用いられるポリアミド系樹脂組成
物に関し、また樹脂の改質方法として最近注目されてい
るポリマーアロイの手法を利用したポリアミド系樹脂組
成物い関するものである。
〔従来の技術とその問題点〕
近年の高分子化学工業の著しい発展に伴い、数多くの
高分子材料が日常生活用品、工業用品、車両、建材など
に大量に使用されている。
ポリアミドはエンジニアリングプラスチックの代表格
であり、優れた強靭性、自己潤滑性、耐摩耗性、耐薬品
性、自己消火性、ガスバリア性等の特徴を生かして、自
動車、電気、機械部品、包装材等広範囲な分野で着実な
伸びを続けている。
反面、吸湿による寸法変化や低温での衝撃強度に問題
点があるため、これらの点を改良すべく、以下に示すよ
うな様々な検討がなされている。
ポリマーブレンド法によるポリアミドの改質は、古く
から検討されており、主に疎水性ポリマーをポリアミド
にブレンドすることによって、吸水性を低下させ寸法安
定性の向上を意図した提案や低温衝撃強度の向上を主目
的とした提案が多数なされており、具体的なブレンド樹
脂として、アルリロニトリル−ブタジエン−スチレン三
元共重合体(以下ABS樹脂という)、アクリロニトリル
−スチレン共重合体(以下AS樹脂という)、酸変性され
たポリオレフィンやポリスチレン、ポリエステル、他種
のポリアミド、ポリフェニレンオキシド、各種のゴム成
分例えばカルボキシル基変性ブタジエンゴム、無水マレ
イン酸変性のオレフィン系ゴム、ニトリルゴム、ポリエ
ステルゴム等が使用されていた。
ポリマーブレンド法において、ポリアミドにブレンド
する上記各樹脂は、通常ポリアミドとの相溶性が良くな
いために、不飽和カルボン酸又は不飽和カルボン酸無水
物を含む共重合体またはグラフト共重合体に変性して、
ポリアミドへの相溶性を向上させた上、使用されるのが
一般的であった。
上記方法によれば、ある程度物性の改良されたポリア
ミド系樹脂組成物が得られるが、上記不飽和カルボキシ
ル基または酸無水物で変性されたブレンド樹脂を多量に
用いると、それらの反応性基とポリアミドと反応によ
り、分子量の上昇を招き、成形加工性が低下するという
問題があり、ブレンド樹脂の使用量が制限されていた。
他方、上記ブレンド樹脂以外に、酸変性樹脂を相溶化
剤として少量添加して相溶性を改良しようという試みも
なされており、例えば、ポリアミドとポリプロピレンと
のブレンドに第三成分としてエチレン−アクリル酸共重
合体金属塩(アイオノマー樹脂)を添加して耐衝撃性・
耐水性・耐熱性に優れたブレンドを得たという報告があ
る(特開昭56−167740,167751)。しかしながら、この
場合にはポリプロピレンとアイオノマー樹脂との親和性
が不十分である為、得られる樹脂組成物は、機械的強度
に劣っていた。
またスチレン/メタクリル酸共重合体をポリアミドと
ポリスチレンとの相溶化剤として用いた場合には、分散
性の向上は見られたものの強度は改良されなかったとす
る報告がある(J.Appl.Plym.Sci.18 963(′74)。
上記のように相溶化剤を用いた従来技術では、酸性基
の導入によりポリアミドとの親和性は向上するものの、
もう一方のブレンド樹脂との親和性が劣り、相溶化剤が
異種ポリマー同志の界面よりもポリアミドの内部に取り
込まれ易いという傾向があり、そのため相溶化効果が十
分に発現せず、実用的な機械的強度を有する樹脂組成物
が得られ難いという問題があったのである。
相溶化剤としては、異種のポリマーセグメントを同一
分子内に持つブロックポリマーやグラフトポリマーが有
効であると言われている。従って、ポリアミドとの親和
性を得る為の極性基含有セグメントと、もう一方のブレ
ンドするポリマーに親和性のあるセグメントの両方を同
時に分子内に持つブロックポリマーやグラフトポリマー
を相溶化剤として用いれば、優れた効果を発揮すること
が予想される。
ブロックポリマーを工業的に製造することは難しく、
特に極性基を持ったモノマーを導入することは困難であ
る為、工業的製造に有利なグラフトポリマーを利用する
のが好ましいが、従来の連鎖移動法、放射線グラフト
法、ポリマー開始剤法等によるグラフトポリマー製造方
法は一般にグラフト率が低く分子量や組成のコントロー
ルが困難な上、合成可能なポリマーの種類も限定されて
いる。
本発明者らは特開昭62−164760号公報において、マク
ロモノマーを用いて得られるグラフトポリマーをポリア
ミド系ブレンドの相溶化剤とする樹脂組成物について提
案した。その発明で使用されたグラフトポリマーは、ポ
リアミドの末端アミノ基と反応し得るカルボン酸(無水
物)基を有するポリアミドに相溶性の良い幹成分を有
し、またポリアミドにブレンドされる熱可塑性樹脂と相
溶性の良い重合体を枝成分とするものであった。
上記グラフトポリマーの使用により、ポリアミドおよ
びブレンド樹脂の混和性は、随分改良されたが、以下の
点においてなお改良が望まれていた。
i)幹部分に極性の大きなカルボン酸(無水物)基を持
つ為、ポリアミドにブレンドする熱可塑性樹脂との親和
性に劣り、グラフトポリマーがポリアミド中に取り込ま
れ易い。
ii)得られる樹脂組成物中にカルボキシル基が残るため
に、樹脂組成物の耐水・耐湿性が劣る。
(ロ)発明の構成 〔問題点を解決する為の手段〕 本発明者らは、上記問題点に鑑み、優れた性能のポリ
アミド系樹脂組成物を得るべく鋭意検討した結果、(メ
タ)アクリル酸アルキル単量体単位を主成分としかつエ
ポキシ基を有するビニル単量体単位を含む幹成分と、ポ
リアミドにブレンドされるポリアミド以外の熱可塑性樹
脂に相溶性の良い重合体からなる枝成分とによって構成
されるグラフトポリマーを相溶化剤として使用すること
によって、上記i)およびii)の問題が解決できること
を見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、ポリアミド、ポリアミド以外の
熱可塑性樹脂及びマクロモノマー法によるグラフトポリ
マーからなるポリアミド系樹脂組成物であって、前記グ
ラフトポリマーが、(メタ)アクリル酸アルキル単量体
単位の含有割合が50重量%以上でかつエポキシ基を有す
るビニル単量体単位を含む重合体からなる幹成分とポリ
アミド以外の熱可塑性樹脂に相溶性の良い重合体からな
る枝成分とによって構成されていることを特徴とするポ
リアミド系樹脂組成物であり、さらには、マクロモノマ
ー法によるグラフトポリマーであって、その幹成分が、
(メタ)アクリル酸アルキル単量体単位の含有割合が50
重量%以上でかつエポキシ基を有するビニル単量体単位
を含む重合体でり、枝成分がポリアミド以外の熱可塑性
樹脂に相溶性の良い重合体であるグラフトポリマーから
なる、ポリアミドと他の熱可塑性樹脂との相溶化剤であ
る。
〔グラフトポリマー〕
本発明において使用するグラフトポリマーは、分子の
片末端にラジカル重合性基を有する高分子量単量体すな
わちマクロモノマーを他のビニル単量体と共重合させる
ことによって得られるグラフトポリマー(一般的にマク
ロモノマー法によるグラフトポリマーと称されている)
であって、その幹成分が、(メタ)アクリル酸アルキル
単量体単位の含有割合が50重量%以上でかつエポキシ基
を有するビニル単量体単位を含む重合体であり、枝成分
がポリアミドにブレンドされるポリアミド以外の熱可塑
性樹脂(以下改質用樹脂という)と相溶性の良い重合体
であるグラフトポリマーである。
グラフトポリマーの幹成分における(メタ)アクリル
酸アルキル単量体単位の含有量は、幹成分を構成する単
量体単位の合計量を基準にして、50重量%以上であり、
好ましくは70重量%以上である。
本発明においては、(メタ)アクリル酸アルキル単量
体単位を主成分とする幹成分からなるグラフトポリマー
を用いることにより、ポリアミド系樹脂組成物において
相溶化剤となるグラフトポリマーが、ポリアミド相と改
質用樹脂相との界面において、改質用樹脂相に親和性の
良い枝成分と共に、幹成分のかなりの割合の部分を改質
用樹脂相側の位置に存在させることができ、その結果、
エポキシ基のような極性基を有するグラフトポリマーを
使用しながら、ABS樹脂、AS樹脂、、ポリ弗化ビニリデ
ン、ポリ塩化ビニル或いはポリメタクリル酸メチル等の
極性の低い改質用樹脂を、ミクロな分散粒子として均質
にポリアミドにブレンドすることができたのである。
幹成分における(メタ)アクリル酸アルキル単量体単
位の量が50重量%未満であると、改質用樹脂相側の位置
に存在する幹成分の割合が少なくなり、改質用樹脂への
混和性に劣る。
(メタ)アクリル酸アルキル単量体としては、(メ
タ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、
(メタ)アクリル酸プロピルおよび(メタ)アクリル酸
ブチル等が挙げられ、好ましくはメタクリル酸メチルお
よびメタクリル酸エチルであり、更に好ましくはメタク
リル酸メチルである。
上記(メタ)アクリル酸アルキル単量体単位と共に幹
成分の必須単位であるエポキシ基を有するビニル単量体
単位は、次の単量体を使用することにより幹成分に導入
できる。
例えばメタクリル酸グリシジル、アクリル酸グリシジ
ル、エタクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジル等
のグリシジルエステル類や、アリルグリシジルエーテ
ル、2−メチルアリルグリシジルエーエル等のグリシジ
ルエーテル類が使用できる。好ましくはメタクリル酸グ
リシジル、アクリル酸グリシジルおよびアリルグリシジ
ルエーテルであり、更に好ましくはメタクリル酸グリシ
ジルである。
エポキシ基を有するビニル単量体単位の量は、幹成分
および枝成分を合わせたグラフトポリマー全体におい
て、グラフトポリマーを構成する単量体単位の合計量を
基準にして1〜30重量%が好ましく、更に好ましくは3
〜20重量%である。1重量%未満ではポリアミドへの混
和性に劣り、一方30重量%を越えると改質用樹脂へ混和
性が不足し易い。
本発明においてグラフトポリマーの幹成分を形成する
単量体として、上記(メタ)アクリル酸アルキル単量体
およびエポキシ基含有ビニル単量体以外の単量体をも使
用できる。その使用量は、幹成分形成用の全単量体の50
重量%以下であることが好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキル単量体およびエポキシ基
含有ビニル単量体以外の単量体としては、酢酸ビニル等
のビニルエステル類、ビニルエーテ類、スチレン、α−
メチルスチレン、(メタ)アクリロニトリル、N−ビニ
ルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、無水マレイ
ン酸およびN−フェニルマレイミド等が挙げられる。
幹成分の分子量は、数平均分子量で1000〜200000が好
ましく、2000〜100000が更に好ましい。数平均分子量が
1000未満では、幹成分に含まれるエポキシ基のポリアミ
ドへの反応性が低下し、相溶化効果が小さいので好まし
くなく、200000を越えるとポリアミドの増粘によって成
形性が低下し易い。
他方グラフトポリマーの枝成分は、マクロモノマーの
重合体骨格で形成されるものであって、かつ改質用樹脂
に相溶性の良い重合体である。
したがってマクロモノマーの重合体骨格は、使用する
改質用樹脂の種類に応じて適宜選択される。改質用樹脂
とそれに相溶性の良い重合体の組合せは、例えば次の如
くである。
i)ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、ポリ
フェニレンエーテル → ポリスチレン ii)アクリロニトリル/スチレン共重合体樹脂、アクリ
ロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体樹脂、ポリ
カーボネート → アクリロニトリル/スチレン共重合
体又はポリメタクリル酸メチル iii)メタクリル樹脂、ポリ塩化ビニル → ポリメタ
クリル酸メチル又はアクリロニトリル/スチレン共重合
体 マクロモノマーの重合体骨格を形成する単量体として
は、上記スチレン、アクリロニトリルおよびメタクリル
酸メチル以外に、酢酸ビニルのごとき有機酸のビニルエ
ステル類;ビニルピリジン、ビニルナフタレンのごとき
ビニル芳香族化合物;アクリル酸メチル、(メタ)アク
リル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)
アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸アルキル;N−
ビニルピロリドン及びN−ビニルカプロラクタムの如き
N−ビニル化合物;メタクリロニトリル、無水マレイン
酸、α−メチルスチレンおよびN−フェニルマレイミド
等が挙げられる。
好ましくはスチレン、(メタ)アクリル酸低級アルキ
ルエステルおよび(メタ)アクリロニトリルであり、更
に好ましくはスチレン、(メタ)アクリル酸メチル、
(メタ)アクリル酸エチルおよびアクリロニトリルであ
り、特に好ましくは幹成分における主単量体としてより
好ましい単量体と同一単量体であるメタクリル酸メチル
である。
枝成分の分子量すなわち使用するマクロモノマーの分
子量は、数平均分子量で1000〜200000が好ましく、2000
〜100000が更に好ましい。数平均分子量が1000未満で
は、改質用樹脂への混和性に劣り、一方200000を越える
とポリアミド樹脂および改質用樹脂への溶解速度が低下
し、混練り条件が制約される。
グラフトポリマーにおける枝成分と幹成分の重量割合
は、枝成分5〜80重量%で幹成分20〜95重量%の割合が
好ましく、枝成分10〜50重量%で幹成分50〜90重量%が
更に好ましい。枝成分が5重量%未満では改質用樹脂へ
の混和性に劣り、一方4幹成分が20重量%未満である
と、ポリアミドへの混和性に劣る。
グラフトポリマーの分子量は、数平均分子量で2000〜
300000が好ましい。数平均分子量が2000以下では、ポリ
マー分子鎖長が短すぎ十分な相溶化効果が得られず、一
方300000以上ではブレンドする樹脂への溶解速度が小さ
い為好ましくない。
グラフトポリマーの製造方法について、詳しく説明す
る。
例えばポリメタクリル酸メチルを枝成分とし、メタク
リル酸グリシジル/メタクリル酸メチル共重合体を幹成
分とするグラフトポリマーについて説明すれば、カルボ
キシル基を分子内に持つ連鎖移動剤の存在下にメタクリ
ル酸メチルをラジカル重合させて、片末端にカルボキシ
ル基を持つポリメタクリル酸メチルを合成し、次に三級
アミンや四級アンモニウム塩等の触媒の存在下でグリシ
ジル基を分子内に持ったビニル重合性単量体と反応させ
てポリメタクリル酸メチルを重合体骨格とするマクロモ
ノマーを得、該マクロモノマーをメタクリル酸グリシジ
ル及びメタクリル酸メチルと共重合することにより得ら
れる。
カルボキシル基を分子内に持つ連鎖移動剤としては、
例えばメルカプト酢酸、3−メルカプトプロピオン酸、
2−メルカプトプロピオン酸等が好適であり、またグリ
シジル基を持つビニル重合性単量体としては、メククリ
ル酸グリシジル(以下GMAと略記する)、アクリル酸グ
リシジル、アリルグリシジルエーテル等が用いられ、GM
Aが特に好ましい。
マクロモノマーがGMA及びコモノマーとの共重合の方
法としては、従来公知のラジカル重合開始剤存在下での
溶液重合法、バルク重合法、エマルジョン重合法、懸濁
重合法のいずれかの方法を用いれば良い。
〔ポリアミド〕
本発明で用いるポリアミドは、ジアミンと二塩基酸の
縮合反応、アミノ酸の自己縮合反応或いはラクタムの開
環重合反応により形成された重合体であり、総称的に
「ナイロン」として知られているものである。好ましい
ポリアミドは、次式: −CO−NH− の結合を主鎖内に有するポリアミドであり、具体的に
は、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン−6,
6)、ポリカプロラクタム(ナイロン−6)、ポリウン
デカノラクタム(ナイロン−11)、ポリドデカノラムタ
ム(ナイロン−12)、ポリヘキサメチレンセバカミド
(ナイロン−6,10)、ポリピロリドン(ナイロン−
4)、ポリヘプトラムタム(ナイロン−7)、ポリカプ
リラクタム(ナイロン−8)、ポリノナノラムタム(ナ
イロン−9)、ポリヘキサメチレンアゼラインアミド
(ナイロン−6,9)、ポリヘキサメチレンイソフタルア
ミド、ポリメタキシリレンアジパミド、ヘキサメチレン
ジアミンとn−ドデカン二酸のポリアミド(ナイロン−
6,12)、ドデカメチレンジアミンとn−ドデカン二酸の
ポリアミド(ナイロン12,12)及びこれらの共重合体等
が挙げられる。
さらに上記ポリアミドに、ポリエーテル、ホリエステ
ル、ポリビニル等の如き柔軟なポリマーがブロック的に
結合された共重合体および分子骨格にアミド結合とイミ
ド結合の両方を有するポリアミドイミドも使用できる。
特に好ましくは、ポリカプロラクタム(ナイロン−
6)およびポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン−
6,6)である。
〔改質用樹脂〕
本発明において、ポリアミドの改質のためにポリアミ
ドにブレンドする熱可塑性樹脂すなわち改質用樹脂とし
ては、吸湿による寸法変化或いは低温での衝撃強度等の
ポリアミドの短所を改良できる熱可塑性樹脂が好まし
い。
上記熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリスチレン、
高衝撃性ポリスチレンとして知られるゴム変性ポリスチ
レン、ポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル、ポリ
フェニレンオキシド、ポリカーボネート、ポリスルホ
ン、AS樹脂およびABS樹脂等が挙げられ、更にはABS樹脂
におけるゴム成分がアクリルゴム、塩素化ポリエチレン
またはエチレン/プロピレン/ジエンモノマー共重合体
ゴムで置換された、一般にAAS樹脂、ACS樹脂またはAES
と称されるグラフト共重合体等がある。これらの樹脂
は、同時に2成分以上使用することもできる。
より好ましい熱可塑性樹脂は、ポリアミドとより緻密
に混和し得る点で、ABS樹脂、AS樹脂、AAS樹脂、ポリ塩
化ビニル、ポリメタクリル酸メチルおよびポリ弗化ビニ
リデンである。
つぎに、ポリアミド、グラフトポリマーおよび改質用
樹脂を配合割合について述べる。
ポリアミドと改質用樹脂の好ましい配合割合は、重量
比でポリアミド/改質用樹脂=5/95〜95/5であり、更に
好ましくは20/80〜80/20である。少量配合成分の割合が
5重量%未満では、該成分の物性が樹脂組成物に十分反
映されないので好ましくない。
また、グラフトポリマーの好ましい配合量は、ポリア
ミドと熱可塑性樹脂の合計量100重量部あたり、0.3〜30
重量部であり、更に好ましくは1〜20重量部である。グ
ラフトポリマーの添加量が0.3重量部以下では相溶化効
果が不十分であり、一方30重量部を越えると、溶融粘度
が上昇して成形性が低下する。
上記各成分を混練りする方法としては、例えば押出し
機、ニーダー、オープンロール等を用いる方法があり、
ポリアミド、グラフトポリマーおよび改質用樹脂のブレ
ンド順序としては、一括ブレンド法、ポリアミドとグラ
フトポリマーを最初にブレンドしておき、次いで改質用
樹脂をブレンドする方法、改質用樹脂とグラフトポリマ
ーを最初にブレンドしておき、次いでポリアミドをブレ
ンドする方法等が挙げられる。
本発明のポリアミド系樹脂組成物を得るための好まし
い一態様は、上記3成分をヘンシェルミキサー等により
混合し、次いで押出機を用いて溶融下で更に混練りした
後、押し出し、ペレット状にカットする方法である。
また本発明の樹脂組成物には、通常ポリアミド系樹脂
組成物に使用される各種の添加剤、例えば可塑剤、酸化
防止剤、安定剤、無機充填剤、ガラス繊維等の補強剤、
顔料、染料、ブタジエン系エラストマーやオレフィン系
エラストマー等の不飽和酸無水物等による変成物、エポ
キシ基とアミノ基の反応を促進する作用のある各種の触
媒等を使用することができる。
〔作用〕
本発明において相溶化剤として使用されるグラフトポ
リマーは、ポリアミドの末端に付いているカルボキシル
基およびアミノ基と反応し得るエポキシ基を幹成分中に
含んでいるために、グラフトポリマー全体としては改質
用樹脂に相溶性の良い単量体単位をより多く含んでいて
も、ポリアミドに対して優れた親和性を示し、また幹成
分を構成する主単量体が(メタ)アクリル酸アルキルで
あるために、ポリアミド相と改質用樹脂相との界面にお
ける改質用樹脂相側の位置に、幹成分のかなりの部分を
存在させることができる結果、改質用樹脂に対し優れた
アンカー作用を示す。
以下に参考例、実施例及び比較例を挙げて本発明をさ
らに具体的に説明する。なお、各例に記載の「%」およ
び「部」は、重量%および重量部である。
参考例:グラフトポリマーの合成 撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を取りつ
けたガラスフラスコに、蒸溜水400部、ポリビニルアル
コール(クラレ(株)製ポバール420)の5%水溶液4
部、燐酸カルシウム懸濁液(日本化学工業(株)製スー
パータイト10)10部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナト
リウム(花王(株)製エマール2F)の5%水溶液0.2部
を仕込んだ。
上記滴下ロートに、末端にメタクリロイル基を持つポ
リメタクリル酸メチル型マクロモノマー(東亞合成化学
工業(株)製マクロモノマー;AA−6)30部、メタクリ
ル酸メチル60部、GMA10部、n−ドデシルメルカプタン
1.0部およびAIBN2.0部を含む溶液を入れ、フラスコを加
熱して内液の温度を80℃に設定した後、滴下ロートの溶
液を1分かけて滴下した。以後80℃で7時間保ち、重合
反応を完結させた。
反応後濾過、減圧乾燥して、固形状のグラフトポリマ
ー93部を得た。GPCによるポリスチレン換算平均分子量
は、Mn=16,000 Mw=39,000であった。
実施例1〜2及び比較例1 ナイロン−6樹脂(宇部興産製;ナイロン1013B)、A
BS樹脂(三菱モンサント(株)製;タフレッスス461)
及びグラフトポリマー(以下の表1においてはGPと略記
する)を表1にに示した割合でドライブレンドし、二軸
スクリュー押出機(口径29mm L/D=25)にて樹脂温度24
0℃で溶融混合した。
得られた樹脂組成物について、メルトフローインデッ
クス(2.16Kg過重,240℃;以下MIという)、引張り試験
およびシャルピー衝撃強度を測定し、その結果を表1に
示した。
(ロ)発明の効果 本発明においては、使用するグラフトポリマーの優れ
た相溶化作用により、本来相溶性に劣る樹脂同志である
ポリアミドと改質用樹脂とを極めてミクロな分散粒子と
して均質に混和させることができ、しかも該グラフトポ
リマーにカルボキシル基を有する単量体が使用されてい
ないため、得られる樹脂組成物の耐水・耐湿性を低下さ
せることが無い。
したがって、本発明の樹脂組成物は、ポリアミドおよ
び改質用樹脂の両方の性質を併せ有し、かつ機械的強度
および耐水・耐湿性に優れ、各種成形材料として好適で
ある。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリアミド、ポリアミド以外の熱可塑性樹
    脂及びマクロモノマー法によるグラフトポリマーからな
    るポリアミド系樹脂組成物であって、前記グラフトポリ
    マーが、(メタ)アクリル酸アルキル単量体単位の含有
    割合が50重量%以上でかつエポキシ基を有するビニル単
    量体単位を含む重合体からなる幹成分と、前記熱可塑性
    樹脂と相溶性の良い重合体からなる枝成分とによって構
    成されていることを特徴とするポリアミド系樹脂組成
    物。
  2. 【請求項2】マクロモノマー法によるグラフトポリマー
    であって、その幹成分が、(メタ)アクリル酸アルキル
    単量体単位の含有割合が50重量%以上でかつエポキシ基
    を有するビニル単量体単位を含む重合体であり、枝成分
    がポリアミドにブレンドされるポリアミド以外の熱可塑
    性樹脂と相溶性の良い重合体であるグラフトポリマーか
    らなる、ポリアミドと他の熱可塑性樹脂との相溶化剤。
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