JP2717593B2 - 液状油ゲル化剤およびその製法 - Google Patents

液状油ゲル化剤およびその製法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、汎用性の高い液状油透明性ゲル化剤および
その製法に関するものである。さらに詳しくは、本発明
は、非極性油中、極性油中の何れにおいてもゲル形成能
を有し、かつ、常温乃至常温以下、特に0℃前後の低温
においても対象とする液状油の凝固点以上の温度であれ
ば、透明性を失わず、しかも長期間安定な優れたゲルを
形成することができる液状油透明性ゲル化剤を提供する
ものである。
〔従来の技術〕
周知のとおり、軟膏、坐薬、アイシャドウ、ファンデ
ーション、口紅、頬紅などの製造に際して使用されてい
る液状油ゲル化剤(以下、「ゲル化剤」という。)に
は、従来、金属石鹸、親油性のショ糖脂肪酸エステル、
有機ベントナイト脂肪酸エステルやデキストリン脂肪酸
エステルなどが用いられて来た。
しかし、金属石鹸は液状油に対する溶解性が悪く、溶
解に100℃程度の高温を必要とするため、他の混合油剤
や顔料などの品質低下を招くとともに、ここに得られる
ゲルは、ヒビ割れ、油の浸み出し、あるいは、発汗など
の経時的な変化が起こり易く、そのうえ、艶や延びなど
についても不満足な点が多い。艶や延びなどを満足させ
るために添加量を抑えると、ヒビ割れや油の浸み出しな
どの経時変化が一層激しくなる。
親油性のショ糖脂肪酸エステルは、ゲル化性、透明性
に乏しく低温における安定性に欠ける。
有機ベントナイト脂肪酸エステルは、増粘性はあるも
ののゲル化性に乏しく、チキソトロピー性がないため、
高温時の粘度が高く、他の物質との配合が難しいなどの
欠点があるうえ、ここに得られるゲルはラノリンまたは
グリース状で重い感触を有し、pHの変動にも弱い。
デキストリン脂肪酸エステルは、デンプン分解物であ
るデキストリンと脂肪酸がエステル化したものであり、
構造的には安定でゲル化剤として優れた機能性を有する
ものではある(特公昭52−19834号公報参照)が、該デ
キストリン脂肪酸エステルはエステル油などの極性油中
において透明なゲルを形成せしめることが難しく、とく
に、寒冷地などで要求される低温安定性に劣っている。
一方、従来、デキストリン脂肪酸エステルの合成反応
においては、一般に、反応に関与する基剤ならびに触媒
には、それぞれ無水物として提供されるものが用いられ
ており、反応系においても、反応を受けるデキストリン
より活性なアルコールの如き物質の共存は回避されてい
る。
〔発明が解決しようとする課題〕
前記のとおり、液状油に対する既存のゲル化剤は、い
ずれも使用上各種の問題点を抱えており、用途面におい
て制約が多かった。即ち、既存のゲル化剤は、極性油に
使用した場合、透明性に劣り、低温下での安定性がない
などの欠点を有しているため、単に、ゲルまたは増粘の
機能にしか活用できなかった。さらには、この両機能性
の活用においても、単独使用あるいは単純配合が困難な
ため、他の物質の併用によって前記欠点を補足する必要
があり処方上繁雑になるという問題があった。
それ故に、非極性油中、極性油中の何れにおいてもゲ
ル形成能を有し、かつ、常温以下、特に0℃前後の低温
においても、対象とする液状油の凝固点以上の温度であ
れば、透明性を失わず、しかも、長期間安定なゲルを形
成することができる汎用性の高いゲル化剤とその製法の
開発が待望されている。
〔課題を解決するための手段と作用〕
本発明はグルコースの平均重合度3〜100のデキスト
リンまたは還元デキストリンの1種以上と炭素数8〜14
の飽和脂肪酸とを、3級アミンを触媒とするとともにデ
キストリンの総量に対して3.0〜50.0%の水またはアル
コールの1種以上の存在下において、飽和脂肪酸の置換
度をデキストリンのグルコース単位当たり1.2〜2.4とな
るように反応させてエステル化して得られるデキストリ
ン脂肪酸エステルからなる透明性ゲル化剤、および、グ
ルコースの平均重合度3〜100のデキストリンまたは還
元デキストリンの1種以上(以下、「デキストリン」と
いう。)と炭素数8〜14の飽和脂肪酸(以下、「飽和脂
肪酸」という。)とを、3級アミン(以下「ピリジン
等」という。)を触媒とするとともに前記デキストリン
または還元デキストリンの総量に対して3.0〜50.0%の
水またはアルコールの存在下において、前記脂肪酸の置
換度がデキストリンのグルコース単位当たり1.2〜2.4と
なるように反応させてエステル化して得られる生成物を
水ならびにアルコールで洗浄することを特徴とするデキ
ストリン脂肪酸エステルからなる液状油透明性ゲル化剤
の製法である。
まず、本発明において使用するデキストリンは、平均
重合度が3〜100、とくに、10〜50が望ましい。平均重
合度が2以下では、ワックス様となり滑らかなゲルは得
られないうえ、置換度が高くなるため透明性を求めるこ
とはできない。また、100以上では高分子量となり、反
応系の粘度が増加するためピリジン等の触媒を過剰に必
要とするなど、反応効率が悪い。
また、本発明において使用する飽和脂肪酸、例えば、
飽和脂肪酸ハロゲン化物あるいは飽和脂肪酸無水物の脂
肪酸は、8〜14の炭素数を有することが必要である。炭
素数が8未満あるいは15以上では、何れもエステル油な
どの極性油中で、常温はもちろん、低温でも高透明性を
有するゲルは得られない。
次に、本発明において最も重要な技術的手段は、従来
技術では可能な限り排除を求められていた水またはアル
コールを3.0〜50.0%存在せしめることと、脂肪酸の単
位グルコース当たりの置換度を1.2〜2.4に特定すること
である。
ここで、水またはアルコールを存在させる具体的方法
としては、デキストリン中に含まれる水分量を乾燥の温
度や時間により所要量に調整するか、あるいは、乾燥デ
キストリンとピリジン等との分散液に、所要量に不足す
る水またはアルコールの量を加えてもよい。この場合、
ピリジン等の触媒にも微量の水分(特級試薬で0.01%以
下)を含有するが、量的に一定しているため、デキスト
リン中の水分のみを基準としてもよい。
ここで、反応には、ときとして、反応系の希釈剤とし
て各種溶剤、例えば、ジメチルフォルムアミド等のフオ
ルムアミド系、アセトアミド系、ケトン系、ジオキサン
或いはトルエン等の溶剤を使用することがあるが、水ま
たはアルコールを乾燥デキストリンとピリジン等との分
散液に添加する代わりに、この溶剤に水またはアルコー
ルの必要量を添加しておくこともできる。
なお、アルコールとしては、メチルアルコール、エチ
ルアルコール等の一級アルコール、および、グリセリン
等の多価アルコール類のうち、炭素数1〜3個のアルコ
ールが望ましい。これらのアルコールは、水と併用の場
合、水との総和が3.0〜50.0%となるように、反応前に
別途計量して添加する。
デキストリンに対して水またはアルコールの量が3.0
%以下のときは、得られるデキストリン脂肪酸エステル
が、異臭や着色などの点で、品質上好ましくない現象を
生じ、水またはアルコールの量が50.0%以上では、水と
の反応性の高い飽和脂肪酸の分解が多量となり、反応効
率が悪いのみでなく、発生する遊離脂肪酸やアルコール
との反応生成物である脂肪酸エステルの除去も繁雑とな
る。従って、この場合加えられる飽和脂肪酸の添加量
は、目標とする置換度の生成物を得るために適宜調整さ
れるものである。
ここで、脂肪酸の置換度が1.2未満では、脂肪酸の導
入率が低いため溶解性やゲル形成能に乏しく機能性に劣
る。さらに、この置換度が2.4以上になると、溶解性は
改善されるものの極性油中でのゲル化能や常温乃至常温
以下での安定性は著しく低下してくる。
本発明に係るゲル化剤は、その生成過程において水ま
たはアルコールを存在させているので、従来品に比較
し、水やアルコールなどの洗浄剤によって容易に精製さ
れるため、この操作によって品質特性が顕著に強化され
る。
即ち、本発明におけるエステル化反応の生成物は、水
による洗浄によってピリジン等が容易に除かれ、アルコ
ールによる洗浄によって遊離脂肪酸が容易に除かれる。
水ならびにアルコールによる洗浄の順序は、特に限定さ
れるものではなく、水、アルコールの順序でも、アルコ
ール、水の順序でもよい。
本発明に係るゲル化剤は、流動パラフィン(以下、LP
という。)やスクワラン(以下、SQという。)などに代
表される非極性油中と、2−オクチルドデカノール(以
下、HAという。)や2−ヘキシルデカノールなどの高級
アルコールおよびトリグリセリンイソオクタネート(以
下、GTOという。)や2−エチルヘキサン酸トリグリセ
ライド(以下、ODOという。)などに代表される極性油
中とに、容易に溶解して透明なゲルを形成する。
例えば、本発明者は、本発明に係るゲル化剤を冷HA中
に10wt/wt%になるように配合し、攪拌しながら80℃〜1
20℃に加熱して溶解させ、1cm×1cmのセル中に移して得
られるゲルを、20℃あるいは5℃以下に24〜72時間保持
し、それぞれの温度について可視光の600nmにおける透
過率を求め、これを指標とすると、目視により透明と判
断されるゲルの透過率は、空気の透過率を100%とした
とき、40%以上であるから、この値を透明性の基準とし
て評価し、その結果、供試の前記極性油ゲルは、10℃以
下、とくに、冬期間のような厳しい低温においても、使
用した極性油の凝固点以上の温度であれば透明性を長期
間維持し、ヒビ割れや油の浸み出しがなく極めて安定で
あったことを確認している。
以下に実施例をもって本発明をさらに詳細に説明をす
る。
〔実施例〕
実施例1. カプリル酸クロライド(炭素数8個)439g、ラウリン
酸クロライド(炭素数12個)615g、ミリスチン酸クロラ
イド(炭素数14個)718g、ならびに、パルミチン酸クロ
ライド(炭素数16個)859gそれぞれを用いて、平均重合
度20の2.1%水分デキストリン165.5gに対し、それぞれ
が置換度2.2になるように調整した650gのピリジン触媒
(水分0.01%)下に、水を10.5g添加し、デキストリン
量に対する水の量比を8.6%として反応させエステル化
した。その際の反応温度は90℃、反応時間は5時間であ
った。ここに得られた反応生成物は、前記反応に関与し
た基剤ならびに触媒を含む均一な糊状物であった。この
反応生成物に2.5lの水を投入し、50℃で30分間攪拌する
ことにより、固型物とピリジンを含む液体とを分離し
た。その後、固型物を濾過して50℃のメタノール3.0lで
10分間攪拌洗浄し、更に、洗浄液であるメタノールを除
去した後、再び、3.0lの50℃メタノールを以て10分間攪
拌洗浄することにより精製した。その結果、遊離脂肪酸
が1%以下であるカプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン
酸ならびにパルミチン酸の、それぞれ脂肪酸の鎖長の異
なるデキストリン脂肪酸エステルを得た。この時、それ
ぞれの収量(g)、ならびに、理論収量に対する収率
(%)は次のとおりであった。デキストリンカプリル酸
エステル(以下、CLDEという。)400g,93.6%:デキス
トリンラウリン酸エステル(以下、LDEという。)584g,
86.5%:デキストリンミリスチン酸エステル(以下、MD
Eという。)687g,88.9%:デキストリンパルミチン酸エ
ステル(以下、PDEという。)811g,89.0%。
また、対照として602gのミリスチン酸クロライドを用
い、デキストリン、及び、ピリジンについては、本実施
例の、前記本発明の製法に従い同様の量により、反応系
に水を添加しないままMDEを作成して、636g(収率88.5
%)の試料を得、それぞれをゲル化剤とした。
これらのゲル化剤を用い、各種極性油ならびに非極性
油に対し10wt/wt%の濃度に設定し、加熱溶解してゲル
を生成させたのち、20℃(常温)、5℃(低温)に24時
間保持した。ここに得たゲルの透明性を、それぞれの温
度、即ち、20℃あるいは5℃に保持したまま、波長600n
mの可視光で測定し、空気の透過率を100%としたときの
透過率をもって示したものが、それぞれ後出第1表およ
び第2表である。
なお、表および以下の記述に使用する略記号は、前出
のもののほか、次のとおりである。
ネオペンチルグリコールデカネート:NPGD。セチルイ
ソオクタネート:CIO。ミリスチン酸イソトリデシル:MIT
D。ミリスチン酸オクチルドデシル:MOD。
第1表ならびに第2表に示すごとく、本発明品である
デキストリン脂肪酸エステルは、何れの極性油に対して
も、常温は勿論(第1表)、5℃という低温下でも(第
2表)、透過率40%以上の透明性を示したのに反し、PD
Eは、常温下においてすら、とくに、GTO、ODOに対して
見られるように、それぞれ8.4%,4.8%と極めて低い透
過率であった。
また、非極性油であるSQに対しては、20℃、5℃の何
れもPDEの透過率が高い傾向がある。しかし、LPに対し
ては、常温では、PDEもまた、本発明品と同様に高い透
過率を示したが、PDEは5℃になると白濁した。そし
て、本発明品であるデキストリン脂肪酸エステルは、何
れの場合も60%以上の透過率を示し、高い透明性を保持
した。
これに反し、対照としたMDEは、低温での透明性を保
つことはできなかった。
本発明品を使用しての極性油ゲルは、5℃以下でも透
明性を保持し、とくに、後出第3表からも明らかなよう
に、−35℃で保持したにも係わらず、例えば、LDEはGT0
で73.8%の高透過率を示した。
実施例2. ラウリン酸クロライド503gを用いて、平均重合度20の
2.1%水分のデキストリン165.5gに対し、置換度1.6にな
るように調整した650gのピリジン触媒(水分0.01%)下
に、メタノールを30.5g添加し、デキストリンに対する
水とメタノールの合計量を21.0%としたうえ、92℃、4
時間反応させエステル化した。その後、糊状反応生成物
に2.5lの水を投入し70℃で30分間攪拌することにより、
固型物とピリジンを含む液体とを分離した。ここに得た
固型物を濾過したうえ、70℃の水3.0lで10分間の攪拌、
洗浄ならびに濾過を行うことを2回繰り返し、最後に3.
0lの50℃メタノールを用いて10分間攪拌、洗浄して精製
することによりLDEを得た。その際の収量は515g、収率
は88%であった。
ここに得たLDEを用いて、実施例1と同様に、各種液
状油のゲルを作成し、該ゲルの透過率に関する成績を後
出第4表に示した。本表からも明らかなように、メタノ
ールを添加して作製したLDEは、水を添加した実施例1
の場合と同様に、常温ならびに低温において、その極性
油ゲルについても透明性を保った。同時に安定度もま
た、満足すべきものであった。
実施例3. 実施例2の場合と同様の条件で、ラウリン酸クロライ
ドを用い、平均重合度20のデキストリンに対し、置換度
1.6になるように調整したピリジン触媒(水分0.01%)
下に、エタノールを55g添加し、デキストリン量に対す
る水とエタノールの合計量を36.1%として92℃、4時間
反応させエステル化した。その後、糊状反応生成物に2.
0lのメタノールを加えて50℃で30分間攪拌することによ
り固液分離を行い、次いで、濾過して得られた固型物を
50℃のメタノール2.5lをもって10分間攪拌洗浄した後、
再度、50℃のメタノール2.5lにより10分間の洗浄を行
い、最後に70℃の水3.0lで15分間攪拌、洗浄して精製し
LDEを得た。その収量は510gであり、収率は87%であっ
た。
このエタノール添加により得たLDEを用いて各種液状
油のゲルを作成した。該ゲルの透過率に関する成績もま
た、実施例2のメタノールによるLDEのそれと並べて第
4表に示した。本表から、エタノールを添加して作製し
たLDEも、極めて有効であり、満足すべき結果を得たも
のと判断することができた。
実施例4. 590gのラウリン酸クロライドを用い、平均重合度25、
水分2.2%のデキストリン165.7gに対し、置換度2.0にな
るように調整した650gのピリジン触媒(水分0.01%)下
に、グリセリン7.5gを添加し、デキストリン量に対する
水とグリセリンの合計量を6.8%として、90℃で6時間
反応させエステル化した。その後、実施例3の洗浄液に
つき、メタノールに代えて60℃のエタノールを使用し、
同様な手段で洗浄してLDEを得たが、その収量は584g、
収率は88%であった。
このLDEを用いて、実施例2あるいは3と同様に、各
種液状油のゲルを作成し、該ゲルの透過率に関する成績
も第4表に示した。本表からも明らかなように、グリセ
リンを添加して作製したLDEもまた、常温ならびに低温
において、その極性油ゲルについても高い透明性を保っ
た。同時に、安定度も高く、ヒビ割れや油の浸み出しの
如き変化は見られず、長期間透明性を維持した。
実施例5. ラウリン酸クロライド870gを用いて、平均重合度20の
0.8%水分のデキストリン163.4gに対し、置換度2.2にな
るように調整した325gのピリジン触媒(水分0.01%)下
に、エタノールを64.5g(39.5%相当)添加し、デキス
トリンに対する水とエタノールの合計量を40.2%とした
うえ、92℃、4時間反応させエステル化した。その後、
実施例1の場合と同様な手段を用いて洗浄することによ
りLDEを得た。その際の収量は625g、収率は92.6%であ
った。
ここに得たLDEを用いて、実施例1と同様に、各種液
状油のゲルを作成し、該ゲルの透過率に関する成績をエ
タノール23%添加製造のLEDのゲルの成績とともに後出
第5表に示した。本表からも明らかなように、多量のエ
タノールを添加して作製したLDEもまた、水を添加した
実施例1の場合と同様に、常温ならびに低温において、
その極性油ゲルについても透明性を保った。同時に安定
度もまた、満足すべきものであった。
実施例6. ラウリン酸クロライド924gを用いて、実施例5と同
様、平均重合度20、0.8%水分のデキストリン163.4gに
対し、置換度2.2になるように調整した325gのピリジン
触媒(水分0.01%)下に、エタノールを73.5g(45.0%
相当)添加し、デキストリンに対する水とエタノールの
合計量を45.8としたうえ、92℃、4時間反応させエステ
ル化した後、これらもまた実施例1と同様な方法で洗浄
してLDEを得た。その際の収量は622.3g、収率は92.2%
であった。
ここに得たLDEを用い、極性油の代表としてのGTOにつ
きゲルを作成して該ゲルの透過率にを測定したところ、
保持温度20℃において72.3%、同5℃において69.8%を
示した。また、このゲルは長期間保存してもヒビ割れや
油の浸出もなく安定度も充分なものがあると判定し得
た。
〔発明の効果〕 本発明に係るゲル化剤、即ち、新規製法によるデキス
トリン脂肪酸エステルは、化粧品、医薬品の製造に際
し、液状油のゲル化において、従来技術では困難であっ
た、極性油あるいは非極性油を問わない広汎な基材に対
し、透明性を与え、かつ、低温安定性と経時安定性とを
も保持するものである。その結果、液状油透明性ゲル化
剤の使用様態の簡易化のみならず、その適用範囲の拡大
など、化粧品、医薬品業界に資するところ大なるものが
ある。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】グルコースの平均重合度3〜100のデキス
    トリンまたは還元デキストリンの1種以上と炭素数8〜
    14の飽和脂肪酸とを、3級アミンを触媒とするとともに
    前記デキストリンまたは還元デキストリンの総量に対し
    て3.0〜50.0%の水またはアルコールの存在下におい
    て、前記脂肪酸の置換度がデキストリンのグルコース単
    位当たり1.2〜2.4となるように反応させてエステル化し
    て得られるデキストリン脂肪酸エステルからなることを
    特徴とする液状油透明性ゲル化剤。
  2. 【請求項2】グルコースの平均重合度3〜100のデキス
    トリンまたは還元デキストリンの1種以上と炭素数8〜
    14の飽和脂肪酸とを、3級アミンを触媒とするとともに
    前記デキストリンまたは還元デキストリンの総量に対し
    て3.0〜50.0%の水またはアルコールの存在下におい
    て、前記脂肪酸の置換度がデキストリンのグルコース単
    位当たり1.2〜2.4となるように反応させてエステル化し
    て得られる生成物を水ならびにアルコールで洗浄するこ
    とを特徴とするデキストリン脂肪酸エステルからなる液
    状油透明性ゲル化剤の製法。
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