JP2712188B2 - エンジンのノッキング制御装置 - Google Patents
エンジンのノッキング制御装置Info
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Description
【発明の詳細な説明】
[産業上の利用分野]
本発明は、エンジンに発生したノッキングを制御する
装置に関する。 [従来の技術] 従来、エンジンに発生したノッキングを制御する技術
として、エンジンのノッキングの発生を検出し、ノッキ
ングの発生時には、点火時期を遅角制御するものが開示
されている。 この様な技術では、ノッキングの発生を正確に検出す
ることが重要であり、このため、たとえば特開昭60−87
31号公報に開示されているように、ノックセンサの出力
を点火毎に平均化処理(なまし処理)することによりノ
ッキングの判定レベルを算出し、該判定レベルと上記ノ
ックセンサの出力とを比較して、ノッキングの発生を検
出することが行なわれている。 [発明が解決しようとする問題点] しかしながら、ノックセンサの出力を平均化処理する
ことにより算出される判定レベルは、たとえば平均化処
理の時定数によって、連続してノッキングが発生した場
合と、エンジン回転数が急変する過渡運転時とでは、挙
動が異なり、下記(I)および(II)の特徴を有し、下
記(III)に示す問題を含んでいた。 (I)時定数が過大の時:ノックセンサの出力が小から
大に変化したとき、該ノックセンサの増大量に比べて、
平均値としての判定レベルの増大量が小さくなる。これ
により、エンジンにノッキングが発生していないのに、
ノッキングが発生したと判定する。 (II)時定数が過小の時:エンジンにノッキングが発生
したとき、平均値としての判定レベルが大きく増大し、
連続してノッキングが発生した場合に、ノッキングが発
生していないと判定する。 (II)過渡運転時:時定数が適切な場合であっても、エ
ンジン回転数が急変する過渡運転時には、ノッキングの
誤判定が行なわれる。これは、ノックセンサは、第4図
に示すように、エンジン回転数Neの増加量に比べて出力
値の増大量の方が大きくなる出力特性を有しているから
であり、以下に示すような問題となる。 エンジン回転数が低から高に変化した場合にも平均値
としての判定レベルをノックセンサの出力値の増大に追
従させるため、従来は、トランスミッションのシフトを
1速で全開加速(WOT加速)した場合(ΔNe<1000rpm/s
ec)とノッキングが連続して発生した場合の両方で、適
切にノッキングの判定ができるような時定数を選定して
いた。 しかし、このような時定数では、エンジン回転数Neの
変化率ΔNeが高い場合、たとえばアクセル全開のレーシ
ング時(ΔNe>2000rpm/sec)、ダウンシフト時、ある
いはダブルクラッチ等のアクセルの空踏時には、回転数
の変化率ΔNeの高さに追従できず、実際にはノッキング
が発生していないのにノッキングが発生したと判断して
しまう場合があった。又、このレーシング時に判定レベ
ルが適切になるような時定数を選択すると、ノッキング
が連続して発生した場合に、ノッキングなしと誤判定し
てしまう場合がある。 これにより、例えばレーシング時を考慮しない通常の
時定数を設定した場合には、レーシング時に誤ってノッ
キング有と判定されて、点火時期が遅角補正され、エン
ジンの出力が低下したり、燃費が悪化する場合があっ
た。 本発明は、上記問題点を解決することにより、例えば
連続してノッキングが発生した場合、およびエンジンの
回転数が急変する過渡運転時の両方で適切な点火時期制
御を行なって、ノッキングの低減効果とエンジンの出力
の有効利用とを、ともに向上することを目的とする。 [問題点を解決するための手段] 上記目的を達成する手段として、本発明のエンジンの
ノッキングの制御装置は、第1図に例示するように、 エンジンMAの点火毎にサンプリングされたノックセン
サMBの出力を複数回の点火について平均化することによ
り、ノッキングの判定レベルを算出し、該判定レベルと
上記ノックセンサMBの出力とを比較して、ノッキングの
発生を判定して、該ノッキングの発生時にはノック遅角
量補正量で修正し、該修正後のノック遅角量に基づいて
点火時期を遅角制御する点火時期補正手段MCを備えたエ
ンジンMAのノッキング制御装置において、 上記エンジンMAの運転状態を検出して、エンジン回転
数の変化量が所定以上の過渡運転時を検出する過渡運転
時検出手段MDと、 該過渡運転時には、上記補正量を小さくする過渡運転
時遅角補正手段MEと を備えることを特徴とする。 ノックセンサMBとは、例えばエンジンMAの音響領域を
含む振動を検出するものである。 点火時期補正手段MCとは、エンジンMAにノッキングが
発生したと判定した場合には、ノック遅角量を補正量で
修正し、その修正後のノック遅角量に基づいて点火時期
を遅角制御するものである。 過渡運転時検出手段MDとは、たとえば過渡運転時をエ
ンジン回転数の変化量が所定以上になったことから検出
するもの、あるいは吸気量が変動するとき、燃料供給量
が変動するとき、スロットル開度が変動したときから推
定するものである。 過渡運転時遅角量補正手段MEは、過渡運転時には、上
記補正量を所定量あるいは所定率小さくするのである
が、この補正量を小さくする率を過渡運転の状態、たと
えばエンジン回転数の変化量の大小により変更するよう
構成してもよい。 [作用] 本発明のエンジンのノッキング制御装置は、点火時期
補正手段MCがエンジンMAのノッキングをノックセンサMB
の出力にもとづいて判定し、ノッキングの発生時にはノ
ック遅角量を補正量で修正し、その修正後のノック遅角
量に基づいて点火時期を近く制御するとともに、過渡運
転検出手段MDがエンジンMAの過渡運転時を検出したと
き、過渡運転時遅角量補正手段MEにより、補正量を小さ
くする。これにより、たとえば過渡運転時にノッキング
が発生したと判定された場合には、過渡運転時でないと
きに比べて、点火時期がゆっくり、あるいは少しずつ遅
角制御される。 [実施例] 以下本発明の一実施例を図面にもとづいて詳細に説明
する。 第2図は本実施例が適用されるシステムの概略構成を
エンジン10を中心に示すものである。 エンジン10は、エンジンコントローラ12によって制御
されるもので、エアクリーナ14の近傍には、吸入空気温
を検出して吸気温信号を出力する吸気温センサ16、およ
び吸入空気量Qを検出して吸気量信号を出力する吸気量
センサ17が設けられている。 エアクリーナ14の下流側には、吸入空気を過給するタ
ーボチャージャ18のコンプレッサ20、このコンプレッサ
20によって過給された吸入空気を冷却するインタークー
ラ22が設けられている。 インタークーラ22の下流側には、スロットルバルブ24
が配置され、このスロットルバルブ24には、スロットル
バルブ全閉状態で「オン」する(LL(「オン」)アイド
ルスイッチ26と、スロットルバルブ24の開度が例えば40
[%]以上で「オン」する(PSW「オン」)パワースイ
ッチ28とが取り付けられている。スロットルバルブ24の
下流側には、サージタンク30が形成され、このサージタ
ンク30の下流には、インテークマニホールド32および吸
入ポート34が設けられている。吸入ポート34には、エン
ジンコントローラ12からの開弁信号によって、開弁する
燃料噴射バルブ36が取り付けられている。燃料噴射バル
ブ36から噴射された燃料を燃焼させる燃焼室38の下流側
にはエキゾーストマニホールド40が設けられている。エ
キゾーストマニホールド40には、排出ガスの残留酸素濃
度を検出して、空燃比信号を出力するO2センサ42が取り
付けられている。 燃焼室38を形成するエンジンブロック44には、ウォー
タジャケット内の冷却水温を検出して冷却水温信号を出
力するエンジン水温センサ46、および振動を検出してノ
ックセンサ信号を出力するノックセンサ47が取り付けら
れている。 燃焼室38に設けられた点火プラグ48には、エンジンコ
ントローラ12からの出力に応じて点火時期が制御される
イグナイタ50からの高電圧がディストリビュータ52を介
して供給されている。該ディストリビュータ52には、エ
ンジン回転数Neを検出してエンジン回転数信号を出力す
るエンジン回転数センサ54と気筒判別信号を出力する気
筒判別センサ56とが取り付けられている。 エキゾーストマニホールド40の下流には、排出ガスに
よって駆動されるターボチャージャ18の排気タービン60
が配置されている。また、排気タービン60をバイパス
し、かつ排気タービンの上流側と下流側とを連通するよ
うにバイパス路62が設けられている。このバイパス路62
には、ウェイストゲートバルブ64が設けられており、ウ
ェイストゲートバルブ64はアクチュエータ66により、そ
の開弁状態が制御される。アクチュエータ66には、ター
ボチャージャ18のコンプレッサ20下流の吸気管圧力が導
入されており、この導入路68には、ソレノイドバルブ70
が設けられている。ソレノイドバルブ70は、エンジンコ
ントローラ12によってオンオフされ、「オン」状態の
時、導入路68を大気に絞り連通する。したがって、ウェ
イストゲートバルブ64は、過給圧の上昇に応じて開弁し
て、排気タービン60に流入する排気量を制御し、過給圧
の上限を制限するとともに、エンジンコントローラ12か
らの出力に応じて開閉弁されるソレノイドバルブ70の状
態により、ターボセレクトスイッチ72が「LOモード」に
されたとき、過給圧の上限を低めの過給圧(ここでは28
0mmHg)に制御し、上記ターボセレクトスイッチ72が
「通常モード」にされたとき、過給圧の上限を高めの過
給圧(ここでは520mmHg)に制御する。 エンジンコントローラ12は、入出力インタフェース7
4、記憶部76、および中央処理部78を備え、以下に示す
処理を行なう。 (1)エンジン10および車両の各部に設けられたセンサ
およびスイッチからの信号等を、入出力インタフェース
74を介して入力する処理。 (2)上記入力された各種の信号にもとづき、記憶部76
に記憶されている第3図に示すノッキング制御ルーチン
のプログラム、図示しない各種の制御ルーチンのプログ
ラム、およびデータ等にしたがって、各種駆動信号を中
央処理部78で演算する処理。 (3)中央処理部78の演算結果にもとづいて、エンジン
10の各部の駆動信号等を入出力インタフェース74から出
力する処理。 次に、エンジンコントローラ12により第3図のフロー
チャートによって各点火サイクル終了毎に実行される本
実施例のノッキング制御ルーチンを説明する。このノッ
キング制御ルーチンが起動されると、まずノックセンサ
47の検出したノックセンサ信号のピーク値Vを入出力イ
ンタフェース74を介して取込み(ステップ100)、次に
下記(1)式によって平均値Vmeanを算出する(ステッ
プ110)。なお、ここでは重み付け係数n(時定数を決
める適合定数)は、「4」ないし「32」の値が用いられ
る。 n…重み付け係数 V…ノックセンサ信号のピーク値 次いで下記(2)式によるノッキングの判定が行なわ
れる(ステップ120)。 V<K×Vmean…(2) K…定数 ここで、ノッキングが発生していないと判断された場合
(V<K×Vmean)には下記(3)式によりノック遅角
量SNOCKを所定値B減ずることで点火時期を所定値Bだ
け進角する処理を行なう(ステップ130)。 SNOCK=SNOCK−B…(3) B…1回当りの進角量 ノック遅角量SNOCKを進角する処理を実行後には、次
に図示しない基本点火時期算出ルーチンにより求めた基
本点火時期SBASEからノック遅角量SNOCKを減じることに
より、該ノック遅角量SNOCK分だけ遅角処理された最終
点火時期SAを算出する(ステップ140)。なお、基本点
火時期算出ルーチンは、周知であることから詳細は図示
しないが、エンジン回転数Neとエンジン負荷(ここでは
吸入空気量Q)とにもとづいて算出されるものである。 上記最終点火時期SAが求められた後は、次に最終点火
時期SAを図示しない点火実行ルーチンに設定し、実際に
点火時期を変更する(ステップ150)。 上記ノッキングの判定により(ステップ120)、ノッ
キングが発生していると判断された場合(V≧K×Vmea
n)には、次に過渡運転時でないときか否か、すなわち
エンジン回転数Neの変化量ΔNeが単位秒当り1500rpmの
率(ΔNe≦1500rpm/sec)以下か否かを判断する(ステ
ップ160)。 この判断により、過渡運転時でないとき(ΔNe≦1500
rpm/sec)であるとされた場合には、下記(4)式によ
りノック遅角量SNOCKに所定値Aを加算することで、点
火時期を所定値Aだけ遅角する処理を行ない(ステップ
170)、一方過渡運転時(ΔNe>1500rpm/sec)であると
された場合には、下記(5)式によりノック遅角量SNOC
Kに所定値Aを定数Mで(ここでは「2」ないし
「4」)で徐した値A/Mを加算することで、点火時期を
過渡時でないときに比べて小さくした値A/Mだけ遅角す
る処理を行なう(ステップ180)。 SNOCK=SNOCK+A…(4) A…過渡運転時でないときの1回当りの遅角量 上記ノック遅角量SNOCKを遅角補正した後は、既述し
た最終点火時期SAの算出を行ない(ステップ140)、次
に実際に点火時期を変更する処理を行なう(ステップ15
0)。 又、実施例では、ノッキングの発生を点火時期を制御
して低減することに加えて、エンジン10の過給圧を低減
する制御も併せて行なっている。これにより、過遅角に
なることを防止している。 以上に説明したように、本実施例は、ノッキングが発
生していないと判断したときには、点火時期を進角補正
し、一方ノッキングが発生したと判断したときには、ノ
ック遅角量を補正量で修正し、修正後のノック遅角量に
基づいて点火時期を遅角補正するのであるが、この際過
渡運転時であるか否かを判断して、過渡運転時にはこの
補正量を小さくしている。 これにより、ノッキングの誤判定が発生しやすい過渡
運転時には、ノッキングが発生したと誤判定されても、
点火時期を遅角補正するための補正量が過渡運転時でな
いときに比べて小さくされているから、過大に点火時期
が遅角補正されることはない。したがって、点火時期の
過遅角による排気温の上昇が防止されて、排気系部品の
耐久性が向上するとともに、エンジン出力の低下および
燃費の悪化が防止されて、エンジンの運転状態が向上す
るという極めて優れた効果を奏する。又、過渡運転時で
ない場合には、ノックセンサ信号の出力にもとづいて点
火時期を進角あるいは遅角制御することにより、エンジ
ンのノッキングレベルを適切にして、エンジンの出力,
燃費,および耐久性をそろって向上することができると
いう優れた効果を奏する。 なお、本発明は上記実施例に限定されるものでなく、
要旨を変更しない範囲で種々の態様の実施が可能であ
る。 [発明の効果] 本発明のエンジンのノッキング制御装置は、過渡運転
時でないとき、ノッキングレベルを適切に制御するとと
もに、過渡運転時には、たとえばノッキングが発生した
と誤判定しても点火時期を過大に遅角制御することはな
い。これにより、たとえば通常の過渡運転時でないとき
の平均化の時定数の自由度が高くなりノッキングの判定
を適切にすることができ、しかも短時間の過渡運転時に
は、ノッキングの誤判定が発生しても点火時期の過遅角
をなくすることができる。したがって、エンジン出力,
燃費,エンジンの耐久性,排気系部品の耐久性をそろっ
て向上することができるという極めて優れた効果を奏す
る。
装置に関する。 [従来の技術] 従来、エンジンに発生したノッキングを制御する技術
として、エンジンのノッキングの発生を検出し、ノッキ
ングの発生時には、点火時期を遅角制御するものが開示
されている。 この様な技術では、ノッキングの発生を正確に検出す
ることが重要であり、このため、たとえば特開昭60−87
31号公報に開示されているように、ノックセンサの出力
を点火毎に平均化処理(なまし処理)することによりノ
ッキングの判定レベルを算出し、該判定レベルと上記ノ
ックセンサの出力とを比較して、ノッキングの発生を検
出することが行なわれている。 [発明が解決しようとする問題点] しかしながら、ノックセンサの出力を平均化処理する
ことにより算出される判定レベルは、たとえば平均化処
理の時定数によって、連続してノッキングが発生した場
合と、エンジン回転数が急変する過渡運転時とでは、挙
動が異なり、下記(I)および(II)の特徴を有し、下
記(III)に示す問題を含んでいた。 (I)時定数が過大の時:ノックセンサの出力が小から
大に変化したとき、該ノックセンサの増大量に比べて、
平均値としての判定レベルの増大量が小さくなる。これ
により、エンジンにノッキングが発生していないのに、
ノッキングが発生したと判定する。 (II)時定数が過小の時:エンジンにノッキングが発生
したとき、平均値としての判定レベルが大きく増大し、
連続してノッキングが発生した場合に、ノッキングが発
生していないと判定する。 (II)過渡運転時:時定数が適切な場合であっても、エ
ンジン回転数が急変する過渡運転時には、ノッキングの
誤判定が行なわれる。これは、ノックセンサは、第4図
に示すように、エンジン回転数Neの増加量に比べて出力
値の増大量の方が大きくなる出力特性を有しているから
であり、以下に示すような問題となる。 エンジン回転数が低から高に変化した場合にも平均値
としての判定レベルをノックセンサの出力値の増大に追
従させるため、従来は、トランスミッションのシフトを
1速で全開加速(WOT加速)した場合(ΔNe<1000rpm/s
ec)とノッキングが連続して発生した場合の両方で、適
切にノッキングの判定ができるような時定数を選定して
いた。 しかし、このような時定数では、エンジン回転数Neの
変化率ΔNeが高い場合、たとえばアクセル全開のレーシ
ング時(ΔNe>2000rpm/sec)、ダウンシフト時、ある
いはダブルクラッチ等のアクセルの空踏時には、回転数
の変化率ΔNeの高さに追従できず、実際にはノッキング
が発生していないのにノッキングが発生したと判断して
しまう場合があった。又、このレーシング時に判定レベ
ルが適切になるような時定数を選択すると、ノッキング
が連続して発生した場合に、ノッキングなしと誤判定し
てしまう場合がある。 これにより、例えばレーシング時を考慮しない通常の
時定数を設定した場合には、レーシング時に誤ってノッ
キング有と判定されて、点火時期が遅角補正され、エン
ジンの出力が低下したり、燃費が悪化する場合があっ
た。 本発明は、上記問題点を解決することにより、例えば
連続してノッキングが発生した場合、およびエンジンの
回転数が急変する過渡運転時の両方で適切な点火時期制
御を行なって、ノッキングの低減効果とエンジンの出力
の有効利用とを、ともに向上することを目的とする。 [問題点を解決するための手段] 上記目的を達成する手段として、本発明のエンジンの
ノッキングの制御装置は、第1図に例示するように、 エンジンMAの点火毎にサンプリングされたノックセン
サMBの出力を複数回の点火について平均化することによ
り、ノッキングの判定レベルを算出し、該判定レベルと
上記ノックセンサMBの出力とを比較して、ノッキングの
発生を判定して、該ノッキングの発生時にはノック遅角
量補正量で修正し、該修正後のノック遅角量に基づいて
点火時期を遅角制御する点火時期補正手段MCを備えたエ
ンジンMAのノッキング制御装置において、 上記エンジンMAの運転状態を検出して、エンジン回転
数の変化量が所定以上の過渡運転時を検出する過渡運転
時検出手段MDと、 該過渡運転時には、上記補正量を小さくする過渡運転
時遅角補正手段MEと を備えることを特徴とする。 ノックセンサMBとは、例えばエンジンMAの音響領域を
含む振動を検出するものである。 点火時期補正手段MCとは、エンジンMAにノッキングが
発生したと判定した場合には、ノック遅角量を補正量で
修正し、その修正後のノック遅角量に基づいて点火時期
を遅角制御するものである。 過渡運転時検出手段MDとは、たとえば過渡運転時をエ
ンジン回転数の変化量が所定以上になったことから検出
するもの、あるいは吸気量が変動するとき、燃料供給量
が変動するとき、スロットル開度が変動したときから推
定するものである。 過渡運転時遅角量補正手段MEは、過渡運転時には、上
記補正量を所定量あるいは所定率小さくするのである
が、この補正量を小さくする率を過渡運転の状態、たと
えばエンジン回転数の変化量の大小により変更するよう
構成してもよい。 [作用] 本発明のエンジンのノッキング制御装置は、点火時期
補正手段MCがエンジンMAのノッキングをノックセンサMB
の出力にもとづいて判定し、ノッキングの発生時にはノ
ック遅角量を補正量で修正し、その修正後のノック遅角
量に基づいて点火時期を近く制御するとともに、過渡運
転検出手段MDがエンジンMAの過渡運転時を検出したと
き、過渡運転時遅角量補正手段MEにより、補正量を小さ
くする。これにより、たとえば過渡運転時にノッキング
が発生したと判定された場合には、過渡運転時でないと
きに比べて、点火時期がゆっくり、あるいは少しずつ遅
角制御される。 [実施例] 以下本発明の一実施例を図面にもとづいて詳細に説明
する。 第2図は本実施例が適用されるシステムの概略構成を
エンジン10を中心に示すものである。 エンジン10は、エンジンコントローラ12によって制御
されるもので、エアクリーナ14の近傍には、吸入空気温
を検出して吸気温信号を出力する吸気温センサ16、およ
び吸入空気量Qを検出して吸気量信号を出力する吸気量
センサ17が設けられている。 エアクリーナ14の下流側には、吸入空気を過給するタ
ーボチャージャ18のコンプレッサ20、このコンプレッサ
20によって過給された吸入空気を冷却するインタークー
ラ22が設けられている。 インタークーラ22の下流側には、スロットルバルブ24
が配置され、このスロットルバルブ24には、スロットル
バルブ全閉状態で「オン」する(LL(「オン」)アイド
ルスイッチ26と、スロットルバルブ24の開度が例えば40
[%]以上で「オン」する(PSW「オン」)パワースイ
ッチ28とが取り付けられている。スロットルバルブ24の
下流側には、サージタンク30が形成され、このサージタ
ンク30の下流には、インテークマニホールド32および吸
入ポート34が設けられている。吸入ポート34には、エン
ジンコントローラ12からの開弁信号によって、開弁する
燃料噴射バルブ36が取り付けられている。燃料噴射バル
ブ36から噴射された燃料を燃焼させる燃焼室38の下流側
にはエキゾーストマニホールド40が設けられている。エ
キゾーストマニホールド40には、排出ガスの残留酸素濃
度を検出して、空燃比信号を出力するO2センサ42が取り
付けられている。 燃焼室38を形成するエンジンブロック44には、ウォー
タジャケット内の冷却水温を検出して冷却水温信号を出
力するエンジン水温センサ46、および振動を検出してノ
ックセンサ信号を出力するノックセンサ47が取り付けら
れている。 燃焼室38に設けられた点火プラグ48には、エンジンコ
ントローラ12からの出力に応じて点火時期が制御される
イグナイタ50からの高電圧がディストリビュータ52を介
して供給されている。該ディストリビュータ52には、エ
ンジン回転数Neを検出してエンジン回転数信号を出力す
るエンジン回転数センサ54と気筒判別信号を出力する気
筒判別センサ56とが取り付けられている。 エキゾーストマニホールド40の下流には、排出ガスに
よって駆動されるターボチャージャ18の排気タービン60
が配置されている。また、排気タービン60をバイパス
し、かつ排気タービンの上流側と下流側とを連通するよ
うにバイパス路62が設けられている。このバイパス路62
には、ウェイストゲートバルブ64が設けられており、ウ
ェイストゲートバルブ64はアクチュエータ66により、そ
の開弁状態が制御される。アクチュエータ66には、ター
ボチャージャ18のコンプレッサ20下流の吸気管圧力が導
入されており、この導入路68には、ソレノイドバルブ70
が設けられている。ソレノイドバルブ70は、エンジンコ
ントローラ12によってオンオフされ、「オン」状態の
時、導入路68を大気に絞り連通する。したがって、ウェ
イストゲートバルブ64は、過給圧の上昇に応じて開弁し
て、排気タービン60に流入する排気量を制御し、過給圧
の上限を制限するとともに、エンジンコントローラ12か
らの出力に応じて開閉弁されるソレノイドバルブ70の状
態により、ターボセレクトスイッチ72が「LOモード」に
されたとき、過給圧の上限を低めの過給圧(ここでは28
0mmHg)に制御し、上記ターボセレクトスイッチ72が
「通常モード」にされたとき、過給圧の上限を高めの過
給圧(ここでは520mmHg)に制御する。 エンジンコントローラ12は、入出力インタフェース7
4、記憶部76、および中央処理部78を備え、以下に示す
処理を行なう。 (1)エンジン10および車両の各部に設けられたセンサ
およびスイッチからの信号等を、入出力インタフェース
74を介して入力する処理。 (2)上記入力された各種の信号にもとづき、記憶部76
に記憶されている第3図に示すノッキング制御ルーチン
のプログラム、図示しない各種の制御ルーチンのプログ
ラム、およびデータ等にしたがって、各種駆動信号を中
央処理部78で演算する処理。 (3)中央処理部78の演算結果にもとづいて、エンジン
10の各部の駆動信号等を入出力インタフェース74から出
力する処理。 次に、エンジンコントローラ12により第3図のフロー
チャートによって各点火サイクル終了毎に実行される本
実施例のノッキング制御ルーチンを説明する。このノッ
キング制御ルーチンが起動されると、まずノックセンサ
47の検出したノックセンサ信号のピーク値Vを入出力イ
ンタフェース74を介して取込み(ステップ100)、次に
下記(1)式によって平均値Vmeanを算出する(ステッ
プ110)。なお、ここでは重み付け係数n(時定数を決
める適合定数)は、「4」ないし「32」の値が用いられ
る。 n…重み付け係数 V…ノックセンサ信号のピーク値 次いで下記(2)式によるノッキングの判定が行なわ
れる(ステップ120)。 V<K×Vmean…(2) K…定数 ここで、ノッキングが発生していないと判断された場合
(V<K×Vmean)には下記(3)式によりノック遅角
量SNOCKを所定値B減ずることで点火時期を所定値Bだ
け進角する処理を行なう(ステップ130)。 SNOCK=SNOCK−B…(3) B…1回当りの進角量 ノック遅角量SNOCKを進角する処理を実行後には、次
に図示しない基本点火時期算出ルーチンにより求めた基
本点火時期SBASEからノック遅角量SNOCKを減じることに
より、該ノック遅角量SNOCK分だけ遅角処理された最終
点火時期SAを算出する(ステップ140)。なお、基本点
火時期算出ルーチンは、周知であることから詳細は図示
しないが、エンジン回転数Neとエンジン負荷(ここでは
吸入空気量Q)とにもとづいて算出されるものである。 上記最終点火時期SAが求められた後は、次に最終点火
時期SAを図示しない点火実行ルーチンに設定し、実際に
点火時期を変更する(ステップ150)。 上記ノッキングの判定により(ステップ120)、ノッ
キングが発生していると判断された場合(V≧K×Vmea
n)には、次に過渡運転時でないときか否か、すなわち
エンジン回転数Neの変化量ΔNeが単位秒当り1500rpmの
率(ΔNe≦1500rpm/sec)以下か否かを判断する(ステ
ップ160)。 この判断により、過渡運転時でないとき(ΔNe≦1500
rpm/sec)であるとされた場合には、下記(4)式によ
りノック遅角量SNOCKに所定値Aを加算することで、点
火時期を所定値Aだけ遅角する処理を行ない(ステップ
170)、一方過渡運転時(ΔNe>1500rpm/sec)であると
された場合には、下記(5)式によりノック遅角量SNOC
Kに所定値Aを定数Mで(ここでは「2」ないし
「4」)で徐した値A/Mを加算することで、点火時期を
過渡時でないときに比べて小さくした値A/Mだけ遅角す
る処理を行なう(ステップ180)。 SNOCK=SNOCK+A…(4) A…過渡運転時でないときの1回当りの遅角量 上記ノック遅角量SNOCKを遅角補正した後は、既述し
た最終点火時期SAの算出を行ない(ステップ140)、次
に実際に点火時期を変更する処理を行なう(ステップ15
0)。 又、実施例では、ノッキングの発生を点火時期を制御
して低減することに加えて、エンジン10の過給圧を低減
する制御も併せて行なっている。これにより、過遅角に
なることを防止している。 以上に説明したように、本実施例は、ノッキングが発
生していないと判断したときには、点火時期を進角補正
し、一方ノッキングが発生したと判断したときには、ノ
ック遅角量を補正量で修正し、修正後のノック遅角量に
基づいて点火時期を遅角補正するのであるが、この際過
渡運転時であるか否かを判断して、過渡運転時にはこの
補正量を小さくしている。 これにより、ノッキングの誤判定が発生しやすい過渡
運転時には、ノッキングが発生したと誤判定されても、
点火時期を遅角補正するための補正量が過渡運転時でな
いときに比べて小さくされているから、過大に点火時期
が遅角補正されることはない。したがって、点火時期の
過遅角による排気温の上昇が防止されて、排気系部品の
耐久性が向上するとともに、エンジン出力の低下および
燃費の悪化が防止されて、エンジンの運転状態が向上す
るという極めて優れた効果を奏する。又、過渡運転時で
ない場合には、ノックセンサ信号の出力にもとづいて点
火時期を進角あるいは遅角制御することにより、エンジ
ンのノッキングレベルを適切にして、エンジンの出力,
燃費,および耐久性をそろって向上することができると
いう優れた効果を奏する。 なお、本発明は上記実施例に限定されるものでなく、
要旨を変更しない範囲で種々の態様の実施が可能であ
る。 [発明の効果] 本発明のエンジンのノッキング制御装置は、過渡運転
時でないとき、ノッキングレベルを適切に制御するとと
もに、過渡運転時には、たとえばノッキングが発生した
と誤判定しても点火時期を過大に遅角制御することはな
い。これにより、たとえば通常の過渡運転時でないとき
の平均化の時定数の自由度が高くなりノッキングの判定
を適切にすることができ、しかも短時間の過渡運転時に
は、ノッキングの誤判定が発生しても点火時期の過遅角
をなくすることができる。したがって、エンジン出力,
燃費,エンジンの耐久性,排気系部品の耐久性をそろっ
て向上することができるという極めて優れた効果を奏す
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のエンジンのノッキング制御装置の基本
的構成を例示する構成図、第2図は本発明の一実施例の
構成図、第3図は実施例のノッキング制御ルーチンのフ
ローチャート、第4図は従来例の説明図である。 MA……エンジン、MB……ノックセンサ MC……点火時期補正手段 MD……過渡運転時検出手段 ME……過渡運転時遅角量補正手段 10……エンジン 12……エンジンコントローラ 47……ノックセンサ 54……エンジン回転数センサ
的構成を例示する構成図、第2図は本発明の一実施例の
構成図、第3図は実施例のノッキング制御ルーチンのフ
ローチャート、第4図は従来例の説明図である。 MA……エンジン、MB……ノックセンサ MC……点火時期補正手段 MD……過渡運転時検出手段 ME……過渡運転時遅角量補正手段 10……エンジン 12……エンジンコントローラ 47……ノックセンサ 54……エンジン回転数センサ
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 1.エンジンの点火毎にサンプリングされたノックセン
サの出力を複数回の点火について平均化することによ
り、ノッキングの判定レベルを算出し、該判定レベルと
上記ノックセンサの出力とを比較して、ノッキングの発
生を判定して、該ノッキングの発生時にはノック遅角量
を補正量で修正し、該修正後のノック遅角量に基づいて
点火時期を遅角制御する点火時期補正手段を備えたエン
ジンのノッキング制御装置において、 上記エンジンの運転状態を検出して、エンジン回転数の
変化量が所定以上の過渡運転時を検出する過渡運転時検
出手段と、 該過渡運転時には、上記補正量を小さくする過渡運転時
遅角量補正手段と を備えることを特徴とするエンジンのノッキング制御装
置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62220058A JP2712188B2 (ja) | 1987-09-02 | 1987-09-02 | エンジンのノッキング制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62220058A JP2712188B2 (ja) | 1987-09-02 | 1987-09-02 | エンジンのノッキング制御装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS6463652A JPS6463652A (en) | 1989-03-09 |
JP2712188B2 true JP2712188B2 (ja) | 1998-02-10 |
Family
ID=16745277
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP62220058A Expired - Fee Related JP2712188B2 (ja) | 1987-09-02 | 1987-09-02 | エンジンのノッキング制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2712188B2 (ja) |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS608731A (ja) * | 1983-06-29 | 1985-01-17 | Toyota Motor Corp | 内燃機関のノツキング検出装置 |
JPS6248964A (ja) * | 1985-08-28 | 1987-03-03 | Mazda Motor Corp | エンジンの点火時期制御装置 |
JPS6329061A (ja) * | 1986-07-22 | 1988-02-06 | Honda Motor Co Ltd | 内燃機関の点火時期制御装置 |
-
1987
- 1987-09-02 JP JP62220058A patent/JP2712188B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS6463652A (en) | 1989-03-09 |
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LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |