JP2712076B2 - 鋼製壁高欄 - Google Patents

鋼製壁高欄

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JP2712076B2
JP2712076B2 JP34943495A JP34943495A JP2712076B2 JP 2712076 B2 JP2712076 B2 JP 2712076B2 JP 34943495 A JP34943495 A JP 34943495A JP 34943495 A JP34943495 A JP 34943495A JP 2712076 B2 JP2712076 B2 JP 2712076B2
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信三 伊藤
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、橋梁、特に高架道
路等の道路橋に設置されて車輌の走行により発生する騒
音を吸収することのできる鋼製壁高欄に関する。
【0002】
【従来の技術】道路橋には、自動車等の車輌が道路外へ
飛び出すのを防止するために壁高欄が設置され、また、
車輌の走行により発生する騒音を道路外へ漏出するのを
防止するために防音壁が設置されている。
【0003】車輌の走行による騒音の発生源は、舗装と
タイヤの摩擦音が主体で、加えて車のエンジン音、車体
の風を切る音が加わるものの、その高さは路面から50
cm程度の低位置であると認識されている(雑誌「道
路」1995年9月号第31頁)。
【0004】ところが、防音壁は、そのほとんどが車輌
逸脱防止のために設置した壁高欄の上に設置されてい
る。壁高欄は、通常コンクリート製であるため、遮音効
果は十分に認めることはできるものの吸音効果がなく、
発せられた騒音は、左右の壁高欄で反射を繰り返す。そ
こで、この騒音を道路外に漏出するのを防止するためや
たらに高い防音壁を設置したり、防音壁に無理やりに曲
面を付けたりしている。
【0005】しかしながら、上述したように車輌の走行
による騒音の発生源は低位置にあるのであるから、その
位置で騒音を吸収することができれば非常に好ましい。
【0006】低位置で、車輌の走行による騒音を吸収す
る方法としては、まずは壁高欄の前面に防音壁を設置す
ることが考えられるが、該方法では防音壁の厚み分だけ
道路の幅を増やさなければならず、また、建設費の莫大
な増加を招き現実的ではない。
【0007】そこで、本発明者は、先に特願平7−30
8557号において、床版固定板をはさんで前面側に立
ち上げた内外面を貫通する複数の吸音孔を設けた鋼製の
前面板と後面側に立ち上げた鋼製の後面板との間に防音
材を組み込んだ鋼製壁からなる鋼製壁高欄及び床版固定
板をはさんで前面側に立ち上げ、内面に防音材を取り付
け、内外面を貫通する吸音孔を設けた鋼製の前面板と後
面に立ち上げ、内面に音を角度を持たせて反射させる凹
凸を表面に有する防音材を取り付けた鋼製の後面板とか
らなる鋼製壁の前面下方にタイヤ支承部と流水部とから
なる鋼製排水溝を備えてなることを特徴とする鋼製壁高
欄を提案した。
【0008】このようにしてなる鋼製壁高欄は、車輌の
走行により発生する低位置の騒音は、前面板の吸音孔か
ら吸音され防音材に吸音され、遮音されるので、騒音の
道路外又は路上への漏出は減少する。また、これまでの
ように高欄の上に防音壁を設置しなくてもよいので経済
的であり、さらには、高欄の内側に防音壁を設置するも
のではないので、道路幅員を有効に使用することができ
る。そのうえ、床版固定板をはさんで中空を有する高欄
であるから床版における死荷重の減少を図ることができ
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、かかる
鋼製壁高欄は、前面板に吸音孔を設けてあるので、ここ
から雨水等が侵入して雨水は内部に滞留してしまう。ま
た車輌が衝突した時などは、前面板は鋼製であるから剛
であり、後面板との間に空隙があるので破壊されやすい
という課題を有する。本発明は、これらの課題を以下述
べるような鋼製壁高欄を提供することにより、解決しよ
うとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】まず、基本的には、床版
固定板をはさんで前面側に立ち上げた内外面を貫通する
複数の吸音孔を設けた鋼製の前面板と後面側に立ち上げ
た鋼製の後面板との間に防音材を組み込むとともに排水
樋を前面板と後面板間の下方に配置した鋼製壁からなる
鋼製壁高欄とした。
【0011】つぎに、床版固定板をはさんで前面側に立
ち上げた内外面を貫通する複数の吸音孔を設けた鋼製の
前面板と後面側に立ち上げた鋼製の後面板との間に防音
材を組み込むとともにコ字形状の補強部材を長手方向が
前面板の内面を支持し、両端部が後面板の内面にダンパ
ー部材を介して取り付けられた鋼製壁からなる鋼製壁高
欄をとした。
【0012】そして、床版固定板をはさんで前面側に立
ち上げた内外面を貫通する複数の吸音孔を設けた前面板
と後面側に立ち上げた鋼製の後面板との間に防音材を組
み込むとともにコ字形状の補強部材を長手方向が前面板
の内面を支持し、両端部が後面板の内面にダンパー部材
を介して取り付けられて配設し、排水樋を前面板と後面
板間の下方に配置した鋼製壁からなる鋼製壁高欄とし
た。
【0013】さらに、上述した前面下方にタイヤ支承部
と流水部とからなる鋼製排水溝を備えてなる鋼製壁高欄
とした。
【0014】そして、さらに、上述のようにしてなる鋼
製壁高欄において、防音材は、前面板の内面に吸音孔を
設けて取り付け、後面板に音を内面に角度を持たせて反
射させる凹凸を表面に形成して取り付けられている鋼製
壁高欄とした。
【0015】さらにまた、上述の排水溝を配置した鋼製
壁高欄において、排水樋から外部又は鋼製排水溝の流水
部へ通ずる排水孔が形成された鋼製壁高欄とした。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面に基い
て説明する。
【0017】図1は、本発明に係る鋼製壁高欄が設置さ
れている状態を示す斜視図、図2は、同鋼製壁高欄の分
解縦断面図、図3は、鋼製壁の縦断面図、図4は、一部
斜視図、図5は、鋼製壁の内部に備えられた補強部材の
構成を説明する水平断面図、図6は、補強部材の取り付
け部を示す要部縦断面図である。
【0018】鋼製壁高欄1は、鋼製壁2と鋼製排水溝3
とからなる。
【0019】鋼製壁2は、床版固定板6、前面板7、後
面板8、天板10とからなり、各部はつぎのようにして
なる。
【0020】後面板8は、道路走行方向に適当な長さを
有し、内面に防音材11を接着剤で貼着して取り付けて
なり、床版4に固定される床版固定板6の後面側に溶接
等により固着されている。19は後述する前面板7を床
版固定板6の前面に取り付けて立ち上げるのを便ならし
める前受け板で、床版固定板6の前面側に溶接等により
固着されている。9は補強板である。
【0021】前面板7は、道路走行方向に適当な長さを
有し、内面に防音材14を貼着して取り付け、内外面を
貫通する複数の吸音孔15、16が設けられている。1
0は床版固定板6の前面に立ち上げたとき、上方を閉鎖
する天板である。
【0022】防音材11は、その表面12に凹凸が全面
にわたって形成されている。この凹凸は、音が前面板7
の吸音孔16から吸音された音を角度を持たせて空間1
3内に反射される。なお、防音材は、後面板8と前面板
7とに防音材11、14として別々に取り付けるのでは
なく、床版固定板6をはさんで立ち上げられる後面板8
と前面板7との間に組み込まれているだけでよいので、
たとえば、後面板8と前面板7との間に充填されただけ
でもよく、また、後面板8のみに取り付けられているだ
けでもよい。防音材は樹脂の発泡体が吸音効果または遮
音効果に優れているので好ましく、たとえばウレタンフ
ォーム等が使用できる。
【0023】後面板8と前面板7との間には、その下方
に排水樋17が配置されている。この排水樋17は、例
えば防音材11、14の貼着されていない下方に後面板
8の内面に保持され、下方空間部27を覆うようにして
位置され傾斜による導水部18により侵入した雨水等
が、排水孔たとえば排水パイプ20を経て排水する作用
をするようになっている。排水樋17からの排水は必ず
しも排水孔によらなくても排水樋を長手方向一方にのみ
傾斜させることによって、脇から行うようにしてもよ
い。
【0024】また、後面板8と前面板7との間には、車
輌の衝突に対応することのできるように補強部材21が
配設されている。この補強部材21は、コ字形状のパイ
プ材からなり、長手方向の部位22が前面板7の内面を
防音材14をはさんで支持し、取り付け部23の端部が
後面板8の内面に固着されたダンパー部材24を介して
後面板8に取り付けられて配置されている。
【0025】鋼製排水溝3は、ほぼチャネル形状を呈す
る流水部28と導水部33を形成し、ほぼクラン形状を
呈するガード部29とから構成され、空間部30を有す
る。なお、必要により流水部28の背面側に鋼製壁の前
面板7に形成された排水孔に連通する排水孔が形成され
る。この実施の形態では排水パイプ20で連通してい
る。
【0026】このようにしてなる各部はつぎのようにし
て一体化される。
【0027】床版固定板6と前受け板19とを一体化し
た後面板8を床版固定板6をアンカーボルト25を用い
て床版4に固定するとともに後面板8を据付ボルト26
で背面を固定する。ついで、前面板7を前受け板19
に、鋼製排水溝3の流水部28の背面部を重ね合わせて
組み合わせボルト31を用いて、これらを一体化した
後、鋼製排水溝のガード部29を流水部28に組み付け
る。
【0028】なお、鋼製排水溝を一体化しない鋼製壁高
欄の場合は、前面板7を前受け板19に重ね合わせて組
み合わせボルトを用いて組み付けて鋼製壁とすればよ
い。また、鋼製排水溝は、流水部28とガード部29と
が一体となっているものを用いてもよい。
【0029】かくして、本発明に係る鋼製壁高欄は形成
される。
【0030】
【発明の効果】本発明は、上述のようにしてなるので、
つぎの効果を有する。
【0031】請求項1乃至8において、車輌の走行によ
り発生する低位置の騒音は、前面板の吸音孔から吸音さ
れ防音材に吸音され、遮音されるので、騒音の道路外又
は路上への漏出は減少する。また、これまでのように高
欄の上に防音壁を設置しなくてもよいので経済的であ
り、さらには、高欄の内側に防音壁を設置するものでは
ないので、道路幅員を有効に使用することができる。そ
のうえ、床版固定板をはさんで中空を有する鋼製壁高欄
であるから床版における死荷重の減少を図ることができ
る。
【0032】請求項1、請求項3、請求項4、請求項6
において、前面板の吸音孔から前面板と後面板間に侵入
した雨水等は、前面板と後面板との間の下方に配置され
た排水樋により外部に排出されるので、前面板と後面板
間に雨水が滞留するのを防止することができる。
【0033】請求項2、請求項3、請求項5、請求項6
において、鋼製壁高欄に車輌が衝突しても、後面板にダ
ンパー部材を介して取り付けられた補強部材が前面板を
支持しているので、その衝撃はやわらぎ、鋼製壁の破損
を少なくすることができる。
【0034】請求項4、請求項5及び請求項6におい
て、鋼製排水溝を一体化することで、鋼製壁を一体化す
るために用いたボルト類を覆うことができ、美観を損な
うこともない。
【0035】請求項7において、車輌の走行により発生
する低位置の騒音は、前面板の吸音孔から吸音され、後
面板の内面に取り付けた防音材により吸音され又は遮音
されるが、吸音されなかった騒音はこの防音材に形成し
た凹凸により、角度を変えて、前面板の内面に取り付け
た防音材に反射し、この反射を繰り返す。この反射の繰
り返しにより騒音を減衰させることができる。
【0036】請求項8において、排水樋に導入された雨
水はそのまま鋼製排水溝に排出することができるので、
排水を路面等に排出しないで済む。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る鋼製壁高欄が設置されている状態
を示す一部切り欠き斜視図である。
【図2】同鋼製壁高欄の分解縦断面図である。
【図3】鋼製壁の縦断面図である。
【図4】鋼製壁の一部斜視図である。
【図5】鋼製壁の内部に備えられた補強部材の構成を説
明する水平断面図である。
【図6】同補強部材の取り付け部を示す要部縦断面図で
ある。
【符号の説明】
1 鋼製壁高欄 2 鋼製壁 3 鋼製排水溝 4 床版 6 床版固定板 7 前面板 8 後面板 9 補強板 10 天板 11 防音材 13 空間部 14 防音材 15 吸音孔 16 吸音孔 17 排水樋 20 排水パイプ 21 補強部材 24 ダンパー部材 28 流水部 29 ガード部 30 空間部

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 床版固定板をはさんで前面側に立ち上げ
    た内外面を貫通する複数の吸音孔を設けた鋼製の前面板
    と後面側に立ち上げた鋼製の後面板との間に防音材を組
    み込むとともに排水樋を前面板と後面板間の下方に配置
    した鋼製壁からなることを特徴とする鋼製壁高欄。
  2. 【請求項2】 床版固定板をはさんで前面側に立ち上げ
    た内外面を貫通する複数の吸音孔を設けた鋼製の前面板
    と後面側に立ち上げた鋼製の後面板との間に防音材を組
    み込むとともにコ字形状の補強部材を長手方向が前面板
    の内面を支持し、両端部が後面板の内面にダンパー部材
    を介して取り付けて配設された鋼製壁からなることを特
    徴とする鋼製壁高欄。
  3. 【請求項3】 床版固定板をはさんで前面側に立ち上げ
    た内外面を貫通する複数の吸音孔を設けた鋼製の前面板
    と後面側に立ち上げた鋼製の後面板との間に防音材を組
    み込むとともにコ字形状の補強部材を長手方向が前面板
    の内面を支持し、両端部が後面板の内面にダンパー部材
    を介して取り付けられて配設し、排水樋を前面板と後面
    板間の下方に配置した鋼製壁からなることを特徴とする
    鋼製壁高欄。
  4. 【請求項4】 床版固定板をはさんで前面側に立ち上げ
    た内外面を貫通する複数の吸音孔を設けた鋼製の前面板
    と後面側に立ち上げた鋼製の後面板との間に防音材を組
    み込むとともに排水樋を前面板と後面板間の下方に配置
    した鋼製壁の前面下方にタイヤ支承部と流水部とからな
    る鋼製排水溝を備えてなることを特徴とする鋼製壁高
    欄。
  5. 【請求項5】 床版固定板をはさんで前面側に立ち上げ
    た内外面を貫通する複数の吸音孔を設けた鋼製の前面板
    と後面側に立ち上げた鋼製の後面板との間に防音材を組
    み込むとともにコ字形状の補強部材を長手方向が前面板
    の内面を支持し、両端部が後面板の内面にダンパー部材
    を介して取り付けられて配設してなる鋼製壁の前面下方
    にタイヤ支承部と流水部とからなる鋼製排水溝を備えて
    なることを特徴とする鋼製壁高欄。
  6. 【請求項6】 床版固定板をはさんで前面側に立ち上げ
    た内外面を貫通する複数の吸音孔を設けた鋼製の前面板
    と後面側に立ち上げた鋼製の後面板との間に防音材を組
    み込むとともにコ字形状の補強部材を長手方向が前面板
    の内面を支持し、両端部が後面板の内面にダンパー部材
    を介して取り付けられて配設し、かつ、排水樋を前面板
    と後面板間の下方に配置した鋼製壁の前面下方にタイヤ
    支承部と流水部とからなる鋼製排水溝を備えてなること
    を特徴とする鋼製壁高欄。
  7. 【請求項7】 前面板と後面板との間に組み込まれる防
    音材は、前面板の内面に吸音孔を設けて取り付け、後面
    板に音を内面に角度を持たせて反射させる凹凸を表面に
    形成して取り付けられていることを特徴とする請求項
    1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5又は請求
    項6に記載の鋼製壁高欄。
  8. 【請求項8】 排水樋から外部又は鋼製排水溝の流水部
    へ通ずる排水孔が形成されることを特徴とする請求項
    1、請求項3、請求項4又は請求項6に記載の鋼製壁高
    欄。
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