JP2712063B2 - 乾燥方法 - Google Patents

乾燥方法

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JP2712063B2
JP2712063B2 JP3240659A JP24065991A JP2712063B2 JP 2712063 B2 JP2712063 B2 JP 2712063B2 JP 3240659 A JP3240659 A JP 3240659A JP 24065991 A JP24065991 A JP 24065991A JP 2712063 B2 JP2712063 B2 JP 2712063B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】 この発明は、赤外線ランプを使
用して、塗膜中の溶剤を発散させ、しかる後塗膜を硬化
させる塗膜の乾燥方法にかかる。
【0002】
【従来の技術】 従来、各種塗料を塗布された被乾燥物
等を乾燥させる乾燥方法としては、いわゆる熱風炉、遠
赤外線利用の乾燥炉を用いた乾燥方法が知られている。
これら乾燥方法の乾燥メカニズムは以下のように理解さ
れている。
【0003】すなわち、まず溶剤、アクリル樹脂等の樹
脂からなる塗料を表面に塗布された金属板等からなる被
乾燥物を炉内に搬入する。次いで、熱風を吹き付けある
いは遠赤外線を照射する。すると被乾燥物に塗布された
塗料表面の溶剤がまず蒸発され、表面が流動性を失い固
形化する。熱風等の熱が内部に即ち母材側に伝播すると
加熱により塗膜の固形化が進む。すると表面より内部の
溶剤は、すでに固形化された塗膜表面を突き破って蒸発
する。すると、発泡の跡が表面に残りピンホールを生ず
る。そのため、従来の熱風炉あるいは遠赤外線利用の乾
燥炉では、急激に加熱することなくセッティングルーム
によって溶剤の発散を行った後小さな温度勾配で遠赤外
線を照射しもしくは熱風を吹き付けておこなう。
【0004】しかしながら、従来のこれら乾燥炉を使用
した乾燥方法では発泡を生じない程度の低温を維持しな
がら乾燥させるため乾燥に時間がかかる課題を有した。
【0005】特に熱風と赤外線との組み合わせによる短
時間乾燥を目的とする加熱炉では、塗膜表面はより高温
となり、塗膜表面と塗膜との界面にあたる金属表面との
温度差が生じ発泡が生じ易い課題を有した。
【0006】他方、「近赤外線の液体、パウダ、コーテ
ィング、ストーブ」(実開平1ー151873)、「塗料焼付
炉専用の光板」(実開平2ー43217)、USP4,863,375「BA
KINGMETHOD FOR USE WITH LIQUID OR POWDER VARNISHIN
G FURNACE」(ベーキングメソッド フォー ユース
ウィズ リキッド オア パウダー ヴァーニシング
ファーニス)等が知られている。これら従来例には、
「一種近赤外線の液体、パウダ、コーティング、ストー
ブのベーキング方法」についての記載があり、「近赤外
線の快速高温と貫通力が強い特性を利用し、ストーブの
ベーキング物品の方法を改良して、ペイントを快速に乾
燥するとともにその付着力を増強する考案」、すなわち
「いわゆる液体、粉末液体の塗装どおりに、粉末液体状
態のパウダ、液体塗料、気体あるいは流体を運送媒介体
としてその物体表面に付着させて、しかるのち加熱熔融
をへて均等にコートの塗装法」についての記載がある。
【0007】あるいは、「近赤外線を使用した乾燥炉、
あるいは乾燥炉内に高温部と低温部とを順次形成して乾
燥する乾燥方法、あるいは近赤外線ランプの背後には陶
磁製反射板を設け、および陶磁製反射板の中にはヒータ
ーを設ける」旨の記載がある。
【0008】又塗装技術増刊10月号には「中波長赤外線
ラジエーター」ついての記載がある(1990年10月20日株
式会社理工出版社刊211〜213頁)。すなわち、「塗膜に
到達した放射エネルギーは、その一部は吸収され、一部
は反射し、一部は透過する。このうち吸収されたエネル
ギーが熱に変り塗膜を加熱、乾燥させる。塗装の場合は
母材、ボディがあるため塗膜を透過した放射エネルギー
が母材を加熱し、熱伝導で塗膜を内側から加熱する。
【0009】近赤外線:温度2000〜2200℃ 最大エネ
ルギー波長約1.2μm,エネルギー密度大、反射,透過エ
ネルギーが大きい,立上り速度が早い(1〜2秒),寿命
が約5000時間と短い。
【0010】中赤外線:温度850〜900℃ 最大エネル
ギー波長約2.5μm,エネルギー密度中,吸収.透過エネ
ルギーがバランスしてエネルギーが塗膜内に浸透,寿命
が長い。
【0011】遠赤外線:温度500〜600℃,最大エネル
ギー波長約3.5μm,エネルギー密度小,良く吸収される
が塗膜表面で吸収,加熱となりがち,立上り時間が長い
(5〜15分),対流損失が大きい。」とされる。
【0012】さらに、「2.最大効率の中波長赤外線
「より早く乾燥し,より良い塗膜品質を得る」には,つ
まり最大効率で加熱,乾燥させるには,次の二つの条件
を同時に満足している必要がある。
【0013】赤外線ラジェターの温度が高い放射エネ
ルギーはラジェターの絶対温度(T)の4乗に比例する。
【0014】Eb∝T4
【0015】温度が高いほど放射エネルギーは大きくな
る。
【0016】最大エネルギー波長が塗料のピーク吸収
率よりいくぶん短波長よりにあること
【0017】塗料の工業用赤外線加熱で利用できる最大
ピーク波長は例外なく3μm前後にある。よって2.5μm前
後に最大エネルギー波長を持つ赤外線ラジェターが吸収
も良く,透過し,母材も加熱し内部からも加熱できる。
【0018】上記の関連,赤外線ラジェターの温度
(T)と最大エネルギー波長(λm)の関係を表す,ウ
ィーンの変位則,
【0019】λm=2897/Tより
【0020】T=(t+273)=2897/2.5
【0021】t=880℃
【0022】中波長赤外線がこの条件を満足し有効エネ
ルギーが大きく最大効率となる。」とされる。
【0023】しかしながら、実開平1ー151873、実開平2
ー43217、USP4,863,375等には、近赤外線を使用して塗
膜乾燥をおこなう旨の記載はあるが、使用される近赤外
線の性質については一般的に記載されるに止どまり金属
表面に塗布される塗膜と近赤外線との関係による照射さ
れる赤外線の最適な範囲、選択ついては記載がない。
【0024】他方、従来の塗膜乾燥に使用されていた遠
赤外線、中赤外線では、塗膜の吸収率の高い領域、即ち
塗膜の赤外線吸収率の良い領域を選択して使用していた
が、これは塗膜表面から加熱させる目的のためである。
しかしながら、塗膜の吸収率の高い赤外線を使用する
と、ピンホールの発生の課題を本質的に抱えることにな
る。そのため、発泡を生じない程度の低温を維持しなが
ら乾燥させるため乾燥に時間がかかる課題を有した。
【0025】また、先の「塗装技術増刊10月号」の記載
には、赤外線と母材の吸収率との関係に基づく赤外線の
選択、あるいはピンホール発生原因に基づく赤外線の選
択についての記載はなく、そして塗装乾燥においては
「2.5μm前後に最大エネルギー波長を持つ赤外線ラジェ
ターが吸収も良く,透過し,母材も加熱し内部からも加
熱できる。」と結論している。
【0026】他方、発明者は近赤外線による母材表面に
塗布された塗膜の乾燥を行う過程において、塗布された
塗膜による赤外線吸収率の高い領域を選択するよりはむ
しろ塗膜の赤外線透過性の高い領域の近赤外線を選択す
ると、ピンホール発生を抑制することができることを知
見した。塗膜表面からではなく、塗膜に被覆された被塗
物において塗膜との界面に位置する母材表面を直接加熱
し、母材表面から逆に塗膜が乾燥されているため、と推
測される。
【0027】すなわち、一般に母材として金属を使用し
た場合金属は赤外線の波長が長くなるほど反射率が高く
なり、波長が短いほど金属の熱吸収率が高くなる。そし
て塗膜に関しては、近赤外線を使用して塗膜を乾燥させ
る場合は、むしろ塗膜に対して透過率の高い、即ち塗膜
の吸収率の悪い近赤外線を使用して乾燥させるとピンホ
ールが形成されることなく加熱されると推測される。
【0028】そこで、先に発明者は特願平2ー3109
16「塗膜の乾燥方法」において、「母材表面に塗布さ
れた塗料の塗膜に対する赤外線透過率が高くかつ母材の
吸収率の高い領域の赤外線を使用して、母材表面に形成
された塗膜を乾燥させることを特徴とする塗膜の乾燥方
法。」を提案した。
【0029】
【発明が解決しようとする課題】 ところが、「母材表
面に塗布された塗料の塗膜に対する赤外線透過率が高く
かつ母材の吸収率の高い領域の赤外線を使用して、母材
表面に形成された塗膜を乾燥させることを特徴とする塗
膜の乾燥方法。」を使用したところ、比較的薄い金属板
を使用したとき全面的にあるいは膜厚の厚い箇所で、塗
膜の硬化過程で塗膜に含まれる溶剤が突沸し、比較的泡
の小さい症状を生ずるいわゆるわきを生じた。すなわ
ち、表15に示すように、母材として1.6mm厚のボ
ンデ鋼材にエポキシ系樹脂を塗布したところ、塗膜厚が
大となると発泡を生じ易くなる。
【0030】これらの現象は、比較的厚い金属板を母材
として使用したときにはわきは生じない。また、遠赤外
線を使用して塗膜を乾燥させる場合にもわきは生じな
い。
【0031】さらに、塗膜には各種の沸点の異なる複数
の溶剤が含有していることが知られている。
【0032】これらの事実から発明者は、以下のことを
知見した。すなわち、いわゆる遠赤外線は、「母材表面
に塗布された塗料の塗膜に対する赤外線透過率が高くか
つ母材の吸収率の高い領域の赤外線」にくらべエネルギ
ー量が小さいため、塗膜の乾燥に時間がかかるが、ゆっ
くり加熱されることになるため、沸点の低い溶剤から順
次蒸発し、わきは生じない。
【0033】それに対して、「母材表面に塗布された塗
料の塗膜に対する赤外線透過率が高くかつ母材の吸収率
の高い領域の赤外線」は遠赤外線の場合に比較して母材
側から加熱されるが、比較的厚い金属板を母材として使
用した場合は金属板を加熱するのに時間がかかるのに対
して、薄い金属板では時間がかからないため、塗膜の加
熱も急激に行われると推測される。そして、架橋反応
等、塗膜の硬化に対する赤外線の作用はもっぱら赤外線
照射により加熱された母材側から伝播される加熱により
おこなわれていた。
【0034】
【課題を解決するための手段】 この発明は、
【0035】被塗装物に塗装を施す工程、次いで、母材
表面に塗布された塗料の塗膜に対する赤外線透過率が高
くかつ母材の赤外線吸収率の高い領域の波長のピークが
2μm以下からなる近赤外線のみを使用することで、塗
膜中に含まれる溶剤を蒸発させる工程、次いで、母材表
面に塗布された塗料の塗膜に対する赤外線吸収率が高く
波長のピークが2μmをこえる赤外線を使用するととも
に赤外線照射の間で熱風を被塗装物に吹き付けて塗膜を
硬化させる工程からなることを特徴とする乾燥方法、
【0036】を提供する。
【0037】
【作用】 母材表面に塗布された塗料の塗膜に対する赤
外線透過率が高くかつ母材の吸収率の高い領域の赤外線
のみを塗膜に照射させることにより、主に母材側から加
熱された塗膜は、塗膜中に含まれる溶剤を蒸発させる。
【0038】次いで、母材表面に塗布された塗料の塗膜
に対する赤外線透過率が高くかつ母材の赤外線吸収率が
高い領域の波長のピークが2μm以下からなる近赤外線
を、塗膜に照射するとともに、赤外線照射間で熱風を被
塗装物に吹き付けることで塗膜中の反応成分を反応させ
塗膜を硬化させる。
【0039】
【実施例】 塗膜を形成される母材として金属板を使用
する場合金属板としては、鉄、アルミニウム、銅、真ち
ゅう、金、ベリリウム、モリブデン、ニッケル、鉛、ロ
ジウム、銀、タンケル、アンチモン、カドミウム、クロ
ム、イリジウム、コバルト、マグネシウム、タングステ
ンそのほかの金属からなるが、とりわけ銅、アルミニウ
ム、鉄が望ましい。金属表面に塗布される塗膜を形成す
る塗料としては、アクリル系樹脂塗料、ウレタン樹脂系
塗料、エポキシ樹脂系塗料、メラミン樹脂系塗料、その
他の塗料が可能である。塗膜は、いわゆる粉体塗膜(ポ
リエステル系、エポキシ系、アクリル系等)を溶融させ
て得られた塗膜でもよい。
【0040】表1〜表4に、各金属の各波長における反
射率を示す(AMERICAN INSTITUTE OF PHYSICS HANDBOO
K、アメリカン インスティテュート オブ フィジッ
クスハンドブック6ー120)。反射率の高いほど吸収率は
低く、反射率の低いほど吸収率は高くなる。
【0041】図1は、ブチル化尿素ーブチル化メラミン
樹脂の赤外吸収曲線である。図2は、ビスフェノールA
型エポキシ樹脂の赤外吸収曲線である。図3は、MMA
ホモポリマー(アクリル系)の赤外吸収曲線である。図
4はEMAホモポリマー(アクリル系)赤外吸収曲線で
ある。図5は、不飽和ポリエステル樹脂の赤外吸収曲線
である。図6は、この実施例に使用される近赤外線ラン
プの特性曲線および比較例に使用される遠赤外線ランプ
の特性曲線を表す。近赤外線ランプのピーク波長は1.4
μm、遠赤外線ランプのピーク波長は3.5μmである。
【0042】金属板として、鉄、アルミニウム、銅、真
ちゅう、金、ベリリウム、モリブデン、ニッケル、鉛、
ロジウム、銀、タンケル、アンチモン、カドミウム、ク
ロム、イリジウム、コバルト、マグネシウム、タングス
テンからなる金属板を使用し、塗料としてアクリル系樹
脂塗料、ウレタン樹脂系塗料、エポキシ樹脂系塗料、メ
ラミン樹脂系塗料を使用する場合は、母材表面に塗布さ
れた塗料の塗膜に対する赤外線透過率が高くかつ母材の
吸収率の高い領域の赤外線を発生する赤外線としては、
波長のピークが2μm以下の赤外線ランプ、望ましくは
1.2μm〜1.5μmのいわゆる近赤外線ランプを使用する
のが望ましい。
【0043】実施例1
【0044】近赤外線ランプ(出力ピーク1,4μm)
【0045】金属板 ボンデ鋼板(板厚1mm、寸法1
00mm×100mm)
【0046】塗料 メラミン系樹脂(関西ペイント
株式会社製アミラックNo1531、白、アルキド・メラミ
ン樹脂塗料、粘度20sec、イワタカップNK−2粘度
計)
【0047】比較例1
【0048】遠赤外線ランプ(出力ピーク3.5μm)
【0049】金属板 ボンデ鋼板(板厚1mm、寸法1
00mm×100mm)
【0050】塗料 メラミン系樹脂(関西ペイント
株式会社製アミラックNo1531、白、アルキド・メラミ
ン樹脂塗料、粘度20sec、イワタカップNK−2粘度
計)
【0051】実施例2
【0052】近赤外線ランプ(出力ピーク1,4μm)
【0053】金属板 ボンデ鋼板(板厚1mm、寸法1
00mm×100mm)
【0054】塗料 アクリル系樹脂(関西ペイント
株式会社製マジクロンNo1531、白、アクリル・メラミ
ン・エポキシ樹脂塗料、粘度20sec、イワタカップN
K−2粘度計)
【0055】比較例2
【0056】遠赤外線ランプ(出力ピーク3.5μm)
【0057】金属板 ボンデ鋼板(板厚1mm、寸法1
00mm×100mm)
【0058】塗料 アクリル系樹脂(関西ペイント
株式会社製マジクロンNo1531、白、アクリル・メラミ
ン・エポキシ樹脂塗料、粘度20sec、イワタカップN
K−2粘度計)
【0059】実施例1、実施例2、比較例1、比較例2につ
いてそれぞれの膜厚30μm、40μm、50μmについて雰
囲気温度及び照射時間が、130°C×12分、140°C×10
分、150°C×8分、160°C×6分、170°C×5分、180
°C×4分の各場合の発泡、ピンホール数を表5(実施
例1)、表6(比較例1)、表7(実施例2)、表8
(比較例2)に示す。
【0060】図8において、12はこの実施例に使用さ
れる赤外線ランプである。赤外線ランプ12は、ランプ
本体72と、ランプ本体72の背面に設置される反射板
71とからなる。反射板71は、ランプ本体72側の面
は鏡面から形成された放物曲面からなり、放物線の焦点
位置にランプ本体72は設置される。
【0061】図10は、ランプ本体72と反射板71と
からなるランプを複数並べた赤外線ランプ12とした実
施例を表す。
【0062】ワークを120℃まで加熱するのに反射板
つきと反射板なしの赤外線ランプをそれぞれ用い実験し
たところ、反射板なしでは、7分かかった場合でも、反
射板をつけることで1分20秒で同温度に到達した。さ
らに最高到達温度は、反射板つきの場合、反射板なしに
比較し、1.65倍に達した。すなわち、反射板をつけ
ることで、必要なワーク上のみ集中して加熱することに
なるため、短時間で加熱させる。
【0063】図9に図示される赤外線ランプ12では、
反射板71は曲面からなる。そのため、図8、図9に図
示される赤外線ランプでは、赤外線は集光され、図8に
図示される実施例では、光はほぼ平行光線となり、ワー
クに照射される。
【0064】図11において、81は、赤外線ランプ取
付バンクである。赤外線ランプ取付バンク81は、同バ
ンク81の正面図を表す図11、同平面図を表す図1
3、他のバンク81の正面図を表す図12に図示される
ようにランプ取付面82の両側に、先端を広げて設置さ
れた鏡面からなる反射面83、83を設けられる。設置
されたランプ12は、図11、図12、に図示されるよ
うに壁面内に上下方向に対して斜めとなるように設置さ
れる。ランプの設置は図11、図12に図示されるよう
に入り口側の赤外線ランプ12の位置を低く、出口側に
行くに従い高く成るように設置させても、入り口側の赤
外線ランプ12の設置位置は高くし、出口側に行くに従
い低くなるよう設置してもよい。赤外線ランプ12は、
赤外線ランプ取付バンク81に取り付けて炉内壁面に設
置させても、直接炉面に設置させてもよい。
【0065】図11に図示されるように、赤外線ランプ
12の上下の照射範囲aは、搬送されるワークWの上下
長より長くする。ただし、ワークWが板物からなるとき
は、ワークWの方が長くともよい。
【0066】ボンデ鋼板(板厚1、2mm、寸法100
mm×100mm)に、関西ペイント株式会社製マジク
ロン白(粘度イワタカップ18/NKー2)を塗布し、
赤外線ランプ3個を、斜めに配置した炉内でワークに4
分間照射した場合と、同一の赤外線ランプ3個を縦に直
列に配置した炉内でワークに4分間照射した場合を比較
した。直列に赤外線ランプを配置した場合は、膜厚40
μでは、発泡は生じなかったが、膜厚51μでは発泡が
出始め、膜厚54μでは発泡ははっきり出た。他方、斜
めにランプ配置した場合は、膜厚57μから発泡を生じ
始めた。
【0067】図7は、この発明の実施例にかかる炉の正
面断面図である。11は山型炉、Wは母材表面に塗料を
塗布された被乾燥物である。被乾燥物Wは母材として金
属板からなり、金属板として、鉄、アルミニウム、銅、
真ちゅう、金、ベリリウム、モリブデン、ニッケル、
鉛、ロジウム、銀、タンタル、アンチモン、カドミウ
ム、クロム、イリジウム、コバルト、マグネシウム、タ
ングステンからなる。被乾燥物Wの母材上には、アクリ
ル系樹脂塗料、ウレタン樹脂系塗料、エポキシ樹脂系塗
料、メラミン樹脂系塗料の塗料が塗布される。
【0068】各塗料の溶剤としては、例えば表9〜表1
4、表16、表17に表される成分からなるシンンナー
が使用される。
【0069】山型炉11には被乾燥物搬入口A、被乾燥
物搬出口Bの2個の開口部を有する。C1、C2はそれ
ぞれ傾斜部でありC1は傾斜導入部、D1、D2は平面
部である。傾斜導入部C1、平面部D1、平面部D2で
それぞれブロックを形成する。
【0070】この実施例では、C1、D1ブロックで
は、赤外線ランプ12は、波長のピークが2μm以下の
赤外線ランプ、望ましくは1.2μm〜1.5μmのいわゆる
の近赤外線ランプを使用する。被乾燥物Wの母材表面に
塗布された塗料の塗膜に対する赤外線透過率が高くかつ
母材の吸収率の高い領域の赤外線を母材、塗料の種類に
応じて図1〜図6、表1〜表8に基づき選択し、炉内の
必要箇所に設置する。
【0071】D2ブロックで、赤外線ランプ12は、母
材表面に塗布された塗料の塗膜に対する赤外線吸収率が
高い領域の赤外線を選択する。すなわち、縮合反応によ
る硬化を伴う場合例えばメラミン系樹脂塗料、アクリル
系樹脂塗料では、2.8μm付近にピークを有するいわ
ゆる中赤外線ランプを使用する。ウレタン反応による硬
化を伴うウレタン系樹脂塗料の場合は、5.6μm付近
にピークを有する赤外線ランプを使用する。Si反応に
よる硬化を伴うシリコン系樹脂塗料の場合は、7〜8μ
m付近にピークを有する赤外線ランプを使用する。炉全
体としては、1.3〜20μmにピークを有する赤外線
ランプを使用可能とする。
【0072】31はコンベアであり、被乾燥物Wを、山
型炉11外から山型炉11内へ、トンネル11内から山
型炉11外へ搬送させる。
【0073】赤外線ランプ12は図7に図示される実施
例では、炉内の一面に設けられる。赤外線ランプ12の
設置は、傾斜部Cより平面部D1の方が密となるよう
に、平面部D1より平面部D2の方が密となるように設
置する。すなわち、従来は100mm〜150mm間隔
で均等に赤外線ランプが設置されていたが、この実施例
では、傾斜導入部C1では300mm〜400mm間隔
で、傾斜導入部C1に連続する平面部C1では200m
m〜300mm間隔で、平面部C1に連続する平面部C
2では100mm〜150mm間隔で赤外線ランプ12
を設置する。このことにより、段階的にワークに加熱を
くわえ、じょじょに塗膜を加熱させることが可能とな
る。
【0074】すなわち、1.0mm厚ボンデ鋼板を使用
し、表9〜14、表16、表17に示される溶剤、洗浄
用シンナーをそれぞれ使用し、表面に12〜14μ、1
5〜20μ、20〜24μ、24〜29μ、31〜38
μ、45〜50μの塗膜をメラミン系樹脂塗料で得た。
次いで、本実施例にかかる山型炉11内で、順次加熱し
たところ、35μを越える塗膜においても沸きは生じな
かった。
【0075】21は熱風突出口、22は熱風吸入口であ
る。熱風突出口21、熱風吸入口22は、平面部D1お
よび平面部D2の天井面および床面に対向させて設置さ
せ、熱風突出口21から突出された熱風を熱風吸入口2
2で吸入し、各ブロックを加熱する。熱風は平面部D1
では、160°C以下、平面部D2では180°C以下
に加熱された熱風を吹き付ける。赤外線発生装置12あ
るいは赤外線発生装置12と熱風の併用により、傾斜導
入部C1では、雰囲気温度は60〜70°Cに、平面部
D1では120〜160°Cに、平面部D2では160
〜180°Cに加熱されるように設定する。
【0076】C1では、ボンデ鋼板0.8mm厚の場合
約1分、1mmの場合約1分30秒、3.2mm厚の場
合約2分30秒加熱した。D1では、ボンデ鋼板0.8
mm厚の場合約1分、1mmの場合約1分30秒、3.
2mm厚の場合約2分30秒加熱した。D2では、ボン
デ鋼板0.8mm厚の場合約1分30秒、1mmの場合
約2分、3.2mm厚の場合約4分加熱した。
【0077】つぎに、実施例の作用について説明する。
被乾燥物Wが搬送され山型炉内に搬入される。すると、
まず、傾斜導入部C1で、次いで平面部D1で被乾燥物
Wの一方の塗膜の形成された母材表面に、赤外線ランプ
により当該塗膜に対して赤外線透過率が高く、母材の吸
収率の高い領域の赤外線が照射される。すると、塗膜を
透過した赤外線は、被乾燥物Wの表面に塗膜を形成され
た母材に吸収され母材表面が加熱される。
【0078】そのため、被乾燥物Wの塗膜は、母材表面
に近い塗膜裏面から加熱され、塗膜中の溶剤が蒸発す
る。
【0079】同時に傾斜導入部C1では、雰囲気温度6
0〜70°Cの雰囲気内に約1分間〜2分30秒さらさ
れる。すると、表9〜表14、表16、表17に示され
る溶剤中、比較的沸点の低い成分、例えば、酢酸エチ
ル、メチルエチルケトン等が沸騰することなく効率良く
蒸発する。ついで、平面部D1では、雰囲気温度120
〜160°Cの雰囲気内に約1分30秒〜2分30秒間
さらされる。すると、表9〜表14、表16、表17に
示される溶剤中、蒸発しきらなかった比較的沸点の低い
成分および中沸点溶剤、例えばトルエン、キシレン、酢
酸ブチル、nーブタノール等が沸騰することなく効率良
く蒸発し同時に塗膜のレベリングとキュアリングの初動
および硬化がおこなわれる。
【0080】ついで、平面部D2では、雰囲気温度12
0〜160°Cの雰囲気内に約3分30秒間さらされ
る。すると、表9〜表13に示される溶剤中、蒸発しき
らなかった中沸点溶剤および高沸点溶剤が沸騰すること
なく効率良く蒸発し、かつ赤外線による加熱とともに、
D2で照射される赤外線は、塗膜に対する赤外線吸収率
が高い領域の赤外線を選択してあるため、赤外線は塗膜
中の反応成分に吸収され、反応基は反応する。すなわ
ち、赤外線による塗料を構成する成分の架橋反応等が促
進され、完全なキュアリングが行われる。
【0081】そのため、塗膜は、母材表面に近い塗膜裏
面から加熱され、あらかじめ溶剤が蒸発され赤外線を吸
収した塗膜は縮合反応等の反応をおこし、塗膜は固化さ
れる。そのため、塗膜中の溶剤が蒸発しても固化した塗
膜表面を破りピンホールを形成することはなく、被乾燥
物Wの移動に伴い、被乾燥物Wは加熱され乾燥される。
【0082】
【発明の効果】 したがって、この発明では、塗膜の部
分的に生ずるピンホールのみならず、塗膜全面に生ずる
わきを発生させることなく塗膜の乾燥に要する時間を短
くすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】各樹脂の赤外線吸収曲線図
【図2】各樹脂の赤外線吸収曲線図
【図3】各樹脂の赤外線吸収曲線図
【図4】各樹脂の赤外線吸収曲線図
【図5】各樹脂の赤外線吸収曲線図
【図6】赤外線ランプの特性曲線図
【図7】この発明の実施例の正面断面図
【図8】この発明に使用される実施例の赤外線ランプの
拡大断面図
【図9】この発明に使用される実施例の赤外線ランプの
拡大断面図
【図10】この発明に使用される実施例の赤外線ランプ
の斜視図
【図11】この発明に使用される実施例の赤外線ランプ
取付バンクの使用状態正面図
【図12】この発明に使用される他の実施例の赤外線ラ
ンプ取付バンクの使用状態正面図
【図13】この発明に使用される実施例の赤外線ランプ
取付バンクの使用状態平面図
【表1】 金属の各波長における反射率
【表2】 金属の各波長における反射率
【表3】 金属の各波長における反射率
【表4】 金属の各波長における反射率
【表5】 実施例1におけるピンホール発生数
【表6】 比較例1におけるピンホール発生数
【表7】 実施例2におけるピンホール発生数
【表8】 比較例2におけるピンホール発生数
【表9】 メラミン樹脂系塗料およびアクリル樹脂系塗料用シンナ
ー成分及びその沸点
【表10】 静電塗装用メラミン樹脂系塗料およびアクリル樹脂系塗
料用シンナー成分及びその沸点(大信化学株式会社製6
20)
【表11】 静電塗装用メラミン樹脂系塗料およびアクリル樹脂系塗
料用シンナー成分及びその沸点(大信化学株式会社12
20)
【表12】 ウレタン樹脂系塗料用シンナー成分及びその沸点
【表13】 フッソ樹脂系塗料用シンナー成分及びその沸点
【表14】 洗浄用シンナー成分及びその沸点
【表15】 1.0mmボンデ鋼板使用各膜厚による発泡発生
【表16】 メラミンアルキド系樹脂塗料用シンナーの成分及びその
沸点
【表17】 アクリル系樹脂塗料用シンナーの成分及びその沸点
【符号の説明】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【表12】
【表13】
【表14】
【表15】
【表16】
【表17】
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−330966(JP,A) 特開 平4−180868(JP,A) 特開 昭59−105871(JP,A) 特開 昭60−232275(JP,A) 特開 平1−155969(JP,A) 実開 平1−151873(JP,U) 松谷守康著 「塗装と塗装設備」 株 式会社技術書院 (昭和45年11月20日初 版発行) P.207〜208

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被塗装物に塗装を施す工程、次いで、母
    材表面に塗布された塗料の塗膜に対する赤外線透過率が
    高くかつ母材の赤外線吸収率の高い領域の波長のビーク
    が2μm以下からなる近赤外線のみを使用することで、
    塗膜中に含まれる溶剤を蒸発させる工程、次いで、母材
    表面に塗布された塗料の塗膜に対する赤外線吸収率が高
    く波長のピークが2μmをこえる赤外線を使用するとと
    もに赤外線照射の間で熱風を被塗装物に吹き付けて塗膜
    を硬化させる工程からなることを特徴とする乾燥方法。
JP3240659A 1990-11-16 1991-08-27 乾燥方法 Expired - Lifetime JP2712063B2 (ja)

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DE69107170T DE69107170T2 (de) 1990-11-16 1991-11-14 Trocknungsverfahren und -vorrichtungen für ein beschichtetes Substrat.
EP91119480A EP0486035B1 (en) 1990-11-16 1991-11-14 Drying method and devices for coated layer
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2733806B2 (ja) * 1991-02-14 1998-03-30 節男 楯 乾燥方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
松谷守康著 「塗装と塗装設備」 株式会社技術書院 (昭和45年11月20日初版発行) P.207〜208

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