JPH10328604A - 水系塗膜の乾燥装置 - Google Patents

水系塗膜の乾燥装置

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JPH10328604A
JPH10328604A JP15924997A JP15924997A JPH10328604A JP H10328604 A JPH10328604 A JP H10328604A JP 15924997 A JP15924997 A JP 15924997A JP 15924997 A JP15924997 A JP 15924997A JP H10328604 A JPH10328604 A JP H10328604A
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water
drying
film
humidity
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JP15924997A
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Setsuo Tate
節男 楯
Tsuneo Tate
恒夫 楯
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 被塗装物に塗布された水系の塗料インクの接
着剤を効率よく乾燥させて良好なる皮膜を得る方法。 【構成】 水分を含有する塗料を塗布された被塗装物
を、空間内を加湿する加湿手段を有する空間内で、塗膜
に赤外線を照射することで塗膜を乾燥させることを特徴
とする塗膜の乾燥方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 この発明は、水系塗膜の乾
燥装置に係る。詳細には、水分を含有する塗膜を乾燥す
る装置に係る。地球環境保全の見地から有機溶剤系塗料
から水系塗料への転換が急がれているが、工業用の水系
塗料の塗膜は、とりわけ30μm以上の塗膜になると、
一般の有機溶剤型の塗料に比べて塗膜欠陥が極めて生じ
易いために、塗装を例にとれば代表的な工業用塗装であ
る自動車、家庭用電化製品あるいは建設機材に使用され
る加熱硬化型の有機溶剤型塗料から水系塗料への変換が
進んでいない状況にある。そこで本乾燥装置を採用する
ことで、塗装工程に発生する塗膜欠陥を解消して容易に
水系塗料の使用を可能にすることを目的とする。
【0002】
【従来の技術】 一般的に工業用の有機溶剤型加熱塗
料、接着剤あるいはインキ等のフィルムの硬化乾燥用の
加熱炉には、遠赤外線加熱炉、熱風加熱炉あるいは赤外
線と熱風の併用型加熱炉等があり、これらを使用して完
成皮膜を生産している。しかし、水を使用する水系塗料
等では、従来の加熱炉では、タレ、ピンホール、泡、ク
レーター、ワキ等の不具合を生じる。有機溶剤の場合に
は、低沸点、中沸点、高沸点溶剤の組合せによって出来
ており、吹付塗装時及びセッティングルーム内にて常温
下においても逐次塗膜中より蒸発し乾燥炉に入るまでに
溶剤の60%位は蒸発気散する。しかし、水系塗料の水
は溶剤と比較して相対蒸発速度が遅く常温下では塗膜中
の水はほとんど蒸発せず乾燥炉に入って加熱された時点
で急激な沸騰蒸発することで塗膜のピンホール、泡、ク
レーター、発泡等不具合を生じる。
【0003】このために、乾燥炉に入る手前にセッティ
ングとして約2分〜5分、水の蒸発を目的とし温度70
℃〜80℃×2分〜10分のフラッシングゾーンを設け
塗膜中の水を90%前後蒸発させ硬化乾燥時に塗膜に不
具合を生じないように対応している。ある従来例では、
セッティング時間5分、フラッシングゾーン70℃×1
0分、加熱硬化乾燥20分、コンベアスピード3.5m
/分、で塗装ラインが構成されている。このラインの場
合、セッティング3.5m×5分=17.5m、フラッ
シングゾーン3.5m×10分=35m、硬化乾燥3.
5m×20分=70mとなり、塗装後乾燥完了までの合
計コンベア長は、122.5mとなっており溶剤型塗料
の塗装ラインと比較して水系塗料の場合に設置スペー
ス、エネルギー消費量とも非常に大きなものとなり有機
溶剤型塗料から水系塗料への転換が極めて困難な状況に
あり、有機溶剤型の塗料を使用せざるを得ないのが現状
である。
【0004】また、従来、山型炉等の炉を使用し熱風を
吹き付けて被乾燥物を乾燥させる乾燥炉が知られてい
る。更に、1.2μm〜1.5μm付近に波長のピ−ク
を有する近赤外線等の赤外線を照射し被乾燥物を乾燥さ
せる乾燥炉については、出願人は既に提案している(特
公平6−94018「乾燥炉」外)。
【0005】他方、「近赤外線の液体、パウダ、コーテ
ィング、ストーブ」(実開平1ー151873)、「塗料焼付
炉専用の光板」(実開平2−43217)、USP4,863,375「BA
KINGMETHOD FOR USE WITH LIQUID OR POWDER VARNISHIN
G FURNACE」(ベーキングメソッド フォー ユース
ウィズ リキッド オア パウダー ヴァーニシング
ファーニス)等が知られている。これら従来例には、
「一種近赤外線の液体、パウダ、コーティング、ストー
ブのベーキング方法」についての記載があり、「近赤外
線の快速高温と貫通力が強い特性を利用し、ストーブの
ベーキング物品の方法を改良して、ペイントを快速に乾
燥するとともにその付着力を増強する考案」、すなわち
「いわゆる液体、粉末液体の塗装どおりに、粉末液体状
態のパウダ、液体塗料、気体あるいは流体を運送媒介体
としてその物体表面に付着させて、しかるのち加熱熔融
をへて均等にコートの塗装法」についての記載がある。
【0006】あるいは、「近赤外線を使用した乾燥炉、
あるいは乾燥炉内に高温部と低温部とを順次形成して乾
燥する乾燥方法、あるいは近赤外線ランプの背後には陶
磁製反射板を設け、および陶磁製反射板の中にはヒータ
ーを設ける」旨の記載がある。
【0007】又塗装技術増刊10月号には「中波長赤外線
ラジエーター」ついての記載がある(1990年10月20日株
式会社理工出版社刊211〜213頁)。すなわち、「塗膜に
到達した放射エネルギーは、その一部は吸収され、一部
は反射し、一部は透過する。このうち吸収されたエネル
ギーが熱に変り塗膜を加熱、乾燥させる。塗装の場合は
母材、ボディがあるため塗膜を透過した放射エネルギー
が母材を加熱し、熱伝導で塗膜を内側から加熱する。
【0008】(1)近赤外線:温度2000〜2200℃ 最大エ
ネルギー波長約1.2μm,エネルギー密度大、反射,透
過エネルギーが大きい,立上り速度が早い(1〜2秒),
寿命が約5000時間と短い。
【0009】(2)中赤外線:温度850〜900℃ 最大エネ
ルギー波長約2.5μm,エネルギー密度中,吸収.透過
エネルギーがバランスしてエネルギーが塗膜内に浸透,
寿命が長い。
【0010】(3)遠赤外線:温度500〜600℃,最大エネ
ルギー波長約3.5μm,エネルギー密度小,良く吸収さ
れるが塗膜表面で吸収,加熱となりがち,立上り時間が
長い(5〜15分),対流損失が大きい。」とされる。
【0011】さらに、「2.最大効率の中波長赤外線
「より早く乾燥し,より良い塗膜品質を得る」には,つ
まり最大効率で加熱,乾燥させるには,次の二つの条件
を同時に満足している必要がある。
【0012】(1)赤外線ラジェターの温度が高い放射エ
ネルギーはラジェターの絶対温度(T)の4乗に比例す
る。
【0013】Eb∝T4
【0014】温度が高いほど放射エネルギーは大きくな
る。
【0015】(2)最大エネルギー波長が塗料のピーク吸
収率よりいくぶん短波長よりにあること
【0016】塗料の工業用赤外線加熱で利用できる最大
ピーク波長は例外なく3μm前後にある。よって2.5μm
前後に最大エネルギー波長を持つ赤外線ラジェターが吸
収も良く,透過し,母材も加熱し内部からも加熱でき
る。
【0017】上記の関連,赤外線ラジェターの温度
(T)と最大エネルギー波長(λm)の関係を表す,ウ
ィーンの変位則,
【0018】λm=2897/Tより
【0019】T=(t+273)=2897/2.5
【0020】t=880℃
【0021】中波長赤外線がこの条件を満足し有効エネ
ルギーが大きく最大効率となる。」とされる。
【0022】他方、実開平1ー151873、実開平2ー4321
7、USP4,863,375等には、近赤外線を使用して塗膜乾燥
をおこなう旨の記載はあるが、使用される近赤外線の性
質については一般的に記載されるに止どまり金属表面に
塗布される塗膜と近赤外線との関係による照射される赤
外線の最適な範囲、選択については記載がない。
【0023】また、先の「塗装技術増刊10月号」の記
載には、赤外線と母材の吸収率との関係に基づく赤外線
の選択、あるいはピンホールの発生原因に基づく赤外線
の選択についての記載はなく、そして塗装乾燥において
は「2.5μm前後に最大エネルギー波長を持つ赤外線
ラジェターが吸収も良く,透過し,母材も加熱し内部か
らも加熱できる。」と結論している。
【0024】他方、波長のピ−クを1.2μm〜1.5
μmに有するいわゆる近赤外線は、プラスチック薄膜に
対して赤外線透過率が高く、金属の吸収率が高いことも
知られている。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】水系塗膜における欠陥
フィルムの基本原因は、有機溶剤に比して相対蒸発スピ
ードの遅い水にあると推測される。従って、解決方法
は、塗装工程で塗膜中の水を塗膜に欠陥を生じることな
く、可能な限り迅速に水を除去できるか、またその際に
従来と同様の生産性を維持できるか、さらにスペースの
拡大を必要としなくてすむかにも係っている。この問題
を解決すれば、水系塗膜の使用が容易になり、環境保全
問題上緊急に対策が急がれる有機溶剤発散の被害を、除
去装置などを使わずに完全に防げるために、有機溶剤型
塗料から水系塗料への変換が急速に行われることにな
る。
【0026】この問題を解決するには、代表的な水系塗
料を使用したとき生ずる、欠陥フィルムの要因となる、
タレ、ワキ、ピンホール、クレーター、泡等の発生を如
何に防ぐかにある。その手段として、まず、タレを防ぐ
には被塗物表面に塗布された塗膜の流動性を止めるため
に、塗膜中の水を気散させることが必要である。次に、
40μmを越える膜厚になると、顕著に発生するワキ、
ピンホール、クレーター、泡を防ぐために、塗膜表面層
の水の急速な気散によって深部の水の蒸発の妨げになら
ないように(毛細管、浸透圧)表面層の水の蒸発(気
散)をある程度抑制しながら内部の水を塗膜の表面に移
行させ気散させる必要があると考えられる。この時点で
塗膜中の含水率を例えば10%以下に押え、さらに生産
性を考慮して急速に硬化反応をさせるために塗膜温度を
上昇させる必要があると考えられる。
【0027】すなわち、水で希釈化して使用される、エ
ポキシ系水系塗料、メラミン系水系塗料、アクリル系水
系塗料、エポキシ系エマルジョン系塗料、メラミン系エ
マルジョン系塗料、アクリル系エマルジョン系塗料、エ
ポキシ系水系およびエマルジョン混合型塗料、メラミン
系水系およびエマルジョン混合型塗料、アクリル系水系
およびエマルジョン混合型塗料等の水分を含有する塗料
を塗布した塗膜に赤外線あるいは赤外線および熱風を併
用して急激に加熱すると硬化乾燥は十分に行われたが、
ピンホール、発泡が大量に発生することを発明者は知見
した。そして、加湿しながら加熱したほうがピンホー
ル、発泡も発生させずに乾燥が十分におこなわれること
を発明者は知見した。急激に塗膜を乾燥すると表面のみ
の水分が失われ、毛細管現象による塗膜内部の水分の表
面への移動が阻止されるものと推測される。そして、乾
燥させながら加湿することで、塗膜表面に水分を補給し
毛細管現象を維持するものと推測される。この発明は、
この知見に基づくものである。
【0028】
【課題を解決するための手段】 この発明は、
【0029】水系塗膜の乾燥初期において、塗膜表面に
ある程度の湿度を維持させながら塗膜を乾燥させる水系
塗膜の乾燥装置、水系塗膜の乾燥初期において、乾燥炉
内雰囲気湿度を45〜80%として塗膜表面にある程度
の湿度を維持させながら塗膜を乾燥させる水系塗膜の乾
燥装置、水系塗膜の乾燥初期において、乾燥炉内雰囲気
湿度を45〜80%とするとともに、塗膜に吹き付ける
熱風量をその後の工程よりも低下させ塗膜表面にある程
度の湿度を維持させながら塗膜を乾燥させる水系塗膜の
乾燥装置、水系塗膜の乾燥初期において、乾燥炉内雰囲
気湿度を45〜80%とするとともに、塗膜に吹き付け
る熱風量をその後の工程よりも低下させ塗膜表面にある
程度の湿度を維持させながら近赤外線を照射する水系塗
膜の乾燥装置、水系塗膜を乾燥させる乾燥炉を複数の工
程に分け、初期工程において、乾燥炉内雰囲気湿度を4
5〜80%とするとともに、塗膜に吹き付ける熱風量を
その後の工程よりも低下させ塗膜表面にある程度の湿度
を維持させながら近赤外線を照射し、次の工程では初期
工程よりも吹き付ける熱風量を増大する水系塗膜の乾燥
装置、を提供する。
【0030】
【発明の実施の形態】
(予備実験)鉄板製テストピース100mm角1.0
t、乾燥塗膜40μm、塗装後20℃、30℃、40
℃、50℃、70℃、100℃の温度で、塗膜表面に当
たる風速を0.5m/秒、1.0m/秒、1.5m/
秒、2m/秒で各々風速を変えテスト後150℃の熱風
炉に入れピンホール、発泡の発生具合を確認した。時間
は1分、2分、3分、5分である。結果としては、温度
が低くても風速が速くなる程ピンホール、発泡が激しく
なる。又、温度を高くしても風速を遅くするとピンホー
ル、発泡は少なくなる。この結果からみて塗膜表面層の
水を急速に蒸発させると内部、深部の水の移動蒸発は妨
げられて、150℃の乾燥炉に入った時に激しいピンホ
ール、発泡が生じる。以上の結果からみて表面層の水の
蒸発を極力遅くさせ内部、深部の水の蒸発を同じに移動
と蒸発(気散)が塗膜に不具合を生じることなく硬化さ
せる重要な点であることが実証できたと考えられる。
【0031】その結果から見て、フラッシングゾーンを
設けることなく近赤外線を利用して短時間に塗膜に不具
合を生じることなく、硬化反応をさせるために当社の乾
燥炉に拡散角度140゜、120゜、90゜の近赤外線
ランプを配列し一定の温度を保持させる加熱装置、乾燥
炉内部エア吹出口に風速調整を行う機構、炉内が一定以
上の湿度になるための加湿装置を設けた。
【0032】即ち、図11はこの発明の実施の形態の中
央断面図、図12は同実施の形態の概略図、図13は図
11AA断面図である。11は、乾燥炉である。乾燥炉
11は、乾燥ブースからなり内部に被乾燥物Wを搬送す
るコンベア12を設置する。13は赤外線発生装置であ
る。赤外線発生装置13は、波長のピークが3μm以下
の赤外線ランプ、望ましくは1,2μm〜1.5μmの
いわゆる近赤外線ランプからなる。
【0033】赤外線ランプ13の加熱にあたり、図14
に図示するように水の赤外線吸収特性は、2.7〜2.
8μmなので、遠赤外線は10μm厚の水層で全部吸収
される。又、透過性のない分だけ深部の水に対する働き
が弱く、表面層の水に吸収されたエネルギーは、分子運
動によって急激に発熱しピンホール、発泡、クレーター
の原因になる。一方近赤外線はウェット塗膜の厚みが9
8μmでも吸収率が僅か3%なので、塗膜中の樹脂、顔
料による影響はほとんど受けずに金属と塗膜との界面よ
り昇温することが可能となり、塗膜中の深部にある水を
加熱蒸発させることが出来る。又、1.2〜1.4μm
の波長は、他の波長にない3倍音の振動が水分子のO−
Hに強い振動を与え、水が塗料の有機物と水素結合する
と共に水自身も分子量の大きいクラスターとなって蒸発
時にピンホール、発泡を興す要因になる水素結合をきる
ことが可能となり、結果として分子量の小さいクラスタ
ーにすることが出来るものと推測される。従って、近赤
外線の波長特性と表面層の水の蒸発を極力抑えるための
一定以上の湿度と炉内において一定時間(距離)を微風
な熱風で塗膜中の水を表面層と深部の水を均一して蒸発
させ、その後、硬化促進させるため近赤外線の照射を集
光させ、風速の速い熱風にし各工程ごとに近赤外線の拡
散、集光、熱風の微速、強風等の組合せを適正に配列す
れば、水系塗料を従来の有機溶剤系塗料と同様に短時間
に完成塗膜を得るものと推測される。
【0034】乾燥炉11は、ワークWに近赤外線の照射
および熱風を吹き付ける熱風乾燥炉からなる。18はエ
ア噴出口であり、乾燥炉11の底面に設けられる。14
は熱風発生器、15はファンであり、エア噴出口18か
ら乾燥炉11内に噴き出された任意の例えばフォグノズ
ルによって加湿する加湿装置によって加湿された熱風を
循環させ再度乾燥炉11内に加湿された熱風として噴き
出す。乾燥炉11は、第1ゾーン21、第2ゾーン2
2、第3ゾーン23にワーク搬入口16からワーク搬出
口17にかけて設けられる。各ゾーンは特段の仕切りは
設けない。
【0035】図13に図示されるlは赤外線発生装置1
3、赤外線発生装置13の間のランプピッチである。3
1は照射板であり、赤外線発生装置31の照射する近赤
外線の照射範囲を選択する。θは、照射板31により規
制される、近赤外線の照射拡散角度である。
【0036】被乾燥物Wの母材としては、温度条件等を
選択して、加熱により変形等しない素材であれば、金属
以外のプラスチックス等も使用可能である。母材に使用
する金属としては、鉄、アルミニウム、銅、真ちゅう、
金、ベリリウム、モリブデン、ニッケル、鉛、ロジウ
ム、銀、タンケル、アンチモン、カドミウム、クロム、
イリジウム、コバルト、マグネシウム、タングステンそ
のほかの金属からなるが、とりわけ銅、アルミニウム、
鉄が望ましい。
【0037】図7〜図10に、各金属の各波長における
反射率を示す(AMERICAN INSTITUTEOF PHYSICS HANDBOO
K、アメリカン インスティテュート オブ フィジッ
クスハンドブック6ー120)。反射率の高いほど吸収率は
低く、反射率の低いほど吸収率は高くなる。
【0038】図1は、ブチル化尿素ーブチル化メラミン
樹脂の赤外吸収曲線である。図2は、ビスフェノールA
型エポキシ樹脂の赤外吸収曲線である。図3は、MMA
ホモポリマー(アクリル系)の赤外吸収曲線である。図
4はEMAホモポリマー(アクリル系)赤外吸収曲線で
ある。図5は、不飽和ポリエステル樹脂の赤外吸収曲線
である。図6は、この実施例に使用される近赤外線ラン
プの特性曲線および比較例に使用される遠赤外線ランプ
の特性曲線を表す。近赤外線ランプのピーク波長は1.
4μm、遠赤外線ランプのピーク波長は3.5μmであ
る。
【0039】被乾燥物Wの母材として、鉄、アルミニウ
ム、銅、真ちゅう、金、ベリリウム、モリブデン、ニッ
ケル、鉛、ロジウム、銀、タンケル、アンチモン、カド
ミウム、クロム、イリジウム、コバルト、マグネシウ
ム、タングステンからなる金属製丸パイプを使用し、波
長のピークが3μm以下の赤外線ランプ、波長のピーク
が2.5μの中赤外線ランプも有効であるが、望ましく
は1.2μm〜1.5μmの、当該プラスチックス塗膜
に対して赤外線透過率が高く、母材である金属の吸収率
の高い領域の赤外線からなるいわゆる近赤外線ランプを
使用するのが望ましい。
【0040】この実施の形態では、既設炉全長5mを概
ね3つのゾーンに機能分けにし第1ゾーン21では塗膜
中の水を約90%をバランス好く蒸発させる。ついで第
2ゾーン22では約10%残った水を蒸発させながら硬
化反応を促進させる。第3ゾーン23で、ほとんど水の
存在しない塗膜の硬化反応を大きく促進させる。近赤外
線ランプ13は、炉体入口側より進行方向1.0mの位
置に上下間のランプピッチ250mmで反射板31によ
って照射角度を可変出来る様にした。第2ゾーン22の
ランプ位置は、第1ゾーン21ランプより1.2mの位
置に第1ゾーン21と同様、上下間ピッチ250mmで
可変の反射板を設けた。第3ゾーン23は硬化反応だけ
を目的とするので、第2ゾーン22のランプより1.2
mの位置に上下ランプ間ピッチ250mmで照射拡散角
度90゜で固定した。各ゾーンの近赤外線ランプ13
は、炉体壁面片側5本(5KW)対向面に5本(5K
W)×3ゾーンで30KW設置されていることになる。
水系メラミン樹脂塗料をスプレーガンを用いて100角
で1mmのボンディ鋼板に40μmの乾燥塗膜になる様
塗装し、ピンホール、発泡、ワキ等不具合を生じさせな
い照射密度(角度)、風速、湿度の諸条件の組合せテス
トを行った。使用した塗料は、日本ペイント製の水系メ
ラミン樹脂塗料で色はブラウンで、吹付時塗料粘度は岩
田カップNK−2で60秒に調整した。実験中の固定条
件は、温度(雰囲気温度)140℃、乾燥時間は、コン
ベアスピード1m/分で5分、第3ゾーン23における
熱風吹出しスピード1.5m、近赤外線ランプの上下ピ
ッチ250mm、照射拡散角度90゜とした。
【0041】予備テストにおいて、塗膜中の水が大きい
場合には風速が速い程ピンホール、発泡が激しくなる傾
向にでているので、第1ゾーン21、第2ゾーン22の
吹出し風速1.0mにてテストピースを炉内温度が15
0℃×5分に通過させ、ピンホール、発泡と硬化状態の
確認を行った。工場内温度は13℃であった。又、加湿
装置による加湿は行わなかった。結果として、硬度とし
ては三菱ユニ鉛筆3Hで硬度から見て硬化反応は満足出
来たが、塗膜面は全面的にピンホール、発泡状態になっ
ていた。次に加湿を行い湿度40%で各風速、照射等は
前回条件のまま同様に確認した。硬度は3Hで変わらず
ピンホール、発泡はやはり全面的に発生しているが発泡
の大きさ及び数は前回より減少する傾向が出ていた。こ
の結果から見て、炉内熱風の湿度が低い程表面層の水の
蒸発が速く深部の水の蒸発が妨げられることが立証出来
たと考え、次に湿度を70%に加湿して、ピンホール、
発泡、硬化を確認した結果、硬度は3Hで変わらずにピ
ンホール、発泡はテストピースの4面の端に一部見られ
る様にまで減少することが出来た。更に、湿度、温度、
時間は変えずに熱風の吹出しスピードを0.8m/秒〜
0.6m/秒、0.4m/秒に第1ゾーン21の風速を
下げてテストを行った結果、風速が遅い程4面の端の発
泡がなくなり、僅かなピンホールだけになっている。次
に第1ゾーン21の近赤外線ランプピッチを250m
m、300mm、400mm、500mmにしてその他
の条件は、第1ゾーン21の風速0.4m/秒、湿度5
0%、140℃×5分にてテストを行った結果として、
400mm以下には、ほとんどピンホールがなくなっ
た。更に、照射拡散角度θを上下ランプピッチを400
mmで60゜、90゜、120゜、140゜にして確認
を行った。照射拡散角度θが60゜がその中では最も悪
く120゜以上140゜はピンホールもなくなった。第
2ゾーン22は、風速1m以上にするとピンホールも多
少多くなる。又、照射拡散角度θも90゜以下にすると
悪くなる傾向になる。又、湿度を上げ第1ゾーン21の
風速を0.4m/秒以下、照射拡散角度θ140゜以上
にすると鉛筆硬度は、下がる傾向がでた。
【0042】乾燥炉内を3つのゾーンに分け、第1ゾー
ン21の熱風吹出しスピード0.4m/秒前後、近赤外
線ランプの上下ピッチ400mm、照射拡散角度θ12
0゜〜140゜、第2ゾーン22の熱風の吹出しスピー
ド1.0m/秒前後、近赤外線ランプの上下ピッチ25
0mm以上300mm以内、照射拡散角度θ120゜〜
140゜、第3ゾーン23の熱風の吹出しスピード2.
0m/秒前後、近赤外線ランプの上下ピッチ250m
m、照射拡散角度θ90゜前後、乾燥炉内湿度は50%
以上にした。乾燥炉内雰囲気湿度が40%以下では塗膜
表面が乾燥しすぎるためピンホールを発生しやすく、乾
燥炉内雰囲気湿度が85%を越えると乾燥が困難とな
る。塗膜表面層の乾燥を遅くする目的で加湿するその蒸
気中に塗料塗膜に影響が出ない程度のエチレングリコー
ル等使用可能な化学物質を混入させてもよい。
【0043】以上のような組合せを行えば水系メラミン
樹脂塗料も有機溶剤塗料と同様に短時間に良好なる塗膜
硬化が出来る。又、同じ水系塗料でも各メーカー別の個
性の違い、又、厚膜になった場合でもゾーン分けを行い
各々熱風の吹出しスピード、湿度調整、近赤外線の照射
強度及び密度を任意に調整できる機能を持たせることに
よって、それの変化にも対応できる。
【0044】
【発明の効果】 したがって、この発明ではピンホール
等の発生を押さえながら効率良く水系塗膜を乾燥させる
ことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】各樹脂の赤外線吸収曲線図
【図2】各樹脂の赤外線吸収曲線図
【図3】各樹脂の赤外線吸収曲線図
【図4】各樹脂の赤外線吸収曲線図
【図5】各樹脂の赤外線吸収曲線図
【図6】赤外線ランプの特性曲線図
【図7】金属の各波長における反射率
【図8】金属の各波長における反射率
【図9】金属の各波長における反射率
【図10】金属の各波長における反射率
【図11】この発明の実施の形態の中央断面図
【図12】この発明の実施の形態の概略図
【図13】この発明の実施の形態の図11のAA断面図
【図14】水の遠赤外線および近赤外線の吸収性をあら
わす図
【符号の説明】
11 乾燥炉 13 赤外線発生装置(赤外線ランプ) 15 加湿手段

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水系塗膜の乾燥初期において、塗膜表面
    にある程度の湿度を維持させながら塗膜を乾燥させる水
    系塗膜の乾燥装置。
  2. 【請求項2】 水系塗膜の乾燥初期において、乾燥炉内
    雰囲気湿度を45〜80%として塗膜表面にある程度の
    湿度を維持させながら塗膜を乾燥させる水系塗膜の乾燥
    装置。
  3. 【請求項3】 水系塗膜の乾燥初期において、乾燥炉内
    雰囲気湿度を45〜80%とするとともに、塗膜に吹き
    付ける熱風量をその後の工程よりも低下させ塗膜表面に
    ある程度の湿度を維持させながら塗膜を乾燥させる水系
    塗膜の乾燥装置。
  4. 【請求項4】 水系塗膜の乾燥初期において、乾燥炉内
    雰囲気湿度を45〜80%とするとともに、塗膜に吹き
    付ける熱風量をその後の工程よりも低下させ塗膜表面に
    ある程度の湿度を維持させながら近赤外線を照射する水
    系塗膜の乾燥装置。
  5. 【請求項5】 水系塗膜を乾燥させる乾燥炉を複数の工
    程に分け、初期工程において、乾燥炉内雰囲気湿度を4
    5〜80%とするとともに、塗膜に吹き付ける熱風量を
    その後の工程よりも低下させ塗膜表面にある程度の湿度
    を維持させながら近赤外線を照射し、次の工程では初期
    工程よりも吹き付ける熱風量を増大する水系塗膜の乾燥
    装置。
JP15924997A 1997-06-02 1997-06-02 水系塗膜の乾燥装置 Pending JPH10328604A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004069428A1 (en) * 2003-02-04 2004-08-19 Bluescope Steel Limited Method of fast curing water-borne paint coatings
JP2017087144A (ja) * 2015-11-11 2017-05-25 大日本塗料株式会社 構造物の塗装方法

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WO2004069428A1 (en) * 2003-02-04 2004-08-19 Bluescope Steel Limited Method of fast curing water-borne paint coatings
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