JP2711583B2 - 繊維状誘電体及びその製法 - Google Patents

繊維状誘電体及びその製法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明はフアインセラミツクス材料、プラスチツクス
の強化材、電子・電気材料として有用で、且つ新規な繊
維状誘電体及びその製法に関する。
(従来の技術) チタン酸アルカリ土類金属塩はセラミツクスの原料、
誘電体の原料として広く利用されているが、これらのも
のの殆どが粉体であり、専ら焼結して利用されることが
多い。しかしながら粉体であることから、以下に示すよ
うな欠点があつた。即ち 高性能の焼結体を得るには、粉体でも微粒子による最
密充填が有効な手段であるが、チタン酸アルカリ土類金
属塩の微粒子を得るためには高度の加工合成技術が必要
であるとともに、得られる焼結体は原料粉体が微細であ
ればあるほど粒界(粒子同士の接合点)が増加し、粉体
同士の接触不良による欠陥が生じ、粒界の制御には高度
の技術が必要である。
チタン酸アルカリ土類金属塩は一般に硬く、その焼結
体を後加工(切削、表面研磨など)するのが難しく、焼
結前に所望の形状に成形する必要があり、且つ得られた
焼結体は粉体を焼結することからくる特有の脆さがあ
り、そのことが一層、後加工性を困難にしている。
近年に至り、ニーズの多様化に伴ない、これらのチタ
ン酸アルカリ土類金属塩について、形状異方性による新
しい性能、用途の探索がはじめられ、繊維形状を示すチ
タン酸アルカリ土類金属塩の開発が望まれ、水熱合成等
高温特殊反応で繊維状チタン酸アルカリ土類金属塩の合
成が検討されているが、これら公知の方法は反応条件の
選定に高度の熟練を要すると共に、特殊な装置を必要と
するため、産業上の利用価値は認められなかつた。
チタン酸アルカリ土類金属塩は一般式 MO・nTiO2(式中、Mはアルカリ土類金属、nは1〜12
の実数である)で示されるM/Tiの元素比が1以上の異性
体が知られている。
産業上最も良く知られ、かつ利用されているものはn
=1のチタン酸アルカリ土類金属塩であり、n=1の元
素比の繊維状アルカリ土類金属塩は公知の製造法で得る
ことができない。
本発明者はチタン酸化合物について永年研究を行い、
各種の新規チタン酸化合物、製造法及びその用途につい
て発表しており、チタン酸アルカリ土類金属塩について
もチタン酸物質とアルカリ土類金属塩酸塩の混合物から
直接繊維状チタン酸アルカリ土類金属塩を得るのに有効
な製造法について特許出願中であり、n=1の純度の高
い繊維状チタン酸アルカリ土類金属液の製造法について
も提案しているが、これらはいずれもチタン酸アルカリ
土類金属塩からなる繊維状物質であり、繊維形状は合成
方法により、又繊維の機械強度はチタン酸アルカリ土類
金属塩の種類により制限され、ニーズの多様化に対応し
にくい欠点があつた。
(発明が解決しようとする課題) 本発明の目的は特殊な装置を必要とせず簡単な方法に
より得られる繊維状誘電体及びその製法を提供すること
にある。
又、本発明の目的は高分子材料やセラミツクス材料と
複合化可能で種々のニーズに対応可能な繊維状誘電体及
びその製法を提供することにある。
(課題を解決するための手段) 本発明は繊維状物質の表面がチタン酸アルカリ土類金
属塩で被覆された繊維状誘電体及びその製法に係る。
本発明の繊維状物質とは、形状特性としてはアスペク
ト比(繊維長/繊維径の比)が10以上の繊維形状を示す
もので、それぞれの繊維長及び繊維径は用途により選択
されるものである。しかしながら繊維径については0.01
μm以上のものが好ましく、これより径が細いものは補
強用複合素材としては強度が不足しやすい。尚、繊維長
についても用途により選択されるものであるが、本発明
の繊維状誘電体を成形材料として均質の強度を提供する
ためには繊維長5〜30μmのウイスカー形状のものが良
く、布帛等として利用する場合は紡糸繊維形状のものが
好ましい。
本発明においては繊維形状を示す物質から任意に本発
明の繊維状物質を選択でき、代表的な具体例としてはガ
ラス繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維等の紡糸型繊維素
材から選択される繊維状物質、又炭化ケイ素ウイスカ
ー、窒化ケイ素ウイスカー、チタン酸塩ウイスカー、酸
化亜鉛ウイスカー、酸化マグネシウムウイスカー等の微
細繊維素材から選択される繊維状物質等が挙げられる
が、これらの繊維状物質は500℃以上の耐熱性を示し、5
00℃の加熱雰囲気で繊維形状が変質もしくは変形しない
ものから選定され、更に誘電体素材として用いるため、
電気絶縁性の大きなものが好ましい。尚、本発明におい
ては繊維状物質として特に選定すれば、被覆層であるチ
タン酸アルカリ土類金属塩との密着性及び均質な被覆層
の形成力が優れている点で、チタン酸塩ウイスカーや酸
化チタンウイスカーが好ましい。
代表的なチタン酸塩ウイスカーや酸化チタンウイスカ
ーとしては一般式aM2O・TiO2・nH2O(Mはアルカリ金
属、aは0≦a≦1の実数、nは0≦n≦10の実数)で
示されるものであり、チタン酸ナトリウム、チタン酸カ
リウム、酸化チタン等が例示され、工業的に多量に生産
され、且つ熱及び電気特性が優れている点でK2O・4TiO2
・nH2O,K2O・6TiO2・nH2O,K2O・8TiO2(nは前出と同
じ)等のチタン酸カリウム塩が好ましい。尚、これらの
チタン酸塩から酸抽出して得られるTiO2・nH2C(nは前
出と同じ)で示される水和チタニヤウイスカーも本発明
の繊維状物質として利用できるが、本発明の代表的製法
であるチタン酸塩の水溶液とアルカリ土類金属化合物の
水溶液による不溶化反応により得られる生成物を500〜1
300℃で加熱処理するとき水和チタニヤウイスカーを繊
維状物質として用いると、不溶化して沈着したアルカリ
土類金属化合物が反応し、密着性の向上には良い結果を
示すが、被覆層のチタン酸アルカリ土類金属塩の生成反
応においてはチタンとアルカリ土類金属のモル比の配合
設計、反応制御に熟練を要する。
本発明の繊維状誘電体とは、前述の繊維状物質の表面
がチタン酸アルカリ土類金属塩で被覆されたものであ
り、チタン酸アルカリ土類金属塩とは一般式bM′O・Ti
O2・mH2O(式中、M′はアルカリ土類金属であり、bは
0<b≦1、mは0≦m≦10の実数)で示されるもので
あり、代表的なものとしてはチタン酸カルシウム、チタ
ン酸マグネシウム、チタン酸バリウム、チタン酸ベリリ
ウム、チタン酸ストロンチウム等、Be,Mg,Ca,Sr,Ba,Ra
等のアルカリ土類金属のチタン酸塩が例示できる。尚、
誘電特性から、b=1のものが良く知られており、特に
チタン酸バリウムからなる被覆層が好ましいものである
が、これに限定されるものではない。又、被覆層のチタ
ン酸アルカリ土類金属塩は1種又は2種以上の混合物或
いは複合チタン酸アルカリ土類金属塩、例えばBa1−x
・Srx・TiO2(式中0<x<1である)であつても良
く、更には少量の異種金属及び/又は金属酸化物を共存
させても良い。
本発明の繊維状誘電体は繊維状物質の表面がチタン酸
アルカリ土類金属塩で被覆されたものであり、その被覆
量は利用目的、被覆層と繊維状物質との組み合わせ等に
より選択され、特に制限されるものではないが、芯材と
しての繊維状物質の表面を最低0.1nm、好ましくは1〜5
0nmの厚さで被覆されるものであり、あまり薄すぎる
と、被覆層の物理特性が不十分で、単に表面改質程度に
とどまり、逆に厚すぎると表面が凹凸になり、表面平滑
性が低下し、複合材料用素材として利用するとき、充填
量が低下し、利用効果の発揮が難しく、更にアスペクト
比(繊維長/繊維径の比)が低下するので複合材料の物
理的強度の発現にも影響を及ぼす。ウイスカー形状の繊
維状物質にあつては、チタン酸アルカリ土類金属塩層の
厚みは最大、ウイスカーの繊維径の1/2、好ましくは繊
維径の1/4程度とするのが好ましい。
本発明の繊維状誘電体の製法としては、芯材である繊
維状物質の表面にチタン酸アルカリ土類金属塩を被覆す
るための物理的又は科学的手法等の任意の方法が利用で
きる。物理的手法としては芯材である繊維状物質にアル
カリ土類金属塩の蒸気を沈積させるPVD法が薄膜の被覆
層を形成するのに有利である。又、CVD(気相化学反
応)法も利用できる。
本発明においてはチタン酸化合物の各種研究から本発
明の繊維状誘電体を安価且つ高品位なものにする製法と
して、本発明の繊維状物質を芯材とし、該繊維状物質の
表面に溶液反応により、チタン化合物とアルカリ土類金
属塩を沈着させ、500〜1300℃で加熱処理を施す方法が
特に好ましい。
本発明において溶液反応とは、繊維状物質の分散溶液
にチタン化合物を溶解した溶液とアルカリ土類金属化合
物を溶解した溶液を同時又は別々に、更にはこれらの混
合液に沈殿剤の存在下で撹拌しながら添加し、該繊維状
物質の表面に分散媒に不溶であるチタン化合物及びアル
カリ土類金属化合物を沈着させるものである。
該繊維状物質の分散媒中の濃度は繊維状物質の種類に
より選択されるが、一般に分散媒が滑らかに流動又は撹
拌可能な状態が好ましく、通常1〜30%、好ましくは3
〜20%の範囲が好ましく、あまり濃度が低すぎると生産
性が低下する。又あまり濃度が高すぎると本発明の溶液
反応による沈着の均質性に問題が生じるので好ましくな
い。
チタン化合物を溶解した溶液とは、チタン化合物の水
系溶媒又は有機溶媒系溶液であり、好ましい具体例とし
てはチタン酸イオンを含む酸性水溶液、チタン化合物の
酸性水溶液、チタンアルコラートのアルコール溶液など
が挙げられる。
アルカリ土類金属化合物を溶解した溶液とは、水系溶
液又は有機溶媒系溶液のいずれでも良いが、経済性や環
境汚染性などの観点から見れば水系溶液が好ましい。ア
ルカリ土類金属化合物としては、ハロゲン化水素酸塩、
硝酸塩、酢酸塩、ギ酸塩及び水酸化物等のうち、水又は
有機溶媒に可溶のものが使用できる。該アルカリ土類金
属化合物の1種又は2種以上の混合物も使用できる。
尚、入手容易性、反応の容易性などの観点からハロゲン
化水素酸塩、特に塩酸塩及び硝酸塩が好ましく、MgC
l2、CaCl2、BaCl2、Mg(NO3、Ca(NO3、Sr(NO
3、Ba(NO3及びこれらの水和物などである。
本発明の沈殿剤とは、チタン化合物を溶解した液から
分散媒不溶のチタン化合物を析出させるものの、又同様
にアルカリ土類金属化合物を溶解した溶液から分散媒不
溶の化合物を析出させるものであり、一般に加水分解
剤、中和剤、炭酸イオン等が例示でき、溶液がアルコー
ル等であれば水を分散媒とするとそのまま沈殿剤として
利用できるが、本発明においてはアンモニア水等のアル
カリ性水溶液、アルカリ土類金属溶液等の中和剤、更に
は炭酸アンモニウム、炭酸ガス、炭酸カルバミン酸水素
アンモニウム、重炭酸アンモニウム等の水溶液(炭酸イ
オンを含む溶液)が好ましく、特に炭酸イオンを含む溶
液は水不溶のアルカリ土類金属の炭酸塩が繊維状物質の
表面に沈着し、その理由は定かではないが、アルカリ土
類金属の炭酸塩と不溶化したチタン化合物を後で焼成す
るとチタン酸アルカリ土類金属塩が効率良く生成し、他
のアルカリ土類金属塩の沈着物では、焼成条件にもよる
が、焼成するとチタン酸アルカリ土類金属塩以外にアル
カリ土類金属の酸化物や酸化チタンが副生しやすい。従
つて本発明の溶液反応として最も好ましくはチタン酸の
酸性溶液、特に塩酸酸性溶液とアルカリ土類金属の水酸
化物及び/又は塩化物の水溶液及び/又は塩酸水溶液に
炭酸アンモニウム等の炭酸イオンを含む水溶液を中和剤
として用い、繊維状物質の水系分散液又は沈殿剤中に繊
維状物質を分散させたものにアルカリ土類金属化合物の
塩酸溶液及びチタン酸の塩酸溶液を撹拌下で添加し、繊
維状物質の表面にチタン化合物及びアルカリ土類金属の
炭酸塩を均質に沈着させた後、別、水洗更には乾燥す
る。尚、これらの反応は室温又は加温のいずれでも進行
する。
本発明ではこれらの溶液の濃度は特に制限されるもの
ではないが、各種化合物の溶解度及び繊維状物質の表面
への沈着を均質に行う点で通常0.1〜50wt%、好ましく
は0.5〜20wt%の濃度で行われ、繊維状物質の表面に沈
着させるアルカリ土類金属とチタン化合物の割合は前述
の一般式bM′O・TiO2で示されるチタン酸アルカリ土類
金属塩においてb=1のものを得るためには、M′/Ti
≧1(元素比)となるように繊維状物質の表面にアルカ
リ土類金属化合物、特に炭酸塩とチタン化合物を沈着さ
せれば良い。本発明では上述した方法で得られた繊維状
物質の表面に溶液反応によりチタン化合物とアルカリ土
類金属化合物を沈着させたものを500〜1300℃の温度範
囲で電気炉、ガス炉、高周波炉等の通常の加熱焼成炉で
加熱処理することにより繊維状物質の表面がチタン酸ア
ルカリ土類金属塩で被覆された繊維状誘電体が得られ
る。この時の反応機構は明らかではないが、X線回折及
び赤外線吸収スペクトル分析から加熱処理をすることに
よりチタン酸又は水和チタニヤが生成し、次いでこれら
とアルカリ土類金属の化合物が熱拡散反応により分解し
且つ拡散しつつ、繊維状物質の表面にて均質にチタン酸
アルカリ土類金属塩が生成するものと考えられる。
ここで本発明における前述の加熱処理温度条件はアル
カリ土類金属の種類、目的物質により特定できないが、
一般に500℃以下ではチタン酸アルカリ土類金属塩が生
成しにくく、1300℃以上では繊維状物質の熱劣化による
変形や生成するチタン酸アルカリ土類金属塩が粒成長
し、繊維状物質の表面から脱落したり、粒界が生じ連続
的な被膜が得にくく、誘電特性が低下することがある。
従つて500〜1300℃の温度範囲、好ましくは800〜1100℃
の温度範囲である。又加熱処理時間は30分〜4時間、好
ましくは1〜2時間で反応は完結する。
このようにして得られた繊維状誘電体は加熱処理品そ
のままでも利用できるが、用途により水洗、酸洗、分級
などを行う。又更には各種表面処理剤で処理してから利
用することもできる。特に本発明の繊維状誘電体は高分
子材料との複合化により、成形体、フイルム、塗料、接
着剤、繊維素材等に利用できると共に、他のセラミツク
ス材料との複合化により、繊維強化セラミツクス、電子
セラミツクスとして利用できる。
(実 施 例) 次に実施例を示し、本発明を更に詳細に説明する。
実施例1 チタン酸カリウムウイスカー(大塚化学製、テイスモ
ーD、平均繊維径0.3μm、平均繊維長15μm)4.5gを
3.75Nの水酸化ナトリウム水溶液350ml中に均一に分散
後、撹拌下でチタン酸(TiO2・2H2O)2.3g(0.02mol)
及び塩化バリウム(BaCl2)4.2g(0.02mol)を5Nの塩酸
水溶液400mlに溶解したものを約1時間かけて滴下す
る。その後、炭酸アンモニウム〔(NH42CO3・H2O〕4.
6g(0.04mol)を脱イオン水50mlに溶解したものを約30
分かけて滴下し、室温撹拌下で約1時間反応させ、その
後、別、水洗、乾燥することにより、チタン酸カリウ
ムウイスカーの表面にチタン酸バリウム前駆体が均質に
付着した白色粉末10.4gを得た。この白色粉末を白金ル
ツボに移し、900℃で約2時間加熱処理を施すことによ
り、白色粉末9.1gが得られた。この白色粉末をX線回折
分析するとチタン酸カリウムとチタン酸バリウム(BaO
・TiO2)の複合体であり、電子顕微鏡観察によると、チ
タン酸バリウムがチタン酸カリウムウイスカーの表面を
均質に被覆した繊維状誘電体であることが判明した。第
1図は実施例1で得られた繊維状誘電体のX線回折チヤ
ートであり、第2図はその加熱処理前の繊維の形状の電
子顕微鏡(SEM)写真であり、第3図はその加熱処理後
の繊維の形状のSEM写真である。
実施例2 実施例1において塩化バリウムを塩化マグネシウム
(MgCl2・6H2O)4.1g(0.02mol)に変更した以外は同様
の方法によりチタン酸カリウムウイスカーの表面にチタ
ン酸マグネシウム前駆体が均質に付着した白色粉末7.5g
を得た。
このものを950℃で2時間加熱処理を施すことによ
り、白色粉末6.9gが得られ、X線回折及び電子顕微鏡観
察の結果、得られた白色粉末はチタン酸カリウムとチタ
ン酸マグネシウム(MgO・TiO2)の複合体であり、チタ
ン酸カリウムウイスカーの表面にチタン酸マグネシウム
が均一に被覆されたウイスカー状物質であつた。
実施例3 実施例1において塩化バリウムを塩化カルシウム(Ca
Cl2・2H2O)2.6g(0.02mol)に変更した以外は同様の方
法によりチタン酸カリウムウイスカーの表面にチタン酸
カルシウム前駆体が均質に付着した白色粉末8.1gを得
た。
このものを850℃で約3時間加熱処理を施すことによ
り、白色粉末6.9gが得られ、X線回折及び電子顕微鏡観
察の結果、得られた白色粉末はチタン酸カリウムとチタ
ン酸カルシウム(CaO・TiO2)の複合体であり、チタン
酸カリウムウイスカーの表面にチタン酸カルシウムが均
一に被覆されたウイスカー状物質であつた。
実施例4 チタン酸(前出と同じ)11.6g(0.1mol)と炭酸バリ
ウム(BaCO3)19.7g(0.1mol)をアルミナボールミルで
均一に混合したものを金型成形器に充填し、20kg/cm2
圧力で約30分間加圧成形することにより、直径4cm、厚
み2.5cmの円板状の成形体を作成した。このものを白金
ルツボに移し、700℃で約3時間加熱焼成することによ
り、白色の焼結体23.1gが得られた。この焼結体はX線
回折によればアモルフアスの挙動を示し同定できない
が、元素分析の結果からBa;58.7%、Ti;20.6%、O;20.7
%の組成を持ち、BaO・TiO2の元素比と良く一致するも
のであつた。
上述のようにして得られた焼結体をよく粉砕し、5N塩
酸中に室温で溶解することにより、Ba;2.94%、Ti:1.03
%(BaO・TiO2として5wt%、0.215mol/)を含む溶液
を調製した。
チタニアウイスカー(日本ウイスカー製、トフイカー
T)10gを4Nの水酸化ナトリウム水溶液250ml中に均一に
分散した後、前記で調製したBa2+とTi4+イオンを含む
塩酸溶液200mlを実施例1と同法にて滴下し、引き続き
炭酸アンモニウム(前出)11g(0.1mol)を脱イオン水1
00mlに溶解した水溶液を実施例1のようにして滴下し、
室温にて約1時間反応させ、別、水洗を行うことによ
り、チタニヤウイスカーの表面にチタン酸バリウム前駆
体が均質に付着した白色粉末22.7gを得た。このものを
更に1050℃で約2時間加熱処理を施すことにより目的の
白色粉末19.8gが得られた。このものはX線回折及び電
子顕微鏡観察によりチタニア(ルチル)とチタン酸バリ
ウム(BaO・TiO2)の複合体であり、チタニヤウイスカ
ーの表面がチタン酸バリウムで被覆されたウイスカー状
物質が確認された。
実施例5 実施例4においてチタニヤウイスカーをチタン酸カリ
ウムウイスカー(大塚化学製、テイスモ−N)10gに変
更した以外は同様の方法で行い、チタン酸カリウムウイ
スカーの表面がチタン酸バリウムにて均一に被覆された
繊維状誘電体(平均繊維径0.45μm、平均繊維長15μ
m)19.7gがX線回折及び電子顕微鏡観察の結果より確
認された。
実施例6 実施例4においてチタニヤウイスカーをホウ酸マグネ
シウムウイスカー(大塚化学製、スワナイトMg2B2O5)1
0gに変更した以外は同様の方法に従つて行い、ホウ酸マ
グネシウムウイスカーの表面にチタン酸バリウム(BaO
・TiO2)が均一に被覆された繊維状誘電体(平均繊維径
0.7μm、平均繊維長16μm)18.7gがX線回折及び電子
顕微鏡観察の結果より確認された。
比較例1 チタン酸カリウムウイスカー(大塚化学製、テイスモ
ーD)4.5g、チタン酸(TiO2・2H2O)2.3g及び塩化バリ
ウム4.2gをポリエチレンの袋の中に入れよく震蕩し、均
質混合物とした。この混合物を白金ルツボに移し、900
℃にて約2時間加熱処理を施すことにより白色粉末(一
部焼結部分あり)8.6gが得られた。この白色粉末をX線
回折したところ、原料のチタン酸カリウムウイスカーの
ピーク以外は確認できなかつた。又得られた白色粉末の
電子顕微鏡観察を行つたところ、チタン酸カリウムウイ
スカーと粉粒状物質が確認され、ウイスカー状物質と粉
粒状物質の混合物であつた。
比較例2 実施例1においてチタン酸を用いない以外は同法で反
応を行うことにより、白色粉末7.4gの前駆体が得られ
た。この白色粉末を実施例1と同様の方法で900℃で約
2時間加熱処理を施すことにより、白色粉末(平均繊維
径0.3μm、平均繊維長13μm)7.0gが得られたが、こ
のものをX線回折及び電子顕微鏡観察を行つたところ、
チタン酸カリウムウイスカーと酸化バリウム及び極微量
と思われるBaO・5TiOの組成をもつ粉粒体が確認され、
本発明の目的の材料は得ることができなかつた。
(発明の効果) 本発明の繊維状誘電体は従来良く知られているチタン
酸アルカリ土類金属塩系誘電体の新しい用途に供するこ
とが可能である。即ち、該誘電体が異方性形状を有する
ため、高分子材料やセラミツクス材料に複合させて使用
する新しい用途を可能とする。又本発明の繊維状物質の
表面にチタン酸アルカリ土類金属塩の前駆体を被覆せし
めて、その後加熱処理を施すことにより、目的とする繊
維状誘電体を合成する製法は全く新規であり、その工業
化において産業上利用性の高いものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例1で得られた繊維状誘電体のX線回折チ
ヤートであり、第2図はその加熱処理前の繊維の形状の
電子顕微鏡(SEM)写真であり、第3図はその加熱処理
後の繊維の形状のSEM写真である。
フロントページの続き (72)発明者 竹中 稔 大阪府大阪市中央区大手通3丁目2番27 号 大塚化学株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−69511(JP,A) 特開 平3−237100(JP,A) 特開 平3−281574(JP,A)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】繊維状物質の表面に溶液反応によりチタン
    化合物とアルカリ土類金属塩を沈着させ、500〜1300℃
    で加熱処理を施すことにより得られる繊維状物質の表面
    がチタン酸アルカリ土類金属塩で被覆された繊維状誘電
    体。
  2. 【請求項2】溶液反応がチタン化合物の水溶液とアルカ
    リ土類金属化合物の水溶液による不溶化反応である請求
    項1記載の繊維状誘電体。
  3. 【請求項3】繊維状物質がチタン酸塩である請求項1〜
    2記載の繊維状誘電体。
  4. 【請求項4】繊維状物質が酸化チタン系繊維である請求
    項1〜2記載の繊維状誘電体。
  5. 【請求項5】繊維状物質の表面に溶液反応によりチタン
    化合物とアルカリ土類金属塩を沈着させ、500〜1300℃
    で加熱処理を施すことを特徴とする繊維状誘電体の製
    法。
  6. 【請求項6】溶液反応がチタン化合物の水溶液とアルカ
    リ土類金属化合物の水溶液による不溶化反応である請求
    項5記載の製法。
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