JP2711443B2 - ウインチ装置 - Google Patents

ウインチ装置

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JP2711443B2
JP2711443B2 JP7264759A JP26475995A JP2711443B2 JP 2711443 B2 JP2711443 B2 JP 2711443B2 JP 7264759 A JP7264759 A JP 7264759A JP 26475995 A JP26475995 A JP 26475995A JP 2711443 B2 JP2711443 B2 JP 2711443B2
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rope
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drum
drum surface
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廣美 秋山
晴功 川畑
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、土木建設工事や荷
役作業、エレベータなどに用いられ、ワイヤやロープな
どを乱巻を起こさず整然と多層に巻取りまた繰出しを行
えるウインチ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ワイヤやロープなど(これらを本明細書
の中ではロープと総称する)の巻取り・繰出しを行うウ
インチ装置においては、ドラムの巻胴面に巻取られるロ
ープの一番始めの巻取層(一層目)が整然と密に巻いた
状態でない、いわゆる乱巻の状態であると、二層、三層
と多層に巻取りを行っていった場合、巻取ったロープと
ロープの間に生じた空間に、上の層のロープが、ロープ
に加わる緊張力により食い込んで、巻取層が崩れさらに
ひどい乱巻状態になるという問題があった。この状態で
は、ロープに過大な摩擦力が加わるため、ロープが損傷
しやすいばかりでなく、巻取り・繰出しもスムーズに行
えない場合があった。従来のウインチ装置としては、ド
ラムの巻胴面が溝なしの単純な円筒面のものや、巻胴面
にロープを整列に巻取るためのらせん状のロープ案内の
溝を設けたものがある。上記の乱巻の問題に対応するた
めに、前者の巻胴面が単純な円筒面のものでは、一層目
が整然と巻取られるよう手作業でロープを整列させる必
要があった。そして、ロープを繰出す場合、この一層目
のロープを繰出してしまうと再度手作業で整列させなけ
ればならないため、普段は一層目は繰出さず残して、二
層目までしかロープを繰出さないようにしていた。こう
した手作業の手間や一層目に巻いた分のロープの無駄を
改善するために、ロープを自動的に整列させて巻取れる
ようにするロープ案内機構が付加されることもあった
が、その分だけコスト高となっていた。また、後者のら
せん溝付のものでは、ドラム回転のみで一層目から整列
に巻取りが行えると共にロープの端まで繰出すことがで
きるが、らせん溝の構造上、巻胴面端にロープの巻付か
ない部分が空間として残り、二層目以降を巻取る際にロ
ープが食い込みやすく、乱巻の原因となることがあっ
た。また、巻胴面に連続したらせん溝を形成するため、
構造が複雑化してコストが高くなるという問題点もあっ
た。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、上記した問題点を解消し、ロープを巻胴面
に一層目から整然かつ密に空間を残さず巻取ることがで
き、人手を要さず容易に乱巻を起こさず巻取りおよび繰
出しが行え、また、シンプルな構造で安価な、ウインチ
装置を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】かかる課題を解決した本
発明の構成は、 1) ドラムの巻胴面にロープ案内の溝を円周方向に複
数並行して設けると共に、巻胴面の円周の所定区間に前
記溝のない溝なし部をドラムの回転軸と平行方向全長に
渡って設け、ドラム側壁に接した巻胴面端の溝なし部と
溝部との境界またはその境界に近い溝なし部から境界に
接した溝部の方に向けてロープの巻取りを開始するよう
にし、前記ドラムを同軸に巻取り部と繰出し部の二つの
巻胴面を備えた構造とし、巻取り部では巻胴面端の溝な
し部と溝部との境界またはその境界に近い溝なし部から
その境界に接した溝部に向けてロープの巻取りを開始す
ると共に、繰出し部では巻胴面端で溝なし部と溝部の前
記巻取り部とは反対側の境界またはこの境界に近い溝な
し部からこの境界に接した溝部に向けて巻取り部とは反
対方向にロープの巻取りを開始するようにして、それぞ
れの巻胴面にロープを巻き方向を変えて巻付けて、ドラ
ムの回転でロープを同時に巻取り・繰出しするようにし
ウインチ装置 2) 溝なし部を巻胴面の円周の所定の一区間に設け、
巻胴面端のロープの巻取り開始位置にロープ端を巻胴面
からドラムの溝なし部内側部分へ向け斜めに引き込む孔
を設け、孔に通したロープ端を巻胴面側からねじ込んだ
止めねじで締付けて係止した、前記1)に記載のウイン
チ装置 3) ドラムの巻胴面にロープ案内の溝を円周方向に複
数並行して設けると共に、巻胴面の円周の所定区間に前
記溝のない溝なし部をドラムの回転軸と平行方向全長に
渡って設け、ドラム側壁に接した巻胴面端の溝なし部と
溝部との境界またはその境界に近い溝なし部から境界に
接した溝部の方に向けてロープの巻取りを開始するよう
にし、前記溝なし部を巻胴面の円周の180°離れた二
つの所定区間に設け、二つの溝なし部で隔てられた二つ
の溝部の一方の溝を他方の溝に対し溝ピッチを溝幅半分
ずつずらして設けるようにしたウインチ装置 4) なし部を巻胴面の180°離れた二つの所定区
間に設け、二つの溝なし部で隔てられた二つの溝部の一
方の溝を他方の溝に対し溝ピッチを溝幅半分ずつずらし
て設けるようにした前記)記載のウインチ装置 5) 前記溝なし部を溝部の溝底の径よりドラム内側に
向け凹んだ形状とした、前記1)〜4)に記載のウイン
チ装置にある。
【0005】本発明において巻取り・繰出すロープに
は、一般のロープの他、ワイヤや、ワイヤを撚ったワイ
ヤロープ、ケーブルなどを含み、いずれを使用してもか
まわない。
【0006】
【作用】本発明のウインチ装置では、ドラムを回転させ
ると、ドラムに一端を係止したロープが巻胴面端の溝な
し部と溝部との境界またはこの境界に近い溝なし部から
巻胴面に巻付き始め、溝に従って巻取られていく。巻胴
面が一周すると、ロープは始めの溝なし部へ達し、境界
付近でロープの巻始め部分に重なった際に横にずれて隣
の溝に移動する。溝なし部はこのロープの横移動を規制
するものがないので、この位置でロープの巻取られる溝
をスムーズに変えてロープを整列に巻取っていく。二周
目以降は、溝なし部において一周前に巻取ったロープに
沿って新しく巻取られるロープが横に移動し、隣の溝に
新たに巻取られていく。これにより人手を要さずドラム
の回転のみで容易に整然と巻取ることができる。また、
ロープは巻胴面端から溝に従って密に巻き取られるの
で、巻胴面上にほとんど空間が生じず、多層にロープを
巻取ってもロープの食い込みがなく乱れ巻も起こらな
い。ロープを巻胴面の他端まで巻取ると、ロープは溝な
し部において一周前に巻取ったロープの上に重なり、そ
れから横にずれて一周前に巻取ったロープともう一周前
に巻取ったロープとの間に生じた凹み上に移動し、二層
目の巻始めとなる。これ以降は一層目と同様ちょうど溝
なし部の位置で前に巻取ったロープに沿って新しく巻取
られるロープが横に移動し、隣のロープ間の凹み上に新
たに巻取られていく。この後は同様の巻取りが繰返さ
れ、三層目以降さらに多層に巻胴面にロープを整然と巻
取っていく。逆にロープをドラムの回転と共に繰出す場
合でも、一層目からドラム回転のみで整然と巻取ること
が可能なことから、最後までロープを繰出すことがで
き、再度巻取る場合も容易である。
【0007】ドラムが巻取り部と繰出し部の二つの巻胴
面をもつ構成では、始めに繰出し部になる方の巻胴面
に、ロープを溝およびロープ間凹みに合わせて整然と多
層に巻取っておく。ロープは溝なし部で位置をずらしな
がら密に巻取られた状態であり、繰出しがスムーズに行
える。負荷物の引き上げあるいは引き寄せに必要十分な
ロープ長さを残して繰出し部に巻取ったら、ロープの反
対側の端を繰出し部における巻き方向と逆向きに巻付く
よう巻取り部に係止する。この状態でドラムを回転さ
せ、二つの巻胴面で同時にロープの巻取りおよび繰出し
を行って負荷物を動かす。巻取り部である巻胴面に一定
巻数ロープを巻取ってからドラムを逆回転させると、巻
取りと繰出しが逆に行え、負荷物を逆方向に動かせる。
二つの巻胴面上で、巻取りまたは繰出しは常に整然かつ
スムーズに行うことができる。
【0008】溝なし部を巻胴面の所定の一区間に設け、
この溝なし部の内側部分でロープ端を係止させる構成で
は、ロープの一端を巻胴面端の溝なし部と溝部の境界の
孔からドラム内へ入れ、溝なし部の内側部分で巻胴面か
らの止めねじの締付けにより外れないよう係止する。ロ
ープはドラムを回転させると、孔から巻胴面への巻付き
を開始し、溝に従って巻取られていく。巻胴面が一周す
ると、ロープは溝部から溝なし部へ達し、溝なし部の境
界の孔から突出した状態のロープの巻始めに重なった際
に横にずれて隣の溝に移動する。これ以降は、前記の場
合と同様溝なし部の位置で前に巻取ったロープに沿って
新しく巻取られるロープが横に移動し、一層目では隣の
溝に、二層目より後では隣のロープ間の凹み上に整然と
密に巻取りが繰返される。
【0009】溝なし部を巻胴面の180°離れた円周の
所定の二つの区間に設けると共に、溝部の一方の溝ピッ
チをずらした構成では、巻胴面端の溝なし部と溝部の境
界またはその境界に近い溝なし部の位置からロープを巻
取り始め、巻胴面が半周すると、ロープはもう一つの溝
なし部に達する。その先の溝部は、ロープがこれまで案
内されてきた溝部に対し溝ピッチが溝幅半分ずつずれて
いるので、ロープがここに達したときにはちょうど溝と
溝の間に載り、それから横にずれて溝幅半分だけ移動し
て新しい溝に収まる形となる。ロープが、巻胴面端から
溝幅半分だけ離れたこの溝に案内された状態で、巻胴面
がさらに半周して合計一周すると、ロープが始めの溝な
し部に達し、この溝なし部と一番始めに案内されていた
溝との境界付近のロープ巻始め部分に重なって横にず
れ、隣の溝に移動する。この溝は、これまで案内されて
きた溝から溝幅半分だけずれており、ロープは巻胴面半
周で溝幅半分だけ横に移動し、巻胴面一周で溝一つ分移
動したことになる。二周目以降は、溝に案内されるロー
プが、各溝なし部において前に巻取ったロープに沿って
横に移動し、それぞれ溝幅半分ずれた溝に新たに巻取ら
れていく。ロープを巻胴面の他端まで巻取ると、ロープ
は溝なし部において溝幅半分ずつずれて巻取られている
一周前のロープに半分重なった状態で巻胴面端に沿って
上層に巻取られ、二層目の巻始めとなる。次の溝なし部
で一周前に巻取ったロープに重なり、それから横にずれ
て一周前に巻取ったロープともう一周前に巻取ったロー
プとの間に生じた凹み上に移動し、凹みに従って巻取ら
れる。これ以降は一層目と同様ロープが、各溝なし部に
おいて前に巻取ったロープに沿って横に溝半分ずれたロ
ープ間凹み上に新たに巻取られていき、ロープが巻胴面
端に達すると、前記同様一周前のロープに半分重なりな
がら層を増していく。こうしてドラムの回転のみでロー
プを各層同じ状態として密に整然と巻取ることができ
る。
【0010】溝なし部をドラム内側に向け凹んだ形状と
した構成では、一層目に巻取られるロープが溝なし部に
おいて前に巻取ったロープに沿って横に移動する際、凹
み形状によりロープと巻胴面との接触が少なく、摩擦が
減ってスムーズな巻取りが可能となる。また、巻取った
状態において、溝なし部では二層目以降ロープが下層の
ロープと交差する形になる分、他の巻胴面部分より盛上
がった状態となっていたのを、凹み形状に伴ってロープ
位置が下がることで盛上がりを小さくでき、盛上がりが
原因で多層に巻くほどロープに無理な力が加わるのを防
げる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明のウインチ装置で、ドラム
の巻胴面に設けるロープ案内用の溝は、ウインチ装置の
使用条件や負荷に応じて決められたロープ径に合わせ
て、溝幅および溝深さを設定して用いるのが望ましい。
【0012】巻胴面上の溝をなくした溝なし部は、巻胴
面の円周の所定区間にドラムの回転軸と平行方向全長に
渡って設ける。通常、巻胴面の両端にはロープの巻付か
ない空間が生じるが、上層のロープがここに食い込んで
乱巻になるのを防ぐため、この空間はなるべく小さくす
るのがよい。この空間の大きさは、ロープ径が一定なら
ば、ロープが溝なし部において溝から溝へ移る角度αま
たは溝なし部の区間の長さの値で決まる。ここでαがあ
まりに小さい、すなわち溝なし部の区間が長すぎると、
空間が大きすぎて上からロープが食い込みやすく、逆に
αが大きく溝なし部の区間が短すぎると、空間は小さく
なるがロープの角度変化が大きすぎて滑らかに曲がらな
くなる。ロープ径とロープの曲がり易さに基づいて適切
なαまたは溝なし部区間長さを設定し、巻胴面の径に応
じた溝なし部の円周区間(円周角θで表される)を決め
るようにする。
【0013】溝なし部を巻胴面に複数に分けて設ける場
合は、複数の溝なし部を巻胴面円周に同じ区間幅で等分
の間隔に配置するのが望ましい。また、溝なし部におい
てロープの巻取り位置を動かしていくので、複数の溝な
し部で分割された溝部は、溝なし部の数に合わせて適宜
溝ピッチをずらして、巻動面が一周した時にロープがち
ょうど一本分横に移動できるように調節する。
【0014】溝なし部は巻動面から溝をなくした単純な
円筒面状、またはこの部分にあまりロープが接触しない
ようにドラム内側に向けて凹ませた形状の、いずれでも
よい。
【0015】
【実施例】本発明の実施例1,2,3を図面に基づいて
説明する。実施例1はドラム巻胴面に溝なし部を一区間
設け、ドラムの溝なし部内側にロープ端を係止するよう
にしたウインチ装置の例、実施例2はドラム巻胴面に溝
なし部を180°離れた二区間で設け、一方の溝部の溝
ピッチを溝幅半分ずつずらし、ドラム側面にロープ端を
係止するようにした例、実施例3は巻取り部と繰出し部
の二つの巻胴面を備えたドラムを設けた例である。図1
は実施例1を示す斜視図、図2は実施例1のドラムを示
す平面図、図3は実施例1のドラムを示す一部切欠した
左側面図、図4は実施例1によるドラムへの巻取り状態
を示す説明図、図5は実施例1のドラムの他の例を示す
一部切欠した左側面図、図6は実施例2のドラムを示す
平面図、図7は実施例2のドラムを示す一部切欠した左
側面図、図8は実施例2によるドラムへの巻取り状態を
示す説明図、図9は実施例3を示す斜視図である。
【0016】実施例1のウインチ装置1は、直径12.
5mmのロープ9を巻付けるベッド2上の回動自在なド
ラム3の巻胴面4(直径345mm)に、巻胴面4円周
方向に複数並行させたロープ9用溝5を設けている。こ
の溝5は、巻胴面4に山部5aを13mm間隔で設ける
ことで、その間に形成される。巻胴面4には、山部5a
を除去して溝5をなくした溝なし部4aを巻胴面4円周
の角度θの区間にドラムの回転軸と平行方向全長に渡っ
て設ける。この溝なし部4aにおいて、ロープ9の溝か
ら溝へ移る角度αが、側壁3aに接する巻胴面4両端に
生じるロープ9の巻付かない空間4dをなるべく小さく
すると共にロープ9を無理なく溝から溝に移せる、最適
なα=4°という値をとるように、実施例1での溝なし
部4aの円周区間の角度θを60°としている。巻胴面
4上の溝5のある溝部4bと溝なし部4aの境界で側壁
3aに接した位置には、ロープ端9aをドラム3内に引
き込む孔6をドラム3の一部を貫通するように設け、こ
こに通したロープ端9aを巻胴面4から三本の止めねじ
7aで締付ける仕組みとしている。
【0017】実施例1のウインチ装置1のドラム3の他
の例として、巻胴面4の溝なし部4aを、溝部4bの溝
底面と同一円筒面からドラム3内側に向けて凹んだ形状
とし、巻胴面4に巻付けたロープ9が溝なし部4aで溝
部4bより内側を通るようにした例を示す(図5参
照)。溝なし部4aは角度θの区間にドラムの回転軸と
平行方向全長に渡ってドラム3の一部を除去した凹部3
dからなっている。凹部3d以外の部分は実施例1の上
記のドラム3と同一である。
【0018】実施例1のウインチ装置1の使用方法は、
まず、ロープ9の一端を巻胴面4端の孔6に通し、止め
ねじ7aで締付けて確実に係止する。ドラム3を回転さ
せると、ロープ9は孔6位置から巻胴面4への巻付きを
開始し、溝5に従って巻取られる。巻胴面4が一周して
ロープ9が溝部4bから溝なし部4aに達すると、孔6
から出ているロープ9の巻始めに重なり、そこから横に
ずれて隣の溝5位置に移動する。後は、ドラム3の回転
でロープ9が溝なし部4aに達するたびに、一周前に巻
取ったロープ9に沿って隣の溝5位置まで横に移動して
巻取られる。ロープ9が巻胴面4の反対端まで巻取られ
て一層目が終了すると、溝なし部4aの位置でロープ9
は一周前に巻取ったロープ9に重なって二層となり、こ
こからロープ間凹み9bに従って二層目が巻き取られて
いく。二層目以降でも、ロープ9が溝なし部4aに達す
るたびに、一周前に巻取ったロープ9に沿って隣のロー
プ間凹み9b位置まで横に移動して、整然と巻取りが繰
返される。巻胴面4上に多層にロープ9を巻取っても、
巻胴面4両端に生じる空間4dが小さく、ロープ9も食
い込みにくいので乱巻にならず、繰出しの際も一層目の
最後までスムーズにロープ9を繰出すことができる。
【0019】実施例2のウインチ装置1は、ドラム3以
外の部分は実施例1と同一である。ロープ9には直径1
0mmのものを用い、このロープ9を巻付けるドラム3
の巻胴面4(直径194mm)に、巻胴面4円周方向に
並行させたロープ9用溝5を設けている。また、巻胴面
4には実施例1同様の溝なし部4aを、巻胴面4の18
0°離れた円周の二つの角度θの区間にドラムの回転軸
と平行方向全長に渡って設ける。巻胴面4両端に生じる
ロープ9の巻付かない空間4dをなるべく小さくすると
共に、ロープ9を無理なく溝から溝に移せるよう、二つ
の溝なし部4aの円周区間の角度θはそれぞれ30°と
している。この二つの溝なし部4aで隔てられる二つの
溝部4b,4cのうち、一方の溝部4cの溝5を、他方
の溝5に対し溝ピッチを溝幅Wの半分ずつずらして設け
ている。巻胴面4上の二つの溝部4b,4cのうち側壁
3aとずれた溝5が接している側の溝部4cと溝なし部
4aにまたがるような孔6を側壁3aに設け、ここから
ロープ端9aをドラム3側面に引き出し、ドラム3側面
にねじ止めする係止具8でロープ端9aを締付けて係止
する構造としている。
【0020】実施例のウインチ装置1の使用方法は、ま
ず、ロープ9の一端を側壁3aの孔6に通し、ロープ端
9aを係止具8に挟んで締付けて確実に係止する。ドラ
ム3を回転させると、ロープ9は孔6の横から巻胴面4
への巻付きを開始し、側壁3aに完全な溝5が接する方
の溝部4bの溝5に従って巻取られていく。巻胴面4が
半周すると、ロープ9はもう一つの溝なし部4aおよび
その先の溝ピッチのずれた溝部4cに達し、ロープ9が
ずれた溝5の山部5aに載り、そこから横の溝幅Wの半
分だけずれた溝5位置に移動する。ロープ9がこのずれ
た溝5に案内された状態で、巻胴面4がさらに半周して
合計一周すると、ロープ9は始めの溝なし部4aおよび
その先のずれてない溝部4bに達し、ロープ9の巻始め
に重なり、そこから横にずれて前記同様溝幅Wの半分移
動して、巻胴面4一周で合計溝一つ分横に移動した状態
となる。この後は、ドラム3の回転でロープ9が溝なし
部4aに達するたびに一周前に巻取ったロープ9に沿っ
て溝幅Wの半分だけずれた溝5位置まで横に移動しなが
ら巻取られていく。ロープ9が巻胴面4の反対端まで巻
取られて一層目が終了すると、溝なし部4aの位置でロ
ープ9は一周前に巻取ったロープ9に半分重なった状態
で側壁3aに沿って二層となり、ここからロープ間凹み
9bに従って二層目が巻取られていく。二層目以降も、
ロープ9が溝なし部4aに達するたびに一周前に巻取っ
たロープ9に沿って溝幅Wの半分だけずれたロープ間凹
み9b位置まで横に移動して、整然と巻取りが繰返され
る。巻胴面4上に多層にロープ9を巻取っても、どの層
も一層目と同じ形に巻取ることができ、巻胴面4両端に
生じる空間4dにロープ9が食い込みにくく乱巻になら
ない。
【0021】実施例3のウインチ装置1は、実施例1と
同形のドラムを二個、同一回転軸でロープの巻き方向が
互いに逆になるように接合した形状のドラム3を用い、
ドラム3以外の構造は実施例1と同様である。ドラム3
は二つの巻胴面4を備えてそれぞれ巻取り部3bと繰出
し部3cとし、巻取り部3bと繰出し部3cにおけるロ
ープ9巻取り開始点のある溝なし部4aと溝部4bとの
境界位置およびロープ9の巻き方向をそれぞれ互いに反
対となるようにしている。これら二つの巻胴面4にロー
プ9を巻き方向を反対にして所定巻数巻付けると、ドラ
ム3の回転でロープ9を同時に巻取り・繰出しすること
ができる(図9参照)。巻胴面4にロープ9が巻付く仕
組みは、巻取り部3bと繰出し部3cそれぞれ実施例1
と同じである。
【0022】
【発明の効果】本発明は、巻胴面に円周方向の溝および
溝なし部を設ける構成を採用することにより、ロープを
整然と巻取ると共に巻胴面両端の空間を小さく抑えて、
容易に乱巻のない多層巻取りができ、スムーズにロープ
の巻取りおよび繰出しが行える。また、巻胴面の円周方
向の溝のみでロープを整然と案内できる仕組みのため、
構造が簡単かつ製造が容易で、安価な装置にできる。
【0023】溝なし部を巻胴面の180°離れた円周の
所定の二つの区間に設けると共に、溝部の一方の溝ピッ
チを溝幅半分ずらした構成を採用すると、巻取りの際に
ロープが溝なし部を隣の溝あるいはロープ間凹みへ横に
移動する量が減り、より巻取りをスムーズに行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1を示す斜視図である。
【図2】実施例1のドラムを示す平面図である。
【図3】実施例1のドラムを示す一部切欠した左側面図
である。
【図4】実施例1によるドラムへの巻取り状態を示す説
明図である。
【図5】実施例1のドラムの他の例を示す一部切欠した
左側面図である。
【図6】実施例2のドラムを示す平面図である。
【図7】実施例2のドラムを示す一部切欠した左側面図
である。
【図8】実施例2によるドラムへの巻取り状態を示す説
明図である。
【図9】実施例3を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 ウインチ装置 2 ベッド 3 ドラム 3a 側壁 3b 巻取り部 3c 繰出し部 3d 凹部 4 巻胴面 4a 溝なし部 4b 溝部 4c 溝部 4d 空間 5 溝 5a 山部 6 孔 7 止めねじ孔 7a 止めねじ 8 係止具 9 ロープ 9a ロープ端 9b ロープ間凹み 10 減速機付モータ

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ドラムの巻胴面にロープ案内の溝を円周
    方向に複数並行して設けると共に、巻胴面の円周の所定
    区間に前記溝のない溝なし部をドラムの回転軸と平行方
    向全長に渡って設け、ドラム側壁に接した巻胴面端の溝
    なし部と溝部との境界またはその境界に近い溝なし部か
    ら境界に接した溝部の方に向けてロープの巻取りを開始
    するようにし、前記ドラムを同軸に巻取り部と繰出し部
    の二つの巻胴面を備えた構造とし、巻取り部では巻胴面
    端の溝なし部と溝部との境界またはその境界に近い溝な
    し部からその境界に接した溝部に向けてロープの巻取り
    を開始すると共に、繰出し部では巻胴面端で溝なし部と
    溝部の前記巻取り部とは反対側の境界またはこの境界に
    近い溝なし部からこの境界に接した溝部に向けて巻取り
    部とは反対方向にロープの巻取りを開始するようにし
    て、それぞれの巻胴面にロープを巻き方向を変えて巻付
    けて、ドラムの回転でロープを同時に巻取り・繰出しす
    るようにしたウインチ装置。
  2. 【請求項2】 溝なし部を巻胴面の円周の所定の一区間
    に設け、巻胴面端のロープの巻取り開始位置にロープ端
    を巻胴面からドラムの溝なし部内側部分へ向け斜めに引
    き込む孔を設け、孔に通したロープ端を巻胴面側からね
    じ込んだ止めねじで締付けて係止した、請求項1に記載
    ウインチ装置。
  3. 【請求項3】 ドラムの巻胴面にロープ案内の溝を円周
    方向に複数並行して設けると共に、巻胴面の円周の所定
    区間に前記溝のない溝なし部をドラムの回転軸と平行方
    向全長に渡って設け、ドラム側壁に接した巻胴面端の溝
    なし部と溝部との境界またはその境界に近い溝なし部か
    ら境界に接した溝部の方に向けてロープの巻取りを開始
    するようにし、前記溝なし部を巻胴面の円周の180°
    離れた二つの所定区間に設け、二つの溝なし部で隔てら
    れた二つの溝部の一方の溝を他方の溝に対し溝ピッチを
    溝幅半分ずつずらして設けるようにしたウインチ装置。
  4. 【請求項4】 なし部を巻胴面の180°離れた二つ
    の所定区間に設け、二つの溝なし部で隔てられた二つの
    溝部の一方の溝を他方の溝に対し溝ピッチを溝幅半分ず
    つずらして設けるようにした請求項記載のウインチ装
    置。
  5. 【請求項5】 前記溝なし部を溝部の溝底の径よりドラ
    ム内側に向け凹んだ形状とした、請求項1〜4に記載の
    ウインチ装置。
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