JP3873244B2 - 糸条巻取筒 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、糸状巻取筒に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
糸状巻取筒に巻き取られた糸等は、一般的には外層より解舒される。しかし、解舒するには、巻取筒を回転させなければならない。このため、解舒の際に糸条等に抵抗が生じ、糸条が損傷する場合がある。また、この方法では高速に取り出すことは困難である。
【0003】
そこで、糸条を内側から取り出すことが考えられる。この方法では、全体を回転させる必要がないため、糸条が損傷することもなく、且つ高速で取り出すこともできる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、巻き取られた糸条を内側から取り出すためには、巻取り芯を除去しなければならない。これは、非常に困難であり、鋏等で切断しつつ除去するのであるが、非常に手間である。また、その鋏等の切断具によって糸条を切断したり、損傷を与えることも考えられる。
【0005】
よって、本業界では、糸条等を巻取る場合においては通常の巻取芯であって、且つ巻取った後に、その巻芯を簡単に除去できるものが要望されていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このような現状に鑑み、本発明者は鋭意研究の結果本発明糸条巻取筒を完成したものであり、その特徴とするところは、2枚の帯状原紙を螺旋状に一部重複させながら重合して製造した紙管であって、該2枚の原紙の他方の接合部に対応する位置に螺旋状に切取容易加工を施した点にある。
【0007】
本発明でいう糸条とは、一般の糸だけでなく紐等も含み、要するに柔軟で細く巻き取ったものを内側から引っ張り出せるものを言う。
本発明の糸条巻取筒は、紙管であり、2枚の帯状原紙を螺旋状に一部重複させながら重合して製造したものである。
【0008】
螺旋状にする理由は、切取りが容易であり円筒の端部からも作業できるようにするためである。螺旋の角度は自由であるが、円筒の半径方向に対して、角度が小さいと切断は容易であるが、切断距離が長くなる。角度が大きいと、その逆になる。実験では、30°〜60°が好適であった。勿論、完全に螺旋状である必要はなく、ほぼ螺旋状でよい。
【0009】
切取容易加工とは、部分的に貫通孔を設ける(ミシン目を入れる等)、その部分に所定深さまで切込みを入れる等の加工であって、要するに他の部分よりも切断容易になっていればよい。切断作業上は、手で簡単に切断できる程度の切断容易性があれば好適である。勿論、部分的に貫通孔を設けることと、所定深さまで切込みを入れることを併用してもよい。
【0010】
切込みや貫通孔の平面形状は、通常は矩形、又は円形、楕円形であるが、端部からの順の切断を容易にするため、平面視三角形にして切断方向を限定するようにしてもよい。
【0011】
また、本体が帯状原紙を螺旋状に2層捻回重合(原紙を螺旋状に一部重複させながら重合すること)しており、切取容易加工を施す場所は、他方の原紙の接合部に対応する位置である。このようにすると、加工が片方の原紙のみでよいという利点がある。切取容易加工を施すのは外側原紙であっても、内側原紙であってもよい。
【0012】
本糸状巻取筒の外側表面には、被巻取物によって表面を凹凸にするためエンボス加工、グループ加工又は粒子塗布を行なってもよい。また、外側表面には、保護等のために薄膜フィルムを設けてもよい。これは、本糸状巻取筒が除去された後除去すればよい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下図面に示す実施の形態に基づいて本発明をより詳細に説明する。図1は、本発明の糸状巻取筒1の1例を示す斜視図である。この例は、本体が1層構造で、プラスチック製のものである。糸状巻取筒1の周囲に螺旋状にミシン目(間欠的に連続する貫通孔)が施されている。図2はこのミシン目の断面図であり、図2(a)はA−A断面図、図2(b)はB−B断面図である。斜線部がプラスチック部である。但し、曲線は直線状に示している。
【0014】
図3は、本発明の他の例を示す斜視図である。これは紙製であり、2重に捻回重合したものである。この内側原紙2に切取容易加工を施している。施す位置は、外側原紙3の接合部(接合間隙)に対応する部分である。勿論、図3では接合部が大きく離間しているが、接当していてもよくことは当然である。図4は、この切取容易加工部の断面図であり、図4(a)はC−C断面図、図4(b)はD−D断面図である。図4(a)から、内側原紙に断面くさび状の切込みが設けられていることがわかる。図4(b)から、間欠的に切断されていることも分かる。
【0015】
図5は、図4(b)と同種の図面であり、切取容易加工部をその長手方向で断面した図である。図5(a)は、間欠的に入れる切込みの形状が台形のものであり、(b)は連続して浅い切込みを入れ、更に間欠的に貫通孔を設ける方式のものである。(c)は、(b)と同様であるが、その形状が台形のものである。
【0016】
図6は、切取容易加工部の平面図であり、直線状にしたものである。これは単に、設ける切込みの形状を示すものである。これを単なる貫通孔としても、連続して浅い切込みを入れ、更に間欠的に設ける貫通孔としてもよい。図6(a)は、三角形状に切込みを入れて左から切断していく場合に切断線がそれることを防止する。(b)は、単なる矩形の切込みである。(c)は、(a)をより強化した形状のものである。
【0017】
図7は、2重紙管についての本発明の製造方法についての概略平面図である。巻芯4が巻芯固定装置5によって保持され、帯状原紙6、7が巻芯4に巻付けられ、基筒8に懸架されたベルト9により捻回重合され接着剤によって成形される。この成形された紙管は所定長さLでカッター10によって切断される。本発明の切取容易加工を施す方法は、外側原紙6の端部で、内側原紙に切込み歯11によって間欠切込みを入れる方法である。このようにすると、外側原紙の接当部の下方に切取容易部が位置することとなる。
【0018】
図8は、この切込み歯11が間欠切込みを入れるところを示す断面図である。歯車状の歯が間欠的に切込みを入れるのが分かる。
【0019】
図9は、本発明切取容易加工を施した糸状巻取筒を内側から切断除去するところを示す図であり、巻取筒外側の被巻取糸に影響を与えず、巻取筒が除去できることを示している。
【0020】
【発明の効果】
本発明糸状巻取筒には次のような大きな利点がある。
(1) 糸状巻取筒が内側から簡単に除去でき、糸等が内側から取り出せる。
(2) 製造が簡単で、ほとんどコストアップがない。
(3) 糸状巻取筒を除去する際に被巻取物を損傷しない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の糸状巻取筒の1例を示す斜視図である。
【図2】 図1のミシン目の断面図である。
【図3】 本発明の糸状巻取筒の他の例を示す斜視図である。
【図4】 図3の切取容易加工部の断面図である。
【図5】 他の切取容易加工部の断面図である。
【図6】 切取容易加工部の平面図である。
【図7】 2重紙管についての本発明の製造方法についての概略平面図である。
【図8】 切込み歯11が間欠切込みを入れるところを示す断面図である。
【図9】 本発明切取容易加工を施した糸状巻取筒を内側から切断除去するところを示す斜視図である。
【符号の説明】
1 糸状巻取筒
2 内側原紙
3 外側原紙
4 巻芯
5 巻芯固定装置
6 帯状原紙
7 帯状原紙
8 基筒
9 ベルト
10 カッター
11 切込み歯

Claims (1)

  1. 2枚の帯状原紙を螺旋状に一部重複させながら重合して製造した紙管であって、該2枚の原紙の他方の接合部に対応する位置に螺旋状に切取容易加工を施したことを特徴とする糸条巻取筒。
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