JP2708229B2 - 光ディスク製造用モノマー組成物 - Google Patents

光ディスク製造用モノマー組成物

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JP2708229B2
JP2708229B2 JP1138094A JP13809489A JP2708229B2 JP 2708229 B2 JP2708229 B2 JP 2708229B2 JP 1138094 A JP1138094 A JP 1138094A JP 13809489 A JP13809489 A JP 13809489A JP 2708229 B2 JP2708229 B2 JP 2708229B2
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真弓 影山
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は光ディスク製造用モノマー組成物に関し、特
に透明支持体上に凹凸パターンの樹脂層を有する光ディ
スク基板の前記凹凸パターンの樹脂層を形成するのに有
用なモノマー組成物に関する。
[従来技術] 表面に微細な凹凸パターンが設けられている光ディス
ク基板において、前記パターンは型板の凹凸を転写する
方法で形成されている。転写方法としては、微細な凹凸
形状を有する型板と透明支持体との間に均一な厚みで、
紫外線等により硬化し得るモノマー組成物層を設け、透
明支持体側から紫外線等を照射して前記モノマー組成物
層を硬化させた後、型板を剥離して、透明支持体上に硬
化樹脂からなる凹凸パターンを形成する方法(この方法
はフォトポリメリゼーション(Photo−Polymerizatio
n)法と呼ばれ、以下2P法と略記する)があり、転写精
度、光学特性等の面で、熱可塑性樹脂を射出成形する方
法(インジェクション法)に比べて優れている。
このような2P法に用いるモノマー組成物としては、 (イ)硬化後の樹脂が吸水(吸湿)性が低く、長期間使
用による歪み、反り等の変形を生じず、記録用金属膜を
酸化させないこと、 (ロ)硬化後の樹脂の型板との離型が容易で、転写精度
が良好なこと、 (ハ)硬化後の樹脂が耐熱性に優れ、表面硬度が高く、
記録用金属膜の成膜時及び情報書換え時の熱や応力に耐
えて形状変化を起さないこと 等が必要とされる。
2P法に用いる、このようなモノマー組成物としては、
例えばエチレンオキサイド(EO)変性ビスフェノールA
(メタ)アクリレートを主体としたモノマー組成物が特
開昭61−117746号公報に、また3個の(メタ)アクリレ
ート基を有するイソシアヌル酸エステルを含有したモノ
マー組成物が特開昭62−88156号公報に、さらにトリシ
クロ[5.2.1.02.6]デシル(メタ)アクリレートを含有
したモノマー組成物が特開昭62−151413号公報にそれぞ
れ開示されている。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、2P法に用いられるモノマー組成物を実
用に供する際には、前述のように硬化後の樹脂の特性が
良好であることに加えて、硬化前のモノマー組成物が成
形に適切な粘度を有していることが重要であり、2P法に
よる光ディスク基板の生産性を左右する重要なパラメー
ターとなる。
2P法では、微細な凹凸形状を有する型板と透明支持体
との間に均一な厚みのモノマー組成物層を設ける必要が
あり、通常、その方法としては、モノマー組成物を型板
の一部分に滴下して上から透明支持体を押し当てて拡げ
る圧延法;型板と透明支持体を間隔をあけて配置し、そ
の間にモノマー組成物を注入する注入法;スピンコート
法、浸漬法などにより型板にモノマー組成物を塗布した
後、透明支持体を押し当てる方法などが適用されてい
る。
その際に、モノマー組成物の粘度が低すぎると、モノ
マー組成物層の膜厚の制御が困難となったり、支持体を
押し当てる際に内部に気泡を巻き込んで欠陥を生じたり
して生産性が低下するという問題が生じる。また型板と
の湿潤性が必要以上に高まり、硬化後の樹脂の離型性を
悪化させることもある。また一方、モノマー組成物の粘
度が高すぎると、型板への均一な塗布が困難となった
り、支持体圧着の際に大きな押圧力が必要となり、成形
装置が大型化してしまうといった問題を生じる。
前述の特開昭62−151413号公報に開示されたトリシク
ロ[5.2.1.02.6デシル(メタ)アクリレートは、硬化後
の樹脂が低吸水性ではあるものの、粘度が12センチポイ
ズ(25℃)と低いため、この化合物の含有量が多いモノ
マー組成物では実際の成形が困難であり、硬化後の樹脂
の型板との離型性も不良であるという欠点がある。
また、特開昭61−117746号公報に開示されたエチレン
オキサイド(EO)変性ビスフェノールA(メタ)アクリ
レートを主成分としたモノマー組成物は、2P法で使用で
きる粘度であっても硬化後の樹脂および耐熱性が低いと
いう欠点があり、またこのモノマーを粘度調整の目的で
使用しても少量では粘度調整の効果が現われないという
欠点がある。
さらに、特開昭62−88156号公報に開示された(メ
タ)アクリレート基含有イソシアヌル酸エステルを主成
分とするモノマー組成物は、2P法で使用できる粘度であ
っても硬化後の樹脂の吸水率が高く、型板との離型性も
悪いという欠点があり、またこのモノマーを粘度調整の
目的で使用しても少量では粘度調整の効果が現われない
という欠点がある。
したがって、これらのモノマーを多量に使用したもの
は、硬化後の樹脂特性が良好であっても硬化前のモノマ
ー組成物の粘度が適切でなく、気泡の巻き込みや離型性
に乏しいといった問題を生じたり、逆に粘度は成形上問
題なくても、硬化後の樹脂特性が劣化するといった問題
を有している。
従って本発明の目的は、以上説明したような従来技術
の問題点を解消し、低吸水性、耐熱性、硬度、離型性と
いった硬化後の樹脂特性に優れているだけでなく、2P法
による光ディスクの製造時に気泡の巻き込みがなくモノ
マー層の膜厚の制御も容易な適切な粘度を有し、その結
果、転写精度、光学特性に優れ、信頼性にも優れた光デ
ィスクを生産性良く製造することが可能な、光ディスク
製造用モノマー組成物を提供することにある。
また本発明の他の目的は硬化した後の樹脂の特性に影
響を与えることなく、モノマー組成物の粘度を任意に調
整し、光ディスクの生産性を向上させることが可能なモ
ノマー組成物を提供することにある。
[課題を解決するための手段] 本発明は上記目的を達成するためになされたものであ
り、本発明の光ディスク製造用モノマー組成物は、主鎖
がポリスチレン単位を含み、末端に少なくとも1個のエ
チレン性不飽和基を有するスチレンマクロモノマーを、
光ディスク製造用モノマーに含有させたことを特徴とす
る。
本発明の光ディスク製造用モノマー組成物は、後述す
るように、光ディスク基板上に設けた記録膜上に塗布、
硬化させて保護膜を形成するためにも用いられるが、2P
法により、透明支持体上に凹凸パターンの樹脂層を設け
て光ディスク基板を製造する場合に特に好ましく用いら
れるので、以下、2P法による光ディスク基板製造用モノ
マー組成物を中心に本発明を詳細に説明する。
本発明に使用される、主鎖がポリスチレン単位を含
み、末端に少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有す
るスチレンマクロモノマーは、光ディスク基板製造用モ
ノマー組成物の成形性を左右する粘度を任意に調整する
ための成分である。スチレンマクロモノマーは、上述の
如く(a)主鎖がポリスチレン単位を含むこと及び
(b)末端に少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有
することが要件となる。先ず要件(a)について説明す
ると、ポリスチレン単位は、式 によって表わされ、スチレンの繰り返し数を示すnは5
〜1,000、特に80〜500であるのが好ましい。その理由
は、nが5未満であると粘度調整効果が低下し、逆にn
が1,000を超えると、モノマー組成物が不均一となり、
硬化物が白濁するなどの実用上の問題を生じるからであ
る。
次に要件(b)はスチレンマクロモノマーと光ディス
ク基板製造用モノマーとを共重合させるために必要な条
件であり、例えば主鎖の一方の末端に1個のエチレン性
不飽和基が存在していても良く、また主鎖の両末端にそ
れぞれ1個のエチレン性不飽和基が存在しても良い。さ
らに主鎖に結合した側鎖の末端にエチレン性不飽和基が
存在するものも用いることができる。
上記要件(a)および(b)を満足するスチレンマク
ロモノマーとしては、下記の構造式のものが挙げられ
る。
(これらの構造式においてRは水素又はメチル基、nは
5〜1,000であり、n>mである) なお、上述のnと関連するが、スチレンマクロモノマ
ーの分子量は1,000〜100,000の範囲にあることが好まし
く、特に好ましくは10,000〜50,000の範囲である。これ
は、分子量が1,000未満になると粘度調整の効果が低下
し、逆に分子量が100,000を越えると、モノマー組成物
が不均一となり、硬化物が白濁するなどの実用上の問題
を生じるからである。
本発明において、スチレンマクロモノマーの使用量
は、スチレンマクロモノマーの分子量にも依存するが、
一般にモノマー組成物全体の0.1〜60重量%の範囲にあ
ることが好ましく、特に好ましくは1〜40重量%であ
る。これは0.1重量%未満であると粘度調整の効果が現
われず、逆に60重量%を超えるとモノマー組成物の粘度
が高くなり、成形が困難となるためである。
次に、本発明において上記スチレンマクロモノマーが
添加される光ディスク基板製造用モノマーとしては、1
分子中に少なくとも1個のエチレン性不飽和基を持つ化
合物で、樹脂成形温度で液体となるもの又は2種以上の
モノマーの混合物を使用する場合には、樹脂成形温度で
液体となるモノマー混合物であれば特に制限はなく、通
常紫外線等で硬化する公知のモノマーを使用することが
可能である。特に光ディスク基板用樹脂の性能を良好な
ものとするためには、例えばイソボルニル(メタ)アク
リレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、1.6
−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペン
チルグリコール(メタ)アクリレート、トリメチロ−ル
プロパントリ(メタ)アクリレート、ジオキサングリコ
ール(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキ
サ(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレー
ト、エチレンオキサイド(EO)変性ビスフェノールAジ
(メタ)アクリレート、ビニルp−t−ブチルベンゾエ
ート、フェニル(メタ)アクリレート、スチレン、t−
ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシク
ロ[5.2.1.02.6]デシル(メタ)アクリレート、ビス
(メタ)アクリロキシメチルトリシクロ[5.2.1.02.6
デカン、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプ
ロパンジ(メタ)アクリレート、トリス((メタ)アク
リロキシエチル)イソシアヌレート等のモノマーが挙げ
られる。これら1分子中に少なくとも1個以上のエチレ
ン性不飽和基を持つモノマーは、1種、または2種以上
を混合して用いても良い。また、前記モノマーのうちエ
チレンオキサイド(EO)変性ビスフェノールAジ(メ
タ)アクリレートと、トリス((メタ)アクリロキシエ
チル)イソシアヌレートを適用する際には、硬化物の物
性を低下させないために、前記の他のモノマー等と混合
し、モノマー組成物全体の20重量%以下の割合に限定し
て使用するのが良い。
次に、本発明で任意成分として用いられる光重合開始
剤について説明する。光重合開始剤は、紫外線等を吸収
してラジカルを発生するタイプのものであれば特に制限
はない。具体的には例えば2,2′−ジエトキシアセトフ
ェノン,2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロ
パン−1−オン,ベンゾフェノン,ミヒラーケトン,2−
クロロチオキサントン,2−イソプロピルチオキサント
ン,ベンゾイン,ベンゾインイソブチルエーテル,ベン
ジル,2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン,2−メチ
ル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフオリ
ノ−1−プロパノン等から選ばれた少なくとも1種の化
合物が挙げられる。また前記ベンゾフェノン、2−クロ
ロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、
ベンジルなどを使用する場合、増感剤としてN−ブチル
アミン、トリエチルアミン、ジエチルアミノエチルメタ
クリレート、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエ
ステル等を添加するとさらに硬化速度が促進されて好適
である。
任意成分として用いられる光重合開始剤の添加量は、
モノマー組成物全体の10重量%以下が好ましく、特に好
ましくは5重量%以下である。これは、10重量%を超え
ると、硬化後の樹脂の物性を低下させてしまうからであ
る。
また本発明のモノマー組成物を電子線等の照射により
硬化させる場合は、光重合開始剤の添加は必要ない。
光ディスク用基板の製造に用いる本発明のモノマー組
成物は前記化合物の組合せによって十分目的を達成し得
るものであるが、更に性能改良のために、本来の特性を
損なわない範囲で、シランカップリング剤、重合禁止剤
等の任意成分を添加することも可能である。
本発明においては、上記の各成分を混合することによ
り、モノマー組成物の粘度を2P法を採用し得る5〜2,00
0センチポイズ(25℃)の範囲に調整することが好まし
く、特に好ましくは200〜1,000センチポイズに調整する
のが良い。これは、粘度が50センチポイズ未満である
と、成形時の膜厚のコントロールが困難となったり、気
泡を巻き込みやすくなるためである。逆に、2,000セン
チポイズを超えると、型板を加温しても粘度低下が十分
でなく、基板の圧着の際に必要な押圧力が大きくなって
しまい、成形性が低下するためである。
モノマー組成物の粘度調整はスチレンマクロモノマー
の割合の増減により行なわれる。すなわちスチレンマク
ロモノマーの割合を増加させることにより、モノマー組
成物全体の粘度を増加させることができ、逆にスチレン
マクロモノマーの割合を減少させることによりモノマー
組成物全体の粘度を減少させることができる。
モノマー組成物の粘度は成形時の条件に合せて調整す
る必要がある。例えば成形時の温度が高くなると、モノ
マー組成物全体の粘度が著しく低下するため室温におけ
るモノマー組成物の粘度を高めに設定する必要が生じる
し、モノマー組成物の型板への塗布方法が異なれば、最
適粘度も異なるため、各々の方法に合せて粘度を変動さ
せる必要が生じる。本発明によれば、このように成形時
の条件に合せて粘度を調整する際に、モノマー組成物中
のスチレンマクロモノマーの割合のみをわずかに増減す
ることにより粘度を容易に制御することができるという
利点がある。
次に本発明のモノマー組成物を用いた光ディスク基板
の製造方法の一例を説明する。
まず、透明支持体としては、ポリメチルメタクリレー
ト、ポリカーボネート、エポキシ樹脂などのプラスチッ
クや、ガラスなどから選ばれた平板が用いられる。支持
体の表面に硬化樹脂層との接着性を上げる目的でシラン
カップリング剤などを用いた処理を施しても良い。
次に成形条件に対応してスチレンマクロモノマーで最
適な粘度に調整したモノマー組成物を調製する。このモ
ノマー組成物を各成分が均一になるまで十分混合したあ
と、これを微細な凹凸パターンを有する型板上に塗布し
透明支持体を上から圧着して、均一な厚みのモノマー組
成物層を得る。
次に、透明支持体側から紫外線などを照射し、前記モ
ノマー組成物層を硬化させた後に型板を剥離して凹凸パ
ターンを転写した硬化樹脂層が密着した光ディスク基板
を得る。こうして得られた光ディスク基板は低吸水性、
硬度、耐熱性、離型性などの点において優れた特性を有
している。尚この光ディスク基板上に通常用いられてい
る無機または有機材料から成る記録層を設けることによ
り光ディスク(情報記録媒体)が得られる。
以上説明したように、本発明によればスチレンマクロ
モノマーを含有することで2P法による光ディスク基板の
成形に最適な粘度を有するモノマー組成物を得ることが
でき、また、硬化後の樹脂の物性も良好なものとするこ
とができる。
なお、以上の記述はすべて本発明のモノマー組成物
を、透明支持体上に微細な凹凸パターンの樹脂層を2P法
により形成するために用いた例であるが、この他にも、
光ディスク基板上に記録膜を設けた後、この記録膜上に
本発明のモノマー組成物を塗布、硬化させ、保護膜とし
て使用することも可能である。
[実施例] 以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、
本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1 表−1に示すように、スチレンマクロモノマーとし
て、スチレンの繰り返し数(n)が110〜140のポリスチ
レン単位を主鎖中に含み、主鎖の一方の末端にメタクリ
レート官能基を有する、分子量(▲▼)が1.3×104
のスチレンマクロモノマー(表−1中のスチレンマクロ
モノマーA)30重量部を用いた。また光ディスク基板製
造用モノマーとして、イソボルニルアクリレート(表−
1中のモノマーF)35重量部および1,6−ヘキサンジオ
ールジアクリレート(表−1中のモノマーG)35重量部
を、そして光重合開始剤として、2,2−ジメトキシ−2
−フェニルアセトフェノン(表−1中の重合開始剤L)
4重量部をそれぞれ用いた。これらの成分を混合し、均
一なモノマー組成物を得た。この組成物の粘度は380セ
ンチポイズ(25℃)であり、成形に最適な値であった。
次に、トラッキング用溝に対応する微細な凹凸形状を有
したニッケル製の型板と、表面にシランカップリング剤
を用いて処理を施したガラス製の透明支持体(直径130m
m,厚さ1.2mm)との間にこのモノマー組成物を注入して
圧着し、均一な厚みの層を形成させた。この際、気泡の
混入などは見られず、膜厚のコントロールも容易であ
り、成形性も良好であった。
その後、透明支持体側から30mW/cm2(350nm)の照度
で紫外線を1分間照射して、モノマー組成物を硬化さ
せ、型板を剥離し、表面に微細な凹凸パターンの樹脂層
を有する光ディスク基板を得た。型板からの剥離は容易
であり、得られた基板表面は型板の凹凸形状を精度よく
転写していた。
この硬化樹脂の物性を評価するために、次の方法によ
り各種物性を測定した。尚、下記(4)、(5)、
(6)については光ディスク基板作製の際と同じ照射条
件にて硬化物を別に作製して、その物性を測定した。
(1)粘度 芝浦システム(株)製ビスメトロン回転粘度計を用い
て25℃におけるモノマー組成物の粘度を測定した。
(2)成形性 モノマー組成物塗布後、透明支持体を圧着する際に気
泡の発生が無く、膜厚のコントロールも容易である場合
を○、また気泡の巻き込みが見られたり、膜厚のコント
ロールが困難となったものを×とした。
(3)離型性 硬化樹脂層と型板との離型性が良好な場合を○、離型
に過剰な力を必要としたり、離型後、硬化樹脂が変形
(破損)したり一部が型板に残ったりした場合を×とし
た。
(4)吸水率 26mm×24mm×0.2mmの大きさの硬化物を室温で24時間
真空乾燥したものの重量を乾燥重量(Wd)、室温で24時
間水中浸漬したものの重量を含水重量(Ww)とし、次式
より求めた。
(5)耐熱性 (株)リガク製高性能示差走査熱量計DSC−10Aを用い
て硬化物のガラス転移点(Tg)を測定することで評価し
た。
(6)硬度 明石製作所製微小硬度計を用いて、荷重50gf、10sの
条件で硬化物のビッカーズ硬度を測定した。
(1)〜(6)についての測定結果は表−1に示し
た。
本実施例のモノマー組成物は、成形に適した粘度を有
し、成形性、硬化後の樹脂の離型性共に良好であった。
また硬化物の物性も、吸水率が0.5%と低く、Tgと132℃
と耐熱性に優れ、硬度が15で良好であり、光ディスク基
板として優れていた。
比較例1 実施例1において用いたスチレンマクロモノマーAを
用いなかった以外は実施例1と同様の方法に従って光デ
ィスク基板を作成した。各測定値を表−1に示した。
このモノマー組成物は、粘度が8センチポイズ(25
℃)と低いため、成形途中で気泡の混入が見られ、膜厚
のコントロールも困難であり、成形性に劣っていた。ま
た、型板との離型性も不良であり、光ディスク基板とし
て不適当であった。
実施例2〜5 表−1に示したスチレンマクロモノマー、光ディスク
基板製造用モノマーおよび光重合開始剤を使用して、実
施例1の方法に従って光ディスク基板を作製した。
(1)〜(6)についての測定結果を表−1に示した。
いずれのモノマー組成物も、実施例1と同様に成形性、
硬化後の樹脂の離型性に優れ、硬化後の樹脂の物性も吸
水率が1.0%以下と低く、Tgが104℃以上と耐熱性に優
れ、硬度が15以上で良好であり、光ディスク基板として
優れていた。
比較例2 実施例3において用いたスチレンマクロモノマーBを
用いなかった以外は実施例3と同様にして光ディスク基
板を作製した。(1)〜(6)についての測定結果を表
−1に示した。このモノマー組成物は、粘度が9センチ
ポイズ(25℃)と低いため、成形途中で気泡の混入が見
られ、膜厚のコントロールも困難であり、成形性に劣っ
ていた。また型板との離型性も不良であり、光ディスク
基板として不適当であった。
実施例6〜8 実施例5のスチレンマクロモノマーAの量(2重量
部)を0.8重量部(実施例6)、8重量部(実施例7)
および10重量部(実施例8)に変えた(これに伴ない実
施例5の光ディスク基板製造用モノマーIの量(98重量
部)も99.2重量部(実施例6)、92重量部(実施例7)
および90重量部(実施例8)に変えた)以外は実施例5
と同様にして3種のモノマー組成物を調製した。これら
の組成物は、スチレンマクロモノマーの量を変えたこと
により、粘度が実施例5の組成物と大きく異なるものと
なった。この様に、組成物中のスチレンマクロモノマー
の割合をわずかに増減することにより、広範囲の粘度調
整が可能であることが明らかとなった。またこれらの組
成物を用いて実施例5と同様にして光ディスク基板を作
製した。各測定値を表−1に示した。いずれも、実施例
1と同様、またはそれ以上に成形性、離型性に優れ、硬
化後の樹脂の物性も吸水率が1.0%以下と低く、Tgが200
℃以上と耐熱性に優れ、硬度が21と良好であり、光ディ
スク基板として優れていた。
比較例3 実施例8と同等の粘度に調整するために、スチレンマ
クロモノマーAの代りにトリス(アクリロキシエチル)
イソシアヌレート(表−1中の粘度調整剤D)を用いた
以外は、実施例8と同様にして光ディスク基板を作製し
た。(1)〜(6)についての測定結果を表−1に示し
た。このモノマー組成物の硬化物は、型板との離型性が
不良であった。また吸水率が2.4%と著しく高くなって
しまい光ディスク基板としては不適当であった。
実施例9〜13 表−1に示したスチレンマクロモノマー、光ディスク
基板製造用モノマーおよび光重合開始剤を使用して、実
施例1の方法に従って光ディスク基板を作製した。
(1)〜(6)についての測定結果を表−1に示した。
いずれのモノマー組成物も、実施例1と同様、またはそ
れ以上に成形性、硬化後の樹脂の離型性に優れ、硬化後
の樹脂物性も吸水率が1.0%以下と低く、Tgが200℃以上
と耐熱性に優れ、硬度が19以上と良好であり、光ディス
ク基板として優れていた。
比較例4 実施例9と同等の粘度に調整するために、スチレンマ
クロモノマーCの代わりにエチレンオキサイド(EO)変
性ビスフェノールAジアクリレート(表−1中の粘度調
整剤E)を用いた以外は、実施例9と同様にして光ディ
スク基板を作製した。(1)〜(6)についての測定結
果を表−1に示した。得られた硬化樹脂は、Tg 87℃、
硬度13と低く、耐熱性、硬度の面で劣っていた。このた
め、光ディスク基板としては不適当であった。
表−1中の物質は以下の通りである。
(1)スチレンマクロモノマーA: スチレンマクロモノマーB: スチレンマクロモノマーC: (2)粘度調整剤D:トリス(アクリロキシメチル)イソ
シアヌレート 〃 E:エチレンオキサイド(EO)変性ビス
フェノールAジアクリレート (3)光ディスク基板 製造用モノマーF:イソボルニルアクリレート 〃 G:1.6−ヘキサンジオールジアクリレ
ート 〃 H:トリシクロ[5.2.1.02.6]デシルア
クリレート 〃 I:ビスアクリロキシメチルトリシクロ
[5.2.1.02.6]デカン 〃 J:ネオペンチルグリコール変性トリメ
チロールプロパンジアクリレート 〃 K:含フッ素ビスフェノールAジアクリ
レート (4)光重合開始剤L:2,2−ジメトキシ−2−フェニル
アセトフェノン 〃 M:1−ヒドロキシシクロヘキシルフ
ェニルケトン 〃 N:2−メチル[4−(メチルチオ)
フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン [発明の効果] 以上説明したように、スチレンマクロモノマーを含有
した本発明の光ディスク製造用モノマー組成物は、例え
ば2P法による光ディスク基板の製造に際して、気泡の巻
き込みがなく、膜厚の制御も容易であるという良好な成
形性を有するとともに硬化後の樹脂の離型性にも優れて
おり、しかも硬化後の樹脂は低吸水性であり、耐熱性、
硬度にも優れている。
また、スチレンマクロモノマーを含有した本発明の光
ディスク用製造用モノマー組成物は、組成物中のスチレ
ンマクロモノマーの割合をわずかに変動させるだけで、
成形温度やモノマー組成物の塗布方法などの成形条件に
応じて、硬化物の特性を損なうことなく、成形上最適な
粘度に調整できるという特長を有している。
以上の様な優れた効果は、従来技術にはなかったもの
であり、本発明に特有の効果である。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】主鎖がポリスチレン単位を含み、末端に少
    なくとも1個のエチレン性不飽和基を有するスチレンマ
    クロモノマーを、光ディスク製造用モノマーに含有させ
    たことを特徴とする光ディスク製造用モノマー組成物。
  2. 【請求項2】請求項(1)に記載のモノマー組成物を硬
    化することにより得られた硬化樹脂により少なくともそ
    の一部が形成されていることを特徴とする光ディスク。
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