JP2707709B2 - フェノール系化合物およびこれを有効成分とするブタジエン系ポリマー用安定剤 - Google Patents

フェノール系化合物およびこれを有効成分とするブタジエン系ポリマー用安定剤

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JP2707709B2 JP1094937A JP9493789A JP2707709B2 JP 2707709 B2 JP2707709 B2 JP 2707709B2 JP 1094937 A JP1094937 A JP 1094937A JP 9493789 A JP9493789 A JP 9493789A JP 2707709 B2 JP2707709 B2 JP 2707709B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明は、新しいフェノール系化合物およびこれを有
効成分とするブタジエン系ポリマー用の安定剤に関する
ものである。
〈従来の技術〉 溶液重合ポリブタジエンゴム(BR)、溶液重合スチレ
ン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)、スチレン−ブタジ
エンブロック共重合物(SBS)などのブタジエン系ポリ
マーは、通常、触媒としてチーグラー触媒あるいは有機
リチウム化合物を使用し、炭化水素溶媒中でアニオン重
合により製造されている。そして重合反応終了後のポリ
マー溶液からの重合溶媒の除去は、従来スチームストリ
ッピング法によっていたが、最近省エネルギーの面か
ら、スチーム使用量を理論上最小限におさえることので
きる溶媒直接乾燥法が提案されている。
しかしこの方法は、通常、重合溶媒の沸点よりもかな
り高い約150〜200℃の高温で処理されるため、処理中に
ゲルが発生したり、高温処理後のポリマーが着色するな
どの問題がある。そこで、ブタジエン系ポリマー製造工
程等の特に無酸素下における耐熱性向上および耐着色性
の向上が望まれていた。
さらに、SBSなどの押出成形や射出成形、またはBR、S
BRもしくはSBSで改質された耐衝撃性ポリスチレンなど
の押出成形や射出成形においては、加工工程の高温化お
よび高速化に伴って、耐熱性不足からフィッシュアイゲ
ル(fish eys gel)が発生し、そのためフィルム物性が
著しく低下したり、着色をきたしたりする問題が生じて
いる。したがって、これらの問題の解決が強く望まれて
いた。
従来、各種のフェノール系、リン系、イオウ系などの
酸化防止剤をブタジエン系ポリマーの製造、加工工程中
に添加することはよく知られている。例えば、 2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、 2,2′−メチレンビス(6−t−ブチル−4−メチルフ
ェノール)、 n−オクタデシル 3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−
ヒドロキシフェニル)プロピオネート、 トリエチレングリコール ビス〔3−(3−t−ブチル
−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネー
ト〕、 ペンタエリスリチル テトラキス〔3−(3,5−ジ−t
−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト〕、 1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブ
チル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン などのフェノール系酸化防止剤を単独で用いたり、これ
らのフェノール系酸化防止剤と、 トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、 ジステアリル ペンタエリスリトール ジホスファイト などのリン系酸化防止剤とを併用したり、あるいは前記
のフェノール系酸化防止剤と、 ジラウリル チオジプロピオネート、 ジミリスチル チオジプロピオネート、 ジステアリル チオジプロピオネート、 ペンタエリスリチル テトラキス(3−ラウリルチオプ
ロピオネート) などのイオウ系酸化防止剤とを併用する方法などが知ら
れている。
しかしこれらの方法は、ブタジエン系ポリマー製造時
のポリマー溶液からポリマーを分離するために高温処理
する際の、あるいはブタジエン系ポリマーを高温加工す
る際の、特に無酸素下での熱劣化(ゲル化)に対して
は、十分な効果を発揮することができない。
また、一般式(I) で示されるフェノール系化合物が、ブタジエン系ポリマ
ーの安定剤として知られている。
例えば米国特許第4,525,514号明細書には、上記一般
式(I)において、R1が水素、R2が炭素数1〜4のアル
キル基、R3がt−ブチル基である化合物が開示されてお
り、特にR2がメチル基である2−t−ブチル−6−(3
−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)
−4−メチルフェニル アクリレートが、ブタジエン系
ポリマーの安定剤として有効であることが記載されてい
る。この安定剤は、ブタジエン系ポリマー製造時のポリ
マー溶液からポリマーを分離するために高温処理する際
の、あるいはブタジエン系ポリマーを高温加工する際
の、特に無酸素下での熱劣化(ゲル化)に対しては効果
を発揮するが、分離したポリマーの色相が実用上不十分
であるという問題が明らかになってきた。
また特開昭63−146947号公報には、前記一般式(I)
において、R1が炭素数1〜4のアルキル基、R2が4級炭
素で結合する基(例えばt−ブチル基)またはフェニル
基、R3がt−ブチル基である化合物が、ブタジエン系ポ
リマーの無酸素下における熱劣化(ゲル化)や着色の防
止に有効であることが開示されている。
一方、各種合成樹脂に対する酸素存在下での酸化劣化
による着色を防止する難着色性酸化防止剤として、米国
特許第4,365,032号明細書は、前記一般式(I)で示さ
れるアクリレートを含む2,2′−アルキリデンビス(4,6
−ジ−アルキル置換フェノール)のモノエステル化合物
を提案している。そして同明細書は、前記一般式(I)
におけるR1を水素または炭素数1〜10のアルキル基と、
R2およびR3を炭素数1〜4のアルキル基、炭素数5〜6
のシクロアルキル基またはメチル置換された炭素数5〜
6のシクロアルキル基とそれぞれ規定している。
しかしながらこの特許明細書は、ブタジエン系ポリマ
ー製造時のポリマー溶液からポリマーを分離するために
高温処理する際、あるいはブタジエン系ポリマーを高温
加工する際等の、特に無酸素下における熱劣化(ゲル
化)や着色を防止することについてはまったく記載して
いない。また同明細書に具体的に開示されている化合物
は、ブタジエン系ポリマーの製造工程や高温加工工程等
における、特に無酸素下での熱劣化や着色の防止に対し
ては、十分な効果を発揮しなかった。
さらに特開昭62−223248号公報には、前記一般式
(I)で示されるフェノール系化合物と、他のフェノー
ル系化合物および/またはリン系化合物との併用によ
り、ポリエチレンを安定化することが記載されている。
同公報は、ポリエチレンの安定化について述べているだ
けであって、ブタジエン系ポリマーの安定化、特にブタ
ジエン系ポリマーの無酸素下における熱劣化(ゲル化)
や着色の防止についてはまったく教えていない。
また、ブタジエン系ポリマー製造時に安定剤を添加す
る場合は通常、重合溶媒として用いられる炭化水素系有
機溶媒に安定剤を溶解させ、それを重合反応終了後のポ
リマー溶液に添加することが多い。そこで、かかる安定
剤としては炭化水素系有機溶媒に対する溶解度の高いも
のが望ましく、溶解度が低い場合には、例えば安定剤溶
液のスラリー化による配管の閉塞が生じやすく、これを
避けるためには多額の投資が必要になるといった問題が
出てくる。しかし、従来公知の安定剤のうち、特にブタ
ジエン系ポリマーの製造時や加工時の高温における無酸
素下での熱劣化(ゲル化)や着色の防止に効果を発揮す
る化合物は、炭化水素系有機溶媒に対する溶解度があま
り高いものではなかった。
〈発明が解決しようとする課題〉 本発明の目的は、ブタジエン系ポリマー製造時のポリ
マー溶液からポリマーを分離するために高温処理する
際、あるいはブタジエン系ポリマーを高温加工する際
等、特に無酸素下における熱劣化(ゲル化)や着色を防
止するのに有効な化合物を提供することである。
本発明の別の目的は、ブタジエン系ポリマー製造時に
用いられる炭化水素系有機溶媒に対する溶解性にも優れ
た化合物を提供することである。
本発明のさらに別の目的は、かかる化合物を用いてブ
タジエン系ポリマーを安定化することである。
〈課題を解決するための手段〉 研究の結果、特定構造のフェノール系化合物が上記目
的を満たすこと、すなわちかかる化合物が炭化水素系有
機溶媒に対する溶解性に優れているために、ブタジエン
系ポリマー製造時に容易に添加でき、またかかる化合物
を含有させたブタジエン系ポリマーは、製造時の高温処
理あるいは高温加工に際し、無酸素下における熱劣化
(ゲル化)や着色に対しても安定であることを見出し、
本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、式(II) で示されるフェノール系化合物、およびこのフェノール
系化合物を有効成分とするブタジエン系ポリマー用安定
剤を提供するものである。また本発明は、このフェノー
ル系化合物を用いてブタジエン系ポリマーを安定化する
方法およびこの化合物を含有するブタジエン系ポリマー
組成物を提供する。
本発明の式(II)で示されるフェノール系化合物は、
概念的には先行文献に記載される前記一般式(I)で示
されるフェノール系化合物群に近いものであるが、具体
的には従来まったく知られていなかったものである。そ
して本発明によれば、置換基が特定された化合物、すな
わち式(II)で示される化合物が、公知の化合物に比べ
とりわけ優れた性質を有することが見出されたのであ
る。
前記一般式(I)で示されるフェノール系化合物群の
置換基R1は、ブタジエン系ポリマーの高温におけるゲル
化防止性能のうえから、アルキル基の炭素数が少ないほ
ど良好であり、メチル基が最も好ましい。またR2は、ブ
タジエン系ポリマーの着色を防止するうえで、4級炭素
を含む−C(CH3)2−R′で示される基が好ましく、特に
t−ブチル基、t−アミル基またはt−オクチル基が好
ましい。R3は、ブタジエン系ポリマーの高温におけるゲ
ル化防止性能から、4級炭素を含む−C(CH3)2−R′で
示される基が好ましく、特にt−ブチル基またはt−ア
ミル基が好ましい。そこで、ブタジエン系ポリマーの高
温におけるゲル化防止性能および着色防止性能を満たす
ためには、式(II)で示される本発明のフェノール系化
合物が有効である。
さらに、本発明のフェノール系化合物(II)の特筆す
べき特徴として、炭化水素系有機溶媒に対する溶解度
が、公知の類似化合物に比べ著しく高いことがあげられ
る。
したがってこのフェノール系化合物(II)は、ブタジ
エン系ポリマーの高温・無酸素下におけるゲル化防止性
能および着色防止性能に優れ、しかも炭化水素系有機溶
媒に対する溶解度も高いという、従来にみられない優れ
た効果を発揮する。
本発明のフェノール系化合物(II)は、2,2′−エチ
リデンビス(4,6−ジ−t−アミルフェノール)と、メ
タクリル酸、あるいは塩化メタクリリルや臭化メタクリ
リル、メタクリル酸無水物等の酸誘導体とのエステル化
反応により製造することができる(例えば、米国特許第
4,525,514号、第4,562,281号および第4,365,032号各明
細書参照)。
本発明のフェノール系化合物(II)をブタジエン系ポ
リマー用の安定剤として用いる場合、適用されるブタジ
エン系ポリマーとしては、溶液重合ポリブタジエンゴム
(BP)、溶液重合スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SB
R)、スチレン−ブタジエンブロック共重合物(SBS)、
BRまたはSBRまたはSBSで改質した耐衝撃性ポリスチレン
(HI−PS)などがあげられ、これらブタジエン系ポリマ
ーは単独であってもよいし、他のポリマーと配合して用
いてもよい。
ブタジエン系ポリマー中へのフェノール系化合物の配
合量は、ブタジエン系ポリマー100重量部あたり好まし
くは0.05〜2重量部、より好ましくは0.1〜1重量部で
ある。ここで、フェノール系化合物の量が0.05重量部未
満では目的とする効果が十分でなく、また2重量部を越
えてもそれに見合うだけの効果が得られないため経済的
に不利となる傾向がある。
本発明のフェノール系化合物をブタジエン系ポリマー
に添加する場合、この化合物をブタジエン系ポリマーの
重合溶媒として用いられる炭化水素系有機溶媒に溶解せ
しめた溶液とし、これを、アニオン重合反応終了後のブ
タジエン系ポリマー重合反応液中に添加する方法が適用
できる。また押出成形や射出成形等の加工時に、添加す
べきポリマーに本発明のフェノール系化合物をドライブ
レンドしてもよい。
本発明によれば、ブタジエン系ポリマーに、安定剤と
して上記フェノール系化合物を含有させることによっ
て、優れた性質を有するブタジエン系ポリマー組成物が
得られるが、必要に応じてさらに他のフェノール系化合
物や他の添加剤、例えば紫外線吸収剤、光安定剤、酸化
防止剤、金属不活性化剤、金属石ケン類、造核剤、滑
剤、帯電防止剤、難燃剤、顔料および充填剤などを配合
してもよい。
これら添加剤の具体例をあげると、次のようなものが
ある。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、 2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、 n−オクタデシル 3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−
ヒドロキシフェニル)プロピオネート、 トリエチレングリコール ビス〔3−(3−t−ブチル
−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネー
ト〕、 ペンタエリスリチル テトラキス〔3−(3,5−ジ−t
−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト〕、 1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブ
チル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン などがあげられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、 2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、 2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、 2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾト
リアゾール、 2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフ
ェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、 2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニ
ル)−5−クロロベンゾトリアゾール、 2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニ
ル)ベンゾトリアゾール、 2,4−ジ−t−ブチルフェニル 3,5−ジ−t−ブチル−
4−ヒドロキシベンゾエート、 〔2,2′−チオビス(4−t−オクチルフェノラー
ト)〕/n−ブチルアミンNi塩などがあげられる。
ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、 2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル ベンゾエー
ト、 ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル) セ
バケート、 ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)2
−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)
−2−n−ブチルマロネート、 4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロピオニルオキシ〕−1−〔2−{3−(3,
5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピ
オニルオキシ}エチル〕−2,2,6,6−テトラメチルピペ
リジン、 ジメチル スクシネートと4−ヒドロキシ−1−(2−
ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピ
ペリジンとの重縮合物、 ポリ{〔6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ
−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル〕〔(2,2,6,6−テ
トラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン
〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミ
ノ〕}、 ポリ{〔6−モルホリノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジ
イル〕〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)
イミノ〕ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−
4−ピペリジル)イミノ〕}、 2−メチル−2−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペ
リジル)アミノ−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−
ピペリジル)プロピオンアミド などがあげられる。
イオウ系酸化防止剤としては、例えば、 ジラウリル チオジプロピオネート、 ジミリスチル チオジプロピオネート、 ジステアリル チオジプロピオネート、 3,9−ビス(2−ドデシルチオエチル)−2,4,8,10−テ
トラオキサスピロ〔5・5〕ウンデカン などがあげられる。
リン系酸化防止剤としては、例えば、 ジステリアル ペンタエリスリトール ジホスファイ
ト、 ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリ
トール ジホスファイト、 テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4′−ビ
フェニレン ジホスフォナイト、 ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペ
ンタエリスリトール ジホスファイト などがあげられる。
本発明の前記式(II)で示されるフェノール系化合物
を有効成分とするブタジエン系ポリマー用の安定剤は、
この化合物単体であってもよいし、ブタジエン系ポリマ
ーの物性に影響を与えない担体と混合したものであって
もよいし、さらには前記した種々の添加剤の一つまたは
それ以上と混合したものであってもよい。またもちろ
ん、前述したような炭化水素系有機溶媒の溶液にしたも
のでもよい。
〈実施例〉 次に、本発明を実施例によってさらに詳細に説明する
が、本発明はこれらにより限定されるものではない。な
お以下の例において、比較のために用いた化合物AO−1
〜AO−4は、それぞれ次のものを表わす。
AO−1:2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒ
ドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニル
アクリレート AO−2:2,4−ジ−t−ブチル−6−〔1−(3,5−ジ−t
−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)エチル〕フェニル
アクリレート AO−3:2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール AO−4:n−オクタデシル 3−(3,5−ジ−t−ブチル−
4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート 実施例1 温度計、撹拌装置、冷却管および滴下漏斗を備えた2l
四ツ口フラスコに、2,2′−エチリデンビス(4,6−ジ−
t−アミルフェノール)494.8g(1.0モル)、メタクリ
ル酸86.1g(1.0モル)、n−ヘプタン400gおよびトリエ
チルアミン212.5g(2.1モル)を仕込み、容器内を窒素
置換した後、撹拌しながらオキシ塩化リン107.3g(0.7
モル)を滴下した。滴下終了後80℃で1時間保温し、次
いで水500gを仕込み、60℃にて水洗、分液した。
油層の水洗、分液を、さらに洗液がほぼ中性になるま
でくりかえした後、油層を5℃まで撹拌下冷却し、結晶
を析出させた。同温度にて撹拌をさらに続け、十分に結
晶を析出させた後、結晶を濾別し、冷n−ヘプタンで洗
浄、減圧乾燥して、融点103〜105℃の白色結晶状の2,4
−ジ−t−アミル−6−〔1−(3,5−ジ−t−アミル
−2−ヒドロキシフェニル)エチル〕フェニル メタク
リレート(II)268.6gを得た。
元素分析値 測定値 (計算値) C: 81.14% (81.09%) H: 10.43% (10.39%) 質量分析値(FD−MS) M/Z 562(M+) 実施例2 本発明のフェノール系化合物(II)、ならびに類似の
公知化合物であるAO−1およびAO−2について、炭化水
素系有機溶媒に対する溶解度を調べた。炭化水素系溶媒
としては、n−ヘキサンおよびシクロヘキサンを用い
た。結果を表−1に示す。
実施例3 窒素雰囲気下、n−ヘキサン中で、n−ブチルリチウ
ムを触媒として、60〜65℃で1,3−ブタジエンの重合を
行った。重合停止剤としてイソプロピルアルコールを用
い、重合終了後、2,4−ジ−t−アミル−6−〔1−
(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エ
チル〕フェニル メタクリレート(II)のn−ヘキサン
溶液を加え、次いで窒素雰囲気下、190〜200℃で、n−
ヘキサンをフラッシュ蒸発により除去して、ポリブタジ
エンゴム組成物(BR)を得た。表−2に、2,4−ジ−t
−アミル−6−〔1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒ
ドロキシフェニル)エチル〕フェニル メタクリレート
(II)の添加量を、ポリブタジエン100重量部に対する
重量部で示した。
得られたポリブタジエンゴム組成物について、ラボプ
ラストミル(東洋精機製、40−100型)を用いて、窒素
気流中、下記条件で混練テストを行った。そして、混練
時に起こるゲル化の防止効果をゲル化に伴うトルク挙動
によって評価し、結果を表−2に示した。ゲル化防止効
果はトルクピークまでの時間(ゲル化時間)で示され、
時間が長いほどゲル化防止効果が優れることを意味す
る。
〔ラボプラストミル試験条件〕
(1)ミキサー R−60型 (2)測定トルク範囲 0〜500kg−cm (3)仕込量 30g (4)N2流速 1/min (5)試験温度 180℃ (6)回転数 10rpmで3分間予熱後、60r pm また、ポリブタジエンゴムを得る時の高温処理後の着
色度を肉眼で判定し、以下の記号で表−2に示した。
○:着色なし △:淡い黄色に着色 ×:黄色に着色 比較例1 上記実施例3における2,4−ジ−t−アミル−6−
〔1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニ
ル)エチル〕フェニル メタクリレート(II)のかわり
に、化合物AO−1〜AO−4を用い、その他の操作は実施
例3と同様にして実験を行い、各供試化合物のゲル化防
止効果と着色度を評価した。各供試化合物の添加量およ
び試験結果を表−2に示した。添加量の単位は、ポリブ
タジエン100重量部に対する重量部である。
実施例4 窒素雰囲気下、1,3−ブタジエン20重量部を含むシク
ロヘキサン溶液にn−ブチルリチウムを0.8重量部添加
し、70℃で1時間重合した後、順次、スチレン20重量
部、1,3−ブタジエン15重量部、スチレン45重量部を加
え、それぞれ70℃、1時間の条件で重合を行った。重合
終了後、2,4−ジ−t−アミル−6−〔1−(3,5−ジ−
t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル〕フェニ
ル メタクリレート(II)のシクロヘキサン溶液を添加
し、窒素雰囲気下でシクロヘキサンを加熱除去して、ブ
タジエン含量35重量%のB−A−B−A構造のブロック
共重合組成物を得た。表−3に、供試化合物の添加量
を、ブロック共重合物100重量部に対する重量部で示し
た。
得られたブロック共重合組成物について、ラボプラス
トミルエクストルーダーを用いて下記条件で糸状落下押
出試験を行い、得られた糸状物のゲル含量をトルエン不
溶物として測定し、評価した。ゲル含量は、糸状試料約
1gを精秤してトルエン200ml中に浸し、24時間撹拌後、2
00メッシュ金網で濾過し、残分を乾燥したのち重量を測
定し、試験前後の重量から計算した。結果を表−3に示
す。
〔試験条件〕
(1)試験機本体 ラボプラストミル40−100型 (東洋精機製) (2)押出機 D20−25型 (東洋精機製) (3)ストランドダイ径 0.5mmφ (4)シリンダー温度 230〜260℃ (5)回転数 3rpm (6)落下距離 93cm また、このようにスチレン−ブタジエンブロック共重
合組成物を高温加工して得られた糸状試料の着色度を肉
眼で判定し、以下の記号で表−3に示した。
○:着色なし △:淡い黄色に着色 ×:黄色に着色 比較例2 上記実施例4における2,4−ジ−t−アミル−6−
〔1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニ
ル)エチル〕フェニル メタクリレート(II)のかわり
に、化合物AO−1〜AO−4を用い、その他の操作は実施
例4と同様にして実験を行い、各供試化合物のゲル化防
止効果と着色度を評価した。各供試化合物の添加量およ
び試験結果を表−3に示した。添加量の単位は、ブロッ
ク共重合物100重量部に対する重量部である。
〈発明の効果〉 本発明に特定するフェノール系化合物は、ブタジエン
系ポリマーに配合したときに、そのポリマーの特に無酸
素下における熱劣化によるゲル化および着色を防止する
効果が大きい。このため、重合反応終了後、ポリマー溶
液から高温でポリマーを分離処理する際も、ゲルの発生
や着色のない製品を安定して得ることができる。またか
かるフェノール系化合物を含有させたブタジエン系ポリ
マーは、射出成形や押出成形などの加工工程における熱
劣化に対しても安定であり、例えばフィルム製膜工程で
のフィッシュアイゲルの発生、あるいは射出成形工程で
の光沢低下や透明性低下の原因となるミクロゲルの発生
を防止し、着色のない高品質の製品を得ることができ
る。
さらに本発明のフェノール系化合物は、炭化水素系有
機溶媒に対する溶解度が非常に高いので、このフェノー
ル系化合物を溶媒に溶解させた溶液の形で、重合反応終
了後のブタジエン系ポリマー溶液に容易に添加すること
ができる。したがって、この際の作業性は非常に良好で
あり、従来用いられている製造装置を改造することなく
実施することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 井上 喜久光 大阪府大阪市此花区春日出中3丁目1番 98号 住友化学工業株式会社内 (72)発明者 位田 加奈子 大阪府大阪市此花区春日出中3丁目1番 98号 住友化学工業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−5053(JP,A) 特開 昭56−61323(JP,A) 特開 昭56−77241(JP,A) 特開 昭63−146947(JP,A) 特公 平7−25948(JP,B2) 特公 平7−25947(JP,B2)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式 で示されるフェノール系化合物。
  2. 【請求項2】請求項1記載のフェノール系化合物を有効
    成分とするブタジエン系ポリマー用安定剤(但し、アル
    キルの炭素数が4〜20であるペンタエリスリチル テト
    ラキス(3−アルキルチオプロピオネート)及び/又は
    アルキルの炭素数が1〜9であるトリス(2,4−ジアル
    キルフェニル)ホスファイトを併用する場合を除く)。
  3. 【請求項3】ブタジエン系ポリマーに、請求項1記載の
    フェノール系化合物を含有させることを特徴とするブタ
    ジエン系ポリマーの安定化方法(但し、アルキルの炭素
    数が4〜20であるペンタエリスリチル テトラキス(3
    −アルキルチオプロピオネート)及び/又はアルキルの
    炭素数が1〜9であるトリス(2,4−ジアルキルフェニ
    ル)ホスファイトを併用する場合を除く)。
  4. 【請求項4】ブタジエン系ポリマーに、請求項1記載の
    フェノール系化合物を含有ささせてなるブタジエン系ポ
    リマー組成物(但し、アルキルの炭素数が4〜20である
    ペンタエリスリチル テトラキス(3−アルキルチオプ
    ロピオネート)及び/又はアルキルの炭素数が1〜9で
    あるトリス(2,4−ジアルキルフェニル)ホスファイト
    を併用する場合を除く)。
  5. 【請求項5】ブタジエン系ポリマーが、溶液重合ポリブ
    タジエンゴム、溶液重合スチレン−ブタジエン共重合ゴ
    ムまたはスチレン−ブタジエンブロック共重合物である
    請求項4記載のブタジエン系ゴム組成物。
  6. 【請求項6】ブタジエン系ポリマー100重量部あたり、
    前記フェノール系化合物を0.05〜2重量部含有させてな
    る請求項4または5記載のブタジエン系ポリマー組成
    物。
  7. 【請求項7】ブタジエン系ポリマー100重量部あたり、
    前記フェノール系化合物を0.1〜1重量部含有させてな
    る請求項6記載のブタジエン系ポリマー組生物。
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