JP2705815B2 - 動力制御用潤滑油組成物 - Google Patents

動力制御用潤滑油組成物

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は動力制御用潤滑油組成物に関し、詳しくは摩
擦特性ならびに極圧性,耐摩耗性等にすぐれ、自動車の
変速機ギヤ,ディファレンシャルギヤ,ハイポイドギヤ
等の潤滑油として好適な動力制御用潤滑油組成物に関す
る。
〔従来の技術及び発明が解決しようとする課題〕
一般に、従来から自動車の変速機用ギヤ油等の動力制
御機構に用いる潤滑油は、硫黄−リン系極圧剤の添加量
を調節することによって、そのギヤの歯面に対する耐ス
コーリング特性を考慮したものが主に用いられてきた。
しかし、近年に至って、自動車が急速に高級化あるい
は差別化され、それに伴って円滑かつ快適な運転操作、
即ち良好な操作フィーリングが重視されてきている。こ
の運転の操作フィーリングを高めるためには、シンクロ
メッシュ機構におけるシンクロナイザーリングとギヤコ
ーン部での摩擦特性が良好(つまり、静止摩擦係数μo
と動摩擦係数μkの比:μo/μkが小さく、その経時変
化が少ない)で、ミッションの操作性が滑らかであるこ
とが望ましい。従来の硫黄−リン系極圧剤を配合したギ
ヤ油では、摩擦特性が悪く、操作フィーリングが好まし
いものではなかった。
このような観点から、操作フィーリングを向上させる
ために、種々の潤滑油組成物が提案されている(特開昭
62−192495号公報,同63−61090号公報,同63−61091号
公報)。しかし、これらはいずれも潤滑部分の腐食や組
成物全体の安定性が問題となる傾向があった。
〔課題を解決するための手段〕
本発明の目的は、耐摩耗性,極圧性にすぐれるととも
に、上述の操作フィーリングの良好な動力制御用の潤滑
油組成物を提供することにある。本発明の構成は、
(A)100℃における動粘度が1〜80cStである基油に、 (B)硫化油脂及び硫化オレフィンから選ばれた少なく
とも一種の硫黄含有化合物0.1〜5重量%(組成物全体
に対する割合、以下同じ。), (C)塩基価200mgKOH/g以上のアルカリ土類金属系清浄
分散剤0.1〜5重量% 及び (D)ソルビタンの部分エステル0.05〜3重量%を含有
させることを特徴とする動力制御用潤滑油組成物であ
る。
本発明の(A)成分である基油は、100℃における動
粘度が1〜80cSt、好ましくは3〜50cStであればよく、
鉱油系潤滑油留分,合成潤滑油を問わず各種のものを用
いることができる。ここで鉱油系潤滑油留分としては、
パラフィン基系原油、中間基系原油,ナフテン基系原油
を常圧蒸留するかあるいは常圧蒸留の残渣油を減圧蒸留
して得られる留出油を、常法にしたがって精製した精製
油などがあげられる。また、合成潤滑油としては、ポリ
α−オレフィン,ポリブテン,二塩基酸エテスル,ポリ
グリコール,ヒンダードエステル,アルキルベンゼン,
ポリエーテルなど様々なものがあげられる。
また本発明の(B)成分である硫黄含有化合物として
は、硫化油脂,硫化オレフィンのいずれかを単独である
いは二種以上を組み合わせて使用する。ここで硫化油脂
は硫黄や硫黄含有化合物と油脂(ラード,大豆油,米ヌ
カ油等)あるいはテルペン等を反応させて得られるもの
であり、その硫黄含量は特に制限はないが、一般に5〜
70重量%程度のものが好適である。さらに、硫化オレフ
ィンは炭素数2〜15のオレフィン(プロピレン,イソブ
チレン,ジイソブテンなど)を硫黄又は硫黄化合物と反
応させたもの、あるいはオレフィン重合体(ポリプロピ
レン,ポリイソブチレンなど)を硫化処理して得られる
ものであり、その硫黄含量は20〜70重量%程度のものが
好適である。
本発明の組成物では、上記(B)成分の配合割合は、
組成物全体の0.1〜5重量%、好ましくは0.5〜3重量%
である。0.1重量%未満では、添加の効果がほとんど発
現せず、また5重量%を超えると配合量に相当する効果
の向上はみられず、むしろ酸化安定性や耐金属腐食性等
が低下するおそれがある。
次に、本発明の(C)成分であるアルカリ土類金属系
清浄分散剤は、塩基価が200mgKOH/g以上、特に250〜500
mgKOH/gのものが好適である。具体的にはカルシウム,
バリウム,マグネシウムのスルホネート,フィネート,
サリチレート等をあげることができる。そのうち、特に
カルシウム塩が最適である。さらに、ホスホネート,ナ
フテネート等を使用することも可能である。このアルカ
リ土類金属系清浄分散剤は、特にシンクロメッシュ機構
における同期時のμ−V特性(摩擦特性)の動摩擦係数
(μk)を上昇させる効果がある。ここで、使用するア
ルカリ土類金属系清浄分散剤の塩基価が200mgKOH/g未満
のものでは、上記の動摩擦係数(μk)が低下し、その
結果、μo/μkが高くなって摩擦特性が悪化する。
上記(C)成分であるアルカリ土類金属系清浄分散剤
の配合割合は、組成物全体の0.1〜5重量%、好ましく
は0.5〜3重量%である。0.1重量%未満では添加効果が
充分に発現せず、また5重量%を超えると摩耗量が多く
なり、好ましくない。
さらに、本発明の(D)成分としては、ソルビタン
に、炭素数8〜30程度の有機酸残基(ラウリン酸残基,
ステアリン酸残基,オレイン酸残基,ベヘン酸残基な
ど)が結合した部分エステルをあげることができる。具
体的にはソルビタンモノラウリレート,ソルビタンジラ
ウリレート,ソルビタンモノオレエート,ソルビタンジ
オレエート,ソルビタンモノステアレート、ソルビタン
ジステアレート,ソルビタンモノベヘネート,ソルビタ
ンジベヘネート,などが好適に使用される。
このソルビタンの部分エステルは、潤滑油組成物の摩
擦特性を改良する上で有効な成分である。この効果を充
分に発現するためには、上記ソルビタンの部分エステル
の配合割合を、組成物全体の0.05〜3重量%、好ましく
は0.1〜2重量%とする。この配合割合が0.05重量%未
満では、添加効果が充分に発現せず、また3重量%を超
えると、酸化安定性や水分離性に悪影響を与える。
本発明の潤滑油組成物は、上記(A)〜(D)成分を
必須成分とするものであるが、さらに必要に応じてコハ
ク酸アミド等の無灰分散剤や粘度指数向上剤,消泡剤そ
の他の各種添加剤を適量配合することもできる。
〔実施例〕
次に本発明を実施例及び比較例に基いてさらに詳しく
説明する。
実施例1〜2及び比較例1〜7 パラフィン系潤滑油基油(150ニュートラル)に、各
種添加剤を所定割合で配合して潤滑油組成物を調製し
た。
得られた潤滑油組成物について、下記に示す性能試験
を行った。結果を表に示す。
SAENo.2摩擦試験 グリーニング社(米国)製,SAENo.2試験機を用い、次
の実験条件で摩擦特性を評価した。
〔実験条件〕
ディスク:真鍮製シンクロリング プレート:鋼製ギヤコーン モーター回転数:1500rpm ピストン押付圧:50kg/cm2 油温:60℃ 以上の実験条件における回転数1000rpmのときの動摩
擦係数をμ1000とし、また停止するときの静止摩擦係数
をμoとして測定し、μo/μ1000を算出した。
耐摩耗性 ASTM D 2714に準拠し、次の条件にしたがって測定し
た。
〔実験条件〕
ブロック:黄銅(JIS3種) リング:SUJ2 油温:60℃ 荷重:20ポンド 回転数:500rpm 時間:15分間 〔発明の効果〕 叙上の如く、本発明の組成物は初期摩擦特性が良好、
即ち静止摩擦係数/動摩擦係数の比の値が小さいもので
あり、変速によるショックが少なく自動車の操作フィー
リングが極めて良好である。そのうえ、摩擦特性の経時
変化も少なく、また酸化安定生,腐食防止能にもすぐれ
ている。
したがって、本発明の組成物は自動車用ギヤオイルを
はじめ、湿式クラッチや湿式ブレーキを有する部分の潤
滑油等、広く動力制御用の潤滑油として有効に利用され
る。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10M 159:24) C10N 10:04 20:02 30:04 30:06 40:04

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)100℃における動粘度が1〜80cStで
    ある基油に、(B)硫化油脂及び硫化オレフィンから選
    ばれた少なくとも一種の硫黄含有化合物0.1〜5重量%
    (組成物全体に対する割合、以下同じ。),(C)塩基
    価200mgKOH/g以上のアルカリ土類金属系清浄分散剤0.1
    〜5重量%及び(D)ソルビタンの部分エステル0.05〜
    3重量%を含有させることを特徴とする動力制御用潤滑
    油組成物。
JP63308857A 1988-12-08 1988-12-08 動力制御用潤滑油組成物 Expired - Lifetime JP2705815B2 (ja)

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