JP2704442B2 - 粗大結晶粒からなる高純度銅線の製造法 - Google Patents
粗大結晶粒からなる高純度銅線の製造法Info
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Description
関する。
ル線,リード線,コード部品,端子,コネクター等の導
電材料が音質に影響を与えることが知られている。例え
ば,これら配線に使用される銅線の場合,その純度と結
晶粒が音質に影響を与え,純度が高く且つ結晶粒界が少
ないほど(すなわち結晶粒が粗大化しているほど),音
質を劣化させない。これは,音質を劣化させる粒界並び
に不純物の集積が少なくなることによる。したがって,
高音質化を指向している音響機器において,粗大結晶粒
をもつ高純度銅線の開発が強く望まれている。
は,熱間加工が適用できない。熱間加工では不純物の混
入が避けられないからである。したがって,鋳造法によ
って純度が99,999%以上の鋳造銅線を作り,これを冷間
伸線して所望の線径まで加工することが必要となる。こ
の場合には,熱間加工を経る場合のように結晶粒を粗大
化することは困難となる。
直径10mmφ程度の銅荒引線とし,以後冷間伸線により所
望の線径まで加工する場合には,単純に焼鈍操作を行え
ば結晶を粗大化することができる。例えば熱間加工によ
り得られた銅荒引線を90%以上の加工率により冷間伸線
し,直径1mm線とした場合,900℃前後の温度で焼鈍すれ
ば,平均結晶粒径0.3〜0.4mm程度の巨大結晶粒を得るこ
とができる。しかし鋳造法により得られた高純度銅鋳造
線を同様の方法で伸線,焼鈍を行っても平均結晶粒径が
0.02〜0.04mm程度にしかならないことがわかった。
度が99.999%以上の高純度銅からなる鋳造材料を熱間加
工を省略して冷間伸線することにより該高純度を保持し
た線材に加工するにさいし,該鋳造材料を加工率60%〜
95%で一次冷間伸線し,不活性ガス雰囲気下または真空
中で600℃超え〜950℃の温度範囲で中間焼鈍し,最終製
品線径まで二次冷間伸線したあと,不活性ガス雰囲気下
または真空中で600℃〜950℃の温度範囲で最終焼鈍を行
うことを特徴とする粗大結晶粒の高純度銅線の製造法を
提供するものである。なお,中間焼鈍は焼鈍温度から急
冷するのが一層好ましい。
率の高い銀が含有しても,音質を劣化させる。本発明に
よって得られる加工後の線材は,銀と硫黄の合計含有量
が1ppm以下で且つ純度が99.999%以上の高純度を保持し
ている。これは,かような高純度鋳造材を熱間加工する
ことなく適正雰囲気下での焼鈍と冷間伸線を採用したこ
とによる。
熱間加工を省略して一次冷間伸線を行ないそして高温の
中間焼鈍を実施することにより,鋳造組織を完全につぶ
し,特定方法をもった微細な再結晶組織(一次再結晶)
を得ることができる。特にこの中間焼鈍を600℃を超え
る高温で実施することによって、十分な一次再結晶粒が
短時間加熱によって得られる。この微細な一次再結晶を
得ることにより,以後の工程で結晶方位の制御並びに粗
大化がし易くなる。得られた微細な一次結晶の焼鈍材
を,最終製品線径まで冷間伸線(二次冷間伸線)し,最
終焼鈍することにより,二次冷間伸線によって焼鈍材に
適切な歪が付与され,最終焼鈍では粗大化した二次再結
晶粒が得られる。中間焼鈍および最終焼鈍は,不活性ガ
ス雰囲気または真空下で実施することにより,鋳造材の
純度が維持され,銀と硫黄の含有量が1ppm以下で純度が
99.999%以上の純銅からなり且つ結晶粒が粗大化した音
響機器用の新規且つ優れた材料が得られる。
度が99.999%以上の高純度銅を得る技術がほぼ完成され
た。本発明によればかような高純度銅の鋳造材を,その
高純度を維持したまま粗大結晶粒をもつ線材に加工する
点に特徴があり,このためには,通常行われている熱間
加工を省略する。
また再結晶温度以上での熱間での加工を繰り返すので,
比較的微細な結晶粒が集合した材料となり,またその後
の冷間加工において均一な歪を与えられるような適当な
加工率をもって冷間加工し,高温で焼鈍を施せば十分な
結晶成長を得ることができる。しかし熱間加工を採用す
れば不純物混入は避けられず本発明が対象とするような
高純度材は製造できない。しかし,鋳造材を直接冷間加
工する場合には,結晶方位の異なる比較的大きな鋳造組
織を再結晶温度以下の温度で加工することになるので,
各結晶粒に対し均一な加工歪を与えることができない。
従って,これを高温焼鈍しても各結晶粒における再結晶
の挙動が相互に異なり,粗大結晶粒だけの組織とするこ
とは困難となる。
間焼鈍工程を入れることにより,熱間加工を省略した冷
間加工だけでも,最終焼鈍時に結晶粒を粗大化させるこ
とを特徴とする。
しくは連鋳材)に対して熱間加工を省略して一次冷間伸
線を行なったうえ中間焼鈍を実施することにより鋳造組
織を完全につぶし,特定方位をもった微細な再結晶組織
(一次再結晶)とする。この一次再結晶は,微細であれ
ばあるほど,以後の工程で結晶方位の制御がし易くなり
また粗大化にも有利である。したがって一次冷間伸線の
加工率は充分に高くする必要がある。すなわち一次冷間
伸線の加工率が60%未満では高温で中間焼鈍しても微細
な再結晶粒を十分に得ることができない。しかし,95%
を超える加工率では,再結晶温度は低下するが断線の危
険性が増し生産性が低下するので,60〜95%の加工率と
するのがよい。中間焼鈍における焼鈍温度は600℃以下
では十分な一次再結晶粒を得るための焼鈍時間が長くな
り,生産効率やコスト面でも不利となる。しかし,950℃
を超えると線材が軟化し相互に接着するといったトラブ
ルを惹起し,また高温に要するコストが甚大になるので
600℃超え〜950℃の温度範囲に加熱するのがよい。この
温度での保持時間は1分以上であればよい。1分以内で
は十分な再結晶粒は得られない。この保持時間は焼鈍温
度とも関係するが余り長いと結晶粒に乱れが生ずるので
180分以内とするのがよい。この高温焼鈍によって高純
度銅材は再結晶粒を形成し,その粒度は微細であり十分
に結晶方位の制御ができることが確認された。なお焼鈍
温度からの冷却過程での結晶粒の成長を抑える目的で焼
鈍温度から急冷するのがよい。また中間焼鈍は酸化や不
純物の混入を回避するために不活性ガス雰囲気下または
真空中で実施する必要がある。
を,本発明によれば最終製品線径まで冷間伸線(二次冷
間伸線)し,最終焼鈍するのであるが,この二次冷間伸
線によって焼鈍材に適切な歪が付与され,最終焼鈍では
粗大化した二次再結晶粒が得られる。二次冷間伸線の加
工率は最終線径とも関係するが,80%以上であれば十分
である。なお,一次および二次の二回の冷間伸線で最終
製品線径まで線径を減少するのに無理がある場合には,
二回目の冷間伸線のあと更に前記同様の中間焼鈍を挟ん
だうえ最終の冷間伸線を行ってから最終焼鈍を実施すれ
ばよい。最終焼鈍においては600℃以上の温度に1分以
上加熱することによって,十分に粗大化した二次再結晶
が得られる。しかし950℃を超える温度で焼鈍すると線
材が軟化して相互に接着するような事態も生ずるので95
0℃以下とするのがよい。なお,この最終焼鈍も中間焼
鈍と同様に不活性ガス雰囲気下または真空中で実施する
必要がある。
が1ppm以下で純度が99.999%以上の純銅からなり結晶粒
が粗大化して,細線の場合にはその結晶の最大径が線径
を超えるような銅線材を得ることもでき,音響機器用の
新規且つ優れた材料を提供できる。
と硫黄の合計含有量が1ppm以下の高純度銅鋳造線を直径
5mmまで加工率約79%で冷間伸線加工(一次冷間伸線)
し,窒素ガス雰囲気下で900℃×1時間の焼鈍(中間焼
鈍)を行った。焼鈍温度からは徐冷した。次いでこの焼
鈍材を直径1mmまで加工率約99%で冷間伸線加工(二次
冷間伸線)し,窒素ガス雰囲気下で900℃×1時間の最
終焼鈍を行った。得られた線材の結晶組織を調べたとこ
ろ平均結晶粒径0.3mmの巨大結晶粒を有するものであっ
た。第1図は,該線材の軸と直角方向の断面の顕微鏡写
真を筆写したものである。
繰り返した。この場合は結晶粒の成長が少なく,得られ
た線材の平均結晶粒径は0.08mmでかつ混粒であった。
繰り返した。得られた最終焼鈍後の線材は平均結晶粒径
が0.03mmであった。
冷間伸線した以外は,実施例1を繰り返した。得られた
最終焼鈍後の線材は平均結晶粒径が0.03〜0.04mmの微細
な結晶粒であった。
1を繰り返した。得られた最終焼鈍後の線材は平均結晶
粒径が0.4mmの巨大結晶粒を有するものであった。第2
図はその顕微鏡写真を筆写したものである。
および二次冷間伸線し,最終焼鈍した。得られた線材は
平均結晶粒径が0.02mmであった。第3図はその顕微鏡写
真を筆写したものである。
ば,熱間加工を省略しても,一次結晶粒に対して15〜20
倍にも巨大化した二次結晶粒をもつ線材を得ることがで
き,音響機器用の高音質線材を提供することができる。
角な断面の結晶構造を示す図,第2図は同じく本発明に
よって得られた他の高純度銅線の線軸に直角な断面の結
晶構造を示す図,第3図は比較例によって得られた高純
度銅線の線軸に直角な断面の結晶構造を示す図である。
Claims (2)
- 【請求項1】銀と硫黄の合計含有量が1ppm以下で且つ純
度が99.999%以上の高純度銅からなる鋳造材料を熱間加
工を省略して冷間伸線することにより該高純度を保持し
た線材に加工するにさいし,該鋳造材料を加工率60%〜
95%で一次冷間伸線し,不活性ガス雰囲気下または真空
中で600℃超え〜950℃の温度範囲で中間焼鈍し,最終製
品線径まで二次冷間伸線したあと,不活性ガス雰囲気下
または真空中で600℃〜950℃の温度範囲で最終焼鈍を行
うことを特徴とする粗大結晶粒からなる高純度銅線の製
造法。 - 【請求項2】中間焼鈍は焼鈍温度から急冷する請求項1
に記載の高純度銅線の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1269016A JP2704442B2 (ja) | 1989-10-18 | 1989-10-18 | 粗大結晶粒からなる高純度銅線の製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1269016A JP2704442B2 (ja) | 1989-10-18 | 1989-10-18 | 粗大結晶粒からなる高純度銅線の製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH03134143A JPH03134143A (ja) | 1991-06-07 |
JP2704442B2 true JP2704442B2 (ja) | 1998-01-26 |
Family
ID=17466503
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1269016A Expired - Fee Related JP2704442B2 (ja) | 1989-10-18 | 1989-10-18 | 粗大結晶粒からなる高純度銅線の製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2704442B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5544718B2 (ja) * | 2008-04-25 | 2014-07-09 | 三菱マテリアル株式会社 | 太陽電池用インターコネクタ材及びその製造方法、並びに、太陽電池用インターコネクタ |
JP2014208886A (ja) * | 2013-03-27 | 2014-11-06 | 三菱電線工業株式会社 | 線状導体及びその製造方法 |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH02156032A (ja) * | 1988-12-09 | 1990-06-15 | Hitachi Cable Ltd | 電子機器用配線材料及びその製造方法 |
-
1989
- 1989-10-18 JP JP1269016A patent/JP2704442B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH03134143A (ja) | 1991-06-07 |
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