JP2702479B2 - 自動２輪車のフレーム構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 （産業上の利用分野） この発明は、スクータタイプの自動２輪車のフレーム
構造に関する。 （従来の技術） スクータタイプの自動２輪車では、腰掛型のシート前
方を低く湾曲させてステップボードを配し、シート下方
をボディカバーで覆い、このボディカバー内にエンジン
および後輪の上半部を隠蔽した形にレイアウトする。エ
ンジンや後輪を懸架する強度メンバとしては、パイプ組
成などの後部フレームをボディカバー内に配置し、ボデ
ィカバーそのものは特別な強度を必要としないので合成
樹脂などによって軽量に形成されている。 上記シートはヒンジなどに開閉可能にし、シート下の
ボディカバー内に燃料タンクやバッテリなどの収納スペ
ースあるいはラゲッジスペースを設けるものが多い。し
かし、近時ライダの使用するヘルメットを収容できるよ
うに、ラゲッジスペースの大型化の要求がある。この要
求に応えたものに、特開昭60−154964号公報および特開
昭61−282178号公報に記載されたスクータタイプの自動
２輪車がある。 前者は、後部フレームを左右２本のパイプで低く構
え、その前、後部にブラケットを立設してシートを受け
るようにし、シート下の前後ブラケットと左右フレーム
に囲まれた空間をラゲッジスペースとしてラゲッジボッ
クスを置き、周りをボディカバーで囲んだもので、ラゲ
ッジボックスにヘルメット収容可能な容積を確保してい
る。後者は、同様に後部フレームを低く構え、その上に
ボディカバーを架設してシートを載せ、内部にラゲッジ
ボックスを収めるようにし、このボディカバーとラゲッ
ジボックスの前面を断面くの字状に膨出して容量を増大
したもので、シートに腰掛けたライダの脚部後方にある
デッドスペースを利用している。 このように従来に提案されているスクータでは、ラゲ
ッジスペースを大きく設定することが可能であるが、構
造上、後部フレームをベースにしてボディカバーおよび
ラゲッジボックスの３部材によって複雑に形成され、ボ
ディカバーとラゲッジボックスが２重構造になり、その
間にはある程度の隙間が必要なので、ボディカバーの横
巾が拡大され、スリムな外観をとりにくく、また部品点
数が多く、組付、組立の工数が多くかかってコストアッ
プになるという問題がある。 （発明が解決しようとする問題点） 従来のスクータタイプの自動２輪車では、ヘルメット
を収容できる大型ラゲッジボックスを後部フレームをベ
ースとしてボディカバーとラゲッジボックスの３部材を
組合わせて構成するので、ボディカバーが大型化し、組
付工数が多くかかるという問題があった。 この発明は、上述した事情を考慮し、後部フレーム、
ボディカバー、ラゲッジボックスの３つの機能を１つの
部材に整理して構造を単純化することによってラゲッジ
スペースを大きくすると共にボディカバーの小型化、ス
リム化を可能とし、部品点数の削減によって組付工数の
削減ができるようにした自動２輪車のフレーム構造を提
供することを目的とする。 〔発明の構成〕 （問題点を解決するための手段） 上記目的を達成するため、この発明の自動２輪車のフ
レーム構造は、前上部のヘッドパイプと後上部のシート
との間をＵ字形に低く湾曲させてステップボードを配
し、シート下方をボディカバーで被覆したスクータタイ
プの自動２輪車において、ヘッドパイプから後下方へ下
がって後方へ延び後部が、略水平シリンダを備えたユニ
ットスイング型エンジンのシリンダヘッド前方上部近く
で終端した形状のパイプフレームと、その後部に溶着さ
れて後上方へ拡がり上面に開口を備えた有底ボックス形
の鋼板フレームとから主フレームが構成され、前記鋼板
フレームは左右側板、底板および後板とから構成され、
上記左右側板の前壁はパイプフレームの跳ね上がり形状
に沿って上方に立上がる一方上記左右側板と底板とはパ
イプフレームに前記シリンダヘッドの前方で三者一体に
溶着され、前記鋼板フレームの底板はパイプフレームの
後端からシリンダの上方を通り後方に斜め上方に延びる
前下がり傾斜に形成され、前記鋼板フレームは上方開口
部の前部位置に取付けられたヒンジにより開閉自在のシ
ートを支持し、内部にヘルメットなどを収容するラゲッ
ジボックスとして兼用させ、前記ユニットスイング型エ
ンジンの前部をパイプフレームの後部に懸架ブラケット
を介して揺動自在に支持する一方、上記ユニットスイン
グ型エンジンの後部と鋼板フレームの後板後面間に緩衝
ユニットの上下端をそれぞれ支持させたものである。 （作用） 自動２輪車のフレーム構造はヘッドパイプから後下方
に延びるパイプフレームと鋼板フレームとから主フレー
ムを構成し、後部フレームを有底ボックス形の鋼板フレ
ームとしたので、フレーム自体パイプなどの組成による
凹凸がなく構造が単純化し、また鋼板フレームがボディ
カバーおよびラゲッジボックスとして機能し、鋼板１枚
で済むので、ラゲッジ容量を大きくしてヘルメットの収
容を可能とした上で、ボディカバー外観をスリムに設定
できる。部品点数が少なく、この部分の組立てが容易に
なって工数の削減、コストダウンが得られる。 ユニットスイング型エンジンは略水平シリンダを備
え、このシリンダヘッドの前方上部近くでパイプフレー
ムの後部を終端させ、かつ左右側板と底板とはパイプフ
レームにシリンダヘッドの前方で三者一体に溶着させた
ので、ラゲッジボックスの収納スペースを大きく取るこ
とができ、しかも、鋼板フレームの左右側板の前壁をパ
イプフレームの跳ね上がり形状に沿って上方に立ち上が
られたので、溶着時の作業性を改善し、鋼板フレームを
パイプフレームの後部に安定的にかつ強固に取付けるこ
とができる。 （実施例） 以下、この発明に係る自動２輪車のフレーム構造の一
実施例を添付図面を参照して説明する。 第１図はこの発明になるフレーム構造を備えた自動２
輪車としてのスクータの一部縦断側面図、第４図はスク
ータ型自動２輪車のフレーム単体を示す側面図、第５図
はスクータ型自動２輪車の平面図、第６図はスクータ型
自動２輪車の後面図である。 主フレームは、前半部をパイプフレーム１で、後半部
を鋼板フレーム２で構成される。 パイプフレーム１は、前上端にヘッドパイプ３が接続
される。パイプフレーム１はヘッドパイプ３から後下方
へ下がって後方へ延び、後部1aが後上方へ少し跳ね上が
った形状に形成され、終端している。 鋼板フレーム２は、第２図および第３図にも示すよう
に、左右側板2aと底板2bと後板2cとから有底ボックス状
に構成され、この鋼板フレーム２は後方へ上向きに傾斜
する前下り傾斜の底板2bと左右方向に大きく拡がる左右
側板2aとを溶着（4a）して後上方へ拡がり、底板2bの後
端部に後板2cが立設され、上面に開口５があいたボック
ス形に形成され、左右側板2aの前下端部をパイプフレー
ム１の水平部後寄りに溶着（4b）し、底板2a前下部をパ
イプフレーム後部1aの両側に沿って溶着（4c）して、パ
イプフレーム１と一体に結合される。左右側板（以下、
側板という。）2aの前壁はパイプフレーム１の後部1aの
跳ね上り形状に沿って上方に立上がっている。 こうして主フレームが構成され、強度メンバとして必
要な強度を有するように設定されている。 前記ヘッドパイプ３には、フロントフォーク６のステ
アリング軸７が軸支される。フロントフォーク６は緩衝
ユニット８を介して前輪９を懸架し、前輪９はハンドル
10により操舵される。 ヘッドパイプ３からパイプフレーム１前部のダウン部
には両側に張り出したレッグシールド11が取着けられ、
その下部から後方へほぼ水平なステップボード12が延設
される。 エンジン13は、クランクケースから後方へ延びるスイ
ングケース14後部に後輪15を軸支したユニットスイング
型式になり、このユニットスイング型エンジン13は略水
平シリンダ13aを備え、シリンダ13aがほぼ水平方向に倒
されて前傾した形状に形成される。ユニットスイング型
エンジン13は、前端部をパイプフレーム後部1aに固着し
た懸架ブラケット16に枢支し、後部を緩衝ユニット17を
介して鋼板フレーム２の後板2c後面に固着したブラケッ
ト18に枢支して、上下揺動自在に懸架される。緩衝ユニ
ット17の上下端が、第１図に示すように、ユニットスイ
ング型エンジン13の後部と鋼板フレーム２の後板2c後面
との間に支持される。 鋼板フレーム２の後板2c後面には、さらに取着バー19
が固着され、リヤフェンダ20が接続される。リヤフェン
ダ20の上面には燃料タンク21や図示しないオイルタンク
が載置され、この燃料タンク21などを隠蔽して部分ボデ
ィカバー22が取着バー19などに取着けられる。 次に、鋼板フレーム２上面前端部にブラケット23が固
定され、第１図および第４図に示すように、ヘッドパイ
プ３と略同じ高さ位置に設けられたヒンジ24によってシ
ート25の前端が枢支され、シート25は鋼板フレーム２の
上方開口部５をヒンジ24廻りに開閉自在に覆っている。
上方開口部５はシート25によって開閉可能に覆設され
る。 こうして鋼板フレーム２内はシート25を蓋代りにした
ラゲッジボックス26として形成され、左右の側板2aはそ
のままボディカバーを兼ねており、ボディカバーの一部
として機能する。ラゲッジボックス26は内部への突出物
が殆どないので、大きな容積が確保でき、ヘルメット27
を収容できる。 ラゲッジボックス26は底板2bが傾斜しているので、不
安定になるが、底板2bに上方への突起28を設けて置くこ
とで滑り止めにすることができる。この突起28は、底板
2b下面ではキャブレタ29揺動の干渉を避ける凹室30とし
て機能する。 また、31はシート25の基板25aに設けた上方への凹み
で、ヘルメット27との緩衝を避けるためのものである。
シート25はまた、燃料タンク21部のボディカバー22開口
部を塞ぐ蓋になる。さらにラゲッジボックス26内は適宜
区画して小物の収容に適応させてもよい。この場合隔壁
は鋼板フレーム２の補強に役立つ。 〔発明の効果〕 以下の通り、この発明に係る自動２輪車のフレーム構
造は、スクータタイプの自動２輪車において、前部のパ
イプフレームと有底ボックス形の後部の鋼板フレームを
一体に接続して主フレームを構成し、鋼板フレームをラ
ゲッジボックスおよびボディカバーとして兼用させるこ
とが可能となり、鋼板フレームにパイプフレームを通す
ことなく、後部フレームをモノコック構造としてパイプ
フレームを不要としたので、構造が単純化でき、ボディ
カバーの外観をスリムに設定できる。鋼板フレームは後
部フレームだけに採用したものであるので大型の鋼板プ
レス成形品が不要となり、成形加工や成形フレームの取
扱いが容易となり、ボディカバーの外郭寸法を大きくす
ることなく、ラゲッジボックスの容量を大きく確保で
き、また部品点数が少ないので組付、組立の工数を削減
し、コストダウンを図ることができる。 また、パイプフレームの後部は、ユニットスイング型
エンジンのシリンダヘッド前方上部近くで終端させる一
方、鋼板フレームの底板はパイプフレームの後端からシ
リンダの上方を通り後方斜め上方に延びる前下がり傾斜
に形成され、しかもユニットスイング型エンジンに略水
平シリンダが備えられているので、鋼板フレーム内にヘ
ルメット等の大きな収納スペースを充分にかつ有効的に
確保できる。 さらに、鋼板フレームの左右側板の前壁はパイプフレ
ームの跳ね上がり形状に沿って上方に立上がる一方、左
右側板と底板とはパイプフレームにシリンダヘッドの前
方で三者一体に溶着されるので、溶着時の作業性が良好
となり、鋼板フレームをヘッドパイプに安定的かつ強固
に固着させることができる。 さらにまた、ユニットスイング型エンジンの前部をパ
イプフレームの後部に懸架ブラケットを介して揺動自在
に支持する一方、ユニットスイング型エンジンの後部と
鋼板フレームの後板後面間に緩衝ユニットの上下端を支
持させたので、ユニットスイング型エンジンを安定的に
緩衝支持させることができ、緩衝ユニットの上端を鋼板
フレームの後板で支持しても、この後板は上下方向に延
びる板なのでプレートであっても上下方向の大きな荷重
に充分に耐えることができ、補強材の介装を不要とし、
構造の簡素化が図れる。

【図面の簡単な説明】 第１図はこの発明の実施例になるフレーム構造を備えた
自動２輪車の一部縦断側面図、第２図は第１図のＡ−Ａ
線に沿う拡大断面図、第３図は第１図のＢ−Ｂ線に沿う
拡大断面図、第４図はこの発明に係る自動２輪車のフレ
ーム構造の一実施例を示す主フレーム単体の側面図、第
５図は第４図に示す主フレーム単体の平面図、第６図は
第４図に示す主フレーム単体の後面図である。 １……パイプフレーム、２……鋼板フレーム、2a……側
板、2b……底板、2c……後板、３……ヘッドパイプ、５
……上方開口部、25……シート、26……ラゲッジボック
ス。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−287885（ＪＰ，Ａ) 特開 昭60−154964（ＪＰ，Ａ) 特開 昭61−81884（ＪＰ，Ａ) 特開 昭61−207280（ＪＰ，Ａ) 特開 昭61−285179（ＪＰ，Ａ) 実公 昭59−25733（ＪＰ，Ｙ２)

Claims (1)

1. (57)【特許請求の範囲】 １．前上部のヘッドパイプと後上部のシートとの間をＵ
   字形に低く湾曲させてステップボードを配し、シート下
   方をボディカバーで被覆したスクータタイプの自動２輪
   車において、ヘッドパイプから後下方へ下がって後方へ
   延び後部が、略水平シリンダを備えたユニットスイング
   型エンジンのシリンダヘッド前方上部近くで終端した形
   状のパイプフレームと、その後部に溶着されて後上方へ
   拡がり上面に開口を備えた有底ボックス形の鋼板フレー
   ムとから主フレームが構成され、前記鋼板フレームは左
   右側板、底板および後板とから構成され、上記左右側板
   の前壁はパイプフレームの跳ね上がり形状に沿って上方
   に立上がる一方上記左右側板と底板とはパイプフレーム
   に前記シリンダヘッドの前方で三者一体に溶着され、前
   記鋼板フレームの底板はパイプフレームの後端からシリ
   ンダの上方を通り後方に斜め上方に延びる前下がり傾斜
   に形成され、前記鋼板フレームは上方開口部の前部位置
   に取付けられたヒンジにより開閉自在のシートを支持
   し、内部にヘルメットなどを収容するラゲッジボックス
   として兼用させ、前記ユニットスイング型エンジンの前
   部をパイプフレームの後部に懸架ブラケットを介して揺
   動自在に支持する一方、上記ユニットスイング型エンジ
   ンの後部と鋼板フレームの後板後面間に緩衝ユニットの
   上下端をそれぞれ支持させたことを特徴とする自動２輪
   車のフレーム構造。