JP2701279B2 - 音響装置 - Google Patents

音響装置

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JP2701279B2
JP2701279B2 JP62334263A JP33426387A JP2701279B2 JP 2701279 B2 JP2701279 B2 JP 2701279B2 JP 62334263 A JP62334263 A JP 62334263A JP 33426387 A JP33426387 A JP 33426387A JP 2701279 B2 JP2701279 B2 JP 2701279B2
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    • H04R1/22Arrangements for obtaining desired frequency or directional characteristics for obtaining desired frequency characteristic only 
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    • H04R17/04Gramophone pick-ups using a stylus; Recorders using a stylus
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  • Circuit For Audible Band Transducer (AREA)
  • Piezo-Electric Transducers For Audible Bands (AREA)
  • Electrostatic, Electromagnetic, Magneto- Strictive, And Variable-Resistance Transducers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、共鳴器を音響放射体として用いた音響装
置に関するものである。 〔従来の技術〕 音響装置では、共鳴現象が種々の形で利用されてい
る。第29図ないし第32図はその代表例を示している。 第29図の第1の従来例において、共鳴器1は仕切壁2
によってA室とB室の2室に区切られ、仕切壁2の穴に
は振動器として、動電形電気音響変換器(ダイナミック
スピーカ)3が取り付けられている。また、A室とB室
にはそれぞれ開口ダクト4a,4bが設けられ、ここから共
鳴音響が矢印のように外部へ放射されるようになってい
る。A室およびB室は、それぞれ空胴の容積や開口ダク
ト4a,4bの寸法などで定まる共鳴周波数foa〔Hz〕およ
びfob〔Hz〕を持っている。従って、スピーカ3が図示
しない増幅器などで駆動されると、振動板の振動によっ
て共鳴現象が生じ、そのときの出力エネルギーは上記の
共鳴周波数近傍で最大になる。その結果、例えば第30図
に示すような音圧の周波数特性を持った共鳴音響を得る
ことができる。 第31図の第2の従来例において、箱体5によって構成
される共鳴室5′には、振動器としての動電形電気音響
変換器(スピーカ)6が取り付けられると共に、共鳴音
響を外部へ放射するための開口7が形成される。一方、
箱体5には動電形電気音響変換器(スピーカ)8が別個
に設けられ、ここから音響が外部へ直接放射されるよう
になっている。このような音響装置においても、スピー
カ6が図示しない増幅器で駆動されると、振動板の振動
により共鳴室5′で共鳴現象が生じる。従って、開口7
からは共鳴室5′に固有の共鳴周波数fo近傍の音圧を
ピークとして、第32図に示すような音響再生がなされ
る。 〔発明が解決しようとする問題点〕 しかしながら、従来の音響装置によると、振動器によ
り音響放射体としての共鳴器の共振のQ値が低下すると
いう問題があった。これは、振動器としてのスピーカに
は固有の内部インピーダンスZvがあるためであり、これ
が共鳴器の共鳴を制動する要素となっているからであ
る。このように共振のQ値が低いと、共鳴音響の放射能
力は必然的に低くなり、音響装置としての意義は小さく
なる。 また、共鳴器を小形化しながら、共鳴周波数を低くし
ようとすると、開口ダクトは細くかつ長くなければなら
ない。すると、開口ダクトの音響抵抗(機械抵抗)が必
然的に大きくなり、共振のQ値はますます低下してしま
う。このため、共振のQ値の低下によって音響放射能力
が更に低下し、音響装置としての現実的な用途には適し
ないものとなる。 その結果、第29図および第31図に示す従来装置では、
いずれも十分な音響放射能力を有しておらず、またこの
能力をある程度確保しようとすると、キャビネットが極
めて大形化することは避けられなかった。 そこで、この発明は、十分な音響放射能力を実現する
ことができ、しかも小形化が可能な音響装置を提供する
ことを目的とする。 〔問題点を解決するための手段〕 この発明の音響装置は、共鳴による音響を放射するた
めの共鳴放射部を有する共鳴器と、この共鳴器の一部を
構成する振動体を有して共鳴器に配設される振動器と、
この振動器に駆動電流を制御して入力させることによ
り、駆動電流に対応した振動体の振動に基づいて共鳴器
の内部に音響を発生させるとともに、振動体に対する音
響の反作用の影響を軽減させる振動器駆動手段とを備え
ている。 ここで、振動器駆動手段は、駆動電流に対応して前記
振動器から出力した電圧信号を当該振動器駆動手段の入
力側に正帰還することにより、当該振動器駆動手段の出
力インピーダンス中に等価的に負性インピーダンス成分
を発生するように構成されており、共鳴器の共振周波数
は、振動器駆動手段が当該振動器駆動手段の出力インピ
ーダンス中に等価的に零以上の抵抗成分を発生して振動
器を駆動する場合に、当該共鳴器の低音共鳴放射能力が
確保される最低共振周波数よりも低くなるように設定さ
れていることを特徴とする。 〔作用〕 この発明によれば、振動器駆動手段により、振動器が
共鳴器からの反作用を打ち消すように駆動されるため、
振動板は等価的に共振器の壁となり、共鳴器から見たと
きの振動器の存在が無効化され、従って振動器に固有の
内部インピーダンスが共鳴器の共振のQ値を低下させる
要因とはならなくなる。このため、共振器の共振のQ値
は極めて高くなる。従って、共鳴器を小形化し、かつ共
鳴周波数を低くすることにより、共鳴器としての音響抵
抗が大きくなって通常の駆動方式では共振のQ値が非常
に小さくなるような場合でも、この発明では振動器によ
り共振のQ値の低下はないので、結果としての共振のQ
値は十分に高い値に維持することができ、共鳴器として
十分な音響放射能力を確保することができる。 以上のことから、共鳴音響の放射能力の向上と、共鳴
器の小形化とを同時に達成することが可能になる。 〔実施例〕 以下、添付の第1図ないし第28図を参照して、この発
明の実施例を説明する。なお、図面の説明において同一
の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略す
る。 第1図は、この発明の一実施例の基本的構成を示して
いる。同図(a)のように、この実施例では共鳴器とし
て、共鳴放射部をなす開口ポート11およびネック12を有
するヘルムホルツ共鳴器10を用いている。このヘルムホ
ルツ共鳴器10においては、閉じられた空胴と、開口ポー
ト11およびネック12による短い管とによって空気の共鳴
現象が生じる。そして、この共鳴周波数fopは fopc=(S/lV)1/2/2π ……(1) として求められる。ここで、 c:音速 S:開口ポート11の断面積 l:開口ポート11のネック12の長さ V:ヘルムホルツ共鳴器10の空胴の体積である。 この実施例の音響装置では、これに振動板21および変
換器22からなる振動器20を取り付けている。そして、こ
の変換器22は振動器駆動装置30に接続され、これは出力
インピーダンス中に等価的に負性インピーダンス成分
(-Z0)を発生させる負性インピーダンス発生部31を具
備している。 この音響装置の電気的等価回路の構成は、第1図
(b)のようになっている。ここで、並列共振回路Z1
振動器20の等価モーショナルインピーダンスによるもの
であり、roは振動系の等価抵抗を示し、Soは振動系の等
価スチフネスを示し、moは振動系の等価質量を示してい
る。また、直列共振回路Z2は開口ポート11を含むヘルム
ホルツ共鳴器10の等価モーショナルインピーダンスによ
るものであり、rcは共振器の空胴の等価抵抗をしめし、
Scは空胴の等価スチフネスを示し、rlは開口ポートの等
価抵抗を示し、mlは開口ポートの等価質量を示してい
る。また、図中のAは力係数であり、例えば振動器が動
電形電気音響変換器(スピーカ)であるときには、Bを
磁気ギャップ中の磁束密度、lはボイスコイル導体の長
さとすると、A=Blとなる。さらに、図中のZvは変換器
22の固有の内部インピーダンスであり、例えば振動器が
動電形スピーカであるときには、主としてボイスコイル
の直流抵抗となり、わずかながらインダクタンスを含ん
でいる。 次に、第1図に示す構成の音響装置の作用を簡単に説
明する。 負性インピーダンス駆動機能を有する振動器駆動装置
30から、振動器20の変換器22に駆動信号が与えられる
と、変換器22はこれを電気機械変換し、振動板21を前後
(図中の左右)に往復駆動しこれを機械音響変換する。
ここで、振動器駆動装置30は負性インピーダンス駆動機
能を有しているが故に、変換器22に固有の内部インピー
ダンスは実効的に減少化(理想的には無効化)されてい
る。従って、変換器22は振動器駆動装置30からの駆動信
号に忠実に応答して振動板21を駆動し、ヘルムホルツ共
鳴器10に対して駆動エネルギーを与える。 このとき、振動板21の前面側(図中の右面側)には、
ヘルムホルツ共鳴器10の空胴内の空気からの反作用が加
わるが、振動器駆動装置はこの反作用を打ち消すように
振動器20を駆動する。これは、振動器20の変換器22固有
の内部インピーダンスZvが等価的に無効化されているた
めであり、従って、振動板21はヘルムホルツ共鳴器10の
等価的な壁となり、共振のQ値は理想的には無限大とな
る。このため、ヘルムホルツ共鳴器10中の空気が共鳴さ
せられて、図中に矢印で示すように、共鳴放射部から十
分な音圧の音響が共鳴放射される。 そして、ヘルムホルツ共鳴器10における開口ポート11
およびネック12内の空気等価質量の調整により、この共
鳴周波数fopを所望の周波数帯域に設定し、かつ、開口
ポート11およびネック12の等価抵抗の調整により共振の
Q値を適正レベルに設定することにより、開口ポート11
から適切なレベルの音圧が得られることを条件として、
例えば第2図のような音圧の周波数特性を得ることがで
きる。なお、図中の点線特性は、振動器自体の周波数特
性の一例を示している。 以下、この事情を第3図および第4図の等価回路で説
明する。 第3図は第1図(b)をより簡素にした電気的等価回
路である。言い換えれば、共鳴器10の空胴の等価抵抗rc
と、開口ポート11およびネック12の等価抵抗rlは十分に
小さく、従ってその逆数分は極めて大きいので、これら
を無視した等価回路図である。第3図において、Iは回
路を流れる電流とし、I1およびI2はそれぞれ並列共振回
路Z1および直列共振回路Z2を流れる電流であるとする
と、Z3=Zv-−Z0としたときに、次の(2)〜(4)式
が成り立つ。 Ev=E0・{Z1・Z2/(Z1+Z2}/[{Z1・Z2/(Z1
Z2)}+Z3] ……(2) I1=E0・{Z2/(Z1+Z2)}/[{Z1・Z2/(Z1
Z2)}+Z3] ……(3) I2=E0・{Z1/(Z1+Z2)}/[{Z1・Z2/(Z1
Z2)}+Z3] ……(4) ここで、(3),(4)式を簡単にするために、Z4
Z1・Z2/(Z1+Z2)とすると、上記の(3)式は I1=E0/{Z1(1+Z3/Z4)} ……(5) となり、(4)式は I2=E0/{Z2(1+Z3/Z4)} ……(6) となる。 この(5),(6)式より、次の2点が理解できる。
第1は、Z3の値がゼロに近づけば、それだけ振動器側の
並列共振回路Z1のみならず共鳴器側の直列共振回路Z
2は、交流的には短絡された状態に近づくことである。
第2は、直列共振回路Z2がZ3=Zv−Z0を介して並列共振
回路Z1から影響を受ける関係にあり、このZ3の値がゼロ
に近づけば、それだけ直列共振回路Z2は並列共振回路Z1
に対して、独立性を強めることである。そして、理想的
には、 Z3=Zv−Z0=0 と仮定すると、式(5),(6)はそれぞれ I1=E0/Z1 ……(7) I2=E0/Z2 ……(8) となり、直列共振回路Z2は並列共振回路Z1と共に交流的
にゼロインピーダンスで短絡され、かつ直列共振回路Z2
は並列共振回路Z1から全く独立した共振系とみなすこと
ができる。 第4図に、Z0=-Zvとしたとき、すなわち、Z3=Zv−Z
0=0としたときの第3図の等価回路を示す。 まず、ヘルムホルツ共鳴器10、開口ポート11およびネ
ック12によるヘルムホルツ共鳴系を検討する前提とし
て、振動器20による共振系について、より厳密に考察し
てみると、等価モーションナルインピーダンスによる並
列共振回路Z1は、両端が交流的にゼロインピーダンスで
短絡されている。従って、この並列共振回路Z1は、実質
的には、もはや共振回路ではなくなっている。すなわ
ち、振動器20の変換器22は駆動信号入力に対してリアル
タイムで線形応答し、全く過渡応答することなく、電気
信号(駆動信号)を忠実に電気機械変換し、振動板21を
変位させることになる。また、この振動器20にあって
は、単にヘルムホルツ共鳴器10に振動器20を取付けた状
態で有していた最低共振周波数foという概念がもはや
なくなっている。この振動器20による並列共振回路Z
1は、その両端をゼロインピーダンスで交流的に短絡さ
れているのであるから当然である。(以後、振動器20の
最低共振周波数fo相当値と言う場合には、実質的には
無効化されてしまった上記概念を仮に呼ぶにすぎな
い。)さらに、振動器20とヘルムホルツ共鳴器10は互い
に無関係であり、しかも、振動器20と開口ポート11も無
関係であり、このためヘルムホルツ共鳴器10の容積の大
小や開口ポート11の内径の大小やネック12の長さなどと
は全く無関係に(ヘルムホルツ共鳴系の等価モーション
ルインピーダンスとは全く無関係に)機能する。 また、この並列共振回路Z1は直列共振回路Z2と無関係
に独立して並存している。従って、システムを小形化す
るためにヘルムホルツ共鳴器10を小容積に設計したとき
にも、また後述のようにヘルムホルツ共鳴系のQ値を下
げるために開口ポート11およびネック12を細長く設計し
たときにも、この並列共振回路Z1すなわちユニット振動
系の設計は何らヘルムホルツ共鳴器側へ影響を及ぼさな
い。このため、相互依存条件にとらわれない容易な設計
が可能になる。 別の見方をすれば、このユニット振動系は実効的には
共振系でなくなっているので、駆動信号入力がゼロボル
トならば、振動板21は実質的にはヘルムホルツ共鳴器10
の壁の一部になってしまうともいえる。 さらに別の見方をすれば、この発明の音響装置では、
共振系はヘルムホルツ共鳴系のみ唯一つになってしまう
ことである。(第29図、第31図に示す従来装置では、ヘ
ルムホルツ共鳴系以外に振動器自体が別の共振系を形成
しており複数個存在する。) さて、ここで、上記の第4図を参照して、ヘルムホル
ツ共鳴器10、開口ポート11およびネック12による共振系
(ヘルムホルツ共鳴系)について詳しく検討する。 まず、このヘルムホルツ共鳴器10の駆動について説明
する。変換器22に流れる電流Iは、前述の(7),
(8)式より、 I=I1+I2 =(1/Z1+1/Z2)E0 ……(9) となるが、共鳴器の共鳴周波数fop付近(ヘルムホルツ
共鳴をしている状態)においては、Z2→0になり(但
し、実際には抵抗分によりダンプされている)、一方、
変換器22の振動板21の最低共振周波数fo相当値は開口
ポート11の共鳴周波数fopより高いから、共鳴周波数f
op付近においてはZ1の値は十分に大きくなっている。こ
のため、(9)式は I=I1+I2≒I2 となり、変換器22に流れる電流の大部分は、ヘルムホル
ツ共振器10の駆動のために寄与していることになる。ま
た、Z2→0となっているためヘルムホルツ共鳴器10は大
電流かつ小振幅電圧で駆動されることになり、これと並
列な変換器22も同様に小振幅電圧で駆動されることにな
り、従って振動板21は小振幅動作となる。ここにおい
て、振動板21が小振幅動作である点は、ダイナミック・
コーン・スピーカなどの大振幅動作にありがちな非線形
な歪を、減少させる効果が大きい。特に重低音域におい
て顕著になる。 次に、ヘルムホルツ共鳴器10の共鳴周波数について説
明する。この共鳴周波数とは、すなわち直列共振回路Z2
の共振周波数のことであるが、これは、前述の(1)式
から明らかなように、開口ポート11の断面積Sとそのネ
ック12の長さlとを調整することにより共鳴器10の空胴
の堆積Vに無関係に任意設定できる。(もちろん体積V
を含んで調整することも可能である。) 次に、ヘルムホルツ共鳴器10が形成する直列共振回路
Z2の共振のQ値について説明する。この直列共振回路Z2
の両端は交流的にゼロインピーダンスで短絡されている
ため、 (負荷抵抗)/(共振インピーダンス) として表わされるQ値は第4図の等価回路ではQ値は無
限大になる。第1図の等価回路に基づいて共振のQ値を
正確に算出すると Q=(mlSc1/2/(rc+rl) となるが、通常rc,rlは極めて小さく、これをゼロと
みなせば、やはり同様の結果となる。 すなわち、この発明によれば、共鳴器10の共振のQ値
が従来に比べて格段に大きくなるということであり、こ
れは共鳴器10の音響放射能力の余裕度を極めて大きくし
ているとも見れる。 一般に、ヘルムホルツ共鳴器10等の共鳴Q値を必要に
応じて低下させる制御は容易にできる。例えば、ヘルム
ホルツ共鳴器10を小形化する場合、開口ポート11の共振
系の共鳴周波数fopを低くすることは、前述の(1)式 fop=c(S/lV)1/2/2π において、開口ポートの断面積Sを小さくし、あるいは
ネックの長さlを大きくすることにより実現される。こ
のことは、この発明の音響装置では、小形化してかつ重
低音再生しようと設定すること自体が、Q値を適度に下
げる要素となることを意味するのである。すなわち、開
口ポート11を細長くすることは、空気摩擦による機械抵
抗(音響抵抗)を大きくすることであり、従って、第1
図(b)の等価回路においてA2/rlを小さくすることに
なるので、ヘルムホルツ共鳴器10および開口ポート11側
の直列共振回路Z2のQ値は低下し、結果として適度にダ
ンピング特性が向上する。この点は、第29図、第31図に
示す従来装置において装置を小形化すると共振系として
のQ値が極度に小さくなり、ついには音響放射能力が失
われてしまっていたことと比較すると、極めて好対照と
いえる。 また、その他に、ヘルムホルツ共鳴器10内に吸音材な
どを入れることによってA2/rCを小さくし、Q値を所望
に制御することもできる。そして、いずれの場合でも、
共鳴器(キャビネット)の小形化という条件の下で、上
記のようにヘルムホルツ共鳴系のQ値を制御しても、ユ
ニット振動系には何ら影響が及ばない。 このように共鳴周波数、共振Q値が単独設定されたヘ
ルムホルツ共鳴器10は、もはやユニット振動系とは全く
独立して仮想スピーカと見なすべきである。そして、こ
の仮想スピーカは、開口ポート径に相当する小口径で実
現されるにもかかわらず、その低音再生能力から見ると
現実のスピーカとしては極めて大口径のものに該当し、
寸法効率あるいは音源集中化には極めて大きい効果を奏
する。当然、実際のスピーカを使わなくて済むから、そ
の意味でのコスト効率も極めて大きい。また、この仮想
スピーカには現実の振動板は存在せず、しかも空気のみ
で構成される振動板であり、極めて理想的なものといえ
る。 以上の説明から明らかなように、この発明によれば共
鳴器の共振のQ値が極めて大きく(理想状態に近ければ
Q≒∞)なり、また、この共鳴器は実際には振動板の変
位によって駆動されるものの、等価回路的には振動器と
全く並列的にかつ独立して駆動源から駆動エネルギーが
供給されているものとみなせ、共鳴器と振動器との相互
依存条件等を全く考慮することなく設計が可能であり、
さらには共鳴器の容積も振動器側には全く影響を与えな
いので、共鳴器の共振周波数をその容積に依存しない形
で独自設定することにより、小形でかつ十分な音圧の重
低音再生が可能となるのである。例えば、第2図に示す
ような音圧の周波数特性を容易に、しかも小形化された
装置(キャビネット)で実現することができる。 なお、以上の基本構成の説明では、理想的状態として Z3=Zv−Z0=0 と仮定して説明したが、本質的には 0=≦Z3<Zv とすることでこの発明の効果が充分に得られる。 すなわち、振動器が共鳴器駆動時に共鳴器側から受け
る反作用を少しでも打ち消すように駆動してやれば、そ
れなりに効果を生じるのである。なぜなら、ユニット振
動系の振動板がヘルムホルツ共鳴器の壁面と化す程度
は、共鳴器側からの反作用によって該振動板が勝手に駆
動される度合に関係し、反作用打ち消しの効果は、Z3
値が減少するに従って増加するからである。従って、例
えば動電形スピーカにおいて、ボイスコイルの内部抵抗
値が8Ωであるときには、−4Ωの等価負性抵抗を生成
して見掛け上は抵抗値を4Ωとすることで、ヘルムホル
ツ共鳴器からは十分に満足できる低音再生を実現でき
る。 また、負性インピーダンスを大きくし過ぎることによ
り、Z3=Zv−Z0の値を負にするようなことは好ましくな
い。なぜなら、Z3が負になると回路は、負荷を含め全体
として負性抵抗性となり、発振を生じるからである。従
って、内部インピーダンスZvの値が動作中の発熱などで
変化するときには、これに応じて負性インピーダンスの
値をあらかじめ余裕をもって設定しておくか、温度変化
に応じて負性インピーダンスの値を変える(温度補償す
る)必要がある。 なお、ユニット振動系の共振のQ値について付言して
おくと、共鳴器からの反作用を打ち消すようにこの振動
系が駆動されるということは、実質的にこの振動系中の
固有の内部インピーダンスZvが無効化されていることに
なるから、その場合、並列共振系において、 (負荷抵抗)/(共振インピーダンス) として表されるQ値は、並列共振回路Z1についてはゼロ
になる。ユニット振動系でQ=0になるということは、
等価的に並列共振回路Z1をなす振動器20が、入力電圧Ev
と並列共振回路Z1の抵抗分A2/roで決定されるEv/(A2
/ro)なる電流源で駆動されるスピーカになることであ
る。電気的にみて電流駆動領域にあるということは、機
械的には速度駆動領域にあるということであり、このス
ピーカの最低共振周波数fo相当値近傍の音波の周波数
特性は、6dB/octとなる。これに対して、通常の電圧駆
動状態の特性は、12dB/octとなる。 別の観点でいえば振動板21は完全な制動状態になるこ
とである。すなわち、振動板21を駆動したことによる反
作用に対しては、駆動電流が増減することにより、この
反作用に対抗すべく制御がなされる。従って、例えば振
動板21に外力が加わった場合でも、その瞬間にこの外力
と均衡する状態まで逆駆動力が働くのである。(アクテ
ィブサーボ)。 次に、これまで第1図ないし第4図で説明した基本構
成において、適用可能な各種の態様を説明する。 まず共鳴器については、第1図(a)のものに限られ
ない。例えば、空胴部の形状は球形に限らず直方体、立
方体等としてもよく、また、その容積についても特に限
定されることなく、かつユニット振動系とは独立に設計
できる。このため、小容積としてキャビネットを小形化
することができる。また、共鳴放射部をなす開口ポート
およびネックについても、断面形状などは限定されず、
例えば音道は第1図(a)のように外部に突出する形態
でも良いし、また空胴内に収容する形態としてもよい。
さらに、特にネック12を設けず、単なる開口の存在のみ
であってもよい。さらに開口は複数個に分散されていて
もよい。さらに、共鳴周波数fopは開口ポートの断面積
とネック長さとの相関関係の下で、適宜に設定してもよ
い。さらに、開口ポートの断面積をネックの長さとの関
係において適宜設定できるので、ポートの開口を小さく
することにより低域用の仮想スピーカを小口径にでき、
音源を集中させて定位感を高めることができる。 振動器(電気音響変換器)については、第5図ないし
第12図に示すように、大別すると動電形、電磁形、圧電
形および静電形など各種の形のものを適用することがで
きる。 動電形スピーカ(ダイナミックスピーカ)の振動板の
態様は、第5図ないし第7図に示すように、コーン形、
ドーム形、リボン形、全面駆動形およびハイルドライバ
形がある。コーン形ダイナミックスピーカは第5図に示
すように、振動板として円錐形状のコーン101を有し、
このコーン101の円錐頂部近傍にはボイスコイル102が固
定される。そして、このボイスコイル102は磁気回路103
に形成された磁気ギャップ中に挿入されている。なお、
このコーン形ダイナミックスピーカでは、非モーショナ
ルインピーダンス成分は主に抵抗として現れる。第6図
に示すドーム形ダイナミックスピーカでは、振動板がド
ーム104となっている点を除けば、第5図のコーン形ダ
イナミックスピーカと基本的には同一である。 リボン形ダイナミックスピーカは、第7図のように、
磁気回路103の磁気ギャップ中にリボン振動板105を配設
して構成される。この形のものでは、駆動電流をリボン
105の長手方向に流すことにより、前後(図面において
上下)に振動して音波を発生させる。従って、リボン10
5がボイスコイルと振動板を兼ねている。なお、これに
ついても非モーショナルインピーダンス成分は主に抵抗
として現れる。 全面駆動形ダイナミックスピーカは、第8図のよう
に、音波を放射するための開孔103aを有する磁石板103,
103を平行に配設し、この間にボイスコイル102付きの振
動膜106を配設して構成される。ここで、磁石板103は磁
力線が振動板106とほぼ平行になるように着磁され、ま
たボイスコイル102は振動膜106上に渦巻き状に固定され
ている。 第9図に示すハイルドライバ形ダイナミックスピーカ
についても、ボイスコイル102は振動膜106上に配設され
ている。すなわち、振動膜106は蛇腹状に構成され、こ
こにボイスコイル102がギグザグに固着されている。こ
れによれば、ボイスコイル102に駆動電流を流すことに
より振動板106の蛇腹は交互に伸縮し、音波が放射され
る。そして、このスピーカにおいても非モーショナルイ
ンピーダンス成分は主に抵抗として現れる。 電磁形スピーカとしては、第10図のようなものがあ
る。図示のように、振動自在に配設された振動板106は
磁性体を含んで構成され、この近傍にはコイル107を巻
回した鉄心108が設けられる。ここにおいて、コイル107
に駆動電流を流せば、鉄心108からの磁力線により振動
板106は振動させられ、図中の上下方向に音波が放射さ
れる。なお、この形のスピーカにおいても、非モーショ
ナルインピーダンス成分は主に抵抗として現れる。 圧電形スピーカとしては、第11図に示すようなものが
ある。図示のように、支持体110には電歪効果により振
動するバイモルフ111の両端が固定され、この中心部に
は振動棒112が立設して固定される。そして、この振動
棒112の先端は支持体110に固着された振動膜113の、ほ
ぼ中心部に当接している。このスピーカでは、電歪効果
によってバイモルフ111が屈曲し、これによって中心部
が上下に振動すると、これが振動棒112を伝わって振動
膜113に伝えられる。従って、駆動電流に応じて振動膜1
13を振動させ、音波を放射することができる。なお、こ
のスピーカでは非モーショナルインピーダンス成分は、
主として静電容量などとして現れる。 静電形スピーカとしては、第12図に示すようなものが
あり、一般には、同図(a)のものがシングルタイプコ
ンデンサ形と呼ばれ、同図(b)のものがプッシュプル
タイプコンデンサ形と呼ばれる。同図(a)において、
振動膜121はメッシュ状の電極122と近接して並設され、
これにバイアスEを重畳した入力信号が与えられる。従
って、静電効果により振動膜121を振動させ、音波を放
射できる。このとき、振動膜121の振動により変位電流
のリアクションがあるので、これを利用して負性インピ
ーダンス(容量)を等価的に生成できる。同図(b)に
ついては、振動膜121が2枚のメッシュ状の電極122に挾
まれている。動作原理については同図(a)と同様であ
り、また非モーショナルインピーダンス成分についても
主に静電容量として現れる。 共鳴器からの反作用を打ち消すように振動器を駆動す
るための振動器駆動手段における負性インピーダンス発
生手段については、第13図ないし第21図に示すように各
種のものがある。 第13図は、その基本構成を示している。図示のよう
に、利得Aの増幅回路131の出力をスピーカ132による負
荷ZLに与える。そして、この負荷ZLに流れる電流iを検
出し、伝達利得βの帰還回路133を介して増幅回路131に
正帰還する。このようにすれば、回路の出力インピーダ
ンスZ0は Z0=ZS(1−Aβ) ……(10) として求められる。この(10)式らからAβ>1とすれ
ばZ0は開放安定形の負性インピーダンスとなる。ここ
で、ZSは電流を検出するセンサのインピーダンスであ
る。 第14図は、電流iの検出をスピーカ132の接地側に設
けた抵抗Rsにより行なう例である。これによれば、出力
インピーダンスZ0は前述の(1)式より Z0=Rs(1−Aβ) となるので、Aβ>1とすれば、見掛け上の負性抵抗成
分を出力インピーダンス中に含ませることができる。な
お、このような回路に相当する具体例は、例えば特公昭
59-51771号などに示されている。 第15図は、電流iの検出をスピーカ132の非接地側に
設けた抵抗Rsにより行なう例である。この例によって
も、出力インピーダンスZ0に負性抵抗成分を含ませるこ
とができる。なお、このような回路の具体例は、例えば
特公昭54-33704号などに示されている。第16図はBTL接
続にしたもので、図中の134は反転回路である。この回
路においても、出力インピーダンスZ0は Z0=Rs(1−Aβ) となる。 第17図は、電流プローブによって電流iを検出する例
である。すなわち、電流iは線路に周囲磁場を形成する
ので、これを電流プローブ135で検出し、帰還回路133を
介して増幅回路131に帰還するものである。 第18図は、帰還回路133に積分器を用いた例である。
すなわち、インダクタンスLの両端電圧を積分して検出
することにより、抵抗検出と同等のことを行なうことが
できる。この回路によれば、DC近傍では抵抗Rsを用いた
ときよりも低損失にできる。 第19図は、帰還回路133に微分器を用いた例である。
すなわち、キャパシタンスCの両端電圧を微分して検出
することにより、抵抗検出と同等のことができる。但
し、この回路ではスピーカ132の駆動系にキャパシタン
スCが介在されるため、直流成分の駆動信号がカットさ
れる問題がある。 以上、説明した例は、出力インピーダンスZ0に負性抵
抗を等価的に含ませるものであり、動電形あるいは電磁
形の電気音響変換器を用いたときに適用される。これに
対して、圧電形あるいは静電形の変換器(スピーカ)を
用いたときには、非モーショナルインピーダンス成分は
キャパシタンスである。従って、出力インピーダンスZ0
には負性容量を等価的に含ませることが必要になる。第
20図はその一例の回路図で、スピーカ132は静電形ある
いは圧電形のスピーカである。このスピーカ132の接地
側のキャパシタンスCの両端は、帰還回路133に接続さ
れている。この例によれば、出力インピーダンスZ0は前
述の(10)式より Z0=C(1−Aβ) となる。 非モーショナルインピーダンス成分としてインダクタ
ンスを含む電気音響変換器を用いるときには、等価負性
インダクタンスを出力インピーダンスZ0に含ませること
が必要になる。また、動電形スピーカなどでは非モーシ
ョナルインピーダンス成分として、抵抗のほかにインダ
クタンスもある程度は含んでいるので、このインダクタ
ンス成分も無効化したいときには、負性インダクタンス
の生成が必要になる。第21図はその一例の回路図であ
る。図示のように、スピーカ132の接地側のインダクタ
ンスLの両端は、帰還回路133に接続されている。この
例によれば、出力インピーダンスZ0は Z0=L(1−Aβ) となる。 次に、この発明の実施例について、順次に説明する。 第22図は、キャビネットに動電形スピーカを適用した
実施例の構成図である。図示のように、ヘルムホルツ共
鳴器としてのキャビネット41の後面(図中の左面)には
穴があけられ、ここに動電形スピーカ42が取り付けられ
ている。スピーカ42は円錐形状(コーン状)の振動板43
と、その円錐頂部近傍に設けられた動電形変換器44によ
り構成される。また、キャビネット41の前面(図中の右
面)側には開口ポート45が突出したネック48に形成さ
れ、これがこの発明における音響放射体としての共鳴器
を形成している。駆動回路46は負性抵抗駆動用のサーボ
回路47を有し、この出力で動電形変換器44が駆動され
る。 ここで、動電形変換器44はボイスコイル直流抵抗Rv
有し、これに対し駆動回路46は出力インピーダンス中に
等価負性抵抗成分(-Rv)を有し、従って、これにより
抵抗Rvが実質的に無効化でき、もって、振動器は共鳴器
からの反作用を打ち消すべく駆動されるようになる。ま
た、RM,LM,CMはそれぞれスピーカ42を電気的に等価表
現したときのモーショナルインピーダンスである。一
方、キャビネット41の容積をVとし、開口ポート45の断
面積をS、そのダクトのネット46の長さをlとすると、
その共鳴周波数fopは前述の(1)式のように、 fop=c(S/lV)1/2/2π で求められる。 第22図に示す実施例の等価的動作構成は、第23図のよ
うになる。すなわち、開口ポート45によって等価的に形
成される仮想のスピーカ45′は、容積が無限大の密閉形
キャビネット41′に取り付けられたのと等価となる。そ
して、スピーカ41′は等価的に形成された低域通過フィ
ルタ(LPF)48を介して、通常の(アクティブサーボ駆
動をしない)アンプ49に接続されている。仮想スピーカ
45′の共振周波数fopは開口ポート45とダクトのみによ
って定まり、そのときの共振のQ値は自在に制御するこ
とができる。 以上の説明から明らかなように、この第22図および第
23図に示す実施例によれば、仮想スピーカが開口ポート
45およびダクトにより等価形成される。そして、これら
は容積が無限大の密閉形キャビネットに取り付けたのと
等価になるので、極めて優れた低音再生特性が実現され
る。そして、スピーカユニットの仕様とキャビネットの
仕様は、互いに制約されることなく自由に設計できるの
で、キャビネットを小形化することも全く問題なくなり
かつキャビネットが形成する共鳴体の共鳴周波数もキャ
ビネットの容積以外で設定でき、システムを従来のあら
ゆるスピーカシステムに比べて著しく小形化できる。具
体的には、ヘルムホルツ共鳴器の容量を3.5リットルと
したときに、第24図に示すような、優れた音圧の周波数
特性が得られた。 この仮想スピーカは、その仮想振動板の変化速度に関
し、第23図に示されるような等価フィルム48を介してア
ンプ49に接続されていることになる。 なお、再生音圧が十分でない帯域については、入力信
号のレベルをアンプ側で増減設定することにより、容易
に制御することができる。 第25図は、この発明の他の実施例を示している。図示
の通り、ヘルムホルツ共鳴器は第1および第2の共鳴器
51a,51bからなり、これらはそれぞれ開口ポート52a,52b
を有している。そして、共鳴器51a,51bの間の仕切壁53
には穴があけられ、ここに動電形スピーカ54が取り付け
られている。そして、スピーカ54は負の出力インピーダ
ンス(-Rv)を等価的に有する駆動制御装置30によって
動作させられ、第1および第2の共鳴器51a,51bからの
それぞれの反作用に影響されずその振動板は等価的にこ
れら共鳴器の壁面の一部となる。この例では、各ヘルム
ホルツ共鳴系A,Bはそれぞれ別個の共鳴周波数fopa,f
opbを持っている。 次に、この発明の発明者が試作したいくつかの具体例
を説明する。 第26図は、1個の動電形コーンスピーカを用いて、等
価的に仮想スピーカシステムを構成したときの駆動回路
の回路図である。同図において、負の出力インピーダン
スZ0は Z0=Rs(1−Rb/Ra) =0.22(1−30/1.6) =−3.9(Ω) となる。すなわち、第26図の回路では、等価的な出力イ
ンピーダンスが第27図に示すようになっている。 第28図は、低歪率の負性抵抗パワーアンプの回路例で
ある。同図中、点線で囲んだA部分が、第14図及び第24
図等に示す検出抵抗Rsであり、図中の点線で囲んだB部
分が、この検出電流値に相当する電圧を再び電流化し
て、入力側に帰還させる部分であり、第14図中の回路13
3等に相当する。電圧電流変換をする理由は、検出部と
入力帰還部との接地電位差の影響を受けないようにする
ためである。この回路では、出力インピーダンスZoは Zo=Rs(1−Rf/Ry) となる。従って、Rf=30kΩであるので、Ry<kΩのと
きに、出力インピーダンスZ0中に等価的な負性抵抗分を
含ませることができる。 更に本発明者は、この発明の音響装置と、従来の装置
との効果の比較に関し、次のような結果を得た。 まず、この発明に従った音響装置としては、ヘルムホ
ルツ共鳴器の空胴の容量を6リットルとし、開口ポート
の内径を3.3cmとし、そのネック長を25cmとした。そし
て、動電形コーンスピーカを取り付けて負性抵抗駆動を
行なったところ、fop=41ヘルツまでの重低音再生がで
きた。これに対し、負性抵抗駆動等をしない従来の装置
では、動電形コーンスピーカとしてfo=50ヘルツ、Q
=0.5、口径20cmのものを用いたときには、キャビネッ
トの容量を176リットルとしたときに、fop=41ヘルツ
までの再生が可能となった。従って、同一程度の重低音
再生において、キャビネットの容量を1/30倍程度にでき
ることが判明した。 〔発明の効果〕 以上、詳細に説明した通り、この発明によれば、振動
板は等価的に共鳴器の壁となり、振動器の内部インピー
ダンスが共振のQ値の低下の要因とはならなくなる。こ
のため、共振のQ値を極めて高くできることになる。ま
た、共鳴器と振動器とは全く独立した存在となり、共鳴
器の共鳴周波数は共鳴器の容積以外で設定可能であるか
ら該共鳴器を小形化することも容易であり、さらに共鳴
器を小形化し、かつ共鳴周波数を低くすることにより、
共鳴器としての音響抵抗が大きくなって通常の駆動方式
では共鳴のQ値が非常に小さくなるような場合でも、こ
の発明では振動器により共振のQ値の低下はないので、
結果としての共振のQ値は十分に高い値に維持すること
ができ、共鳴器として十分な音響放射能力を確保するこ
とができる。 以上のことから、共鳴音響の放射能力の向上と、共鳴
器の小形化とを同時に達成することが可能になる。 また、この発明の音響装置はオーディオ用スピーカシ
ステム以外にも、電子楽器、電気楽器等の発音体あるい
は他の発音体として幅広く応用できる。
【図面の簡単な説明】 第1図は、この発明の一実施例の基本構成を説明する
図、 第2図は、音圧の周波数特性図、 第3図は、第1図(a)の電気的等価回路図、 第4図は、第3図のZ3をゼロとしたときの等価回路図、 第5図ないし第9図は、動電形スピーカのいくつかの例
を説明する図、 第10図は、電磁形スピーカの例を説明する側面図、 第11図は、圧電形スピーカの例を説明する断面図、 第12図は、静電形スピーカの例を説明する回路図、 第13図は、等価的に負性インピーダンスを生成する回路
の基本構成図、 第14図ないし第19図は、等価負性抵抗を生成する回路の
回路図、 第20図は、等価負性キャパシタンスを生成する回路の回
路図、 第21図は、等価負性インダクタンスを生成する回路の回
路図、 第22図は、より具体的な実施例に係る音響装置の構成
図、 第23図は、第22図の装置の等価的動作構成の説明図、 第24図は、第22図の実施例による音圧の周波数特性を示
す図、 第25図は、この発明の他の実施例に係る音響装置の構成
図、 第26図は、1個の振動器を用いて等価的に仮想スピーカ
システムを実現したときの回路図、 第27図は、第26図において等価的に形成される出力イン
ピーダンスを説明する図、 第28図は、低歪率の負性抵抗パワーアンプの回路図、 第29図は、従来の音響装置の第1の例の断面図、 第30図は、従来の第1の例による音圧の周波数特性を説
明する図、 第31図は、従来の音響装置の第2の例の断面図、 第32図は、従来の第2の例による音圧の周波数特性を説
明する図、 である。 10……ヘルムホルツ共鳴器、11……開口ポート、12……
ネック、20……振動器、21……振動板、22……変換器、
30……振動器駆動装置、31……駆動制御手段(負性イン
ピーダンス発生部)、Z0……出力インピーダンス、Zv
…内部インピーダンス(非モーショナルインピーダンス
成分)。

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.共鳴による音響を放射するための共鳴放射部を有す
    る共鳴器と、 この共鳴器の一部を構成する振動体を有して前記共鳴器
    に配設される振動器と、 この振動器に駆動電流を制御して入力させることによ
    り、前記駆動電流に対応した前記振動体の振動に基づい
    て前記共鳴器の内部に音響を発生させるとともに、前記
    振動体に対する前記音響の反作用の影響を軽減させる振
    動器駆動手段と を備え、 前記振動器駆動手段は、前記駆動電流に対応して前記振
    動器から出力した電圧信号を当該振動器駆動手段の入力
    側に正帰還することにより、当該振動器駆動手段の出力
    インピーダンス中に等価的に負性インピーダンス成分を
    発生するように構成されており、 前記共鳴器の共振周波数は、前記振動器駆動手段が当該
    振動器駆動手段の出力インピーダンス中に等価的に零以
    上の抵抗成分を発生して前記振動器を駆動する場合に、
    当該共鳴器の低音共鳴放射能力が確保される最低共振周
    波数よりも低くなるように設定されていることを特徴と
    する音響装置。 2.前記共鳴器は開口部を有するヘルムホルツ共鳴器で
    あることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の音響
    装置。 3.前記開口部は筒状のネックを有することを特徴とす
    る特許請求の範囲第2項記載の音響装置。 4.前記振動器は動電形電気音響変換器であることを特
    徴とする特許請求の範囲第1項記載の音響装置。 5.前記振動器は電磁形電気音響変換器であることを特
    徴とする特許請求の範囲第1項記載の音響装置。 6.前記振動器駆動手段は、前記駆動電流に対応して前
    記振動器から出力した電圧信号を当該振動器駆動手段の
    入力側に正帰還することにより、当該振動器駆動手段の
    出力インピーダンス中に等価的に負性抵抗成分を発生す
    るように構成されていることを特徴とする特許請求の範
    囲第1項記載の音響装置。
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