JP2003299168A - スピーカシステム - Google Patents

スピーカシステム

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JP2003299168A
JP2003299168A JP2002100988A JP2002100988A JP2003299168A JP 2003299168 A JP2003299168 A JP 2003299168A JP 2002100988 A JP2002100988 A JP 2002100988A JP 2002100988 A JP2002100988 A JP 2002100988A JP 2003299168 A JP2003299168 A JP 2003299168A
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speaker
speaker unit
cabinet
diaphragm
port portion
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JP2002100988A
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Ikuhide Nakano
育英 中野
Shiro Tsukamoto
士郎 塚本
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Sony Corp
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 設計が容易であると共に、より自然な再生音
が得られる、低周波数域の再生用として好適なスピーカ
システムを提供する。 【解決手段】 第1のキャビネット部10の一部と、第
2のキャビネット部20の一部とが結合されることより
形成された結合開口部30を備える。第1のキャビネッ
ト部10には、第1のポートが形成されると共に、振動
板が結合開口部に臨むように設けられる第1のスピーカ
ユニット41が取り付けられる。第2のキャビネット部
20には、第2のポートが形成されると共に、振動板が
結合開口部に臨むように設けられる第2のスピーカユニ
ット42が取り付けられる。第1および第2のスピーカ
ユニットの機械的振動系は、結合開口部において結合さ
れる。第1のキャビネット部において調整される第1の
共振周波数と、第2のキャビネット部において調整され
る第2の共振周波数とは異なるようにされる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、低周波数域の再
生用として好適なスピーカシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】スピーカ・システムにおいて、再生する
低音域を拡大する構成としてバスレフックス型(位相反
転型)キャビネットを用いるスピーカ(以下、このスピ
ーカをバスレフ型スピーカという)がよく知られてい
る。
【0003】このバスレフ型スピーカは、キャビネット
に取り付けられたスピーカユニットの振動板の後ろ(背
面側)からの音(キャビネット内側の音)を、キャビネ
ットに設けたポート(またはダクト;この明細書では、
ポートと称することとする)を通して位相を180度反
転させて、スピーカユニットの振動板の前方(前面側)
からの音の位相と同じにして出してやることにより、低
い周波数までの再生を有効に行えるようにしたものであ
る。
【0004】バスレフックス(以下、バスレフと略称す
る)型キャビネットは、比較的小容積のキャビネットで
ありながら、再生最低周波数を低くすることができるの
で、従来から多用されている。
【0005】しかしながら、バスレフ型スピーカでは、
その再生最低周波数(あるいは低域共振周波数)よりも
高い周波数の再生音は、スピーカユニットの振動板の前
面より、ほぼそのまま放射されるので、サブウーファな
どと称される低音専用のスピーカシステムを実現するた
めには、電気的なフィルタ、例えばローパスフィルタま
たはバンドパスフィルタを、その入力音声信号に対して
挿入したり、あるいは中高音域の再生感度が低い(再生
帯域が低音域のみである)スピーカユニットを採用した
りしなければならなかった。
【0006】この問題を解消するものとして、例えば特
開昭60―93793号公報の「ポート付スピーカシス
テム」に開示されるようなスピーカシステムが提案され
ている。
【0007】このスピーカ・システムは、図17に示す
ように、箱形のキャビネット1の内部を、仕切板2によ
り、2つのサブチャンバ3a,3bに分割する。そし
て、仕切板2に開口4を形成し、この開口4の部分に振
動板が位置するようにスピーカユニット5を、仕切板2
を取り付ける。このとき、スピーカユニット5の振動板
6の上面(前面)は、サブチャンバ3aに露呈し、振動
板6の下面(背面)は、サブチャンバ3bに露呈する。
【0008】そして、サブチャンバ3a、3bのそれぞ
れにはポート7a、7bが設けられ、振動板6の前面お
よび背面より放射された音波を、これらのポート7a、
7bから外部に放射している。
【0009】このスピーカシステムによれば、振動板6
の前面側および背面側に形成されるバスレフ構造によ
り、一種のバンドパスフィルタとして機能するので、ス
ピーカユニット5から中高音域の音波が再生されたとし
ても、ポート7a、7bから外部には放射されない。そ
して、サブチャンバ3a、3bの容積およびポート7
a、7bの開口面積や長さを調整して、上側および下側
それぞれのバスレフ共振周波数を違えて設定することに
より再生帯域を調整することが可能となる。
【0010】図18は、この図17のスピーカシステム
の等価回路を示すものである。第1の変換器(トラン
ス)CT1は、電気系から機械系への変換を表し、音声
信号Eoがスピーカユニット5に供給されると、音声信
号Eoに応じた電流iがスピーカユニット5のボイスコ
イルの起振力Fに変換される。この変換は、F=Bli
で表される。ここで、Bはスピーカユニット5のボイス
コイルが置かれる磁気ギャップでの磁束密度、lはスピ
ーカユニット5のボイスコイルの長さを表す。
【0011】この起振力Fによりスピーカユニット5の
振動板6が振動する。その振動系の機械インピーダンス
を抵抗R、コンプライアンスC、質量Mで表す。この振
動板の振動(電流に相当)は、続く第2の変換器(トラ
ンス)CT2により、機械系から音響系に変換される。
【0012】すなわち、振動板前面より振動板6の輻射
インピーダンス(抵抗Rvおよび質量Mvからなる)を
介して、上側のサブチャンバ3a内部に向けて音が放射
される。その音圧は上側ポート7aのインピーダンス
(抵抗Rpaおよび質量Mpaからなる)を通じて外部
に放射される。なお、Caは、上側のサブチャンバ3a
の容積分によるコンプライアンス、Reaは、上側のサ
ブチャンバ3a内の吸音材(図示せず)による損失など
を表す音響抵抗である。これら振動板6の輻射インピー
ダンス、および上側ポート7aのインピーダンス、さら
にコンプライアンスCaに基づいて、上側ポート7aに
よるバスレフ共振周波数が調整される。
【0013】また、振動板背面より振動板6の輻射イン
ピーダンス(抵抗Rvおよび質量Mvからなる)を介し
て、下側のサブチャンバ3b内部に向けて音が放射され
る。その音圧は下側ポート7bのインピーダンス(抵抗
Rpaおよび質量Mpaからなる)を通じて外部に放射
される。なお、Cbは、下側のサブチャンバ3bの容積
分によるコンプライアンス、Rebは、下側のサブチャ
ンバ3b内の吸音材(図示せず)による損失などを表す
音響抵抗である。これら振動板6の輻射インピーダン
ス、および下側ポート7bのインピーダンス、さらにコ
ンプライアンスCbに基づいて、下側ポート7bによる
バスレフ共振周波数が調整される。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】前述したように、図1
7のスピーカシステムにおいては、上側および下側それ
ぞれのバスレフ共振周波数を違えて設定することによ
り、目標とする再生帯域になるように調整する。
【0015】しかしながら、図17のスピーカシステム
では、一つのキャビネットの内部を2つのサブチャンバ
に分割し、単一のスピーカユニット5の振動板6の前面
側を一方のサブチャンバ3aに露呈し、振動板6の背面
側を他方のサブチャンバ3bに露呈すると共に、サブチ
ャンバ3a、3bのそれぞれにポート7a、7bを設け
る構成であるので、目標とする再生帯域となるように調
整することが非常にやっかいである。
【0016】すなわち、目標とする再生帯域とするため
の調整は、サブチャンバ3aの容積やポート7aの開口
面積および長さを調整することにより、上側のバスレフ
共振周波数を調整すると共に、サブチャンバ3bの容積
やポート7bの開口面積および長さを調整することによ
り、下側のバスレフ共振周波数を調整することにより行
うが、一方のバスレフ共振周波数の調整を行うと、それ
の影響が他方のバスレフ共振周波数に及ぶため、すでに
調整済みとなっている他方のバスレフ共振周波数の調整
を再度行わなければならず、目的の再生帯域に追い込む
までに手間と時間がかかる問題がある。
【0017】このことは、図18の等価回路からも理解
される。すなわち、図18において、機械系からトラン
スCT2を介しての音響系への変換は、上側ポート7a
が存在するサブチャンバ3a側と下側ポート7bが存在
するサブチャンバ33b側とに振り分けられる。そし
て、その振り分けは、上下のインピーダンスの比に応じ
たものとなり、一方のインピーダンスが小さくなれば、
その小さくなった方への変換出力が大きくなり、その
分、他方への変換出力が小さくなる関係となる。
【0018】したがって、上側と下側のバスレフ共振周
波数をそれぞれ独立に定めることはできず、2つの共振
周波数の設定を交互に行いながら、目的とする再生帯域
になるように調整する必要があり、調整が非常にやっか
いとなるものである。
【0019】また、図17のタイプのスピーカシステム
を、いわゆる“トールボーイ”タイプ、つまり細長い形
状のキャビネットで実現しようとすると、2つのポート
はキャビネット長手方向のほぼ両端に配置されることに
なる。このため、2つのポートのそれぞれのバスレフ共
振周波数が異なる場合に、その音域の成分を包含する音
楽信号を再生すると、音楽信号の周波数(音程あるいは
ピッチ)によって再生位置が、長手方法の両端に大きく
変化するという不具合があった。
【0020】この発明は、以上のような問題点を改善す
ることができるスピーカシステムを提供することを目的
とするものである。
【0021】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1の発明のスピーカシステムは、外部に連通
する第1のポート部分を備え、この第1のポート部分を
除き、閉塞された第1の空間を形成するものであって、
第1のスピーカユニットが取り付けられている第1のキ
ャビネット部と、外部に連通する第2のポート部分を備
え、この第2のポート部分を除き、閉塞された第2の空
間を形成するものであって、第2のスピーカユニットが
取り付けられている第2のキャビネット部と、外部の空
間に対して開口している第3の空間が形成されるよう
に、前記第1のキャビネット部の一部と、前記第2のキ
ャビネット部の一部とが結合されることより形成された
結合開口部と、を備え、前記第1のスピーカユニット
と、前記第2のスピーカユニットとは、それぞれの振動
板が、前記第3の空間に臨むように、前記第1のキャビ
ネット部と、前記第2のキャビネット部とに取り付けら
れると共に、前記第1のスピーカユニットの機械的振動
系と、前記第2のスピーカユニットの機械的振動系と
は、前記第3の空間において結合され、前記第1のキャ
ビネット部において調整される第1の共振周波数と、前
記第2のキャビネット部において調整される第2の共振
周波数とは、異なるようにされることを特徴とする。
【0022】上述の構成の請求項1の発明によれば、第
1のポート部分を含む第1のキャビネット部と、第2の
ポート部分を含む第2のキャビネット部とは、結合開口
部により分離されているので、第1の共振周波数と、第
2の共振周波数とは、互いに影響を受けることなく、そ
れぞれ独立に調整可能である。したがって、目的とする
再生帯域になるようにする調整が容易になる。
【0023】また、上述の構成の請求項1の発明によれ
ば、結合開口部は外部の空間に対して開口しており、こ
の結合開口部も、第1のポート部分および第2のポート
部分と共に、音響放射口として機能する。このため、第
1のポート部分と第2のポート部分とが互いに離れた位
置となるような場合においても、その中間に位置する音
響放射口となる結合開口部の存在により、異なるバスレ
フ共振周波数の音域の成分を包含する音楽信号を再生し
たとしても、音楽信号の周波数(音程あるいはピッチ)
によって再生位置が、長手方法の両端にのみ大きく変化
するということがなくなり、より自然な再生音声が得ら
れる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、この発明によるスピーカシ
ステムの実施形態について、図を参照しながら説明す
る。
【0025】[実施形態のスピーカシステムの構成]図
1は、この実施形態のスピーカシステムの外観斜視図、
図2は、図1のスピーカシステムの構造を説明するため
の構造図である。この実施形態は、いわゆるトールボー
イタイプのスピーカシステムとした場合の例である。
【0026】この実施形態のスピーカシステムは、第1
のキャビネット部10と、第2のキャビネット部20
と、結合開口部30とを備える。結合開口部30は、第
1のキャビネット部10と第2のキャビネット部20と
の間に形成される。つまり、スピーカシステムの高さ方
向に上から順に、第1のキャビネット部10、結合開口
部30、第2のキャビネット部20の順に並ぶものとし
て構成される。
【0027】第1のキャビネット部10および第2のキ
ャビネット部20は、この実施形態では、横断面(高さ
方向に直交する断面)の形状が同一の正方形あるいは長
方形からなる直方体形状の箱形に形成されている。そし
て、第1のキャビネット部10の下面12の四隅と、第
2のキャビネット部20の上面21の四隅との間が、そ
れぞれ結合脚部31,32,33,34により結合され
て、結合開口部30が形成されている。
【0028】したがって、結合開口部30は、結合脚部
31,32,33,34の部分を除き、外部空間に対し
て開口している空間35を有する。
【0029】そして、第1のキャビネット部10の下面
12には、第1のスピーカユニット41が、その振動板
41aの前面が結合開口部30の空間35に露呈する状
態で取り付けられている。スピーカユニット41は、こ
の例では、ドーム型スピーカユニットが用いられてい
る。
【0030】また、第1のキャビネット部10の上面1
1には、この第1のキャビネット部10の内部空間13
と外部空間とを連通する第1のポート51が設けられて
おり、第1のドーム型スピーカユニット41の背面より
放出された音波が第1のポート51より外部に放射され
るように構成されている。すなわち、第1のキャビネッ
ト部10は、バスレフ型キャビネットを構成する。
【0031】そして、第1のキャビネット部10の内部
空間13の内容積と、このポート51の開口面積やダク
ト部分の長さL1が調整されて、この第1のキャビネッ
ト部10における、第1のバスレフ共振周波数f1が調
整される。
【0032】一方、第2のキャビネット部20の上面2
1には、第2のスピーカユニット42が、その振動板4
2aの前面が結合開口部30の空間35に露呈する状態
で取り付けられている。スピーカユニット42も、この
例では、ドーム型スピーカユニットが用いられている。
しかし、この実施形態の場合には、第1のスピーカユニ
ット41と、第2のスピーカユニット42とは、口径、
振動特性などが互いに異なるものが用いられている。
【0033】また、第2のキャビネット部20の下面2
2には、この第2のキャビネット部20の内部空間23
と外部空間とを連通する第2のポート52が設けられて
おり、第2のドーム型スピーカユニット42の背面より
放出された音波が第2のポート52より外部に放射され
るように構成されている。すなわち、第2のキャビネッ
ト部20は、バスレフ型キャビネットを構成する。
【0034】そして、第2のキャビネット部20の内部
空間23の内容積と、このポート52の開口面積やダク
ト部分の長さL2が調整されて、この第2のキャビネッ
ト部20における、第2のバスレフ共振周波数f2が調
整される。
【0035】ここで、第1のバスレフ共振周波数f1
と、第2のバスレフ共振周波数f2とは、異なるものと
して調整、設定される。
【0036】なお、この実施形態のスピーカユニット
は、実際の使用状態においては、スピーカスタンドに乗
せられたり、上から吊されたりするようにされており、
第2のキャビネット部20の下面22も外部空間に臨む
ようにされている。
【0037】そして、この実施形態の場合、第1のスピ
ーカユニット41の振動板41aと、第2のスピーカユ
ニット42の振動板42aとは、そのドーム型の頂上部
あるいはその近傍において、結合部材60を介して結合
開口部30内において堅固に結合されている。結合部材
60を介することなく、振動板41aと、振動板42a
とを、そのドーム型の頂上部あるいはその近傍において
接着剤により接合するようにしてもよい。
【0038】結合開口部30では、第1および第2のス
ピーカユニット41,42の振動板41a,42a部分
および両者を連結した部分は、外部より見える構造にな
っている。もちろん、この結合開口部30の開口部を、
サランネットやメッシュ、パンチングメタルなど透音性
のシートで覆い隠すことは可能である。
【0039】そして、後述もするように、この実施形態
の場合、結合開口部30は、第1および第2のスピーカ
ユニット41,42からの音響放射口としても機能する
ものである。
【0040】そして、この実施形態では、第1および第
2のスピーカユニット41,42は、同一の音声信号に
より駆動される。しかし、第1および第2のスピーカユ
ニット41,42の振動板41a,42aが、結合開口
部30の空間35側に振動する方向を前面方向としたと
きに、一方のスピーカユニットの振動板が前面方向の振
動をするとき、他方のスピーカユニットの振動板がその
反対方向の背面方向の振動をし、前記一方のスピーカユ
ニットの振動板が背面方向の振動をするとき、他方のス
ピーカユニットの振動板が前面方向の振動をするように
駆動される。
【0041】すなわち、図3に示すように、この実施形
態のスピーカシステムは、一組のスピーカ端子71,7
2を備え、このスピーカ端子71,72に対して、第1
および第2のスピーカユニット41,42のボイスコイ
ル41C、42Cは、電気的に逆相に接続される。
【0042】スピーカ端子71,72には、アンプから
の音声信号が供給されるが、上述のような接続構成とさ
れることにより、例えば、音声信号による入力電圧が正
のときに、上側の第1のスピーカユニット41の振動板
41aが図1および図2の下方に向かって変位するとす
ると、下側のスピーカユニット42の振動板42aも下
方に向かって変位し、また、音声信号による入力電圧が
負のときに、上側の第1のスピーカユニット41の振動
板41aが図1および図2の上方に向かって変位すると
すると、下側のスピーカユニット42の振動板42aも
上方に向かって変位するようになる。
【0043】つまり、図1および図2の高さ方向に第1
および第2のスピーカユニット41および42の振動板
41aおよび42aが振動するとき、これら振動板41
aおよび42aは、音声信号によって、同じ方向に振動
するように構成されるものである。この結果、一方の振
動板から出た振動あるいは音波は、他方の振動板で吸わ
れるような動きとなる。
【0044】[実施形態のスピーカシステムの動作説
明]上述のように、この実施形態のスピーカシステムに
おいては、第1のキャビネット部で構成されるバスレフ
型スピーカにおける第1のバスレフ共振周波数f1と、
第2のキャビネット部で構成されるバスレフ型スピーカ
における第2のバスレフ共振周波数f2とは、互いに異
なるものに調整されて、第1のポート51および第2の
ポート52のそれぞれから、その共振周波数の成分が高
い音圧となる音響出力が得られるようにされる。
【0045】その結果、この実施形態のスピーカシステ
ムとしては、第1および第2のバスレフ共振周波数f1
およびf2により定まる所望のバンドパスフィルタ特性
あるいはローパスフィルタ特性が得られる。
【0046】そして、この実施形態のスピーカシステム
においては、結合開口部30も音響放射口として働くの
で、第1および第2のポートが離れて配置されていて
も、その中間の結合開口部30からの音響放射により、
より自然な音響再生空間が得られる。
【0047】そして、この実施形態のスピーカシステム
においては、結合開口部30により、上側バスレフ型ス
ピーカの共振周波数f1と、下側バスレフ型スピーカの
共振周波数f2とは、互いに影響を受けずに調整可能で
あるので、スピーカシステムとして、所望の再生帯域を
得るための調整が容易になる。
【0048】以上のような構成および特徴を備えるこの
実施形態のスピーカシステムの動作を、図4の等価回路
図を参照しながら、さらに説明する。
【0049】まず、上側の第1のキャビネット部10に
より構成される上側バスレフ型スピーカについて述べ
る。
【0050】第1の変換器(トランス)CT1uは、電
気系から機械系への変換を表し、音声信号Eoが第1の
ドーム型スピーカユニット41に供給されると、音声信
号Eoに応じた電流iが第1のドーム型スピーカユニッ
ト41のボイスコイルの起振力Fuに変換される。この
変換は、Fu=Bliで表される。ここで、Bは第1の
ドーム型スピーカユニット41のボイスコイルが置かれ
る磁気ギャップでの磁束密度、lは第1のドーム型スピ
ーカユニット41のボイスコイルの長さを表す。
【0051】この起振力Fuにより第1のドーム型スピ
ーカユニット41の振動板41aが振動する。その振動
系の機械インピーダンスを抵抗Ru、コンプライアンス
Cu、質量Muで表す。この振動板の振動(電流に相
当)は、続く第2の変換器(トランス)CT2uによ
り、機械系から音響系に変換される。
【0052】すなわち、第1のドーム型スピーカユニッ
ト41の振動板41aの背面より振動板41aの輻射イ
ンピーダンス(抵抗RvuおよびMvuからなる)を介
して、第1のキャビネット部10の内部に向けて音が放
射される。その音圧は第1のポート51を通じて外部に
放射される。ここで、抵抗Rp1および質量Mp1は、
この第1のポート51のインピーダンスを構成する。ま
た、C1は、第1のキャビネット部10の内容積分によ
るコンプライアンス、Re1は、第1のキャビネット部
10内の吸音材(図示せず)による損失などを表す音響
抵抗である。
【0053】一方、第1のドーム型スピーカユニット4
1の振動板41aの前面からは振動板41aの輻射イン
ピーダンス(抵抗RvuおよびMvuからなる)を介し
て、中央の結合開口部30から外部に音が放射される。
【0054】次いで、下側の第2のキャビネット部20
により構成されるバスレフ型スピーカについて述べる。
基本的には、上側のバスレフ型スピーカと同様な動作を
する。
【0055】すなわち、第3の変換器(トランス)CT
1dは、電気系から機械系への変換を表し、音声信号E
oが第2のドーム型スピーカユニット42に供給される
と、音声信号Eoに応じた電流iが第2のドーム型スピ
ーカユニット42のボイスコイルの起振力Fdに変換さ
れる。
【0056】この起振力Fdにより第2のドーム型スピ
ーカユニット42の振動板42aが振動する。その振動
系の機械インピーダンスを抵抗Rd、コンプライアンス
Cd、質量Mdで表す。この振動板42aの振動(電流
に相当)は、続く第4の変換器(トランス)CT2dに
より、機械系から音響系に変換される。
【0057】すなわち、第2のドーム型スピーカユニッ
ト42の振動板42aの背面より振動板42aの輻射イ
ンピーダンス(抵抗RvdおよびMvdからなる)を介
して、第2のキャビネット部20の内部に向けて音が放
射される。その音圧は第2のポート52を通じて外部に
放射される。ここで、抵抗Rp2および質量Mp2は、
この第2のポート52のインピーダンスを構成する。ま
た、C2は、第2のキャビネット部20の内容積分によ
るコンプライアンス、Re2は、第2のキャビネット部
20内の吸音材(図示せず)による損失などを表す音響
抵抗である。
【0058】一方、第2のドーム型スピーカユニット4
2の振動板42aの前面からは振動板42aの輻射イン
ピーダンス(抵抗RvdおよびMvdからなる)を介し
て、中央の結合開口部30から外部に音が放射される。
【0059】この実施形態のスピーカシステムにおいて
は、上側の第1のドーム型スピーカユニット41の振動
板41aと下側の第2のドーム型スピーカユニット42
の振動板42aとが結合部材60を介して連結されてい
るので、両振動板41a,42aは、ある機械インピー
ダンスをもって結合される。図4中の結合部インピーダ
ンスがそれであり、抵抗Rc、質量Mc、コンプライア
ンスCcからなる。
【0060】図4で、上側スピーカユニット41の振動
板41aを流れた電流(振動速度)は、結合部インピー
ダンスがなければ、続く機械音響変換器(トランスCT
2u)にすべて供給されるが、結合部インピーダンスの
ために、その電流は結合部および下側スピーカユニット
42の振動板42aと、下側の機械音響変換器(トラン
スCT2d)へと分流される。
【0061】したがって、上側と下側のスピーカユニッ
ト41,42では、互いの振動系および結合部が、それ
ぞれの振動系に対し制動するように働くことになるの
で、それらの機械インピーダンスを調整あるいは選択す
ることにより、この実施形態のスピーカシステムとし
て、所望のバンドパスフィルタ特性あるいはローパスフ
ィルタ特性が構成される。この場合に、図4に図示され
るすべての音響インピーダンスにより上記のバンドパス
フィルタ特性あるいはローパスフィルタ特性は決定され
る。
【0062】次に、結合開口部30における音響出力に
ついて説明する。もし、両振動板41a,42aがまっ
たく同一形状で、かつ、全く同一の振動特性を有するも
のであった場合には、両振動板41a,42aが、その
振動板全面において強固に接合されているならば、両振
動板41a,42aはまったく同一の振動をするので、
結合開口部30からは音波の放射はないものと考えられ
る。
【0063】しかし、上述した実施形態のスピーカシス
テムの構成では、上下の振動板(または振動系)は、そ
の大きさなどの形状や特性が異なり、そして、振動板の
頂上部でのみ連結されているので、その結合部の機械イ
ンピーダンスに応じて結合開口部30からも音波が放射
され、結合開口部は“中央放射口”として機能する。
【0064】仮に下側のスピーカユニット42の振動板
42aが、まったく振動しないものとすると、上側のス
ピーカユニット41の振動板41aは、その頂上部のみ
振動を規制された状態となる。振動板の頂上部が動けな
いとしても、振動板ドーム部のコンプライアンス(細部
は図示していない)によりドーム周辺部はわずかではあ
るが振動でき、音波を放射することができる。これは下
側のスピーカユニット42の振動板42aについても同
様である。
【0065】しかし、上述のように、両振動板がほぼ同
様に振動するので、特に中高音域では音波を放射しにく
くなるが、低音域については、上下2つのバスレフ型ス
ピーカの共振周波数が、周波数f1と周波数f2とで異
なり、それら周波数f1、f2の前後では出力音圧の位
相が互いに異なるため、音圧はキャンセルされずに、結
合開口部30から音波が放射される。
【0066】図5(A)に、上側および下側のバスレフ
型スピーカの共振周波数特性を示し、また、図5(B)
に、その音圧位相特性を示す。図5(A)で、実線51
1は、下側のバスレフ型スピーカにおける共振周波数特
性であり、また、細い実線521は、上側のバスレフ型
スピーカにおける共振周波数特性である。また、図5
(B)で、実線512は、下側のバスレフ型スピーカに
おける共振周波数前後の音圧位相特性、実線522は、
上側のバスレフ型スピーカにおける共振周波数前後の音
圧位相特性である。
【0067】前述したように、第1および第2のスピー
カユニット41,42は、電気的には逆相に接続され、
一方の振動板から出た振動あるいは音波は、他方の振動
板で吸われるような動きとなるようにされている。
【0068】したがって、図5(B)の位相特性から、
実線512および実線522で示す位相特性が共に18
0度で同相となる、周波数f1よりも低い低域側におい
ては、2つのスピーカユニットからの音圧は互いにキャ
ンセルされ、結合開口部30からは音波は放射されな
い。
【0069】また、同様に、実線512および実線52
2で示す位相特性が共に−180度で同相となる、周波
数f2よりも高い中高音域側においても、2つのスピー
カユニットからの音圧は互いにキャンセルされ、結合開
口部30からは音波は放射されない。
【0070】しかし、周波数f1およびf2の近傍にお
いては、図5(B)に示すように、出力音圧の位相が互
いに異なるため、2つのスピーカユニットからの音圧は
キャンセルされずに結合開口部30を中央放射口として
音波を放射することが可能である。
【0071】そして、上下のスピーカユニット41と4
2の振動系の特性が異なることによって、同一の電気的
入力信号がそれぞれのスピーカユニット41,42に供
給されたとしても、結合開口部30を中央放射口として
音波が放射されるものである。
【0072】以上のように、この実施形態のスピーカシ
ステムによれば、結合開口部30を介して上側バスレフ
型スピーカ部分と、下側バスレフ型スピーカ部分とが、
音響結合される構成であるので、上側バスレフ型スピー
カ部分と、下側バスレフ型スピーカ部分とにおいて、そ
れぞれ、ほぼ独立して機械インピーダンスを調整あるい
は選択することにより、所望のバンドパスフィルタ特性
あるいはローパスフィルタ特性が構成される。
【0073】したがって、スピーカシステムとして、所
望の再生帯域の特性を得ることが容易であるという効果
がある。
【0074】また、この実施形態のスピーカシステム
は、上下のポート51,52以外に、結合開口部30か
らも音波が放射されるので、上下のバスレフ共振周波数
にかけて周波数成分が分布するような音楽信号を再生し
た場合でも、音像の移動がスムーズになるため、違和感
のない自然な再生音が得られるという効果もある。
【0075】さらに、周波数特性を決定する要因が多い
ので、設計の自由度が高い。例えば、キャビネットの設
計に制約があっても、少なくともいずれか一方のスピー
カユニットの音響特性を調節したり、また、後述のよう
な結合部の粘弾性を調節することで所望の特性が達成で
きる。
【0076】なお、上述の実施形態の説明では、第1お
よび第2のスピーカユニットは、異なる口径のものを用
いるようにしたが、前述したように、この実施形態のス
ピーカシステムでは、第1および第2のバスレフ共振周
波数が異なるように調整されるので、同じ口径のスピー
カユニットを用いても、上述のようなバンドパス特性の
バスレフ型スピーカが得られる。
【0077】この場合に、同じ口径のスピーカユニット
であっても、音響特性が全く同じということはほとんど
ないので、中央の結合開口部30からも上述と同様に音
声が放射される。したがって、結合開口部30が音響放
射口としての機能を果たすことは、その場合でも有効で
ある。
【0078】なお、上下のスピーカユニット41と42
の振動板41aと42aとは、上述の例では、強固に連
結するようにしたが、粘弾性を有する結合部材、例えば
ブチルゴムを、例えば粘度の高い接着剤によりそれぞれ
の振動板41aと振動板42aとに接着することによ
り、振動板41aと42aとを連結するようにしてもよ
い。
【0079】また、例えば、エアダンパやゲル質ダンパ
を介して、上下のスピーカユニット41と42の振動板
41aと42aとを結合してもよい。あるいは、振動板
よりも十分質量の大きい結合部材を用いて結合してもよ
い。結合部材としては、この他に、発砲ポリウレタン、
フェルトなどを用いることもできる。
【0080】また、上述したように、図3に示したよう
に、第1および第2のスピーカユニット41,42の振
動板41a,42aを、入力音声信号により、高さ方向
に同じ向きの振動をするように駆動するようにすれば、
結合部材60により、第1および第2のスピーカユニッ
ト41,42を結合しなくても、音響的に等価な特性が
得られる。
【0081】しかし、第1および第2のスピーカユニッ
ト41,42を結合した場合には、耐入力特性が向上す
ると共に、結合により、互いの振動系および結合部がそ
れぞれの振動系に対して制動するように働くので、それ
ぞれのスピーカユニット41,42の振動板41a,4
2aの不要振動による異音の発生を防止することができ
るというメリットがある。
【0082】なお、この実施形態では、下側のバスレフ
型スピーカの共振周波数f1が上側のバスレフ型スピー
カの共振周波数f2より低いものとして説明したが、周
波数f1が周波数f2より高く設定されるようにしても
よいことは勿論である。
【0083】図6〜図10に、この実施形態のスピーカ
システムの周波数特性を示す。図6の破線81は、上側
の第1のキャビネット部10および第1のスピーカユニ
ット41により構成されるバスレフ型スピーカの周波数
特性である。また、破線82は、下側の第2のキャビネ
ット部20および第2のスピーカユニット42により構
成されるバスレフ型スピーカの周波数特性である。
【0084】そして、実線83は、第1のスピーカユニ
ット41の振動板41aと、第2のスピーカユニット4
2の振動板42aとを結合しなかった場合の、この実施
形態のスピーカシステムの周波数特性図である。さら
に、図6における実線84は、この場合のスピーカシス
テムのインピーダンス特性である。
【0085】また、図7の破線85は、図6において実
線83として示したものに等しく、第1のスピーカユニ
ット41の振動板41aと、第2のスピーカユニット4
2の振動板42aとを結合しなかった場合のこの実施形
態のスピーカシステムの周波数特性図である。そして、
図7の実線86は、第1のスピーカユニット41の振動
板41aと、第2のスピーカユニット42の振動板42
aとを結合した場合の、この実施形態のスピーカシステ
ムの周波数特性図である。
【0086】また、図7の破線87は、図6において実
線84に示した振動板41aと振動板42aとを結合し
なかった場合のインピーダンス特性であり、図7の実線
88は、振動板41aと振動板42aとを結合した場合
のインピーダンス特性である。
【0087】この図7から、第1および第2のスピーカ
ユニット41,42を結合した場合には、上述のように
互いの振動系および結合部がそれぞれの振動系に対して
制動するように働き、再生音圧特性として、共振周波数
f1とf2とにおける出力音圧を等しくする方向に作用
したことが確認できる。
【0088】次に、図8〜図10は、結合開口部30か
らの音波の放射を確認した周波数特性図である。すなわ
ち、この周波数特性は、図11に示すように、結合開口
部30に対面して、D1およびD2と、距離を異ならせ
た位置にマイクロホン90を設置し、両位置において、
マイクロホン90で収音した音の違いとして結合開口部
30からの放射音波を検出するものである。
【0089】つまり、2つの位置において、収音される
音のほとんどは、第1のポート51および第2のポート
52からの音のみであると仮定すると、両位置において
収音した音圧周波数特性に差はほとんどないと考えら
れ、逆に両位置において収音した音圧周波数特性に差が
あるとすれば、結合開口部30からの音が含まれている
と考えられるものである。ここで、D1=2cmとし、
D2=15cmとして測定をした。
【0090】図8は、第1および第2のスピーカユニッ
ト41,42として、口径の同じスピーカユニットを用
いると共に、その振動板41a,42aを結合部材60
により結合した場合において、マイクロホン90で収音
した結果のマイクロホン出力の周波数特性を示すもので
あり、実線91は、距離がD1のところにマイクロホン
90を設置して収音した音波の特性であり、破線92は
距離がD2のところにマイクロホン90を設置して収音
した音波の特性である。また、実線93は、インピーダ
ンス特性である。
【0091】この図8からは、わずかであるが、結合開
口部30から音波が放射されていることが確認できる。
【0092】図9は、第1および第2のスピーカユニッ
ト41,42として、口径の同じスピーカユニットを用
いると共に、第1および第2のスピーカユニット41,
42の振動板41a,42aは結合しなかった場合にお
いて、マイクロホン90で収音した結果のマイクロホン
出力の周波数特性を示すものであり、実線94は、距離
がD1のところにマイクロホン90を設置して収音した
音波の特性であり、破線95は距離がD2のところにマ
イクロホン90を設置して収音した音波の特性である。
また、実線96は、インピーダンス特性である。
【0093】この図9によれば、結合開口部30から、
比較的大きな音波が放射されていることが確認できる。
【0094】図10は、第1および第2のスピーカユニ
ット41,42として、口径の異なるスピーカユニット
を用いると共に、第1および第2のスピーカユニット4
1,42の振動板41a,42aを結合部材60により
結合した場合において、マイクロホン90で収音した結
果のマイクロホン出力の周波数特性を示すものであり、
実線97は、距離がD1のところにマイクロホン90を
設置して収音した音波の特性であり、破線98は距離が
D2のところにマイクロホン90を設置して収音した音
波の特性である。また、実線99は、インピーダンス特
性である。
【0095】この図10によれば、第1および第2のス
ピーカユニット41,42として、口径の異なるスピー
カユニットを用いると、結合開口部30から、比較的大
きな音波が放射されていることが確認できる。
【0096】[他の実施形態] 一方のスピーカユニットを開放 上述の実施形態においては、第1および第2のスピーカ
ユニットに、共に音声信号を供給するようにしたが、一
方のスピーカユニットのボイスコイルの両端を開放する
ようにしてもよい。
【0097】図12は、その場合におけるスピーカシス
テムの電気的構成図の一例を示すもので、この例では、
スピーカ端子71および72は、上側の第1のスピーカ
ユニット41のボイスコイル41Cの両端に接続される
が、下側の第2のスピーカユニット42のボイスコイル
42aの両端は、開放端とされて、電気的入力信号は供
給しない構成とする。
【0098】この例の場合、下側のバスレフ型スピーカ
は、一種のパッシブ・ラジエータのように作用する。上
側の第1のスピーカユニット41の振動板41aの振動
に応じて下側のスピーカユニット42の振動板42aが
励振され、その振動により、下側の第2のキャビネット
20内の空気室が振動し、下側の第2のポート(ポー
ト)52との作用により位相が反転されて、ポートより
放音される。
【0099】このとき、下側の第2のスピーカユニット
42は、電気的には開放されているので、これは電磁制
動されず、その共振周波数において強調された特性とな
る。もちろん、下側のバスレフ型スピーカは、その共振
周波数においてだけでなく、その他の周波数特性にも影
響する。
【0100】一方のスピーカユニットを短絡 上述の実施形態においては、第1および第2のスピーカ
ユニットに、共に音声信号を供給するようにしたが、一
方のスピーカユニットのボイスコイルの両端を短絡する
ようにしてもよい。
【0101】図13は、その場合におけるスピーカシス
テムの電気的構成図の一例を示すもので、この例では、
スピーカ端子71および72は、上側の第1のスピーカ
ユニット41のボイスコイル41Cの両端に接続される
が、下側の第2のスピーカユニット42のボイスコイル
42aの両端は、短絡されて、電気的入力信号は供給し
ない構成とする。
【0102】この例の場合も、下側のバスレフ型スピー
カは一種のパッシブ・ラジエータのように作用するが、
第2のスピーカユニット42のボイスコイル42Cが電
気的に短絡されているので、電磁制動され、その共振周
波数においてダンピングされた特性となる。
【0103】スピーカユニットのボイスコイル入力部
に回路素子を接続 上述の実施形態においては、第1および第2のスピーカ
ユニットに、全く同じ音声信号を供給するようにした
が、一方あるいは両方のスピーカユニットのボイスコイ
ル入力部に、周波数特性を調整する回路素子を設けるよ
うにすることもできる。
【0104】図14は、その場合におけるスピーカシス
テムの電気的構成図の一例を示すもので、この例では、
スピーカ端子71および72は、上側の第1のスピーカ
ユニット41のボイスコイル41Cの両端に直接的に接
続されるが、下側の第2のスピーカユニット42のボイ
スコイル42aの一端とスピーカ端子71との間に可変
抵抗器101が挿入される構成とする。
【0105】この構成においては、可変抵抗器101で
抵抗値を変更制御することにより、共振周波数や、この
共振周波数の前後の周波数での特性を変化させることが
できる。
【0106】なお、挿入する回路素子を可変抵抗器10
1に代えて、単なる抵抗器だけでなく、インダクタンス
やコンデンサなどを組合せたものとすることにより、周
波数特性を任意に変化させることが可能となる。
【0107】バスレフポートをドロンコーンとするポ
ート(ダクト)によるバスレフ構成と類似した構成とし
て、ポートの代わりにドロンコーンを採用することもで
きる。第1のポート51および第2のポート52のいず
れか一方あるいは両方ともドロンコーンとする構成がで
きる。
【0108】この場合には、ドロンコーンの振動系の特
性(質量、コンプライアンスなどに応じた共振周波数)
や、そのボイスコイルに接続される負荷インピーダンス
(短絡、開放も含む)に応じて全体の周波数特性に変化
を与えることができる。
【0109】第1および第2のスピーカユニットのボ
イスコイルに異なる電気入力信号を供給 上述したように、第1および第2のスピーカユニット4
1および42で、音響特性が異なるので、基本的には同
一の入力信号を供給すればよいが、スピーカユニット間
の特性差が小さい場合や、そのままでは目的の出力音圧
特性が得にくい場合などでは、入力信号を補正するため
のフィルタ、イコライザあるいはネットワーク回路を、
ボイスコイルの入力端に挿入してもよい。両方のスピー
カユニットのボイスコイルの入力端にそれらを挿入して
もよいし、いずれか一方のスピーカユニットのボイスコ
イルの入力端にのみ挿入するようにしてもよい。
【0110】前述したように、この発明のスピーカシ
ステムにおいては、第1のスピーカユニットの振動板と
第2のスピーカユニットの振動板とは、必ずしも結合す
る必要はない。そこで、この発明のスピーカシステム
は、図1のように、トールボーイタイプとして、第1お
よび第2のスピーカユニットの振動板に垂直な方向が一
致するように、高さ方向に、第1のキャビネット部1
0、結合開口部30,第2のキャビネット部20を、一
列に並べる構成に限られるものではない。
【0111】例えば、図15に示すように、第1および
第2のスピーカユニットの振動板に垂直な方向が所定の
角度を持つ(図15の例では90度)ように、第1のキ
ャビネット部10と、第2のキャビネット部20とを、
結合開口部30を介して、鍵型に構成するようにするこ
とができる。
【0112】また、図16に示すように、第1のキャビ
ネット部と、第2のキャビネット部とを、横方向に並べ
て置く構成(第1および第2のスピーカユニットの振動
板に垂直な方向がなす角度が180度)とするようにす
ることができる。
【0113】[その他の変形例]上述の実施形態では、
ドーム型スピーカユニットを用いたが、第1および第2
のスピーカユニットとしては、ドーム型スピーカユニッ
トに限らないことは言うまでもない。
【0114】また、第1および第2のポートは、図1で
は、高さ方向に沿う方向に設けたが、高さ方向に直交す
る方向に設けてもよく、ポート51,52を略L字形と
してもよいことは勿論である。ポートをL字形とするこ
とにより、ポートの開口部がキャビネットの側面部に配
置でき、例えば、第2のキャビネット部20の下面22
を床面に接して使用することができる。
【0115】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、不要な中高音域の再生音が放射されず、良質な低音
域再生が行えると共に、 より再生帯域の広い出力音圧
特性が得られる。
【0116】そして、第1のポート部分を含む第1のキ
ャビネット部と、第2のポート部分を含む第2のキャビ
ネット部とは、結合開口部により分離されているので、
第1の共振周波数と、第2の共振周波数とは、互いに影
響を受けることなく、それぞれ独立に調整可能である。
したがって、スピーカシステムを、目的とする再生帯域
になるようにする調整が容易になる。
【0117】また、この発明によれば、結合開口部は外
部の空間に対して開口しており、この結合開口部も、第
1のポート部分および第2のポート部分と共に、音響放
射口として機能する。このため、第1のポート部分と第
2のポート部分とが互いに離れた位置となるような場合
においても、その中間に位置する音響放射口となる結合
開口部の存在により、異なるバスレフ共振周波数の音域
の成分を包含する音楽信号を再生したとしても、その帯
域の音のつながりがよく、より自然な再生音が得られ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるスピーカシステムの実施形態を
示す図である。
【図2】この発明によるスピーカシステムの実施形態の
構造を説明するための図である。
【図3】この発明によるスピーカシステムの実施形態の
電気的構成例を示す図である。
【図4】この発明によるスピーカシステムの実施形態の
等価回路図である。
【図5】この発明によるスピーカシステムの実施形態の
動作を説明するために用いる図である。
【図6】この発明によるスピーカシステムの実施形態の
周波数特性を説明するための図である。
【図7】この発明によるスピーカシステムの実施形態の
周波数特性を説明するための図である。
【図8】この発明によるスピーカシステムの実施形態の
周波数特性を説明するための図である。
【図9】この発明によるスピーカシステムの実施形態の
周波数特性を説明するための図である。
【図10】この発明によるスピーカシステムの実施形態
の周波数特性を説明するための図である。
【図11】図8〜図10の周波数特性を得るための構成
を説明するための図である。
【図12】この発明によるスピーカシステムの他の実施
形態の電気的構成を説明するための図である。
【図13】この発明によるスピーカシステムの他の実施
形態の電気的構成を説明するための図である。
【図14】この発明によるスピーカシステムの他の実施
形態の電気的構成を説明するための図である。
【図15】この発明によるスピーカシステムの他の実施
形態の構成を説明するための図である。
【図16】この発明によるスピーカシステムの他の実施
形態の構成を説明するための図である。
【図17】従来のスピーカシステムの構成を説明するた
めの図である。
【図18】従来のスピーカシステムを説明するための等
価回路図である。
【符号の説明】
10…第1のキャビネット部、20…第2のキャビネッ
ト部、30…結合開口部、41…第1のスピーカユニッ
ト、42…第2のスピーカユニット、51…第1のポー
ト、52…第2のポート、60…結合部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5D017 AD15 5D018 AB13 AC03 AD01 AD10 5D020 AD02 AD04 AD05

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】外部に連通する第1のポート部分を備え、
    この第1のポート部分を除き、閉塞された第1の空間を
    形成するものであって、第1のスピーカユニットが取り
    付けられている第1のキャビネット部と、 外部に連通する第2のポート部分を備え、この第2のポ
    ート部分を除き、閉塞された第2の空間を形成するもの
    であって、第2のスピーカユニットが取り付けられてい
    る第2のキャビネット部と、 外部の空間に対して開口している第3の空間が形成され
    るように、前記第1のキャビネット部の一部と、前記第
    2のキャビネット部の一部とが結合されることより形成
    された結合開口部と、 を備え、 前記第1のスピーカユニットと、前記第2のスピーカユ
    ニットとは、それぞれの振動板が、前記第3の空間に臨
    むように、前記第1のキャビネット部と、前記第2のキ
    ャビネット部とに取り付けられると共に、前記第1のス
    ピーカユニットの機械的振動系と、前記第2のスピーカ
    ユニットの機械的振動系とは、前記第3の空間において
    結合され、 前記第1のキャビネット部において調整される第1の共
    振周波数と、前記第2のキャビネット部において調整さ
    れる第2の共振周波数とは、異なるようにされることを
    特徴とするスピーカシステム。
  2. 【請求項2】請求項1に記載のスピーカシステムにおい
    て、 前記第1のスピーカユニットと、前記第2のスピーカユ
    ニットとは、一つの音声信号により駆動されるが、それ
    ぞれの振動板が前記第3の空間側に振動する方向を前面
    方向としたときに、一方のスピーカユニットの振動板が
    前記前面方向の振動をするとき、他方のスピーカユニッ
    トの振動板が背面方向の振動をし、前記一方のスピーカ
    ユニットの振動板が前記背面方向の振動をするとき、他
    方のスピーカユニットの振動板が前記前面方向の振動を
    するように駆動されることを特徴とするスピーカシステ
    ム。
  3. 【請求項3】請求項1に記載のスピーカシステムにおい
    て、 前記第1のスピーカユニットまたは前記第2のスピーカ
    ユニットの一方には音声信号が供給されると共に、前記
    第1のスピーカユニットまたは前記第2のスピーカユニ
    ットの他方の音声信号入力端は短絡されることを特徴と
    するスピーカシステム。
  4. 【請求項4】請求項1に記載のスピーカシステムにおい
    て、 前記第1のスピーカユニットまたは前記第2のスピーカ
    ユニットの一方には音声信号が供給されると共に、前記
    第1のスピーカユニットまたは前記第2のスピーカユニ
    ットの他方の音声信号入端は開放されることを特徴とす
    るスピーカシステム。
  5. 【請求項5】請求項1に記載のスピーカシステムにおい
    て、 前記第1のポート部分および/または第2のポート部分
    の代わりに、パッシブラジエータが用いられたことを特
    徴とするスピーカシステム。
  6. 【請求項6】外部に連通する第1のポート部分を備え、
    この第1のポート部分を除き、閉塞された第1の空間を
    形成するものであって、第1のスピーカユニットが取り
    付けられている第1のキャビネット部と、 外部に連通する第2のポート部分を備え、この第2のポ
    ート部分を除き、閉塞された第2の空間を形成するもの
    であって、第2のスピーカユニットが取り付けられてい
    る第2のキャビネット部と、 外部の空間に対して開口する第3の空間が形成されるよ
    うに、前記第1のキャビネット部の一部と、前記第2の
    キャビネット部の一部とが結合されることより形成され
    た結合開口部と、 を備え、 前記第1のスピーカユニットと、前記第2のスピーカユ
    ニットとは、それぞれの振動板が、前記第3の空間に臨
    むように、前記第1のキャビネット部と、前記第2のキ
    ャビネット部とに取り付けられ、 前記第1のキャビネットの前記第1のポート部分により
    決まる第1の共振周波数と、前記第2のキャビネットの
    前記第2のポート部分により決まる第2の共振周波数と
    は、異なるようにされ、 前記第1のスピーカユニットと、前記第2のスピーカユ
    ニットとは、一つの音声信号により駆動されるが、それ
    ぞれの振動板が前記第3の空間側に振動する方向を前面
    方向としたときに、一方のスピーカユニットの振動板が
    前記前面方向の振動をするとき、他方のスピーカユニッ
    トの振動板が背面方向の振動をし、前記一方のスピーカ
    ユニットの振動板が前記背面方向の振動をするとき、他
    方のスピーカユニットの振動板が前記前面方向の振動を
    するように駆動されることを特徴とするスピーカシステ
    ム。
  7. 【請求項7】請求項6に記載のスピーカシステムにおい
    て、 前記第1のポート部分および/または第2のポート部分
    の代わりに、パッシブラジエータが用いられたことを特
    徴とするスピーカシステム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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