JP2699924B2 - セラミック基板及びその製造方法 - Google Patents

セラミック基板及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は半導体チップを実装して
半導体集積回路装置を構成するためのセラミック基板に
関し、特に半導体ベアチップを封止するキャビティを有
して高密度配線を可能にしたセラミック基板とその製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体実装基板の小型化のための
配線の高密度化、信号伝播特性の向上のための基板の低
誘電率化と配線の低抵抗化、配線の高密度化に伴う配線
層の高多層化の要求から、これらの要求を満足するセラ
ミック或いはガラスセラミック等のセラミック基板が多
用されている。また、半導体チップの高密度化及び信号
伝播の高速化の観点から、基板へのベアチップ実装の要
求が高まっている。特に、ガラスセラミックは半導体チ
ップとの熱膨張係数が近く、低抵抗配線が可能なため
に、これらの要求に応えられる基板として開発が進めら
れている。また、高密度実装、信号の伝播特性の向上、
及び高封止性の観点から基板にキャビティを設け、この
キャビティ内にベアチップを封止する構成が採用されて
いる。
【0003】このように、キャビティ内にベアチップを
封止するセラミック基板では、キャビティ内とセラミッ
ク基板の表面のそれぞれに配線層としてのメタライズを
形成する必要がある。従来、この種のメタライズを形成
するためには、グリーンシートへの厚膜印刷による方法
が一般的に行われている。しかしながら、この厚膜印刷
ではメタライズパターンの微細化には限界があるため、
前記した高密度実装を行う上での障害となる。この場
合、厚膜印刷以外の方法でメタライズを形成する方法と
して、例えば特開平4−199662号公報に記載され
ているように、完成されたセラミック基板のキャビティ
内にメタライズ液を滴下する方法がある。しかしなが
ら、この方法でもメタライズは厚膜に形成されることに
なるため、前記した問題を解決する回答にはならない。
【0004】そこで、キャビティの底面を含むセラミッ
ク基板の表面にスパッタ法等により導体薄膜を形成した
後、フォトリソグラフィ技術によってこの導体薄膜を選
択エッチングして薄膜メタライズを形成する方向が考え
られている。そこで、本発明者においてもこの方法を検
討し、図5に示すように、従来から一般的に提供されて
いるように矩形のキャビティ42を有するセラミック基
板41の表面にCu等の金属薄膜をスパッタ法により形
成し、しかる上で全面にフォトレジストを塗布し、かつ
このフォトレジストをパターン形成し、これをマスクに
して金属薄膜をエッチングして薄膜メタライズ47の形
成を行った。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この製
造方法では、フォトレジストを塗布するために、セラミ
ック基板を回転させながら行う、所謂スピンコート法を
行うと、矩形をしたキャビティ内のフォトレジストが遠
心力でセラミック基板の表面上に這い上がる際に、キャ
ビティの角部にレジストが集中する現象が生じ、結果と
してセラミック基板の表面に均一な厚さにフォトレジス
トを塗布することができなくなる。このため、後工程で
のフォトリソグラフィ工程においても、フォトレジスト
の厚さのばらつきに伴う解像度の差が生じ、現像できな
いパターンが発生したり、オーバ現像によるパターン同
士が短絡することが発生したりし、結果として微細な薄
膜メタライズを形成することが難しいという問題が生じ
ることが判明した。
【0006】したがって、現在までのところ、微細な薄
膜メタライズをキャビティの内底面を含むセラミック基
板の表面に形成したセラミック基板を得ることは難し
く、この種のセラミック基板の実現が達成できていない
のが実情である。
【0007】
【発明の目的】本発明の目的は、キャビティの内底面を
含む基板の表面に薄膜メタライズを形成したセラミック
基板とその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明のセラミック基板
は、セラミック或いはガラスセラミックからなるセラミ
ック基板の表面には円形のキャビティが形成されてお
り、このセラミック基板の表面とキャビティの底面の少
なくとも一方に選択的にパターン形成された薄膜メタラ
イズを有することを特徴としている。この場合、キャビ
ティは複数個設けられていてもよい。また、キャビティ
は真円形であることが好ましい。
【0009】また、本発明のセラミック基板の製造方法
は、表面に円形のキャビティを有するセラミック或いは
ガラスセラミックからなるセラミック基板を形成する工
程と、前記キャビティを含むセラミック基板の少なくと
も表面の全面に導体薄膜を形成する工程と、前記セラミ
ック基板の表面にレジストをスピンコーティング法によ
り塗布する工程と、前記レジストをフォトリソグラフィ
技術によりパターン形成し、これをマスクとして前記導
体薄膜をパターニングして薄膜メタライズを形成する工
程を含むことを特徴とする。
【0010】この場合、レジストをマスクに利用して薄
膜メタライズを形成する工程としては、パターン形成し
たレジストをマスクとして薄膜導体の表面に金属膜を選
択形成する工程と、レジストを除去する工程と、前記薄
膜導体と金属膜をエッチングして前記薄膜導体を除去し
前記金属膜のみを残す工程とを含む工程が採用できる。
【0011】
【作用】セラミック基板の表面にレジストをスピンコー
ト法により塗布する際に、基板表面に滴下したレジスト
は始めはキャビティ内に溜まった状態とされる。そし
て、基板の回転によってキャビティ内のレジストは遠心
力によってキャビティの側壁を這い上がってキャビティ
から掃きだされて基板の表面に塗布される。このとき、
従来ではキャビティが矩形をしているため、キャビティ
の角部にレジストが集中して掃きだされる状態となり、
この角部につながる基板表面の領域でレジストが他の領
域よりも厚く塗布され、レジストの膜厚が不均一にな
る。これに対し、本発明では、キャビティの形状が円形
であるために、レジストが集中して掃きだされる状態が
存在しなくなり、基板表面に均一にレジストが塗布され
ることになる。
【0012】したがって、その後工程におけるレジスト
の露光、現像の各処理を均一化でき、微細なパターンの
形成が可能となり、このレジストをマスクに利用する薄
膜メタライズの微細化が可能となる。また、これによ
り、キャビティ内部や基板表面に高密度の薄膜メタライ
ズを形成したセラミック基板の製造が可能となる。
【0013】
【実施例】次に、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。 (実施例1)図1(a)に示すように、円形のキャビテ
ィ2を1個有し、図外のAgを内部導体とする多層配線
ガラスセラミック基板1を試料として3個形成し、その
表面及びキャビティ内部にCr/Pd薄膜3をそれぞれ
厚さ0.1μm,0.6μmでスパッタリングにより形
成する。その後、図1(b)のように、セラミック基板
1をスピンナ5に搭載し、高速回転しながらレジスト4
をセラミック基板1の表面、ここではキャビティ2の内
底面に滴下し、スピンコーティング法により塗布する。
前記レジスト4をプリベーク後、キャビティ2の内部で
は250μmピッチ、50μm幅のパッドパターン、セ
ラミック基板表面では500μmピッチ、100μm幅
のパッドパターンにそれぞれ形成されたマスクを用いて
前記レジスト4に対して露光を行う。
【0014】そして、図1(c)のように、3個の試料
に対して30,60,90秒の現像を行ってレジストパ
ターン4Aを形成する。次いで、レジストパターン4A
をマスクとしてセラミック基板1の表面に対して3μm
の厚さのCuメッキ処理を施し、その後レジストパター
ン4Aを剥離すると、レジストパターン4A以外の領域
の前記Cr/Pd薄膜3上にCu膜6が選択的に形成さ
れる。そして、これらCr/Pd薄膜3とCu膜6に対
してArイオンビームエッチングを行うことで、Cu膜
6以外の領域のCr/Pd薄膜3をエッチング除去す
る。これにより、図1(d)のように、Cr/Pd/C
u構造の薄膜メタライズ7が完成される。
【0015】各試料におけるキャビティ2の内部及びセ
ラミック基板1の表面に形成された薄膜メタライズ7の
パターン幅寸法をそれぞれ50ポイントづつ測定した結
果を表1に示す。表1から、いずれの現像時間において
もパターンの形成は可能であり、特に現像時間60秒に
おいて精度の高いパターンがキャビティ内部と基板表面
のそれぞれに形成できることが判る。
【0016】(実施例2)図2(a)に示すように、円
形のキャビティ12を4個有し、Agを内部導体とする
多層配線ガラスセラミック基板11を試料として3個形
成し、その表面及びキャビティ内部に実施例1と同様に
Cr/Pd薄膜を形成し、かつレジストをキャビティ内
部とセラミック基板の表面にスピンコーティング法によ
り塗布する。前記レジストをプリベーク後、実施例1と
同様のマスクを用いて前記レジストに対して露光を行な
い、3個の試料について30,60,90秒の現像を行
ってフォトレジストパターンを形成する。次いで、実施
例1と同様にCuメッキを形成し、レジストを剥離し、
かつArイオンビームエッチングを行って、図2(b)
のように、Cr/Pd/Cu構造の薄膜メタライズ17
が完成される。
【0017】各試料におけるキャビティ12の内部及び
セラミック基板11の表面に形成された薄膜メタライズ
17のパターン幅寸法をそれぞれ50ポイントづつ測定
した結果を表1に示す。表1から、いずれの現像時間に
おいてもパターンの形成は可能であり、特に現像時間6
0秒において精度の高いパターンがキャビティ内部と基
板表面のそれぞれに形成できることが判る。
【0018】(比較例1)図3(a)に示すように、正
方形のキャビティ22を1個有し、Agを内部導体とす
る多層配線ガラスセラミック基板21を試料として3個
形成し、実施例1と同様の工程により、図3(b)のよ
うにCr/Pd/Cu構造の薄膜メタライズ27を形成
する。実施例1と同様にパターン寸法を測定した結果を
表1に示す。現像時間が短い場合はレジストの厚さが大
きい領域のパターニングが不能であり、現像時間が長い
場合はパターンの短絡が発生し、好適な薄膜メタライズ
が得られないことが判る。
【0019】(比較例2)図4(a)に示すように、正
方形のキャビティ32を4個有し、Agを内部導体とす
る多層配線ガラスセラミック基板31を試料として3個
形成し、実施例1と同様の工程により、図4(b)のよ
うにCr/Pd/Cu構造の薄膜メタライズ37を形成
する。実施例2と同様にパターン寸法を測定した結果を
表1に示す。現像時間が短い場合はレジストの厚さが大
きい領域のパターニングが不能であり、現像時間が長い
場合はパターンの短絡が発生し、好適な薄膜メタライズ
が得られないことが判る。
【0020】ここで、本発明を構成するセラミック基板
は、種々の組成のセラミックやガラスセラミックに適用
できる。また、キャビティの形状は円形であれば、真
円、楕円等にのいずれでもよく、かつ1つのセラミック
基板に形成されるキャビティの数も限定されるものでは
ない。さらに、キャビティの内底面、或いはセラミック
基板の表面のいずれか一方にのみ薄膜メタライズを形成
する場合でも本発明を適用することができる。
【0021】また、薄膜メタライズの形成方法は、スパ
ッタリング、蒸着、メッキ法等任意の方法が採用でき
る。さらに、薄膜メタライズの素材についても、Cr,
Ti,Pt,Au,Ni,Mo,W,Cu,Ag,Pd
等が使用可能である。
【0022】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、セラミッ
ク基板の表面には円形のキャビティが形成されており、
このセラミック基板の表面とキャビティの底面の少なく
とも一方に選択的にパターン形成された薄膜メタライズ
を有しているので、キャビティ内に半導体素子のベアチ
ップを実装して半導体集積回路装置を構成した場合に、
薄膜メタライズによる高密度配線によって高密度実装、
信号の伝播特性の向上、高封止性を満たす半導体集積回
路装置を構成することができる効果がある。
【0023】特に、本発明はキャビティは複数個設けら
れていてもよいため、極めて高密度な半導体集積回路装
置が実現できる。また、キャビティを真円形とすること
で、製造工程におけるレジストの塗布膜厚の均一化を高
め、極めて微細な薄膜メタライズの形成が可能となる。
【0024】本発明のセラミック基板の製造方法は、セ
ラミック基板の表面に円形のキャビティを設けた上で、
スピントコーテンィグ法によってレジストを塗布してい
るので、スピンコーティング時にレジストがキャビティ
から集中して掃きだされることがなく、基板表面に均一
にレジストが塗布される。したがって、このレジストを
利用して薄膜メタライズのパターニングを行うことで、
微細なレジストパターンが形成でき、かつ微細な薄膜メ
タライズが形成でき、高密度配線を実現する。
【0025】また、レジストをマスクに利用して薄膜メ
タライズを形成する際に、薄膜導体の上にパターン形成
したレジストをマスクとして薄膜導体の表面に金属膜を
選択形成し、レジストを除去した後に薄膜導体と金属膜
をエッチングして薄膜導体を除去し金属膜のみを残す方
法を採用することで、エッチング条件が緩和された容易
な製造方法により高密度な配線を形成することが可能と
なる。
【0026】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の構成を製造工程と共に示
す図である。
【図2】本発明の第2実施例の構成を製造工程と共に示
す図である。
【図3】第1実施例に対応する第1比較例の構成を製造
工程と共に示す図である。
【図4】第2実施例に対応する第2比較例の構成を製造
工程と共に示す図である。
【図5】従来のセラミック基板の一例を示す概略図であ
る。
【符号の説明】
1,11 セラミック基板 2,12 キャビティ 3 Cr/Pd膜 4 レジスト 6 Cu膜 7,17 薄膜メタライズ

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミック或いはガラスセラミックから
    なり、その表面に凹状のキャビティが形成されてなるセ
    ラミック基板において、前記キャビティは円形の平面形
    状とされ、かつ前記セラミック基板の表面とキャビティ
    の底面の少なくとも一方に選択的にパターン形成された
    薄膜メタライズを有することを特徴とするセラミック基
    板。
  2. 【請求項2】 キャビティが複数個設けられる請求項1
    のセラミック基板。
  3. 【請求項3】 キャビティの平面形状が真円形である請
    求項1または2のセラミック基板。
  4. 【請求項4】 セラミック基板の内部に多層配線層が設
    けられている請求項1ないし3のセラミック基板。
  5. 【請求項5】 表面に円形のキャビティを有するセラミ
    ック或いはガラスセラミックからなるセラミック基板を
    形成する工程と、前記キャビティを含むセラミック基板
    の少なくとも表面の全面に導体薄膜を形成する工程と、
    前記セラミック基板の表面にレジストをスピンコーティ
    ング法により塗布する工程と、前記レジストをフォトリ
    ソグラフィ技術によりパターン形成し、これをマスクと
    して前記導体薄膜をパターニングして薄膜メタライズを
    形成する工程を含むことを特徴とするセラミック基板の
    製造方法。
  6. 【請求項6】 パターン形成したレジストをマスクとし
    て薄膜導体の表面に金属膜を選択形成する工程と、レジ
    ストを除去する工程と、前記薄膜導体と金属膜をエッチ
    ングして前記薄膜導体を除去し前記金属膜のみを残す工
    程とを含む請求項5のセラミック基板の製造方法。
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