JP2695165B2 - 結晶構造解析法 - Google Patents
結晶構造解析法Info
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- JP2695165B2 JP2695165B2 JP62253610A JP25361087A JP2695165B2 JP 2695165 B2 JP2695165 B2 JP 2695165B2 JP 62253610 A JP62253610 A JP 62253610A JP 25361087 A JP25361087 A JP 25361087A JP 2695165 B2 JP2695165 B2 JP 2695165B2
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Description
【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕
本発明は、結晶構造の実空間的立体解析法およびその
装置に係わり、特に簡便、かつ高性能なものに関する。 〔従来の技術〕 従来、X線による結晶構造の立体的解析は、たとえ
ば、高良他著「X線回折技術」東京大学出版会、1979年
1月10日刊、第74〜75頁および第95〜101頁に記載され
るように、X線の結晶に対する入射角を変えた多数の回
折像を解析して作図することによつて行なつている。 〔発明が解決しようとする問題点〕 上記従来技術は、結晶構造が複雑になる程、回折像の
数は多数となり、その解析に膨大な作業を必要とすると
いう問題点があつた。また、X線の入射角(出射角)の
範囲は広範囲で、そのために高精度なゴニオメータが必
要である。 本発明の目的は、上記の欠点がなく、小型かつ簡単な
装置で、容易に結晶構造の立体情報を得ることができる
新規な解析法および装置を提案することにある。 〔問題点を解決するための手段〕 このような目的を得るために本発明は、少なくとも、
単一の波長からなるX線を結晶に所定角度で照射する工
程と、前記X線の波長を連続的に変化させ、その波長毎
に該X線の回折スポットの有無を複数の検出器で検出す
る工程と、前記X線の波長に対する各検出器の回折スポ
ット検出結果より前記結晶の空間情報を得る工程と、を
含むことを特徴とするものである。 このようにした場合、結晶の格子間隔dとx線の散乱
角θとの組合せが入射X線の波長(エネルギー)を変化
させるので、様々な結晶面の配向をまとめて調べること
ができるようになる。このため、たとえばX線の入射角
を変化させるような煩雑な作業、およびそれに伴う煩雑
な機構を全く必要としなくなるという効果を奏するよう
になる。 そして、複数の検出器あるいはアレイ状検出器によっ
て、入射X線の波長に対する様々な結晶の格子間隔dと
x線の散乱角θとの組合せを一挙に検出するようにでき
るようになる。このため、たとえば試料台をゴニオメー
タで回転させて多様な結晶の格子間隔dとx線の散乱角
θとの組合せを検出しなければならないという必要はな
くなり、結晶の空間情報の抽出を極めて容易にできると
いう効果を奏するようになる。 なお、連続波長のX線の発生源としてはシンクロトロ
ン放射光、制御放射光などが適用できる。 連続波長のX線の分光はSiなどの結晶板による反射に
よつて行われ、結晶板に対するX線に対するX線の入射
角を変えることによつて波長が変化する。 上記スポツトパターンの位置やパターン変化は上記X
線センサで電気的データに変換され、それのデータとX
線の波長の関係をt,θとdを求めれば結晶格子(原子の
配列)を知ることができる。この計算は、電子計算機を
用いて行うこともできる。また、周知のコンピユータグ
ラフイツク技術を用いれば、結晶の構造を所望の角度か
ら表示することができる。 〔作用〕 結晶に波長λのX線を照射した時の回折像は、結晶の
格子間隔をd,X線の散乱角をθとすると、 2d sin θ=λの時、回折スポツトが生じ、 2d sin θλの時、スポツトが広がり、そして、 の時、スポツトが消える。したがつて、λを変化させる
とスポツトが生じたり、消えたりする。これを蛍光板な
どの検出器で検出して波長とスポツトの位置の関係から
結晶の空間像を得ることができる。 すなわち、まず、2d 1sin θ1>λ1を満足するθ1
とd1にある原子による回折スポツトパターンが生じ、波
長が変化してλ2になるとこのパターンは消えて、新た
に2d 2sin θ2>λ2を満足するθ2とd2にある原子に
よる回折スポツトパターンが生じる。 このことから、X線の波長変化による結晶面の配向情
報(空間情報)はスポットパターンとして得られ、この
スポットパターンは結晶面に対応する格子間隔dとx線
の散乱角θの組合せに応じた情報となることが判明す
る。 〔実施例〕 実施例1 第1図を用いて説明する。第1図に本発明の方法を用
いた装置の基本ブロツク図を第2図に実際の装置例を概
念図を示す。 シンクロトロン放射(SR)装置1から発生した波長が
0.5〜3Åの硬X線を含む連続波長X線2は周知の結晶
分光器3および4で反射分光されて単一波長X線22とな
り、試料台の上にX線に対して所定の角度をもつて固定
された被検体である結晶6に照射される。シリコン単結
晶を用いた結晶分光器3および4は平行を保ちながら入
射X線に対する入射角度が変えられるようになつてお
り、その変更は駆動装置11で行われる。 単一波長X線22の波長はSiおよびGe単結晶を用いたX
線波長検出器5でモニターされる。 結晶6で回折されたX線は、蛍光板と光電増倍管から
なるアレイ状センサ(検出器)7,8および9で電気信号
(データ)に変換され、信号線10を経由して、波長とス
ポツト位置(X線が入射した検出器の位置に対応する)
や形状の関係を原子配列を示す電気信号に計算変換する
変換器12に入力される。変換器12の出力は画像処理装置
(コンピユータグラフイツク装置)14で実空間の画像信
号に変換され、表示装置15にて表示される。なお、変換
器12の出力はデイスクメモリ13に蓄積することができ
る。 前述した装置を用いてSiCl4を挿入したグラフアイト
層間化合物の結晶構造を観察し、Si原子の位置がずれて
いることを確認した。 入射ソフトX線を5Aから10Aの波長にずらすとサンプ
ルから10cmはなれた検出器でSi原子を表わすスポツトの
位置が10cos δ θ=20mmずれている様にセツトした。
その場合予想通りシリコン原子に対する。反射スポツト
は20mmずれて、全体のグラフアイト内のシリンコンの位
置が明らかにされた。 〔発明の効果〕 本発明によれば、精度の高い、また広範な角度で操作
するゴニオメータが不要のため、簡便に結晶構造を知る
ことができる。また、被検体の温度調整機構の設置も容
易となり、豊富なデータを取得しやすい。
装置に係わり、特に簡便、かつ高性能なものに関する。 〔従来の技術〕 従来、X線による結晶構造の立体的解析は、たとえ
ば、高良他著「X線回折技術」東京大学出版会、1979年
1月10日刊、第74〜75頁および第95〜101頁に記載され
るように、X線の結晶に対する入射角を変えた多数の回
折像を解析して作図することによつて行なつている。 〔発明が解決しようとする問題点〕 上記従来技術は、結晶構造が複雑になる程、回折像の
数は多数となり、その解析に膨大な作業を必要とすると
いう問題点があつた。また、X線の入射角(出射角)の
範囲は広範囲で、そのために高精度なゴニオメータが必
要である。 本発明の目的は、上記の欠点がなく、小型かつ簡単な
装置で、容易に結晶構造の立体情報を得ることができる
新規な解析法および装置を提案することにある。 〔問題点を解決するための手段〕 このような目的を得るために本発明は、少なくとも、
単一の波長からなるX線を結晶に所定角度で照射する工
程と、前記X線の波長を連続的に変化させ、その波長毎
に該X線の回折スポットの有無を複数の検出器で検出す
る工程と、前記X線の波長に対する各検出器の回折スポ
ット検出結果より前記結晶の空間情報を得る工程と、を
含むことを特徴とするものである。 このようにした場合、結晶の格子間隔dとx線の散乱
角θとの組合せが入射X線の波長(エネルギー)を変化
させるので、様々な結晶面の配向をまとめて調べること
ができるようになる。このため、たとえばX線の入射角
を変化させるような煩雑な作業、およびそれに伴う煩雑
な機構を全く必要としなくなるという効果を奏するよう
になる。 そして、複数の検出器あるいはアレイ状検出器によっ
て、入射X線の波長に対する様々な結晶の格子間隔dと
x線の散乱角θとの組合せを一挙に検出するようにでき
るようになる。このため、たとえば試料台をゴニオメー
タで回転させて多様な結晶の格子間隔dとx線の散乱角
θとの組合せを検出しなければならないという必要はな
くなり、結晶の空間情報の抽出を極めて容易にできると
いう効果を奏するようになる。 なお、連続波長のX線の発生源としてはシンクロトロ
ン放射光、制御放射光などが適用できる。 連続波長のX線の分光はSiなどの結晶板による反射に
よつて行われ、結晶板に対するX線に対するX線の入射
角を変えることによつて波長が変化する。 上記スポツトパターンの位置やパターン変化は上記X
線センサで電気的データに変換され、それのデータとX
線の波長の関係をt,θとdを求めれば結晶格子(原子の
配列)を知ることができる。この計算は、電子計算機を
用いて行うこともできる。また、周知のコンピユータグ
ラフイツク技術を用いれば、結晶の構造を所望の角度か
ら表示することができる。 〔作用〕 結晶に波長λのX線を照射した時の回折像は、結晶の
格子間隔をd,X線の散乱角をθとすると、 2d sin θ=λの時、回折スポツトが生じ、 2d sin θλの時、スポツトが広がり、そして、 の時、スポツトが消える。したがつて、λを変化させる
とスポツトが生じたり、消えたりする。これを蛍光板な
どの検出器で検出して波長とスポツトの位置の関係から
結晶の空間像を得ることができる。 すなわち、まず、2d 1sin θ1>λ1を満足するθ1
とd1にある原子による回折スポツトパターンが生じ、波
長が変化してλ2になるとこのパターンは消えて、新た
に2d 2sin θ2>λ2を満足するθ2とd2にある原子に
よる回折スポツトパターンが生じる。 このことから、X線の波長変化による結晶面の配向情
報(空間情報)はスポットパターンとして得られ、この
スポットパターンは結晶面に対応する格子間隔dとx線
の散乱角θの組合せに応じた情報となることが判明す
る。 〔実施例〕 実施例1 第1図を用いて説明する。第1図に本発明の方法を用
いた装置の基本ブロツク図を第2図に実際の装置例を概
念図を示す。 シンクロトロン放射(SR)装置1から発生した波長が
0.5〜3Åの硬X線を含む連続波長X線2は周知の結晶
分光器3および4で反射分光されて単一波長X線22とな
り、試料台の上にX線に対して所定の角度をもつて固定
された被検体である結晶6に照射される。シリコン単結
晶を用いた結晶分光器3および4は平行を保ちながら入
射X線に対する入射角度が変えられるようになつてお
り、その変更は駆動装置11で行われる。 単一波長X線22の波長はSiおよびGe単結晶を用いたX
線波長検出器5でモニターされる。 結晶6で回折されたX線は、蛍光板と光電増倍管から
なるアレイ状センサ(検出器)7,8および9で電気信号
(データ)に変換され、信号線10を経由して、波長とス
ポツト位置(X線が入射した検出器の位置に対応する)
や形状の関係を原子配列を示す電気信号に計算変換する
変換器12に入力される。変換器12の出力は画像処理装置
(コンピユータグラフイツク装置)14で実空間の画像信
号に変換され、表示装置15にて表示される。なお、変換
器12の出力はデイスクメモリ13に蓄積することができ
る。 前述した装置を用いてSiCl4を挿入したグラフアイト
層間化合物の結晶構造を観察し、Si原子の位置がずれて
いることを確認した。 入射ソフトX線を5Aから10Aの波長にずらすとサンプ
ルから10cmはなれた検出器でSi原子を表わすスポツトの
位置が10cos δ θ=20mmずれている様にセツトした。
その場合予想通りシリコン原子に対する。反射スポツト
は20mmずれて、全体のグラフアイト内のシリンコンの位
置が明らかにされた。 〔発明の効果〕 本発明によれば、精度の高い、また広範な角度で操作
するゴニオメータが不要のため、簡便に結晶構造を知る
ことができる。また、被検体の温度調整機構の設置も容
易となり、豊富なデータを取得しやすい。
【図面の簡単な説明】
第1図および第2図は、本発明の結晶解析方法を実施す
る装置の概略図である。 1……X線発生装置、2……連続波長X線、3,4……結
晶分光器、5……X線波長検出器、6……被検体結晶、
7,8,9……X線センサ、10……信号線、11……駆動装
置、12……電子計算機、13……デイスクメモリ、14……
画像処理装置、15……表示装置。
る装置の概略図である。 1……X線発生装置、2……連続波長X線、3,4……結
晶分光器、5……X線波長検出器、6……被検体結晶、
7,8,9……X線センサ、10……信号線、11……駆動装
置、12……電子計算機、13……デイスクメモリ、14……
画像処理装置、15……表示装置。
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 1.連続波長X線を単一の波長に分光して被検体である
結晶に所定の角度に固定して照射する方法であって、 前記X線の波長を連続的に変化させて該波長に対する前
記結晶のX線回折パターンの変化を検出する工程と、前
記X線の波長に対する前記回折パターンの変化より該結
晶の空間情報を得る工程と、を含むことを特徴する結晶
構造解析法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62253610A JP2695165B2 (ja) | 1987-10-09 | 1987-10-09 | 結晶構造解析法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62253610A JP2695165B2 (ja) | 1987-10-09 | 1987-10-09 | 結晶構造解析法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0196542A JPH0196542A (ja) | 1989-04-14 |
JP2695165B2 true JP2695165B2 (ja) | 1997-12-24 |
Family
ID=17253760
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP62253610A Expired - Lifetime JP2695165B2 (ja) | 1987-10-09 | 1987-10-09 | 結晶構造解析法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2695165B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4581126B2 (ja) * | 2005-03-09 | 2010-11-17 | 独立行政法人物質・材料研究機構 | X線回折分析方法およびx線回折分析装置 |
JP4674352B2 (ja) * | 2005-04-11 | 2011-04-20 | 独立行政法人物質・材料研究機構 | 酸化チタンの分析方法とこの方法を実施する酸化チタンの分析装置 |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5835447A (ja) * | 1981-08-27 | 1983-03-02 | Nippon Steel Corp | 電解x線試料台とその使用方法 |
GB2107560A (en) * | 1981-10-07 | 1983-04-27 | Rolls Royce | A method for determining the orientation of a crystal |
NL8204584A (nl) * | 1982-11-25 | 1984-06-18 | Philips Nv | Roentgen analyse apparaat met een vier-kristal monochromator. |
GB2156974B (en) * | 1984-04-02 | 1988-10-05 | Dow Chemical Co | Combined thermal analyzer and x-ray diffractometer |
-
1987
- 1987-10-09 JP JP62253610A patent/JP2695165B2/ja not_active Expired - Lifetime
Non-Patent Citations (1)
Title |
---|
「新版X線回折要覧」株式会社アグネ(1980年6月20日)第84−85頁 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0196542A (ja) | 1989-04-14 |
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