JP5013525B2 - X線回折測定方法及びx線回折装置 - Google Patents

X線回折測定方法及びx線回折装置 Download PDF

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Description

本発明は、固定発散スリットを用いてX線回折測定を行うX線回折測定方法及びその装置に関する。
X線回折測定においては、一般に、X線源から出射されたX線を入射角度「θ」で試料へ照射し、試料から回折角度「2θ」で出た回折線をX線検出器によって検出し、X線検出器の出力信号に基づいて回折線の強度Iを求める。回折角度「2θ」は、常に、入射角度「θ」の2倍の角度である。回折線強度IをX線入射角度「θ」の関数と考えれば回折線強度はI(θ)と表記できる。また、回折線強度Iを回折角度「2θ」の関数と考えれば回折線強度はI(2θ)と表記できる。本明細書では、説明の便宜上、I(θ)の表記を多用する。
上記のX線回折測定の際、X線源から出射したX線は、一般に、発散スリット(DS:Divergence Slit:ダイバージェンススリット)によって試料幅方向の照射サイズが規制された状態で試料に照射される。X線回折測定において発散スリットのスリット幅(すなわち、発散角)を固定値とすることは従来から広く知られている。例えば、非特許文献1の第178頁(第7章「ディフラクトメーターおよび分光計の取扱い」、セクション7−3「X線光学(x-ray optics)」)には、普通に使われる発散スリットの広がり角(すなわち、発散角)は「1°」であること、すなわち発散角が固定値であることが開示されている。
また、特許文献1の発明の詳細な説明の従来技術の説明部分及び第1図(その説明は第2頁)には、発散スリット(当該文献では「拡散スリット」といっている)の発散角を固定値とすることが開示されている。以下、発散角が固定値である発散スリットを固定発散スリットということにし、発散角が可変である発散スリットを可変発散スリットということにする。
B.D.CULLITY、松村源太郎、「カリティ新版X線回折要論」、株式会社アグネ、1989年3月25日、7刷、p.178 特開昭50−63982号公報(第2頁、第1図)
従来、固定発散スリットを用いて行われるX線回折測定において、試料は、図6(a)及び図6(b)に符号Sで示すように標準試料領域(標準試料幅Wr×標準試料高さHrで規定される領域)に配置される。一般的なX線回折装置では、Wr=Hr=20mmに設定されることが多い。図6(b)は図6(a)のZ−Z線に従った断面図である。これらの図において、X線源Fから放出されたX線は発散スリット101によってその発散が規制された状態で試料Sへ照射される。試料Sから回折線が発生すると、その回折線はX線検出器102によって検出される。
試料Sに照射されたX線は、図6(a)において試料Sを取り囲む鎖線によって矩形状に示されている。試料Sを照射するX線の幅(この幅を「X線照射幅」ということにする)Wは、発散スリット101の発散角「β」とX線入射角「θ」によって決まる。図6(b)はX線入射角度θが低角の場合であり、そのためにX線照射幅W0>標準試料幅Wrとなる場合を示している。図7(c)はX線入射角度θが境界角の場合であり、X線照射幅W0=試料幅(図では標準試料幅Wr)となる場合を示している。そして、図7(d)はX線入射角度θが高角の場合であり、X線照射幅W0<標準試料幅Wrとなる場合を示している。
図6(a)において、試料Sを照射するX線の高さ、すなわちX線照射幅W0に対して直交する方向におけるX線の長さは、その高さ及び標準試料高さHrを明確に示すために、標準試料高さHrよりも大きく描かれている。しかしながら、実際には、試料Sを照射するX線の高さは標準試料高さHrとほぼ同じである。そして、試料Sを照射するX線の高さの標準試料高さHrに対するそのような状況は、図8(a)、図8(b)、及び図9(a)のそれぞれの場合も同じである。
標準試料領域に配置された試料(この試料を「標準充填試料」ということにする)に対して固定発散スリットを用いてX線回折測定を行う際には、X線入射角θを図6(b)に示す低角度領域から図7(d)に示す高角度領域まで走査させ、その走査中にX線検出器102によって試料Sからの回折線を検出する。
ところで、実際にX線回折測定を行う際には、十分な量の試料が入手できないことがある。この場合には、図6(a)に示す標準試料領域(Wr×Hr)の全域を試料Sで埋めることができないという状態になる。この場合、そのような少ない量の試料Sの配置の仕方として、図8(a)に示す方法及び図8(b)に示す方法の2種類が考えられる。
図8(a)の方法は、試料幅を標準試料幅Wrとし、試料高さを標準試料高さHrよりも狭いHsとするものである。本明細書ではこの配置を「横長配置」ということにする。一方、図8(b)の方法は、試料幅を標準試料幅Wrよりも狭いWsとし、試料高さを標準試料高さHrとするものである。本明細書ではこの配置を「縦長配置」ということにする。
図8(a)に示す横長配置の場合、X線入射角θ(図6(b)参照)が変化する際における、X線源FによるX線照射幅W0と試料幅Wrとの関係は図6(b)、図7(c)及び図7(d)に示した標準充填試料の場合と同じであり、回折角度2θの広い範囲内でX線照射幅が試料幅以内となる。X線照射幅が試料幅を超えない領域では試料に照射されるX線量は同一であり、この領域にあるピークの相対X線強度(すなわち、強度比)は正しく測定される。なお、照射幅が試料幅を超える回折角領域では実効X線量が減少するため、相対強度が下がる。
ここで、ピークの相対X線強度とは、観測された測定X線強度の真のX線強度に対する比のことである。また、真のX線強度とは、試料に照射される入射X線の照射幅が試料幅を超えない回折角領域で観測される測定X線強度のことである。すなわち、試料に入射するX線量が全て試料の範囲内に照射されているときには、真のX線強度と同等に評価できる測定X線強度が観測される。
一方、縦長配置の場合は、図9(b)、図10(c),図10(d)から理解できるように、X線入射角θが比較的高角度のときでもX線照射幅W0が試料幅Wsからはみ出してしまう。X線照射幅W0が試料幅Wsからはみ出すと、X線が試料幅以外の余分な領域を照射してしまい、その反面、試料幅を照射するX線量が減少するため、回折線のピークの相対X線強度が下がることになり、回折線のピーク判断を正確に行えなくなるおそれがある。
このような事情に鑑み、少量の試料に対してX線回折測定を行おうとする場合、X線測定分野の当業者であれば、広い回折角度2θ領域内で正しい一定の相対X線強度(強度比)を維持できる横長配置を選択するのが一般的である。しかしながら、横長配置を採用した場合には、図8(a)においてX線照射高さが常に試料高さHsからはみ出すことになるので、回折に寄与できる試料の量が少なくなり、特にX線入射角θの高角度側で十分な回折線強度を得ることができないという問題がある。十分な回折線強度を得るためには非常に長時間の測定を行わなければならず、現実的でない。
本発明は、上記の事情に鑑みて成されたものであって、標準充填試料量よりも少ない量の試料を測定対象とする場合に、回折線強度が弱くなる2θ高角度領域で十分な回折線強度を獲得することを可能とし、しかも、X線照射幅が広くなる2θ中角度領域及び2θ低角度領域において回折線のピークの相対X線強度(強度比)を一定値に維持することにより正確な回折線データを獲得することを可能とする、X線回折測定方法及びX線回折装置を提供することを目的とする。
本発明に係るX線回折測定方法は、(1)X線源から放射されたX線を発散スリットによって規制して試料に照射し、該試料から出た回折線をX線検出手段によって検出するX線回折測定方法において、(2)前記発散スリットの発散角は固定値であり、(3)前記発散スリットは試料幅方向のX線照射幅を規制するスリットであり、(4)前記試料は、その試料幅が標準試料幅よりも狭く、その試料高さが標準試料高さと同じである縦長配置に配置され、(5)前記X線検出手段の出力に基づいて求めたX線強度を、試料幅から計算された実効発散角に基づいて補正することを特徴とする。
本発明方法によれば、発散スリットとして固定発散スリットを用いるので、発散スリットとして可変発散スリットを用いる場合に比べて、構造を簡素化でき、コストを低減できる。また、試料を縦長配置(図8(b)参照)に置いた状態で測定を行うので、試料量が少ない場合でも横長配置(図8(a)参照)の場合に比べて2θの高角度領域(例えば80°以上)において強度の強い回折線を得ることができ、短時間で正確な回折データを得ることができる。
試料を縦長配置に置いた場合には、2θの低角度領域(例えば20°以下)のみならず2θの中角度領域(例えば60°程度)においてもX線照射幅が試料幅からはみ出してしまい、そのため、回折線の相対X線強度(強度比)が一定でなくなり、正しい回折線強度を得ることができないという事態が生じる。このため、縦長配置の試料に関して測定によって求められた回折プロファイルを、標準試料に関して予め求められた標準データ(例えば、ICDDカードデータ)と比較して定性分析を行ったとしても、正確な分析ができないという事態が発生する。
この点に関して本発明では、X線検出手段の出力に基づいて求めたX線強度Iobsを、試料の試料幅から計算された発散スリットの実効発散角に基づいて補正することにしたので、縦長配置された試料に関しての2θ低角度領域内での相対X線強度(強度比)の減少を補償してその相対X線強度を一定に維持できる。このため、試料幅の狭い試料の回折プロファイルを標準試料幅の試料の標準回折プロファイルと比較して定性分析を行ったとき、正確な分析結果を得ることができる。
次に、上記「試料幅から計算された実効発散角」の一例について説明すれば、図11において、試料Sの試料幅を「2A」、試料SへのX線入射角度を「θ」、ゴニオメータ半径を「R」としたとき、発散スリット2の実効発散角「β」を、
tanβ=(sinθ)/(R/2A) …(1)
に基づいて求め、さらに、発散スリット2の実際の発散角を「γ」とし、X線検出手段10の出力に基づいて求めたX線強度をIobs(θ)としたとき、真のX線強度Itru(θ)を、
tru(θ)=(γ/β)Iobs(θ) …(2)
に基づいて求めることが望ましい。
実際のゴニオメータ半径「R」は、ゴニオメータの種類によって異なるが、代表的な値は185mmや150mmである。
なお、上記(2)式は、
β≦γ …(3)
のとき、すなわち発散スリットの実効発散角βが実際の発散角γに等しいか又は小さくなる場合に有効に用いられる。また、発散スリットの実際の発散角γとして、現状では、(1/6)°、(1/2)°、1°、2°、4°等が用いられる。これらは、測定対象である試料からの回折線がどの回折角度2θの領域に現れるかに応じて適宜に選定される。
次に、上記「試料幅から計算された実効発散角」の他の例について説明すれば、図12において、試料Sの試料幅を「2A」、試料SへのX線入射角度を「θ」、ゴニオメータ半径を「R」としたとき、発散スリット2の実効発散角「β」のうち試料幅中心CよりもX線源Fから遠い側の実効発散角部分「β1」、及び実効発散角「β」のうち試料幅中心CよりもX線源Fに近い側の実効発散角部分「β2」を、
tanβ1=(sinθ)/{(R/A)−cosθ} …(4)
tanβ2=(sinθ)/{(R/A)+cosθ} …(5)
に基づいて求め、さらに、発散スリット2の実際の発散角を「γ」とし、X線検出手段10の出力に基づいて求めたX線強度をIobs(θ)としたとき、真のX線強度Itru(θ)を、
tru(θ)={γ/(β1+β2)}×Iobs(θ) …(6)
に基づいて求めることが望ましい。
なお、上記(6)式は、
β1,β2≦γ/2 …(7)
のとき、すなわち実効発散角部分β1及びβ2が、共に、実際の発散角の1/2(すなわちγ/2)に等しいか又は小さくなる場合に有効に用いられる。
この図12に基づいた実効発散角の特定方法は、試料幅中心CよりもX線源Fから遠い側(簡単のために「試料の右側」ということがある)の半分と、試料幅中心CよりもX線源Fに近い側の半分(簡単のために「試料の左側」ということがある)とで、実効発散角の算出方法に違いを持たせている。その理由は、X線入射角θが変化する際、試料Sの右側においてX線照射幅が試料幅からはみ出す量と、試料Sの左側においてX線照射幅が試料幅からはみ出す量とが互いに異なるからである。このように、試料幅2Aを中心Cで2つに分けて実効発散角を算出することにより、図11に基づいた実効発散角の算出方法に比べて、より正確な強度補正を行うことができる。
図13は、発散スリットによって規定されるX線照射幅が、試料幅中心から左側の部分と右側の部分とで非対称性であることをグラフによって示している。このグラフは、ゴニオメータ半径を185mmとし、発散スリットの発散角を「1°」としたときに、発散スリットを通ったX線が試料位置において形成するX線照射幅を計算によって求めてプロットしたものである。曲線A1は、図12において試料Sの右側半分におけるX線照射幅の変化を示している。そして、曲線A2は、図12において試料の左側半分におけるX線照射幅の変化を示している。
このグラフから明らかなように、図12においてX線源FがX線入射角θ=90°の位置から左側へ移動して入射角θが徐々に低角になってゆくとき、X線照射幅の右側の広がりと左側の広がりは非対称である。従って、試料幅に基づいて発散スリットの実効発散角を計算によって求める場合には、試料幅の右側と左側とで別々に計算した方が正確な実効発散角を算出できるということである。
次に、図14のグラフは、図12においてゴニオメータ半径R=185mmとし、発散スリットの実際の発散角を「1°」とし、複数の異なる試料幅2A(具体的には、2A=20mm,10mm,5mmの3種類)のそれぞれの試料幅に対して上式(4)及び(5)に基づいて実効発散角部分β1,β2を求め、さらにβ=β1+β2の式に基づいて実効発散角βをもとめ、その実効発散角βを相対X線強度(強度比)と考えてプロットすることにより、試料幅2Aをパラメータとした回折線強度の回折角依存性を表したものである。
このグラフから次のことがわかる。
(1)試料幅2A=20mmの試料(標準充填試料:曲線A)において、回折角度2θ=19.59°よりも大きい(2θ≧19.59°)領域で相対X線強度(強度比)が「1」であり、回折角度2θが19.59°より小さい(2θ<19.59°)領域で相対X線強度が低下する。このことは、試料幅2Aが20mmの場合、2θ≧19.59°の領域ではX線照射幅が試料幅2Aからはみ出すことがないので相対X線強度(強度比)が「1」に維持され、2θ<19.59°の領域ではX線照射幅が試料幅2Aからはみ出すことにより回折線の相対X線強度(強度比)が低下する、ということである。
(2)試料幅2A=10mmの試料(曲線B:量が少ない試料)において、回折角度2θ=38.7°よりも大きい(2θ≧38.7°)領域で相対X線強度(強度比)が「1」であり、回折角度2θが38.7°より小さい(2θ<38.7°)領域で相対X線強度が低下する。このことは、試料幅2Aが10mmの場合、2θ≧38.7°の領域ではX線照射幅が試料幅2Aからはみ出すことがないので相対X線強度(強度比)が「1」に維持され、2θ<38.7°の領域ではX線照射幅が試料幅2Aからはみ出すことにより回折線の相対X線強度(強度比)が低下する、ということである。
(3)試料幅2A=5mmの試料(曲線C:量がさらに少ない試料)において、回折角度2θ=81.5°よりも大きい(2θ≧81.5°)領域で相対X線強度(強度比)が「1」であり、回折角度2θが81.5°より小さい(2θ<81.5°)領域で相対X線強度が低下する。このことは、試料幅2Aが5mmの場合、2θ≧81.5°の領域ではX線照射幅が試料幅2Aからはみ出すことがないので相対X線強度(強度比)が「1」に維持され、2θ<81.5°の領域ではX線照射幅が試料幅2Aからはみ出すことにより回折線の相対X線強度(強度比)が低下する、ということである。
(4)試料幅2Aが狭くなる程、相対X線強度が減衰し始める回折角度2θが高角側へ移行する。つまり、試料量が少なくなる程、回折線強度の相対X線強度が変化する回折角度2θの領域が2θ低角度側で広くなり、回折線プロファイルを標準充填試料と比較することが困難となる2θ角度領域が低角度側で広がる。
(5)曲線A,B,Cにおいて相対X線強度が低下する回折角度2θの領域において回折線ピークが得られた場合、その回折線ピークは相対X線強度が低下している状態下でのピークであるので正しい強度を表しているとは言えない。この場合、得られた回折線ピークに曲線A,B,Cの強度低下部分の傾きの逆数を乗ずれば、回折線ピークを相対X線強度=1である正しい状態に補正することができる。上記(6)式はこのことを意味するものである。
次に、本発明に係るX線回折測定方法において、試料から出た回折線は受光スリット及びモノクロメータを通してX線検出手段によって検出されることが望ましい。この場合のモノクロメータは、試料からの回折線を選択的に回折してX線検出手段へ導くモノクロメータである。この発明態様によれば、強度補正を行う前の元データにおけるバックグラウンド強度を除去できるので、強度補正を行ったときにピーク強度と一緒にバックグラウンド強度をも補正してしまうことを回避でき、それ故、より一層正確な補正結果を得ることができる。
次に、本発明に係るX線回折装置は、(1)X線を放射するX線源と、試料を支持する試料ホルダと、前記X線源から放射されたX線の発散を規制して前記試料へ導く発散スリットと、前記試料から出た回折線を検出するX線検出手段と、前記X線検出手段の出力信号に基づいてX線強度を求めるX線強度演算手段とを有し、(2)前記発散スリットの発散角は固定であり、(3)前記発散スリットは前記試料ホルダに支持された試料の試料幅方向のX線照射幅を規制するスリットであり、(4)前記試料ホルダは、前記試料を、その試料幅が標準試料幅よりも狭く、その試料高さが標準試料高さと同じである縦長配置に支持し、(5)前記X線強度演算手段は、前記X線検出手段の出力に基づいて求めたX線強度Iobs(θ)を、試料の試料幅から計算された実効発散角に基づいて補正して真のX線強度Itru(θ)を求めることを特徴とする。
本発明装置によれば、発散スリットとして固定発散スリットを用いるので、発散スリットとして可変発散スリットを用いる場合に比べて、構造を簡素化でき、コストを低減できる。また、試料を縦長配置(図8(b)参照)に置いた状態で測定を行うので、試料量が少ない場合でも横長配置(図8(a)参照)の場合に比べて2θの高角度領域において強度の強い回折線を得ることができ、短時間で正確な回折データを得ることができる。
試料を縦長配置に置いた場合には、2θの低角度領域(例えば20°以下)のみならず2θの中角度領域(例えば60°程度)においてもX線照射幅が試料幅からはみ出してしまい、そのため、回折線の相対X線強度(強度比)が標準充填試料と異なるという事態が生じる。このため、縦長配置の試料に関して測定によって求められた回折プロファイルを標準試料に関して予め求められた標準データ(例えば、ICDDカードデータ)と比較して定性分析を行ったとしても、正確な分析ができないという事態が発生する。
この点に関して本発明では、X線検出手段の出力に基づいて求めたX線強度を、試料幅から計算された実効発散角に基づいて補正することにしたので、縦長配置された試料に関しての2θ低角度領域内での相対X線強度(強度比)の減少を補償してその相対X線強度を一定に維持できる。このため、試料幅の狭い試料の回折プロファイルを標準試料幅の試料の標準回折プロファイルと比較して定性分析を行ったとき、正確な分析結果を得ることができる。
次に、本発明に係るX線回折装置において、前記X線強度演算手段は、図11において、
(1)試料Sの試料幅を「2A」、試料SへのX線入射角度を「θ」、ゴニオメータ半径を「R」としたとき、実効発散角「β」を
tanβ=(sinθ)/(R/2A)
に基づいて演算し、
(2)発散スリット2の実際の発散角を「γ」とし、X線検出手段10の出力に基づいて求めたX線強度をIobs(θ)としたとき、真のX線強度Itru(θ)を、
tru(θ)=(γ/β)Iobs(θ)
に基づいて演算することが望ましい。
また、本発明に係るX線回折装置において、前記X線強度演算手段は、図12において、
(1)試料の試料幅を「2A」、試料へのX線入射角度を「θ」、ゴニオメータ半径を「R」としたとき、実効発散角「β」のうち試料幅中心CよりもX線源Fから遠い側の実効発散角部分「β1」、及び実効発散角「β」のうち試料幅中心CよりもX線源Fに近い側の実効発散角部分「β2」を、
tanβ1=(sinθ)/{(R/A)−cosθ}
tanβ2=(sinθ)/{(R/A)+cosθ}
に基づいて演算し、
(2)発散スリットSの実際の発散角を「γ」とし、X線検出手段10の出力に基づいて求めたX線強度をIobs(θ)としたとき、真のX線強度Itru(θ)を、
tru(θ)={γ/(β1+β2)}×Iobs(θ)
に基づいて演算することが望ましい。
この図12に基づいた発明態様は、図11に基づいた上記の発明態様における実効発散角をさらに精密に解析することにより、相対X線強度(強度比)の補正を精密に行えるようにしたものである。
次に、本発明に係るX線回折装置において、前記X線強度演算手段は、前記X線検出手段の出力信号を所定のサンプリング時間積分してX線強度Iobs(θ)を求め、さらに1回のサンプリング時間ごとにX線強度Iobs(θ)から真のX線強度Itru(θ)を求め、その真のX線強度Itru(θ)を保存することが望ましい。この発明態様によれば、真のX線強度Itru(θ)は、補正結果のデータとして扱われるのではなく測定結果そのものの生データとして扱われる。この真のX線強度Itru(θ)は、即座に画像データ演算回路に入力してディスプレイの画面上に表示したり、プリンタによって印刷することもできる。また、前記真のX線強度Itru(θ)は、補正されたデータとしてではなく、測定結果の生データとしてコンピュータの内部記憶装置又は外部記憶装置内の所定記憶領域内に記憶される。
また、別の方法として、測定X線強度Iobs(θ)を補正せずにそのまま保存して、後に行なわれるデータ処理時にその測定X線強度Iobs(θ)を真のX線強度Itru(θ)へ補正してから保存することもできる。
次に、本発明に係るX線回折装置は、試料ホルダとX線検出手段との間に設けられた受光スリットと、該受光スリットとX線検出手段との間に設けられたモノクロメータとをさらに有することが望ましい。このとき、モノクロメータは試料からの回折線を選択的に回折してX線検出手段へ導くモノクロメータである。この発明態様によれば、強度補正を行う前の元データにおけるバックグラウンド強度を除去できるので、強度補正を行ったときにピーク強度と一緒にバックグラウンド強度をも補正してしまうことを回避でき、それ故、より一層正確な補正結果を得ることができる。
本発明に係るX線回折測定方法及びX線回折装置によれば、発散スリットとして固定発散スリットを用いるので、発散スリットとして可変発散スリットを用いる場合に比べて、構造を簡素化でき、コストを低減できる。また、試料を縦長配置(図8(b)参照)に置いた状態で測定を行うので、試料量が少ない場合でも横長配置(図8(a)参照)の場合に比べて2θの高角度領域(例えば80°以上)において強度の強い回折線を得ることができ、短時間で正確な回折データを得ることができる。
試料を縦長配置に置いた場合には、2θの低角度領域(例えば20°以下)のみならず2θの中角度領域(例えば60°程度)においてもX線照射幅が試料幅からはみ出してしまい、そのため、回折線の相対X線強度(強度比)が標準充填試料と異なるという事態が生じる。このため、縦長配置の試料に関して測定によって求められた回折プロファイルを標準試料に関して予め求められた標準データ(例えば、ICDDカードデータ)と比較して定性分析を行ったとしても、正確な分析ができないという事態が発生する。
この点に関して本発明では、X線検出手段の出力に基づいて求めたX線強度を、試料幅から計算された実効発散角に基づいて補正することにしたので、縦長配置された試料に関しての2θ低角度領域内での相対X線強度(強度比)の減少を補償して標準充填試料に関しての強度比特性に近づけることができ、正確な定性分析を行うことができる。
以下、本発明に係るX線回折測定方法及びX線回折装置を実施形態に基づいて説明する。なお、本発明がこの実施形態に限定されないことはもちろんである。また、これ以降の説明では図面を参照するが、その図面では特徴的な部分を分かり易く示すために実際のものとは異なった比率で構成要素を示す場合がある。
図1は、本発明に係るX線回折装置の一実施形態を示している。図1は正面図であり、左右方向が水平方向で上下方向が鉛直方向である。ここに示すX線回折装置1は、X線を発生するX線源Fと、X線の発散を規制する発散スリット2と、試料ホルダ3を支持するθ回転台4と、θ回転台4と同軸に設けられた2θ回転台5と、2θ回転台5から延びる検出器アーム6とを有する。
X線源Fは、通電によって熱電子を発生するフィラメントと、それに対向して配置されたターゲットとによって形成される。具体的には、ターゲットの外周面上であって熱電子が衝突する領域がX線焦点であり、このX線焦点がX線源Fとなる。X線源Fを形成するターゲットの表面は、例えばCu(銅)によって形成される。X線源Fは内部が真空であるX線管7の内部に設けられる。X線源Fから出たX線は水平方向に対して約6°下方へ進行するようにX線管7から取り出される。X線源F及び発散スリット2は位置不動に固定されている。試料ホルダ3の所定位置に試料Sが詰め込まれている。発散スリット2は、X線源Fで発生したX線が試料Sに入射するようにそのX線の発散を規制する。
検出器アーム6上には、散乱スリット8、受光スリット9及びX線検出器10が固定して設けられている。θ回転台4にはθ回転機構13が連結している。2θ回転台5には2θ回転機構14が連結している。θ回転機構13及び2θ回転機構14は、それぞれ、θ回転台4及び2θ回転台5を微細な角度精度で回転させるための機構であり、例えば、ウォームとウォームホイールとを含む動力伝達系によってサーボモータ、パルスモータ等といった電動モータの回転を各回転台4,5に伝達する機構とすることができる。
散乱スリット8は、試料以外のところで空気散乱等によって発生した散乱X線がX線検出器10に入るのを防止する。受光スリット9は試料Sで回折したX線が集中する点に設けられ、集中したX線以外のX線がX線検出器10に入るのを防止する。X線検出器10は、例えば0次元X線検出器によって構成されている。0次元X線検出器は、所定の領域で受け取ったX線を受光位置を判別することなく1つの束のX線として検出する検出器であり、例えばSC(Scintillation Counter:シンチレーションカウンタ)を用いて構成される。X線検出器10は受光したX線の量に対応して信号を出力し、その出力信号に基づいて強度検出回路15がX線強度を演算する。強度検出回路15は外観上、X線検出器10の内部に組み込まれることがある。
0次元X線検出器は、X線を線状領域で検出する1次元X線検出器、例えばPSPC(Position Sensitive Proportional Counter)や、X線を面状領域で検出する2次元X線検出器、例えば面状X線蛍光体を用いたX線検出器を除く意味であるが、1次元X線検出器や2次元X線検出器を0次元X線検出器として用いるのであれば、それらの1次元X線検出器及び2次元X線検出器も0次元X線検出器に含まれるものである。
X線源Fから出て発散スリット2を介して試料Sへ入射するX線Rの入射角を“θ”とする。また、X線検出器10によって検出する回折線Rの回折角度を“2θ”とする。θ回転機構13によってθ回転台4を回転するとX線入射角θが変化する。このθ回転台4の回転を「θ回転」と呼ぶことにする。2θ回転機構14によって2θ回転台5を回転すると回折角度2θが変化する。この2θ回転台5の回転を「2θ回転」と呼ぶことにする。2θ回転台5の2θ回転はθ回転台4のθ回転と同じ方向で2倍の角速度の回転である。
なお、θ回転を行うにあたってX線源Fと試料Sは相対的に回転すれば良いのであり、試料Sを固定配置し、X線源Fの方をθ回転させる構成を採用することもできる。この場合には、2θ回転台5の2θ回転は、X線検出器10をX線入射角度θの2倍の角度位置である回折角度2θに置くように、X線源Fのθ回転と逆方向で同じ角速度に設定される。
θ回転台4、θ回転機構13、2θ回転台5、2θ回転機構14、検出器アーム6の各要素によって構成される測角機構がゴニオメータである。そして、そのゴニオメータを含みX線源FからX線検出器10に至る光学系、本実施形態ではX線源F、発散スリット2、試料S、散乱スリット8、受光スリット9、X線検出器10、及びゴニオメータを含む光学系がX線光学系である。本実施形態では、θ回転及び2θ回転の際にX線光軸(すなわちX線R及びRの中心線)が描く面が鉛直面内に含まれる構成のX線光学系(いわゆる縦型X線光学系)を採用しているが、その面が水平面内に含まれる構成のX線光学系(いわゆる横型X線光学系)を採用することもできる。
本実施形態のX線光学系は集中法光学系であり、X線入射角θ及びX線回折角2θが変化する際、X線源F及び受光スリット9は、試料Sの表面を通り紙面垂直方向に延びるω軸線を中心とするゴニオメータ円Cg上に在る。また、X線源F、試料S、及び受光スリット9の3点は、X線入射角θ及びX線回折角2θが変化する際、集中円Cf上に在る。
強度検出回路15から出力されるX線強度信号Iobs(θ)は制御装置17に入力される。制御装置17は、CPU(Central Processing Unit)、メモリ等を含むコンピュータによって構成されている。θ回転機構13及び2θ回転機構14は制御装置17の入出力部に接続されている。また、制御装置17の入出力部に、キーボード、マウス等といった入力装置20が接続され、さらに、出力装置としてプリンタ18及びディスプレイ19が接続されている。
制御装置17は、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)21、ROM(Read Only Memory)22、RAM(Random Access Memory)23、メモリ24、これらの要素を接続するバス25を有する。メモリ24は適宜の記憶媒体、例えば、ハードディスク、CD(Compact Disk)、MO(Magneto-optic)等といった機械式メモリや、半導体メモリ等によって形成できる。CPU21はメモリ24の中に記憶されたプログラムに従って演算及び制御を行う。ROM22には基本的なデータや基本的なオペレーティングシステムが記憶されている。RAM23は各種のデータを一時的に記憶するためのポテンシャルファイルとして機能する。
図1に示したθ回転機構13、2θ回転機構14、入力装置20、プリンタ18、ディスプレイ19、及び強度検出回路15は、図2においてバス25を介して制御装置17に接続されている。メモリ24の中には、X線回折測定を行うためのプログラムソフトが格納されたファイル27、及び後述する回折線強度データItru(θ)を記憶するためのファイル28が設けられている。
図1において、必要に応じて、X線源Fと発散スリット2との間、及び散乱スリット8と受光スリット9との間にソーラスリットを設けることができる。これらのソーラスリットにより、縦方向(Z方向)の回折線の広がりを制限して、回折線ピークの分解能の低下を防ぐことができる。また、必要に応じて、受光スリット9とX線検出器10との間にモノクロメータを設けることができる。このモノクロメータにより、不要なKβ線を除去したり、微小ピークの検出の弊害になる連続X線や蛍光X線をカットできる。
試料ホルダ3は、図3(a)〜(f)に示すように、厚さ数mmの金属板、例えばAl(アルミニウム)板に、試料を詰め込むための開口11を設けることによって形成されている。本実施形態の開口11は貫通穴であるが、開口11を有底の凹部とすることもできる。本実施形態では開口11の幅が、20mm(図(a))、12mm(図(b))、8mm(図(c))、4mm((図(d))、2mm(図(e))、1mm((図(f))の6種類の試料ホルダ3を用意する。いずれの試料ホルダ3においても、開口11の高さは20mmである。開口11に試料が詰め込まれたとき、開口11の幅が試料幅ということになる。以下の説明において、開口11のことを「試料領域」と呼ぶことがある。
図3(a)の試料ホルダ3Aは量が十分に多い試料を測定対象とする場合に用いられる標準の試料ホルダであり、開口11の容積(以下、平面的に見た状態の「面積」ということがある)が最も大きい試料ホルダである。この標準試料ホルダ3Aの試料領域(開口)11は、X線回折測定の定性分析の分野で一般的に使用される標準データ(例えば、ICDDカード)に適合した面積の領域である。図3(b)〜(f)に示す各試料ホルダ3B〜3Fは入手可能な量が少ない試料に関して用いられる試料ホルダである。
これらの試料ホルダ3B〜3Fにおいては、開口11の幅が標準試料ホルダ3Aの開口11の幅よりも狭くなっているので、それらの開口11に詰め込むことができる試料の量が少なくなる。実際の測定に際しては、入手可能な試料量に応じて最適な容量の開口11を有する試料ホルダが選択される。試料ホルダ3A〜3Fのいずれを使用するかに応じて、後述する回折線強度補正処理に違いが生じるのであるが、詳しくは後述する。
なお、試料幅が標準寸法(20mm)よりも狭い試料ホルダ3B〜3F(図(b)〜図(f))を用意することに代えて、標準試料ホルダ3Aだけを用意しておき、試料の量が少ない場合には、図4に示すように、その標準試料ホルダ3Aの開口11内の左端部及び右端部に適宜の幅の非晶質体(例えば、ガラス体)16を装着し、それらの非晶質体16の間の狭くなった領域に試料Sを詰め込むようにしても良い。
図3及び図4において、各試料ホルダ3は、開口11から遠い側の辺部12を図1のθ回転台4の所定の個所に装着することにより、X線光学系内の所定位置に配置される。こうして試料ホルダ3が所定位置に配置されたとき、標準試料ホルダ3A(図3(a))以外の試料ホルダ3B〜3Fに関しては、開口11内に詰め込まれた試料が図8(b)に示すようにX線源Fに対して縦長配置をとるようになっている。
以下、上記構成より成るX線回折装置の動作を図5のフローチャートを参照して説明する。なお、本実施形態では、試料量が多い場合と、試料量が少ない場合とで処理方法に違いがあるので、それらを個別に説明することにする。
(試料量が多い場合の測定)
測定対象である試料の量が十分にある場合には、測定者は標準試料面積の開口11を備えた図3(a)の試料ホルダ3Aを選択して、その開口11の中に試料を詰め込む。そして、試料が詰め込まれた試料ホルダ3Aを図1のθ回転台4の所定個所に装着する。これにより、図6(a)及び図6(b)に示すようにX線源FからX線検出器10に至るX線光路上に試料Sが配置される。
次に、図5のステップS1〜S2において必要に応じて図1のX線光学系の光軸調整を行う。次に、ステップS3で、図2のメモリ24内の所定領域に記憶されている測定条件を読み込む。この測定条件は図1のX線光学系を用いて行われる測定に関する種々の条件のことであり、この測定条件の中には、試料ホルダ3として図3(a)〜(f)のいずれのものが使用されるかの条件が含まれる。
試料ホルダ3に関する情報は、図1の入力装置20を通して測定者によって予め入力される。入力の方法は、6種類の試料ホルダ3のいずれを選択するかの択一選択方法が望ましい。なお、図4に関連して説明したように、非晶質体16を用いて試料領域を狭める場合には、試料幅Wsを数値入力によって指示することが望ましい。
あるいは、図3(a)〜(f)の各試料ホルダ3に固有のマークを付すと共に、図1のθ回転台4の適所にマーク読取りセンサを設けておき、試料ホルダ4を図1のθ回転台4に装着したときに、装着された試料ホルダ3における開口11の幅(すなわち、試料幅)を自動的に読み取るようにすることもできる。
なお、今考えている測定は、試料量が十分に多い場合のことであるので、測定者は図3(a)の標準試料ホルダ3Aを選択し、その開口11の中に試料を詰め込む。そして、図1の入力装置20を通して標準試料ホルダ3Aを選択する旨の指示を行う。
次に、ステップS4で試料ホルダ3が装着されていることを確認した上で、ステップS5において図1のX線源FからCuのKα線を含むX線の放射を開始し、ステップS6において図1のθ回転台4のθ回転及び2θ回転台5の2θ回転を開始する。X線入射角度θ及び回折線検出角度2θのそれぞれが初期値から増大する間、X線入射角度θと試料Sとの間でブラッグの回折条件
2dsinθ=nλ
但し、d:格子面間隔、λ:X線の波長、n:反射次数
が満足されるときに試料Sから回折線が発生する。
この回折線はX線検出器10によって受光され、そのときX線検出器10から検出信号が出力される。この出力信号は強度検出回路15に伝送され、強度検出回路15はその信号に基づいてX線強度を演算する。そのX線強度信号Iobs(θ)は制御装置17へ伝送される。制御装置17は、ステップS7及びS8において所定のサンプリング時間ごとにX線強度信号を積算し、その積算したX線強度を対応する回折角度2θのX線強度Iobs(θ)と決定する(ステップS9)。なお、本明細書では、回折角度2θを変数とする回折線強度I(2θ)を、説明の便宜上、X線入射角度θを変数としてI(θ)のように表記する。
以上のようにして、各回折角度2θごとのX線強度Iobs(θ)が求められる。なお、サンプリング時間ごとにX線強度信号を積算してX線強度Iobs(θ)を求める処理を、制御装置17ではなくて強度検出回路15に受け持たせることもできる。
サンプリング方法としては、連続サンプリング方法を用いることもできるし、ステップサンプリング方法を用いることもできる。連続サンプリングは、X線検出器10を連続的に2θ回転させながら、所定の時間間隔で2θ角度を更新しながら回折線を取り込む方法である。ステップサンプリングは、X線検出器10を所定の時間間隔で間欠的に2θ回転させて2θ角度を更新しながら、各2θ停止位置において回折線を取り込む方法である。本実施形態では、いずれのサンプリング方法を採用しても良い。
次に、ステップS10において、回折線強度の補正を行うか否かを判断する。この補正は、試料の量が少ない場合、すなわち図3(a)の標準試料ホルダ3A以外の試料ホルダ3B〜3F(図3(b)〜(f))を用いて測定を行った場合に、2θ低角度領域で図14の線図Bや線図Cのように回折線の相対X線強度(強度比)が低下したことを補償するために行うものである。今考えている測定は試料量が十分にあって図3(a)の標準試料ホルダ3Aを使用する場合であり、測定者が標準試料ホルダ3Aを選択していることがステップS3で確認されているので、CPUはステップS10で「No」と判断してステップS12へ進む。
ステップS7〜S9で測定されたX線強度Iobs(θ)は、測定が行なわれている最中にステップS12において順次に図2のRAM23又はメモリ24内の所定領域に記憶される。また、CPUはステップS13において画像データ、例えばR,G,Bのカラー画像データを生成する。この画像データは1次元画像用のデータであっても良いし、2次元画像用のデータであっても良いし、3次元画像用のデータであっても良い。「1次元画像」とは平面内に描かれる線によって情報を表示する画像である。「2次元画像」とは平面内に描かれる面によって情報を表示する画像である。「3次元画像」とは平面内に描かれる斜視図的な表現によって情報を表示する画像である。
生成された画像データは、ステップS14において図2のディスプレイ19内の画像コントローラへ伝送され、ディスプレイの画面内に画像として表示される。例えば、図15に示すように、横軸に回折角度2θをとり、縦軸に回折線強度(Intensity)をとった平面座標上に回折線プロファイルAや回折線プロファイルBとして表示される。図15に示すグラフは1次元画像のグラフである。この画像表示は、図1において測定が終了する前から、すなわちθ回転及び2θ回転が所定の最終角度値に到達する前から行うことができ、この場合には、図15において回折線プロファイルA等が2θの低角側から徐々に表示される。
CPUは、測定によって得られたIobs(θ)に基づいてプリンタ18用の印字データを作成してその印字データをプリンタ18の駆動制御回路へ送ることができる。これにより、Iobs(θ)を紙等の上に印字できる。なお、印字の場合には、θ−2θの走査測定の最中から印字を始める必要性は少ないと考えられるので、θ−2θ走査測定が終了した後に測定結果データに基づいて印字データを生成することで十分である。以上の処理が所望の回折角度2θの最後まで行なわれて、X線回折測定が終了すると(ステップS15でYES)、測定が終了する。
(試料量が少ない場合の測定)
測定対象である試料の量が少なくて図3(a)の標準の試料ホルダ3Aの開口11の全領域を埋めることができない場合には、測定者はその試料量に応じて試料領域11が小さい試料ホルダ3B〜3F(図3(b)〜(f))のいずれか1つを選択して、その開口11の中に試料を詰め込む。そして、試料が詰め込まれた試料ホルダを図1のθ回転台4の所定個所に装着する。これにより、図9(a)及び図9(b)に示すように、試料幅Wsが標準の試料幅Wrよりも狭い縦長配置の試料Sが、X線源FからX線検出器10に至るX線光路上に配置される。
量の少ない試料の測定を行う場合、図5のステップS1〜S9として標準充填試料と同じ工程が実行される。但し、測定を始める前に測定者は、使用する試料ホルダとして試料幅の狭い図3(b)から図3(f)のうちのいずれかを選択するので、CPUはステップS10において強度補正を行うものと判断する(ステップS10でYES)。すると、制御はステップS11へ進み、図1のX線光学系においてθ−2θ走査回転が行なわれている最中に、強度検出回路15から出力された強度Iobs(θ)をサンプリング時間の経過ごとに所定の補正処理によって真の強度Itru(θ)へ補正する。
図8(b)の縦長配置に置かれた試料に関しては、図14に線図B又は線図Cで示すように回折角度2θの比較的高角度側から回折線の相対X線強度(強度比)の低下が始まり、仮に回折線の測定データが得られたとしても、そのデータは相対X線強度が一定の状態下で得られた標準充填試料と比較し得る汎用性を有していない。図5のステップS11で行う補正は、そのような相対X線強度の低下を補償して測定データに汎用性を持たせるために行われるものである。
この強度補正を詳しく説明する。図12において、試料Sの試料幅を「2A」、その試料幅2Aから計算される発散スリット2の実効発散角を「β」、試料幅中心CよりもX線源Fから遠い側の実効発散角部分を「β1」、試料幅中心CよりもX線源Fに近い側の実効発散角部分を「β2」とし、さらに、試料SへのX線入射角度を「θ」、ゴニオメータ半径を「R」とすれば、試料幅2Aから計算された実効発散角部分β1及びβ2は、
tanβ1=(sinθ)/{(R/A)−cosθ} …(4)
tanβ2=(sinθ)/{(R/A)+cosθ} …(5)
によって求めることができ、実効発散角βは、
β=β1+β2
である。CPUは上式(4)、(5)の演算処理を行なって、回折角度2θごとに実効発散角部分β1,β2を求める。
次に、発散スリット2の実際の発散角を「γ(ガンマ)」とし、X線検出器10の出力に基づいて求めたX線強度をIobs(θ)とし、真のX線強度をItru(θ)とすれば、
tru(θ)={γ/(β1+β2)}×Iobs(θ) …(6)
であるので、CPUは、図1の強度検出回路15から出力された強度データIobs(θ)に関して上式(6)の演算処理を行なって当該X線強度Iobs(θ)を補正して、真のX線強度Itru(θ)を求める。
なお、上式(6)を用いた補正は、試料Sの試料幅2Aに基づいて決められる発散スリット2の実効発散角βが実際の発散角γよりも小さい領域(すなわち、実効発散角部分β1,β2が実際の発散角γの半分よりも小さい領域)において有効に用いられるものである。
こうして求められたItru(θ)は、例えば図14のグラフにおいて線図B(試料幅10mm)又は線図C(試料幅5mm)の相対X線強度が左下がりに低下する部分が、相対X線強度=1となるように補正されたことに相当している。これにより、補正によって求められた回折線強度Itru(θ)の相対X線強度は回折角度2θの広い範囲で正しい一定値を維持するように補償され、従って、このItru(θ)を標準データと比較することにより正しい定性分析を行うことができる。
本実施形態では、図5のステップS11において、図12に示すように試料幅2AをX線源Fから遠い側と近い側の2つの部分に分けて強度補正式を規定し、それらの補正式を用いて補正を行った。しかしながら、強度補正式はこれだけに限定されるものではなく、例えば、図11に示すように、試料幅2Aを2つの部分に分けることなく、試料幅2Aの全体に基づいて実効発散角βを求め、測定データIobs(θ)をこの実効発散角βに基づいて補正しても良い。
この場合、実効発散角βは、試料幅2Aから、
tanβ=(sinθ)/(R/2A) …(1)
によって求められ、真のX線強度Itru(θ)は、
tru(θ)=(γ/β)Iobs(θ) …(2)
によって求められる。
なお、上式(2)を用いた補正は、試料の試料幅に基づいて決められる発散スリットの実効発散角βが実際の発散角γよりも小さい領域において有効に用いられるものである。
以上のように、本実施形態のX線回折装置によれば、X線検出器10の出力に基づいて求めたX線強度Iobs(θ)を、試料Sの試料幅から計算された発散スリット2の実効発散角に基づいて補正することにしたので、縦長配置された試料Sに関しての2θ低角度領域内での相対X線強度(強度比)の減少を補償してその相対X線強度を一定に維持できる。このため、試料幅の狭い試料Sの回折プロファイルを標準試料幅の試料の標準回折プロファイルと比較して定性分析を行ったとき、正確な分析結果を得ることができる。
(その他の実施形態)
以上、好ましい実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はその実施形態に限定されるものでなく、請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々に改変できる。
例えば、図1に示したX線光学系は、θ−2θ回転によってX線光軸が描く平面である回折面が鉛直面となる、いわゆる縦型ゴニオメータを用いたが、この縦型ゴニオメータに代えて、回折面が水平面となる、いわゆる横型ゴニオメータを用いることもできる。
以上に説明した実施形態では、図3に示したように6種類の試料ホルダ3を用いて測定を行うことを考えたが、試料ホルダ3の種類は6種類に限られない。また、6種類であっても、試料幅の具体的な値を適宜に変更できる。また、試料幅が異なった複数の試料ホルダを用意するのではなく、標準の試料ホルダの開口に非晶質体を装着することによって開口幅(すなわち試料幅)を変更することもできる。
図1に示した実施形態において、受光スリット9とX線検出器10との間にモノクロメータ、いわゆるカウンタモノクロメータ(図示せず)を追加して設けることができる。このモノクロメータは、例えばグラファイトによって形成できる。このモノクロメータは、試料Sからの回折線を選択的に回折してX線検出器10へ導き、それ以外の不要なX線がX線検出器19に取り込まれることを防止する。このカウンタモノクロメータを設けることにより、次の効果が得られる。
本実施形態のスリット補正によれば、回折線強度比が正しく測定できるという効果を得ることができる。しかしながら、その効果と同時に、ピーク強度の補正係数に比例して、バックグラウンド強度も増加する傾向がある。これは試料板の試料以外の場所から散乱される散乱X線による妨害がその原因であるが、カウンタモノクロメータを使用することによって元データのバックグラウンドを下げておけば、補正後のデータにおいてもバックグラウンド増加は少なく抑えられる。
なお、カウンタモノクロメータそれ自体は、従来から知られている構造のものを用いることができるので、詳しい図示を省略するが、例えば特開平6−109668号公報に開示されているモノクロメータを用いることができる。
本発明者は、ゴニオメータ半径R=150mm,発散スリットの実際の発散角が1.25°、試料幅2Aが20mmのX線光学系を用いて回折線強度Iobs(θ)を求め、さらにその回折線強度を補正して回折線強度Itru(θ)を求める実験を行なった。その結果、図15のデータ出力に示す結果を得た。このデータ出力において回折線プロファイルBは強度補正しない状態のプロファイルである。回折線プロファイルAは強度補正を行った後のプロファイルである。
なお、図12に基づいた計算によると、ゴニオメータ半径R=150mm、発散スリットの実際の発散角が1.25°、試料幅2Aが20mmの測定時には2θ<20.08°の領域で相対X線強度(強度比)が低下するという計算結果である。
図15の結果では、回折角度2θが約20°よりも大きい領域ではプロファイルAとプロファイルBは略一致して重なっている。回折角度2θが約20°よりも小さい領域では、補正後の強度値が補正前の強度値よりも大きくなっている。補正後の強度値Aが補正前の強度値Bよりも大きくなっているということは、本発明により2θが約20°の低角度領域で回折線の相対X線強度(強度比)が一定の正しい値に矯正されたことを示している。
本発明に係るX線回折測定方法を実施するX線回折装置の一実施形態を示す図である。 図1の電気的な制御系を詳しく示すブロック図である。 図1に示すX線光学系で用いる試料ホルダの例を示す平面図である。 図1に示すX線光学系で用いる試料ホルダの他の例を示す平面図である。 図1の装置によって行われる制御の流れを示すフローチャートである。 標準の試料ホルダを用いた測定例を示す図である。 図6と同じ測定例における異なる測定タイミングの状態を示す図である。 少ない試料のための配置の仕方に関する2つの例を示す図である。 本発明に係るX線回折測定方法の一実施形態を示す図である。 図9と同じ測定方法における異なる測定タイミングの状態を示す図である。 試料の試料幅に基づいて発散スリットの実効発散角を求める際の条件を示す図である。 試料の試料幅に基づいて発散スリットの実効発散角を求める際の他の条件を示す図である。 X線照射幅の左右非対称性を示すグラフである。 回折線強度の回折角依存性を示すグラフである。 本発明方法を用いた実験の結果を示すデータ出力である。
符号の説明
1.X線回折装置、 2.発散スリット、 3.試料ホルダ、 4.θ回転台、
5.2θ回転台、 6.検出器アーム、 7.X線管、 8.散乱スリット、
9.受光スリット、 10.X線検出器、 11.開口、 13.θ回転機構、
14.2θ回転機構、 16.非晶質体、 17.制御装置、 20.入力装置、
24.メモリ、 25.バス、 C.試料幅中心、 Cg.ゴニオメータ円、
Cf.集中円、 F.X線源(X線焦点)、 Hr.標準の試料高さ、
Hs.狭い試料高さ、 R.ゴニオメータ半径、 R1.入射X線、 R2.回折線、
S.試料、 W0.X線照射幅、 Wr.標準試料幅、 Ws.狭い試料幅、
θ.X線入射角、 2θ.回折角、 ω.軸線

Claims (9)

  1. X線源から放射されたX線を発散スリットによって規制して試料に照射し、該試料から出た回折線をX線検出手段によって検出するX線回折測定方法において、
    前記発散スリットの発散角は固定値であり、
    前記発散スリットは試料幅方向のX線照射幅を規制するスリットであり、
    前記試料は、その試料幅が標準試料幅よりも狭く、その試料高さが標準試料高さと同じである縦長配置に配置され、
    前記X線検出手段の出力に基づいて求めたX線強度を、試料幅から計算された実効発散角に基づいて補正する
    ことを特徴とするX線回折測定方法。
  2. 請求項1記載のX線回折測定方法において、
    試料の試料幅を「2A」、試料へのX線入射角度を「θ」、ゴニオメータ半径を「R」としたとき、前記実効発散角「β」を、
    tanβ=(sinθ)/(R/2A)
    に基づいて求め、
    前記発散スリットの実際の発散角を「γ」とし、前記X線検出手段の出力に基づいて求めたX線強度をIobs(θ)としたとき、真のX線強度Itru(θ)を、
    tru(θ)=(γ/β)Iobs(θ)
    に基づいて求める
    ことを特徴とするX線回折測定方法。
  3. 請求項1記載のX線回折測定方法において、
    試料の試料幅を「2A」、試料へのX線入射角度を「θ」、ゴニオメータ半径を「R」としたとき、前記実効発散角「β」のうち試料幅中心よりもX線源から遠い側の実効発散角部分「β1」、及び前記実効発散角「β」のうち試料幅中心よりもX線源に近い側の実効発散角部分「β2」を、
    tanβ1=(sinθ)/{(R/A)−cosθ}
    tanβ2=(sinθ)/{(R/A)+cosθ}
    に基づいて求め、
    前記発散スリットの実際の発散角を「γ」とし、前記X線検出手段の出力に基づいて求めたX線強度をIobs(θ)としたとき、真のX線強度Itru(θ)を、
    tru(θ)={γ/(β1+β2)}×Iobs(θ)
    に基づいて求める
    ことを特徴とするX線回折測定方法。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1つに記載のX線回折測定方法において、前記試料から出た回折線は受光スリット及びモノクロメータを通して前記X線検出手段に検出され、前記モノクロメータは前記試料からの回折線を選択的に回折して前記X線検出手段へ導くことを特徴とするX線回折測定方法。
  5. X線を放射するX線源と、
    試料を支持する試料ホルダと、
    前記X線源から放射されたX線の発散を規制して前記試料へ導く発散スリットと、
    前記試料から出た回折線を検出するX線検出手段と、
    前記X線検出手段の出力信号に基づいてX線強度を求めるX線強度演算手段と、を有し、
    前記発散スリットの発散角は固定であり、
    前記発散スリットは前記試料ホルダに支持された試料の試料幅方向のX線照射幅を規制するスリットであり、
    前記試料ホルダは、前記試料を、その試料幅が標準試料幅よりも狭く、その試料高さが標準試料高さと同じである縦長配置に支持し、
    前記X線強度演算手段は、前記X線検出手段の出力に基づいて求めたX線強度Iobs(θ)を、試料の試料幅から計算された実効発散角に基づいて補正して真のX線強度Itru(θ)を求める
    ことを特徴とするX線回折装置。
  6. 請求項5記載のX線回折装置において、
    前記X線強度演算手段は、
    試料の試料幅を「2A」、試料へのX線入射角度を「θ」、ゴニオメータ半径を「R」としたとき、前記実効発散角「β」を
    tanβ=(sinθ)/(R/2A)
    に基づいて演算し、
    前記発散スリットの実際の発散角を「γ」とし、前記X線検出手段の出力に基づいて求めたX線強度をIobs(θ)としたとき、真のX線強度Itru(θ)を、
    tru(θ)=(γ/β)Iobs(θ)
    に基づいて演算する
    ことを特徴とするX線回折装置。
  7. 請求項5記載のX線回折装置において、
    前記X線強度演算手段は、
    試料の試料幅を「2A」、試料へのX線入射角度を「θ」、ゴニオメータ半径を「R」としたとき、前記実効発散角「β」のうち試料幅中心よりもX線源から遠い側の実効発散角部分「β1」、及び前記実効発散角「β」のうち試料幅中心よりもX線源に近い側の実効発散角部分「β2」を、
    tanβ1=(sinθ)/{(R/A)−cosθ}
    tanβ2=(sinθ)/{(R/A)+cosθ}
    に基づいて演算し、
    前記発散スリットの発散角を「γ」とし、前記X線検出手段の出力に基づいて求めたX線強度をIobs(θ)としたとき、真のX線強度Itru(θ)を、
    tru(θ)={γ/(β1+β2)}×Iobs(θ)
    に基づいて演算する
    ことを特徴とするX線回折装置。
  8. 請求項5から請求項7のいずれか1つに記載のX線回折装置において、前記X線強度演算手段は、前記X線検出手段の出力信号を所定のサンプリング時間積分してX線強度Iobs(θ)を求め、さらに1回のサンプリング時間ごとにX線強度Iobs(θ)から真のX線強度Itru(θ)を求め、その真のX線強度Itru(θ)を保存することを特徴とするX線回折装置。
  9. 請求項5から請求項8のいずれか1つに記載のX線回折装置において、前記試料ホルダと前記X線検出手段との間に設けられた受光スリットと、該受光スリットと前記X線検出手段との間に設けられたモノクロメータとを有し、該モノクロメータは前記試料からの回折線を選択的に回折して前記X線検出手段へ導くモノクロメータであることを特徴とするX線回折装置。
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