JP4662370B2 - X線回折測定における角度補正方法及びx線回折装置 - Google Patents

X線回折測定における角度補正方法及びx線回折装置 Download PDF

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Description

本発明は、試料から出射する回折線をX線検出手段によって検出することにより回折線の回折角度及びX線強度を測定するX線回折測定において回折角度を補正するための方法及びその方法を用いたX線回折装置に関する。
X線回折装置においては、試料に入射するX線の入射角度(θ)を所定の角速度で変化させ、同時に、X線検出器の試料に対する回折線検出角度(2θ)をX線入射角度の2倍の角速度で変化させながら、試料から出る回折線をX線検出器によって検出する。上記のX線入射角度(θ)及び回折線検出角度(2θ)を測角するため、ゴニオメータ(測角器)が用いられる。
一般に、ゴニオメータによって測角される回折角には誤差が含まれている。この誤差の中には、X線回折測定に起因して理論的に生じる系統誤差及びゴニオメータごとの機械誤差が含まれる。単に系統誤差と言うと、色々な意味から系統的に生じる誤差(例えば、ゴニオメータの機械系に含まれる系統誤差)と解釈されるおそれがあるが、本明細書で系統誤差と言った場合には、ゴニオメータを用いてX線回折測定を行った際にX線回折の物理的現象に由来して必然的に生じる誤差のことを言うものとし、ゴニオメータにおける部品誤差や組立て誤差のような機械的な誤差に起因して発生する誤差は含まないものとする。
上記の系統誤差は、例えば、非特許文献1の74〜75ページに記載されているように、ゴニオメータの機械的特性(誤差ではない)や試料の特性に起因して生じる回折角度の測定誤差である。一方、機械誤差は、ゴニオメータの部品精度や組立て精度等に起因して生じる回折角度の測定誤差である。系統誤差はゴニオメータが理論そのものではなく機械ものであることに起因して必然的に発生する誤差であり、ゴニオメータをどのように精密に作製しても発生する誤差である。これに対し、機械誤差はゴニオメータの1つ1つの事情に応じて独立に発生する誤差である。
ゴニオメータの測角に誤差が含まれていると、まず第1に、求められた回折角度2θに誤差が含まれる。第2に、X線検出器によって回折線がサンプリングされる際のサンプリング角度に誤差が出るので、サンプリングの結果として求められたX線強度が真値以外に誤差を含むことになる。
上記の系統誤差は、非特許文献1の75ページに記載されているように、
(i)X線源(焦点)が無限小でないこと、(ii)受光スリットが無限小でないこと、(iii)吸収の効果、(iv)水平発散効果、(v)垂直発散効果、(vi)光学系の調整不良等に起因して必然的に生じるものであり、例えば、
Figure 0004662370
によって与えられる誤差である。式(1)に示す系統誤差を含む回折角度は計算によって理論的に補正して正しい回折角度(2θ)とすることができる。
なお、式(1)における各符号は非特許文献1の75ページに記載されている通りであるが、念のために付記すれば、
μ:試料の線吸収係数、R:ゴニオメータの実効半径、t:試料が薄い場合の試料厚さ又は試料が厚い場合の臨界厚さ、ρ:試料結晶の密度、ρ’:粉末試料の密度、β:発散スリットの発散角、2h:焦点、試料、ソーラスリットの有効X線縦長さ、Q(q),Q(q):h,R,δによる定数、δ:垂直発散角、
である。
次に、上記の機械誤差は系統誤差とは無関係に発生する誤差であり、計算によって補正される性質の誤差ではない。従来、非特許文献1の76ページに記載されているように、機械誤差を補正する方法として、外部標準試料による補正及び内部標準試料による補正が知られている。
X線回折ハンドブック、理学電機株式会社発行、1998年2月21日初版発行
現在のところ、上記外部標準試料による補正又は上記内部標準試料による補正を採用することにより、実用上十分な信頼性でX線回折測定を行うことができるのであるが、本発明者はさらに高精度の測定を行うことを目指して研究を行い、上記の機械誤差を系統誤差から分離した上でその機械誤差に対して適宜の処理を施せば適切な補正を行えることを知見した。
本発明は上記の知見に基づいて成されたものであって、ゴニオメータの機械誤差を現在以上に正確に補正することができるX線回折測定方法の角度補正方法を提供することを目的とする。
本発明に係るX線回折測定における角度補正方法は、標準試料に関して回折角度(2θ)ごとの回折線強度(I(2θ))をX線光学系によって求める工程と、前記回折線強度(I(2θ))と前記標準試料の真値の回折線強度(IRtru(2θ))との比較から回折角度(2θ)ごとの誤差(Δ2θ(2θ))を求める工程と、前記誤差(Δ2θ(2θ))及び系統誤差(Δ2θ(2θ))を
Δ2θ=Δ2θ−Δ2θ
の式に代入して回折角度(2θ)ごとの前記X線光学系の機械誤差(Δ2θ(2θ))を求め該機械誤差Δ2θ(2θ))を記憶手段に記憶する工程と、測定試料に関して回折角度(2θ)ごとの回折線強度(I(2θ))を前記X線光学系によって求める工程と、測定試料に関して求めた前記回折角度(2θ)及び前記機械誤差(Δ2θ(2θ))を
2θ=2θ+Δ2θ
の式に代入して校正回折角度(2θ(2θ))を求める工程と、該校正回折角度(2θ(2θ))に基づいて等間隔回折角度(2θ)を設定する工程と、前記測定試料の回折線強度(I(2θ))を前記等間隔回折角度(2θ)に所定配分比で配分する工程とを有することを特徴とする。
この角度補正方法によれば、校正回折角度(2θ(2θ))を求めることにしたので、X線光学系が持っている機械誤差に起因して生じる測角誤差を補償して、正確な回折角度(2θ)を得ることができる。また、校正回折角度(2θ(2θ))に基づいて等間隔回折角度(2θ)を設定すると共に回折線強度(I(2θ))をその等間隔回折角度(2θ)に再配分することにしたので、回折角度誤差を解消した上で観察し易い回折線図形データを得ることができる。この回折線図形データは角度軸(通常は横軸)上のデータが等間隔であるので、回折線図形における角度軸が等角度間隔であることを前提とする多くの解析ソフトに容易に対応できる。
次に、本発明に係るX線回折測定における角度補正方法においては、前記X線光学系における回折角度(2θ)ごとの系統誤差(Δ2θ(2θ))を計算によって求め、該系統誤差(Δ2θ(2θ))を記憶手段に記憶する工程を有することが望ましい。この構成によれば、記憶手段に記憶された系統誤差を利用して演算を行うことが可能となる。
次に、本発明に係るX線回折測定における角度補正方法の他の実施態様では、前記X線光学系の回折角度(2θ)ごとの機械誤差(Δ2θ(2θ))に応じて発生するサンプリング角度の誤差に起因して発生するX線強度値の変動を補正することが望ましい。X線光学系に機械誤差が存在すると、回折角度(2θ)に関して誤差が生じると共に、測定された回折線強度にサンプリング角度の変動に起因する誤差が生じることになる。本実施態様の角度補正方法によれば、回折線強度の誤差を補正できるので、回折角度(2θ)に関する誤差補正との相乗作用により、非常に正確なデータを得ることができる。
次に、本発明に係るX線回折装置は、
試料に対するX線入射角度(θ)を変化させると共に該試料から出射したX線をX線検出手段によって検出できるように該X線検出手段の回折線検出角度(2θ)を変化させるX線光学系と、
前記X線検出手段の出力信号に基づいて回折角度(2θ)ごとの回折線強度(I(2θ))を求めるX線強度演算手段と、
前記X線光学系が持つ機械誤差(Δ2θ)を記憶する機械誤差記憶手段と、
前記X線光学系で測定試料を測定したときの回折角度(2θ)及び前記機械誤差(Δ2θ(2θ))を
2θ=2θ+Δ2θ
の式に代入して校正回折角度(2θ(2θ))を演算する校正角度演算手段と、
前記校正回折角度(2θ(2θ))に基づいて等間隔回折角度(2θ)を決定する等間隔回折角度決定手段と、
前記X線強度(I(2θ))を前記等間隔回折角度(2θ)に所定配分比で配分するX線強度配分手段と
を有することを特徴とする。
上記構成において、「X線光学系」は例えば、X線源、試料支持機構、X線検出器等といったX線光学要素及びそれらのX線光学要素を支持するゴニオメータによって構成される。「X線強度演算手段」は、例えば、X線検出手段の出力信号を受光すると共にその受光したX線量に応じた信号を出力するX線強度検出回路と、X線検出手段がその出力信号を出力したときのX線検出手段の測角角度(すなわち、回折角度)とを関連付ける回路とによって構成される。「機械誤差記憶手段」は、半導体メモリ、機械式メモリ、その他任意の構成のメモリ機器によって構成される。「校正角度演算手段」、「等間隔回折角度決定手段」及び「X線強度配分手段」は、例えば、所定のプログラムソフトに従って動作するコンピュータ、又はコンピュータを用いない電子回路によって構成される。
本発明に係るX線回折装置によれば、校正回折角度(2θ(2θ))を求めることにしたので、X線光学系が持っている機械誤差に起因して生じる測角誤差を補償して、正確な回折角度(2θ)を得ることができる。また、校正回折角度(2θ(2θ))に基づいて等間隔回折角度(2θ)を設定すると共に回折線強度(I(2θ))をその等間隔回折角度(2θ)に再配分することにしたので、回折角度誤差を解消した上で観察し易い回折線図形データを得ることができる。この回折線図形データは角度軸(通常は横軸)上のデータが等間隔であるので、回折線図形における角度軸が等角度間隔であることを前提とする多くの解析ソフトに容易に対応できる。
次に、本発明に係るX線回折装置において、前記機械誤差記憶手段は、回折角度(2θ)と機械誤差(Δ2θ(2θ))とを関連付けて記憶したデータテーブルであることが望ましい。この構成によれば、機械誤差のデータを用いて行われる演算が簡単になる。
次に、本発明に係るX線回折装置は、前記X線光学系に関する系統誤差(Δ2θ(2θ))を記憶する系統誤差記憶手段と、前記X線光学系で標準試料を測定したときに前記X線検出手段の出力信号に基づいて求められたX線強度(I(2θ))と当該標準試料の真値の回折X線強度(IRtru(2θ))との比較から回折角度(2θ)の誤差(Δ2θ(2θ))を求める誤差演算手段と、前記誤差(Δ2θ(2θ))及び前記系統誤差(Δ2θ(2θ))を
Δ2θ=Δ2θ−Δ2θ
の式へ代入して機械誤差(Δ2θ(2θ))を求める機械誤差演算手段とを有する実施態様であることが望ましい。
機械誤差はX線光学系を構成する部品の誤差やそれらの部品を組立てる際の組立て誤差等によって生じる誤差であるので、一律に決まる誤差ではなくX線光学系の個々に対応して個別に決まる誤差である。従って、本実施態様のように系統誤差記憶手段、誤差演算手段及び機械誤差演算手段によって機械誤差を求めることにすれば、X線光学系を用いて行われた測定に関する誤差を正確に補正できる。しかしながら、場合によっては、X線光学系の個々に対していちいち機械誤差を求めるのではなく、X線光学系の種類が決まっているときには一律の機械誤差を用いることを取り決めておいても良い。
本発明に係るX線回折測定における角度補正方法及びX線回折装置によれば、校正回折角度(2θ(2θ))を求めることにしたので、X線光学系が持っている機械誤差に起因して生じる測角誤差を補償して、正確な回折角度(2θ)を得ることができる。また、校正回折角度(2θ(2θ))に基づいて等間隔回折角度(2θ)を設定すると共に回折線強度(I(2θ))をその等間隔回折角度(2θ)に再配分することにしたので、回折角度誤差を解消した上で観察し易い回折線図形データを得ることができる。この回折線図形データは角度軸(通常は横軸)上のデータが等間隔であるので、回折線図形における角度軸が等角度間隔であることを前提とする多くの解析ソフトに容易に対応できる。
以下、本発明に係るX線分析装置を実施形態に基づいて説明する。なお、本発明がこの実施形態に限定されないことはもちろんである。また、これ以降の説明では図面を参照するが、その図面では特徴的な部分を分かり易く示すために実際のものとは異なった比率で構成要素を示す場合がある。
図1は、本発明に係るX線回折装置の一実施形態を示している。ここに示すX線回折装置1は、X線を発生するX線源Fと、X線の発散を規制する発散スリット2と、試料ホルダ3を支持するθ回転台4と、θ回転台4と同軸に設けられた2θ回転台5と、2θ回転台5から延びる検出器アーム6とを有する。X線源F及び発散スリット2は位置不動に固定されている。試料ホルダ3の所定位置に試料Sが詰め込まれている。試料Sは測定対象の試料であったり、シリコン等といった標準試料であったりするが、詳しくは後の説明によって理解される。発散スリット2は、X線源Fで発生したX線が試料Sに入射するようにそのX線の発散を規制するスリットである。
検出器アーム6上には、散乱スリット8、受光スリット9及びX線検出器10が固定して設けられている。θ回転台4にはθ回転機構13が連結している。2θ回転台5には2θ回転機構14が連結している。θ回転機構13及び2θ回転機構14は、それぞれ、θ回転台4及び2θ回転台5を微細な角度精度で回転させるための機構であり、例えば、ウォームとウォームホイールとを含む動力伝達系によってサーボモータ、パルスモータ等といった電動モータの回転を各回転台4,5に伝達する機構とすることができる。
散乱スリット8は、試料以外のところで空気散乱等によって発生した散乱X線がX線検出器10に入るのを防止する。受光スリット9は試料Sで回折したX線が集中する点に設けられ、集中したX線以外のX線がX線検出器10に入るのを防止する。X線検出器10は、例えば0次元X線検出器によって構成されている。0次元X線検出器は、所定の領域で受け取ったX線を受光位置を判別することなく1つの束のX線として検出する。X線検出器10は受光したX線の量に対応して信号を出力し、その出力信号に基づいて強度検出回路15がX線強度を演算する。
0次元X線検出器は、X線を線状領域で検出する1次元X線検出器、例えばPSPC(Position Sensitive Proportional Counter)や、X線を面状領域で検出する2次元X線検出器、例えば面状X線蛍光体を用いたX線検出器を除く意味であるが、1次元X線検出器や2次元X線検出器を0次元X線検出器として用いるのであれば、それらの1次元X線検出器及び2次元X線検出器も0次元X線検出器に含まれるものである。
X線源Fから出て発散スリット2を介して試料Sへ入射するX線Rの入射角を“θ”とする。また、X線検出器10によって検出する回折線Rの回折角度を“2θ”とする。θ回転機構13によってθ回転台4を回転するとX線入射角θが変化する。このθ回転台4の回転を「θ回転」と呼ぶことにする。2θ回転機構14によって2θ回転台5を回転すると回折角度2θが変化する。この2θ回転台5の回転を「2θ回転」と呼ぶことにする。2θ回転台5の2θ回転はθ回転台4のθ回転と同じ方向で2倍の角速度の回転である。
θ回転台4、θ回転機構13、2θ回転台5、2θ回転機構14、検出器アーム6の各要素によって構成される測角機構がゴニオメータである。そして、そのゴニオメータを含みX線源FからX線検出器10に至る光学系、本実施形態ではX線源F、発散スリット2、試料S、散乱スリット8、受光スリット9、X線検出器10、及びゴニオメータを含む光学系がX線光学系である。
X線源F及び受光スリット9は、X線入射角θ及びX線回折角2θが変化する場合、試料Sの表面を通り紙面垂直方向に延びるω軸線を中心とするゴニオメータ円C上に在る。X線源F、試料S、及び受光スリット9の3点は、X線入射角θ及びX線回折角2θが変化する場合、集中円C上に在る。
強度検出回路15から出力されるX線強度信号は制御装置17に入力される。制御装置17は、CPU(Central Processing Unit)、メモリ等を含むコンピュータによって構成されている。θ回転機構13及び2θ回転機構14は制御装置17の出力部に接続されている。また、制御装置17の出力部にプリンタ18及びディスプレイ19が接続されている。
制御装置17は、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)21、ROM(Read Only Memory)22、RAM(Random Access Memory)23、メモリ24、これらの要素を接続するバス25を有する。メモリ24は適宜の記憶媒体、例えば、ハードディスク、CD(Compact Disk)、MO(Magneto-optic)等といった機械式メモリや、半導体メモリ等によって形成できる。CPU21はメモリ24の中に記憶されたプログラムに従って演算及び制御を行う。ROM22には基本的なデータや基本的なオペレーティングシステムが記憶されている。RAM23は各種のデータを一時的に記憶するためのポテンシャルファイルとして機能する。図1に示したθ回転機構13、2θ回転機構14、プリンタ18、ディスプレイ19、強度検出回路15は、図2においてバス25を介して制御装置17に接続されている。
メモリ24の中には、X線回折測定を行うためのプログラムソフトが格納されたファイル27、後述する系統誤差Δ2θを記憶するためのファイル28、後述する総誤差Δ2θを記憶するためのファイル29、後述する機械誤差Δ2θを記憶するためのファイル30が設けられている。
以下、上記構成より成るX線回折装置の動作を説明する。
(一般測定)
まず、一般的な測定手法を説明すれば、図1において、X線入射角度θを初期位置にセットし、回折線検出角度2θをその初期位置の2倍の角度にセットする。次に、θ回転機構13を作動してX線入射角度θが所定の角速度で図1の正時計方向へ増大するように試料Sをω軸線を中心として正時計方向へ回転(いわゆる、θ回転)させる。一方、2θ回転機構14を作動して回折線検出角度2θがX線入射角度θの2倍を維持するように検出器アーム6をω軸線を中心として正時計方向へ回転(いわゆる、2θ回転)させる。
X線入射角度θ及び回折線検出角度2θのそれぞれが初期値から増大する間、X線入射角度θと試料Sとの間でブラッグの回折条件
2dsinθ=nλ
但し、d:格子面間隔、λ:X線の波長、n:反射次数
が満足されるときに試料SでX線が回折し、X線検出器10がその回折線を検出して、検出信号を出力する。この出力信号は強度検出回路15に伝送され、強度検出回路15はその信号に基づいてX線強度を演算する。そのX線強度は制御装置17へ伝送される。制御装置17は、所定のサンプリング時間ごとにX線強度信号を積算し、その積算したX線強度を対応する回折角度2θのX線強度と決定する。こうして、各回折角度2θごとのX線強度I(2θ)が求められる。
なお、回折角度(2θ)、サンプリング時間、サンプリング角度、及びX線強度の関係は次の通りである。図3において、縦軸は測定されたX線強度(I)を示し、横軸は回折角度(2θ)を示している。回折角度2θ(n=1,2…)におけるX線強度Iと言ったときのX線強度は、対応する回折角度2θの前側中央角度値A(n−1)nから後側中央角度値An(n+1)の間の角度範囲内のX線強度の積分値である。例えば、回折角度2θにおけるX線強度は、2θの前側中央角度値A12から後側中央角度値A23までの積分値(斜線で示す面積)である。ここで、A(n−1)n及びAn(n+1)を定量的に示せば、
(n−1)n=2θ−(2θ−2θn−1)/2
n(n+1)=2θ+(2θn+1−2θ)/2
であり、例えばA12及びA23を定量的に示せば、
12=2θ−(2θ−2θ)/2
23=2θ+(2θ−2θ)/2
である。
通常の測定において各回折角度2θに対するX線強度を測定する場合、A(n−1)nからAn(n+1)までの角度範囲がサンプリング角度であり、このサンプリング角度を実現するための走査時間がサンプリング時間tである。通常の測定においてサンプリング時間tは一定時間、例えば1秒に決められている。
以上のようにして求められた回折角度2θごとのX線強度I(2θ)は必要に応じて図1のプリンタ18によって紙等に印字されたり、ディスプレイ19の画面上に映像として表示される。例えば、図4に示すように、バックグラウンドBG上にピークPを有する回折線図形が得られる。図4に示す回折線図形は模式的な一例であり、ピークPは一般的には複数であることが多い。
(測定誤差及びその補正の概要)
以上のようなX線回折測定のサンプリング方法を模擬的に考えると、図5に示すようなカウントデータが得られると考えられる。図5のデータは、サンプリング時間1秒でサンプリング角度0.02°をサンプリングした場合に、回折角度28.08°〜28.10°の角度範囲に高さ1000c/sのピークが測定された状態を示している。回折角度2θに誤差が含まれていないのであれば、次の表1のデータが求められることになり、これは正しいデータである。
Figure 0004662370
しかしながら、図1に示したX線光学系によって測角される回折角度2θにはゴニオメータを構成する部品の誤差や、各部品を組み立てる際の組立て誤差に起因する誤差(いわゆる機械誤差)が含まれることがある。このような誤差が含まれる場合、図5に示したサンプリングデータは、例えば図6に示すように、サンプリング時間が1秒であってもサンプリング角度が0.02°でなくなる場合(図6では0.02°よりも大きくなっている)がある。例えば、サンプリング角度の誤差が±(1/1000°)であれば、測定される角度は次の表2のようになる。
Figure 0004662370
また、サンプリング角度に誤差があるとき、測定されたX線強度には誤差が含まれる。例えば、本来であればサンプリング時間1秒でサンプリング角度0.02°を走査すべきであるところ、機械誤差の影響によりサンプリング角度0.021°を走査してしまった場合には、所定のピーク領域を所定の走査時間よりも(20/21)秒だけ短い時間で通過していることになるので、次の表3の「強度I」の項に示してあるように、
(21−20)/20×100=5(%)
の強度ダウンを演算する結果になる。正確な測定結果を得たい場合にはこの強度ダウンを補正しなければならない。表3の「時間補正強度I」の項は測定された強度を補正して正確な強度値である「500」を求めることを示している。
Figure 0004662370
(測定誤差及びその校正の詳しい説明)
以下、本実施形態のX線回折測定において生じる誤差及びその校正方法について詳しく説明する。これからの説明では「系統誤差」及び「機械誤差」の文言を使うが、先ず、これらについて説明する。
(i)系統誤差
系統誤差とは、X線回折測定における条件、例えばX線源が無限小でないこと、スリットが無限小でないこと、試料に厚みがあること等に起因して理論的に生じる誤差である。この系統誤差は、例えば既述の式(1)によって表されるものである。この系統誤差は理論式に基づいて計算によって補正できる。
(ii)機械誤差
系統誤差以外の誤差として機械誤差がある。機械誤差は、ゴニオメータの部品精度や組立て精度等に起因して生じる回折角度の測定誤差である。機械誤差はゴニオメータの1つ1つの事情に応じて個別に発生する誤差である。この機械誤差は、上記の系統誤差のような理論式に基づいて補正できる性質の誤差ではない。
(iii)総誤差
上記系統誤差と上記機械誤差を足し合わせた誤差を総誤差と言うことにする。
以下、誤差の求め方及び誤差の校正の仕方を、図7に示すフローチャートを参照して説明する。このフローチャートで示す機能は図2のメモリ24に記憶されたX線回折測定プログラム27によって実現される機能である。先ず、ステップS1において系統誤差を求めるか否かが判断される。系統誤差は個々のゴニオメータに関して決まっているものなので、その系統誤差が既に分かっている場合には、その既知の系統誤差を図2のメモリ24内の系統誤差ファイル28内に予め記憶しておく。系統誤差が分かっていない場合には、ステップS2において系統誤差を求め、その結果を系統誤差ファイル28に記憶する。系統誤差Δ2θは既述した式(1)に基づいて計算によって求めることができる。
次に、ピーク位置が既知である標準試料、例えばシリコンを図1のθ回転台4上に装着する。そして、ステップS3において、図1のX線回折装置1を用いて測定を行って標準試料についての回折線図形I(2θ)(すなわち、回折角度(2θ)の変化に対応した回折線強度Iの変化を示す図形)を求める。
次に、今求めた実測回折線図形I(2θ)と、標準試料に関して既知である文献値としての回折線図形IRtru(2θ)とを比較して、回折角度2θの誤差を求める処理をステップS4において行う。ここで求められる誤差は系統誤差及び機械誤差の両方を含む誤差、すなわち総誤差Δ2θである。例えば,総誤差Δ2θは図8に示すような回折角度2θごとのΔ2θ値として求められる。図8では4本の線が描かれているが、これらは、同じゴニオメータを用いて同じ試料に対して4回の測定を行った場合の測定結果を示している。このように複数の測定線を求めるのはデータの確実性又は再現性を確保するためであり、実際にΔ2θ値として使うのは、これら4本からの代表値、例えば平均値や中間値である。求められた総誤差Δ2θは、必要に応じて図2の総誤差ファイル29内に記憶される。
図1に示す本実施形態のX線回折装置1のX線光学系が持っている機械誤差Δ2θは、上記の総誤差Δ2θから系統誤差Δ2θを引いた値であるので、ステップS5において、
Δ2θ=Δ2θ−Δ2θ
の式に基づいて、機械誤差Δ2θを計算によって求める。この機械誤差Δ2θは、例えば図9に示すような回折角度2θごとのΔ2θとして求められる。この機械誤差Δ2θは、必要に応じて図2の機械誤差ファイル30内に記憶される。以上の一連の工程は測定対象である試料(以下、測定試料という)に対する測定を行う前に行われる。
次に、ステップS6において測定の指示がなされたか否かが判断される。測定の指示が成されていれば、ステップS7へ進んで、図1のX線回折装置1を作動させて回折角度2θごとの回折線強度I(2θ)を求める。例えば、図10の上段に示すように2θ(n=1,2…)に対する回折線強度Iを求める。回折線強度Iは2θの前側中央値A(n−1)nから後側中央値An(n+1)までの角度範囲内の積分値である。
次に、ステップS8において、測定された回折角度2θを校正する指示が成されたか否かが判断され、成されていればステップS9へ進んで回折角度2θを校正する。具体的には、求められた回折角度2θにステップS5で求めた機械誤差Δ2θを加算(除算を含む)することにより、校正された回折角度2θを求める(図10の中段を参照)。これにより、回折線図形における角度軸を真の値に校正できる。しかしながら、このように角度軸を機械誤差Δ2θに基づいて校正すると、角度軸における回折角度2θKn(n=1,2,3…)の角度間隔が不均一、すなわち不等間隔になる。
図10及び表4は同じ測定結果データを、一方はタイミングチャートで示し、他方は表の形で示したものである。例えば、図10及び表4に示すように、
2θ=28.10°、28.12°,28.14°,28.16°,18.18°、……
を考えるとき、校正回折角度2θは、
2θ=28.050°,28.069°,28.090°,28.111°,28.130°,……
のように校正される。この校正回折角度2θが、機械誤差を補償した後の真の回折角度である。従って、ステップS9までの処理により、正しい回折角度に対する正しい回折線強度値が求められたこと、すなわち測定データの角度軸が校正されたことになる。
Figure 0004662370
しかしながら、ステップS9によって求められた校正回折角度2θは真の回折角度であるものの、各校正回折角度2θの角度間隔は均一でない不等間隔になるところが生じる(表4の「校正」の項及び図10の中段を参照)。このように角度軸が不等間隔になると、横軸に角度軸をとり縦軸に回折線強度をとったグラフである回折線図形が見難くなり、正確な観察ができなくなるおそれがある。また、測定された回折線図形に基づいて各種の解析を行うプログラムソフトの多くは、角度軸の角度間隔が等間隔であることを前提にしている。この前提に応えるため、本実施形態では、ステップS10の等間隔回折角度2θの決定、及びステップS11の回折線強度の再配分の2つの処理により、等間隔の回折角度2θを基準とする回折線強度データI(2θ)を得ている。
具体的には、ステップS10において、図10及び表4に示すように、等間隔回折角度2θ、例えば
2θ=28.06°,28.08°,28.10°、28.12°,28.14°,…
を設定する。そしてさらに、ステップS11において、各回折角度2θTn(n=1,2…)に関して前側配分比dna及び後側配分比dnbを所定の規則に従って決め、測定されたX線強度Iをそれらの配分比によって該当する回折角度2θTnに配分する。これにより、測定されたX線強度が等間隔回折角度2θに適切に割り振られ、機械誤差に起因する誤差成分を除去した正確な回折線図形I(2θ)が得られる。
ステップS10(等間隔回折角度の設定)及びステップS11(X線強度の再配分)の各工程の理解を助けるために具体例を説明する。図10及び表4において
2θ=28.10°、28.12°,28.14°,28.16°,18.18°,…
を考える。2θ=28.14の所にI=952カウントが得られ、その他の角度値では強度0(ゼロ)であったとする。なお、“952”のカウント値は図6に関して説明したように、本来であればサンプリング角度0.02°で捉えられるところゴニオメータの機械誤差のためにサンプリング角度0.021°で捉えられたものであり、真正な強度値ではない。真正な強度値は
952×(21/20)=1000(カウント)
である。しかしながら、ステップS10及びS11を説明する現在の段階では、X線強度は“952”であるものとして話を進める。
上記の2θを2θ=2θ+Δ2θmに従って校正すると、
2θ=28.050°,28.069°,28.090°,28.111°,28.130°,…
が得られる。校正後の2θK2=28.069の強度Iは、下記の前側中央値AK12〜後側中央値AK23の領域の積分強度である。
AK12=28.069−(28.069−28.050)/2
=28.069−0.019/2
=28.0595
AK23=28.069+(28.090−28.069)/2
=28.069+0.021/2
=28.0795
また、校正後の2θK3=28.090の強度Iは、下記の前側中央値AK23〜後側中央値AK34の領域の積分強度である。
AK23=28.090−(28.090−28.069)/2
=28.090−0.021/2
=28.0795
AK34=28.090+(28.111−28.090)/2
=28.090+0.021/2
=28.1005
等間隔に変換後の2θT2=28.08°の強度IT2は前側中央値AT12=28.07°〜後側中央値AT23=28.09°の領域の積分強度である。AT12=28.07°はAK12とAK23の間にあり、AT23=28.09°はAK23とAK34の間に位置するので、強度IT2は以下のI+Iで計算できる。
=強度I×配分比
=0×(28.0795−28.07)/28.0795−28.0595)
=0×0.0095/0.02
=0
=強度I×配分比
=952×(28.09−28.0795)/(28.1005−28.0795)
=952×0.0105/0.021
=476
+I=0+476=476
以上により、2θT2=28.08°の前側配分比d2aは0.0095/0.02=0.475であり、後側配分比d2bは0.0105/0.021=0.500である。そして、2θT2=28.08°の強度は476(再配分)となる。そして同様にして、2θT3=28.10°の強度は476となる。強度の合計は476+476=952であり、表4に示した合計の測定強度(測定:SUM)に一致する。これにより、等間隔データに強度が再配分されたことが確認できる。
次に、図7のステップS12において強度補正をすべき指示がなされたかどうかが判断される。その指示がなされていれば、ステップS13へ進んで強度補正を行う。この強度補正について説明すれば次の通りである。
表4において測定時の強度が“952”であって真の強度“1000”にならないのは、計数時間の歪のためである。2θK3=28.090°(校正)の所の強度はΔ2θ=0.02の角度に相当する計数時間でΔ2θ=0.021分の積分をしており、“1”であるべき計数時間が0.020/0.021=0.952となり、実際の計数時間が短くなっている。従って、この逆数を測定された強度に掛ければ正しい強度が得られる。つまり、2θK3の所の強度Iの時間歪を補正すれば、
=952×(21/20)=1000
となり、元の正しい強度になる。
強度を再配分して得られた等間隔データも同様な補正を行って、
2θT2=28.08°における強度IT2=476×(21/20)=500
2θT3=28.10°における強度IT3=476×(21/20)=500
となる。
以上により回折線図形の角度軸(2θ)が等間隔に校正され、さらにサンプリング角度の歪により発生した読取り強度(I)の誤差が補正された後、必要に応じて図7のステップS14〜S15において図2のディスプレイ19の画面上に測定結果及び校正結果を表示する。さらに、ステップS16〜S17においてプリンタ18によって測定結果及び校正結果を紙等に印字する。測定を終了する指示が成されない間は以上のステップが繰り返して実行され(ステップSS18で「NO」)、終了の指示が成されると制御を終了する(ステップS18で「YES」)。
図11は、測定データを補正した後の補正データを回折線プロファイルとして示す図である。具体的には、図7の等間隔回折角度2θの設定(ステップS10)、強度の再配分(ステップS11)及び強度補正(ステップS13)の各処理を行った後の回折線プロファイルを示している。図において、破線は補正前の回折線プロファイルを示し、実線は補正後の回折線プロファイルを示している。補正処理により、回折角度2θが低角度側へシフトしている。
以上、好ましい実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はその実施形態に限定されるものでなく、請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々に改変できる。
例えば、図1に示した実施形態では試料Sをθ回転させ、X線検出器10を同じ方向へ2倍の角速度で2θ回転させる構造のX線回折装置に本発明を適用したが、本発明は、それ以外の構造のX線回折装置、例えば、X線源Fを反時計方向へθ回転させ、X線検出器10を正時計方向へ同じ角速度で2θ回転させる構造のX線回折装置にも適用できる。
本発明に係るX線回折装置の一実施形態を示す平面図である。 図1の実施形態の制御系を示すブロック図である。 図1の装置を用いて行う測定手法を説明するためのグラフである。 図1の装置を用いて行った測定の結果の一例である回折線図形を示すグラフである。 図1の装置を用いて行った測定の結果を模式的に示す図である。 図1の装置を用いて行った測定の結果を模式的に示す図であって、角度軸に誤差が生じたことを示す図である。 図2の制御系によって実現される機能を示すフローチャートである。 図1の装置を用いて行った測定において発生する総誤差を示すグラフである。 図1の装置を用いて行った測定において発生する機械誤差を示すグラフである。 本発明に従って行われる誤差補正及び強度補正を示すタイミングチャートである。 測定データを校正した後の校正データの一例を回折線プロファイルとして示す図である。
符号の説明
1.X線回折装置、 2.発散スリット、 3.試料ホルダ、 4.θ回転台、
5.2θ回転台、 6.検出器アーム、 8.散乱スリット、 9.受光スリット、
10.X線検出器、 15.強度検出回路、 24.メモリ、 25.バス、
.ゴニオメータ円、 C.集中円、 F.X線源、 R.入射X線、
.回折線、 S.試料、 θ.X線入射角、 2θ.X線検出角度(回折角度)

Claims (6)

  1. 標準試料に関して回折角度(2θ)ごとの回折線強度(I(2θ))をX線光学系によって求める工程と、
    前記回折線強度(I(2θ))と前記標準試料の真値の回折線強度(IRtru(2θ))との比較から回折角度(2θ)ごとの誤差(Δ2θ(2θ))を求める工程と、
    前記誤差(Δ2θ(2θ))及び系統誤差(Δ2θ(2θ))を
    Δ2θ=Δ2θ−Δ2θ
    の式に代入して回折角度(2θ)ごとの前記X線光学系の機械誤差(Δ2θ(2θ))を求め該機械誤差(Δ2θ(2θ))を記憶手段に記憶する工程と、
    測定試料に関して回折角度(2θ)ごとの回折線強度(I(2θ))を前記X線光学系によって求める工程と、
    測定試料に関して求めた前記回折角度(2θ)及び前記機械誤差(Δ2θ(2θ))を
    2θ=2θ+Δ2θ
    の式に代入して校正回折角度(2θ(2θ))を求める工程と、
    該校正回折角度(2θ(2θ))に基づいて等間隔回折角度(2θ)を設定する工程と、
    前記測定試料の回折線強度(I(2θ))を前記等間隔回折角度(2θ)に所定配分比で配分する工程と、
    を有することを特徴とするX線回折測定における角度補正方法。
  2. 請求項1記載の角度補正方法において、前記X線光学系における回折角度(2θ)ごとの系統誤差(Δ2θ(2θ))を計算によって求め、該系統誤差(Δ2θ(2θ))を記憶手段に記憶する工程を有することを特徴とするX線回折測定における角度補正方法。
  3. 請求項1又は請求項2記載の角度補正方法において、前記X線光学系の回折角度(2θ)ごとの機械誤差(Δ2θ(2θ))に応じて発生するサンプリング角度の誤差に起因して発生するX線強度値の変動を補正することを特徴とするX線回折測定における角度補正方法。
  4. 試料に対するX線入射角度(θ)を変化させると共に該試料から出射したX線をX線検出手段によって検出できるように該X線検出手段の回折線検出角度(2θ)を変化させるX線光学系と、
    前記X線検出手段の出力信号に基づいて回折角度(2θ)ごとの回折線強度(I(2θ))を求めるX線強度演算手段と、
    前記X線光学系が持つ機械誤差(Δ2θ)を記憶する機械誤差記憶手段と、
    前記X線光学系で測定試料を測定したときの回折角度(2θ)及び前記機械誤差(Δ2θ(2θ))を
    2θ=2θ+Δ2θ
    の式に代入して校正回折角度(2θ(2θ))を演算する校正角度演算手段と、
    前記校正回折角度(2θ(2θ))に基づいて等間隔回折角度(2θ)を決定する等間隔回折角度決定手段と、
    前記X線強度(I(2θ))を前記等間隔回折角度(2θ)に所定配分比で配分するX線強度配分手段と
    を有することを特徴とするX線回折装置。
  5. 請求項4記載のX線回折装置において、前記機械誤差記憶手段は、回折角度(2θ)と機械誤差(Δ2θ(2θ))とを関連付けて記憶したデータテーブルであることを特徴とするX線回折装置。
  6. 請求項4又は請求項5記載のX線回折装置において、
    前記X線光学系に関する系統誤差(Δ2θ(2θ))を記憶する系統誤差記憶手段と、
    前記X線光学系で標準試料を測定したときに前記X線検出手段の出力信号に基づいて求められたX線強度(I(2θ))と当該標準試料の真値の回折X線強度(IRtru(2θ))との比較から回折角度(2θ)の誤差(Δ2θ(2θ))を求める誤差演算手段と、
    前記誤差(Δ2θ(2θ))及び前記系統誤差(Δ2θ(2θ))を
    Δ2θ=Δ2θ−Δ2θ
    の式へ代入して機械誤差(Δ2θ(2θ))を求める機械誤差演算手段と、
    を有することを特徴とするX線回折装置。
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