JP2690446B2 - 非晶質シリコン薄膜トランジスタの製造法 - Google Patents

非晶質シリコン薄膜トランジスタの製造法

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JP2690446B2
JP2690446B2 JP5185051A JP18505193A JP2690446B2 JP 2690446 B2 JP2690446 B2 JP 2690446B2 JP 5185051 A JP5185051 A JP 5185051A JP 18505193 A JP18505193 A JP 18505193A JP 2690446 B2 JP2690446 B2 JP 2690446B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、非晶質シリコンを用い
たトランジスタ及びその製造法に関する。 【0002】 【従来の技術】最近、水素化非晶質シリコン(a−S
i:H)を用いた薄膜トランジスタ(TFT)が液晶素
子駆動用のトランジスタとして有用である事がP.G.
LeComber等によって提示されたElectro
nic Letters6,179〜181(197
9)。 【0003】その構造は、基板上に、ゲート電極、該ゲ
ート電極を覆う様に設けられた窒化シリコンから成る絶
縁層及び該層上にa−Si:Hから成る半導体層、該半
導体層上に並置してアルミニウムから成るソース電極及
びドレイン電極とを設けたものである。 【0004】この様な構造のa−Si:H−TFTはゲ
ート電極に一定電圧(V)を印加し、ソース電極とド
レイン電極間の電圧(V)を変化させた際のソース電
極とドレイン電極間を流れる電極(I)は、Vが小
さい領域で殆んど変わらず、増加する傾向を示さない。
即ち、所謂V−I特性がVの小さい領域に於い
て、線型的にならずにV−I特性曲線が歪んだもの
と成り好ましいトランジスタ特性を示さない。これ等
は、a−si:Hから成る半導体層と電極との間に充分
なるオーミック接触が形成されていない事に起因してい
る。 【0005】 【課題を解決するための手段及び作用】本発明は、斯か
る点に鑑み成されたものであって、V−I特性曲線
に歪みのない好ましいトランジスタ特性を示す非晶質シ
リコン(a−Si)TFTの製造法を提供することを目
的とする。 【0006】本発明の非晶質シリコン薄膜トランジスタ
の製造法は、ゲート電極を有する基板を減圧し得る堆積
室内に配置し、該堆積室内を排気して所望の真空度とし
て前記堆積室内に配置された基板上の少なくとも前記ゲ
ート電極上に絶縁層及び非晶質シリコン層をこの順に形
成した後、n+層を介して前記非晶質シリコン層に電気
的に接続されるソース電極及びドレイン電極を形成する
こと、を有する非晶質シリコン薄膜トランジスタの製造
法であって、前記絶縁層はプラズマCVD法による窒化
シリコン層により前記ゲート電極を覆うように形成さ
れ、前記非晶質シリコン層はシリコン原子を含有するガ
スと水素ガスを含む雰囲気とした該堆積室内でグロー放
電を生起させて形成されるとともに、前記絶縁層を大気
に晒すことなく前記非晶質シリコン層が形成されること
を特徴とする。 【0007】本発明の非晶質薄膜トランジスタの製造法
においては、シリコン原子を含有するガスを水素ガスに
より希釈して堆積室内に導入し、グロー放電を生起させ
て水素化非晶質シリコンからなる半導体層を形成するた
め、半導体層は水素により十分ダングリングボンドが補
償された欠陥の極めて少ないものとなり、得られるトラ
ンジスタは非常に優れた特性を示す。 【0008】本発明においては、更に、減圧にし得る堆
積室に設置され、ゲート電極と電気的な絶縁層とが形成
されてある非晶質シリコン薄膜トランジスタ形成用の基
板上で、且つ前記絶縁上に前記堆積室内を所定の真空度
に成して水素化又は/及び弗素化非晶質シリコンから成
る半導体層を形成した後、引続き、非晶質シリコンを母
体とするn層を形成する事;該n層を2つの互いに
離隔された第1のn層と第2のn層とに分離する
事;その後、前記第1のn層にソース電極を前記第2
のn層上にドレイン電極を形成する事;を行なえばよ
り好ましい。 【0009】本発明の方法を適用することにより、例え
ば、水素化又は/及び弗素化非晶質シリコンからなる半
導体層、該半導体層に接して設けた電気的な絶縁層、該
絶縁層に接し、且つ前記半導体層とは反対側に配置させ
たゲート電極、前記半導体層をはさんで前記ゲート電極
とは反対側に、互いに離隔されて並列的に配置された非
晶質シリコンを母体とした第1のn層及び第2のn
層、該第1のn層に接して設けたソース電極、前記第
2のn層に接して設けたドレイン電極、とを有する非
晶質シリコン薄膜トランジスタであって、前記ゲート電
極が前記第1のn層と第2のn層とにまたがって重
なりを形成するゲート電極幅をもち、前記半導体層がド
ーピング材料によりドーピングされていないノンドープ
半導体層からなり、且つ前記ゲート電極幅にわたって設
けられている非晶質薄膜トランジスタを製造できる。 【0010】以下、本発明を図面に従って具体的に説明
する。 【0011】図1は、本発明の方法によって得られる非
晶質シリコン薄膜トランジスタの1例を示す模式的な斜
視部分図である。 【0012】図1には、水素化又は/及び弗素化非晶質
シリコンからなる半導体層、該半導体層に接して設けた
電気的な絶縁層、該絶縁層に接し、且つ前記半導体層と
は反対側に配置させたゲート電極、前記半導体層をはさ
んで前記ゲート電極とは反対側に、互いに離隔されて並
列的に配置された非晶質シリコンを母体とした第1のn
及び第2のn層、該第1のn層に接して設けたソ
ース電極、前記第2のn層に接して設けたドレイン電
極、とを有する非晶質シリコン薄膜トランジスタであっ
て、前記ゲート電極が前記第1のn層と第2のn
とにまたがって重なりを形成するゲート電極幅をもち、
前記半導体層がドーピング材料によりドーピングされて
いないノンドーブ半導体層からなり、且つ前記ゲート電
極幅にわたって設けられている非晶質薄膜トランジスタ
が示されている。 【0013】図1に示されるa−Si−TFT100
は、ガラス、セラミックス等から成る基板106上に、
ゲート電極101、該ゲート電極101を覆う様に電気
的な絶縁層104及び水素化又は/及び弗素化非晶質シ
リコンから成る半導体層105を順次積層して形成さ
れ、半導体層105の面108上には並置的関係で離隔
されて、第1のn層107−1、第2のn層107
−2が設けられ、更に、第1のn層107−1上には
ソース電極102、第2のn層107−2上にはドレ
イン電極103が各々設けられた構造を有した構成とさ
れてある。 【0014】半導体層105上の表面(クリーンサーフ
ェス)108に接触して設けられる第1のn層107
−1及び第2のn層107−2は、半導体層105を
形成した後、該層表面108を大気又は酸素に晒すこと
なく形成されている。シリコン原子を含有するガスを水
素ガスにより希釈して堆積室内に導入して、グロー放電
を生起させて半導体層105を形成することに加え、こ
のようにすることにより非常に優れた特性を有するトラ
ンジスタが得られる。 【0015】この様に、半導体105の表面108が層
形成直後のクリーンな状態の中に、n層を形成する事
によって半導体層105とn層107との界面に於い
て、良好なオーミック接触が形成され、V−I特性
曲線に歪みのない優れたトランジスタ特性を示すa−S
i−TFTが得られる。 【0016】本発明に於いて、ゲート電極101、ソー
ス電極102及びドレイン電極103の各電極を構成す
る材料としては、Al,Au又はこれ等の合金Mo,P
t,Pd等が有効なものとして使用され得、各電極の層
厚としては通常0.01〜0.02μとされ、真空蒸着
法等の通常の電極形成法に従って形成される。 【0017】電気的な絶縁層104は、スパッタ法によ
るSiO膜、グロー放電堆積法による窒化シリコン膜
等で構成され、この外、Al等も有効な材料とし
て使用される。 【0018】半導体層105及びn層107は、H又
は/及びFでダングリングボンド(不飽和電子対)が補
償された非晶質シリコンを母体として形成される。 【0019】上記の補償された非晶質シリコンの形成に
は、水素又は/及び弗素とシリコンとの化合物を使用し
所謂グロー放電分解法に従って行われる。 【0020】本発明に於いて、使用される水素又は/及
び弗素とシリコンとの化合物としては、シラン類、弗化
シラン類、弗化シリコン類等で比較的容易にガス状態に
成り得るものが好ましい材料として挙げられ、その中で
例えば、SiH,Si,SiF等が殊に有効
なものとして挙げる事が出来る。 【0021】これ等の化合物は、半導体層及びn層を
形成する際にHガスを稀釈ガスとして所定の稀釈度合
いでガス状態で減圧にし得る堆積室内に所定の圧力の下
に導入される。 【0022】n層を形成する際には、上記の化合物の
他にドーパント導入用の化合物として、燐と水素との化
合物又は/及び砒素と水素との化合物を堆積室内に共存
させてグロー放電を起してn層を形成する。この時形
成される層には、ドーパント導入用化合物の堆積室内へ
の導入量及び共存割合に従ってドーパントとしての燐又
は/及び砒素が導入され、n層特性の強弱が制御され
る。 【0023】本発明において、有効に使用される燐と水
素との化合物としては、具体的には例えばPHが、砒
素と水素との化合物としてはAsHを挙げる事が出来
る。この他、容易にガス化し得る化合物であれば、分子
量の大きいものも採用し得るものである。 【0024】本発明に於いて、その目的を効果的に達成
する為には、n層107を形成る際に、既に形成され
てある半導体層105の表面を例えば堆積室内の真空を
破る等して大気に晒す様なことはせず、形成直後の新鮮
な状態の表面にn層を形成するのが望ましい。 【0025】更には、n層107の形成に際し、母体
ガスとしてのシリコンと水素又は/及び弗素との化合物
とドーパント導入用のガスとしてのドーパントガスであ
るシリコンと燐の化合物又は/及びシリコンと砒素との
化合物の堆積室内への導入の割合を正確に制御する必要
がある。本発明におけるその割合は、シリコンと水素の
化合物を母体ガスとして使用する場合には、母体ガスに
対してドーパントガスを通常は50〜5×10pp
m、好適には10〜10ppmとされるのが望まし
いものである。シリコンと弗素との化合物を母体ガスと
して使用する場合には、母体ガスに対してドーパントガ
スは通常30〜3×10ppm、好ましくは50〜1
ppmの割合で混合されるのが望ましいものであ
る。 【0026】この様な混合割合に従って、所定量のガス
をグロー放電を生起させる堆積室内に導入して共存させ
ることで形成された雰囲気中でグロー放電を生起させ、
該グロー放電を利用して前記の半導体層105の新鮮な
表面上に直に第1のn層107−1と第2のn層1
07−2とを離隔させて並置的関係に設けることによ
り、良好なトランジスタ特性を示す非晶質シリコンTF
Tを得ることが出来る。 【0027】半導体層105を形成する際の母体ガスと
しての水素又は/及び弗素とシリコンの化合物はそれ等
だけで堆積室内に存在させてもよいが、好ましくはHe
ガス又は/及びHガスによって稀釈されて堆積室内に
存在させられる。この際の稀釈ガスとしての割合は、水
素とシリコンの化合物からなる母体ガスに対して、通常
は99.9:1〜1:9、好適には99:1〜7:3と
されるのか望ましいものである。また弗素とシリコンの
化合物からなる母体ガスに対して、通常は2:1〜5
0:1、好適には5:1〜20:1とされるのが望まし
いものである。 【0028】本発明においては、稀釈ガスとしては、殊
にHガスが好ましいものとして挙げる事が出来る。殊
に、弗素とシリコンとの化合物を使用する場合には、H
ガスを稀釈ガスとして使用する方が良い結果を得るこ
とが出来る。 【0029】上記の層作成条件の他、形成される半導体
層105の特性に及ぼす重要な因子としては、特に基板
温度、層形成時の圧力、及びグロー放電電力を挙げる事
が出来る。 【0030】これ等の因子は、本発明に於いては、その
目的をより効果的に達成する為に、次の数値範囲内に制
御されて、層形成が成される。 【0031】水素化非晶質シリコン(a−Si:H)の
場合には基板温度として通常は100℃〜300℃、全
圧力としては通常0.10〜1.0Torr、放電電力
としては通常0.005〜0.1W/cmとされるの
が望ましい。 【0032】弗素化非晶質シリコン(a−Si:F)、
及び水素弗素化非晶質シリコン(a−Si:F,H)で
は基板温度は通常200℃〜500℃、全圧力は通常
0.10〜1.0Torr、放電電力は通常0.1〜1
W/cmとされるのが望ましい。 【0033】本発明においては、形成されるn層10
7の比抵抗値はより効果的に本発明目的を達成する為に
10Ωcm以下にされるのが望ましいものである。 【0034】この様にn層107の比抵抗値を10
Ωcm以下とするには、前記の層形成条件の他に基板温
度、全ガス圧力、グロー放電電力の条件を正確に設定し
て行う必要がある。その様な条件は、シリコンと水素の
化合物を母体ガスに使用する場合には基板温度として
は、通常100℃〜300℃、全圧力としては通常0.
10〜1.0Torr、放電電力としては通常0.01
〜0.1W/cmの範囲を好ましいものとして挙げる
ことが出来る。 【0035】母体ガスとして、シリコンと弗素との化合
物を使用する場合には、基板温度としては、通常200
℃〜500℃、全ガス圧力としては通常0.10〜1.
0Torr、放電電力としては通常0.1〜1W/cm
の範囲内で制御する必要がある。 【0036】n層を形成する際に、母体ガスとしての
シリコンと水素との化合物又は/及びシリコンと弗素と
の化合物と、ドーパントガスとしてのシリコンと燐との
化合物又は/及びシリコンと砒素との化合物の他に望ま
しくは稀釈ガスとしてHe,H等のガスを用いて所定
の割合に稀釈するのが好ましいものであり、殊にH
スの使用は良好な結果を得ることが出来、好ましいもの
である。 【0037】この際、稀釈ガスの混合割合は、水素とシ
リコンの化合物からなる母体ガスに対しては稀釈ガス以
外の残余ガスの割合との比で、通常は99.9:1〜
1:9、好ましくは99:1〜7:3とされるのが望ま
しいものである。 【0038】また弗素とシリコンの化合物からなる母体
ガスに対しては、稀釈ガス以外の残余ガスの割合との比
で2:1〜50:1、好ましくは5:1〜20:1とさ
れるのが望ましいものである。 【0039】半導体層105及びn層の層厚としては
所望されるトランジスタ特性が得られる様に所望に従っ
た設計に基づいて適宜決定されるものであるが、半導体
層105は通常500Å〜5μ、好ましくは1000Å
〜1μとされn層107は通常200Å〜0.2μ、
好ましくは500Å〜1000Åとされるのが望ましい
ものである。 【0040】以上の説明及び以下の実施例においては、
いわゆるスターガー型の構造のTFTにおいて記してい
る。 【0041】 【実施例】実施例1 図1に示す層構成で、以下のA〜Dの4種類の試料を作
成して、各々のトランジスタ特性を測定した。 【0042】(試料A) 図1の構造に於いて、n層107のないもの (試料B) 図1の構造において、半導体層105を形成した後、該
層105の表面を大気に晒し、その後に、その表面上に
直にn層107を設けたもの (試料C) 図1の構造において、半導体層105を形成した後、該
層105の表面を大気に晒さないが、グロー放電を一旦
止め、その後に、前記表面上に直にn層107を形成
したもの (試料D) 図1の構造において、グロー放電を止めることなく(略
々一定の放電電圧を維持した状態で)半導体層105と
層107とを連続的に形成したもの (その他の共通の条件及び作成手順) 基板106は厚さ1.2mm、大きさ70×70mmの
コーニング社製7059ガラスを用いた。該ガラス基
板は中性洗剤を用い超音波洗滌を30分行い、次いで蒸
留水、イオン交換水の順に充分洗滌したのち真空赤外乾
燥機にて充分乾燥した。続いて弗酸、硝酸、酢酸が1:
1:80の割合で混合された液により15sec間エッ
チングを施したのち酢酸、水により充分洗滌し、引続き
イソプロパノールで超音波洗滌を30分行い真空赤外乾
燥機で乾燥させて表面を清浄化処理した。このように表
面化処理したガラス基板106上にアルミニウムを圧力
1.5×10−4Paの下で真空蒸着しガラス基板10
6上に一様に1500Å付着させた後、幅200μ、長
さ20mmのゲート電極を形成させるため電極のパター
ニング、エッチングをAZ1350J(Ship−le
y社製)のフォトレジストを用い通常の方法で行った。 【0043】パターニングされたアルミニウムゲート電
極上に図2に示される装置を用い以下の様にして絶縁層
104としての窒化シリコン層を形成した。 【0044】前記の様にゲート電極101の形成された
ガラス基板106を厚さ0.5cm、大きさ20cmφ
のSUS 304製の基板ホルダに装填して、堆積室2
01内に配設されてある、加熱機構及び上下動機構を有
する大きさ20cmφのSUS 304製のアノード電
極202の所定位置に堅固に固定した。 【0045】又、厚さ3mm、大きさ17cmφのSU
S 304製のカソード電極203上には、厚さ3m
m、大きさ17cmφの、前記ガラス基板と同様に清浄
化処理を施した石英板205を設置した。 【0046】次に、ヒーター204をON状態にして、
ガラス基板を均一にして250〜260℃に保温し乍
ら、堆積室201内をB−Aゲージ(ANELVA製)
の指示が圧力1.0×10−4Paになるまで排気し
た。 【0047】この時、ストップバルブ209−1〜20
9−8は全て閉じた状態を維持した。又、ガス流量制御
装置(MFC)210−1〜110−8としてはサーマ
ルマスフローコントローラ(Tylan Corpor
ation製 FC−260)を使用した。 【0048】次に、Nガスライン211−1のMFC
210−1の指示を100SCCMに設定し、次いで水
素ベースシランガス(SiH濃度10vol%)ライ
ン11−2のMFC210−2の指示を5SCCMに設
定した。その後、ストップバルブ209−1,209−
2を開き、図3に模式的に示した如き、管内径2.5m
mで、0.1mmφのガス流出口を11個設けた環径2
1cmφ環状ガス導入管206より前記のガスを流出
させ、堆積室201内の圧力が隔膜型真空計(MKSバ
ラトロン製 211AHS)で15Paになるように排
気系を調整した。続いて、アノード電極202とカソー
ド電極203間を50mmに保ち、環状のガス導入管2
06をアース電位に接地すると共にガス導入管206の
ガス流出口とカソード電極203間を40mmに保ち、
アノード電極202とカソード電極203間に高周波電
界を印加し堆積室201内にプラズマを発生させた。 【0049】この場合、投入される高周波電圧を0.4
KV、高周波電力を5Wにした。この様な条件でプラズ
マを1時間維持させてゲート電極101を覆う様にして
基板106上に窒化シリコンを堆積させて0.12μ厚
の絶縁層104を形成した。 【0050】次に前記絶縁層106上に該層106作成
装置と同一装置を用い次の様にして水素化非晶質シリコ
ン(a−Si:H)を堆積させた半導体層105を形成
した。絶縁層106形成後ストップバルブ209−1を
閉じ、ドーピングガスを堆積室201内に導入させずに
水素ベースシランガスライン211−2のストップバル
ブ209−2は開いた状態としてMFC210−1の指
示を60SCCMに設定し、アノード電極202とカソ
ード電極203間に高周波電界を印加して堆積室201
内にプラズマを発生させて、ドーパント材料によりドー
ピングされていないa−Si−Hを堆積させた。このと
きの投入される高周波電圧は0.4KV、高周波電力は
5Wであつた。プラズマは2時間維持させて0.4μ厚
の半導体層105を形成した。 【0051】このときの半導体層105の比抵抗は2.
0×1011Ω・cmであった。 【0052】(各試料個別の条件及び作成手順) (A):上記の様にして半導体層105の形成された基
板106を真空を破って堆積室201の外に取出し、ソ
ース電極102、ドレイン電極103を半導体層105
表面上に形成する為に、ゲート電極101の形成と同様
に半導体層105の表面にAlを蒸着した。 【0053】次いで、ソース電極102とドレイン電極
103との間の距離L(チャンネル部分)が50μ、ソ
ース電極102及びドレイン電極の長さZが10mmに
なる様にパターニングとエッチング処理を施して試料A
を作成した。 【0054】(B):試料Aと同様に、半導体層105
までを形成した後、一旦真空を破って、基板106を堆
積室201内に取出した後、再び堆積室201の所定位
置に設置した。その後、n層107を次の様にして形
成し、次いで試料Aと同様の条件と手順でソース電極1
02及びドレイン電極103をn層107表面上に形
成し試料Bを作成した。 【0055】水素ベースシランガス(SiH濃度1v
ol%)ライン211−2MFC210−2の指示を4
0SCCMに、水素ベースフォスフィンガス(PH
度100ppm)ライン211−4のMFC210−4
の指示を20SCCMに設定した状態でアノード電極2
02とカソード電極203間に高周波電界を印加し堆積
室201内にプラズマを発生させn層107を形成し
た。 【0056】このときの投入される高周波電圧は0.4
KV、高周波電力は5Wでありプラズマは1時間維持さ
せて0.1μ厚のn層107が形成された。 【0057】次に試料Aと同様にして、ソース電極10
2、ドレイン電極103とを電極間距離Lが50μ、電
極の長さZが10mmになる様にパターニング及びエッ
チング処理を施した。この際AlのエッチングはH
:CHCOOH:HNOO=25:5:
1:4からなる液にて行った。 【0058】チャンネル部分のn層のエッチングはH
F:HNO:CHCOOH=1:20:30からな
る組成液にて行い、20sec間浸漬することによりn
層を完全に除去した。 【0059】(C):試料Aと同様に半導体層105ま
でを形成した後、一旦グロー放電を起こす為の高周波電
界を0にし(グロー放電を一旦中止し)ストップバルブ
209−2を閉じた。 【0060】次に、MFC210−3及び210−4の
指示を各々40SCCM、20SCCMに設定した後、
速やかにストップバルブ209−3,209−4を全開
して混合ガスを環状ガス導入管6から堆積室201内に
流出させ投入される高周波電圧を、0.4KV、高周波
電力を5Wとしてグロー放電を再開させn層107を
形成した。この際、プラズマは1時間維持させて0.1
μ厚のn を得た。次に大気中に取出してAlを真空
蒸着しパターニング、エッチング処理を施した。Alの
エッチング液は試料A,Bと同一であり、チャンネル部
分のn層のエッチング液はHF:HNO:CH
OOH=1:20:30からなる液で除去した。ソース
・ドレイン間距離L、ソース、ドレイン電極長Zは試料
A,Bと同一である。この様にして作成した試料を試料
Cとした。 【0061】(D):試料Cと比べ、半導体層105形
成後高周波電界を0とせず、グロー放電が生じた状態で
速やかに、ストップバルブ209−2を閉じ、次に予め
MFC210−3,210−4の指示をそれぞれ40S
CCM,20SCCMに設定して置いてストップバルブ
209−3,209−4を開いた。このとき堆積室20
1内の圧力は15Paから若千変動したが放電は維持さ
れ、約1分後15paになった。このときの高周波電力
は半導体層105の形成の場合と同じ5Wであった。 【0062】この様な条件でグロー放電を1時間維持さ
せ0.1μ厚のn層107を形成し、その後試料Cと
同様なパターニング、エッチング処理を施し同一形状の
ソース電極102、ドレイン電極103を形成した。こ
れを試料Dとした。 【0063】なお上記条件で作成したn層107の比
抵抗値は試料B,C,Dともに0、4Ω・cmであっ
た。 【0064】この様にして作成した試料A,B,C,D
に関しゲート、ソース、ドレインの各電極に対しリード
線とり出しのためAlのワイヤーボンディングを施し、
図4に示す如くソース電極102はエレクトロメーター
K(Keithley製616型)に接続し、ドレイン
電極103はソース、ドレイン間に電界を印加する為に
電源Vに、ゲート電極101はチャンネル部に電荷を
誘起させる為の電源Vに接続しVパラメータとし、
を変化させてソース・ドレイン間に流れる電流I
をエレクトロメーターKにて読み取った。 【0065】図5にV=1・5Vのときの試料A,
B,C,DのVに対するIの変化の振るまいを示
す。 【0066】V=1.0Volt以下の低電圧領域で
明らかなようにオーミック接触が充分にとれている即ち
に対しIが線型に変化しているのは試料Dだけで
あった。又オーミック性はD,C,B,Aの順に良好で
なくなることもこの図から直ちに判る。 【0067】ゲート電圧を変えてもV−I特性にお
ける低いV領域では図5と同様の傾向を示した。 【0068】実施例2 半導体層105及びn層107を下記に示す方法で形
成し、その他層構成及び形状等は全て実施例1と同一条
件で作成して4種類のTFT素子(試料A−2,B−
2,C−2,D−2)を形成しオーミック接触について
検討した。 【0069】半導体105はSiFガスをMFC21
0−6の指示を4SCCMに、水素ガスをMFC210
−7の指示を4SCCMに設定し、各々のストップバル
ブ209−6,209−7を開き環状ガス導入管206
から堆積室201内に流出させ堆積室201内の圧力が
隔膜型真空計(MKSバラトロン製221AHS)で8
0Paになるよう排気系を調整した。又ヒーター204
をON状態にしてガラス基板の温度が350℃になるよ
うにした。なおアノード電極202、カソード電極20
3間距離などは実施例1と略々同一にした。 【0070】アノード電極202とカソード電極203
間に高周波電界を印加し堆積室201内にグロー放電を
発生させた。 【0071】なお、ゲート電圧Vが零のとき、ソース
・ドレイン間の抵抗(チャンネル部の抵抗)はいずれの
場合も2.5×10Ω3.0×10Ωと殆んど変わ
らなかった。 【0072】この際、投入される高周波電圧は0.7K
V、高周波電力は30Wであった。 【0073】グロー放電によって形成されるプラズマは
40分間維持させて0.3μ厚の半導体層105を作成
した。n層107はSiFガスをMFC210−6
の指示を40SCCMに、水素ベースフォスフィンガス
(オスフィン10vol%)をMFC210−8の指示
を2SCCMに設定しストップバルブ209−6,20
9−7,209−8を開放にし半導体層105形成時と
同様に堆積室内201へ流出させ堆積室201内の圧力
を80Paになるようにし、ガラス基板温度は350℃
に設定し高周波電圧を0.75KV、高周波電力は50
Wで、n層を形成させた。 【0074】この際グロー放電によって形成されたプラ
ズマは15分間維持させて、0.1μ厚のn層を得
た。 【0075】なおこのときのn層の比抵抗値は試料B
−2,C−2,D−2共に1.2Ωcmであった。 【0076】なお、本実施例における試料A−2,B−
2,C−2,D−2は実施例1における試料A,B,
C,Dに各々対応する。即ち、試料A−2が試料Aに、
試料B−2が試料Bに、試料C−2が試料Cに、試料D
−2が試料Dに、それぞれ対応している。試料B−2,
C−2,D−2においてチャンネル部分のn層のエッ
チングはHF:HNO:CHCOOH=3:5:8
0からなる液にて行い、40sec間浸漬することによ
りチャンネル部分のn層を完全に除去した。その他パ
ターニング、エッチングは実施例1と同一にして施し
た。 【0077】実施例1と同様ソース、ドレイン間電圧V
に対するドレイン電流Iをしらべた結果(このとき
=1・5volt)を図6に示す。直ちに判明され
るようにオーミック接触は試料D−2で完全にとれてい
るが他の試料A−2,B−2,C−2は良好でないこと
がわかる。 【0078】絶縁層106として窒化シリコンの代わり
にSiOのスパッタリング膜(膜厚0.1μ)を用い
ても同様の傾向が認められ、ソース、ドレイン電極と半
導体層105のオーミック接触は該半導体層105とn
層107の放電を維持した状態で連続して付着させる
ことにより達成される事が判明した。 【0079】一方実施例ではn層形成ためドーピング
材料としてPHの例を掲げたがAsHを混合したガ
スを用いてn層を形成しても良い結果が得られた。 【0080】なお、半導体層形成の為原材料として上記
の実施例ではSiH,SiFの例を掲げたが勿論S
iH,SiFの混合ガスを用いてもよいことは当然
である。 【0081】 【発明の効果】以上詳述したように、本発明の非晶質シ
リコン薄膜トランジスタの製造法によれば、シリコン原
子を含有するガスを水素ガスにより希釈して堆積室内に
導入して、グロー放電を生起させて水素化非晶質シリコ
ンからなる半導体層を形成するため、非晶質シリコン半
導体層は、水素により十分ダングリングボンド(不飽和
電子対)が補償された優れたものとなる。そして、この
ような半導体層を用いて薄膜トランジスタを製造するの
で得られる薄膜トランジスタは、半導体特性が極めて向
上した薄膜トランジスタとなる。更に、非晶質半導体層
のクリーンサーフェス上にn層を設けることで電極と
前記非晶質半導体層との間に非常に良好なオーミック接
触が得られている優れたトランジスタ特性を有する非晶
質シリコン薄膜トランジスタを製造することができる。 【0082】更に言えば、本発明においては、n層を
介して半導体層と電極との間に非常に良好なオーミック
接触を得るために、半導体層とn層を形成する際に、
半導体層表面を大気又は酸素に晒すことなくn層を形
成する、或いは、半導体層形成後半導体層形成と同一の
堆積室内でn層を該半導体層形成に引続き連続して形
成する。これによって、半導体層上に例えば不純物粒子
の吸着や酸化膜の形成を生じさせない為電極と半導体層
との間に極めて優れた特性のオーミック接触をとること
ができる。 【0083】又、本発明によって非晶質シリコン薄膜ト
ランジスタの電極と半導体層との間n層を設け、それ
等の間に良好なオーミック接触をさせることで、従来の
非晶質シリコン薄膜トランジスタの有していたゲート電
圧一定時のV−I特性がVの小さい領域において
非直線性を示す、云い換えればVを増加させてもI
があまり増加しない、というトランジスタの特性として
は好ましくない特性の問題を解決し、非常に優れたトラ
ンジスタ特性を有する非晶質シリコン薄膜トランジスタ
を製造することができる。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明により得られるトランジスタの一構造を
説明する為の模式的な斜視部分図である。 【図2】本発明に係わるトランジスタを製造する為の装
置の一例を示す模式図である。 【図3】本発明に係わるトランジスタを製造する為の装
置の一例を示す模式図であり、図2における点線XYで
切断した場合の断面図である。 【図4】本発明に係わるトランジスタの特性を測定する
為の模式的回路図である。 【図5】本発明の実施例における結果を示すV−I
曲線の説明図である。 【図6】本発明の実施例における結果を示すV−I
曲線の説明図である。 【符号の説明】 101 ゲート電極 102 ソース電極 103 ドレイン電極 104 絶縁層 105 半導体層 106 基板 107 n層 108 クリーンサーフェス
フロントページの続き (72)発明者 畑中 勝則 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 大久保 幸俊 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 中桐 孝志 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤ ノン株式会社内 (56)参考文献 特開 昭54−154289(JP,A) ELECTRONICS LETTE RS 15th March 1979 Vo l.15,No.6,P179−181 昭和55年度電子通信学会総合全国大会 講演論文集(第2分冊)昭和55年3月、 S3−13,P287−288

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.ゲート電極を有する基板を減圧し得る堆積室内に配
    置し、該堆積室内を排気して所望の真空度として前記堆
    積室内に配置された基板上の少なくとも前記ゲート電極
    上に絶縁層及び非晶質シリコン層をこの順に形成した
    後、n+層を介して前記非晶質シリコン層に電気的に接
    続されるソース電極及びドレイン電極を形成すること、
    を有する非晶質シリコン薄膜トランジスタの製造法であ
    って、 前記絶縁層はプラズマCVD法による窒化シリコン層に
    より前記ゲート電極を覆うように形成され、前記非晶質
    シリコン層はシリコン原子を含有するガスと水素ガスを
    含む雰囲気とした該堆積室内でグロー放電を生起させて
    形成されるとともに、前記絶縁層を大気に晒すことなく
    前記非晶質シリコン層が形成されることを特徴とする非
    晶質シリコン薄膜トランジスタの製造法。 2.前記水素ガスと前記シリコン原子を含有するガスと
    の割合は、99.9:1〜1:9の範囲にある請求項1
    に記載の非晶質シリコン薄膜トランジスタの製造法。 3.前記割合は99.9:1〜7:3の範囲にある請求
    項2に記載の非晶質シリコン薄膜トランジスタの製造
    法。 4.前記非晶質シリコン層の形成は、前記基板を100
    ℃〜300℃の温度に保持して行なわれる請求項1に記
    載の非晶質シリコン薄膜トランジスタの製造法。 5.前記非晶質シリコン層の形成は、前記堆積室内の圧
    力を0.10〜1.0Torrの範囲として行なわれる
    請求項1に記載の非晶質シリコン薄膜トランジスタの製
    造法。 6.前記非晶質シリコン層の形成は、前記堆積室内にお
    ける放電電力を0.005〜0.1W/cm2の範囲と
    して行なわれる請求項1に記載の非晶質シリコン薄膜ト
    ランジスタの製造法。」
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ELECTRONICS LETTERS 15th March 1979 Vol.15,No.6,P179−181
昭和55年度電子通信学会総合全国大会講演論文集(第2分冊)昭和55年3月、S3−13,P287−288

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