JP2689343B2 - 交流電力測定装置 - Google Patents

交流電力測定装置

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JP2689343B2
JP2689343B2 JP1041705A JP4170589A JP2689343B2 JP 2689343 B2 JP2689343 B2 JP 2689343B2 JP 1041705 A JP1041705 A JP 1041705A JP 4170589 A JP4170589 A JP 4170589A JP 2689343 B2 JP2689343 B2 JP 2689343B2
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千年 山田
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は交流電力測定装置に関し、とくに交流電圧ベ
クトルと交流電流ベクトルとのスカラー積として有効電
力を求め、それら両ベクトルのベクトル積の絶対値とし
て無効電力を求める交流電力測定装置に関する。
従来の技術 制御の高度化に伴ない、電圧や電流をディジタル量と
して測定し、電力Pをそれらのディジタル量から算出す
る手法が広く用いられる。第4図の従来例では、電圧入
力21及び電流入力22をA/D変換器23、24によってそれぞ
れディジタル量に変換する。電圧及び電流のディジタル
値の積を乗算器25によって求め、高調波分を低域フィル
タ28によって除去して電力端子32に電力Pの値を出力し
ている。低域フィルタ28を用いるのは、次式右辺の第2
項に示されるように電圧と電流との積に第2高調波が含
まれるためである。
V:電圧の実効値 I:電流の実効値 ω:角速度 Θ:位相差 t:時間 上記(1)式の右辺の第1項が電力Pを示し、右辺の第
2項がリップル即ち高調波分を示す。
上記右辺第2項の高調波分を除くため、低域フィルタ
28によらずに、基本波周期Tの整数倍の積分時間にわた
って(1)式の積分をとれば右辺第2項の値が零となる
ことを利用した方法も使われている。
また無効電力Qを算出するには、上記の電圧及び電流
のディジタル値を乗算器26、27でそれぞれ自乗し低域フ
ィルタ29、30で高調波分を除去したのち、演算回路31に
より次式の計算をする。こうして求められた無効電力Q
の値が無効電力端子33に出力される。
発明が解決しようとする問題点 電気設備の制御及び保護の目的ためには、電力の高速
検出が必要である。しかし、上記低域フィルタ28により
高調波分を除去する方法では電力測定装置の応答速度が
低域フィルタ28のそれによって支配され、高調波分除去
率を一定レベルに確保する限り応答速度を十分に速くす
ることができない。高調波分除去率を犠牲にして応答速
度を高くすることも理論的には可能であるが、用途によ
っては一定レベル以上の高調波成分を許容することはで
きない場合もあるので、応答速度の速い電力測定方法の
開発が望まれれている。
上記(1)式の積分による方法では、被測定電圧の周
波数が変動した場合に、積分時間をその周波数の変動即
ち周期の変動に合わせて調整しなければならない。この
ため電力測定には本来不要である周期測定の機能を付加
する必要が生じ不経済である。さらに周期の測定が終っ
てから電力測定をするので、2周期に1回の測定しかで
きず、計測速度が遅くなる欠点も避けられない。
従って本発明の目的は、周波数変動及び高調波の影響
を受けない電力測定装置を提供し、もって従来技術の上
記欠点を解決するにある。
問題点を解決するための手段 第1図の実施例を参照するに、本発明による交流電力
測定装置は、交流電圧のディジタル測定値を与える第一
のA/D変換器;単位絶対値の二伝達関数を有し前記交流
電圧のディジタル測定値をベクトル電圧Ve
j(ωt−α)(Vは電圧の実効値、αは該二伝達関数
で定まる位相角)の余弦部・正弦部の二電圧成分に分け
る第一の90°位相差分波器;交流電流のディジタル測定
値を与える第二のA/D変換器;前記単位絶対値の二伝達
関数を有し前記交流電流のディジタル測定値をベクトル
電流Iej(ωt−α−θ)(Iは電流の実効値、θは前
記電圧に対する前記電流の位相角)の余弦部・正弦部の
二電流成分に分ける第二の90°位相差分波器;前記二電
流成分中の正弦部の符号反転により共役二電流成分を求
める共役回路;前記二電圧成分中の余弦部に前記共役二
電流成分中の余弦部を乗じた積と前記二電圧成分中の正
弦部に前記共役二電流成分中の正弦部を乗じた積との和
として前記ベクトル電圧及び電流のスカラー積VIcosθ
たる電力の実効値を算出するベクトル乗算器を備えてな
る構成を用いる。
作用 まず、有効電力Pが電圧ベクトルと電流ベクトル電圧
とのスカラー積として表わされ、無効電力Qが電圧ベク
トルと電流ベクトル電圧とのベクトル積の絶対値として
表わされことを示す。第1図の電圧入力1及び電流入力
2を指数関数表示のベクトル、として表現すれば両
ベクトルは次のように書ける。
=Vejωt …(3) =Iej(ωt−Θ) …(4) 見掛けの電力を電圧と電流の共役との積と
して定義すれば次の関係が成立する。ここに電流の共役
をとったのは遅れ電流に対する無効電力の符号をプラス
とするために過ぎず、無効電力の符号を問わない場合に
は、電圧の共役をとって以下の計算を行なってもよい。
=・=VIejωt・e−j(ωt−Θ) =VIejΘ オイラーの公式ejΘ=cosΘ+j(sinΘ)により、 =VI[cosΘ+j(sinΘ)]=VIcosΘ+j(VIsin
Θ) …(5) 前記オイラーの公式の右辺第1項を余弦部、その第2
項を正弦部と呼ぶ。(5)式右辺の第1項は、(1)式
右辺の第1項と一致し有効電力Pを示す。しかも、
(5)式右辺の第1項は、二つのベクトル、のスカ
ラー積の定義に一致する。(5)式右辺の第2項の虚数
記号j除いた部分が、(2)の無効電力Qと一致するこ
とは上記の有効電力Pを用いて容易に証明することがで
きる。しかも、(5)式右辺の第2項は、二つのベクト
ル、のベクトル積の絶対値の定義に一致する。
本発明においては、アナログ電圧入力1をA/D変換装
置3でディジタル量に変換し、これを90°位相差分波器
5のディジタル電圧入力51として使う。またアナログ電
流入力2をA/D変換装置4でディジタル量に変換し、こ
れを90°位相差分波器6のディジタル電流入力61として
使う。
第2図の例により90°位相差分波器5を説明するに、
この分波器5はその入力を相互に90°の位相差がある二
つの成分に分解する。入力51と一方の出力52との間の電
圧関数をH12とし、入力51と他方の出力53との間の伝達
関数をH13とすれば次の関係がある。
|H12|=|H13|=1 …(6) 90°位相差分波器5の一例は渡部和著「伝送回路網の
理論と設計オーム社発行の12.6節に記載されている。
電圧入力51に接続された90°位相差分波器5からの出
力である二つの電圧成分52、53は次式のベクトル電圧
の成分として表せる。 =Vej(ωt−α) …(7) ここにαは、90°位相差分波器5の特性によって定ま
る位相角である。
電流入力61に接続された90°位相差分波器6からの出
力である二つの電流成分62、63は次式のベクトル電流
の成分として表せる。 =Iej(ωt−α−Θ) …(8) 図示例では、遅れ電流による無効電力の符号をプラス
とするために上記電流の共役電流▲ ▼を共役
回路7で求めた後、上記電圧ベクトル量及び電流共役ベ
クトル量の積をベクトル乗算器8によって次のよう
に求める。・▲ ▼=Vej(ωt−α)・Ie j(ωt−α−Θ) =VIejΘ=VIcosΘ+j(VIsinΘ) …(9) (9)式の右辺の第1項は、(5)式右辺第1項と同
様に(1)式右辺の第1項と一致し有効電力Pを示す。
しかも、(9)式右辺の第1項は、電圧入力に対応する
ベクトル及び電流入力に対応するベクトルのス
カラー積の定義に一致する。
また(9)式右辺の第2項の虚数記号j除いた部分
が、(2)の無効電力Qと一致すること及び上記二つの
ベクトルのベクトル積の絶対値の定義に一致することは
(5)式及び(9)式に関する上記説明から明らかであ
る。さらに、(9)式は基本波成分のみからなり、高調
波成分特に2ωの成分を全く含まない。
ベクトル乗算器8からの有効電力P及び無効電力Qが
それぞれ電力端子12及び無効電力端子13に出力される。
こうして、本発明の目的である「高調波の影響を受け
ない電力測定装置」の提供が達成される。
実施例 第3図は電力系統の商用周波数の電力測定に本発明を
適用した実施例である電力測定装置10を示す。電圧入力
及び電流入力に対するA/D変換器3及び4の後に低域フ
ィルタ14a及び14bを設けたのは、電力系統における高調
波の影響を除くためである。さらにこの実施例では、高
調波の影響除去後の電圧及び電流の実効値をそれぞれ実
効値算出回路15、16によって算出し、電圧端子17及び電
流端子18に出力している。
以上の説明において便宜上単相の場合のみを取扱った
が、本発明を三相その他の多相交流電力の計測にも応用
できることはいうまでもない。また第3図の実施例に示
された実効値の計測のみでなく、電圧と電流との位相差
θの計測等にも応用することができる。
発明の効果 以上詳細に説明した如く、本発明による交流電力測定
装置は、交流電圧のディジタル測定値を90°位相差の2
電圧成分に分け、交流電流のディジタル測定値を90°位
相差の2電流成分に分け、前記2電圧成分からなるベク
トルと前記2電流成分からなるベクトルとのスカラー積
として電力を算出してなる構成を使用するので次の効果
を奏する。
(イ)従来必要とされてきた電圧と電流との積から二倍
周波数成分などを除去するための低域濾波器を省略する
ことができる。
(ロ)電力P及び無効電力Qの測定値におけるリップル
を低く抑えることができる。
(ハ)低域フィルタによる遅れを含まないからレスポン
スが速い。
(ニ)一周期にわたる積分を使わないので周期の精密測
定が不要である。
(ホ)電力P及び無効電力Qを単一の測定装置によって
同時に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の測定原理の説明図、第2図は90°位相
差分波器の説明図、第3図は一実施例の説明図、第4図
は従来技術の説明図である。 1、21……電圧入力、2、22……電流入力、3、4、2
3、24……A/D変換器、5、6……90°位相差分波器、7
……共役回路、8……ベクトル乗算器、25、26、27……
乗算器、10……電力測定装置、12、32……電力端子、1
3、33……無効電力端子、14a、14b、28、29、30……低
域フィルタ、15、16……実効値算出回路、17……電圧端
子、18……電流端子、31……演算回路、51……ディジタ
ル電圧入力、52、53……電圧成分、61……ディジタル電
流入力、62、63……電流成分。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−38569(JP,A) 大学過程 電気回路(1) 第2版 (昭和60年) オーム社 P.48〜54

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】交流電圧のディジタル測定値を与える第一
    のA/D変換器;単位絶対値の二伝達関数を有し前記交流
    電圧のディジタル測定値をベクトル電圧Ve
    j(ωt−α)(Vは電圧の実効値、αは該二伝達関数
    で定まる位相角)の余弦部・正弦部の二電圧成分に分け
    る第一の90°位相差分波器;交流電流のディジタル測定
    値を与える第二のA/D変換器;前記単位絶対値の二伝達
    関数を有し前記交流電流のディジタル測定値をベクトル
    電流Iej(ωt−α−θ)(Iは電流の実効値、θは前
    記電圧に対する前記電流の位相角)の余弦部・正弦部の
    二電流成分に分ける第二の90°位相差分波器;前記第二
    電流成分中の正弦部の符号反転により共役二電流成分を
    求める共役回路;前記二電圧成分中の余弦部に前記共役
    二電流成分中の余弦部を乗じた積と前記二電圧成分中の
    正弦部に前記共役二電流成分中の正弦部を乗じた積との
    和として前記ベクトル電圧及び電流のスカラー積VIcos
    θたる電力の実効値を算出するベクトル乗算器を備えて
    なる交流電力測定装置。
  2. 【請求項2】請求項1の交流電力測定装置において、前
    記ベクトル乗算器により前記二電圧成分中の余弦部に前
    記共役二電流成分中の正弦部を乗じた積と前記二電圧成
    分中の正弦部に前記共役二電流成分中の余弦部を乗じた
    積との差として前記ベクトル電圧及び電流のベクトル積
    の絶対値VIsinθたる無効電力の実効値を算出してなる
    交流電力測定装置。
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