JP2686452B2 - アニオン型つや消し電着塗料組成物及びつや消し塗膜形成方法 - Google Patents

アニオン型つや消し電着塗料組成物及びつや消し塗膜形成方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明はアニオン型つや消し電着塗料組成物及びつや
消し塗膜形成方法に関する。
(従来の技術およびその課題) 従来、アルミニウム材の塗装に供される電着塗料の一
例として、アクリル−メラミン系水溶性または水分散型
塗料が挙げられ、たとえばアクリル酸又はメタクリル酸
と他のアクリル系不飽和単量体やエチレン性不飽和単量
体を共重合して得られるポリカルボン酸樹脂をアンモニ
ア又は有機アミンで中和して得られる水溶性もしくは水
分散性樹脂に、架橋剤としてメラミン樹脂を混合してな
るものが使用されている。このアクリル−メラミン系電
着塗料は耐食性及び耐候性に優れていることから一般の
家屋や高層ビルディングに用いられるアルミニウムサッ
シ等の建材の塗装に広範囲に使用されている。
しかしながら、前記アクリル−メラミン系電着塗料の
耐候性は一般の家屋を対象にした場合には十分満足でき
る水準を有するものであるが、ビルディング用建材を対
象にした場合には、最近に至って数十年という長期にわ
たる耐久性が要求されてきているため該電着塗料では到
底上記要求を見たすことができない。
また、近年、耐久性に優れた塗料を形成する塗料とし
て含フッ素重合体−メラミン系電着塗料も開発されてい
るが含フッ素重合体のコストが高いため今だに実用化さ
れていないのが実情である。
更に、該分野ではユーザーニーズの多様化により金属
光沢感があきられ、現在では落ち着いた雰囲気をかもし
だすつや消し塗膜が強く要求されるようになってきた。
本発明は耐久性に優れ、しかも美粧性に優れたつや消
し塗膜を形成する塗料組成物及び方法を提供することを
目的としてなされたものである。
(課題を解決するための手段) 本発明者等は、上記した問題点を克服する方法につい
て種々研究した結果、含フッ素重合体の存在下でアルコ
キシシラン基含有ビニル単量体を必須成分とするビニル
単量体をラジカル重合させて得られる重合体が耐久性及
び美粧性に優れたつや消し電着塗膜を形成することを見
い出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、含フッ素重合体の存在下でアルコキ
シシラン基含有ビニル単量体を必須成分とするビニル単
量体をラジカル重合させて得られる重合体をビヒクル成
分とするアニオン型つや消し電着塗料組成物及び該組成
物を、アルミニウム基材に電着塗装してつや消し塗膜を
形成する方法に関する。
本発明組成物で使用するビヒクル成分の含フッ素重合
体としては、水酸基含有単量体、フルオロオレフィン及
び必要に応じて他のラジカル性不飽和単量体とを共重合
反応させて得られる水酸基含有含フッ素重合体もしくは
該水酸基含有含フッ素重合体と多塩基酸無水物とを重合
体中の水酸基の一部もしくは全部をエステル化反応させ
て得られるカルボキシル基又はカルボキシル基と水酸基
とを有するカルボキシル基含有含フッ素重合体が好適に
使用できる。
まず、水酸基含有含フッ素重合体について延べる。
上記水酸基含有単量体としては、フルオロオレフィン
とラジカル共重合可能なラジカル重合性不飽和二重結合
及び水酸基を有するものであり、具体的には、例えばヒ
ドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビ
ニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ヒド
ロキシペンチルビニルエーテル等のヒドロキシアルキル
ビニルエーテルが好適に使用できる。
前記フルオロオレフィンとしては下記一般式 (式中、R1,R2,及びR3はH,F及びClを示す。R1,R2,及びR
3は同一もしくは異なってもよい。)で表わされるもの
が使用できる。具体的には、例えばフッ化ビニル、フッ
化ビニリデン、三フッ化塩化エチレン及び四フッ化エチ
レン等が挙げられる。中でも好ましくは耐久性及び美粧
性に優れたつや消し塗料が得られることから四フッ化エ
チレン及び三フッ化塩化エチレンである。
他のラジカル性不飽和単量体としては、前記フルオロ
オレフィンとラジカル共重合可能な不飽和二重結合を有
するものであり、要求される塗膜性能に応じて、従来か
ら公知の単量体から選択して使用できる。具体的には、
例えばエチレン、プロピレン、イソブチレン、ブチン−
1等の如きα−オレフィン類;エチルビニルエーテル、
イソブチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、シ
クロヘキシルビニルエーテル等の如きビニルエーテル類
等が挙げられる。
前記単量体は、水酸基含有単量体3〜80重量%、フル
オロオレフィン20〜80重量%、他のラジカル性不飽和単
量体0〜40重量%の割合で配合される。
前記単量体を共重合して得られる水酸基含有含フッ素
重合体は、2000〜100000、好ましくは5000〜60000の数
平均分子量を有することができる。数平均分子量が2000
より小さいと低光沢塗膜が形成されず、他方、数平均分
子量が100000より大きいと塗料組成物の貯蔵安定性が劣
るので好ましくない。
次にカルボキシル基含有含フッ素重合体について述べ
る。
該重合体は前記水酸基含有含フッ素重合体を多塩基酸
無水物と反応させて該重合体中の水酸基の少なくとも1
部を (式中、R4は2価の有機基を示す。) で表わされるエステル基とした重合体が好適に使用でき
る。
該多塩基酸無水物としては、具体的には、例えば無水
マレイン酸、無水イタコン酸、無水コハク酸、無水フタ
ル酸及び無水1,2シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げ
られる。
該カルボキシル基含有含フッ素重合体は、酸価約5〜
150を有することができる。
本発明組成物で使用するビヒクル成分は、前記含フッ
素重合体の存在下でアルコキシシラン基含有ビニル単量
体もしくは該アルコキシシラン基含有ビニル単量体と下
記単量体とを混合した単量体をラジカル重合させること
によって得られる重合体である。
前記アルコキシシラン基含有ビニル単量体は、ラジカ
ル重合性不飽和二重結合とアルコキシシラン基を含有す
るものであり、具体的には、例えばジビニルジメトキシ
シラン、ジビニルジ−β−メトキシエトキシシラン、ビ
ニルトリメトキシシラン、ビニルトリス−β−メトキシ
エトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメ
トキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリエト
キシシラン及びγ−メタクリルオキシプロピルジメトキ
シシラン等が挙げられる。
前記アルコキシシラン基含有ビニル単量体以外にα,
β−エチレン性不飽和カルボン酸、水酸基含有アクリル
系単量体及びその他のラジカル重合性不飽和単量体から
選ばれる1種もしくは2種以上の単量体を組合わせて使
用できる。組合わせて使用する場合には、全単量体を基
準としてアルコキシシラン基含有ビニル単量体0.1重量
%以上、残りの単量体99.9重量%以下で使用することが
できる。
該α,β−エチレン性不飽和カルボン酸としては、具
体的には、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン
酸、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸及びイタコ
ン酸等が挙げられる。
前記水酸基含有アクリル系単量体としては、具体的に
は、例えばアクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル
酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシエ
チル及びメタクリル酸ヒドロキシプロピル等が挙げられ
る。
その他のラジカル重合性不飽和単量体としては、具体
的には、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、
アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリ
ル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチ
ル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸シクロヘキシル、
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル
酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸
ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸オクチ
ル、メタクリル酸ラウリルなどのアクリル酸又はメタク
リル酸のアルキル(C1-18)エステル;スチレン、α−
メチルスチレン、ビニルトルエンなどのビニル芳香族モ
ノマー;アクリル酸又はメタクリル酸のアミド化合物;
アクリロニトリル、メタクリロニトリルなど通常アクリ
ル樹脂の合成に用いられる公知のモノマーを使用するこ
とができる。
含フッ素重合体の存在下で前記単量体をラジカル重合
させる方法としては、含フッ素重合体の有機溶剤溶液の
存在下で前記単量体をラジカル重合触媒を用いて通常、
約0〜180℃好ましくは約40〜170℃の反応温度において
約1〜約20時間好ましくは約4〜約10時間反応を続ける
ことにより行なうことができる。
該有機溶剤としては、含フッ素重合体及び単量体に対
して不活性で、含フッ素重合体及び単量体を溶解する溶
剤が使用できる。更に、該単量体のラジカル重合反応に
よって得られる重合体を溶解しない有機溶剤を使用する
ことが好ましい。かかる有機溶剤の具体例としては、ヘ
キサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素;ベン
ゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;メチル
アルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアル
コール、イソブチルアルコール、オクチルアルコール等
のアルコール類;セロソルプ、ブチルセロソルプ、ジエ
チレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル類;
メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、メチル
エチルケトン、メチルヘキシルケトン、エチルブチルケ
トン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸
アミル、2−エチルヘキシルアセテート等のエステル類
等を挙げることができる。これらの有機溶剤は、それぞ
れ単独で使用してもよく、2種以上混合して用いること
もできる。
上記ラジカル重合性不飽和単量体の重合は、通常ラジ
カル重合開始剤を用いて行なわれる。使用可能なラジカ
ル重合開始剤としては、例えば2,2′−アゾビスイソブ
チロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロ
ニトリル)等のアゾ系開始剤;ベンゾイルパーオキサイ
ド、ラウリルパーオキサイド、tert−ブチルパーオクト
エート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノ
エート等の過酸化物系開始剤等が挙げられ、これら重合
開始剤は一般に重合に供される単量体100重量部当り0.2
〜10重量部程度、好ましくは0.5〜5重量部の範囲内で
使用できる。
上記重合の際に存在させる含フッ素重合体の使用割合
は要求される塗膜光沢、塗面状態、塗膜性能等に応じて
広い範囲から選択できるが、一般には重合すべき単量体
100重量部に対して含フッ素重合体を5〜1000重量部程
度好ましくは10〜500重量部とするのが適当である。更
に、有機溶剤中における含フッ素重合体とラジカル重合
性不飽和単量体との合計濃度は、一般に30〜700重量%
程度好ましくは30〜60重量%とするのが適当である。
重合は、それ自体公知の方法で行なうことができ、重
合時の反応温度としては通常60〜160℃程度の範囲内と
するのが適当であり、通常1〜15時間程度で反応が終了
する。
また、前記含フッ素重合体にラジカル重合性不飽和二
重結合を導入した後、このものの存在下で前記アルコキ
シシラン基含有ビニル単量体を必須成分とする単量体を
前記開始剤を用いてラジカル重合させることにより含フ
ッ素重合体とビニル重合体とを結合することができる。
該含フッ素重合体への二重結合の導入は、例えば水酸基
含有含フッ素重合体と前記α,β−エチレン性不飽和カ
ルボン酸又はイソシアネート基含有ビニル単量体(例え
ばイソシアネートエチル(メタ)アクリレート、2,2−
ジメチル−m−イソプロペニルベンジルイソシアネート
等)とを反応させるか、あるいはカルボキシル基含有含
フッ素重合体と前記水酸基含有アクリル系単量体又はグ
リシジル基含有不飽和単量体(例えばグリシジルアクリ
レート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジル
エーテル等)とを反応させることによって行なうことが
できる。この際に含フッ素重合体に二重結合を導入する
量としては、含フッ素重合体の1分子中に平均して少な
くとも0.1個とすれば充分である。
かくして得られた重合体は、酸価10〜150好ましくは3
0〜120、水酸価20〜200、好ましくは30〜150の範囲を有
することができる。酸価が10より小さいと塗料安定性に
劣り、他方、酸価が150より大きいと耐久性に優れたつ
や消し塗膜が得られないという欠点があり、また、水酸
価が上記の範囲からはずれると耐久性に優れたつや消し
塗膜が得られないという欠点があるので好ましくない。
前記単量体のラジカル重合反応によって得られる重合
体の有機溶剤液は次いで水性化する。水性化は有機溶剤
液を塩基性物質で中和した中和物中に水を加えるか、又
は該中和物を水中に加えることによって行なうことがで
きる。中和物中に水を添加する方法は、有機溶剤液を撹
拌しながら中和剤を短時間で添加し中和を行なった後、
油系から水系に相転換するまで短時間で水を添加し、相
転換後残りの水を要求される固形分になるまで徐々に滴
下して水分散化するものである。この際、分散液に中和
剤を添加した段階から酸及び塩基の存在下で、樹脂中の
アルコキシシラン基の加水分解及び縮合反応が急速に進
行するので系が増粘、ゲル化しないように短時間で中
和、水添加を行なうことが必要である。中和剤及び相転
換させるまで添加する水を添加する時間は、反応容器、
撹拌条件、雰囲気温度によって異なるが、一般には24時
間以内、好ましくは10時間以内である。また、水に中和
物を添加する方法は、有機溶剤液を撹拌しながら中和剤
を湾時間で添加し中和物を得た後、このものを撹拌下に
徐々に水中に添加して水分散化するものである。この場
合も上記方法と同様に中和物が水中に添加されるまでに
増粘、ゲル化するおそれがあるのでできるだけ短時間で
水分酸化する必要がある。一般に中和されてから水中に
添加されるまでの時間は、24時間以内、好ましくは10時
間以内である。
水性化の際に使用される塩基性物質としては、例えば
アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチ
ルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチル
アミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノー
ルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン
等が挙げられる。
該塩基性物質は、ビヒクル成分中のカルボキシ基に対
して約0.1〜1.5当量、好ましくは約0.5〜1.2当量になる
様に中和される。
本発明組成物には、架橋剤として、従来から公知のブ
ロックイソシアネート化合物、アミノ樹脂等が使用でき
る。アミノ樹脂としてはメラミン樹脂、ベンゾグアナミ
ン樹脂、尿素樹脂などが挙げられるが、中でも好適なも
のはアルコキシメチル化メラミン樹脂であって、メチル
エーテル化型または炭素数4以下のアルコールとの混合
エーテル化型のものである。該架橋剤は、前記ビヒクル
成分と架橋剤との固形分総量基準で10重量%〜60重量%
の範囲で使用することが好ましい。
本発明組成物には、必要に応じて親水性溶剤(例えば
アルコール系溶剤、セロソルブ系溶剤等)、顔料及びそ
の他通常に用いられる種々の添加剤を使用しても一向に
構わない。
本発明における電着塗装を実施する場合の電着塗料浴
の固形分濃度は4〜15重量%が適当である。4重量%以
下の場合には塗装電圧が高くなりすぎ、15重量%以上で
は塗装系の系外への損失が大きく経済的でない。また、
電着塗装は電着塗装浴温15〜35℃、塗装電圧80〜350V及
び処理時間1〜5分の条件で通常行なわれる。
電着塗装された被塗物は水洗され、ついで150〜200℃
で15〜60分間加熱硬化される。かくして、所望のつや消
し効果を有する電着塗膜が形成される。
本発明のつや消し電着塗装方法に適用できる被塗物は
導電性を有するものであれば特に限定されないが、被塗
物としてアルミニウム又はアルミニウム合金を用いた場
合には、平滑性等の性能にも優れた均一なつや消し塗膜
が得られ且つ耐アルカリ性、耐酸性、耐候においてもつ
や有りクリヤーと同等の性能を有する塗膜を形成できる
ことから特に本発明の方法が好適である。
(作用及び発明の効果) 本発明において、含フッ素重合体の存在下でビニル単
量体を重合反応させることによって得られる、アルコキ
シシラン基含有ビニル単量体を単量体成分とするビニル
系重合体は、側鎖にアルコキシシラン基を有しているた
め水を加えて水分散化させる際に加水分解してシラノー
ルを生成し、また該シラノール同志の縮合によりシロキ
サン結合を生成し微細なディスバーション粒子を形成す
るので、このものを電着塗装して得られる塗膜は微細な
粗面を形成し、これを焼付硬化しても塗膜は完全には溶
融フローすることなく粗面を形成し、つや消し塗膜が得
られる。また、つや消し塗膜はつや有り塗膜と比較し
て、一般的に耐候性、耐アルカリ性等の塗膜性能に劣る
ものである。ところが本発明においては、アルコキシシ
ラン基含有ビニル単量体を重合させる際に含フッ素重合
体を用いることにより塗膜外観及び塗膜性能に優れたつ
や消し塗膜が得られる。
(実施例) 以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に詳し
く説明する。
各例中、「部」及び「%」はそれぞれ重量基準であ
る。
実施例1 オートクレーブ(耐圧50kg/cm2)にヒドロキシブチル
ビニルエーテル(以下、HBVEという。)46部、エチルビ
ニルエーテル29部、ジグライム60部、イソプロピルアル
コール180部およびN−ジメチルベンジルアミン1mlを仕
込み、空間部を窒素で置換した後、クロロトリフルオロ
エチレン116部を加え、65℃まで加熱した。
次いで、アゾビスイソブチロニトリル2.5部を溶解し
たジグライム/イソプロピルアルコール(重量で1/1)
の混合物40部を加え、重合を開始した。撹拌しながら該
温度に20時間保った。固形分40%のワニス(A)471部
を得た。
前記ワニス(A)を60〜80℃に加熱しながら減圧して
溶剤を除去した。
次に、該ワニス(A)を撹拌しながら15部の1,2−シ
クロヘキサンジカルボン酸無水物および100μのナフ
テン酸ジルコニウムを加え、加熱してアセトンを還流さ
せながら5時間反応させた。該樹脂は水酸価81及び酸価
26であった。
次に、上記で得られたワニス(A)50部及びイソプロ
ピルアルコール100部の混合物をイソプロピルアルコー
ルの還流温度に保ち、下記のモノマー(B)及び開始剤
(C)を5時間要して滴下し、滴下終了後2時間熟成を
行なった。
α−メタクリルオキイプロピルトリメトキシシラン5部 アクリル酸 7部 ヒドロキシエチルアクリレート 15部 スチレン 13部 メチルメタクリレート 30部 n−ブチルアクリレート 20部 エチルアクリレート 10部 アゾビスジメチルバレロニトリル 1部 得られた樹脂は水酸価74及び酸価49であった。次に該
樹脂液を30℃以下迄冷却し、トリエチルアミンで0.7当
量中和し、サイメル303(三井東圧社製、メラミン樹
脂)51部及び脱イオン水を加えて固形分12%の組成物を
得た。
上記組成物を電着塗料浴とし、該浴中でアルマイト処
理を施した6063sアルミニウム合金板を被塗物とし、浴
温22℃で乾燥膜厚が20μmになる様に電着塗膜を形成さ
せ、水洗後、180℃で30分間焼付けを行ってつや消し塗
膜を得た。該塗膜は、60℃鏡面反射率12、つや消し塗膜
外観良好、ゴバン目付着(塗膜にカッターナイフで1mm
角の枡目100個の切り目を入れセロハン粘着テープで剥
離テストを行い、残存した枡目数を求めた。以下、同様
の意味を表わす。)100個、耐候性(デューサイクル、
照射60分/暗黒60分、ブラックパネル温度63℃、スガ試
験機社製使用、以下、同様の意味を表わす。)360時間
外観良好、耐アルカリ性(3%NaOH水溶液、72時間浸
漬)良好の性能を有した。
実施例2 前記ワニス(A)471部、グリシジルメタクリレート
2.9部、P−tert−ブチルカテコール0.02部及びジメチ
ルアミノエタノール0.08部を80℃で反応させ、ワニス
(A)に二重結合を導入したワニス(D)を得た。
次に、ワニス(D)50部を用いて実施例1と同様にモ
ノマー(B)及び開始剤(C)を重合させた。得られた
樹脂は水酸価74及び酸価48であった。次に、該樹脂液を
30℃以下迄冷却し、トリエチルアミンで0.7当量中和
し、脱イオン水を加えて固形分12%の組成物を得た。該
組成物の安定性は良好であった。
上記組成物の電着塗料浴とし、実施例1と同様にして
つや消し塗膜を得た。該塗膜は、鏡面反射率10、つや消
し塗膜外観良好、ゴバン目付着100個、耐候性360時間以
上外観良好、耐アルカリ性良好の性能を有した。
比較例1 イソプロピルアルコール100部をイソプロピルアルコ
ールの還流温度に保ち、前記実施例1で用いたモノマー
(B)及び開始剤(C)を同量部5時間要して滴下し、
滴下終了後2時間熟成を行なった。次にこのものを30℃
以下迄冷却し、トリエチルアミン0.7当量中和し、サイ
メル303を42部及び脱イオン水を加え固形分12%の組成
物を得た。
上記組成物を電着塗料浴とし、実施例1と同様にして
つや消し塗膜を得た。該塗膜は、鏡面反射率8、凹凸の
大きい塗膜外観、ゴバン目付着100個、耐候性80時間光
沢保持率45%、耐アルカリ性ブリスタ発生の性能を有し
た。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】含フッ素重合体の存在下でアルコキシシラ
    ン基含有ビニル単量体を必須成分とするビニル単量体を
    ラジカル重合させて得られる重合体をビヒクル成分とす
    るアニオン型つや消し電着塗料組成物。
  2. 【請求項2】請求項1記載の組成物を、アルミニウム基
    材に電着塗装することを特徴とするつや消し塗膜形成方
    法。
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