JP2686275B2 - 印刷シリンダーの加温装置 - Google Patents

印刷シリンダーの加温装置

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JP2686275B2 JP63079019A JP7901988A JP2686275B2 JP 2686275 B2 JP2686275 B2 JP 2686275B2 JP 63079019 A JP63079019 A JP 63079019A JP 7901988 A JP7901988 A JP 7901988A JP 2686275 B2 JP2686275 B2 JP 2686275B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】 この発明は、グラビア印刷機等における印刷シリンダ
ーの加温装置に関する。
【従来の技術】
従来、例えばグラビア印刷機における印刷シリンダー
は、これが加温されることはないために、印刷機運転中
に印刷シリンダーの外周面に付着したインキが、該印刷
シリンダーによつて冷却され、その粘度が増大するのが
常であつた。 このように、印刷シリンダー外周面に付着したインキ
の粘度が低下すると、例えば、グラビア印刷機におい
て、印刷シリンダーの外周面に付着しているインキを掻
き落すためのドクターブレードの裏側に付着し、且つ固
化し易い。
【発明が解決しようとする課題】
ドクターブレードの裏側において固化したインキは氷
柱状となつて時々落下し、該落下したインキが印刷に筋
あるいは汚れを発生させるという問題点がある。 又、ドクターブレードによつて掻き落とされたインキ
は、インキパン内に落下し、これが直接印刷シリンダー
に再度付着したり、スプレー装置から印刷シリンダーに
吹き付けられたり、あるいはフイニツシヤロールによつ
て印刷シリンダーに塗布されるが、この際、インキの粘
性が冷却によつて増大しているので、インキを吸い上げ
るポンプの負担が増大したり、印刷シリンダー外周面に
均一にインキを塗布できない場合がある等の問題点があ
る。 これに対して、例えば特開昭57−163594号公報に開示
されるように、中空の印刷シリンダー内に液状のサーモ
オイルを満して印刷シリンダーを加温し、インキの粘度
の低下を防止することが考えられるが、この場合は印刷
シリンダー全体の重量が大幅に増大してしまい、又回転
が不均一になってしまうという問題点がある。 これに対しては、印刷シリンダーの内周に沿ってパイ
プを配置し、ここに加温流体を流通させることも考えら
れる。 しかしながら、この場合はパイプが印刷シリンダー内
周面に接触していることから、印刷シリンダー表面をめ
つき電極として均一とすることができず、印刷シリンダ
ー表面に頻繁になされるめつきの質を低下させてしまう
という問題点がある。 又、印刷シリンダーの表面に彫刻する場合も、該印刷
シリンダー表面の強度が不均一であるので、彫刻時に表
面にうねりが生じてしまうという問題点がある。
【発明の目的】
この発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたもの
であつて、印刷シリンダー表面を均一なめつき電極とす
ることができると共に、彫刻時にうねりが生じたりする
ことなく、印刷シリンダー外周面によりインキが冷却さ
れることを防止し、インキの粘性増大を抑制して、印刷
品質の向上を図るようにした印刷シリンダーの加温装置
を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
この発明は、中空の印刷シリンダーの周方向内側面に
沿つて形成された加温流体流路と、前記印刷シリンダー
の回転中心軸を通つて形成され、前記加温流体流路に加
温流体を供給する流体供給路及び加温流体流路から流体
を排出する流体排出路と、を備えて印刷シリンダーの加
温装置を構成してなり、前記加温流体流路は、前記印刷
シリンダーの内側にこれと同軸一体的に回転するように
設けられた内側シリンダーの周方向外側面と、この周方
向外側面に設けられた突条と、前記印刷シリンダーの周
方向内側面と、により、該周方向内側面と前記周方向外
側面との間に形成され、前記周方向内側面と突条の外周
端との間には隙間が形成されていることにより上記目的
を達成するものである。
【作用】
この発明において、印刷シリンダーの回転中にその内
周面に沿つて、加温流体が流されて、該印刷シリンダー
の外周面を加温するので、印刷シリンダー外周面に付着
したインキが冷却により粘性を増大されることがなく、
従つて、ドクターブレード裏側に溜つたインキが固まつ
たり、インキ循環ポンプの負担が増大したり、又、印刷
シリンダー外周面へのインキの塗布が不均一になつたり
することを防止して、印刷の品質を向上させることがで
きる。 又、印刷シリンダー周方向内側面に沿つて加温流体流
路を形成する突条と該周方向内側面との間には隙間が形
成されているので、印刷シリンダーの外周にめつきをす
る場合これを均一な電極にすることができる。又、彫刻
時にも印刷シリンダーの表面にうねりが生じない。
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。 この実施例は、第1図乃至第3図に示されるように、
グラビア印刷機10における中空の印刷シリンダー12の周
方向内側面12Aに沿つて、加温流体流路14を形成すると
共に、印刷シリンダー12の回転中心軸16を通つて、前記
加温流体流路14に加温流体を供給する流体供給路18及び
加温流体流路14から流体を排出する流体排出路20と、を
形成して、印刷シリンダーの加温装置を構成したもので
ある。 前記回転中心軸16は、内側流路16Aを備えた中空パイ
プ状であつて、前記印刷シリンダー12の中心を軸方向に
貫通して、且つ該印刷シリンダー12と一体的に回転する
ように、これに連結配置されている。 前記加温流体流路14は、印刷シリンダー12内に配置さ
れた中空の内側シリンダー22の周方向外側面22Aと、印
刷シリンダー12の周方向内側面12Aとの間に形成されて
いる。 内側シリンダー22は、その周方向外側面22Aが印刷シ
リンダー12の周方向内側面12Aに対して、又、軸方向外
端面22B、22Cが印刷シリンダー12の軸方向内端面12B、1
2Cに対してそれぞれ隙間をもつて対向するように、且
つ、印刷シリンダー12と同軸的に、前記回転中心軸16に
一体的に取り付けられて配置されている。 前記加温流体流路14は、内側シリンダー12の周方向外
側面22Aに螺旋状に立設された螺旋突条14Aによつて、前
記回転中心軸16を中心として、且つ、周方向外側面22A
に沿つて螺旋状に形成されている。 従つて、螺旋状の加温流体流路14は、内側シリンダー
22における図において右側の軸方向外端面22Bと対向す
る軸方向内端面12Bとの間の隙間24Bを、反対側の軸方向
外端面22Cと軸方向内端面12Cとの間の隙間24Cとを連通
するものである。 前記螺旋突条14Aの外周端と前記印刷シリンダー12の
周方向内側面12Aとの間には隙間が形成されている。 前記回転中心軸16は、図に示されるように、グラビア
印刷機10における左右のサイドフレーム10A、10Bによ
り、その両端近傍を、軸受けメダル26A、26Bを介して回
動自在に支持されている。 又、回転中心軸16の内側流路16Aは、第3図において
右端側がプラグ28によつて閉塞されると共に、モータ
(図示省略)からの回転駆動力が入力される入力軸30に
連結されている。 又、回転中心軸16の、第3図において、左側の他端か
らは、該回転中心軸16と同軸的で、且つその内径よりも
細い小径パイプ32が、内側流路16A内に突出して、且つ
その先端は前記二つの隙間24B、24Cの間の軸方向位置
で、シール部材34を介して保持されている。 前記回転中心軸16には、前記隙間24B及び24Cに臨む位
置に、該回転中心軸16内外を連通する連通孔16B、16Cが
形成されている。 又、回転中心軸16の図において左端は、継手36を介し
て給排水管38に相対的回転可能に接続されている。 この給排水管38内には、前記小径パイプ32が貫通し、
且つ、該小径パイプ32の外側部分は、前記回転中心軸16
の内側流路16Aに接続される二重構造となつている。 前記流体供給路18は、小径パイプ32、内側流路16Aの
シール部材34とプラグ28の間の部分、連通孔16B及び隙
間24Bから構成されている。 又、前記流体排出路20は、隙間24C、連通孔16C、及び
内側流路16Aの残りの部分から構成されている。 図の符号38Aは、前記小径パイプ32に連通される給水
口、38Bは前記回転中心軸16の内側流路16Aに連通される
排水口、37は回転中心軸16の内周と継手36の外周との間
に介在されて両者間のシールをするOリングをそれぞれ
示す。 ここで、前記印刷シリンダー12、回転中心軸16、内側
シリンダー22は各々スチール製であつて、流体供給路18
及び流体排出路20を構成する部分は、メツキされ耐食性
が増強されている。螺旋突条14Aは金属又は合成樹脂製
とする。 前記給排水管38の給水口38Aには、第2図に示される
ように、温水供給用のフレキシブルパィプ40Aが、又、
排水口38Bには、リターン用のフレキシブルパイプ40Bが
それぞれ連接されている。 前記サイドフレーム10Bの外側には、印刷ラインに沿
つて温水供給パイプ44A及びリターンパイプ44Bが平行に
配置されている。 前記温水供給用のフレキシブルパイプ40Aは、温水供
給パイプ44Aに接続され、又、フレキシブルパイプ40Bは
リターンパイプ44Bに接続されている。 図の符号46は印刷シリンダー12の外周面に摺接して、
該印刷シリンダー12の外周面に付着しているインキを掻
き落とすドクターブレード、47はこのドクターブレード
46を保持するためのドクターブレードホルダー、48は前
記印刷シリンダー12の表面にインキをスプレーするため
のノズル、50はインキパン、52はインキタンクをそれぞ
れ示す。 前記ドクターブレード46の下側にはこれに近接して温
水流路46Aが配置され、前記インキパン50の底部には温
水流路50Aが配置され、又、インキタンク52内にも温水
流路52Aが配置され、それぞれ、フレキシブルパイプ4
9、51及び53を介して、前記温水供給パイプ44Aから温水
が供給され、且つリターンパイプ44Bに戻されるように
接続されている。 なお、この実施例において、前記印刷シリンダー12、
ノズル48、インキパン50及びインキタンク52は、キヤス
タローラ56により移動自在とされた台車58上に配置さ
れ、いわゆるカセツト式に、グラビア印刷機10のサイド
フレーム10A、10Bの間に挿入あるいは引出しされるよう
になつている。 従つて、前記フレキシブルパイプ49、51、及び53は、
台車58を入替える毎に、温水供給パイプ44A及びリター
ンパイプ44Bに接続あるいは取外しがなされるようにな
つている。 上記実施例によれば、グラビア印刷機10の運転中に、
温水供給パイプ44Aからフレキシブルパイプ40Aを介して
小径パイプ32内に供給された温水は、中空の回転中心軸
16内の内側流路16Aに流出し、ここから、連通孔16Bを通
つて、隙間24B内に入り、更に、螺旋突条14Aによつて形
成された加温流体流路14内に入り込む。 従つて、温水は、螺旋状の加温流体流路14を通り、こ
のとき、印刷シリンダー12の周方向内側面12Aを加温し
て、該印刷シリンダー12の外周に付着するインキを加温
することになる。 加温流体流路14の、第3図において左端から流出した
温水は、隙間24Cから連通孔16Cを経て内側流路16Aを通
り、更に、給排水管38における、前記小径パイプ32の外
側を通過して排水口38Bに至る。 排水口38Bからは、フレキシブルパイプ40Bを経てリタ
ーンパイプ44Bに戻される。 従つて、印刷シリンダー12の外周面はその運転中に常
時加温され、これに付着したインキの冷却による粘性増
大が防止されることになる。 更に、ドクターブレード46の裏側に配置された、温水
流路46Aに、温水供給パイプ44Aから温水が供給され、且
つリターンパイプ44Bに戻される経路で、温水が常時循
環するため、該ドクターブレード46が加温されることに
なる。 特に、温水流路46Aはドクターブレード46とインキ返
し47Aの間の、ドクターブレード46により掻き取られた
インキのインキ溜りの中に配置されることになるので効
率的にインキを加温することができる。 従つて、グラビア印刷機10の運転中に、ドクターブレ
ード46の裏側に溜るインキが加温されて、粘性が高くな
らないために、固まつて氷柱状になつたりすることがな
い。 更に、この実施例においては、インキパン50及びイン
キタンク52にも、それぞれ温水流路50A及び52Aが形成さ
れ、これに温水供給パイプ44Aから温水が供給され、且
つリターンパイプ44Bに戻されるので、これらインキパ
ン50及びインキタンク52内のインキも加温されて、その
粘性が大きくなることを抑制できる。 又、前記螺旋突条14Aと周方向内側面12Aとの間に隙間
があるために、印刷シリンダー12の外周にメツキをする
場合、これを均一にすることができる。 即ち、印刷シリンダー12の表面には、通常、直銅メツ
キと言われる400〜1200μmの銅メツキと、この直銅メ
ツキの外側にバラードメツキと言われる100〜200μmの
硬質の銅メツキが施され、更に、バラードメツキに彫刻
をした盤にクロムメツキがなされ、又印刷面の変更の際
の再メツキ、再彫刻等頻繁にメツキをするが、その際、
螺旋突条14Aが周方向内側面12Aに接触していないので、
印刷シリンダー12A表面をメツキ電極として均一とする
ことができ、これによりメツキの質を向上させることが
できる。又、彫刻時にも印刷シリンダー12の表面にうね
りが生じない。 なお上記実施例において、印刷シリンダー12の内側の
加温流体流路14は、該印刷シリンダー12の周方向内側面
12Aと、内側シリンダー22の周方向外側面22Aと、螺旋突
条14Aとによつて形成されているが、本発明はこれに限
定されるものでなく、印刷シリンダー12の周方向内側面
12Aに沿つて加温流体を流すことができ、且つ、螺旋突
条又はこれに相当する部材が周方向内側面12Aに接触し
ないものであればよい。 従つて、例えば、内側シリンダー22の周方向外側面22
Aに、幅方向両側が突条となる溝を形成してもよい。 又、前記加温流体流路14は印刷シリンダー12の軸方向
両端部において隙間24B及び24Cに連通されているが、例
えばパイプ等により加温流体流路14のシリンダー軸方向
端部に、回転中心軸16の内側空間を連通できるようにす
れば、隙間24B、24Cを設ける必要がない。 更に、前記加温流体流路14は、螺旋突条14Aによつて
印刷シリンダー12の周方向内側面12Aに沿つて螺旋状に
形成されているが、加温流体流路14は、温水等の加温流
体をできるだけ均一に周方向内側面12Aに沿つて流すこ
とができるものであればよい。 従つて、例えば印刷シリンダー12の軸方向中心位置か
ら加温流体を流入させ、軸方向両端から排出するような
加温流体流路であつてもよい。この場合、加温流体流路
は螺旋状にしてもよく、更には印刷シリンダー12の円周
方向に、軸方向の流路を多数併設してもよい。 更に上記実施例は、中空の回転中心軸16内に小径パイ
プ32を挿入配置し、一方を温水供給路、他方を排水路に
構成しているが、これは、例えば中空の回転中心軸16の
軸方向一方の端部から加温流体を流入させ、加温流体流
路14を経て、回転中心軸16の他方の端部から排出するよ
うにしてもよい。 又、使用される加温流体は温水以外の流体、例えば油
等であつてもよい。
【発明の効果】
本発明は、上記のように構成したので、インキの冷却
による粘性増大を抑制して、印刷品質の向上を図ること
ができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係る印刷シリンダー加温装置を備えた
グラビア印刷機の実施例を示す一部管路図を含む略示側
面図、第2図は同グラビア印刷機の一部管路図を含む略
示正面図、第3図は同実施例における印刷シリンダーを
拡大して示す断面図、第4図は同実施例におけるドクタ
ーブレード近傍を拡大して示す側面図である。 10……グラビア印刷機、 12……印刷シリンダー、 12A……周方向内側面、 14……加温流体流路、 16……回転中心軸、18……流体供給路、 20……流体排出路、22……内側シリンダー、 22A……周方向外側面、 4A……温水供給パイプ、 44B……リターンパイプ。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】中空の印刷シリンダーの周方向内側面に沿
    つて形成された加温流体流路と、前記印刷シリンダーの
    回転中心軸を通つて形成され、前記加温流体流路に加温
    流体を供給する流体供給路及び加温流体流路から流体を
    排出する流体排出路と、を有してなり、前記加温流体流
    路は、前記印刷シリンダーの内側にこれと同軸一体的に
    回転するように設けられた内側シリンダーの周方向外側
    面と、この周方向外側面に設けられた突条と、前記印刷
    シリンダーの周方向内側面と、により、該周方向内側面
    と前記周方向外側面との間に形成され、前記周方向内側
    面と突条の外周端との間には隙間が形成されている印刷
    シリンダーの加温装置。
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