JP2682099B2 - 易溶性重曹およびその製造方法 - Google Patents

易溶性重曹およびその製造方法

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    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01DCOMPOUNDS OF ALKALI METALS, i.e. LITHIUM, SODIUM, POTASSIUM, RUBIDIUM, CAESIUM, OR FRANCIUM
    • C01D7/00Carbonates of sodium, potassium or alkali metals in general
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は易溶性重曹及びその製造方法、特に血液透析
液等の医薬品あるいは食品などの用途に適する易溶性で
取り扱いの容易な重曹に係るものである。
(従来の技術) 重曹は一般に粉体として取り扱われており、用途によ
って各種の粉体特性、例えば流動性,粒子の大きさ,嵩
比重,溶解性等を有するものが要求される。
これら重曹の製法としては、炭酸ソーダを含む水溶液
を重炭酸化するか、あるいは重曹を含む溶液を冷却する
かして重曹結晶を析出せしめる方法が一般的である。
(発明が解決しようとする課題) しかしながら、これらの方法によって得られる重曹
は、針状あるいは板状になり易く、微小粒子であるた
め、流動性に乏しく、嵩比重が小さく、取り扱い難いも
のであるのが一般的であった。
これらの物性のうち流動性は各用途共に取扱い上重要
な要素である。この為、流動性を改善せんものとして例
えば媒晶剤を用いたり、析出条件等を特定化して結晶の
形状や大きさを制御することが提案されている。(例え
ば特公昭48−17160号,特開昭55−60021号,特開昭60−
60925号各公報参照)しかしながら、これらの方法は確
かに流動性の改善には有効ではあるが、溶解や反応を行
なわしめる用途に対しては逆に溶解速度や反応速度が著
しく低下する欠点を有している。
また、有機質のバインダーを用いて重曹を造粒するこ
とにより流動性と溶解性の両方の特性を改善することも
考えられているが、この場合造粒物に有機質のバインダ
ーが残ってしまうという問題点がある。
(課題を解決するための手段) 本発明者は、これら従来法が有している欠点を排除
し、十分な流動性と共に易溶性をも兼ね備えた重曹を得
ることを目的として種々研究,検討した結果、重曹を特
定の物性を有する顆粒状にすることにより前記目的を達
成し得ることを見出した。かくして本発明は、有機質の
バインダーを含まず実質的に重曹の組成から成り、結晶
性1次粒子が凝集結合した顆粒状重曹であって、その溶
解時間が1次粒子の溶解時間の3倍以下であり、摩耗率
が50%以下であり、安息角が50度以下である易溶性重曹
およびその製造方法を提供するものである。
本発明において、溶解時間とは次の様に定義される。
容量1のビーカーに500mlの水を入れ、25℃に保持
し、54mmφのプロペラ型撹拌浴を持つ撹拌機にて600r.
p.mで撹拌しつつ、試料50gをビーカーに投入し、その90
%が溶解した時間をもって溶解時間とする。溶解量は溶
液を撹拌しながら、定期的にその一部を少量ずつサンプ
リングして分析することにより求める。
また、摩耗率とは次の様に定義される。試料30gを100
または65または32メッシュのいずれか1つの標準篩(直
径20cm)に入れ、軽く篩ってその目開き以下の粒径の2
次粒子を取り除き残った粒子の重量を測定し、これをA
とする。次に篩上に粒子を入れたまま篩の面を水平に保
ち、篩の面に並行に直径15mmの円を描くように200回転
/分で1時間振動させる。この振動のため篩上で破砕し
て篩を通過した粒子の重量を測定し、これをBとする。
B/Aの割合を%で表示し、これを摩耗率とする。ここで
篩は、以下のように粒径に応じて選ぶ。あらかじめ2次
粒子の粒径分布を測定して粒径の小さい方から10重量%
に相当する粒径を求めておく。その粒径が210μ未満の
場合は100メッシュの篩を用いる。その粒径が210μ以上
500μ未満の場合は65メッシュの篩を用いる。その粒径
が500μ以上の場合は32メッシュの篩を用いる。
また、安息角は底面限定法による。本明細書において
は、細川ミクロン(株)製のパウダーテスターで測定し
た値である。
かくして本発明による重曹は、有機質のバインダーを
含まず実質的に重曹の組成から成り、結晶性1次粒子
(以下1次粒子という)が凝集結合した顆粒状重曹(以
下2次粒子という)の形態となっている。本発明の顆粒
状重曹は、重曹が97重量%以上、好ましくは99重量%以
上含まれていることが好適である。本発明において1次
粒子に存在していても特に差し支えない重曹以外の成分
は、炭酸ソーダあるいはセスキ炭酸ソーダである。
かかる重曹を構成する結晶性1次粒子は、粒子径100
μ以下の粒子が60重量%以上、望ましくは90重量%以上
であることが好ましい。1次粒子の粒子径が100μを超
えたものが多く存在する程、摩耗率が高くなり、また溶
解時間が長くなる。
また、1次粒子の平均アスペクト比について、4以
下、より好適には2以下を採用する場合は、摩耗率の低
下を防ぐことが出来るので好ましい。
本発明による易溶性顆粒状重曹は、その物性として溶
解時間が1次粒子のそれの3倍以下である必要がある。
溶解時間が3倍を超える場合には、1次粒子に比べて溶
解性が低下しすぎるので不適当である。
また、摩耗率が50%以下である必要がある。これが50
%を超える場合には、輸送等の取り扱い過程で2次粒子
が崩壊し、1次粒子そのものとなり、飛散したりして使
用時に取り扱いが困難となるので不適当である。
また、安息角は50度以下である必要がある。安息角が
前記範囲を超える場合には、流動性が悪くなり、例えば
他の固体材料と均一に混合することが困難となるので不
適当である。
2次粒子の平均粒子径としては、0.1〜5mmが好まし
い。平均粒子径が前記範囲に満たない場合には流動性が
悪く、逆に前記範囲を超える場合には摩耗強度が低下す
る虞れがあるので何れも好ましくない。
本発明の易溶性顆粒状重曹を製造する方法としては、
例えば次の様な方法が好ましい。
先ず、結晶性1次粒子からなる原料重曹粉末に、水分
が0.5〜10重量%となる様に液体を混合して造粒する。
加える水分の量が前記範囲に満たない場合には2次粒子
の摩耗率が大きくなり、逆に前記範囲を超える場合には
造粒が困難となるので何れも好ましくない。
造粒時に加える液体としては、水を用いることもでき
るが、造粒物の1次粒子間に存在する液相として炭酸ソ
ーダ水溶液が形成されるような液体を用いる場合は、後
述の乾燥工程において重曹1次粒子間においてこの水溶
液中の炭酸ソーダと炭酸ガスとが反応して新たな重曹が
析出し、1次粒子間の結合強度が向上するため摩耗率を
低減できるので好ましい。
この水溶液の濃度は、フェノールフタレンで着色する
程度でも有効であるが、炭酸根が1〜19重量%の濃度に
なるようにするのが効果的である。この液体としては炭
酸ソーダ水溶液が好ましい。また、苛性ソーダ水溶液を
用いても造粒の際に苛性ソーダと重曹1次粒子が反応し
て1次粒子の間には炭酸ソーダ水溶液ができるので、始
めから炭酸ソーダ水溶液を用いるのと同じ効果を得るこ
とができる。同様に、セスキ炭酸ソーダなどの水溶液を
用いることもできる。
かかる条件に基づき実施される具体的造粒手段として
は、例えば湿式転動造粒、押出し造粒が適当であり、圧
縮成形法による造粒のように1次粒子が破壊されたり圧
縮固化されるような手段は、溶解時間が長くなるため好
ましくない。
造粒された粒子は次いで炭酸ガス雰囲気中で乾燥さ
れ、本発明の易溶性顆粒状重曹が得られる。この場合、
炭酸ガス雰囲気中の炭酸ガス濃度としては、乾燥時の重
曹の分解防止及び炭酸ソーダ分の重炭酸化を十分たらし
める理由から5%以上を採用するのが適用である。ま
た、この場合の乾燥温度としては30〜90℃程度を採用す
るのが適当である。
かかる条件に基づき実施される具体的乾燥手段として
は、例えばバンド乾燥機、回分式箱型乾燥機、円板乾燥
機、通気乾燥機、回転乾燥機等が挙げられる。
(実施例) 公知の方法によって得られた平均粒径50μであって、
粒子径100μ以下の粒子が90%存在し、平均アスペクト
比が2の重曹結晶1次粒子10kgに、炭酸根を12重量%含
有する炭酸ソーダ水溶液0.71Kgを添加し、重曹の水分が
5重量%となるように混合した。次に、これを双軸型押
し出し造粒機を用いて造粒し、平均粒径400μの造粒物
を得た。次いで炭酸ガス濃度20%、温度50℃に調整され
た熱風循環型乾燥機に前記造粒物を入れ、3時間乾燥せ
しめた。
この結果、顆粒状の2次粒子からなる重曹が得られ
た。その平均粒子径は、0.4mmであり、溶解時間は原料
重曹(1次粒子)の1.3倍であり、65メッシュの標準篩
を用いて測定した摩耗率3%、細川ミクロン(株)製の
パウダーテスターで測定した安息角は38度であった。そ
してかかる2次粒子は通常の取り扱いでは粉化せず、ま
た溶解に際して取扱いも容易であり、しかも極めて容易
に25℃の水に溶解した。

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】有機質のバインダーを含まず実質的に重曹
    組成から成り、結晶性1次粒子(以降1次粒子と称す)
    が凝集結合した顆粒状重層(以降2次粒子と称す)であ
    って、2次粒子の溶解時間が1次粒子の溶解時間の3倍
    以下であり、摩耗率が50%以下であり、安息角が50度以
    下である易溶性重曹。
  2. 【請求項2】1次粒子は、粒子径100μ以下の粒子が60
    重量%以上である請求項1の重曹。
  3. 【請求項3】1次粒子の平均アスペクト比が4以下であ
    る請求項1または2の重曹。
  4. 【請求項4】2次粒子の平均粒子径が0.1〜5mmである請
    求項1〜3いずれか1の重曹。
  5. 【請求項5】実質的に重曹から成る結晶性1次粒子を、
    水分が0.5〜10重量%となる様に液体と混合造粒し、炭
    酸ガス雰囲気中で乾燥することを特徴とする易溶性重曹
    の製造方法。
  6. 【請求項6】混合する液体が、重曹と混合したとき造粒
    物の1次粒子間に存在する液相として炭酸ソーダ水溶液
    が形成されるような液体である請求項5の製造方法。
  7. 【請求項7】造粒の方法が、押し出し造粒である請求項
    5または6の重曹の製造方法。
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