JP2681769B2 - カッター付きテープホルダー - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ロール状の粘着テープ
を回転自在に備えて、このロール状の粘着テープから引
き剥がしたテープを切断できるようにしたカッター付き
のテープホルダーに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】上記のカッター付きテープホルダーは、
一般には、ロール状粘着テープの保持リールを取り外し
並びに回転自在に備えるホルダー本体に、ロール状粘着
テープから引き剥がしたテープの端部を貼着保持するた
めのテープ保持部を設けると共に、このテープ保持部の
リール保持部とは反対側に、上縁部に鋸歯を備えたカッ
ターを設けて成るもので、所定の長さに引き剥がしたテ
ープをテープ保持部と鋸歯とに当て付けて、このテープ
を捩りつつ引っ張ることで、この所定の長さに引き剥が
したテープを切断することができるようになっている。

【０００３】ところで、上記の粘着テープはこれを一旦
紙などに張り付けると引き剥がすことは至難であって、
例えば用紙を粘着テープで仮止めするような場合或いは
後々にテープを引き剥がす必要のある、例えば包装紙を
接着対象にするような場合は、テープの引き剥がし端部
を粘着面側に折り返して摘み片を形成し、この摘み片を
テープ引き剥がしのきっかけにすることでテープの引き
剥がしを容易に行えるように苦慮している状況にある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、テープ端部に
摘み片を形成することは厄介で、特に手の不自由な方に
とっては至難であり、また、摘み片の長さも区々になる
ことから、例えば包装紙を対象にしたような場合は、見
栄えが悪くなる点で問題があった。

【０００５】本発明は、かゝる実情に鑑みて成されたも
のであって、必要に応じて長さがほゞ一定した摘み片
を、片手操作であっても簡単に形成できながらいとも簡
単に摘み片が形成でき、また、通常のテープの切断も簡
便に行え、使い勝手も格段に改善され、実用的価値の大
きな上に簡便に製造でき、廉価に提供できるカッター付
きテープホルダーを提供するを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明に係るカッター付きテープホルダーは、ロ
ール状粘着テープの保持リールを取り外し並びに回転自
在に備えるホルダー本体に、ロール状粘着テープから引
き剥がしたテープの端部を貼着保持するためのテープ保
持部を設けると共に、更にこのテープ保持部よりもテー
プ繰り出し方向側に、上縁部にテープ繰り出し方向に沿
ってテープ貼着部と鋸歯とをこの順に備えて板ばねで構
成されたカッターを設け、このカッターが、板ばねの弾
力によって前記テープ保持部に近接される状態と板ばね
の弾力に抗して離間される状態との二状態に切り換えら
れ、併せてこの板ばね構造のカッターは、下部側のみが
連なって板ばねの撓みに追従し且つ下部側以外は板ばね
の撓みに追従しないテープ突き上げ部材を備え、前記鋸
歯のテープ保持部に対して離間する状態において、前記
テープ突き上げ部材の上縁が、前記テープ保持部とテー
プ貼着部とにわたる仮想のテープ面よりも上方に突出さ
れるように構成されたものである。

【０００７】

【作用】上記のように構成されたカッター付きテープホ
ルダーの前記カッターの鋸歯は、常にはテープ保持部に
対して近接しているから、ロール状の粘着テープから所
定の長さに引き剥がしたテープをホルダー本体のテープ
保持部とカッターのテープ貼着部および鋸歯に当て付
け、このテープを捩りつつ引っ張ることによって、テー
プを所定の長さに切断することができる。

【０００８】また、テープ端部を押さえるようにカッタ
ーのテープ貼着部に指を当てがって、板ばねによるカッ
ターを撓ませつつ鋸歯をテープ保持部に対して離間する
状態に切り換えれば、この切り換えに伴ってロール状の
粘着テープからテープが引き剥がされてテープ保持部と
テープ貼着部との間に所定の長さのテープ部分が引き出
される。この状態で指を放せば、鋸歯は弾性復元力によ
って自動的にテープ保持部に対して近接する状態に弾性
復帰して、上記のテープ部分によってループが自動的に
形成され、このループを摘むことで必要に応じてテープ
端部に摘み片を形成することができる。

【０００９】即ち、必要に応じて鋸歯を前記二状態に切
り換えて、引き剥がしテープ部分の貼着部間に形成した
ループを摘むことで、長さがほゞ一定した摘み片をテー
プ端部に形成することができるのであり、勿論、摘み片
を必要としないならば、上記のループを形成しないで、
これまで通りのテープ切断の形態をとればよいのであ
る。

【００１０】そして、下部側のみが連なって板ばねの撓
みに追従し且つ下部側以外は板ばねの撓みに追従しない
テープ突き上げ部材を備えさせ、前記鋸歯のテープ保持
部に対して離間する状態において、前記テープ突き上げ
部材の上縁が、前記テープ保持部とテープ貼着部とにわ
たる仮想のテープ面よりも上方に突出されようにしてあ
る前記板ばね構造のカッターは、鋸歯をテープ保持部に
対して離間する状態から近接する状態に弾性復帰させて
ループを形成する際に、このテープ部分がこのテープ突
き上げ部材の上縁によって予め上方に持ち上げるように
働き、テープ部分によるループの形成を確実にする。

【００１１】尚、誤ってループを形成してしまったとし
ても、このループを形成しているテープ部分の端縁を前
記テープ貼着部から剥がしてループを解消すれば、簡単
に通常のテープ切断の形態をとることができる。

【００１２】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図１は本発明に係るカッター付きテープホルダー
の一実施例を示し、ホルダー本体１に、テープ摘み用の
指差し込み凹部２とロール状粘着テープ３の差し込み凹
部４とが形成されている。

【００１３】前記ロール状粘着テープ２の保持リール５
には、その中心部に中心軸６が設けられていると共に、
前記テープ差し込み凹部４の両側の本体部分１ａにはこ
の中心軸６を取り外し並びに回転自在に保持するための
Ｌ溝状のリール保持部７が形成されている。また、ホル
ダー本体１のテープ繰り出し方向側端部にはカッター保
持台８が一体に設けられ、前記ロール状粘着テープ３か
ら引き剥がしたテープ端部を貼着保持するための金属製
の回転ピンから成るテープ保持部９を上面部に備えてい
る。

【００１４】図中１０は上縁部に鋸歯ａとテープ貼着部
１１とを備えた板ばね製のカッターで、前記カッター保
持台８の前面に、図示されるように、下端部が固定的に
取付けられ、この取付け部分より上方側が、この板ばね
の撓み変形を基にして、前記鋸歯ａをテープ保持部９に
対して近接される状態と離間される状態との、二状態に
切り換え自在となっている。

【００１５】そして、前記板ばね構造のカッター１０
は、図２に示したように、板ばねの幅方向両側と上部側
とが切り込まれて、下部側１７ａのみがカッター１０に
連なった状態のテープ突き上げ部材１７が備わった構成
とされ、実質的にテープ突き上げ部材１７が連設された
カッター１０の下端部分、具体的には、テープ突き上げ
部材１７の下部側１７ａよりも下の部分（明瞭なように
編み目模様ｊを付している。）がホルダー本体１に差し
込まれて固定されている。また、前記鋸歯ａをテープ保
持部９に対して離間する状態に切り換えた際に、前記テ
ープ突き上げ部材１７の上縁が、回転ピンから成るテー
プ保持部９とテープ貼着部１１とにわたる仮想のテープ
面Ｓよりも上方に突出するように構成される。

【００１６】次に、以上実施例に述べた構造の、先ず基
本的な作動の態様を説明する。通常のテープ切断は前記
鋸歯ａのテープ保持部９に対して近接する状態が弾性的
に保持された状態で行われるが、ループｒひいては摘み
片ｄの形成は次のようにして行われる。即ち、図３にも
示されるように、テープ端部を押さえるようにカッター
１０のテープ貼着部１１に指を当てがって、上記の板ば
ねによるカッター１０を撓ませつつ鋸歯ａをテープ保持
部９に対して離間する状態に切り換える。この切り換え
に伴って回転ピンから成るテープ保持部９が回転しつ
つ、ロール状粘着テープ３から所定の長さのテープが引
き出される。この所定長さで引き出されたテープ部分ｔ
は、テープ保持部９とテープ貼着部１１とにわたって貼
着された状態にある。ここで指を放して鋸歯ａを近接状
態に弾性復帰させると、上記のテープ部分ｔが貼着部
間、つまり前記テープ保持部９とテープ貼着部１１との
間で上方に膨らんで、同図想像線で示されるように、粘
着面を内側に向ける状態のループｒが形成されることに
なり、このテープ部分ｔのループｒを摘むことでテープ
端部に摘み片ｄが形成される。

【００１７】このようにして形成される摘み片ｄは、そ
の長さが常にほゞ一定であることから、例えば包装紙を
接着対象にした場合の見栄えが良く、また、片手操作で
簡単に摘み片ｄを形成することができるので、特に手の
不自由な人にとって頗る朗報である。

【００１８】そして、本発明の特徴的な作動の態様は次
の点にある。即ち、前記鋸歯ａをテープ保持部９に対し
て離間する状態に切り換えるべく、板ばね構造のカッタ
ー１０を撓ませた場合、テープ突き上げ部材１７は、そ
の下部側１７ａのみは板ばねの撓みに追従して撓むが、
これ以外は板ばねの撓みには追従しない。従って、図３
に示されるように、前記鋸歯ａをテープ保持部９に対し
て離間する状態に切り換えた際に、前記テープ突き上げ
部材１７の上縁が、回転ピンから成るテープ保持部９と
テープ貼着部１１とにわたる仮想のテープ面Ｓよりも上
方に突出するので、鋸歯ａをテープ保持部９に対して離
間する状態から近接する状態に弾性復帰させてループｒ
を形成する際に、このテープ部分ｔがテープ突き上げ部
材１７によって予め上方に持ち上げられていることか
ら、テープ部分ｔによるループｒが確実に形成されるの
である。

【００１９】鋸歯ａをテープ保持部９に対して離間する
状態に切り換える際に、粘着テープがテープ突き上げ部
材１７の上縁ｍを移動することから、また、粘着テープ
を上縁ｍから剥がれ易くするためにも、好適には、接着
やコーティングなどの手段によって、粘着テープが引っ
つき難い樹脂材などを上縁ｍに付することである。

【００２０】また、前記回転ピンは、文字通り回転する
ために、固定的に設けられたテープ保持部に較べると、
勿論テープ貼着面積が格段に少なくなることも加味され
て、テープの繰り出しを極めてスムースに現出してく
れ、併せてテープの貼着面を不必要に傷めたり、また粘
着剤を不用意に剥離させてしまったりする欠点が少な
い。そして特に、ループｒの形成時には特段の機能を発
揮する。つまり、ループｒを形成すべく、カッター１０
の鋸歯ａをテープ保持部９に対して離間する状態から近
接する状態に切り換えた時に、繰り出し時に掛かったテ
ープへのテンションによって、この回転ピンにはテープ
繰り出し時点とは逆向き（図上反時計回り方向）の回転
作用が付与され、その結果この回転ピンのテープ貼着部
分がテープを貼着したままリール保持部７側に向けて逆
転し、この回転ピンからカッター１０のテープ貼着部１
１にある繰り出しテープ部分の、特に回転テープ側に、
これを積極的に上方に持ち上げるような作用力が働き、
ループｒの形成をより確実になるのである。

【００２１】この回転ピンは、前記カッター保持台８の
上端に、左右の壁部分から一体に突設させたホルダー部
分にその両端部分が回転自在に保持される構造の他に
も、例えば、前記リール保持部と同様の形状を備えたＬ
形の溝、或いはテープ繰り出し方向側ほど下がり勝手と
なった傾斜溝等の溝を、その開口をこのホルダー部分の
上辺側に開放させた状態で、このホルダー部分の内側面
に穿設したり、或いはリブをホルダー部分の内側面に突
設して前記の溝を形成したりして、ここにこの回転ピン
の両端を回転自在に嵌合させたり、別途金属板から成る
ホルダーをこのカッター保持台８の上端に取付け、これ
にこの回転ピンの両端を回転自在に保持させたり、更に
は、回転ローラーを保持した支軸をホルダー部分に支持
させる等種々の変形例を採用できる。

【００２２】また、前記テープ保持部９は、図例では、
回転ピンが採用されているが、例えばその上面が、テー
プ繰り出し方向に沿った断面形状において、上方に膨出
する円弧面に形成されて、テープ貼着面積が少なくなる
ような形状に形成されても良い。これは、テープが必要
以上にこれらテープ保持部９の上面に張り付くのをより
効果的に防止するためで、要するにテープの剥離が容易
となる貼着面積とすれば良く、前記円弧面に代えて台形
も採用できる。

【００２３】また、前記テープ貼着部１１も前記と同様
の趣旨により、図例では台形に形成されているが、その
上面が、テープ繰り出し方向に沿った断面形状におい
て、上方に膨出する円弧面に形成されて、テープ貼着面
積が少なくなるような形状を採用できる。

【００２４】

【発明の効果】以上説明したように、本発明のカッター
付きテープホルダーによれば、基本的には、これまで通
りのテープ切断の形態をとれ、また、必要に応じてカッ
ターの鋸歯をテープ保持部に対して離間する状態と近接
する状態とに切り換えるだけで、テープのループが形成
できるので、このループを単に摘みさえすれば、いとも
簡単に摘み片が形成されるもので、従来に比べて、格段
に簡便に摘み片が得られ、その実用上の価値は大きい。
そして、この摘み片は片手操作であっても簡単に形成す
ることができるので、手の不自由な方にとっては頗る朗
報であり、しかも、この摘み片の長さは常にほゞ一定に
なることから、見栄えの面でも優れたものとなる。

【００２５】本発明は、以上のような基本的な特性を備
えることに加えて、特に前記カッターを揺動に伴って前
記鋸歯の二状態を切り換え現出させる板ばね構造にする
ことによって、必要に応じてカッターの鋸歯をこの板ば
ねの弾性に抗してテープ保持部から離間させれば、その
後板ばねの弾性復元力によって近接する状態に自動的に
切り換わって、テープのループが自動的に形成され、こ
のループを単に摘みさえすれば、いとも簡単に摘み片を
形できれ、また通常のテープの切断の際は、そのための
操作を何ら要することなく、常態では弾性復元力によっ
てテープ保持部に対して近接する状態にあるカッターの
鋸歯によって簡便に行え、格段に簡便に摘み片が得られ
る上に使い勝手も改善され、その実用上の価値は大き
い。

【００２６】併せて本発明は、下部側以外は板ばねの撓
みに追従しないテープ突き上げ部材を設け、前記鋸歯の
テープ保持部に対して離間する状態において、前記テー
プ突き上げ部材の上縁を、前記テープ保持部とテープ貼
着部とにわたる仮想のテープ面よりも上方に突出させる
ように構成してあるので、ループの形成をより効果的
に、しかも確実に行えながら、カッターとこのテープ突
き上げ部材とを、例えば打ち抜き等によって、一体的に
製作できから、簡便な製造を可能にし、廉価に提供でき
る。

【００２７】尚、前記テープ保持部を回転ピンにする
と、ループを形成すべく、カッターの鋸歯をテープ保持
部に対して離間する状態から近接する状態に切り換えた
時に、テープ自身のテンションによって、この回転ピン
にはテープ繰り出し時点とは逆向きの回転作用が付与さ
れ、その結果この回転ピンのテープ貼着部分がテープを
貼着したままリール保持部側に向けて逆転し、この回転
ピンからカッターの貼着部にある繰り出しテープ部分の
回転ピン側部分に対して、該部位に積極的に上方に持ち
上げるような作用力を働かせので、特にループが確実に
形成でき、摘み片の確実な形成に効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るカッター付きテープホルダーの実
施例を示し、カッター付きテープホルダーの一部を破断
した全体側面図である。

【図２】本発明に係るカッター付きテープホルダーの実
施例を示し、板ばね構造を表した斜視図である。

【図３】本発明に係るカッター付きテープホルダーの実
施例を示し、作用の説明図である。

【符号の説明】

１…ホルダー本体、３…ロール状粘着テープ、５…保持
リール、９…テープ保持部（回転ピン）、１０…カッタ
ー、１１…テープ貼着部、１７…テープ突き上げ部材、
１７ａ…下部側、ａ…鋸歯、ｂ…ガイド溝、ｄ…摘み
片、ｍ…上縁、ｔ…テープ部分、Ｓ…仮想のテープ面。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ロール状粘着テープの保持リールを取り
   外し並びに回転自在に備えるホルダー本体に、ロール状
   粘着テープから引き剥がしたテープの端部を貼着保持す
   るためのテープ保持部を設けると共に、更にこのテープ
   保持部よりもテープ繰り出し方向側に、上縁部にテープ
   繰り出し方向に沿ってテープ貼着部と鋸歯とをこの順に
   備えて板ばねで構成されたカッターを設け、このカッタ
   ーが、板ばねの弾力によって前記テープ保持部に近接さ
   れる状態と板ばねの弾力に抗して離間される状態との二
   状態に切り換えられ、併せてこの板ばね構造のカッター
   は、下部側のみが連なって板ばねの撓みに追従し且つ下
   部側以外は板ばねの撓みに追従しないテープ突き上げ部
   材を備え、前記鋸歯のテープ保持部に対して離間する状
   態において、前記テープ突き上げ部材の上縁が、前記テ
   ープ保持部とテープ貼着部とにわたる仮想のテープ面よ
   りも上方に突出されるように構成されていることを特徴
   とするカッター付きテープホルダー。