JP2681529B2 - ハロゲン化銀乳剤 - Google Patents

ハロゲン化銀乳剤

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JP2681529B2 JP2073079A JP7307990A JP2681529B2 JP 2681529 B2 JP2681529 B2 JP 2681529B2 JP 2073079 A JP2073079 A JP 2073079A JP 7307990 A JP7307990 A JP 7307990A JP 2681529 B2 JP2681529 B2 JP 2681529B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は写真の分野において有用であるハロゲン化銀
(以後、AgXと呼ぶ)乳剤に関し、特に少なくとも分散
媒と、第1図に示す如く、互いに平行な双晶面を有し、
かつ、主平面が実質的に平坦で、かつ沃度含率の異なる
領域を有する表面層で構成されたAgX粒子とからなるAgX
乳剤に関する。
(従来の技術) 平行双晶面を有する平板上AgX乳剤粒子は特開平2−8
38号公報に記載されている多くの利点の他、目的に応じ
て該粒子のアスペクト比を1以上、通常は1〜20領域に
おいて自由に変えることができるという利点をも有す
る。しかし、該粒子の比表面積が大きい為に、特に粒子
サイズが大きくなると潜像が分散しやすいという欠点を
有する。従つて高感度・高画質化の為には、該平板粒子
の化学増感核の位置や数/cm2を限定することが必要であ
る。その限定方法に関しては本発明者による特開平2−
838号公報及び特開平2−146033号公報にまとめて記載
されている。本発明はそれらの内、1つのAgX粒子表面
上にハロゲン組成が互いに異なる領域をもつAgX層を有
するAgX粒子を用いて、上記問題点を解決したAgX乳剤を
与えるものである。
(発明が解決しようとする課題) 本発明の目的はアスペクト比を自由に変えることがで
きる平行双晶乳剤粒子において、化学増感核の位置と数
/cm2が十分に制御されたAgX乳剤を与えることにより感
度・画質・現象進行性を改良することが可能なAgX乳剤
を提供することにある。
(課題を解決するための手段) 本発明は、少なくとも分散媒とハロゲン化銀粒子とを
含有し、その全ハロゲン化銀粒子の投影面積の35%以上
に相当する量のハロゲン化銀粒子が、互いに平行な双晶
面を有し、かつ主平面が実質的に平坦な粒子であるハロ
ゲン化銀乳剤であって、その双晶面を有するハロゲン化
銀粒子が、上記主平面において露出した表面を持つ低沃
度含率表面層と、その低沃度含率表面層の上記主平面に
沿う周囲に形成された、低沃度含率表面層よりも沃度含
率が3モル%以上高い高沃度含率表面層とから構成さ
れ、かつ化学増感核が低沃度含率表面層上に優先的に形
成されていることを特徴とするハロゲン化銀乳剤にあ
る。
次に本発明のハロゲン化銀乳剤の好ましい態様を記載
する。
1)上記の双晶面を有するハロゲン化銀粒子における主
平面で露出する低沃度含率表面層の表面の面積に対する
高沃度含率表面層の表面の面積の割合が1/3〜35/1(高
沃度含率表面層表面の面積/低沃度含率表面層表面の面
積)の範囲にある上記のハロゲン化銀乳剤。
2)上記の双晶面を有するハロゲン化銀粒子において低
沃度含率表面層上に優先的に形成されている化学増感核
の単位面積当りの数が、高沃度含率表面層上に形成され
る化学増感核の単位面積当りの数の2倍以上である上記
のハロゲン化銀乳剤。
3)上記の双晶面を有するハロゲン化銀粒子において低
沃度含率表面層上に優先的に形成されている化学増感核
の単位面積当りの数が、高沃度含率表面層上に形成され
る化学増感核の単位面積当りの数の5倍以上である上記
のハロゲン化銀乳剤。
4)全ハロゲン化銀粒子の投影面積の60%以上に相当す
る量のハロゲン化銀粒子が、上記の双晶面を有するハロ
ゲン化銀粒子である上記ハロゲン化銀乳剤。
5)高沃度含率表面層の沃度含率が、低沃度含率表面層
の沃度含率よりも7〜35モル%の範囲の間のモル%にて
高くされている上記のハロゲン化銀乳剤。
6)上記の双晶面を有するハロゲン化銀粒子が平行二重
双晶粒子である上記のハロゲン化銀乳剤。
7)上記の双晶面を有するハロゲン化銀粒子のアスペク
ト比が3〜20の範囲にある上記のハロゲン化銀乳剤。
8)上記の双晶面を有するハロゲン化銀粒子が変動係数
20%以下の単分散粒子である上記のハロゲン化銀乳剤。
9)上記の双晶面を有するハロゲン化銀粒子の高沃度含
率表面層上にシアニン色素が優先的に吸着されている上
記のハロゲン化銀乳剤。
まず、本発明のハロゲン化銀粒子構造について詳述
し、次に本発明のハロゲン化銀乳剤の製造方法について
詳述する。
<本発明のAgX粒子の構造> 本発明のAgX粒子は1つのAgX粒子中に互いに平行な双
晶面を2枚以上、好ましくは2枚有するAgX粒子(平行
2重双晶粒子)である。平行2重双晶粒子と平行3重双
晶粒子が混在していてもよいが、平行2重双晶粒子が投
影面積比率で70%以上を占めることが好ましい。それは
より平板粒子比率を高くし、よりサイズ分布を狭くでき
る為である。これに関しては特開昭63−151618号、特開
平2−838号公報の記載を参考にすることができる。
該双晶面の枚数は、該AgX乳剤塗布フイルムの断面の
超薄層(〜0.1μm厚)切片を、低温(液体窒素温度も
しくは液体He温度)でTEM像(透過型電子顕微鏡写真
像)を観測することにより確認することができる。これ
に関してはD.L.Blackら、The International East West
Symposium II,予稿集C−71(1988年)の記載を参考に
することができる。その他、該双晶面の枚数は、AgX粒
子の形状からも判定することができる。即ち、平行2重
双晶粒子の主平面の形状は(最大隣接辺比率≦2)の六
角形である。ここで最大隣接辺比率とは、1つの六角平
板粒子において六角形を形成する辺の(最大辺長/最小
辺長)を示す。一方、平行3重双晶粒子の主平面の形状
は三角形である。この双晶面の枚数と粒子形状の関係に
ついてはJ.E.Maskasky,J.Imaging Sci.,31,15〜26(198
7年)の記載を参考にすることができる。
本発明のAgX粒子は第1図に示す如く、主平面が実質
的に平坦で、かつ、互いに沃度含率の異なる領域を有す
る表面層(低沃度含率表面層と高沃度含率表面層)で構
成されるが、ここでいう低沃度含率表面層とは沃度含率
が7mol%以下、好ましくは4%mol以下、Cl含率が好ま
しくは60mol%以下、より好ましくは30mol%以下のAgBr
ClIを指す。一方、該高沃度含率表面層とは沃度含率が4
mol%〜固溶限界、好ましくは7〜35mol%、Cl含率が10
mol%以下、好ましくは3mol%以下のAgBrClIを指す。ま
た同一のAgX粒子においては該高沃度含率層と該低沃度
含率層の沃度含率差は3mol%以上、好ましくは7〜35mo
l%である。また、ここでいう表面層とは好ましくは10
格子層〜100格子層、特に好ましくは50格子層〜100格子
層を指す。
本発明のAgX粒子の具体的な断面構造および上面構造
図は第1図の模式図で示される。
第1図はコア部の表面層が低沃度含率層である場合の
粒子の断面構造図を示す。コア部は第1図(a)に示す
ようにコア部全体が低沃度含率層であつてもよく、第1
図(b)に示すように高沃度含率中心部上に低沃度含率
層をカバーした形態であつてもよく、第1図(c)に示
すように高沃度含率中心部の主平面上のみ低沃度含率層
を積層させた構造であつてもよい。しかし、製造プロセ
ス的には第1図(a)の構造の粒子は最も容易に調製で
きるというメリツトをもつ。
該粒子構造は、コア乳剤の一部を採取して該粒子の平
均厚さをTEM像で観測しておき、次に、該コア乳剤粒子
を成長させた後の平均厚さを測定し、両者が同一である
ことを確認することにより確かめることができる。その
他、細く絞つた電子ビームを走査し、その時に発生する
特性X線等を観測することによる分析法〔Electron Pro
be Microanalysis(EPMA)法,分析電子顕微鏡法〕によ
つて確認することができる。これについては井上,Konic
a Tech.Report,2巻,116頁(1989年),日本写真学会,
「春季講演会予稿集」46頁(1987年)の記載を参考にす
ることができる。
該低沃度含率表面層と該高沃度含率表面層間のハロゲ
ン組成変化は漸増型でも、急峻型でもよく、それぞれの
目的に応じて選ぶことができる。即ち、急峻型にする
と、特開昭63−220238号記載の如き効果が得られるし、
ゆるやかな変化の場合には、電子トラツプ性欠陥の少な
い粒子が得られる。これらに関しては特開昭63−92942
号、同59−45438号、同61−24515号、同60−143331号の
記載を参考にすることができる。
本発明のAgX粒子は第1図に示す如く、主平面が互い
に沃度含率の異なる表面層で構成され、更に化学増感核
が一方の結晶表面上に優先的に形成されていることを特
徴とするが、この場合の優先的とは(優先的に化学増感
核が形成される結晶表面上の化学増感核の数/cm2)/
(優先的に化学増感核が形成されない結晶表面上の化学
増感核の数/cm2)が2以上、好ましくは5以上を指す。
この比率を直接に観測することは難しい。しかし、AgX
乳剤塗布物に露光〔1秒露光。露光量は露光し、MAA−
1現像液で20℃、10分間の現像をした時、(最大濃度−
最小濃度)×1/2の濃度を与える露光量〜その10倍量の
露光量である。該露光量以下では抑制現像核を有しない
粒子が多くなり、計測しがたくなる為である。〕し、そ
の化学増感核(感光核)に潜像を形成し、抑制現像し、
その抑制現像核を電子顕微鏡観察で見えるようにしてか
ら、その抑制現像核の数を数えるという方法で、化学増
感核の上記比率を求めることができる。この手法に関し
てはD.C.Birchら、Journal of Photographic Science,2
3巻,249〜256頁(1975年)、特開昭64−62631号に記載
されている。ここで化学増感核とはイオウ、セレン、テ
ルル、金および第8族貴金属化合物の単独およびその組
み合わせからなる化学増感核で、最も好ましくは(金−
イオウおよび/またはセレン増感核)である。通常、イ
オウ増感核、金増感核、貴金属増感核およびその組み合
わせで呼ばれ、詳細は後述の文献を参考にすることがで
きる。
本発明の更に好ましい態様として、前述の如く化学増
感核の生成場所が限定され、かつ、該場所における化学
増感核の数cm2も限定された態様を挙げることができ
る。
本発明のAgX粒子の化学増感核は上述の如く、一方の
結晶表面層上に優先的に形成されていることを特徴とす
るが、この場合、化学増感核は、該低沃度含率表面層上
に優先的に形成されている方がより好ましい。それは、
通常、低沃度含率表面層上に潜像が形成された方が初期
現像速度がはやく、迅速現像処理ができる為である。更
には分光増感用のシアニン色素が、該高沃度含率表面層
上に優先的に吸着されている態様がより好ましい。それ
は潜像形成サイトと色増感サイトが分離され、光吸収過
程、潜像形成過程、現像過程に対し特願昭63−251215号
に記載した効果が得られる為である。更には第1図の態
様がより好ましい。それは、この態様は、潜像分散をよ
り効果的に防止する為である。特に、投影粒径が0.9μ
mφ以上でより効果が大きい。
本発明においては、化学増感核は該低沃度含率表面層
上に優先的に形成されていることが好ましいが、この場
合、(該高沃度含率表面層の表面積/該低沃度含率表面
層の表面積)は1/3以上が好ましく、1〜35がより好ま
しい。1/3より小さい場合は本発明の効果が小さくな
り、好ましくない。35より大きくなると、化学増感核の
生成場所が小さく限定されすぎてしまい、感光過程で、
電子捕獲断面積が小さくなりすぎる傾向がある。
本発明のAgX粒子の平均アスペクト比は1以上、好ま
しくは3〜20である。ここでアスペクト比とは(平板粒
子の直径)/(平板粒子の厚さ)で表わされる。更に粒
子の直径とは、粒子を光学顕微鏡または電子顕微鏡で観
察した時、粒子の投影面積と等しい面積を有する円の直
径を指すものとする。アスペクト比が3より小さくなる
と、平板粒子の特徴が小さくなり、20以上では単分散性
が悪くなる。
本発明のAgX粒子の全体の平均ハロゲン組成としてはA
gBrClIであり、Cl-含率は好ましく10mol%以下、より好
ましくは3mol%以下であり、I-含率は好ましくは2mol%
〜固溶限界、より好ましくは5〜30mol%である。Cl-
率とI-含率が決まれば、Br-含率は自動的に決まる。
本発明のAgX粒子の上記直径は0.2μm以上、好ましく
は0.3〜5μmである。
本発明のAgX粒子の粒子サイズ分布は単分散であるこ
とが好ましい。ここでいう単分散性は変動係数〔該平板
粒子の投影面積の円換算直径で表わされる量子サイズの
バラツキ(標準偏差)を平均粒子サイズで割つた値〕で
表わされる。本発明のAgX粒子の単分散性は、変動係数
で35%以下が好ましく、20%以下がより好ましく、15%
以下が最も好ましい。
本発明の平板状AgX粒子の主平面は実質的に平坦であ
るが、ここで実質的とは、該主平板上のくぼみが49格子
以下、好ましくは40格子以下、より好ましくは20格子以
下、更に好ましくは10格子以下であることを示す。即
ち、第1図において、該高沃度含率表面層に対する該低
沃度含率表面層のへこみは50格子より小である。本発明
のAgX粒子はこの点において特開昭63−311244号と異な
る。該特許は該平板粒子の中心部にエツチピツトや窪み
等の欠陥部(該深さが50格子以上、好ましくは300格子
以上)を導入し、該欠陥を利用して潜像を該平板粒子の
中心部に集中させることを主として意図したものである
が、本発明のAgX粒子は、該欠陥を利用することを意図
したものではない。
また粒子中に還元増感銀核を含んでいることが好まし
い。この還元増感銀核を有しているかどうかは、露光
し、常法により内部現像し、H−D曲線を書かせた時、
存在する内部かぶりの反転像が観察されることから、容
易に判断することができる。詳細は特開平2−146033号
公報の記載を参考にすることができる。
次に本発明のAgX乳剤の製法について述べる。
<本発明のAgX乳剤の製法> A.AgX乳剤の製法 本発明のAgX乳剤粒子は基本的には(核形成→熟
成)、もしくは(核形成→熟成→成長)によりコア粒子
(低沃度含率層に相当する)を形成し、次に該粒子を双
晶面と平行な方向にのみ結晶成長させることによりシエ
ル層(高沃度含率層に相当する)を形成することにより
製造することができる。該コア粒子の製法に関しては次
の文献の記載を参考にすることができる。即ち、従来の
平行双晶面を2枚以上有する平板状粒子の粒子形成法に
関しては特開昭58−113926〜113928号、および特開昭63
−151618号の引用文献の記載を参考にすることができ
る。また、特に、互いに平行な双晶面を2枚のみ有し、
かつ、中心部が低沃度含率AgBrIである粒子の製法に関
しては本発明者らによる特開昭61−151618号、特開平2
−838号公報の記載を参考にすることができる。一方、
特に、互いに平行な双晶面を2枚のみ有し、中心部が高
沃度含率AgBrIである粒子の製法に関しては本発明者に
よる特願平2−28638号公報の記載を参考にすることが
できる。簡単に記すと、分散媒を含む水溶液中でpBr1〜
2.5に保ちながら銀塩水溶液とハロゲン化物塩水溶液を
添加することにより核形成を行なう。核形成時に双晶面
が形成される頻度は種々の過飽和因子〔核形成時のゼラ
チン濃度、ゼラチンの種類、銀塩水溶液とハロゲン化物
塩水溶液の添加速度、反応溶液中のBr-、Cl-、I-濃度、
攪拌回転数、添加するハロゲン化物塩水溶液中のI-
率、AgX溶剤濃度、温度、pH、無関係塩濃度等〕に依存
し、その依存性は特開昭63−93942号の図面に示されて
いる。双晶面形成確率を上げすぎると、最終的に得られ
るAgX乳剤中に非平板状粒子比率が増す。従つてこれら
の図に依存性を見ながら、最終的に該平板粒子比率が高
くなるように該過飽和因子を調節すればよい。
核形成時の分散媒としてはゼラチンが好ましく、アル
カリ処理ゼラチン、酸処理ゼラチンの他、フタル化ゼラ
チン等の修飾ゼラチンも用いることができる。ゼラチン
の分子量としては、通常、写真業会で用いられる平均分
子量=10万のゼラチンの他、低分子量ゼラチン(分子
量が2000〜10万)を好ましく用いることができる。核形
成時のその他の条件およびそれに続く熟成条件に関して
は上記文献の記載を参考にすることができる。熟成過程
では、非平板状粒子を消滅させ、平板状粒子を残存させ
ることにより、平板粒子比率の高いコア乳剤粒子ができ
る。
該熟成が終つた段階でコア粒子とすることができる
が、通常は該乳剤に更に銀塩水溶液とハロゲン化物塩水
溶液を添加することにより平行双晶面と平行な方向、平
行双晶面と垂直な方向、もしくはその両方向に成長さ
せ、意図した粒子サイズ、アスペクト比、ハロゲン組成
のコア粒子を形成する。それについては次の記載を参考
にすることができる。
通常、該平板粒子を立方晶もしくは立方晶に近い14面
体晶領域のBr-濃度下で成長させると、平行双晶面に垂
直な方向に選択的に成長し、八面体晶もしくは平板粒子
生成領域のBr-濃度下で成長させると平行双晶面に平行
な方向に選択的に成長する。両者の中間のBr-濃度下で
成長させると、該両方向に成長する。但し、該立方晶や
八面体晶が生成するBr-濃度領域、結晶成長時のpH、過
飽和度、攪拌レベル、共存するAgX溶剤の量、ハロゲン
組成に依存する。これらについてはK,Murofushiら、Int
ernational Congress of Photographic Science,Tokyo
(1967年)、J.Rodgers,Symposium paper on Growth of
Photosensitive Crystals,Cambridge(1978年)、T.G.
Boggら、J.Phot.Sci.,24,81(1984年)の記載および特
開平1−158425号の記載を参考にすることができる。実
用的には次の方法で確認することができる。即ち、コア
平板粒子の平均厚さと平均粒径を該TEM像で求めてお
き、次に該乳剤を種種のBr-濃度下で成長させ、成長後
の該平板粒子の平均厚さと平均粒径を該TEM像より求め
る。そして両者を比較することにより平行双晶面に垂直
な方向に選択的に成長するBr-濃度領域、平板双晶面に
平行な方向に選択的に成長するBr-濃度領域、両方向に
成長するBr-濃度領域を確認することができる。例え
ば、コア粒子がAgBrで、該粒子に積層させるAgXがAgBr
0.90.1である場合、銀電位(対飽和カロメル電極)−
60〜0mVでC.D.J.(controlled double jet)添加で成長
させると、平行双晶面と平行な方向に選択的に成長し、
70〜120mVで成長させると、両方向に成長し、150mVで成
長させると、垂直方向に選択的に成長する。
一方、AgBrコア粒子上にAgBrを積層させる場合、−60
〜−20mVでは平行双晶面と平行な方向に選択的に成長
し、0〜+40mVでは両方向に成長し、120mVでは該垂直
方向に選択的に成長する。但し、温度はいずれも75℃、
pH6〜9である。
またAgBrコア粒子上にAgBrClを積層させる場合、反応
溶液中の過剰X-としてBr-を用いずにCl-を用いて成長さ
せた場合も垂直方向に選択的に成長する。
但し、該成長特性は結晶成長時の過飽和度にも依存す
る。通常、同じ銀電位でC.D.J.添加した場合、過飽和度
を高くする程、縦方向成長の割合が増す。この依存性は
第1図の中心部低沃度含率AgBrI型の場合は小さいが、
0.5μmφ以下の小粒径平板粒子では該依存性が大き
い。
該銀電位とBr-濃度の関係についてはT.H.James,The T
geory of Photographic Process,Fourth Edition,Chap.
1,Macmillan,New Yrok,1977年の記載を参考にすること
ができる。
これらの場合、より好ましい銀塩溶質の添加方法とし
て、実質的に多重双晶面を有しない0.15μmφ以下、よ
り好ましくは0.1μmφ以下のAgX微粒子乳剤を添加する
方法を挙げることができる。この場合、添加直前に該Ag
X微粒子を形成し、添加してもよいし、予め調製したAgX
微粒子を添加してもよい。直前に該微粒子を調製する方
法としては特開平1−183417記載の如く、微粒子を形成
しながら連続的に添加する方法の他に特願平2−142635
号記載の如く、添加直前にバツチ式で微粒子を添加する
方法が有効である。実質的に多重双晶面を有しない該Ag
X微粒子の調製法に関しては、特開平2−146033号の記
載を参考にすることができる。簡単に記すと、最終的に
得られたAgX粒子のレプリカのTEM像を観察しながら、前
記平行双晶粒子の該形成時の条件を、該双晶面が形成さ
れない方向に調節して核形成し、次に正常晶の成長領域
で成長させることにより得ることができる。ここで実質
的に多重双晶面を有しないとは、多重双晶を有する粒子
数割合が7%以下、好ましくは1%以下を指す。また多
重とは、2重以上を指す。
AgNO3水溶液とハロゲン化アルカリ塩水溶液を添加す
る方法(以後イオン添加法と記す)でかつ、攪拌効率が
よくない場合に対する該微粒子添加法の利点は次の通り
である。平行双晶面に平行な方向への選択成長性を上げ
る為に、反応溶液中のBr-濃度をKBr約5g/以上に上げ
ていくと、イオン添加法では種晶平板粒子の臨界成長
速度が低下する。早く成長する薄平板状粒子が新核とし
て発生しやすくなる。種晶平板粒子の成長が不均一に
なり、粒子サイズ分布が広がる。平行双晶面に垂直な
方向への成長も生じはじめる。という欠点を有する。こ
れはAgON3水溶液が添加された所で絶えず生じるAgX微粒
子が、成長速度の速い薄平板粒子となる為に、臨界成長
速度が低下し、成長系の過飽和度が下がる。しかし系の
AgX溶解度は高くなる(即ちAgBrn -(n-1)錯体濃度が高く
なる)為に、高溶解度条件下における低過飽和度成長と
なり、オストワルド熟成を伴なう成長となる為であると
考えられる。これに対しAgX微粒子添加法ではKBr3〜50g
/領域で調べた所、種晶平板粒子の臨界成長速度はBr-
濃度の増加とともに増加し、それはAgXの溶解度曲線と
よい相関性を示しあ。また、該領域ではいずれも平行双
晶面方向のみの選択成長を示し、粒子間においても均一
成長を示し、従つて単分散性のよい本発明の乳剤粒子が
得られた。この微粒子乳剤の添加法としては、連続的に
添加することもできるが、断続的に添加してもよい。し
かし、添加量が多すぎると、該微粒子間で熟成が生じ、
該微粒子の消失効率が悪くなる為に好ましくない。添加
した微粒子は30分以下で消失することが好ましく、15分
間以下で消失することがより好ましい。この場合の好ま
しい成長pBr領域はpBr1.8〜0.3で、より好ましくは1.6
〜0.4である。但し、該微粒子が消失した後、更に熟成
を続けると粒子サイズ分布が広がる方向であるので、た
だちに降温し、水洗することが好ましい。
イオン添加法の場合には、特願平1−76678明細書
(特開平3−21339号公報参照)記載の多孔添加の反応
装置が有効である。均一な添加が行なわれ、より選択性
の高い成長が得られる。
特開昭58−113927号には中心領域が低沃度含率で、横
方向に変位する領域の沃度含率が高い粒子を開示してい
るが、該明細書によると、「例えば、ヨウ化物濃度を平
板粒子の主要面の近くで増大させることができるし、通
常はそのように構成する。」と記載されており、通常は
第2図の構造であると記している。そして「中心領域と
横方向に変位する領域の沃化物濃度はこれらの領域内
(例えば第2図のA領域)の平均濃度を示す」と記載さ
れている。従つて該粒子は表面機能分離化されておら
ず、本発明の粒子とは異なる。
このような平板粒子成長特性を利用して、第1図に示
した構造で、かつ、望み通りの粒子サイズ、アスペクト
比、ハロゲン組成の平板状AgX粒子を形成することがで
きる。この場合、Br-は該平板粒子表面上に吸着し、一
種の結晶成長制御剤として働らいている訳である。従つ
てBr-以外の有効な結晶成長制御剤〔主に該粒子の〔11
1〕面上に選択的に吸着する吸着剤〕を用いることも有
効である。また、Br-と併用して用いることもできる。
該吸着剤に関しては例えば、米国特許4804621号、同480
1523号、欧州特許302528A2号の記載を参考にすることが
できる。
該選択成長性が完全でなく、該低沃度含率表面層上に
高沃度含率層が50格子層以下で積層された場合、該乳剤
にAgX溶剤を加えて熟成することにより、該積層部を除
去すればよい。これに関しては特開昭63−311244号の記
載を参考にすることができる。通常、AgX溶剤の添加量
を少なくし、熟成時間を短かくし、熟成温度を低くする
程、該くぼみの深さは浅くなる。従つてこれらの因子を
変化させた種々のAgX粒子を作り、該くぼみの深さをTEM
像で測定し、該エツチング条件を求めることができる。
B.化学増感法 このようにして互いに平行な双晶面を有し、かつ、第
1図に示される如く、主平面が互いに沃度含率の異なる
表面層(高沃度含率表面層と低沃度含率表面層)を有す
るAgX粒子を形成した後、化学増感を行ない、一方の結
晶表面層上に優先的に化学増感核を形成する。この場
合、化学増感核が優先的に形成されない結晶表面(以後
B面と呼ぶ)上に優先的に吸着する吸着剤を吸着させた
後、化学増感剤を添加して、該表面上への化学増感核形
成を防止することが好ましい。一般にシアニン色素の如
く、主にvan der Waals力で吸着する吸着剤の吸着強度
は(AgCl<AgBr<AgBrI)であることが知られている。
従つてシアニン色素を吸着させると、第1図の構造の粒
子で、吸着密度は(高沃度含率表面層上>低低沃度含率
表面層上)となる。一方、かぶり防止剤やAg+と親和性
を有するメロシアニン色素は、一般に酸の形(HL)で表
わされ、その溶解度積pKsp=−log〔Ag+〕〔L-〕とAgX
のpKspを比較した場合、AgXのpKsp値より大きく、か
つ、その差の大きい方のAgX粒子上に優先的に吸着する
為、その吸着密度は(AgBrI<AgBr<AgCl)となる。従
つてこれらの化合物を吸着させると吸着密度は(高沃度
含率表面層上<低沃度含率表面層上)となる。通常、該
高沃度含率表面層と該低沃度含率表面層の沃度含率差が
大きい方が、上記吸着密度差が大きくなる。
本発明の態様としては、上記の如く、次の2つの態様
が挙げられる。即ち、高沃度含率表面層上に吸着剤を
吸着させた後、化学増感剤を添加して化学増感し、低沃
度含率表面層上に優先的に化学増感核を形成する。低
沃度含率表面層上に吸着剤を吸着させた後、化学増感剤
を添加して化学増感し、高沃度含率表面層上に優先的に
化学増感核を形成する。この内、に対しての態様の
方がより好ましい。それは、通常、低沃度含率表面層上
に潜像が形成された方が、初期現像速度がはやく、迅速
現像処理ができる為である。
本発明の更に好ましい態様として前述の如く、化学増
感核の生成場所が限定され、かつ、該場所における化学
増感核の数/cm2も限定された態様を挙げることができ
る。この態様を実現する為の方法として、次の2つの方
法を挙げることができる。
(1) 該AgX乳剤粒子のB面上に優先的に吸着する吸
着剤を吸着させた後、更に、A面上の化学増感核の数/c
m2を限定する為の吸着剤を添加する。この場合の吸着剤
としてはi A面上にもB面上にも吸着し、該吸着選択性
の小さい吸着剤、ii A面上に選択的に吸着する吸着剤を
挙げることができる。
(2) 通常、B面上に優先的に吸着する吸着剤といえ
ども、該選択性は完全でない。従つて、一部はA面上に
も吸着する。また、一般的に吸着被覆率が高くなるにつ
れ、該選択吸着性は小さくなる。従つて、B面上に優先
的に吸着する吸着剤のみを使用した場合にも、上記の
「更に好ましい態様」が達成される。
基質の沃度含率の増加とともに吸着強度が増加する吸
着剤としてはシアニン色素を挙げることができ、具体例
としては(1,1′−diethyl−2,2′−cyanine chlorid
e)、(1,1′,3,3′−tetramethyl−2,2′−cyanin
e)、(アニオン性9−methyl thia−carbocyanine)、
〔5,5′−フエニル−9−エチル−3,3′−(2−スルホ
エチル)−オキサカルボシアニン−ピリジニウム塩〕、
〔Dye1=5,5′−クロル−9−エチル−3,3′−(3−ス
ルホプロピル)−オキサカルボシアニンNa塩〕、および
次のDye2、Dye3を挙げることができる。この中でDye1の
吸着の該沃度含率依存性は特に大きい為に好ましい。そ
の他のシアニン色素の具体例に関しては特願昭63−2512
15号および後述の文献の記載を参考にすることができ
る。
一方、基質の沃度含率の低下とともに吸着強度が増加
する吸着剤としては前記の如くかぶり防止剤やメロシア
ニン色素をあげることができる。この場合、該吸着剤の
pKsp値としては25℃で9.5〜16の化合物が好ましく、具
体例を挙げると次の通りである。かぶり防止剤としては
1−phenyl−5−mercaptotetrazole(pKsp16.2)、5
−methylbenzo−triazole(同13.6)、benzotriazole
(同13.5)、5,6−dimethylbenzo−triazole(同12.
7)、5−bromobenzo−triazole(pKsp12.7)、4−nit
ro−6−chlorobenzotriazole(11.2)、2−mercapto
−4−methyl−6,6′−dimethylpyrimidine(同〜1
4)、5−nitrobenzotriazole(同11.8)、benzimidazo
le(同11.5)、2−methylbenzimidazole(同12.2)、
4−hydroxy−6−methyl−1,3,3a,7−tetraazaindene
(同10〜11)等を挙げることができる。その他の具体例
に関しては後述の文献の記載を参考にすることができ
る。
また、メロシアニン色素としては、次の(1)〜
(4)式の例を挙げることができる。
R1、R2、R3:H、好ましくは炭素数18以下の置換もしく
は無置換のアルキル基、アリール基であり、置換基とし
てはカルボキシ基、スルホ基、シアノ基、ハロゲン原
子、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキ
シ基、単環式のアリールオキシ基、アシルオキシ基、ア
シル基、カルバモイル基、スルフアモイル基、アリール
基が挙げられる。
X:O、N、S、Se、Y:O、S、Se、n=0、1、2、
3、4 その他の具体例に関しては後述の文献の記載を参考に
することができる。
これらの基質のハロゲン組成の違いによる該吸着剤の
吸着特性は実用的には次の方法を用いて調べ、好ましい
化合物を選択して用いることができる。それは、一般的
傾向としては上記の傾向を有するが、例えばシアニン色
素の中でも、該吸着性のハロゲン組成依存性が大きい色
素と小さい色素が存在する為である。本発明においては
該ハロゲン組成依存性の大きい吸着剤を次の方法により
選択して用いることが特に好ましい。
1)同一形状、同一粒径でハロゲン組成の異なるAgX乳
剤(全粒子の総表面積が等しい。)に対する種々の吸着
剤の吸着等温度線を測定することにより調べることがで
きる。これについてはT.H.James,The Theory of The Ph
otographic Process,Fourth Edition,Macmillan,New Yo
rk,Chap.9(1977年)の記載を参考にすることができ
る。,2)簡便法として、次の方法が有効である。比較し
たい2種以上のAgX乳剤(A,B,…)を溶解し、混合す
る。比較した条件下(pH、温度、pAg等)で攪拌しなが
ら、2種以上の乳剤塗布フイルム(A,B,…のAgX乳剤を
独立に塗布したフイルム)を浸漬する。そこへ増感色素
を添加し、吸着平衡に達した後該塗布フイルムを取り出
す。付着乳剤を水洗除去し、該試料の分光吸収スペクト
ルを積分球分光スペクトロメーターを用いて比較測定す
る。この場合、遠心分離等によらずに簡単に比較したい
粒子を分離して取り出し、調べることができるというメ
リツトを有する。,3)その他、特開昭64−40938号の記
載を参考にすることができる。
また、これらの増感色素やかぶり防止剤のAgX粒子へ
の吸着力は、substrateの晶癖やハロゲン組成以外に乳
剤の種々の雰囲気(乳剤のpH、pAg、吸着促進剤の共存
等)に依存することが知られている。従つてその知見を
利用して増感色素やかぶり防止剤の吸着強度を調節する
ことができる。例えばかぶり防止剤は、(該pKa−1)
以上のpHの条件で吸着させることが好ましい。但し、Ka
は該かぶり防止剤の酸解離定数である。また、一般的に
吸着力が強くなる程、増感色素はJ凝集体を形成しやす
くなる。J凝集体はより十分に化学増感核の形成を阻止
する為、好ましい。これらの詳細に関して、および上記
のシアニン色素、かぶり防止剤、メロシアニン色素化合
物のその他の具体例に関してはT.H.James,The Theory o
f The Photographic Process,Fourth Edition,Macmilla
n,New York,chap.1,9,13(1977年)、P.Glafkides,Chim
ie et Physiqus Photographiquee,Fifth Edition,dit
ion de l′ Usine Nouvelle,Paris,第6部(1987年)、
特願平1−15754号明細書(特開平2−196236号公
報)、特開昭61−14630号、E.J.Birr,Stabilization of
Photographic Silver Halide Emulsions,Focal Press,
London(1974年)、A.Weissberger,The Chemistry of H
eterocyclic Compounds,Vol.18,Interscience,New York
(1964年)、同30巻、John Willey,New York(1977
年)、Research Disclosure誌,176巻、item17643,(Dec
ember1978年)、同184巻、item18431(August,1979
年)、同216巻,item21728,(May,1982年)等の記載を参
考にすることができる。
該吸着剤を吸着させる条件は、通常、pAg6〜11、好ま
しくは7〜9.5、温度30〜80℃、好ましくは35〜75℃で
ある。一般に高温の方が早く吸着平衡に達しJ−凝集体
が生成しやすいので好ましい。また、該AgX乳剤に対す
る該吸着剤の添加量は該飽和吸着量の20〜130%が好ま
しく、40〜95%がより好ましい。
本発明における化学増感の条件としては、通常、pAg6
〜11、好ましくは7〜9.5、温度30〜80℃、好ましくは3
5〜75℃で行なわれる。一般に低温の方が、化学増感核
生成の該選択性が向上する。ここで低温とは30〜50℃を
指す。
用いる化学増感法としては金化合物による金増感法
(例えば米国特許2,448,060号、同3,320,069号)、硫黄
化合物による硫黄増感法(例えば米国特許2,222,264
号)、セレン化合物によるセレン増感法、イリジウム、
白金、ロジウム、パラジウム等の金属による増感法(例
えば米国特許第2,448,060号、同2,566,245号、同2,566,
263号)、錫塩類、二酸化チオ尿素、ポリアミン等によ
る還元増感法(例えば米国特許第2,487,850号、同2,51
8,698号、同2,521,925号)、或いはこれらの2つ以上の
組み合わせを用いることができる。特に硫黄増感および
またはセレン増感と金増感の併用が好ましく、特にチオ
シアネートの存在下で併用することが好ましい。
硫黄増感剤としてはゼラチン中に含まれる硫黄化合物
の他、種々の硫黄化合物、例えばチオ硫酸塩、チオ尿素
類、チアゾール類、ローダニン類、オキサゾリジン類、
ポリスルフイド類、無機イオウ等を用いることができ、
具体例は特開昭63−301039号、同63−229449号、同64−
74540号、同64−40938号および後述の文献の記載を参考
にすることができる。具体的化合物を挙げると、チオ硫
酸ナトリウム、triethylthiourea,5−benzylidene−3
−ethylrhodanine,3−allyl−4−oxo−oxazolidine−
2−thione等である。またAgX粒子相中の含有量は10-9
〜10-3モル/モルAgX、好ましくは10-8〜10-4モル/モ
ルAgXである。
金増感剤としては、金錯塩(例えば米国特許第2,399,
083号)を好ましく用いることができる。より具体的に
は塩化金酸、塩化金酸アルカリ金属塩、カリウムーリチ
オシアネート、オーリツクトリクロライド、ソデイウム
オーリチオサルフエート、およびオーリツク−5−スル
ホベンゾチアゾール−2−スルフイドクロライド等を挙
げることができる。金増感剤のAgX粒子相中の含有量は1
0-9〜10-3モル/モルAgX、より好ましくは10-8〜10-4
ル/モルAgXである。
これらの化学増感を化学増感助剤の存在下で行うこと
もできる。用いられる化学増感助剤としてはアザインデ
ン、アザピリダジン、アザピリミジン、チオスルフオン
酸塩の如く、化学増感の過程でかぶりを抑制し、且つ、
感度を増大させる化合物を挙げることができる。具体例
としては米国特許第2,131,038号、同3,411,914号、同3,
554,757号、特開昭58−126526号、G.F.Duffin,Photogra
phic Emulsion Chemistry,p.138〜143,Focal Press(19
66年)、S.Gahler,Zeitschrift fr Wiss.Phot.,63,13
3(1969年)の記載を参考にすることができる。
本発明のAgX乳剤は上記の如く、一方の結晶表面層上
に選択的に吸着する吸着剤の存在下で化学増感し、他方
の結晶表面層上に優先的に化学増感核を形成することに
より製造される。該乳剤をそれ自体で本発明のAgX乳剤
として使用できるが、更にその後、後述の増感色素、か
ぶり防止剤、界面活性剤等の添加剤を添加して用いるこ
とができる。
本発明の好ましい態様として、その他、上記吸着剤を
機能分離型で用いる態様を挙げることができる。即ち、
化学増感後、該吸着剤の一部もしくは全量を脱着除去
し、新たに、写真性において最も好ましい分光増感色素
やかぶり防止剤を添加する態様である。この場合、該吸
着剤の種類や添加量はその写真性にとらわれることな
く、化学増感核の生成場所と数/cm2を制御する上で最も
好ましい条件で選択することができるというメリツトを
有する。これに関しては特開平1−201651号の記載を参
考にすることができる。この場合、化学増感後の該吸着
剤の脱着方法としてはその他、活性炭等の吸着剤と純水
を多孔膜〔(該孔径<該AgX粒径、活性炭粒径)の多孔
膜が好ましい。該多孔膜の具体例に関しては特願平1−
76678号明細書(特開平3−21339号公報参照)の記載を
参考にすることができる。〕中に入れたものを該AgX乳
剤中に入れて脱着除去する方法も好ましく用いることが
できる。この場合、中空系多孔膜等のように比表面積の
大きい多孔膜を用いると、迅速に脱着平衡に達する為に
好ましい。
その他、有機高分子ベース上に、活性炭やイオン交換
樹脂粒を含むゼラチン溶液を塗布し、硬膜したもの、も
しくは更にその上にオーバーコート層としてゼラチン溶
液を塗布し、硬膜したものをAgX乳剤中に入れて取り出
す方法を挙げることができる。
該吸着剤を脱着させた後、新たに写真性の上で最も好
ましい分孔増感色素、かぶり防止剤を添加することがで
きる。添加することのできる増感色素としては、シアニ
ン色素、メロシアニン色素、複合シアニン色素、複合メ
ロシアニン色素、ホロポーラーシアニン色素、ヘミシア
ニン色素、スチリル色素、ヘミオキソノール色素、オキ
ソノールメロスチリルおよびストレプトシアニンを含む
ポリメチン染料を挙げることができる。
具体的化合物例については後述の分献の記載を参考に
することができる。
また、添加することのできるかぶり防止剤としては、
例えばテトラザインデン類、アゾール類、例えばベンゾ
チアゾリウム塩、ニトロインダゾール類、ニトロベンズ
イミダゾール類、クロロベンズイミダゾール類、ブロモ
ベンズイミダゾール類、メルカプトチアゾール類、メル
カプトベンズイミダゾール類、アミノトリアゾール類、
ベンゾトリアゾール類、ニトロベンゾトリアゾール類、
メルカプトテトラゾール類(特に1−フエニル−5−メ
ルカプトテトラゾール)など、またメルカプトピリミジ
ン類、メルカプトトリアジン類、例えばオキサゾリチオ
ンのようなチオケト化合物、更にはベンゼンチオスルフ
イン酸、ベンゼンスルフイン酸、ベンゼンスルフオン酸
アミド、ハイドロキノン誘導体、アミノフエノール誘導
体、没食子酸誘導体、アスコルビン酸誘導体等を挙げる
ことができる。
具体的化合物例については後述の文献の記載を参考に
することができる。
その他、特願昭63−311518号明細書(特開平3−1095
39号公報参照)記載のペンダント色素(増感色素とかぶ
り防止剤の残基間を有機化学的に結合させた化合物)も
好ましく用いることができる。
本発明における好ましい態様は、該高沃度含率表面層
上にシアニン色素が選択的に吸着し、化学増感核が該低
沃度含率表面層上に優先的に形成された表面機能分離型
の態様であるが、この製造法を整理して記載すると次の
通りである。(1)該高沃度含率表面層上に優先的に吸
着するシアニン色素を該AgX粒子に吸着させた後、化学
増感し、該低沃度含率表面層上に優先的に化学増感核を
形成する。この乳剤に、必要に応じてシアニン色素、か
ぶり防止剤、界面活性剤等を添加して、本発明の乳剤と
する。(2)1で化学増感後、該シアニン色素の一部を
活性炭等の吸着剤で脱着させ、写真性において最も好ま
しい吸着被覆率にした後、かぶり防止剤、界面活性剤等
を添加し、本発明の乳剤とする。(3)1で化学増感
後、該シアニン色素の50〜100%を脱着させる。次に、
該高沃度含率表面層上に優先的に吸着するシアニン色素
の中で写真性の点で最も適した分光増感色素を、最適量
だけ添加し、かぶり防止剤、界面活性剤等を添加し、本
発明の乳剤とする。
基本的には本発明のAgX乳剤はこのようにして製造す
ることができるが、本発明のAgX乳剤製造条件としてそ
の他、次のような条件をあげることができる。
粒子形成中の反応溶液のpHは2〜10を用いることがで
きるが、還元増感銀核を導入する場合は8.0〜9.5が好ま
しい。これに関しては特開平2−146033号公報の記載を
参考にすることができる。
結晶成長時の温度としては、通常、40〜80℃を用いる
ことができる。
結晶成長期に添加する銀イオンとハロゲンイオンの添
加方法としては、銀塩水溶液とハロゲン化物塩水溶液を
添加する方法、あらかじめ0.1μmφ以下のサイズの超
微粒子乳剤(AgCl、AgBr、AgIおよび/またはそれらの
混晶)を添加する方法、それらの重ね合わせの方法を用
いることができる。また、結晶成長中に銀イオン、ハロ
ゲンイオンの添加速度を増加させる方法を用いることが
できる。これらに関しては特開平2−146033号公報、特
開晶63−151618号、同59−45438号、米国特許第4,242,4
45号の記載を参考にすることができる。
本発明のAgX粒子の核形成時に過飽和度を調節する為
に、また熟成過程で熟成を促進する為に、また結晶成長
過程で成長を促進する為に、また化学増感時に化学増感
を効果的にならしめる為にハロゲン化銀溶剤を用いるこ
とができる。
しばしば用いられるハロゲン化銀溶剤としては、チオ
シアン酸塩、アンモニア、チオエーテル、チオ尿素類な
どを挙げることが出来る。これについては後述の文献の
記載を参考にすることができる。
本発明の粒子をコアとしてコア/シエル型直接反転乳
剤を形成し、それを用いてもよい。これについては特開
昭63−2151618号公報の実施例13、および米国特許第3,7
61,276号、同4,269,927号、同3,367,778号を参考にする
ことができる。
また、該粒子をコアとして、浅内潜型乳剤を形成して
用いてもよい。これらについては、特開昭59−133542
号、米国特許第3,206,313号、同3,317,322号を参考にす
ることができる。
本発明のAgX乳剤の粒子形成から塗布時までに添加す
ることのできる添加剤に特に制限はない。添加すること
のできる添加剤はAgX溶剤(熟成促進剤ともいう)、AgX
粒子へのドープ剤〔第8族貴金属化合物、その他の金属
化合物(金、鉄、鉛、カドミウム等)、カルコゲン化合
物、SCN化物等〕、分散媒、かぶり防止剤、安定剤、増
感色素(青、緑、赤、赤外、パンクロ、オルソ用等)、
強色増感剤、化学増感剤(イオウ、セレン、テルル、金
および第8族貴金属化合物、リン化合物の単独およびそ
の組み合わせ添加による化学増感剤で最も好ましくは
金、イオウ、セレン化合物の組み合わせからなる化学増
感剤、塩化第1スズ、二酸化チオウレア、ポリアミンお
よびアミンボラン系化合物等の還元増感剤)、かぶらせ
剤(ヒドラジン系化合物等の有機かぶらせ剤、無機かぶ
らせ剤)、界面活性剤(消泡剤等)、乳剤沈降剤、可溶
性銀鉛(AxSCN、リン酸銀、酢酸銀等)、潜像安定剤、
圧力減感防止剤、増粘剤、硬膜剤、現像剤(ハイドロキ
ノン系化合物等)、現像変性剤等であり、具体的な化合
物例および使用方法等については、下記文献の記載を参
考にすることができる。また、通常は化学増感後から塗
布工程終了までに添加される添加剤として塗布助剤等の
界面活性剤、硬膜剤、binder、感光材料特性改良剤(可
塑剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、光散乱または吸収材
料、マツト剤、滑剤、螢光増白剤、寸度安定剤、接着防
止剤等)、写真特性改良剤(ポリエチレンオキサイド等
の現像促進剤、グルタルアルデヒド化合物等の硬調化剤
等)、ハロゲン受容体、染料等があり、目的に応じて添
加することができる。これらの具体的化合物例やその使
用方法についてや、その他、支持体、マイクロセル化支
持体、下塗り層、ハレーシヨン防止層、表面保護層、中
間層、入射光側から順に高感度から低感度の乳剤層を2
層以上配した層構成、支持体の裏面特性改良の為の裏面
上のovercoat層、同時多層塗布方法、乾燥方法、水素増
感の利用、AgX乳剤製造用の反応装置、攪拌装置、露光
時の雰囲気(温度・圧力・湿度・ガスの種類等)、露光
方法(前露光、高照度露光、低照度露光等)、光源の種
類(自然光、レーザー光等)、写真処理剤および処理方
法、自己抑制型現像剤、部分的粒子現像、無水洗処理法
等についても、下記文献の記載を参考にすることができ
る。
本発明のAgX乳剤を白黒写真感光材料の他にカラー写
真感光材料として使用することができる。その場合のカ
ラー現像形成方法、層構成、色フイルターの使用、用い
ることのできる色像形成材、発色現像時に現像抑制剤や
現像増幅剤等の写真的に有用なフラグメントを放出する
色像形成剤もしくは非色像形成剤(例えばDIRカプラ
ー、スーパーDIRカプラー、DARカプラー、DTR化合物
等)、更に酸化的に割裂するDIR化合物、ポリマーカプ
ラー、弱拡散性色素生成カプラー、カラー像用色マスク
用の着色せる色素形成性カプラー及び/または競争カプ
ラー、スカベンジヤー、現像銀の漂白および漂白の省
略、像色素安定剤、黄色フイルター層の省略等の詳細、
具体的化合物例、使用法等について下記文献の記載を参
考にすることができる。
その他、本発明のAgX乳剤は下記文献に記載された既
知技術、既知化合物とのあらゆる組み合わせ構成を用い
ることができる。
Research Disclosure vol.176(item17643)(Decemb
er,1978)、vol.184(item18431)(August,1979)、vo
l.216(item21728)(May,1982)、日化協月報1984年、
12月号、P.18〜27、日本写真学会誌,49巻、7(1986
年)、同52巻,144〜166(1989年)、特開昭58−113926
〜113928、同59−90842、同59−142539、同62−25315
9、同62−99751、同63−151618、同62−6251、同62−11
5035、同63−305343、同62−269958、同61−112142、同
56−501776、特願昭63−223739、同63−315741、同63−
78465、同62−208241、特開昭62−266538、同63−22023
8、特開平1−297649、特開平1−131541、U.S.4,705,7
44、同4,707,436、T.H.James,The Theory of The Photo
graphic Process,Fourth Edition,Macmillan,New York,
1977年、V.L.Zelikman et al.著、Making and Coating
Photograhpic Emulsion(The Focal Press刊、1964
年)、P.Glafkides,Chimie et Physique Photographiqu
es,Fifth Edition,Edition de l′Usine Nouvelle,Pari
s,1987年、同Second Edition,Paul Montel,Paris,1957
年。
本発明のハロゲン化銀乳剤は必要により他の乳剤や保
護層、中間層、フイルター層と共に支持体上に一層もし
くはそれ以上(例えば2層、3層)設けることができ
る。また、支持体の片側に限らず両面に設けることもで
きる。また、異なる感色性の乳剤として重層することも
できる。
該平板粒子を高硬膜系で用いることもできる。これに
ついては特開昭58−11392、Research Disclosure,184
巻、1979年8月、item18431、K項を参考にすることが
できる。
本発明のハロゲン化銀乳剤は、黒白ハロゲン化銀写真
感光材料〔例えば、Xレイ感材、印刷用感剤、印画紙、
ネガフイルム、直接ポジ感材〕、カラー写真感光材料
(例えばネガフイルム、印画紙、反転フイウム、直接ポ
ジカラー感材、銀色素漂白法写真など)に用いることが
できる。更に拡散転写用感光材料(例えば、カラー拡散
転写要素、銀塩拡散転写要素)、熱現像感光材料(黒
白、カラー)、高密度デジタル(digital)記録感材、
ホログラフイー用感材などにも用いることができる。
本発明の乳剤は特開昭62−269958号の実施例1、同63
−305343号、同63−151618号の実施例13、14、同60−95
533、同59−142539、同62−253159、特開平1−131541
号の実施例9、特開昭62−266538号、同63−220238号、
特願昭62−208241号、同63−78465号の実施例の構成乳
剤として好ましく用いることができる。
(本発明の効果) このようにして得られた本発明のAgX乳剤は次のよう
な特長を有する。
(1) 化学増感核の生成場所、または生成場所と数/c
m2が十分に限定される為に、潜像分散が防止され、高感
度で現像進行性のよいAgX乳剤が得られる。
(2) シアニン色素が高沃度含率表面層に優先的に吸
着されている態様の場合、潜像形成部と色増感部が分離
され、光吸収過程、潜像形成過程、現像過程に対し特願
昭63−251215号明細書(特開平2−34号公報参照)記載
の如き表面機能分離型の効果が得られる。
(3) 通常、粒径が1μmより大きくなると、感度は
該粒子の光吸収量に比例して上昇しなくなる。これは該
粒子の表面積が増加し、潜像が分散することによる寄与
が大きい。しかし、第1図(a)の態様の場合、平行双
晶面と平行な方向に粒径が1μm以上に大きくなつた場
合においても、感度は該粒子の光吸収量にほぼ比例して
上昇し続ける。これは、該粒径が大きくなつても、該潜
像形成部の面積は一定であり、潜像分散が防止される為
である。
(4) 通常、カラーネガ写真系のようなパラレル現像
系においては、AgX粒子の現像を途中で止めることによ
り粒状性の良化がなされている。第1図(a)の粒子を
このような系で用いた場合、コア部が現像され、シエル
部が未現像で残る。即ち、受光面積よりも現像面積の方
が小さくなり、粒状性が著しく改良される。この効果は
特に1.2μmφ以上の粒子で大きい。従つて、大粒径
(1.2μm径以上)の高感度粒子を用いた場合でも、従
来に比べて粒状が著しく改良される。
以下に実施例を挙げて本発明を更に説明するが、本発
明の実施態様はこれに限定されるものではない。
実施例1. KBr4.5g、平均分子量()2万のゼラチン7gを含む
水溶液1(pH6.5、30℃)中に、攪拌しながらダブル
ジエツト法でAgNO3水溶液(100ml中に32gのAgNO3と=
2万のゼラチン0.7g、HNO3(1N)0.14mlを有する〕とKB
r水溶液〔100ml中に23.2gのKBrと0.7gの=2万のゼラ
チンを含む〕を攪拌しながら、同時にそれぞれ25ml/分
で27.5mlを添加した。1分後にゼラチン水溶液545ml
(脱イオン化アルカリ処理ゼラチン32g、pH6.5)を添加
し、均一に混合した後、75℃に昇温した。昇温後、12分
間の熟成をした後、AgNO3水溶液(15重量%)21.4mlを
3分間かけて添加した。次にNH3水溶液(25重量%)10m
lとNH4NO3水溶液(50重量%)10mlの混合液を添加し、3
0分間の熟成をした。次に3NのHNO3溶液を加え、pH6.5に
調節した。次にKBr(10重量%)水溶液16mlを添加し、A
gNO3(15重量%)水溶液とKBr水溶液を用いて、銀電位
−20mV(vs.飽和カロメル電極)でC.D.J.添加した。AgN
O3水溶液添加はまず、8ml/分で10分間の添加をし、続い
て15ml/分で20分間の添加をした。この時点でサンプリ
ングした乳剤粒子のTEM像より求めた特性は次の通りで
あつた。平板粒径1.0μm、平均厚さ0.17μm、粒子サ
イズ分布のC.V.10.5%、平均粒子の占める面積割合99.9
%であつた。該乳剤を引き続き75℃でKBr溶液を添加
し、pBr0.9とし、後述のAgBr00.90.1微粒子乳剤を0.4
8モル添加し、12分間熟成した後、温度を30℃に下げ、
乳剤を沈降水洗法で水洗し、40℃で再分散させ、pH6.
4、pBr2.85にした。次に温度を55℃にした。この時点で
サンプリングした乳剤粒子のTEM像を観察した。該TEM像
の測定結果は次の通りであつた。
既ち、積層させたAgBr0.90.1は該AgBr平板コア粒子
の横方向にのみ積層したことを示している。該六角平板
粒子の双晶面の枚数は、該粒子の低温TEM像より、2枚
であつた。該乳剤に5,5′−ジクロル−9−エチル−3,
3′−bis(3−スルホプロピル)−オキサカルボシアニ
ンNa塩を飽和吸着量の90%添加し、10分後に5−benzyl
idene−3−ethyl−rhodanineのメタノール溶液を8×1
0-6mol/mol AgXだけ添加し、続けてKSCN水溶液を3×10
-4M/mol AgXだけ添加した。3分後に塩化金酸水溶液を
5×10-6mol/mol AgXだけ添加し、20分間熟成した。温
度を40℃に下げ、かぶり防止剤〔TAI(4−hydroxy−6
−methyl−1,3,3a,7−tetraazaindene〕を7×10-3mol/
mol AgXだけ添加し、10分後に塗布助剤(ドデシルベン
ゼンスルホン酸ナトリウム)と増粘剤〔ポリ(4−スル
ホスチレン)ナトリウム塩〕を加え、ゼラチン保護層と
ともに、三酢酸セルロース透明ベース上に銀1.5g/m2
塗布し、乾燥させた。
比較例1. 実施例1と同じAgBr平板コア乳剤を調製した。次に、
該コア粒子上にAgBrを積層成長させた。
即ち、75℃でKBr溶液を添加し、pBr0.9とし、後述のA
gBr微粒子乳剤を0.48モル添加し、7分間熟成した後、
温度を30℃に下げ、沈降水洗法で水洗し、40℃で再分散
させ、次に温度を55℃にした。この時点でサンプリング
した乳剤粒子のTEM像を観測した所、次の通りであつ
た。従つて該シエルAgBrは、コア粒子の横方向にのみ成
長したことを示している。
該乳剤にその後、実施例1と同じ工程を施し、塗布
し、乾燥させた。
実施例1と比較例1の乳剤塗布物を青光で1秒露光
(露光量は最大濃度を与える露光量の5倍量)した。次
に前述の特開昭64−62631記載の方法に従つて抑制現象
し、該粒子のcarbonレプリカのTEM像を観察した。粒子
の現像開始点が該コア粒子表面上に存在する割合は表1
に示す通りであつた。
また、実施例1と比較例1の乳剤塗布物を光学ウエツ
ジを通して10-2秒間、青光露光し、MAA−1現像液で20
℃、10分間、現像した。得られた特性曲線とAgX粒子の
光吸収率より求めた相対量子感度は表1の通りであつ
た。比較例1に対する本発明の効果(潜像が低沃度含率
表面層上に優先的に形成される)が確認された。
実施例2. 実施例1においてNH4NO3とNH3を加える所までは同じ
にする。その後18分間の熟成をした。次に3NのNHO3溶液
を加え、pH6.5に調節し、KBr(10重量%)水溶液16mlを
添加した。AgNO3水溶液(15重量%)とKBr水溶液を用い
てC.D.J.添加(銀電位−20mV)した。添加は8ml/分で3
分間添加した。この時点でサンプリングした乳剤粒子の
TEM像より求めた特性は次の通りであつた。平均粒径0.6
μmφ、平均厚さ0.16μ、粒子サイズ分布のC.V.13%、
平均粒子の占める面積割合99.9%であつた。該乳剤を引
き続き75%でKBr溶液を加え、pBr0.9とし、後述のAgBr
0.90.1微粒子を0.1モル加え、12分間熟成した。次に
該微粒子を0.24モル加え、更に12分間熟成した。温度を
30℃に下げ、乳剤を沈降水洗法で水洗し、40℃で再分散
させ、pH6.4、pBr2.85に調節した。この時点でサンプリ
ングした乳剤粒子のTEMを観察した。該観察結果は次の
通りであつた。
該乳剤にその後、実施例1と同じ工程を施し、塗布
し、乾燥させた。
該試料を青光で1秒露光(露光量は最大濃度を与える
露光量の5倍量)した。次に前述の方法で抑制現像し、
該粒子のcarbonレプリカのTEM像を観察した。粒子の現
像開始点が該コア粒子表面上に存在する割合は95%であ
つた。実施例1に比べて、AgBrコア平板粒子径が小さく
なつた為、より潜像が該平板粒子の主平面の中央に集中
化した。
参考例1. 実施例2でAgBr0.90.1の積層条件のみを次のように
した。即ち、銀電位を+35mVにし、AgNO3水溶液(15重
量%)を最初6.4ml/分、直線的流量加速0.12ml/分で43
分間、CDJ添加(銀電位+35mV)した。ハロゲン化物塩
水溶液はKBrとKIを0.9:0.1mol比で含む水溶液を添加し
た。添加後3分間攪拌した。得られた乳剤粒子のTEM像
を観察した所、次のような特性であつた。開平板粒子の
平均厚さ:0.22μm、平均粒径:1.07μmであつた。従つ
てこの場合にはAgBrコア平板粒子の主平面に垂直方向に
も、水平方向にも成長したことを示す。次に該乳剤にKB
r水溶液を添加し、pBr0.9にし、後述のAgBr微粒子乳剤
を0.106モル添加し、75℃で5分間熟成した。次に30℃
にし、沈降水洗法で水洗し、40℃で再分散させた。
得られた乳剤粒子のTEM像を観察した所、次のような
特性であつた。
該乳剤にその後、実施例1と同じ工程を施し、塗布
し、乾燥させた。該試料を実施例1と同じ方法で抑制現
像し、現像開始点をTEM像で観察した。現像開始点が、
最後に成長させたAgBr上に存在する割合は83%で 実施例3. 参考例1でAgBr0.90.1の積層を−10mVで行う以外は
同じ条件で平板粒子を調製した。得られた乳剤粒子のTE
M像を観察した所、次のような特性であつた。従つて、A
gBrコア平板粒子の主平面上にAgBr0.90.1層が約100Å
(約17格子層)、積層したことを示している。
この後、温度を30℃にし、常法のフロキユレーシヨン
法で洗浄し、ゼラチン50gを加えた後、pH6.5、pAg8.2に
調整した。
該乳剤500gに蒸留水300mlを加え、75℃に昇温した。
5,5′ジクロロ−9−エチル−3,3′−ジ(3−スルホプ
ロピル)−オキサカルボシアニンNa塩を500mg/AgX1モル
を添加し、10分後、3,6−ジチアオクタン−1,8−ジオー
ル(5重量%水溶液)5mlを添加し、20分間、物理熟成
をした。30℃に降温し、常法のフロキユレーシヨン法で
洗浄し、ゼラチン35gを加えて溶解した後、pH6.4、pAg
8.5に調節した。該乳剤を55℃に昇温し、チオ硫酸ナト
リウム水溶液を8×10-6mol/mol AgXだけ添加し、続け
てKSCN水溶液を3×10-4M/mol Agxだけ添加し、3分後
に前述の金錯体水溶液を5×10-6mol/mol AgXだけ添加
し、20分間熟成した。温度を40℃に下げ、実施例1と同
様にかぶり防止剤、塗布助剤、増粘剤を加え、塗布し、
乾燥した。
該試料を実施例1と同じ方法で抑制現像し、現像開始
点をTEM像で観察した。現像開始点がAgBrコア主平面上
に存在する割合は82%であり、本発明の効果が確認され
た。また、このことは、AgBrコア平板粒子の主平面上の
AgBr0.90.1は上記熟成で除去されたことを示してい
る。
該試料を光学ウエツジを通して−blue光(白色光より
青光を除いた光)で10-2秒間の露光をし、富士フイルム
(株)製現像液「ハイレンドール」にて、20℃で4分間
現像した所、感度、粒状性の優れた写真性を示した。
実施例1〜3の試料を−blue光で1秒露光(露光量は
最大濃度を与える露光量の5倍量)し、実施例1と同じ
方法で抑制現像し、現像開始点をTEM像で観察した。現
像開始点が該AgBr表面上に存在する割合は実施例1で85
%、実施例2で83%、実施例3で80%であり、−blue光
露光した場合にも本発明の効果が確認された。
実施例4. 実施例3でAgBr0.90.1の積層を、沃度含率の漸増型
(ハロゲン化物水溶液中のKImol%を最初0mol%で、添
加開始後6分後に10mol%にする)にする以外は、実施
例3と同じ条件で平板粒子を調製した。続けて実施例3
と同じ工程を施した。得られたAgX粒子の形状特性、写
真特性はほぼ同じであつた。
(A)AgBr0.90.1微粒子乳剤の調製 反応容器中にゼランチン水溶液1200ml〔H2O1200ml、
ゼランチン48g、KBr0.2gを含む。pH5.5〕を入れ、40℃
に保ちつつ、AgNO3水溶液(100ml中に16gのAgNO3、ゼラ
チン0.9g、HNO31N0.3mlを含む)とハロゲン化物塩水溶
液〔100ml中にKBr10.11g、KI1.56g、ゼラチン0.9gを含
む〕を30ml/分で10分間、等速添加し、続けて50ml/分で
7分間、等速添加した。その後2分間攪拌した。ただち
に前記実験に用いた該粒子のレプリカのTEM像を観測し
た所、平均粒径0.05μmφであつた。
(B)AgBr微粒子乳剤の調製 ハロゲン化物塩水溶液として〔100ml中にKBr11.23g、
ゼラチン0.9gを含む〕を用いる以外は(A)と同一工程
で調製した。該粒子のレプリカのTEM像を観測した所、
平均粒径0.075μmφであつた。ただちに前記実験に用
いた。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のAgX粒子の具体的構造例を示した模式
図である。 第1図はコア部の表面層が低沃度含率層である場合の具
体的構造例を示したものである。(a)図は該粒子を主
平面に垂直な方向で2等分切断した時の断面構造を示
す。(b)図と(c)図は該コア部のみの断面構造例を
示す。シエル部は(a)図と同一である。 は高沃度含率層を示し、 は低沃度含率層を示す。 第2図は特開昭58−113927に記載された粒子の該断面構
造を示す図である。 図中の(イ)は低沃度含率層、(ロ)は化学増感核、
(ハ)はシアニン色素、(ニ)は高沃度含率層、(ホ)
は主要図、(A)は中心部領域を示す。

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも分散媒とハロゲン化銀粒子とを
    含有し、その全ハロゲン化銀粒子の投影面積の35%以上
    に相当する量のハロゲン化銀粒子が、互いに平行な双晶
    面を有し、かつ主平面が実質的に平坦な粒子であるハロ
    ゲン化銀乳剤であって、その双晶面を有するハロゲン化
    銀粒子が、上記主平面において露出した表面を持つ低沃
    度含率表面層と、その低沃度含率表面層の上記主平面に
    沿う周囲に形成された、低沃度含率表面層よりも沃度含
    率が3モル%以上高い高沃度含率表面層とから構成さ
    れ、かつ化学増感核が低沃度含率表面層上に優先的に形
    成されていることを特徴とするハロゲン化銀乳剤。
  2. 【請求項2】上記の双晶面を有するハロゲン化銀粒子に
    おける主平面で露出する低沃度含率表面層表面の面積に
    対する高沃度含率表面層の表面の面積の割合が1/3〜35/
    1(高沃度含率表面層表面の面積/低沃度含率表面層表
    面の面積)の範囲にある特許請求の範囲第1項に記載の
    ハロゲン化銀乳剤。
  3. 【請求項3】上記の双晶面を有するハロゲン化銀粒子に
    おいて低沃度含率表面層上に優先的に形成されている化
    学増感核の単位面積当りの数が、高沃度含率表面層上に
    形成される化学増感核の単位面積当りの数の2倍以上で
    ある特許請求の範囲第1項もしくは第2項に記載のハロ
    ゲン化銀乳剤。
  4. 【請求項4】上記の双晶面を有するハロゲン化銀粒子に
    おいて低沃度含率表面層上に優先的に形成されている化
    学増感核の単位面積当りの数が、高沃度含率表面層上に
    形成される化学増感核の単位面積当りの数の5倍以上で
    ある特許請求の範囲第1項もしくは第2項に記載のハロ
    ゲン化銀乳剤。
  5. 【請求項5】全ハロゲン化銀粒子の投影面積の60%以上
    に相当する量のハロゲン化銀粒子が、上記の双晶面を有
    するハロゲン化銀粒子である特許請求の範囲第1項乃至
    第4項のうちのいずれかの項に記載のハロゲン化銀乳
    剤。
  6. 【請求項6】上記の双晶面を有するハロゲン化銀粒子の
    アスペクト比が3〜20の範囲にあり、変動係数が20%以
    下である単分散の平行二重双晶粒子であって、高沃度含
    率表面双の沃度含率が、低沃度含率表面層の沃度含率よ
    りも7〜35モル%の範囲の間のモル%にて高くされ、更
    に高沃度含率表面層の上にシアニン色素が優先的に吸着
    されている特許請求の範囲第1項乃至第5項のうちのい
    ずれかの項に記載のハロゲン化銀乳剤。
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