JP2676218B2 - 写真用安定化液 - Google Patents

写真用安定化液

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はハロゲン化銀写真感光材料の製造工程に用い
られる各種溶液、およびハロゲン化銀感光材料の処理液
において細菌やかびの増殖を防止するために用いられる
化合物(本明細書において「防ばい剤」と称する)に関
する。
〔従来の技術〕
一般にハロゲン化銀写真感光材料は画像露光の後、現
像−定着−水洗あるいは現像−漂白−定着−水洗という
工程で処理されてきたが、このような処理に関して近
年、環境保全の問題および水資源の問題が重要視されて
きた。このため、大量に使用される水洗水を減少する方
法が提案されており、例えば水洗槽を多段構成にして水
を逆流させることにより水洗水を少量にする技術とし
て、西独特許第2,920,222号明細書およびS.R.Goldwasse
r,“Water Flow Rate in Immersion−Washing of Motio
n Picture Film"SMPTE,64,pp.248〜253,May(1955)が
知られている。さらに水洗工程を省略し実質的に水洗を
行わずに安定化処理する方法が特開昭57−8543号、同58
−14834号、同58−134636号公報等に記載されている。
このような、チオ硫酸塩を含有する処理液(漂白定着
液および定着液)の浴の後に多量の水洗水による水洗処
理でなく、前記のような比較的少量の水洗水による多段
向流水洗を行った場合や、少量の補充量で補充しながら
処理する安定化処理を行った場合は、これらの処理に用
いられる処理液の滞留時間が長くなり、そのため、経時
により処理液中のチオ硫酸塩が分解されて微細な硫化物
の黒色沈澱物が生じ易くなる欠点がある。
このような沈澱物の発生を防止する技術として次のよ
うな技術が知られている。
米国特許第4,059,446号明細書には、定着および水洗
工程におけるスラッジの発生を防止するため、ポリオキ
シエチレン化合物を添加する技術が記載されている。し
かし、この化合物を水洗水や水洗代替安定化液中に添加
しても前記硫化物の沈澱発生を防止する効果がなく、僅
かに沈澱物を分散させる効果を有するに過ぎないばかり
でなく、更に水洗浴中に泡が発生するので実用には供し
得ない。
そこで我々は、水洗工程にイソチアゾリン系化合物を
用いる技術を提案した(特開昭57−8542号参照)。しか
し、これらの化合物を用いた場合にも感光材料の処理量
が少なく、処理液が長期に保存される場合は効果が不充
分であること、および分解し易く、酸化剤や還元剤で分
解し、特に亜硫酸塩に対して弱い欠点があり、定着剤と
して用いられるチオ硫酸塩の保恒剤として通常用いられ
る亜硫酸塩によって分解され易い問題があることを本発
明者等は見いだした。
我々はまた、前記のような沈澱防止において改良され
た効果を有する化合物としてグアニジン系化合物、モル
ホリン系化合物等を提案した(特開昭60−260952号参
照)。また、特開昭61−47958号には水洗処理工程また
は安定化工程にXCH2CONH2(XはCl、BrまたはI)で表
される化合物を用いる技術が、また同61−75354号には
同じくベンゾトリアゾール系化合物を用いる技術が開示
されている。しかし、これらの化合物を用いてもその効
果は不十分である。
また、これらの技術の欠点は処理後の画像の安定性が
不充分であり、たとえば、カラープリントを長期に保存
した場合、未露光部の白地に黄色の汚染を発生させるこ
とである。そしてこのような画像保存性の改良も望まれ
ている。
一方、ハロゲン化銀写真感光材料の製造工程で用いら
れる各種添加剤溶液や塗布組成物用の防ばい剤としてフ
ェノール類、アルデヒド類、カルボン酸およびそのエス
テル、ベンゾチアゾール類、水銀化合物、ベンゾイソチ
アゾロン、ブロモおよびニトロ置換アルコール類(特開
昭60−119547号)等が知られている。しかし、これらの
化合物は感度を低下させたり、かぶりを上昇させたりす
る欠点を持ち、更に実用面で優れた写真性能に影響しな
い素材が求められている。
〔発明が解決しようとする問題点〕
従って、本発明の目的は、ハロゲン化銀カラー写真感
光材料の安定浴に用いて防ばい性に優れ、かつ写真性能
に悪影響を与えず、更に色素画像の保存性が改良される
素材を提供することである。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明の上記目的は、下記一般式[I]または[II]
で表される化合物を含有することを特徴とする安定化液
によって達成される。
式中、X1、X2、X3およびX4は各々水素原子、ハロゲン
原子、炭素原子数1〜4の直鎖もしくは分岐のアルキル
基、またはフェニル基を表し、nは1〜3の整数を表
す。
以下に一般式[I]または[II]で表される化合物の
具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
I−4 NC−CH2−CONH2 I−5 NC−C3H6−CONH2 一般式[I]で表される化合物中上記I−1およびI
−2が好ましく、一般式[II]で表される化合物中上記
II−1が好ましい。
上記一般式[I]または[II]で表される化合物(以
下、本発明の化合物という)は、ハロゲン化銀写真感光
材料の処理工程における、定着能を有する処理液(例え
ば定着液、漂白定着液)で処理した後、乾燥工程に至る
間に設けられる安定化浴(水洗代替安定化浴(無水洗安
定化浴)を包含する)に含有させる。
本発明の化合物の添加量は、好ましくは処理液1当
たり0.001〜50g、より好ましくは0.01〜10gである。本
発明の化合物は任意の2種以上を組み合わせて用いるこ
とができる。
本発明の安定液を用いる処理工程において、水洗浴
は、2〜5槽からなり後浴槽から前浴槽へ逆流させる多
段向流水洗方式が好ましい。この場合の水洗水補充量は
感光材料1m2当たり約50〜1000mlが好ましく、水洗水量
は前記文献(SMPTE)記載の方法により決めることがで
きる。水洗水には後記水洗代替安定化浴における添加剤
を含有させることができる。水洗水の温度は好ましくは
10〜35℃である。
前記水洗代替安定化浴は、定着能を有する処理液によ
る処理の後、直ちに安定化処理してしまい、実質的に水
洗処理を行わず、色素画像を安定化させるのための処理
浴である。該浴は1槽でも多槽でもよいが、安定化の目
的からは1〜5槽、特に1〜3槽が好ましい。
水洗代替安定化液には本発明の化合物以外の防ばい剤
を併用してもよい。例えば、特開昭57−157244号におよ
び同58−105145号に記載されたチアゾリルベンゾイミダ
ゾール系化合物、特開昭57−8542号に記載されたイソチ
アゾロン系化合物、特開昭60−260952号および同61−26
1742号公報の100〜104頁に記載された各種防ばい剤、特
開昭61−47958号に記載されたCl、BrまたはI置換アセ
トアミド、特開昭75354号に記載されたベンゾトリアゾ
ール系化合物等を併用してもよい。
水洗代替安定化液にはまた、特開昭61−261742号公報
104〜110頁に記載された種類および量のアンモニウム化
合物、キレート剤、金属塩、界面活性剤、有機硫黄化合
物、オニウム塩、硬膜剤等を含有させることができる。
水洗代替安定化液のpHは3.0〜11.0の範囲が好まし
く、pH6.0〜9.0の範囲が画像保存性の点から特に好まし
い。水洗代替安定化液の補充量は感光材料による前浴か
らの持ち込み量の1〜50倍、特に2〜50倍の範囲が適当
である。水洗代替安定化浴の温度は15℃〜80℃、特に20
℃〜45℃の範囲が良い。
前記安定化浴に用いられる安定化液としては、色素画
像を安定化させる処理液が用いられる。代表的なものと
して、pH3〜6の緩衝能を有する液、アルデヒド、例え
ばホルムアルデヒドを含有する液などが用いられる。
安定化液には、必要により、前記水洗代替安定化液に
用いる各種添加剤を含有させてもよい。
安定化浴は安定化液を効率的に使用する上から、2〜
5槽による多段向流方式が好ましい。この場合、安定化
液の量は、感光材料1m2当たり約50〜1000mlが適当であ
る。安定化浴の温度は10〜80℃が適用であり、好ましく
は15〜45℃である。
前記水洗水ないし安定化液による処理工程の前の処理
工程としては、通常用いられる発色現像、漂白、定着、
漂白定着等の処理工程を適用することができる。その具
体的内容は、例えば特開昭61−261742号公報に記載され
ている。
本発明の化合物を適用する処理浴で処理される感光材
料については特に制限はないが、特願昭61−91106号、
同61−91107号および同62−180310号各明細書に記載さ
れたシアンカプラー;特願昭61−92656号および同61−9
2932号明細書に記載されたマゼンタカプラー;ならびに
特願昭61−92932号明細書に記載されたイエローカプラ
ー:イラジエーション防止染料、ホルマリンスカベンジ
ャー、平版状ハロゲン化銀粒子、コアシェル型ハロゲン
化銀粒子等の技術を使用されたものであることが好まし
い。
次に、本発明の化合物はハロゲン化銀写真感光材料の
製造工程に適用することができる。
ハロゲン化銀写真感光材料は、一般に、支持体上に少
なくとも1層の感光性乳剤層と、必要に応じて下引き
層、中間層、フィルター層、アンチハレーション層、保
護層、バッキング層などの構成層を積層して塗設するこ
とにより形成されている。
これらの構成層は、感光材料の使用目的に応じて、ゼ
ラチンなどの親水性バインダー中に、ハロゲン化銀の
他、カプラー、マスキングカプラー、安定剤、抑制剤、
フィルター染料、ハレーション防止染料、増感色素、コ
ロイド銀、紫外線吸収剤、酸化防止剤、マット剤、界面
活性剤などを含有している。
これらの添加剤は、通常、水、アルコールないしその
混合液等の水性溶媒中に溶解ないし分散させ。あるいは
高沸点の水難溶性溶媒中に溶解させ、微小な油滴として
分散させ、これらを親水性コロイド中に添加して構成層
用塗布組成物とする。
ここで親水性コロイドとは、ハロゲン化銀、コロイド
銀その他の添加剤の凝集を防止するために用いられる高
分子物質であって、ゼラチンが最も広く用いられ、その
他、アルブミン、寒天、アラビアゴム等の天然物質、ア
シル化ゼラチン、フタル化ゼラチン、ヒドロキシエチル
セルロース等の高分子誘導体、あるいはポリビニルアル
コール、部分けん化されたポリビニルアセテート、ポリ
アクリルアミド、ポリ−N,N−ジメチルアクリルアミ
ド、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子などが用い
られる。
上記構成層用添加剤溶液や構成層用塗布組成物は、貯
蔵中にバクテリアやカビ等の微生物が繁殖しやすく、長
期間保存すると変質または腐敗する。これは、塗布組成
物の粘度低下および感光材料表面被膜の物理的強度の低
下、さらには増殖した微生物の代謝物等によって、写真
的悪影響につながり、重大な欠陥となる。
本発明の化合物は、特に、マット剤分散液、カプラー
分散液、ハロゲン化銀乳剤等、あるいはこれらの混合し
た塗布組成物の貯蔵に特に有用である。
本発明の化合物の使用量は、水溶性液等の添加すべき
溶液に対して、0.001〜0.05重量%の範囲が好ましい。
しかし、この範囲は、感光材料の種類、水性溶液の種
類、貯蔵状態等によって増減させてもよいことは勿論で
ある。
本発明の化合物は、水またはメタノール、エタノー
ル、イソプロパノール、アセトン、エチレングリコール
ないしこれらの混合溶媒等の溶媒に溶解し、溶液として
添加してもよく、あるいは高沸点溶媒または低沸点溶媒
に溶解したのち、界面活性剤を使って乳化分散し、添加
してもよい。
なお、本発明の化合物の添加時期は、防腐効果を発現
させる時点に応じて任意である。
このような本発明の化合物を添加する写真用コロイド
組成物は、親水性コロイドの水性溶媒の溶液である。
用いる親水性コロイドと水性溶媒については、前記し
たとおりである。
本発明の対象とする写真用コロイド組成物に含まれる
添加剤としては、通常の写真用添加剤としては、通常の
写真用添加剤のいずれであってもよい。
写真用添加剤の具体例としては、特開昭60−119547号
公報第4頁左上欄第13行〜第5頁左上欄第16行に記載さ
れたものが挙げられる。
〔実施例〕
以下実施例によって本発明を更に詳細に説明するが本
発明がこれらによって限定されるものではない。
実施例1 常法によりカラーペーパーを自作した。使用したハロ
ゲン化銀は塩臭化銀(塩化銀98モル%)を用い、塗布銀
量11mg/100cm2となるようポリエチレンコート紙に塗布
し乾燥後試料とした。この試料を用いてカラープリンタ
ーにて露光を与え、それぞれ次の工程に従い処理を行っ
た。
処理工程 温 度 時 間 (1)発色現像 33℃ 45秒 (2)漂白定着 33℃ 45秒 (3)安定化処理 25〜30℃ 1分 (4)乾燥 75〜100℃ 約1分 処理液組成 〔発色現像タンク液〕 亜硫酸カリウム 0.3 g 臭化カリウム 0.02g 塩化ナトリウム 3.0 g 炭酸カリウム 30.0 g ジエチルヒドロキシルアミン 8.0 g ジエチレントリアミンペンタ酢酸 1.0 g 3−メチル−4−アミノ−N−エチル−N−(β−メタ
ンスルホンアミドエチル)−アニリン硫酸塩 5.5 g 蛍光増白剤(ケイコールPK−C新日曹化工社製) 1.0 g 水を加えて1とし、水酸化カリウムを添加してpH1
0.20に調整した。
〔発色現像補充液〕
3−メチル−4−アミノ−N−エチル−N−(β−メ
タンスルホンアミドエチル)−アニリン硫酸塩の量を7.
5g/とし、pH値を10.60とした外は上記発色現像タンク
液に同じ。
〔漂白定着タンク液および補充液〕
エチレンジアミンテトラ酢酸第2鉄アンモニウム2水塩 60g エチレンジアミンテトラ酢酸 3g チオ硫酸アンモニウム(70%溶液) 100ml 亜硫酸アンモニウム(40%溶液) 27.5ml 水を加えて1とし、炭酸カリウムを添加してpH7.10
に調整した。
〔安定化液および補充液〕
1−ヒドロキシエチリデン−1,′1−ジホスホン酸1.0g 硫酸亜鉛 0.4g ポリビニルピロリドン 0.5g 水酸化アンモニウム(28%水溶液) 3 g 硫酸と水酸化カリウムでpH7.1に調整した。
補充量は感光材料1m2当たりそれぞれ、発色現像補充
液200ml、漂白定着補充液200ml、安定化液補充液250ml
とした。
なお、自動現像機の安定槽は感光材料の流れの方向に
第1槽〜第3槽となる処理槽とし、最終槽から補充を行
い、最終槽からオーバーフローをその前段の槽へ流入さ
せ、さらにこのオーバーフロー液をまたその前段の槽に
流入させるカウンターカレント方式とした。
1当りキャビネ(198cm2)500枚処理まで連続的に
処理を行った。処理後、3槽目の安定化液中の銀イオン
濃度を原子吸光法により測定した結果は20mg/であっ
た。この安定化液を16分割し表−1に示した化合物を添
加した。pHを前記の方法と同じく7.1に調整し、容量500
mlのガラスビーカーに300mlを入れ蒸発した減少分を水
で補給しながら開口状態で38℃にて保存した。沈澱の発
生を観察しながら保存し、液が完全に濁った日を沈澱発
生日として記録し、それまでに要した日数を表−1に示
した。なお比較試料として感光材料を処理しない新鮮な
安定液の場合も加えた(処方No.1)。
また、前記感光材料の未露光感材を試料として前記処
理液と処理工程と表1記載の化合物を添加した安定化液
で処理した。この処理済み感光材料を60℃、相対湿度40
%の恒湿恒温槽で1ヶ月保存し、イエローステインを分
光光度計PDA−65A(コニカ(株)製)のブルー光で測定
し、表1に示した。
実施例2 安定化液を単なる水に変えた外は実施例1と同様の実
験を行った。その結果を表2に示す。
〔発明の効果〕 本発明の化合物により下記の効果が得られる。
ハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理工程におけ
る、チオ硫酸塩を定着剤として含有する処理浴による処
理の後、乾燥工程の前に設けられる安定化の処理浴中
に、経時で生ずる沈澱物の発生を防止する改良された効
果を有し、かつ該感光材料の写真性に悪影響を与えず、
更に、このような使用形態において、従来の防ばい剤と
比べて、処理により形成された色素画像の保存安定性
(イエローステインの発生)がやや改良される。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−48603(JP,A) 特開 昭50−123811(JP,A) 特開 昭59−226343(JP,A) 特開 昭63−106652(JP,A) 特開 昭61−107343(JP,A) 特公 昭52−46285(JP,B2) 特公 平1−29189(JP,B2)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式[I]または[II]で表される
    化合物を含有することを特徴とする安定化液。 [式中、X1、X2、X3およびX4は各々水素原子、ハロゲン
    原子、炭素原子数1〜4のアルキル基またはフェニル基
    を表し、nは1〜3の整数を表す。]
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