JP2670773B2 - ポリフルオロアルキルリン酸の製造法 - Google Patents
ポリフルオロアルキルリン酸の製造法Info
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Description
【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕
本発明は、界面活性剤、表面処理剤、および各種誘導
体の原料として有用なモノポリフルオロアルキルリン酸
の製造法に関する。 〔従来の技術〕 含フッ素リン酸エステルは界面活性剤および撥油剤と
して有用なものであり、従来その製造法としては次の方
法が知られている。ポリフルオロアルコールとオキシ
ハロゲン化リン、五酸化リン又はジアルキルホスフアイ
トを反応させる方法(特公昭48−4770号)。ポリフル
オロアルコールとオキシハロゲン化リンとを水の添加の
もとに反応させる方法(特公昭56−29875号)。ポリ
フルオロアルコールとビスホスホリルハライドを反応さ
せた後、加水分解させる方法(特開昭60−64990号)。 しかしながら、これらのいずれの方法もモノポリフル
オロアルキルリン酸とジポリフルオロアルキルリン酸の
混合物、又はジポリフルオロアルキルリン酸、又はジポ
リフルオロアルキルリン酸とトリポリフルオロアルキル
リン酸の混合物等を得る方法であり、高純度なモノポリ
フルオロアルキルリン酸を得る方法は未だ知られていな
い。 〔発明が解決しようとする問題点〕 モノポリフルオロアルキルリン酸は、それ自体界面活
性剤、表面処理剤などとして有用であるばかりでなく、
さらに高付加価値なモノポリフルオロアルキルリン酸誘
導体の原料として重要である。そして、たとえばモノポ
リフルオロアルキルリン酸に重合性基を導入し、重合物
と成した場合には、原料のモノポリフルオロアルキルリ
ン酸の純度が該重合物の物性に大きな影響を与えるた
め、高純度なモノポリフルオロアルキルリン酸を製造す
る方法が所望されていた。 〔問題点を解決するための手段〕 かかる実状において、本発明者らは鋭意研究を行なつ
た結果、ポリフルオロアルコールにオルトリン酸に換算
して濃度100〜116重量%(以下単に「%」と表示する)
のポリリン酸を反応させれば、高純度のモノポリフルオ
ロアルキルリン酸を製造できることを見い出し、本発明
を完成した。 すなわち、本発明は次の一般式(I) RfOH (I) (式中、Rfは炭素数4〜36の直鎖または分岐鎖の、少な
くとも2個以上の水素原子がフッ素原子で置換されたポ
リフルオロアルキル基を示す) で表わされるポリフルオロアルコールに、オルトリン酸
に換算して濃度100〜116%のポリリン酸を反応させるこ
とを特徴とする、一般式(II) (式中、Rfは前記と同じ意味を示す) で表わされるモノポリフルオロアルキルリン酸の製造法
を提供するものである。 本発明に用いられるポリフルオロアルコール(I)と
してはたとえば、ノナフルオロヘキサノール、トリデカ
フルオロオクタノール、ヘプタデカフルオロデカノー
ル、ヘンエイコサフルオロドデカノール、ペンタコサフ
ルオロテトラデカノール、ノナコサフルオロヘキサデカ
ノール、トリトリアコンタフルオロオクタデカノール、
ヘプタトリアコンタエイコサノール、2−ペンタフルオ
ロエチルペンタフルオロヘキサノール、2−トリデカフ
ルオロヘキシルトリデカフルオロデカノール、2−ヘプ
タデカフルオロオクチルヘプタデカフルオロドデカノー
ル、2−ヘンエイコサフルオロデシルヘンエイコサフル
オロテトラデカノール、2−ペンタコサフルオロドデシ
ルペンタコサフルオロヘキサデカノール、2−ノナコサ
フルオロテトラデシルノナコサフルオロオクタデカノー
ルなどが挙げられる。 本発明における反応は、ポリフルオロアルコール
(I)を不活性溶媒中、オルトリン酸に換算して100〜1
16%(P2O5換算濃度×1.38に相当)のポリリン酸と加熱
混合して行う。 この不溶性溶媒としては、エチルエーテル、イソプロ
ピルエーテル、ブチルエーテル、ペンチルエーテル、イ
ソペンチルエーテル、テトラヒドロフラン、n−ペンタ
ン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサンなど
が挙げられるが、その中でもエーテル化合物が好まし
く、特にイソプロピルエーテルが好ましい。当該溶媒量
は、少量であると反応混合物が高粘度なゲル状となり均
一な攪拌が困難となるため、反応時に使用するポリフル
オロアルコール1重量部に対して通常0.5重量部〜10重
量部、特に1〜2重量部が好ましい。 ポリリン酸とポリフルオロアルコールとの比率は任意
に選択することができるが、未反応ポリフルオロアルコ
ールを極力少なくし、反応終了時に生じる過剰のリン酸
を最小限にするという観点から、ポリリン酸濃度と反応
モル比(γ=〔オルトリン酸に換算したリン酸のモル
数〕/〔ポリフルオロアルコールのモル数〕)の最適な
条件が存在し、たとえば、ポリリン酸濃度が100、105、
112、116%の場合、反応モル比γは各々10、5、3、2
が反応の効率上好ましい。 反応温度は40〜100℃、特に50〜80℃が好ましい。反
応時間は温度に依存し、たとえば反応温度70℃では、反
応時間は7時間以上あれば充分である。 以上の如くして、モノポリフルオロアルキルリン酸が
合成できるが、この反応混合物中には、副生成物である
モノポリフルオロアルキルピロリン酸、ジポリフルオロ
アルキルピロリン酸、過剰のポリリン酸、リン酸が存在
しているので、高純度のモノポリフルオロアルキルリン
酸を得るためには、これら化合物を除去する必要があ
る。 これらの副生化合物を除去する方法としては、例え
ば、反応混合物を加水分解処理に付して、副生化合物の
ピロリン酸結合を切断してモノポリフルオロアルキルリ
ン酸とリン酸に分解し、次いでこのリン酸を抽出により
除去する方法等が挙げられる。 ここで、加水分解する方法としては、通常のピロリン
酸結合を加水分解する方法が適用される。すなわち存在
するピロリン酸結合を加水分解するのに充分な水分量を
加え、加熱して行う。加水分解に必要な温度と時間はポ
リリン酸の濃度によつて異なるが、ポリリン酸が105%
の場合には70℃において2〜4時間、ポリリン酸が110
%の場合には70℃において4〜6時間が好ましい。ま
た、リン酸を除去する方法としては加水分解処理混合物
に水、場合によつては更に有機溶媒を加えて振盪し、水
層にリン酸を抽出して行う。有機溶媒としては、エチル
エーテル、イソプロピルエーテルなどが挙げられるが、
特に限定されるものではない。また、水層と有機層が乳
化した場合は、メタノール、エタノールなどの低級アル
コール、塩酸水溶液などを加えて、解乳化すればよい。
リン酸を除去する方法は、この方法に限定されるもので
はない。 上記リン酸抽出後の有機層を取り出し、有機層を留去
すると純度90%以上の高純度モノポリフルオロアルキル
リン酸が得られる。さらに必要に応じて、微量存在する
ジポリフルオロアルキルリン酸、リン酸、ポリフルオロ
アルコールなどの不純物を再結晶により除去し、さらに
高純度のモノポリフルオロアルキルリン酸を得る事も可
能である。 〔発明の効果〕 本発明方法によれば、高純度のモノポリフルオロアル
キルリン酸を容易に製造することが可能であり、このモ
ノポリフルオロアルキルリン酸は、重合性基を導入した
誘導体や、その他各種誘導体の原料として工業的に有利
に利用できる。 〔実施例〕 以下実施例を挙げて説明する。 実施例1 純度98%のトリデカフルオロオクタノール100g(C6F
13C2H4OH、0.269モル)、110%ポリリン酸71.9g(オル
トリン酸換算;0.807モル)とイソプロピルエーテル200g
を反応器中に入れ混合し、70℃まで昇温し、8時間混合
する。反応混合物を60℃まで冷却した後、水16gを添加
し、70℃で加水分解を5時間行う。30℃まで冷却後、エ
チルエーテル350ml、水180mlとエタノール70mlを加え振
とうし、リン酸を下層に抽出する。リン酸が抽出された
下層を分離した後、上層に水180mlと1NHCl20mlを加え振
とうし、上層を洗浄する。上層を取り出し溶媒を留去す
ると、119gの白色固体が得られる。白色固体中には、モ
ノトリデカフルオロオクチルリン酸が95.2%、ジトリデ
カフルオロオクチルリン酸が1.4%、トリデカフルオロ
オクタノールが1.5%、リン酸が1.6%含まれている。 実施例2 純度98%のヘプタデカフルオロデカノール100g(C8F
17C2H4OH、0.211モル)、105%ポリリン酸98.5g(オル
トリン酸換算;1.055モル)とイソプロピルエーテル200g
を反応器中に入れ混合し、70℃まで昇温し、8時間混合
する。反応混合物を60℃まで冷却した後、水17gを添加
し、70℃で加水分解を5時間行う。30℃まで冷却後、エ
チルエーテル350ml、水180mlとエタノール70mlを加え振
とうし、リン酸を下層に抽出する。リン酸が抽出された
下層を分離した後、上層に水180mlと1NHCl20mlを加え振
とうし、上層を洗浄する。上層を取り出し溶媒を留去す
ると、112gの白色固体が得られる。白色固体中には、モ
ノヘプタデカフルオロデシルリン酸が96.0%、ジヘプタ
デカフルオロデシルリン酸が1.2%、ヘプタデカフルオ
ロデカノールが1.3%、リン酸が1.3%含まれている。 実施例3 純度98%のヘプタデカフルオロデカノール100g(C8F
17C2H4OH、0.211モル)、110%ポリリン酸56.4g(オル
トリン酸換算;0.633モル)とイソプロピルエーテル200g
を反応器中に入れ混合し、70℃まで昇温し、8時間混合
する。反応混合物を60℃まで冷却した後、水13gを添加
し、70℃で加水分解を5時間行う。30℃まで冷却後、エ
チルエーテル350ml、水180mlとエタノール70mlを加え振
とうし、リン酸を下層に抽出する。リン酸が抽出された
下層を分離した後、上層に水180mlと1NHCl20mlを加え振
とうし、上層を洗浄する。上層を取り出し溶媒を留去す
ると、114gの白色固体が得られる。白色固体中には、モ
ノヘプタデカフルオロデシルリン酸が95.5%、ジヘプタ
デカフルオロデシルリン酸が1.2%、ヘプタデカフルオ
ロデカノールが1.7%、リン酸が1.0%含まれている。 実施例4 純度98%のヘプタデカフルオロデカノール100g(C8F
17C2H4OH、0.211モル)、116%ポリリン酸35.6g(オル
トリン酸換算;0.422モル)とイソプロピルエーテル200g
を反応器中に入れ混合し、70℃まで昇温し、8時間混合
する。反応混合物を60℃まで冷却した後、水11gを添加
し、70℃で加水分解を6時間行う。30℃まで冷却後、エ
チルエーテル350ml、水180mlとエタノール70mlを加え振
とうし、下層にリン酸を抽出する。リン酸が抽出された
下層を分離した後、上層に水180mlと1NHCl20mlを加え振
とうし、上層を洗浄する。上層を取り出し溶媒を留去す
ると、109gの白色固体が得られる。白色固体中には、モ
ノヘプタデカフルオロデシルリン酸が96.5%、ジヘプタ
デカフルオロデシルリン酸が0.9%、ヘプタデカフルオ
ロデカノールが0.9%、リン酸が1.3%含まれている。 実施例5 純度98%のポリフルオロアルコール100g(0.205モ
ル、組成;C6F13C2H4OH27wt%、C8F17C2H4OH35wt%、C1F
21C2H4OH25wt%、C12F25C2H4OH12wt%、平均分子量;48
2)、110%ポリリン酸54.8g(オルトリン酸換算;0.615
モル)とイソプロピルエーテル200gを反応器中に入れ混
合し、70℃まで昇温し、8時間混合する。反応混合物を
60℃まで冷却した後、水13gを添加し、70℃で加水分解
を5時間行う。30℃まで冷却後、エチルエーテル350m
l、水180ml、エタノール70mlを加え振とうし、リン酸を
下層に抽出する。リン酸が抽出された下層を分離した
後、上層に水180mlと1NHCl20mlを加え振とうし、上層を
洗浄する。上層を取り出し、溶媒を留去すると、110gの
白色固体が得られる。白色固体中には、モノポリフルオ
ロアルキルリン酸が95.0%、ジポリフルオロアルキルリ
ン酸が1.6%、ポリフルオロアルコールが1.4%、リン酸
が1.5%含まれている。
体の原料として有用なモノポリフルオロアルキルリン酸
の製造法に関する。 〔従来の技術〕 含フッ素リン酸エステルは界面活性剤および撥油剤と
して有用なものであり、従来その製造法としては次の方
法が知られている。ポリフルオロアルコールとオキシ
ハロゲン化リン、五酸化リン又はジアルキルホスフアイ
トを反応させる方法(特公昭48−4770号)。ポリフル
オロアルコールとオキシハロゲン化リンとを水の添加の
もとに反応させる方法(特公昭56−29875号)。ポリ
フルオロアルコールとビスホスホリルハライドを反応さ
せた後、加水分解させる方法(特開昭60−64990号)。 しかしながら、これらのいずれの方法もモノポリフル
オロアルキルリン酸とジポリフルオロアルキルリン酸の
混合物、又はジポリフルオロアルキルリン酸、又はジポ
リフルオロアルキルリン酸とトリポリフルオロアルキル
リン酸の混合物等を得る方法であり、高純度なモノポリ
フルオロアルキルリン酸を得る方法は未だ知られていな
い。 〔発明が解決しようとする問題点〕 モノポリフルオロアルキルリン酸は、それ自体界面活
性剤、表面処理剤などとして有用であるばかりでなく、
さらに高付加価値なモノポリフルオロアルキルリン酸誘
導体の原料として重要である。そして、たとえばモノポ
リフルオロアルキルリン酸に重合性基を導入し、重合物
と成した場合には、原料のモノポリフルオロアルキルリ
ン酸の純度が該重合物の物性に大きな影響を与えるた
め、高純度なモノポリフルオロアルキルリン酸を製造す
る方法が所望されていた。 〔問題点を解決するための手段〕 かかる実状において、本発明者らは鋭意研究を行なつ
た結果、ポリフルオロアルコールにオルトリン酸に換算
して濃度100〜116重量%(以下単に「%」と表示する)
のポリリン酸を反応させれば、高純度のモノポリフルオ
ロアルキルリン酸を製造できることを見い出し、本発明
を完成した。 すなわち、本発明は次の一般式(I) RfOH (I) (式中、Rfは炭素数4〜36の直鎖または分岐鎖の、少な
くとも2個以上の水素原子がフッ素原子で置換されたポ
リフルオロアルキル基を示す) で表わされるポリフルオロアルコールに、オルトリン酸
に換算して濃度100〜116%のポリリン酸を反応させるこ
とを特徴とする、一般式(II) (式中、Rfは前記と同じ意味を示す) で表わされるモノポリフルオロアルキルリン酸の製造法
を提供するものである。 本発明に用いられるポリフルオロアルコール(I)と
してはたとえば、ノナフルオロヘキサノール、トリデカ
フルオロオクタノール、ヘプタデカフルオロデカノー
ル、ヘンエイコサフルオロドデカノール、ペンタコサフ
ルオロテトラデカノール、ノナコサフルオロヘキサデカ
ノール、トリトリアコンタフルオロオクタデカノール、
ヘプタトリアコンタエイコサノール、2−ペンタフルオ
ロエチルペンタフルオロヘキサノール、2−トリデカフ
ルオロヘキシルトリデカフルオロデカノール、2−ヘプ
タデカフルオロオクチルヘプタデカフルオロドデカノー
ル、2−ヘンエイコサフルオロデシルヘンエイコサフル
オロテトラデカノール、2−ペンタコサフルオロドデシ
ルペンタコサフルオロヘキサデカノール、2−ノナコサ
フルオロテトラデシルノナコサフルオロオクタデカノー
ルなどが挙げられる。 本発明における反応は、ポリフルオロアルコール
(I)を不活性溶媒中、オルトリン酸に換算して100〜1
16%(P2O5換算濃度×1.38に相当)のポリリン酸と加熱
混合して行う。 この不溶性溶媒としては、エチルエーテル、イソプロ
ピルエーテル、ブチルエーテル、ペンチルエーテル、イ
ソペンチルエーテル、テトラヒドロフラン、n−ペンタ
ン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサンなど
が挙げられるが、その中でもエーテル化合物が好まし
く、特にイソプロピルエーテルが好ましい。当該溶媒量
は、少量であると反応混合物が高粘度なゲル状となり均
一な攪拌が困難となるため、反応時に使用するポリフル
オロアルコール1重量部に対して通常0.5重量部〜10重
量部、特に1〜2重量部が好ましい。 ポリリン酸とポリフルオロアルコールとの比率は任意
に選択することができるが、未反応ポリフルオロアルコ
ールを極力少なくし、反応終了時に生じる過剰のリン酸
を最小限にするという観点から、ポリリン酸濃度と反応
モル比(γ=〔オルトリン酸に換算したリン酸のモル
数〕/〔ポリフルオロアルコールのモル数〕)の最適な
条件が存在し、たとえば、ポリリン酸濃度が100、105、
112、116%の場合、反応モル比γは各々10、5、3、2
が反応の効率上好ましい。 反応温度は40〜100℃、特に50〜80℃が好ましい。反
応時間は温度に依存し、たとえば反応温度70℃では、反
応時間は7時間以上あれば充分である。 以上の如くして、モノポリフルオロアルキルリン酸が
合成できるが、この反応混合物中には、副生成物である
モノポリフルオロアルキルピロリン酸、ジポリフルオロ
アルキルピロリン酸、過剰のポリリン酸、リン酸が存在
しているので、高純度のモノポリフルオロアルキルリン
酸を得るためには、これら化合物を除去する必要があ
る。 これらの副生化合物を除去する方法としては、例え
ば、反応混合物を加水分解処理に付して、副生化合物の
ピロリン酸結合を切断してモノポリフルオロアルキルリ
ン酸とリン酸に分解し、次いでこのリン酸を抽出により
除去する方法等が挙げられる。 ここで、加水分解する方法としては、通常のピロリン
酸結合を加水分解する方法が適用される。すなわち存在
するピロリン酸結合を加水分解するのに充分な水分量を
加え、加熱して行う。加水分解に必要な温度と時間はポ
リリン酸の濃度によつて異なるが、ポリリン酸が105%
の場合には70℃において2〜4時間、ポリリン酸が110
%の場合には70℃において4〜6時間が好ましい。ま
た、リン酸を除去する方法としては加水分解処理混合物
に水、場合によつては更に有機溶媒を加えて振盪し、水
層にリン酸を抽出して行う。有機溶媒としては、エチル
エーテル、イソプロピルエーテルなどが挙げられるが、
特に限定されるものではない。また、水層と有機層が乳
化した場合は、メタノール、エタノールなどの低級アル
コール、塩酸水溶液などを加えて、解乳化すればよい。
リン酸を除去する方法は、この方法に限定されるもので
はない。 上記リン酸抽出後の有機層を取り出し、有機層を留去
すると純度90%以上の高純度モノポリフルオロアルキル
リン酸が得られる。さらに必要に応じて、微量存在する
ジポリフルオロアルキルリン酸、リン酸、ポリフルオロ
アルコールなどの不純物を再結晶により除去し、さらに
高純度のモノポリフルオロアルキルリン酸を得る事も可
能である。 〔発明の効果〕 本発明方法によれば、高純度のモノポリフルオロアル
キルリン酸を容易に製造することが可能であり、このモ
ノポリフルオロアルキルリン酸は、重合性基を導入した
誘導体や、その他各種誘導体の原料として工業的に有利
に利用できる。 〔実施例〕 以下実施例を挙げて説明する。 実施例1 純度98%のトリデカフルオロオクタノール100g(C6F
13C2H4OH、0.269モル)、110%ポリリン酸71.9g(オル
トリン酸換算;0.807モル)とイソプロピルエーテル200g
を反応器中に入れ混合し、70℃まで昇温し、8時間混合
する。反応混合物を60℃まで冷却した後、水16gを添加
し、70℃で加水分解を5時間行う。30℃まで冷却後、エ
チルエーテル350ml、水180mlとエタノール70mlを加え振
とうし、リン酸を下層に抽出する。リン酸が抽出された
下層を分離した後、上層に水180mlと1NHCl20mlを加え振
とうし、上層を洗浄する。上層を取り出し溶媒を留去す
ると、119gの白色固体が得られる。白色固体中には、モ
ノトリデカフルオロオクチルリン酸が95.2%、ジトリデ
カフルオロオクチルリン酸が1.4%、トリデカフルオロ
オクタノールが1.5%、リン酸が1.6%含まれている。 実施例2 純度98%のヘプタデカフルオロデカノール100g(C8F
17C2H4OH、0.211モル)、105%ポリリン酸98.5g(オル
トリン酸換算;1.055モル)とイソプロピルエーテル200g
を反応器中に入れ混合し、70℃まで昇温し、8時間混合
する。反応混合物を60℃まで冷却した後、水17gを添加
し、70℃で加水分解を5時間行う。30℃まで冷却後、エ
チルエーテル350ml、水180mlとエタノール70mlを加え振
とうし、リン酸を下層に抽出する。リン酸が抽出された
下層を分離した後、上層に水180mlと1NHCl20mlを加え振
とうし、上層を洗浄する。上層を取り出し溶媒を留去す
ると、112gの白色固体が得られる。白色固体中には、モ
ノヘプタデカフルオロデシルリン酸が96.0%、ジヘプタ
デカフルオロデシルリン酸が1.2%、ヘプタデカフルオ
ロデカノールが1.3%、リン酸が1.3%含まれている。 実施例3 純度98%のヘプタデカフルオロデカノール100g(C8F
17C2H4OH、0.211モル)、110%ポリリン酸56.4g(オル
トリン酸換算;0.633モル)とイソプロピルエーテル200g
を反応器中に入れ混合し、70℃まで昇温し、8時間混合
する。反応混合物を60℃まで冷却した後、水13gを添加
し、70℃で加水分解を5時間行う。30℃まで冷却後、エ
チルエーテル350ml、水180mlとエタノール70mlを加え振
とうし、リン酸を下層に抽出する。リン酸が抽出された
下層を分離した後、上層に水180mlと1NHCl20mlを加え振
とうし、上層を洗浄する。上層を取り出し溶媒を留去す
ると、114gの白色固体が得られる。白色固体中には、モ
ノヘプタデカフルオロデシルリン酸が95.5%、ジヘプタ
デカフルオロデシルリン酸が1.2%、ヘプタデカフルオ
ロデカノールが1.7%、リン酸が1.0%含まれている。 実施例4 純度98%のヘプタデカフルオロデカノール100g(C8F
17C2H4OH、0.211モル)、116%ポリリン酸35.6g(オル
トリン酸換算;0.422モル)とイソプロピルエーテル200g
を反応器中に入れ混合し、70℃まで昇温し、8時間混合
する。反応混合物を60℃まで冷却した後、水11gを添加
し、70℃で加水分解を6時間行う。30℃まで冷却後、エ
チルエーテル350ml、水180mlとエタノール70mlを加え振
とうし、下層にリン酸を抽出する。リン酸が抽出された
下層を分離した後、上層に水180mlと1NHCl20mlを加え振
とうし、上層を洗浄する。上層を取り出し溶媒を留去す
ると、109gの白色固体が得られる。白色固体中には、モ
ノヘプタデカフルオロデシルリン酸が96.5%、ジヘプタ
デカフルオロデシルリン酸が0.9%、ヘプタデカフルオ
ロデカノールが0.9%、リン酸が1.3%含まれている。 実施例5 純度98%のポリフルオロアルコール100g(0.205モ
ル、組成;C6F13C2H4OH27wt%、C8F17C2H4OH35wt%、C1F
21C2H4OH25wt%、C12F25C2H4OH12wt%、平均分子量;48
2)、110%ポリリン酸54.8g(オルトリン酸換算;0.615
モル)とイソプロピルエーテル200gを反応器中に入れ混
合し、70℃まで昇温し、8時間混合する。反応混合物を
60℃まで冷却した後、水13gを添加し、70℃で加水分解
を5時間行う。30℃まで冷却後、エチルエーテル350m
l、水180ml、エタノール70mlを加え振とうし、リン酸を
下層に抽出する。リン酸が抽出された下層を分離した
後、上層に水180mlと1NHCl20mlを加え振とうし、上層を
洗浄する。上層を取り出し、溶媒を留去すると、110gの
白色固体が得られる。白色固体中には、モノポリフルオ
ロアルキルリン酸が95.0%、ジポリフルオロアルキルリ
ン酸が1.6%、ポリフルオロアルコールが1.4%、リン酸
が1.5%含まれている。
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 1.次の一般式(I) RfOH (I) (式中、Rfは炭素数4〜36の直鎖または分岐鎖の、少な
くとも2個以上の水素原子がフッ素原子で置換されたポ
リフルオロアルキル基を示す) で表わされるポリフルオロアルコールに、オルトリン酸
に換算して濃度100〜116重量%のポリリン酸を反応させ
ることを特徴とする、一般式(II) (式中、Rfは前記と同じ意味を示す) で表わされるモノポリフルオロアルキルリン酸の製造
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27318486A JP2670773B2 (ja) | 1986-11-17 | 1986-11-17 | ポリフルオロアルキルリン酸の製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27318486A JP2670773B2 (ja) | 1986-11-17 | 1986-11-17 | ポリフルオロアルキルリン酸の製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS63126886A JPS63126886A (ja) | 1988-05-30 |
JP2670773B2 true JP2670773B2 (ja) | 1997-10-29 |
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ID=17524269
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP27318486A Expired - Fee Related JP2670773B2 (ja) | 1986-11-17 | 1986-11-17 | ポリフルオロアルキルリン酸の製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2670773B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3025567B2 (ja) * | 1991-12-16 | 2000-03-27 | 花王株式会社 | 口腔用組成物 |
-
1986
- 1986-11-17 JP JP27318486A patent/JP2670773B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS63126886A (ja) | 1988-05-30 |
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