JP3526940B2 - リン酸エステルの製造法 - Google Patents

リン酸エステルの製造法

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JP3526940B2
JP3526940B2 JP00253995A JP253995A JP3526940B2 JP 3526940 B2 JP3526940 B2 JP 3526940B2 JP 00253995 A JP00253995 A JP 00253995A JP 253995 A JP253995 A JP 253995A JP 3526940 B2 JP3526940 B2 JP 3526940B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はリン酸エステルの製造法
に関する。さらに詳しくは、泡立ちが良く、安定性の優
れた、高品質のリン酸エステルの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】有機
ヒドロキシ化合物のリン酸エステルは洗浄剤、繊維処理
剤、乳化剤、防錆剤、液状イオン交換体、または医薬品
等として幅広い分野で利用されている。従来、リン酸エ
ステルを工業的に製造する方法としては、有機ヒドロキ
シ化合物に五酸化リンを反応させる方法があるが、この
方法によるとその生成物は下記式(A) で表されるリン酸
モノエステルと、下記式(B) で表されるリン酸ジエステ
ルの等モル混合物(以下この混合物をセスキホスフェー
トと称する)である。
【0003】
【化1】
【0004】(式中、 Rは有機ヒドロキシ化合物残基を
示す) しかしながら、リン酸モノエステルとリン酸ジエステル
とは物性において大きな差異を有する。例えば、長鎖ア
ルキルアルコール(例えば、ラウリルアルコール)のリ
ン酸モノエステルのアルカリ金属塩およびアルカノール
アミン塩は水溶性で起泡力、洗浄力が良好で、毒性が低
く、皮膚刺激が少ないので洗浄剤として優れているのに
対し、リン酸ジエステルのアルカリ金属塩およびアルカ
ノールアミン塩は水にほとんど溶解せず、起泡力はほと
んどなく、むしろ抑泡性を示す。従ってリン酸ジエステ
ルの含有量が大きい上記セスキホスフェートでは高起泡
性洗浄剤としては使用できない。
【0005】そこで、リン酸モノエステル含量の高いリ
ン酸エステルを工業的に安全かつ容易に製造することが
強く要望されており、次にあげるようないくつかの方法
が報告されている。 有機ヒドロキシ化合物とオキシ塩化リンとを反応さ
せて得られるモノホスホロジクロリデートを加水分解し
て得る方法(K. SASSE編;Methoden der Organischen C
hemie, 第12/2巻, 163〜164 頁、及び特開昭50−642
26 号)。 有機ヒドロキシ化合物にあらかじめ五酸化リン1モ
ルに対し 0.5〜3モルの水を添加し、次いで五酸化リン
を反応させて得る方法(特公昭41−14416 号)。 有機ヒドロキシ化合物にオルトリン酸及び五酸化リ
ンを反応させて得る方法(特公昭42−6730号)。 有機ヒドロキシ化合物と縮合リン酸(ポリリン酸)
を反応させて得る方法(A.K.Nelsonら,Inorg. Chem.,
2, 775(1963)、またはF.B.Clarkeら、J. Amer.Chem. So
c., 88, 4401(1966) 及び特公昭43−26492 号)。 有機ヒドロキシ化合物と縮合リン酸(ポリリン酸)
を反応させた後、過剰リン酸を回収し濃縮再利用する方
法(特開昭61−17594 号)。 有機ヒドロキシ化合物を五酸化リン、リン酸および
ポリリン酸からなるリン酸化剤とリン酸分が過剰の状態
で第一段目のリン酸化反応を行い、次いで化学量論量に
なるように有機ヒドロキシ化合物を加えて第二段目の反
応を行って得る方法(特公昭57−61358 号)。 水の存在下において有機ヒドロキシ化合物と五酸化
リンとを反応させる際に水蒸気を吹き込みながらリン酸
化反応を行って得る方法(特公平5−66958号)。 ポリリン酸と有機ヒドロキシ化合物とを反応させ、
次いで化学量論量になるように五酸化リンを加える方法
(特願平6−224593号)。 有機ヒドロキシ化合物を、五酸化リンと水、リン酸
およびポリリン酸から選ばれる1種または2種以上のも
のと混合したリン酸化剤と反応させる方法(特願平6−
306364号)。
【0006】これらの方法の中で、,,,およ
びの方法については次のような欠点を有する。即ち、
の方法では1モルのリン酸モノエステルを得るのに3
モルの塩化水素が発生し、この処理および作業環境等に
問題があり、また、塩化水素によりアルキルクロライド
を副生しリン酸モノエステルの収率を上げるのが困難で
ある。及びの方法では、リン酸モノエステルとリン
酸ジエステルの比率のみをみれば、水またはオルトリン
酸量を多くすればリン酸モノエステルの割合が多くなる
が、その反面リンの反応率が低くなり、オルトリン酸の
生成量が増大する。このオルトリン酸の製品への混入は
使用用途によっては好ましからざる影響を与え、その利
用分野が制限されるとともに生成物の製品価値を低下さ
せる。例えば、長鎖アルキルアルコールのリン酸モノエ
ステルのモノナトリウム塩をペースト状の洗浄剤として
使用する場合、オルトリン酸が多量に存在すればリン酸
ジナトリウムが析出し使用上好ましくない。
【0007】の方法では、リン酸モノエステルを選択
的に得ることができるが、反応により副生するオルトリ
ン酸の生成量はポリリン酸の平均縮合度の逆数にほぼ一
致するため、製品へのオルトリン酸の混入は避けられ
ず、前記と同様な問題が生じる(無機オルトリン酸の生
成量を少なくするには、縮合度の非常に高いポリリン酸
を使用しなければならないが、高縮合度のポリリン酸を
工業的に製造するのは、製造釜の材質等の制限から極め
て困難である)。の方法ではリン酸モノエステルとリ
ン酸ジエステルの比率は水蒸気を吹き込むことによりリ
ン酸モノエステルの割合は大きくなるが、その反面オル
トリン酸量が多くなり、,,の方法と同様な問題
が生じる。
【0008】従って、工業的製造法としては,,
およびの方法が好ましい。しかしながら、このような
五酸化リン、リン酸およびポリリン酸からなる群から選
ばれる1種または2種以上のリン酸化剤を用いて有機ヒ
ドロキシ化合物をリン酸化して得られたリン酸エステル
中には、例えば、ピロリン酸あるいはピロリン酸エステ
ル等のピロリン酸結合を有する下記式(C)
【0009】
【化2】
【0010】(式中、 Xは水素原子または有機ヒドロキ
シ化合物残基を示す。)で表される化合物が残存してお
り、得られたリン酸エステルの塩をペースト状の洗浄剤
として使用する場合、得られたペーストを固くしてその
商品価値を低下させるといった欠点を有していた。ま
た、副生したオルトリン酸を抽出分離する際、反応が終
了してすぐに抽出操作を行うと分層速度が遅くなり、し
かも分層性も悪くするといった欠点を有していた。この
解決方法として、リン酸化反応後、該反応成績体に水を
加えて50〜 100℃にて加水分解して完全にピロリン酸結
合を分解する方法も提案されている(特公平3−33160
号)。
【0011】しかし、有機ヒドロキシ化合物として分岐
アルコールを用い、この分岐アルコールをリン酸化して
リン酸エステルを製造する場合、該成績体に水を加えて
完全に加水分解するには、相当厳しい条件で行わなけれ
ばならない。このような厳しい条件下ではリン酸エステ
ル自体の分解も起こり、例えば、ダイヤドール115L(三
菱化成工業(株)製商品名、C11H23OH:C13H27OH:C15H
31OH=47:31:22(重量比)の混合アルコール、分岐率
(全アルコール重量中の分岐アルコールの重量%、以下
同じ)50%)を用いたリン酸エステルの場合、泡立ちの
低下および保存安定性が悪くなり、完全にピロリン酸結
合を加水分解すると、品質の低下が起こる。
【0012】従って、本発明の目的は、泡立ちが良く、
安定性の優れた、高品質のリン酸エステルの工業的製造
法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】かかる現状において、本
発明者らは、リン酸エステルの工業的製造法について鋭
意研究を行った結果、有機ヒドロキシ化合物をリン酸化
剤によりリン酸化した後、該反応成績体に対して、ピロ
リン酸結合を有する化合物が一定割合で残存するように
加水分解条件を制御すれば、泡立ちが良く、しかも安定
性の優れた高品質なリン酸エステルが得られることを見
出し、本発明を完成した。すなわち、本発明は、五酸化
リン、リン酸およびポリリン酸からなる群から選ばれる
1種または2種以上のリン酸化剤と、有機ヒドロキシ化
合物とを反応させてリン酸エステルを製造する方法にお
いて、上記リン酸化剤と有機ヒドロキシ化合物を反応さ
せて得られる反応成績体に水を加えて、リン含有化合物
全量に対するピロリン酸結合を有する化合物の含有量が
0.05〜5モル%となるように系内に存在するピロリン酸
結合を加水分解することを特徴とするリン酸エステルの
製造法を提供するものである。
【0014】本発明において、リン酸エステル中のピロ
リン酸結合を有する化合物の確認は、例えば、31P−N
MRにより容易に分析でき(油化学、39巻、第4号、 2
50〜258 頁、1990年)、ケミカルシフトの違いによりオ
ルト体とピロ体の識別ができ、しかも、定量的に測定で
きる。ピロリン酸結合を有する化合物は、上記〜,
およびの方法で得られたリン酸エステル中にも存在
し、製造条件によってはの方法で得られたリン酸エス
テル中にも存在するものであり、これらリン酸エステル
をペースト状の洗浄剤として使用する場合にはこの加水
分解操作が必要となってくる。また、上記の方法で得
られた反応混合物から、オルトリン酸を除去するために
溶媒抽出するとき、この場合にもピロリン酸が存在する
とその分層性を悪くするものであり、この加水分解操作
が必要となってくる。
【0015】従来、この加水分解操作により、ピロリン
酸結合を完全に加水分解するような条件を選択すること
が常套手段と考えられてきたが、詳細に検討したとこ
ろ、有機ヒドロキシ化合物の種類によっては、特に有機
ヒドロキシ化合物として分岐アルコールを用いた場合、
上記〜の方法でリン酸化し、該反応成績体に水を加
えて加水分解するとき、完全にピロリン酸結合が分解さ
れる条件を選べば、リン酸エステル自身も分解を受け、
性能、安定性等の品質が低下することがわかった。すな
わち、特定の有機ヒドロキシ化合物を用いてリン酸エス
テルを製造する場合、加水分解条件としては、リン含有
化合物全量に対してピロリン酸結合を有する化合物の含
有量が0.05〜5モル%となるような条件を選択すること
が重要であることがわかったのである。ピロリン酸結合
を有する化合物の含有量が0.05モル%未満であると泡立
ちの低下および保存安定性が悪くなり、リン酸エステル
の品質が低下する。また5モル%を超えると、得られた
リン酸エステルの塩をペースト状の洗浄剤として使用す
る場合、得られたペーストを固くしてその商品価値を低
下させたり、オルトリン酸を除去するための溶媒抽出の
操作性が悪くなる。
【0016】本発明において、加水分解操作は、上記の
ようなリン酸化剤で有機ヒドロキシ化合物をリン酸化し
た後、系内に存在するピロリン酸結合を有する化合物と
等モル以上の水を加えて加水分解すればよいが、加水分
解を速やかに行うためには過剰の水を加えるのが好まし
い。例えば、五酸化リンを主なリン酸化剤として用いて
有機ヒドロキシ化合物をリン酸化する場合(例えば、上
記,,,の方法)には、該反応成績体に対し1
〜15重量%、好ましくは3〜10重量%の水を加えて加水
分解を行う。また、ポリリン酸をリン酸化剤として有機
ヒドロキシ化合物をリン酸化する場合(例えば、上記
,の方法)には、未反応の過剰分のリン酸を水溶液
にしたときに、オルトリン酸濃度が80〜95重量%になる
ように水を加えるのが好ましい。本発明における加水分
解の温度は60〜 100℃で行うのがよく、また、加水分解
反応を速やかに行い、かつ、リン酸エステルの分解を避
けるためには70〜90℃で行うのが好ましい。
【0017】上記のように加水分解して得られたリン酸
エステルは、そのまま用いてもよいが、使用用途によっ
ては、更に以下の後処理を加えることが好ましい。すな
わち、香粧品用途に用いるリン酸エステルは、比較的匂
いのよいものが要求されるが、アルキル鎖長によっては
該リン酸エステル成績体をさらに脱臭することが好まし
い。脱臭方法は水蒸気蒸留、抽出および晶析等いずれの
方法でもよく、例えば、上記の方法にてリン酸エステ
ルを得て、これに水を加えて加水分解したものをさらに
薄膜による水蒸気蒸留にて脱臭した場合、ニオイ成分と
ともに加水分解で加えた過剰の水も除去される。また、
上記の方法で得たリン酸エステルに水を加えて加水分
解した後、過剰のリン酸を除去するために、低級アルコ
ールと水を加えて抽出を行うが、加水分解で加えた水は
何ら差し支えはなく、リン酸の除去が可能である。
【0018】本発明において、有機ヒドロキシ化合物と
しては炭素数6〜30、好ましくは8〜24の直鎖または分
岐鎖の飽和または不飽和の脂肪族アルコール、あるいは
当該脂肪族アルコールまたはアルキルフェノール(アル
キル基の炭素数6〜20)のアルキレンオキサイド(炭素
数2〜4)付加物(付加モル数1から100)等が挙げられ
るが、分岐アルコール、とりわけ分岐率が10重量%以上
の分岐アルコールを用いた場合に特に有効である。
【0019】具体的な有機ヒドロキシ化合物としては、
例えば、オクタノール、ノニルアルコール、デシルアル
コール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、
ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、セチ
ルアルコール、ステアリルアルコール、2−エチルヘキ
サノール、イソオクタノール、イソノナノール、イソデ
カノール、イソトリデカノール等のアルコールが挙げら
れ、さらに合成アルコールとして、オキソコール(日産
化学工業(株)製商品名)、ダイヤドール(三菱化成工
業(株)製商品名)、ドバノール(三菱油化(株)製商
品名)、リネボール(昭和シェル化学(株)製商品
名)、ネオドール(Shell 製商品名)、ライアール(En
i Chem. 製商品名)等が挙げられ、これらの有機ヒドロ
キシ化合物の単独または混合物を使用することができ
る。
【0020】
【発明の効果】本発明の方法によると、リン酸エステル
の品質を低下させることなく、その使用目的によっては
好ましからざる影響を与えるピロリン酸結合を有する化
合物を低減でき、泡立ちが良く、安定性の優れた、高品
質のリン酸エステルを製造することができる。
【0021】
【実施例】以下実施例により本発明を更に詳細に説明す
るが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるもので
はない。
【0022】実施例1 1000mlの反応容器に85%リン酸23.5g〔P2O5=14.5g
(0.102モル) 、水=9.0g(0.5 モル)〕と五酸化リン
(有効分98.5wt%)33.3g(0.234 モル)を加え、50℃
で 0.5時間攪拌した。次いでネオドール1(シェル製商
品名、分岐率16重量%のウンデカノール、Mw=172.9) 1
72.9g(1.00モル)を加えた後、50℃で3時間反応させ
た。この反応液に五酸化リン(有効分98.5wt%)24.0g
(0.167 モル)を50℃にて徐々に2時間で添加し、さら
に90℃で8時間反応させた。このときの反応混合物中に
は、ピロリン酸結合を有する化合物は、リン含有化合物
全量に対して13.0モル%存在していた。その後、この反
応混合物 100gに対して 5.0gの割合でイオン交換水を
加え、90℃で3時間加水分解を行った。このようにして
得られた反応物の水分を除いて計算した組成は、モノウ
ンデシルリン酸75重量%、ジウンデシルリン酸13.6重量
%、オルトリン酸 6.6重量%、未反応アルコール 3.9重
量%であった。また、この反応混合物中には、ピロリン
酸結合を有する化合物は、リン含有化合物全量に対して
0.10モル%存在していた。更にこの反応物を強制薄膜に
よる水蒸気蒸留装置を用いて脱臭を行った。得られた残
渣の水分を除いた組成は、モノウンデシルリン酸78.8重
量%、ジウンデシルリン酸14.1重量%、オルトリン酸
6.9重量%、未反応アルコール0.20重量%であった。ピ
ロリン酸結合を有する化合物は、リン含有化合物全量に
対して0.08モル%存在していた。
【0023】尚、生成物の組成分析は、リン酸モノエス
テル、リン酸ジエステルおよびオルトリン酸について
は、ジエチルエーテル抽出により水層にオルトリン酸、
エーテル層にリン酸モノエステルおよびジエステルを分
離し、各層を電位差滴定することにより求めた。また、
未反応アルコールについては、石油エーテルで抽出する
方法で行った。ピロリン酸結合を有する化合物の分析は
31P−NMRにより測定した。
【0024】実施例2 1000mlの反応容器に75%リン酸19.7g〔P2O5=10.7g
(0.075モル) 、水=9.0g(0.5 モル)〕と五酸化リン
(有効分98.5wt%)37.2g(0.258 モル)を加え、60℃
で 0.5時間攪拌した。次いでダイヤドール115L(三菱化
成工業(株)製商品名、C11H23OH:C13H27OH:C15H31OH
=47:31:22(重量比)の混合アルコール、分岐率50
%、Mw=190.7) 190.7g (1.00モル) を加えた後、60℃
で2時間反応させた。この反応液に五酸化リン(有効分
98.5wt%)24.0g(0.167 モル)を60℃にて徐々に2時
間で添加し、さらに80℃で10時間反応させた。このとき
の反応混合物中には、ピロリン酸結合を有する化合物
は、リン含有化合物全量に対して14.0モル%存在してい
た。その後、この反応混合物 100gに対して10.0gの割
合でイオン交換水を加え、90℃で3時間加水分解を行っ
た。このようにして得られた反応物の水分を除いて計算
した組成は、モノアルキルリン酸76.0重量%、ジアルキ
ルリン酸13.8重量%、オルトリン酸 6.1重量%、未反応
アルコール4.1 重量%であった。また、この反応混合物
中には、ピロリン酸結合を有する化合物は、リン含有化
合物全量に対して0.12モル%存在していた。更にこの反
応物を強制薄膜による水蒸気蒸留装置を用いて脱臭を行
った。得られた残渣の水分を除いた組成は、モノアルキ
ルリン酸79.1重量%、ジアルキルリン酸14.4重量%、オ
ルトリン酸 6.3重量%、未反応アルコール0.25重量%で
あった。ピロリン酸結合を有する化合物は、リン含有化
合物全量に対して0.10モル%存在していた。
【0025】比較例1 耐圧容器に実施例2で得られたリン酸化反応終了物(リ
ン含有化合物全量に対してピロリン酸結合を有する化合
物を14.0モル%含有)100gに対して、20gの割合でイオ
ン交換水を加え、 105℃で3時間加水分解を行った。こ
のようにして得られた反応物の水分を除いて計算した組
成は、モノアルキルリン酸72.2重量%、ジアルキルリン
酸13.1重量%、オルトリン酸 7.9重量%、未反応アルコ
ール 6.8重量%であった。また、この反応混合物中に
は、ピロリン酸結合を有する化合物は、リン含有化合物
全量に対して0.02モル%と非常に低減していたが、リン
酸エステルの収率は実施例2に対して95%に低下した。
【0026】実施例3 1000mlの反応容器にダイヤドール115L(実施例2と同じ
もの) 190.7g (1.00モル) および116 %ポリリン酸5
6.3g〔P2O5=47.3g(0.333モル) 、水=9.0 g(0.5モ
ル)〕を加えた後、60℃で2時間反応させた。この反応
液に五酸化リン(有効分98.5wt%)24.0g(0.167 モ
ル)を徐々に加え、さらに80℃で10時間反応させた。こ
のときの反応混合物中には、ピロリン酸結合を有する化
合物は、リン含有化合物全量に対して15.1モル%存在し
ていた。その後、この反応混合物100gに対して10.0g
の割合でイオン交換水を加え、90℃で3時間加水分解を
行った。このようにして得られた反応物の水分を除いて
計算した組成は、モノアルキルリン酸75.8重量%、ジア
ルキルリン酸14.0重量%、オルトリン酸 6.0重量%、未
反応アルコール 4.2重量%であった。また、この反応混
合物中には、ピロリン酸結合を有する化合物は、リン含
有化合物全量に対して0.15モル%存在していた。更にこ
の反応物を強制薄膜による水蒸気蒸留装置を用いて脱臭
を行った。得られた残渣の水分を除いた組成は、モノア
ルキルリン酸79.1重量%、ジアルキルリン酸14.4重量
%、オルトリン酸 6.3重量%、未反応アルコール0.25重
量%であった。ピロリン酸結合を有する化合物は、リン
含有化合物全量に対して0.12モル%存在していた。
【0027】実施例4 1000mlの反応容器にステアリルアルコール(Mw=272.5)
272.5g(1.0モル) および85%リン酸23.5g〔P2O5=1
4.5g(0.102モル) 、水= 9.0g(0.5 モル)〕を加
え、80℃で 0.5時間攪拌した。次いで五酸化リン(有効
分98.5wt%)57.3g(0.398 モル)を徐々に加え、90℃
で10時間反応させた。このときの反応混合物中には、ピ
ロリン酸結合を有する化合物は、リン含有化合物全量に
対して12.1モル%存在していた。その後、この反応混合
物100 gに対して 5.0gの割合でイオン交換水を加え、
90℃で3時間加水分解を行った。このようにして得られ
た反応物の水分を除いて計算した組成は、モノステアリ
ルリン酸73.0重量%、ジステアリルリン酸18.2重量%、
オルトリン酸 4.6重量%、未反応アルコール 4.2重量%
であった。また、この反応混合物中には、ピロリン酸結
合を有する化合物は、リン含有化合物全量に対して0.06
モル%存在していた。
【0028】実施例5 2000mlの反応容器にダイヤドール115L(実施例2と同じ
もの) 190.7g (1.00モル) 、ノルマルヘキサン190.7
gおよび106 %ポリリン酸554.7g〔P2O5=425.8g(3.00
モル) 、水=128.9g(7.16 モル) 〕を加えた後、70℃で
12時間反応させた。このときの反応混合物中には、ピロ
リン酸結合を有する化合物は、リン含有化合物全量に対
して16.2モル%存在していた。その後、この反応混合物
100gに対して15.0gの割合でイオン交換水を加え、70
℃で3時間加水分解を行った。このようにして得られた
反応物混合物中には、ピロリン酸結合を有する化合物
は、リン含有化合物全量に対して0.72モル%存在してい
た。この反応混合物 100gに対して、ノルマルヘキサン
35g、エタノール15gおよび水30gを加えて、50℃に加
温して、十分に攪拌混合した。30分の混合の後、50℃に
保ちながら静置したところ、速やかに透明なノルマルヘ
キサン層(上層)と透明な水層(下層)に分離した。こ
のとき上層中の水分およびノルマルヘキサンを除いて計
算した組成は、モノアルキルリン酸90.7重量%、ジアル
キルリン酸 4.8重量%、オルトリン酸 2.5重量%、未反
応アルコール 2.0重量%であった。また、この反応混合
物中には、ピロリン酸結合を有する化合物は、リン含有
化合物全量に対して0.65モル%存在していた。
【0029】比較例2 実施例5で得られたリン酸化反応終了物(リン含有化合
物全量に対してピロリン酸結合を有する化合物を16.2モ
ル%含有) に、実施例5と同様にノルマルヘキサン、エ
タノールおよび水を加えて50℃に保ちながら30分間攪拌
した後に静置した。30分間経過後も、上層および下層と
もに白濁し、中間層も存在していた。この上層中にはピ
ロリン酸結合を有する化合物は、リン含有化合物全量に
対して12.0モル%存在しており、この状態で組成分析で
きないために、上層 100gに対して水を15.0g添加して
70℃で3時間ピロリン酸結合を加水分解した。このとき
上層中の水分およびノルマルヘキサンを除いて計算した
組成は、モノアルキルリン酸86.2重量%、ジアルキルリ
ン酸 4.5重量%、オルトリン酸 7.9重量%、未反応アル
コール 1.4重量%であった。また、この反応混合物中に
は、ピロリン酸結合を有する化合物は、リン含有化合物
全量に対して0.11モル%存在していた。
【0030】比較例3 実施例5で得られたリン酸化反応終了物(リン含有化合
物全量に対してピロリン酸結合を有する化合物を16.2モ
ル%含有)100gに対して30.0gの割合でイオン交換水を
加え、耐圧容器中で90℃で4時間加水分解を行った。こ
のようにして得られた反応混合物中には、ピロリン酸結
合を有する化合物は、リン含有化合物全量に対して0.02
モル%と非常に低減していた。この反応混合物 100gに
対して、ノルマルヘキサン35g、エタノール15gおよび
水30gを加えて、50℃に加温して、十分に攪拌混合し
た。30分の混合の後、50℃に保ちながら静置したとこ
ろ、速やかに透明なノルマルヘキサン層(上層)と透明
な水層(下層)に分離した。このとき上層中の水分およ
びノルマルヘキサンを除いて計算した組成は、モノアル
キルリン酸90.7重量%、ジアルキルリン酸 4.8重量%、
オルトリン酸 2.5重量%、未反応アルコール 5.5重量%
であった。また、この反応混合物中には、ピロリン酸結
合を有する化合物は、リン含有化合物全量に対して0.02
モル%存在していた。
【0031】実施例1〜5および比較例1〜3の結果を
まとめて表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】注) *1:加水分解後の反応物のリン酸モノエステル純度で、
下記式で表される値である。
【0034】
【数1】
【0035】*2:加水分解後の反応物のオルトリン酸量
で、下記式で表される値である。
【0036】
【数2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−149691(JP,A) 特開 昭63−201194(JP,A) 特開 昭61−17594(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07F 9/09 - 9/113

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 五酸化リン、リン酸およびポリリン酸か
    らなる群から選ばれる1種または2種以上のリン酸化剤
    と、有機ヒドロキシ化合物とを反応させてリン酸エステ
    ルを製造する方法において、上記リン酸化剤と有機ヒド
    ロキシ化合物を反応させて得られる反応成績体に水を加
    えて、リン含有化合物全量に対するピロリン酸結合を有
    する化合物の含有量が0.05〜5モル%となるように系内
    に存在するピロリン酸結合を加水分解することを特徴と
    するリン酸エステルの製造法。
  2. 【請求項2】 60〜 100℃の温度で加水分解する請求項
    1記載のリン酸エステルの製造法。
  3. 【請求項3】 有機ヒドロキシ化合物が分岐アルコール
    である請求項1または2記載のリン酸エステルの製造
    法。
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